JP4450703B2 - ホスホン酸エステルを含む難燃加工剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ホスホン酸エステルを含む難燃加工剤、該加工剤を用いた難燃性繊維の製造方法及び該製造方法により製造された難燃性繊維に関する。
一般に繊維製品はガラス繊維等の難燃性繊維を除き、自己消火性に乏しく燃焼するため、難燃化又は防炎化が求められている。
従来、繊維製品の難燃化方法としては、例えば、原糸の製造段階又は繊維の後加工段階において難燃加工剤と接触させる方法が知られている。難燃加工剤としては、例えば、有機系材料ではハロゲン、リン等を含む化合物、無機系材料では水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム等の化合物が広く知られている。
繊維製品には、難燃化の要求とともに、その用途から、水洗、ドライクリーニング等に対する耐久性も要求される。現在、難燃化及び洗濯耐久性の条件を満たし得る難燃加工剤としては、ハロゲン化合物であるヘキサブロモシクロドデカンがある。具体的には、原糸溶融紡糸時にヘキサブロモシクロドデカンを含む難燃加工剤を接触させる方法、繊維後加工時に該加工剤を接触させる方法、さらに熱を印加して効率的に難燃成分を定着させることにより、洗濯耐久性を保持したまま難燃化処理が施されている。
しかしながら、近年の世界的な環境問題への取り組みを考慮すると、燃焼時に有害ガスが発生しやすいハロゲン化合物(例えば、ヘキサブロモシクロドデカン)は、使用自粛が強く望まれている。
このような現状に鑑みて、ハロゲンを含まない化合物であって、原糸の製造段階及び繊維織編物の形態での後加工の両方に適用できる難燃剤成分として、種々のリン酸エステル化合物(特許文献1);ホスホン酸エステル化合物及びホスフィン酸エステル化合物(特許文献2〜4);並びにホスファゼン化合物(特許文献5〜6)等が提案されている。
これらのリン含有化合物は、例えば、原糸の製造段階(例えば、溶融紡糸時)に適量を添加すること、繊維織編物の染色液に適量を添加して同浴吸尽加工すること等により、繊維に難燃性を付与することができるが、次のような欠点を有する。
即ち、先ずリン酸エステル化合物は液状、油状又は粘張性の流動体であることが多く、繊維への親和性が乏しいものが多いため、繊維中で可塑剤的性質を奏して染料及び難燃剤のブリードアウトを誘発する傾向がある。
また、これらの特許文献に記載のリン含有化合物は、一般に繊維の摩擦堅牢性等の染色堅牢性を損なう傾向が強い。
さらに、これらのリン含有化合物は、ポリエステル繊維に対して染色同浴吸尽処理する場合に、繊維への定着率(吸尽率)が非常に低いものが多い。他方、難燃剤の定着率向上のために高温で繊維に印加した場合には、ブリードアウトの問題が生じるほか、高温時に難燃剤成分が昇華又は熱分解することにより、白煙、ミスト等が生じるという加工上の問題を抱えている。
特許文献4に記載されたホスホン酸エステル化合物にあっては、繊維への染色性及び耐候(光)性を著しく低下させるため、繊維製品が本来有する性能を大きく損ねることも問題となっている。
特開2000−328445号公報 特公昭56−16798号公報 特公昭56−9178号公報 特開2002−275473号公報 特開平8−291467号公報 特開平10−298188号公報
本発明は、ハロゲンを含まない難燃加工剤であって、原糸の製造段階及び繊維織編物の形態での後加工の両方に好適に適用でき、繊維の洗濯耐久性を確保しつつ優れた難燃性を付与できるリン含有化合物からなる難燃加工剤を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のホスホン酸エステルを含む難燃加工剤が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のホスホン酸エステルを含む難燃加工剤、該加工剤を用いた難燃性繊維の製造方法、該製造方法により製造された難燃性繊維に係る。
1. 下記一般式(I)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるホスホン酸エステルを含むことを特徴とする難燃加工剤。
2. 固体のホスホン酸エステル微粒子が分散媒中に分散してなり、該微粒子の平均粒子径が0.1〜5μmである上記項1記載の難燃加工剤。
3. 液体のホスホン酸エステルを含む分散微粒子が分散媒中に分散したエマルションであり、該微粒子の平均粒子径が0.1〜5μmである上記項1記載の難燃加工剤。
4. 繊維に上記項1〜3のいずれかに記載の難燃加工剤を接触させる工程を含む難燃性繊維の製造方法。
5. 繊維に難燃加工剤を接触させた後、繊維を150℃未満で乾燥させて、次いで繊維を150〜200℃で熱処理する上記項4記載の難燃性繊維の製造方法。
