JP4450725B2 - 遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラム - Google Patents

遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラム Download PDF

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デジタル伝送及びデジタル放送において、伝送路のマルチパスに起因するシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が観測信号に含まれる環境下においても、観測信号に含まれるマルチパスの遅延プロファイルを正確に測定することが可能な遅延プロファイル測定装置に関する。
従来の遅延プロファイル測定器には、例えば、OFDM信号用の遅延プロファイル測定装置等がある(特許文献1を参照。)。これらの遅延プロファイル測定装置は、送信信号に予め既知の信号であるトレーニング信号を挿入しておき、受信側で受信した観測信号に含まれるトレーニング信号から遅延プロファイルを算出している。送信側で挿入するトレーニング信号のスペクトルをS(ω)、受信側で伝搬路のマルチパスの影響を受けて受信した観測信号に含まれるトレーニング信号のスペクトルをR(ω)とすると、伝搬路の遅延プロファイルh(t)は次式で表される。
Figure 0004450725
ここで、ωは周波数、tは遅延時間をそれぞれ示しており、IFT[]は逆フーリエ変換を示す関数である。
特許第3022854号公報
従来の遅延プロファイル測定器では、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれていると、これらの干渉により正確な遅延プロファイルを測定することができないという問題があった。例えば、OFDM信号において、ガードインターバルよりも長い遅延時間差のマルチパス干渉が含まれる信号では、正確な遅延プロファイルを測定できないという問題があった。従って、観測信号を用いて正確な遅延プロファイルを測定するためには、観測信号に含まれるシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉成分を除去する必要がある。
また、正確な遅延プロファイルを測定するにあたり、シンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉成分が含まれる信号の波形等化のために数回以上の波形観測と等化の繰り返し作業が必要になることが想定される。この場合、観測信号の入力更新処理が遅い場合にも適用できるようにするため、1回の観測信号から1つの遅延プロファイルの測定結果を算出することが好ましい。
一方、観測信号の波形等化を行う等化器を具えた遅延プロファイル測定器において、観測信号に、主波よりも時間的に前にマルチパス波が到着するいわゆる前ゴーストと、主波よりも時間的に後にマルチパス波が到着するいわゆる後ゴーストとが含まれる場合には、前ゴーストを等化するフィルタの特性が後ゴーストに畳み込まれてしまう。または、後ゴーストを等化するフィルタの特性が後ゴーストに畳み込まれてしまう。このため、正確な遅延プロファイルの測定ができないという問題があった。
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
また、第2の目的は、観測信号にシンボル間干渉やキャリア問干渉等の干渉が含まれている場合においても、1回の観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
また、第3の目的は、観測信号に、主波よりも時間的に前にマルチパス波が到着するいわゆる前ゴーストと、主波よりも時間的に後にマルチパス波が到着するいわゆる後ゴーストとが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
前記第1及び第2の目的を達成するため、本発明による請求項1の遅延プロファイル測定装置は、入力された観測信号を用いて伝搬路の遅延プロファイルを測定する遅延プロファイル測定装置であって、観測信号のうち予め設定された時間長の観測信号を取得して蓄積するメモリ部と、前記メモリ部から観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化部と、前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出部と、前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出部とを具え、前記係数算出部は、前記観測信号のデータと、該観測信号を判定したデータとの間の誤差に基づいて、前記等化部による等化が正しく行われていることを判定し、前記メモリ部は、前記係数算出部により等化が正しく行われていると判定された場合に、新たな観測信号を取得して蓄積し、前記等化部は、前記メモリ部から新たな観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により等化が正しく行われていると判定された場合に、前記係数算出部により算出された係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
前記第3の目的を達成するため、本発明による請求項の遅延プロファイル測定装置は、請求項1に記載の遅延プロファイル測定装置において、前記等化部は、観測信号に含まれる前ゴーストを等化するための第1のフィルタと、後ゴーストを等化するための第2のフィルタとを有し、第1のフィルタの後ろに第2のフィルタが接続され、前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により算出された係数に基づいて、第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、第2のフィルタの周波数特性の逆数に第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
前記第3の目的を達成するため、本発明による請求項の遅延プロファイル測定装置は、請求項1に記載の遅延プロファイル測定装置において、前記等化部は、観測信号に含まれる前ゴーストを等化するための第1のフィルタと、後ゴーストを等化するための第2のフィルタとを有し、第2のフィルタの後ろに第1のフィルタが接続され、前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により算出された係数に基づいて、第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、第1のフィルタの周波数特性の逆数に第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定装置は、請求項1からまでのいずれか一項に記載の遅延プロファイル測定装置において、前記等化部は、第1のFIRフィルタと、減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成されるIIRフィルタとを有することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定装置は、請求項1からまでのいずれか一項に記載の遅延プロファイル測定装置において、前記等化部は、観測信号の時間反転した信号を作成する手段と、減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成され、前記時間反転した信号を入力し、該信号の周波数特性の歪みを等化する手段と、前記等化された信号の時間反転した信号を作成する手段と、減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成され、前記等化された信号の時間反転した信号を入力し、該信号の周波数特性の歪みを等化する手段とを有することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定方法は、伝搬路から観測信号を入力し、該信号に対して等化処理を施す等化部を具えた遅延プロファイル測定装置による伝搬路の遅延プロファイルを測定する方法であって、観測信号のうち予め設定された時間長の信号を取得してメモリに蓄積する観測信号蓄積ステップと、前記等化部が、前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化ステップと、前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出ステップと、前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出ステップと、前記等化ステップの後に、等化ステップにより等化が正しく行われていることを判定する判定ステップとを含み、前記観測信号蓄積ステップは、前記判定ステップにより等化が正しく行われていると判定した場合に、新たな観測信号を取得して前記メモリに蓄積し、前記等化ステップは、前記等化部が、前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、前記遅延プロファイル算出ステップは、前記判定ステップにより等化が正しく行われていると判定した場合に、前記係数算出ステップにより算出した係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定方法は、請求項に記載の遅延プロファイル測定方法において、前記等化部が、第1のフィルタと第2のフィルタとを有し、前記等化ステップの代わりに、入力した観測信号に含まれる前ゴーストを前記第1のフィルタにより等化するステップと、観測信号に含まれる後ゴーストを前記第2のフィルタにより等化するステップとを有し、前記遅延プロファイル算出ステップは、前記係数算出ステップにより算出した係数に基づいて、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数に前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定方法は、請求項に記載の遅延プロファイル測定方法において、前記等化部が、第1のフィルタと第2のフィルタとを有し、前記等化ステップの代わりに、入力した観測信号に含まれる後ゴーストを前記第2のフィルタにより等化するステップと、観測信号に含まれる後ゴーストを前記第1のフィルタにより等化するステップとを有し、前記遅延プロファイル算出ステップは、前記係数算出ステップにより算出した係数に基づいて、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