JP4452651B2 - 逐次3点法における零点誤差補正方法及び零点誤差補正装置 - Google Patents
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逐次3点法は、被測定面形状と走査(測定)の際の運動誤差を、3個の変位センサ31〜33を用いて同時に、一定間隔(変位センサの間隔分)で検出し、各変位センサの変位出力を処理することにより、被測定物の形状情報と、運動誤差を分離させる方法である。図12に示すように、被測定物の被測定面に関するz方向の変位を測定する3個の変位センサ31〜33は、センサヘッド30Aにそれぞれ間隔dで固定されている。センサヘッド30Aの基準点は、中央の変位センサ32とする。被測定物はg(x)なるz方向の被測定面形状を有するものとし、該被測定物を載せたテーブル25をz方向と直交するx方向に移動させて、センサヘッド30Aをdだけ送る毎に、各変位センサからの変位出力を取り込むようにする。
S30(xi)=g(xi)+ez(xi) …(1−1)
S3F(xi)=g(xi+1)+ez(xi)+deθ(xi) …(1−2)
S3R(xi)=g(xi−1)+ez(xi)−deθ(xi) …(1−3)
中央の変位センサ32と、後方の変位センサ33との出力差をΔS3R(xi)とすると、式(1−1)−式(1−2)より、下記式となる。
=g(xi)−g(xi−1)+deθ(xi) …(1−4)
g(xi)−g(xi−1)はxiとxi−1の間の真の形状差であるため、これをΔg(xi−1)とすると、式(1−4)は下記式(1−5)となる。
一方、中央の変位センサ32と前方の変位センサ31との出力差をΔS3F(xi)とすると、式(1−2)−式(1−1)より、下記式となる。
=g(xi+1)−g(xi)+deθ(xi) …(1−6)
g(xi+1)−g(xi)はxiとxi+1の間の真の形状差であるため、これをΔg(xi)とすると、式(1−6)は下記式(1−7)となる。
ここで、式(1−5)を移項すると、y軸まわりの回転運動誤差は、下記式(1−8)で表される。
この式(1−8)を式(1−7)に代入して、xiとxi+1の間の真の形状差Δg(xi)は下記式で表される。
…(1−9)
又、一方、図13に示すように、ある点xiの位置での表面形状g(xi)は、1つ前の点xi−1の位置(ステップ)での表面形状g(xi−1)と、中央の変位センサ32が、点xi−1の位置に来た時の各変位センサの出力から求めたΔg(xi−1)を足したものである。
そして、1つ先の点xi+1の位置(ステップ)での表面形状は、式(1−9)+式(1−10)より、下記式(1−11)で表すことができる。
従って、現在得られた情報である式(1−9)と、既に分かっている情報である式(1−10)を足していくことにより、1つ先の位置での情報を求めて行くことができる。
i=1の場合は、式(1−10)、式(1−9)より、下記の通りとなる。
g(x1)=g(x0)+Δg(x0) …(1−12)
Δg(x1)=ΔS3F(x1)−ΔS3R(x1)+Δg(x0) …(1−13)
ここで、g(x0)は、被測定面の基準高さである直流成分であるため、G0とおき、又、Δg(x0)は測定開始時のx1とx0の間の真の形状差であり、これをΔG0とおくと、式(1−12)と式(1−13)は下式となる。
Δg(x1)=ΔS3F(x1)−ΔS3R(x1)+ΔG0 …(1−15)
(i=2の場合)
i=2の場合は、式(1−10)、式(1−9)より、下記の通りとなる。
Δg(x2)=ΔS3F(x2)−ΔS3R(x2)+Δg(x1) …(1−17)
ここで、式(1−14)と式(1−15)を式(1−16)に代入すると、下式(1−18)になる。
又、式(1−15)を式(1−17)に代入すると、下式(1−19)になる。
Δg(x2)={ΔS3F(x2)−ΔS3R(x2)}+{ΔS3F(x1)−ΔS3R(x1)}+ΔG0 …(1−19)
(i=3の場合)
i=3の場合においても、i=2の場合と同様に、式(1−10)、式(1−9)を使用して、g(x3),Δg(x3)に関する式を得て、該式に対して、式(1−18)、式(1−19)を代入することにより、下式が得られる。
+{ΔS3F(x2)−ΔS3R(x2) …(1−20)
Δg(x3)={ΔS3F(x3)−ΔS3R(x3)}+{ΔS3F(x2)−ΔS3R(x2)}
+{ΔS3F(x1)−ΔS3R(x1)}+ΔG0 …(1−21)
(i=nの場合)
i=nの場合は、上述したことと同様にして、g(xn),Δg(xn)に関して、下記式(1−22)、式(1−23)を得ることができる。
請求項6の発明によれば、零点誤差補正装置において、請求項3の効果を容易に実現できる。
真直度測定装置10は、リニアテーブル20、及び、門形の支持台30を備えている。リニアテーブル20は、ACモータM(図3参照)の回転を図示しないボールねじを介してテーブル25を直線移動させる。テーブル25上面は、水平面とされており、テーブル25の移動方向(本実施形態では、図1に示すx方向)に沿うように第1被測定物としての長尺の被測定物100と、第2被測定物としての長尺の被測定物200がそれぞれ取付け取り外し可能に載置可能である(図1,図2参照)。被測定物100の一つの側面100aは、零点補償用基準面となるとともに、真直度測定対象の面とされる。