6. 接触時の難燃加工剤の温度が100〜150℃である上記項4記載の難燃性繊維の製造方法。
7. 下記一般式(I)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるホスホン酸エステルを繊維に定着させてなる難燃性繊維。
8. 上記項4〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された難燃性繊維。
9. 繊維がポリエステル繊維である上記項7又は8記載の難燃性ポリエステル繊維。
10. 下記一般式(I)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるホスホン酸エステルの製造方法であって、下記化学式(II)
Figure 0004450703
で表される化合物を、アミンの存在下、ハロゲン化合物と反応させて下記一般式(III)
Figure 0004450703
〔式中、Xはハロゲン原子を示す。〕
で表されるホスホン酸誘導体を合成し、該ホスホン酸誘導体と下記一般式(IV)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるフェノール誘導体とを脱ハロゲン化水素反応させることを特徴とするホスホン酸エステルの製造方法。

以下、本発明のホスホン酸エステルを含む難燃加工剤、該加工剤を用いた難燃性繊維の製造方法、該製造方法により製造された難燃性繊維について詳細に説明する。
ホスホン酸エステルを含む難燃加工剤
本発明の難燃加工剤は、下記一般式(I)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるホスホン酸エステルを含むことを特徴とする。
一般式(I)中のRは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。Rは、炭化水素基よりも水素原子である方が好ましい。炭化水素基は、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)、並びに環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれでもよい。例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基の炭素数としては、1〜18が好ましく、1〜4程度がより好ましい。
一般式(I)で表されるホスホン酸エステルの具体例としては、下記式(1)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004450703
Figure 0004450703
Figure 0004450703
Figure 0004450703
Figure 0004450703
本発明の難燃加工剤は、分散液又は乳濁液(エマルション)の状態であることが好ましい。即ち、ホスホン酸エステルが固体の場合には分散液が好ましく、ホスホン酸エステルが液体の場合には乳濁液が好ましい。例えば、上記式(1)、(3)及び(4)で示されるホスホン酸エステルは固体であり、式(2)及び(5)で示されるホスホン酸エステルは粘張性液体である。分散媒(乳濁媒)としては、環境面を考慮して水が好ましい。
固体のホスホン酸エステル微粒子が分散媒中に分散している場合の該微粒子の平均粒子径は特に限定的ではないが、繊維を難燃加工する場合の繊維への定着率(吸尽率)を考慮すると、10μm以下、特に0.1〜5μmが好ましい。また、液体のホスホン酸エステルを含む分散微粒子が分散媒中に分散したエマルションの場合の該微粒子の平均粒子径も特に限定的ではないが、10μm以下、特に0.1〜5μmが好ましい。かかる平均粒子径であれば、難燃加工時にホスホン酸エステルが繊維表面及び内部に均一に定着し易い。
本発明の難燃加工剤は、ホスホン酸エステル微粒子の分散性又は乳化性を高めるために、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、分散性又は乳化性を高めることができるものであれば特に限定されず、種々の分散剤又は乳化剤が使用できる。具体的には、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の少なくとも1種が好適である。
アニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン天然油脂アルキルエーテル、ポリオキシアルキレン高級アルコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は特に限定されず、界面活性剤の種類、分散又は乳化の程度等を考慮して適宜設定できるが、分散媒(乳濁媒)が水の場合には、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%程度である。