数に前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明による請求項の遅延プロファイル測定プログラムは、伝搬路から観測信号を入力し、該信号に対して等化処理を施す等化部を具えた遅延プロファイル測定装置による伝搬路の遅延プロファイルを測定するプログラムであって、前記遅延プロファイル測定装置を構成するコンピュータに、観測信号のうち予め設定された時間長の観測信号を取得してメモリに蓄積する観測信号蓄積処理と、前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化処理と、前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出処理と、前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数を逆フーリエ変換し、遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出処理と、前記等化処理における等化が正しく行われていることを判定する判定処理とを実行させ、前記観測信号蓄積処理は、前記判定処理により等化が正しく行われていると判定した場合に、新たな観測信号を取得して蓄積し、前記等化処理は、前記メモリから新たな観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、前記遅延プロファイル算出処理は、前記判定処理により等化が正しく行われていると判定した場合に、前記係数算出処理により算出した係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出することを特徴とする
本発明による請求項10の遅延プロファイル測定プログラムは、請求項に記載の遅延プロファイル測定プログラムにおいて、前記等化処理は、入力した観測信号に含まれる前ゴーストを第1のフィルタにより等化し、観測信号に含まれる後ゴーストを第2のフィルタにより等化し、前記遅延プロファイル算出処理は、前記係数算出処理により算出した係数に基づいて、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数に前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明による請求項11の遅延プロファイル測定プログラムは、請求項に記載の遅延プロファイル測定プログラムにおいて、前記等化処理は、入力した観測信号に含まれる後ゴーストを第2のフィルタにより等化し、観測信号に含まれる後ゴーストを第1のフィルタにより等化し、前記遅延プロファイル算出処理は、前記係数算出処理により算出した係数に基づいて、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数に前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出することを特徴とする。
本発明によれば、等化部が、観測信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、係数算出部が、等化部のフィルタの係数を算出し、遅延プロファイル算出部が、前記算出した係数から遅延プロファイルを算出するようにした。これにより、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、遅延プロファイルを正確に測定することができる。
また、本発明によれば、等化部による等化が正しく行われていることを判定した場合に、メモリ部が、新たな観測信号を取得して蓄積し、遅延プロファイル算出部が、係数算出部により算出された係数から遅延プロファイルを算出するようにした。これにより、等化部による等化が正しく行われていることが判定されるまでの間は、メモリ部に蓄積された同一の観測信号が読み出され、当該観測信号に対して等化処理が行われ、等化部の係数が算出されることが繰り返される。そして、等化部による等化が正しく行われていることが判定されると、等化部の係数から遅延プロファイルが算出される。従って、観測信号にシンボル間干渉やキャリア問干渉等の干渉が含まれている場合においても、1回の観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
さらに、本発明によれば、等化部が、観測信号に含まれる前ゴーストを等化するための第1のフィルタと、後ゴーストを等化するための第2のフィルタとを有し、第1のフィルタの周波数特性が後ゴーストに畳み込まれることにより、第2のフィルタの係数に現れる実際の遅延プロファイルには存在しない係数を除去するようにした。また、第2のフィルタの周波数特性が前ゴーストに畳み込まれることにより、第1のフィルタの係数に現れる実際の遅延プロファイルには存在しない係数を除去するようにした。これにより、前ゴースト及び後ゴーストが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
以下、図面を参照して、本発明による遅延プロファイル測定装置、方法及びプログラムについて詳細に説明する。
最初に、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる遅延プロファイル測定装置及び測定方法について説明する。
(遅延プロファイル測定装置の実施例1)
まず、遅延プロファイル測定装置の構成及び基本動作について説明する。図1は、本発明による遅延プロファイル測定装置の第1の実施例を示すブロック図である。図中、1は遅延プロファイル測定装置、2は等化部、3は係数算出部、4は遅延プロファイル表示部をそれぞれ示している。
遅延プロファイル測定装置1には、伝搬路のマルチパスの影響を受けた観測信号が入力される。等化部2は、遅延プロファイル測定装置1に入力された観測信号を入力する。等化部2は、観測信号に含まれるマルチパスによる波形歪みを等化し、等化後の信号を出力する。ここで、nは信号観測のタイミング(回数)を示す自然数、ωは周波数、tは遅延時間をそれぞれ示しており、FT[]はフーリエ変換を示す関数、IFT[]は逆フーリエ変換を示す関数とする。
送信端における観測信号のスペクトルをX(ω,n)、観測信号が通過してくる伝搬路の伝達関数をH(ω,n)、観測信号のスペクトルをR(ω,n)、等化部2の伝達関数をG(ω,n−1)、等化部2からの出力スペクトルをReq(ω,n)とすると、これらの信号の関係は次式で表される。
Figure 0004450725
係数算出部3は、等化部2により出力された等化後の信号を入力し、伝搬路の伝達関数と等化部2の伝達関数との間の差分(以下、等化残差と呼ぶ)を演算し、その等化残差を用いて等化部2の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように等化部2の新たな係数を算出し、算出した係数を等化部2及び遅延プロファイル表示部4へ出力する。ここで、新たな係数による等化部2の伝達関数をG(ω,n)とする。等化部2は、等化後の観測信号Req(ω,n)が送信端における観測信号X(ω,n)に等しくなるように動作するため、(2)式の条件から以下の(3)式が成り立つ。
Figure 0004450725
尚、遅延プロファイル測定装置1は、等化部2の伝達関数が、観測信号が通過した伝搬路の伝達関数の逆数となるように算出されるアルゴリズムを用いるのであれば、等化部2の構成及び係数算出部3のアルゴリズムはどのような形であっても適用することができる。等化部2及び係数算出部3の構成については後述する。
遅延プロファイル表示部4は、等化部2の伝達関数G(ω,n)から観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルを算出して表示する。遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3から等化部2へ出力される等化部2の係数を分岐して入力し、予め設定されている等化部2の構成及び入力した等化部2の係数から等化部2の伝達関数G(ω,n)を算出する。等化部2の伝達関数G(ω,n)の算出方法については、等化部2の構成及び係数算出部3の構成と共に後述する。
ここで、(3)式を用いた等化器の適応アルゴリズムにより、求めた等化部2の伝達関数の逆数が、観測信号が通過した伝搬路の伝達関数に等しくなる。従って、観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルをh(t,n)とすると、遅延プロファイルは次式で求められる。
Figure 0004450725
(3)式に示されているように、等化部2の伝達関数G(ω,n)の逆数は、伝搬路の伝達関数H(ω,n)に等しく、この伝搬路の伝達関数H(ω,n)を逆フーリエ変換したh(t,n)は伝搬路のインパルス応答、すなわち遅延プロファイルとなる。さらに、遅延プロファイル表示部4は、算出した遅延プロファイルh(t,n)を用いて、横軸を遅延時間tとしてグラフ化し、図示しないモニタ等の表示装置へ出力する。
以上、本発明による遅延プロファイル測定装置1の第1の実施例の構成及び基本動作について説明した。以下、実施例を挙げて、等化部2及び係数算出部3の構成、並びに遅延プロファイル表示部4における等化部2の伝達関数及び伝搬路の遅延プロファイルの算出法について詳細に説明する。
(等化部2)
等化部2の実施例を挙げて、その構成及び動作について説明する。図2は、等化部2の第1の実施例を示すブロック図である。図中、21はFIR(Finite−duration Impulse Response:有限長インパルス応答)フィルタ、22は減算器、23はFIRフィルタをそれぞれ示している。尚、FIRフィルタ21,23は、有限長インパルス応答のトランスバーサルフィルタである。FIRフィルタ21は、主に、主波よりも時間的に前にマルチパス波が到着するいわゆる前ゴーストの等化のために用いる。FIRフィルタ23は、減算器22と組み合わせてIIR(Infinite−duration Impulse Response:無限長インパルス応答)フィルタを構成しており、主波よりも時間的に後にマルチパス波が到着するいわゆる後ゴーストの等化のために用いる。
FIRフィルタ21は、遅延プロファイル測定装置1に入力された観測信号を入力し、観測信号とFIRフィルタ21の係数とを畳み込み演算し、当該演算結果の信号を出力する。減算器22には、被減算端子にFIRフィルタ21の出力が接続され、減算端子にFIRフィルタ23の出力が接続されている。減算器22は、被減算端子の入力から減算端子の入力を減算し、その減算結果を等化部2の出力としてフィルタ係数算出部3へ出力すると共に、当該減算結果をFIRフィルタ23へ入力する。FIRフィルタ23は、入力信号である減算器22の出力とFIRフィルタ23の係数とを畳み込み演算し、当該演算結果の信号を減算器22の減算端子へ出力する。