リニアスケール12は、テーブル25が移動する際に、テーブル移動を検出するためのものであり、テーブル移動に応じたパルス信号を、CPU11が備える図示しないパルスカウンタに入力する。前記パルスカウンタは入力したパルス信号をカウントし、CPU11は、そのカウント値に基づいてテーブル25の移動量を検知する。又、CPU11は,ドライバ15を介して、ACモータMを駆動制御することが可能である。そして、CPU11のACモータMに対する駆動制御により、テーブル25の定速度制御が可能である。そして、本実施形態では、前記テーブル25の移動量の検知に基づいて、テーブル25が、図1、図5、図6に示すx方向に一定距離D(=d)で移動する毎に、CPU11は、変位センサ31〜33,41,42からの出力信号を取り込んで、演算処理等を行うようにしている。
ここで、零点誤差補正方法として、反転法を応用した改良逐次3点法の原理について説明する。
S2(xi) =h(xi)+ez(xi) …(2)
S30(xi)=g(xi)+ez(xi) …(3)
次に、2回目の測定の場合、3個の変位センサのうち、中央の変位センサ32がある点xiの位置に来たとき、各変位センサからの出力S1r(xi)、S2r(xi)、S3r0(xi)は、下記の通りとなる。
S2r(xi) =f(xi)+ezr(xi) …(5)
S3r0(xi)=g(xi)+ezr(xi) …(6)
ここで、1回目の測定においてのz方向の並進運動誤差をez(図5では、ez(x)で図示)、2回目の測定においてのz方向の並進運動誤差をezr(図6では、ezr(x)で図示)とおく。
=h(xi)+ez(xi)−{h(xi)−ezr(xi)}
=ez(xi)+ezr(xi) …(7)
又、1回目の測定と2回目の測定での中央の変位センサ32の出力S30(xi)とS3r0(xi)とを加算する。この加算の結果を式(8)で表す。
=g(xi)+ez(xi)+g(xi)+ezr(xi)
=2g(xi)+ez(xi)+ezr(xi) …(8)
そして、1回目、2回目の測定での、中央の変位センサ32による出力を足した式(8)からテーブル25の運動誤差を表す式(7)を引いて2で割ると、被測定物100の被測定面である側面100aの表面形状g(xi)を求めることができる。これを式(7)、式(8)より、下記式(9)で表すことができる。
さて、上記のように構成された真直度測定装置10の作用を説明する。図4(a)には、真直度測定装置10のCPU11が各種処理を行う際の順序が示されている。
S120では、CPU11は、反転前後で変位センサが検出した出力を、すなわち、前記図示しないハードディスク等の記憶装置内に格納されたデータ(反転法により得られた変位センサの検出出力)に基づいて、式(9)を使用して表面形状g(x)を演算する。
このようにして、得られた零点誤差補償量は、新たな被測定物200を逐次3点法により、形状測定する場合に使用される。
この場合、S200では、新たな被測定物100をテーブル25に載置した状態で、逐次3点法で、形状測定を行い、変位センサ31〜33からの検出出力を、CPU11は、図示しないハードディスク等の記憶装置に格納する。
このようにして、一旦、零点誤差補償量が得られた場合、新たな被測定物に対して、逐次3点法を使用して形状測定を行うことにより、該零点誤差補償量に基づいて、算出された表面形状g3(x)の零点補正を行うことができる。
ここでは、測定シミュレーションを行った結果を、図7〜10を参照して説明する。
測定シミュレーション条件は下記の通りである。
変位センサ31〜33の間隔d:50mm
変位センサ31〜33,41,42の分解能:1nm
又、被測定物100の側面100a、被測定物200の側面200a,200bを被測定面形状としてsinカーブとし、その振幅[μm]、1波長[mm]を、下記の通りとした。
側面200aの表面形状:h(x) 振幅0.05 1波長250
側面200bの表面形状:f(x) 振幅0.1 1波長1000
上記側面100a,200a,200bの表面形状は、図7に示されている。
図8は、本実施形態の反転法を応用した形状測定によるシミュレーション結果であり、零点補償用基準面の表面形状(単に零点補償用基準面形状ということがある)、すなわち、側面100aの表面形状:g(x)と、シミュレーションで算出した結果とが一致していることが分かる。
上記のように算出された、零点誤差補償量を使用して、他の新たな被測定物100の側面100aを測定した。ここで、新たな被測定物100の側面100aの被測定面形状としてsinカーブとし、その振幅を0.1[μm]、1波長500[mm]とした(図10(a)参照)。
(1) 本実施形態では、変位センサ41,42と、3個の変位センサ31〜33のうち、中央の変位センサ32とを直線上に配置し、逐次3点法により、被測定物100と変位センサ31〜33を相対移動させた。そして、変位センサ31〜33の検出出力に基づき、逐次3点法による被測定物100の側面100aの表面形状を演算するようにした。そして、側面200aを側面100aと平行になるように配置した被測定物200を180度反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、被測定物100,200と、変位センサ41,42,31〜33を相対移動させて、変位センサ41,42と、32の検出出力に基づいて、反転法による前記第1被測定物の表面形状を演算するようにした。そして、逐次3点法及び反転法による被測定物100の表面形状の演算結果に基づいて零点誤差補償量を算出し、該零点誤差補償量により、逐次3点法による零点誤差補正を行うようにした。