また、分散安定化剤又は乳化安定化剤も使用できる。分散安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、デンプン糊等が挙げられる。乳化安定化剤としては、例えば、ひまし油、菜種油等のトリグリセライド;リン酸エステル、フタル酸エステル等のエステル類;高級アルコールなどが挙げられる。
これらの安定化剤の添加量も特に限定されず、安定化剤の種類、分散又は乳化の程度等を考慮して適宜設定できるが、分散媒(乳濁媒)が水の場合には、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%程度である。
その他の添加剤としては、一般に繊維加工に使用される加工剤が使用でき、例えば、柔軟剤、消臭加工剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの加工剤の添加量は、難燃加工の種類に応じて適宜設定できる。
本発明の難燃加工剤は、上記した界面活性剤(アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の少なくとも1種)と分散又は乳化安定化剤との両方を含むことが好ましい。例えば、難燃加工剤の好適な組成としては、分散媒(乳濁媒)が水の場合に、ホスホン酸エステル微粒子10〜50重量%、好ましくは25〜35重量%程度;界面活性剤1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%程度;分散又は乳化安定化剤0.1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%程度とする組成が挙げられる。
本発明の難燃加工剤は、例えば、所定の原料を混合後、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル等の分散機により撹拌することにより調製できる。撹拌条件は特に限定的ではないが、撹拌により得られる分散液又は乳濁液において、分散微粒子(ホスホン酸エステル固体微粒子又は液体ホスホン酸エステルを含む微粒子)の平均粒子径が10μm以下、特に0.1〜5μmとなるように設定することが好ましい。
ホスホン酸エステルの製造方法
上記一般式(I)で表されるホスホン酸エステルの製造方法は特に限定的ではないが、下記の製造方法により製造することが好ましい。
即ち、下記化学式(II)
Figure 0004450703
で表される化合物を、アミンの存在下、ハロゲン化合物と反応させて下記一般式(III)
Figure 0004450703
〔式中、Xはハロゲン原子を示す。〕
で表されるホスホン酸誘導体を合成し、該ホスホン酸誘導体と下記一般式(IV)
Figure 0004450703
〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
で表されるフェノール誘導体とを脱ハロゲン化水素反応させる製造方法が好ましい。
化学式(II)で表される化合物は、公知のもの又は市販品を使用すればよい。
化学式(II)で表される化合物から一般式(III)で表されるホスホン酸誘導体を合成する方法としては、従来、J.Chem.Research(S), 1998, 355-に記載の、
6-Oxo-4-phenyl(6H)dibenz[c,e][1,2]oxaphophorinから
6-Oxo-6-phenoxy-4-phenyl(6H)dibenz[c,e][1,2]oxaphophorinを合成する経路を応用した方法が知られている。
上記刊行物に開示の合成経路を応用すると、下記化学式(II)
Figure 0004450703
で表される化合物を過剰の四塩化炭素中で五塩化リンと還流することにより目的のホスホン酸誘導体を合成できる。しかしながら、この方法は大量合成には向いていない点が多い。なぜなら、四塩化炭素を過剰に使用する必要がある上、毒性が高く反応性が高い固体の五塩化リンを高温で反応することが反応制御の点で困難を伴うためである。さらに、大量の塩化水素ガスが発生して不純物が生成し易いため、収率が低い上、精製に手間取り、経済的に有利な方法ではないからである。
この点に鑑みて、本発明者は、次の合成経路を開発した。即ち、化学式(II)で表される化合物を、アミンの存在下、ハロゲン化合物と反応させることにより一般式(III)で表されるホスホン酸誘導体を得る合成経路である。
この合成経路において、アミンは化学式(II)で表される化合物からリンと結合している水素(H+)を脱離させる。そして、該脱離部分にハロゲン化合物中のハロゲン原子が置換されることにより、一般式(III)で表されるホスホン酸誘導体が得られる。なお、プロトン(H+)を受け取ったアミンは、ハロゲン原子を1原子失って負電荷を有するハロゲン化合物にプロトンを供与することにより再び元のアミンの状態に戻る。従って、該反応経路において、アミンはハロゲン置換反応に対して触媒的に作用する。