(係数算出部3)
図2に示した等化部2に対するフィルタの係数を算出する係数算出部3の動作について説明する。送信信号に挿入されたトレーニング信号のスペクトルをS(ω,n)とし、等化部2からの出力の信号の総合周波数特性を(5)式に定義する。
Figure 0004450725
尚、(5)式に示す演算は、トレーニング信号が挿入されている部分のみに適用する。例えば、特殊シンボルのように特定のシンボルを全てトレーニング信号としているような場合、係数算出部3は、その期間のシンボルの信号部分だけについて(5)式を用いて総合周波数特性を演算する。また、OFDM信号のSP(Scattered Pilot:スキャッタードパイロット)等のようなトレーニング信号の場合、パイロット信号の存在している時間の周波数だけについて(5)式を用いて総合周波数特性を演算する。尚、n回目の信号観測時にパイロット信号の存在していない周波数については、補間フィルタを用いてパイロット信号の存在するωの総合周波数特性のデータをパイロット信号のないωの総合周波数特性のデータに補間する。
さらに、等化残差のスペクトルをEeq(ω,n)とすると、Eeq(ω,n)は次式で表される。
Figure 0004450725
ここで、Kは、n回目のS(ω,n)及びEeq(ω,n)の周波数ωに関するデータ数を示す。すなわち、(6)式の右辺の分母はF(ω,n)のωに関する平均値を示している。係数算出部3は、さらに、(6)式で算出した等化残差と前記等化部2の係数とを加算し、新たな等化部2の係数を演算して等化部2へ出力する。
等化部2のFIRフィルタ21の係数をc1(t,n)とすると、c1(t,n)は(7)式で表される。
Figure 0004450725
ここで、μは係数更新の重み付け係数である。(7)式で求めたFIRフィルタ21のc1(t,n)は、遅延時間tが主波よりも前の部分を使用する。等化部2のFIRフィルタ23の係数をc2(t,n)とすると、c2(t,n)は(8)式で表される。
Figure 0004450725
(8)式で求めたFIRフィルタ23のc2(t,n)は、遅延時間tが主波よりも後の部分を使用する。
(遅延プロファイル表示部)
遅延プロファイル表示部4は、FIRフィルタ21の係数とFIRフィルタ23の係数から、観測信号の遅延プロファイルを算出して出力する。FIRフィルタ21の係数をc1(t,n)、FIRフィルタ23の係数をc2(t,n)とする。図2に示した構成の等化部2の場合には、帰還タップを構成しているFIRフィルタ23の係数をそのまま遅延プロファイルデータとして扱うことができる。これに対して、前ゴーストを等化するFIRフィルタ21の係数については、係数が巡回型のインパルス応答となるため、このままでは遅延プロファイルとして用いることができない。そこで、(9)式によりFIRフィルタ21の係数を遅延プロファイルの形に変換する。
Figure 0004450725
遅延プロファイル表示部4は、主波よりも時間的に前にマルチパスが到来することを示す負の遅延時間の遅延プロファイルとして(9)式で演算したc1’(t,n)に、FIRフィルタ23の係数c2(t,n)を接続し、遅延プロファイルとして表示する。また、遅延プロファイル表示部4は、遅延プロファイル上で最も振幅の大きなtの部分を遅延時間0と置き、その部分からの差を遅延時間として表示する。これを式で表すと遅延プロファイルh(t,n)は(10)式のように書ける。
Figure 0004450725
(OFDM方式を用いた地上デジタル放送ISDB−Tのモード3の信号を観測信号とした場合の実施例)
さらに詳細な実施例として、OFDM方式を用いた地上デジタル放送ISDB−Tのモード3と呼ばれる信号を観測信号とした場合における、係数算出部3及び遅延プロファイル表示部4の具体的な構成について説明する。尚、地上デジタル放送ISDB−Tについては、「特集 地上デジタル放送方式の研究」、NHK技研R&D1999年5月号等を参照されたい。
OFDM方式を用いた信号の場合、係数算出部3は、この信号をOFDMシンボルに同期した時間窓で切り出し、切り出した信号をFFT(高速フーリエ変換)する。これにより、信号のスペクトルを得ることができる。ここで、ωを周波数を示すキャリア番号k(kは整数)に置き換え、等化部2からの出力の信号をFFTした後のスペクトルをReq(k,n)と定義する。ISDB−Tのモード3の場合、0≦k≦5616であり、1キャリア番号の差、すなわちキャリア間隔は1000/1008(kHz)である。このとき、送信信号に挿入されたトレーニング信号のスペクトルをS(k,n)とし、(5)式を変形して等化部2からの出力の信号の総合周波数特性F(k,n)を(11)式に定義する。
Figure 0004450725
尚、ISDB−T信号に挿入されているSPをトレーニング信号S(k,n)に代入し、総合周波数特性F(k,n)を算出するのが一般的であるが、特開2003−143099号公報「周波数特性算出回路およびそれを用いたキャンセラならびに装置」に記載されている周波数特性算出回路を用いることにより、全てのキャリアkにおけるF(k,n)を算出することもできる。さらに、算出したF(k,n)に対して、特開2000−295195号公報「OFDM復調装置」に記載されているFFT窓の位置ずれによる位相誤差の補正技術を使用することにより、後述する主波の位置を予め遅延時間0の位置に補正することができる。
等化残差のスペクトルEeq(k,n)は、(6)式のωをkに置き換えて次式で表される。
Figure 0004450725
ここで、前述の特開2003−143099号公報に記載されている周波数特性算出回路等を用いて、全てのキャリアkにおける総合周波数特性F(k,n)を算出した場合、K=5617となる。さらに、5617ポイントのデータを持つ等化残差のスペクトルEeq(k,n)をIFFT(逆高速フーリエ変換)するために、5617ポイントのデータを8192ポイントのデータに拡張する。8192ポイントのデータをE(k,n)(0≦k≦8191)とすると、(13)式のように0を挿入してポイント数を拡張する。
Figure 0004450725
等化部2のFIRフィルタ21の係数をc1(k,n)とすると、c1(k,n)は、逆フーリエ変換にIFFTを用いて次式のようになる。
Figure 0004450725
ここで、(M1+1)はFIRフィルタ21のタップ数を示しており、IFFT[]は逆高速フーリエ変換を示す関数である。(14)式のc1(k,n)は、周波数領域のデータを逆フーリエ変換した後のデータであり、(14)式中kは、周波数ではなくFIRフィルタ21のタップ番号(時間)を示す。kの時間間隔は、周波数領域におけるkの間隔1000/1008(kHz)の逆数をIFFTポイント数の8192で除算したものに等しく、63/512(μ秒)となる。尚、(14)式及び(7)式では一部異なる式を用いているが、これは主波を通過させるタップを周波数領域のデータで加算するか、または別途時間領域のデータに追加するかの違いであり、基本的にこの2つの式は同じことを表現している。
次に、等化部2のFIRフィルタ23の係数をc2(k,n)とすると、c2(k,n)は、逆フーリエ変換にIFFTを用いて次式のようになる。
Figure 0004450725
ここで、M2はFIRフィルタ23のタップ数を示している。尚、(14)式及び(15)式で算出した係数に対して、特開2000−341242号公報「回り込みキャンセラ」に記載されている係数のノイズ除去技術を用いることにより、等化部2の収束速度を速めることが可能となり、遅延プロファイルの測定も高速に行うことができる。
遅延プロファイル表示部4は、等化部2の係数c1(k,n)及びc2(k,n)から伝搬路の遅延プロファイルを算出する。(9)式を用いて係数c1(k,n)を前ゴーストを示す遅延プロファイルc1’(k,n)に変換する。
Figure 0004450725
さらに、(16)式で算出したc1’(k,n)とc2(k,n)とを接続し、遅延プロファイルh(k,n)を(17)式のように求める。
Figure 0004450725
(17)式において、k=M1の位置が主波の位置を示し、遅延プロファイル上の遅延時間が0となる。従って、モニタ等に(17)式の結果を表示する場合、k=M1の位置を遅延時間0とし、kが1つ進む毎に63/512(μ秒)単位で遅延時間を変化させて遅延プロファイルを表示する。
以上、地上デジタル放送ISDB−Tの信号を用いた場合の遅延プロファイル測定装置の一実施例について説明した。尚、この実施例では、図2に示した時間領域で等化する等化部2を用いたが、これを時間領域の信号をフーリエ変換した後に周波数領域で等化する等化部を用いるようにしてもよい。この場合も同様に、遅延プロファイルの測定が可能であり、(4)式に示す演算により遅延プロファイルを簡単に算出することができる。
(遅延プロファイル測定装置の実施例2)
図3は、本発明による遅延プルファイル測定装置の第2の実施例を示したブロック図である。尚、図3において図1と同じブロックには同じ番号を付け、その説明を省略する。図3と図1との相違点は、図3に示す遅延プロファイル測定装置1の係数算出部3に等化部2の入力信号及び出力信号の2つ信号が入力されているところにある。
遅延プロファイル測定装置1の等化部2は、当該遅延プロファイル測定装置1に入力された観測信号を入力する。ここで、送信端における測定信号のスペクトルをX(ω,n)、観測信号が通過してくる伝搬路の伝達関数をH(ω,n)、観測信号のスペクトルR(ω,n)、等化部2の伝達関数をG(ω,n−1)、等化部2からの出力のスペクトルをReq(ω,n)とすると、これらの信号の関係は図1の説明と同じように(2)式となる。
係数算出部3は、等化部2の入力である観測信号R(ω,n)と、等化部2の出力である出力信号Req(ω,n)を入力する。係数算出部3は、これらの2つの信号を用いて等化部2の最適な係数を算出するように構成される。係数算出部3の具体的な実施例として、最小2乗誤差法(MMSE)に基づくLMSアルゴリズム(最小平均2乗誤差アルゴリズム)を用いたマルチパス等化について説明する。送信側において送信信号に挿入されたトレーニング信号のスペクトルをS(ω,n)とすると、等化部2の出力信号の推定誤差Err(ω,n)は(18)式で表される。
Figure 0004450725
ここで、トレーニング信号のスペクトルS(ω,n)には、トレーニング信号の他に、等化部2の出力信号のスペクトルReq(ω,n)の判定値を用いることもできる。また、重みベクトルW(ω,n)は(19)式で表される。
Figure 0004450725
ここで、*は複素共役を示している。等化部2の伝達関数G(ω,n)は、(20)式のように設定する。
Figure 0004450725