○ 前記実施形態では、補助基準面は、側面200aとしているが、被測定物200の側面とは、180度反対側の側面200bとしてもよいことは勿論のことである。この場合、被測定物200は横断面形状が、正方形や、或いは、長方形であることが好ましい。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を実現することができる。
○ 前記実施形態では、被測定物200を単独反転するようにしたが、被測定物200単独でなく、例えば、変位センサ41を省略して、被測定物200を反転する際に、変位センサ42を、変位センサ41の位置に反転するようにしてもよい。そして、反転後の変位センサ42の検出出力を、前記実施形態の変位センサ41の検出出力の代わりに利用しても、前記実施形態と同様の効果を実現できる。
31〜33…変位センサ(第1変位検出手段)、41,42…変位センサ(第2変位検出手段)、100…被測定物(第1被測定物)、200…被測定物(第2被測定物)
Claims (6)
- 逐次3点法により、第1被測定物と3個の第1変位検出手段を相対移動させて、該第1変位検出手段の検出出力に基づき、逐次3点法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記第1被測定物とともに配置した第2被測定物単独、又は、第2被測定物と第2変位検出手段を反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、第1及び第2被測定物と、前記第2変位検出手段、及び前記第1変位検出手段を相対移動させて、前記第2変位検出手段と、該第1変位検出手段の検出出力に基づいて、反転法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記逐次3点法及び前記反転法による前記第1被測定物の表面形状の演算結果に基づいて零点誤差補償量を算出し、該零点誤差補償量により、逐次3点法による零点誤差補正を行うことを特徴とする逐次3点法における零点誤差補正方法。 - 第1被測定物と第2被測定物とを平行に配置し、前記第1被測定物の表面を逐次3点法により検出可能に3個の第1変位検出手段を配置し、前記第2被測定物を、間にするように位置させた一対の第2変位検出手段と、前記3個の第1変位検出手段のうち特定の第1変位検出手段とを直線上に配置し、
逐次3点法により、第1被測定物と前記3個の第1変位検出手段を相対移動させて、該第1変位検出手段の検出出力に基づき、逐次3点法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記第2被測定物を反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、第1及び第2被測定物と、前記一対の第2変位検出手段、及び前記特定の第1変位検出手段を相対移動させて、前記一対の第2変位検出手段と、該特定の第1変位検出手段の検出出力に基づいて、反転法による前記第1被測定物の表面形状を演算し、
前記逐次3点法及び前記反転法による前記第1被測定物の表面形状の演算結果に基づいて零点誤差補償量を算出し、該零点誤差補償量により、逐次3点法による零点誤差補正を行うことを特徴とする逐次3点法における零点誤差補正方法。 - 逐次3点法は、前記第2被測定物を反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、第1及び第2被測定物と、前記一対の第2変位検出手段、及び前記特定の第1変位検出手段を相対移動させたときに、同時に行うことを特徴とする請求項2に記載の逐次3点法における零点誤差補正方法。
- 前記一対の第2変位検出手段により検出される前記第2被測定物の表面が、重力方向に向かないように、反転前、及び反転後に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の逐次3点法における零点誤差補正方法。
- 第1被測定物及び第2被測定物と、前記第1被測定物の表面を検出する3個の第1変位検出手段及び前記第2被測定物の表面を検出する第2変位検出手段とを相対移動自在に支持する支持手段と、前記第1被測定物と前記3個の第1変位検出手段を相対移動したときの第1変位検出手段の検出出力に基づき、逐次3点法による前記第1被測定物の表面形状を演算する第1演算手段と、前記第2被測定物、又は、第2変位検出手段を反転する前及び反転した後のそれぞれにおいて、第1及び第2被測定物と、前記第2変位検出手段、及び前記第1変位検出手段が相対移動したときの前記第2変位検出手段と、該第1変位検出手段の検出出力に基づき、反転法による前記第1被測定物の表面形状を演算する第2演算手段と、前記逐次3点法及び前記反転法による前記第1被測定物の表面形状の演算結果に基づいて零点誤差補償量を算出する零点誤差補償量算出手段と、前記零点誤差補償量により、逐次3点法による零点誤差補正を行う補正手段とを備えたことを特徴とする零点誤差補正装置。
- 前記第2変位検出手段は、前記第2被測定物を、間にするように一対配置されているとともに、前記3個の第1変位検出手段のうち特定の第1変位検出手段と直線上に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の零点誤差補正装置。
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