等化部2がFIRフィルタを用いた時間領域で等化する等化器を用いている場合は、(20)式を逆フーリエ変換して得られたインパルス応答をFIRフィルタの係数として用いる。等化部2が周波数領域で等化する等化器を用いている場合は、等化部2の伝達関数G(ω,n)を等化部2の入力である観測信号R(ω,n)に乗算するように構成する。
遅延プロファイル表示部4における遅延プロファイルh(t,n)の算出は、(20)式及び(4)式から(21)式のようになる。
Figure 0004450725
算出した遅延プロファイルh(t,n)を、横軸を遅延時間tとしてグラフ化し、モニタ等の表示装置に出力する。また、遅延プロファイル測定装置1は測定装置であるから、当然のことながら、遅延プロファイルh(t,n)をモニタ等に表示するだけでなく、外部のメモリ等に測定結果として出力するように構成することもできる。
以上のように、図1に示した遅延プロファイル測定装置1によれば、係数算出部3が、観測信号の周波数特性を等化する等化部2におけるフィルタの係数を、等化部2の出力信号を用いて等化部2の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように算出する。そして、等化部2が、係数算出部3により算出された係数を用いて等化を行い、遅延プロファイル表示部4が、前記係数を入力して等化部2の伝達関数を算出し、この伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出するようにした。これにより、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
また、図3に示した遅延プロファイル測定装置1によれば、係数算出部3が、観測信号の周波数特性を等化する等化部2におけるフィルタの係数を、等化部2の出力信号及び前記観測信号により最小2乗誤差アルゴリズムを用いて算出する。そして、等化部2が、係数算出部3により算出された係数を用いて等化を行い、遅延プロファイル表示部4が、前記係数を入力して等化部2の伝達関数を算出し、この伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出するようにした。これにより、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
次に、観測信号にシンボル間干渉やキャリア問干渉等の干渉が含まれている場合においても、1回の観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置及び測定方法について説明する。
(動作)
まず、遅延プロファイル測定方法について説明する。図4は、1回の観測信号から1つの遅延プロファイルを測定する処理を説明するためのフローチャートである。ここで、遅延プロファイル測定方法を実現する遅延プロファイル測定装置は、等化器の係数を初期化する係数初期化手段、観測信号を取得してメモリに蓄積する測定データ取得手段、観測信号を等化器で等化する等化手段、等化器の係数を算出する係数算出手段、等化器に係数を設定する係数設定手段、等化が正しくなされているか否かを判定する表示判定手段、及び、等化器の係数から遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル表示手段とを具えているものとする。本発明は、表示判定手段により等化が正しくなされていないものと判定する限り、測定データ取得手段が、新たな観測信号を取得することはなく、係数算出手段が、同一の観測信号から係数を繰り返して算出し、また、等化が正しくなされているものと判定した場合には、遅延プロファイル表示手段が、係数算出手段により算出された係数から遅延プロファイルを算出すると共に、測定データ取得手段が、新たな観測信号を取得する点を特徴とする。
図4を参照して、遅延プロファイル測定方法は、測定開始するとまず(ステップS40)、係数初期化手段が、等化処理で用いる等化器の係数を初期化する(ステップS41)。等化器の係数の初期化により、等化器の係数は、等化器に入力した信号をそのまま等化器から出力するように設定される。測定データ取得手段は、遅延プロファイルの測定に必要な時間長の観測信号を取得し、メモリに蓄積する(ステップS42)。本発明は、測定データ取得手段によりメモリに蓄積されたデータから1つの遅延プロファイルを測定する。
等化手段は、前記測定データ取得手段がメモリに蓄積した観測信号を読み出し、読み出した信号を等化器が等化して出力する(ステップS43)。係数算出手段は、前記等化手段から出力された等化後の観測信号を入力し、入力信号の等化残差を算出し、等化残差から新たな等化手段の等化器の係数を算出して出力する(ステップS44)。係数設定手段は、前記等化手段の等化器の係数を、前記係数算出手段により算出された新たな等化器の係数に更新する(ステップS45)。
表示判定手段は、測定データ取得手段によりメモリに蓄積された観測信号が、等化手段において正しく等化されているか否かを判定し、この判定結果からその後の処理を分岐する(ステップS46)。正しく等化されていないと判定した場合には、再び前記等化手段に戻り処理を行う。正しく等化されていると判定した場合には、次の遅延プロファイル表示手段へ進む。遅延プロファイル表示手段は、係数算出手段により算出された等化手段の等化器の係数を入力し、この等化器の係数から観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルを算出して表示する(ステップS47)。
以上、1回の観測信号から1つの遅延プロファイルを算出して表示するまでのフローを説明した。上記フローにおいて、表示判定手段が、測定データ取得手段によりメモリに蓄積された観測信号を等化手段が正しく等化しているものと判定するまでの間、係数設定手段は、等化手段の等化器の係数を繰り返して更新し、遅延プロファイル表示手段は、最終的に正しく等化していると判定された時の等化器の係数から遅延プロファイルを算出して表示する。この繰り返し処理の中では、測定データ取得手段は新たな測定データを取得することはなく、1回測定した測定結果(観測信号)を繰り返し出力するように構成される。また、さらに繰り返して別の観測信号から遅延プロファイルを算出する場合は、図4のフローチャートに示す通り、係数初期化手段に戻って測定をやり直し(ステップS48)、繰り返さない場合は終了する(ステップS49)。
(遅延プロファイル測定装置の実施例3)
次に、前述の遅延プロファイル測定方法を用いた遅延プロファイル測定装置の構成について説明する。図5は、遅延プロファイル測定装置の第3の実施例を示すブロック図である。図5において、1は遅延プロファイル測定装置、2は等化部、3は係数算出部、4は遅延プロファイル表示部、5はメモリ部をそれぞれ示している。尚、図5において図1と同じブロックには同じ番号を付け、その説明を省略する。図5と図1との相違点は、図5の遅延プロファイル測定装置1がさらにメモリ部5を具えているところにある。図5のそれぞれのブロックと図4に示したフローチャートの説明中の各手段との対応は、等化部2が等化手段、係数算出部3が係数初期化手段、係数算出手段、係数設定手段及び表示判定手段、遅延プロファイル表示部4が遅延プロファイル表示手段、メモリ部5が測定データ取得手段にそれぞれ相当する。
遅延プロファイル測定装置1には、伝搬路のマルチパスの影響を受けた観測信号が入力される。メモリ部5は、遅延プロファイル測定装置に入力された観測信号を入力し、後述する係数算出部3からのフラグにより、別途設定された時間長の観測信号を取得し、メモリに蓄積する。メモリに蓄積する観測信号の時間長は、遅延プロファイル測定装置1に要求する測定精度によっても異なるが、遅延プロファイル測定装置1により測定される遅延プロファイルの時間幅の数倍の値が設定される。等化部2は、メモリ部5のメモリに蓄積された観測信号を読み出し、読み出した信号を等化して出力する。
係数算出部3は、等化部2により出力された等化後の観測信号を入力し、入力信号の等化残差を算出し、等化残差から新たな等化部2の等化器の係数を算出し、新たな等化器の係数として等化部2の係数を更新するために等化部2へ出力すると共に、遅延プロファイル表示部4へ出力する。また、係数算出部3は、メモリ部5のメモリに蓄積された観測信号が、等化部2において正しく等化されていることを判定し、その判定フラグである判定結果を遅延プロファイル表示部4へ出力すると共に、メモリ部5へ出力する。遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3により算出された等化部2の係数、及び係数算出部3により判定された判定結果を入力し、その係数から観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルを算出して表示するように構成される。これに対して、等化部2により正しく等化されていない場合には、算出した遅延プロファイルの表示を行わないように構成される。
以上、図5の遅延プロファイル測定装置1に具えた各ブロックの構成について説明した。これらのブロックが図4に示すフローの通り動作するように構成したものが、遅延プロファイル測定方法を用いた遅延プロファイル測定装置である。
(遅延プロファイル測定装置の実施例4)
次に、前述の遅延プロファイル測定方法を用いた遅延プロファイル測定装置の他の構成について説明する。図6は、遅延プロファイル測定装置の第4の実施例を示すブロック図である。尚、図6において図3と同じブロックには同じ番号を付け、その説明を省略する。図6と図3との相違点は、図6の遅延プロファイル測定装置1がさらにメモリ部5を具えているところにある。図6のそれぞれのブロックと図4に示したフローチャートの説明中の各手段との対応は、図5と同様であり、等化部2が等化手段、係数算出部3が係数初期化手段、係数算出手段、係数設定手段及び表示判定手段、遅延プロファイル表示部4が遅延プロファイル表示手段、メモリ部5が測定データ取得手段にそれぞれ相当する。また、図6と図5の相違点は、係数算出部3が等化部2の入力信号及び出力信号の2つの信号を入力して等化部2の係数を算出することにある。係数算出部3は、最小2乗誤差法(MMSE)に基づくアルゴリズムを使用して等化部2の係数を算出する。
(等化部)
図7は、等化部の第2の実施例を示すブロック図である。図7において、201及び204は時間反転部、202及び205は減算器、203及び206はFIRフィルタ、207は時間窓処理部をそれぞれ示す。時間反転部201は、メモリ部5のメモリに蓄積された観測信号を読み出し、読み出した信号の時間的に反転した信号を作成して出力する。減算器202は、時間反転部201の出力(時間反転信号)を被減算端子に入力し、FIRフィルタ203の出力を減算端子に入力し、被減算端子の信号から減算端子の信号を減算して出力する。FIRフィルタ203は、減算器202の出力を入力し、別途設定された係数を入力信号に畳み込んでフィルタ処理を行い、その結果を減算器202の減算端子に出力する。時間反転部204は、減算器202から出力される信号を入力し、その信号の時間的に反転した信号を作成して出力する。
ここで、減算器202及びFIRフィルタ203は、これらを組み合わせることによりIIRフィルタ部を構成している。このIIRフィルタ部は、入力された信号の時間反転した信号が供給され、FIRフィルタにおいて時間反転した信号に別途説明する時間反転した係数を畳み込むことにより、前ゴーストを等化するように構成されている。つまり、時間反転部201、減算器202、FIRフィルタ203及び時間反転部204は、前ゴースト等化フィルタを構成している。
減算器205は、時間反転部204の出力を被減算端子に入力し、FIRフィルタ206の出力を減算端子に入力し、被減算端子の信号から減算端子の信号を減算して出力する。FIRフィルタ206は、減算器205の出力を入力し、別途設定された係数を入力信号に畳み込んでフィルタ処理を行い、その結果を減算器205の減算端子に出力する。
ここで、減算器205及びFIRフィルタ206は、これらを組み合わせることにより、前述の減算器202及びFIRフィルタ203の組み合わせと同様に、IIRフィルタ部を構成している。このIIRフィルタ部は、時間反転部204において時間反転している信号を順方向の信号に戻した信号が供給され、FIRフィルタ206において順方向の時間の信号に別途説明する順方向の時間の係数を畳み込むことにより、後ゴーストを等化するように構成されている。つまり、減算器205及びFIRフィルタ206は、後ゴースト等化フィルタを構成している。
時間窓処理部207は、減算器205からの信号を入力し、その信号の時間的に前及び後のそれぞれ一部の信号を削除し、入力信号のうちの時間的に中心付近の信号だけを抽出する時間窓を入力信号にかけ、抽出した信号を等化後の信号として出力する。
(係数算出部)
図8は、係数算出部3の一実施例を示すブロック図である。図8において、301はFFT窓処理部、302はFFT部、303はパイロット等化部、304は領域判定部、305は遅延部、306は複素除算部、307は誤差算出部、308はFFT窓誤差補正部、309は等化残差演算部、310はIFFT部、311は係数加算部、312はノイズ除去部、313はノイズ閾値設定部、314は係数分割部、315は時間反転部、316は遅延部、317は表示判定部をそれぞれ示している。
係数算出部3は、等化部2により出力される等化後の信号を実質的に入力する。FFT窓処理部301は、係数算出部3に入力された信号を入力し、FFT後の信号にシンボル間干渉が発生しないようにOFDM信号の有効シンボル期間の信号を抽出して出力する。FFT部302は、FFT窓処理部301により出力された有効シンボル期間の信号をFFT(高速フーリエ変換)し、OFDM信号のサブキャリアのデータに変換して出力する。ここで、FFT部302により出力されるサブキャリアのデータをR(k,n)と定義する。kはキャリア番号で周波数を、nは係数算出部3による等化部2の係数の更新回数をそれぞれ示す整数である。また、KをOFDM信号のサブキャリアの総数と定義する。例えば、地上デジタル放送方式ISDB−Tのモード3の場合、K=5617となる。
パイロット等化部303は、FFT部302により出力された信号を入力し、OFDM信号のサブキャリアに含まれるパイロット信号を用いて各サブキャリアを等化して出力する。尚、パイロット信号を用いない方式のOFDM信号の場合、パイロット等化部303は、その方式に用いられているトレーニング信号を用いて入力信号を等化して出力する。ここで、パイロット等化部303により出力されるサブキャリアのデータをReq(k,n)と定義する。領域判定部304は、パイロット等化部303により出力された信号を入力し、各サブキャリアのデータReq(k,n)の実部及び虚部の振幅値を用いて領域判定を行い、各サブキャリアの振幅及び位相を判定したデータR(k,n)を出力する。遅延部305は、FFT部302により出力された信号を入力し、パイロット等化部303及び領域判定部304における処理時間だけ入力信号を遅延させて出力する。複素除算部306は、領域判定部304により出力された信号を分母とし、遅延部305により出力された信号を分子とし、各サブキャリアのデータを複素除算して出力する。複素除算部306の出力をH(k,n)とすると、H(k,n)は次式で算出される。
Figure 0004450725
尚、FFT窓処理部301から複素除算部306までの詳細な説明については、特開2003−143099号公報「周波数特性算出回路およびそれを用いたキャンセラならびに装置」にも記載されているので、参照されたい。図8に示すFFT窓処理部301から複素除算部306までの構成の特徴は、データキャリアを含む全てのサブキャリアの周波数特性を算出できるところにある。
誤差算出部307は、領域判定部304の出力信号を基準として、パイロット等化部303の出力信号の誤差SNR(n)を次式により算出して出力する。
Figure 0004450725
FFT窓誤差補正部308は、複素除算部306により出力された信号H(k,n)を入力し、FFT窓処理部301においてOFDM信号の有効シンボル期間の信号を抽出する際に本来の有効シンボル期間の位置からの誤差によって、複素除算部306における出力のサブキャリアのデータH(k,n)に発生する周波数特性上の誤差を補正し、補正した結果F(k,n)を出力する。尚、FFT窓誤差補正部308の詳細な説明については、特開2000−295195号公報「OFDM復調装置」にも記載されているので、参照されたい。
等化残差演算部309は、FFT窓誤差補正部308により出力された信号F(k,n)を入力し、入力信号に含まれる等化の誤差成分(以下、等化残差という。)を算出する。FFT窓誤差補正部308の出力信号をF(k,n)とし、等化残差演算部309が算出する等化残差をEeq(k,n)とすると、等化残差は次式で定義される。
Figure 0004450725
IFFT部310は、等化残差演算部309により出力されたEeq(k,n)をIFFT(逆高速フーリエ変換)して出力する。前述のFFT部302及びIFFT部310に入力されるデータの数は2のべき乗である必要がある。前述のISDB−Tのモード3の場合、K=5617であるから、Kより大きな最小の2のべき乗は8192である。従って、入力された5617個のキャリアデータを持つEeq(k,n)に0を挿入して、8192個のデータE(k,n)を次式にて作成する。
Figure 0004450725
逆フーリエ変換を示す関数をIFFT[]と定義し、IFFT部310の出力をe(k,n)として、e(k,n)を次式で算出する。
Figure 0004450725
ここで、e(k,n)は周波数領域データをIFFTしたものであるから、時間領域のデータを示しており、e(k,n)のkは周波数ではなく時間を示している。kの時間間隔は、ISDB−Tのモード3の場合、周波数領域におけるkの間隔が1000/1008(kHz)であるから、その逆数をIFFTポイント数の8192で除算したものに等しく、63/512(マイクロ秒)となる。また、振幅値の較正として、IFFTに8192ポイント全てのデータを1として入力した場合にk=0の位置に1が出力されるようなIFFTの関数を用いているとき、(26)式で算出したe(k,n)を8192/5617倍することにより、相対的な主波の振幅値が1となるように較正することができる。ここで、8192はIFFTポイント数、5617はEeq(k,n)のデータ数である。
係数加算部311は、IFFT部310により出力されたe(k,n)と、後述する遅延部316により出力されたc(k,n−1)とを次式で加算し、c’(k,n)を出力する。
Figure 0004450725
ここで、μは係数更新の重み付け係数である。
ノイズ閾値設定部313は、誤差算出部307により算出された誤差SNR(n)を入力し、ノイズ除去部312に設定するための閾値T(n)を算出する。T(n)は次式で算出する。
Figure 0004450725
ここで、bは1以上の実数である。通常、閾値T(n)は、誤差算出部307により算出された誤差SNR(n)の100倍程度が設定される。従って、b=100程度の値が設定される。
ノイズ除去部312は、係数加算部311により算出されたc’(k,n)のうち、ノイズ閾値設定部313により算出された閾値T(n)よりも絶対値が小さな係数をノイズとみなして0に置き換え出力する。ノイズ閾値設定部313により出力される閾値をT(n)とし、ノイズ除去部312によりノイズ除去された係数をc(k,n)とする。ノイズ除去部312におけるノイズの除去は次式のように行う。
Figure 0004450725
係数分割部314は、ノイズ除去部312によりノイズ除去された係数c(k,n)を、等化部2の後ゴースト等化用の係数と前ゴースト等化用の係数とに分割してそれぞれ出力する。FFT窓誤差補正部308により誤差補正された信号から算出した係数c(k,n)は、k=0の位置が、主波との遅延時間差が0となるように調整されている。従って、係数分割部314は、次式のように、入力した係数c(k,n)を、後ゴースト等化用の係数c(k,n)と前ゴースト等化用の係数c(k,n)とに分割する。
Figure 0004450725
尚、(30)式は、ISDB−Tのモード3のように、IFFT部310のポイント数が8192であり、kの4096以降の部分が前ゴーストであるとした場合の例である。
時間反転部315は、係数分割部314により出力された前ゴースト等化用の係数c(k,n)の時間の並び、すなわちkの並びを反転して出力する。(30)式のc(k,n)を時間反転する場合、(31)式のように表される。
Figure 0004450725
表示判定部317は、誤差算出部307により算出された誤差SNR(n)を入力し、誤差SNR(n)の値から等化部2による等化が正しく行われているか否かを判定し、等化が正しく行われていることを示す表示許可フラグを遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5へ出力する。等化部2による等化が正しく行われることは、等化部2の係数が正しく遅延プロファイルを示していることを意味する。従って、等化が正しく行われていることの判定を行うことにより、遅延プロファイルが正しく算出されているかを判定することができる。例えば、表示判定部317は、(32)式を満足した場合に表示許可フラグを設定し、遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5へ出力するように構成される。
Figure 0004450725
このように、係数算出部3は、算出した係数を等化部2及び遅延プロファイル表示部4へ出力する。具体的には、係数算出部3の時間反転部315が、前ゴースト用係数c’(k,n)を等化部2内の前ゴースト等化用フィルタへ出力し、係数分割部314が、後ゴースト用係数c(k,n)を等化部2内の後ゴースト等化用フィルタへ出力する。また、係数算出部3は、算出した係数を遅延プロファイル表示部4へも出力する。具体的には、係数分割部314の前に設けられたノイズ除去部312が、出力信号である係数c(k,n)を分岐して遅延プロファイル表示部4へ出力する。
また、係数算出部3は、表示判定部317により判定された表示許可フラグを遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5へ出力する。メモリ部5は、係数算出部3により出力された表示許可フラグを入力し、新たな観測信号を取得し、メモリに蓄積する。そして、等化部2は、新たな観測信号を読み出して等化を行い、等化後の信号を出力する。この表示許可フラグは、等化を行う観測信号の更新のために用いられる。また、遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3により出力された表示許可フラグを入力し、遅延プロファイルを正しく算出しているものと判断し、その旨及び正しく算出した遅延プロファイルを表示する。
(遅延プロファイル表示部)
遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3のノイズ除去部312により分岐して出力された係数c(k,n)を入力し、係数c(k,n)を遅延プロファイルに変換して表示する。係数分割部314が(30)式のように前ゴースト等化用の係数と後ゴースト等化用の係数とに分割する場合、遅延プロファイル表示部4も(30)式と同様に前ゴースト等化用の係数と後ゴースト等化用の係数とに分割して表示する。遅延プロファイル表示部4において前ゴーストと後ゴーストとに分割して遅延時間順に並び替えた遅延プロファイルh(k,n)は、次式のように表される。
Figure 0004450725
ここで、h(k,n)は、k=4096が遅延時間0、すなわち遅延プロファイルh(k,n)上の主波の位置となる。また、実施例に用いているISDB−Tのモード3では、kが1進むと時間が63/512(≒0.123)マイクロ秒進む。尚、遅延プロファイルh(k,n)は主波が削除された形で算出される。従って、遅延プロファイルを表示する場合、遅延プロファイル表示部4は、k=4096すなわち遅延時間0の位置に主波となるべきインパルスを追加した形で表示する。係数算出部3のIFFT部310の出力e(k,n)が主波の振幅値が1となるように較正されている場合は、h(4096,n)=1とすればよい。
以上のように、図5及び図6に示した遅延プロファイル測定装置1によれば、係数算出部3が、パイロット等化部303によりパイロット信号を用いて等化されたサブキャリアの信号の誤差SNR(n)に基づいて、等化部2による等化が正しく行われているか否かを判定し、等化が正しく行われていることを示すフラグを遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5へ出力する。そして、遅延プロファイル表示部4は、前記フラグを入力し、遅延プロファイルを算出して表示する。また、メモリ部5は、前記フラグを入力し、新たな観測信号を取得するようにした。これにより、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができることに加えて、1回の観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。また、図5及び図6に示した遅延プロファイル測定装置1を、観測信号の入力更新処理が遅いコンピュータに適用することができる。
次に、観測信号に前ゴースト及び後ゴーストが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置及び測定方法について説明する。前述のように、図1、3、5及び6に示した遅延プロファイル測定装置1により、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。これらの遅延プロファイル測定方法は、等化部2が観測信号を波形等化し、遅延プロファイル表示部4がその等化部2における等化器の係数から遅延プロファイルを算出するものである。時間領域の等化器を用いる場合、図2に示した等化部2は、前ゴーストをFIRフィルタ21により等化し、後ゴーストを減算器22及びFIRフィルタ23から構成されるIIRフィルタにより等化するように構成される。また、図4に示した等化部2は、前ゴーストを、時間反転部201と減算器202及びFIRフィルタ203により構成されるIIRフィルタとにより等化し、後ゴーストを、時間反転部204と減算器205及びFIRフィルタ206により構成されるIIRフィルタとにより等化するように構成される。
しかし、観測信号が前ゴースト及び後ゴーストの両方を含み、時間領域で等化する等化器の係数から遅延プロファイルを算出する場合において、前ゴーストを等化するフィルタの特性が後ゴーストに畳み込まれてしまうため、後ゴーストを等化するフィルタの係数に実際の遅延プロファイルには存在しない係数が現れてしまう。このため、後ゴーストを等化するフィルタの係数を後ゴーストの遅延プロファイルとしてそのまま用いることができない。また、フィルタの順番を入れ替えて、後ゴーストを等化するフィルタの後に前ゴーストを等化するフィルタを接続した場合には、後ゴーストを等化するフィルタの特性が前ゴーストに畳み込まれてしまうため、前ゴーストを等化するフィルタの係数に実際の遅延プロファイルには存在しない係数が現れてしまう。このため、前ゴーストを等化するフィルタの係数を前ゴーストの遅延プロファイルとしてそのまま用いることができない。
以下、観測信号に前ゴースト及び後ゴーストが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定可能な遅延プロファイル測定装置及び測定方法について説明する。
(遅延プロファイル測定装置の実施例5)
まず、遅延プロファイル測定装置の構成について説明する。図9は、遅延プロファイル測定装置の第5の実施例を示すブロック図である。図9において、1は遅延プロファイル測定装置、2は等化部、3は係数算出部、4は遅延プロファイル表示部、24は前ゴースト等化フィルタ、25は後ゴースト等化フィルタ、41はイメージ除去部、42は遅延プロファイル算出部、43はデータ表示部をそれぞれ示す。尚、図9において図1及び図5と同じブロックには同じ番号を付け、その説明を省略する。図9と図1及び図5との主な相違点は、図9の遅延プロファイル表示部4が、係数算出部3から前ゴースト等化用係数及び後ゴースト等化用係数を入力し、前ゴースト等化フィルタの特性が後ゴーストに畳み込まれることにより後ゴースト等化フィルタの係数に現れる実際の遅延プロファイルには存在しない係数(以下、イメージという。)を除去するところにある。
図9を参照して、遅延プロファイル測定装置1には、伝搬路のマルチパスの影響を受けた観測信号が入力される。等化部2は、遅延プロファイル測定装置1に入力された観測信号を入力する。等化部2は、観測信号に含まれるマルチパスによる波形歪みを等化し、等化後の信号を出力する。等化部2は、前ゴースト等化フィルタ24と後ゴースト等化フィルタ25とから構成される。前ゴースト等化フィルタ24は、入力された観測信号に含まれる前ゴーストを等化して出力する。後ゴースト等化フィルタ25は、前ゴースト等化フィルタ24の出力信号に含まれる後ゴーストを等化して出力する。尚、等化部2の具体的な構成及び動作については、図1及び図5に示した遅延プロファイル測定装置1の等化部2、並びに図2及び図7に示した等化部2と同様であるから、ここでは説明を省略する。図9に示す前ゴースト等化フィルタ24は、単独で、図2に示した等化部2のFIRフィルタ21により構成され、後ゴースト等化フィルタ25は、図2に示した減算器22及びFIRフィルタ23の組み合わせにより構成される。また、前ゴースト等化フィルタ24は、図7に示した等化部2の時間反転部201、減算器202、FIRフィルタ203及び時間反転部204の組み合わせにより構成され、後ゴースト等化フィルタ25は、図7に示した減算器205及びFIRフィルタ206の組み合わせにより構成される。
係数算出部3は、等化部2により出力された等化後の信号を入力し、伝搬路の伝達関数と等化部2の伝達関数との間の差分(等化残差)を演算し、その等化残差を用いて等化部2の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように等化部2の新たな係数を算出し、算出した係数を等化部2及び遅延プロファイル表示部4へ出力する。尚、係数算出部3の具体的な構成及び動作については、図1及び図5に示した遅延プロファイル測定装置1の係数算出部3、並びに図8に示した係数算出部3と同様であるから、ここでは説明を省略する。図8に示した係数算出部3は、係数c(k,n)を遅延プロファイル表示部4へ出力するが、図9に示す係数算出部3は、時間反転部315が前ゴースト等化用係数c’(k,n)と、係数分割部314が後ゴースト等化用係数c(k,n)をそれぞれ分岐して遅延プロファイル表示部4へ出力する。また、係数算出部3は、前述の(3)式から前ゴースト等化用係数と後ゴースト等化用係数とに分割し、それぞれ前ゴースト等化フィルタ24と後ゴースト等化フィルタ25へ出力する。
遅延プロファイル表示部4は、等化部2の伝達関数G(ω,n)から観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルを算出して表示する。等化部2の等化器の適応アルゴリズムにより、求めた等化部2の伝達関数の逆数が、観測信号が通過した伝搬路の伝達関数に等しくなる。従って、観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルをh(t,n)とすると、遅延プロファイルは前述の(4)式で求められる。(3)式に示されているように、等化部2の伝達関数G(ω,n)の逆数は、伝搬路の伝達関数H(ω,n)に等しく、この伝搬路の伝達関数H(ω,n)を逆フーリエ変換したh(t,n)は伝搬路のインパルス応答、すなわち遅延プロファイルとなる。
遅延プロファイル表示部4の構成及び動作について具体的に説明する。遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3により出力された等化部2の係数を用いて、観測信号が通過した伝搬路の遅延プロファイルを算出して表示する。遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3により出力され分岐された前ゴースト等化フィルタ24の係数及び後ゴースト等化フィルタ25の係数を入力する。図9に示すように、等化部2が前ゴーストを等化するフィルタ24の出力を後ゴーストを等化するフィルタ25へ入力する構成の場合には、遅延プロファイル表示部4のイメージ除去部41が、前ゴースト等化用係数及び後ゴースト等化用係数を入力し、後ゴースト等化フィルタ25の周波数特性の逆数に前ゴースト等化フィルタ24の周波数特性の逆数を乗算し、その結果を遅延プロファイル算出部42へ出力する。この演算において、前ゴースト等化フィルタ24の特性が後ゴーストに畳み込まれることにより後ゴースト等化フィルタ25の係数に現れる実際の遅延プロファイルには存在しない係数を除去することができる。このイメージ除去部41が本発明の特徴の一つである。
遅延プロファイル算出部42は、係数算出部3から等化部2へ出力される前ゴースト等化用係数を入力し、この前ゴースト等化用係数から前ゴーストの遅延プロファイルを算出し、イメージ除去部42による出力から後ゴーストの遅延プロファイルを算出する。また、遅延プロファイル算出部42は、前ゴーストの遅延プロファイルと後ゴーストの遅延プロファイルとを結合し、遅延プロファイルh(t,n)としてデータ表示部43へ出力する。
データ表示部43は、遅延プロファイル算出部42により出力された遅延プロファイルh(t,n)を、横軸を遅延時間tとしてグラフ化し、モニタ等の表示装置に出力する。また、データ表示部43は、遅延プロファイルをモニタ等に表示するだけでなく、外部のメモリ等に測定結果として出力するように構成することもできる。
(OFDM信号を観測信号とした場合における遅延プロファイル表示部)
次に、OFDM信号を用いたデジタル放送やデジタル伝送の信号を観測信号とした場合における遅延プロファイル表示部4の動作について説明する。遅延プロファイル表示部4は、係数算出部3のノイズ除去部312により出力され分岐された前ゴースト等化フィルタ24の係数及び後ゴースト等化フィルタ25の係数の両方を含んでいる係数c(k,n)を入力する。イメージ除去部41は、前ゴースト等化フィルタ24が後ゴーストに畳み込まれることにより後ゴースト等化フィルタ25の係数に現れる実際の遅延プロファイルには存在しない係数であるイメージを、(34)式により除去する。
Figure 0004450725
(34)式において、係数c’’(k,n)は後ゴーストの周波数特性の逆数のインパルス応答を、係数c’’(k,n)は前ゴーストの周波数特性の逆数のインパルス応答をそれぞれ示している。従って、係数c’’(k,n)は、後ゴーストの周波数特性の逆数及び前ゴーストの周波数特性の逆数を乗算したものを逆フーリエ変換したものであり、本式により後ゴースト等化フィルタ25の係数に現れるイメージを除去することができる。イメージ除去部41は、算出した係数c’’(k,n)を遅延プロファイル算出部42へ出力する。
遅延プロファイル算出部42は、等化部2により出力された係数c(k,n)、及びイメージ除去部41により出力された係数c’’(k,n)を入力し、遅延プロファイルh(k,n)を算出して出力する。前ゴースト及び後ゴーストに分割して遅延時間順に並び替えた遅延プロファイルh(k,n)は、次式のように表される。
Figure 0004450725
ここで、h(k,n)は、k=4096が遅延時間0、すなわち遅延プロファイル上の主波の位置となる。また、本例に用いているISDT−Tのモード3では、kが1進むと時間が63/512(≒0.123)マイクロ秒進む。尚、c(k,n)は、主波の振幅が1となるように較正されているものとし、(35)式では、h(4096,n)=1としている。遅延プロファイル算出部42は、(35)式で算出した遅延プロファイルh(k,n)をデータ表示部43へ出力する。
(遅延プロファイル測定装置の実施例6)
図10は、本発明による遅延プロファイル測定装置の第6の実施例を示すブロック図である。尚、図10において図9と同じブロックには同じ番号を付け、その説明を省略する。図10と図9との相違点は、図10に示す等化部2において後ゴースト等化フィルタ25の後に前ゴースト等化フィルタ24を接続するように構成されているところにある。この構成における前ゴースト等化フィルタ24の係数は、後ゴースト等化フィルタ25の特性が畳み込まれた形となる。このため、遅延プロファイル表示部4のイメージ除去部41は、前ゴースト等化フィルタ24の係数に現れるイメージを除去するように構成される。尚、遅延プロファイル表示部4のイメージ除去部41までの動作については、図9に示した動作と同じであるので、説明は省略する。すなわち、イメージ除去部41による前ゴースト等化フィルタ24の係数に現れるイメージの除去は、(34)式を用いて行われる。
図10に示す遅延プロファイル測定装置1において、遅延プロファイル算出部42は、係数算出部3により出力された係数c(k,n)、及びイメージ除去部41により出力された係数c’’(k,n)を入力し、遅延プロファイルh(k,n)を算出して出力する。前ゴースト及び後ゴーストに分割して遅延時間順に並び替えた遅延プロファイルh(k,n)は、次式のように表される。
Figure 0004450725
(36)式で算出したh(k,n)も(35)式と同様に、k=4096が遅延時間0、すなわち遅延プロファイル上の主波の位置となる。また、本例に用いているISDT−Tのモード3では、kが1進むと時間が63/512(≒0.123)マイクロ秒進む。尚、c(k,n)は、主波の振幅が1となるように較正されているものとし、(36)式では、h(4096,n)=1としている。遅延プロファイル算出部42は、(36)式で算出した遅延プロファイルh(k,n)をデータ表示部43へ出力する。
以上のように、図9及び図10に示した遅延プロファイル測定装置1によれば、遅延プロファイル表示部4のイメージ除去部41が、等化部2内の後部に接続された後ゴースト等化ファルタ25(図10の場合は前ゴースト等化フィルタ24)の係数に現れるイメージを除去し、遅延プロファイル算出部42が、イメージが除去された係数により遅延プロファイルを算出するようにした。これにより、図9においては、前ゴースト等化フィルタ24の特性が後ゴーストに畳み込まれてしまうことに伴う問題、すなわち、実際の遅延プロファイルには存在しない係数が後ゴースト等化フィルタ25の係数に現れてしまうことにより、当該係数をそのまま遅延プロファイルの算出のために用いることができないという問題を解決することができる。図10においても、同様の畳み込みに伴って、前ゴースト等化フィルタ24の係数をそのまま遅延プロファイルの算出のために用いることができないという問題を解決することができる。従って、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができることに加えて、観測信号に前ゴースト及び後ゴーストが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、上記の説明は、本発明の理解を助けるものであって、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。従って、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々変形が可能であり、本発明の目的を達し、効果を奏する範囲において、適宜変更することが可能である。図1及び図3に示した遅延プロファイル測定装置1の等化部2は、図2に示したFIRフィルタ及びIIRフィルタの組み合わせにより構成されるだけでなく、図7に示した時間反転部及びIIRフィルタの2つの組み合わせにより構成されるようにしてもよい。また、図5及び図6に示した遅延プロファイル測定装置1の等化部2は、図7に示した例により構成されるだけでなく、図2に示した例により構成されるようにしてもよい。また、図9及び図10に示した遅延プロファイル測定装置1にメモリ部5を具えるようにしてもよい。この場合、図5及び図6に示したように、係数算出部3が、等化部2による等化が正しく行われているか否かの判定結果を遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5へ出力する。そして、遅延プロファイル表示部4が、等化が正しく行われている判定結果により遅延プロファイルを算出して表示し、メモリ部5が、等化が正しく行われている判定結果により、新たな観測信号を取得する。これにより、観測信号にシンボル間干渉やキャリア間干渉等の干渉が含まれている場合においても、1回の観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができると共に、観測信号に前ゴースト及び後ゴーストが含まれるマルチパス環境下においても、観測信号から遅延プロファイルを正確に測定することができる。
尚、遅延プロファイル測定装置1は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示装置、及び外部の装置と通信をするためのインタフェースを具えたコンピュータによって構成される。この場合、等化部2、係数算出部3、遅延プロファイル表示部4及びメモリ部5の各処理は、当該処理を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
本発明による遅延プロファイル測定装置の第1の実施例を示すブロック図である。 等化部の第1の実施例を示すブロック図である。 本発明による遅延プロファイル測定装置の第1の実施例を示すブロック図である。 1回の観測信号から遅延プロファイルを測定する処理を説明するためのフローチャートである。 本発明による遅延プロファイル測定装置の第3の実施例を示すブロック図である。 本発明による遅延プロファイル測定装置の第4の実施例を示すブロック図である。 等化部の第2の実施例を示すブロック図である。 係数算出部の一実施例を示すブロック図である。 本発明による遅延プロファイル測定装置の第5の実施例を示すブロック図である。 本発明による遅延プロファイル測定装置の第6の実施例を示すブロック図である。
符号の説明
1 遅延プロファイル測定装置
2 等化部
3 係数算出部
4 遅延プロファイル表示部
5 メモリ部
21,23,203,206 FIRフィルタ
22,202,205 減算器
24 前ゴースト等化フィルタ
25 後ゴースト等化フィルタ
41 イメージ除去部
42 遅延プロファイル算出部
43 データ表示部
201,204,315 時間反転部
207 時間窓処理部
301 FFT窓処理部
302 FFT部
303 パイロット等化部
304 領域判定部
305,316 遅延部
306 複素除算部
307 誤差算出部
308 FFT窓誤差補正部
309 等化残差演算部
310 IFFT部
311 係数加算部
312 ノイズ除去部
313 ノイズ閾値設定部
314 係数分割部
317 表示判定部

Claims (11)

  1. 入力された観測信号を用いて伝搬路の遅延プロファイルを測定する遅延プロファイル測定装置であって、
    観測信号のうち予め設定された時間長の観測信号を取得して蓄積するメモリ部と、
    前記メモリ部から観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化部と、
    前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出部と、
    前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出部とを具え
    前記係数算出部は、前記観測信号のデータと、該観測信号を判定したデータとの間の誤差に基づいて、前記等化部による等化が正しく行われていることを判定し、
    前記メモリ部は、前記係数算出部により等化が正しく行われていると判定された場合に、新たな観測信号を取得して蓄積し、
    前記等化部は、前記メモリ部から新たな観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、
    前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により等化が正しく行われていると判定された場合に、前記係数算出部により算出された係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定装置。
  2. 請求項1に記載の遅延プロファイル測定装置において、
    前記等化部は、観測信号に含まれる前ゴーストを等化するための第1のフィルタと、後ゴーストを等化するための第2のフィルタとを有し、第1のフィルタの後ろに第2のフィルタが接続され、
    前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により算出された係数に基づいて、第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、第2のフィルタの周波数特性の逆数に第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定装置。
  3. 請求項1に記載の遅延プロファイル測定装置において、
    前記等化部は、観測信号に含まれる前ゴーストを等化するための第1のフィルタと、後ゴーストを等化するための第2のフィルタとを有し、第2のフィルタの後ろに第1のフィルタが接続され、
    前記遅延プロファイル算出部は、前記係数算出部により算出された係数に基づいて、第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、第1のフィルタの周波数特性の逆数に第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の遅延プロファイル測定装置において、
    前記等化部は、第1のFIRフィルタと、減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成されるIIRフィルタとを有することを特徴とする遅延プロファイル測定装置。
  5. 請求項1からまでのいずれか一項に記載の遅延プロファイル測定装置において、
    前記等化部は、観測信号の時間反転した信号を作成する手段と、
    減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成され、前記時間反転した信号を入力し、該信号の周波数特性の歪みを等化する手段と、
    前記等化された信号の時間反転した信号を作成する手段と、
    減算器及びFIRフィルタを組み合わせて構成され、前記等化された信号の時間反転した信号を入力し、該信号の周波数特性の歪みを等化する手段と、
    を有することを特徴とする遅延プロファイル測定装置。
  6. 伝搬路から観測信号を入力し、該信号に対して等化処理を施す等化部を具えた遅延プロファイル測定装置による伝搬路の遅延プロファイルを測定する方法であって、
    観測信号のうち予め設定された時間長の信号を取得してメモリに蓄積する観測信号蓄積ステップと、
    前記等化部が、前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化ステップと、
    前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出ステップと、
    前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出ステップと、
    前記等化ステップの後に、等化ステップにより等化が正しく行われていることを判定する判定ステップとを含み、
    前記観測信号蓄積ステップは、前記判定ステップにより等化が正しく行われていると判定した場合に、新たな観測信号を取得して前記メモリに蓄積し、
    前記等化ステップは、前記等化部が、前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、
    前記遅延プロファイル算出ステップは、前記判定ステップにより等化が正しく行われていると判定した場合に、前記係数算出ステップにより算出した係数から前期等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定方法
  7. 請求項6に記載の遅延プロファイル測定方法において、
    前記等化部が、第1のフィルタと第2のフィルタとを有し、
    前記等化ステップの代わりに、入力した観測信号に含まれる前ゴーストを前記第1のフィルタにより等化するステップと、観測信号に含まれる後ゴーストを前記第2のフィルタにより等化するステップとを有し、
    前記遅延プロファイル算出ステップは、前記係数算出ステップにより算出した係数に基づいて、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数に前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定方法
  8. 請求項6に記載の遅延プロファイル測定方法において、
    前記等化部が、第1のフィルタと第2のフィルタとを有し、
    前記等化ステップの代わりに、入力した観測信号に含まれる後ゴーストを前記第2のフィルタにより等化するステップと、観測信号に含まれる後ゴーストを前記第1のフィルタにより等化するステップとを有し、
    前記遅延プロファイル算出ステップは、前記係数算出ステップにより算出した係数に基づいて、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数に前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定方法
  9. 伝搬路から観測信号を入力し、該信号に対して等化処理を施す等化部を具えた遅延プロファイル測定装置による伝搬路の遅延プロファイルを測定するプログラムであって、前記遅延プロファイル測定装置を構成するコンピュータに、
    観測信号のうち予め設定された時間長の観測信号を取得してメモリに蓄積する観測信号蓄積処理と、
    前記メモリから観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化する等化処理と、
    前記等化部により等化された信号、又は前記等化部により等化された信号及び観測信号を入力し、該入力した信号を用いて、前記等化部の伝達関数が伝搬路の伝達関数の逆数に等しくなるように、前記等化部のフィルタの係数を算出する係数算出処理と、
    前記係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数を逆フーリエ変換し、遅延プロファイルを算出する遅延プロファイル算出処理と、
    前記等化処理における等化が正しく行われていることを判定する判定処理とを実行させ、
    前記観測信号蓄積処理は、前記判定処理により等化が正しく行われていると判定した場合に、新たな観測信号を取得して蓄積し、
    前記等化処理は、前記メモリから新たな観測信号を読み出し、該信号に含まれる伝搬路のマルチパスによる周波数特性の歪みをフィルタにより等化し、
    前記遅延プロファイル算出処理は、前記判定処理により等化が正しく行われていると判定した場合に、前記係数算出処理により算出した係数から前記等化部の伝達関数を算出し、該等化部の伝達関数の逆数から遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定プログラム
  10. 請求項9に記載の遅延プロファイル測定プログラムにおいて、
    前記等化処理は、入力した観測信号に含まれる前ゴーストを第1のフィルタにより等化し、観測信号に含まれる後ゴーストを第2のフィルタにより等化し、
    前記遅延プロファイル算出処理は、前記係数算出処理により算出した係数に基づいて、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第1の遅延プロファイルを算出し、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数に前記第1のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第2の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第1の遅延プロファイル及び第2の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定プログラム。
  11. 請求項9に記載の遅延プロファイル測定プログラムにおいて、
    前記等化処理は、入力した観測信号に含まれる後ゴーストを第2のフィルタにより等化し、観測信号に含まれる後ゴーストを第1のフィルタにより等化し、
    前記遅延プロファイル算出処理は、前記係数算出処理により算出した係数に基づいて、前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を逆フーリエ変換して第3の遅延プロファイルを算出し、前記第1のフィルタの周波数特性の逆数に前記第2のフィルタの周波数特性の逆数を乗算し、逆フーリエ変換して第4の遅延プロファイルを算出し、前記算出した第3の遅延プロファイル及び第4の遅延プロファイルから伝送路の遅延プロファイルを算出する
    ことを特徴とする遅延プロファイル測定プログラム
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