アミンの種類は特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン(TEA)、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。この中でも、TEAが経済的に好ましい。
ハロゲン化合物としては特に限定されないが、例えば、四塩化炭素(CCl4)、四臭化炭素(CBr4)が好ましいものとして挙げられる。
化学式(II)で表される化合物とハロゲン化合物との仕込み割合は特に限定されないが、化学式(II)で表される化合物1モルに対してハロゲン化合物を1〜2モル、好ましくは1〜1.2モル程度である。アミンは、上記反応の触媒量となる程度を共存させればよく、アミンの種類に応じて適宜設定できる。
上記反応は、必要に応じて、溶媒下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等の非プロトン系溶媒などが挙げられる。
一般式(III)においてX=Cl(塩素原子)であるホスホン酸クロリドの場合には、例えば、化学式(II)で表される化合物とトリエチルアミン(TEA)とを含む溶媒中に四塩化炭素(CCl4)を滴下混合することにより好適に合成できる。この合成反応は、0℃〜室温(20℃)にて速やかに進行するため従来経路に比して有利である。Cl以外のハロゲン(例えば、Br)をXに導入する場合には、所望のハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素(CBr4))等を用いて反応させればよい。但し、コスト面からは、上記の通り、四塩化炭素を用いてXにClを導入するのが最も好ましい。
一般式(III)で表されるホスホン酸誘導体と一般式(IV)で表されるフェノール誘導体とを脱ハロゲン化水素反応させるには、単に両者を0℃〜室温(20℃)で混合するだけでよい。混合割合は特に限定されないが、ホスホン酸誘導体1モルに対してフェノール誘導体を1〜2モル、好ましくは1〜1.2モル程度を混合すればよい。この反応においても、必要に応じて、溶媒を使用できる。溶媒の種類は前記と同じである。なお、前記アミンは脱ハロゲン化水素反応を促進する触媒としても作用するため、アミンを共存させておくことが好ましい。
なお、上記一連の反応を効率的に進めるには、一般式(III)の誘導体の合成において、反応当初から化学式(II)及び一般式(IV)の誘導体を同一反応系に共存させればよい。この場合には、生成した一般式(III)の誘導体が速やかに一般式(IV)の誘導体と脱ハロゲン化水素反応するため、極めて容易に一般式(I)で表されるホスホン酸エステルが得られるからである。しかも、一般式(III)の誘導体の合成に用いるアミンは、後続の脱ハロゲン化水素反応の触媒として働くため除去する必要もない。かかる本発明の製造方法により一般式(I)で表されるホスホン酸エステルを合成する場合には、好条件の場合には90%以上の収率で目的物が得られる。
難燃性繊維の製造方法
本発明の難燃加工剤は、難燃性繊維の製造に好適に適用できる。
難燃加工を施す繊維の種類は特に限定されず、天然繊維、合成繊維、及びこれらの複合繊維を含む。具体的には、天然繊維としては、綿、麻、絹、羊毛等が挙げられる。合成繊維としては、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等の繊維が挙げられる。この中でも、ポリエステル繊維が好ましく、具体的には、レギュラーポリエステル繊維、カチオン可染性ポリエステル繊維、ポリエステル原着繊維等が挙げられる。その他、ナイロン繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、綿等とポリエステル繊維との複合繊維も好適なものとして挙げられる。
難燃加工は、繊維に一般式(I)で表されるホスホン酸エステル(難燃性成分)を定着させることにより施せる。そのため、本発明の難燃性繊維の製造方法は、繊維に難燃加工剤を接触させる工程を含む。
本発明の難燃性繊維の製造方法は、繊維に難燃加工剤を接触させる工程を含めば特に限定されないが、例えば、次のような製造方法が好適である。
(1)繊維に難燃加工剤を接触させた後、繊維を乾燥させて、次いで繊維を150〜200℃で熱処理する製造方法、及び
(2)100〜150℃に加温した難燃加工剤を繊維と接触させる工程を含む製造方法。
以下、上記(1)及び(2)の製造方法について説明する。
(1)の製造方法
この製造方法は、繊維に難燃加工剤を接触させた後、繊維を150℃未満で乾燥させて、次いで繊維を150〜200℃で熱処理する。
繊維に難燃加工剤を接触させる方法は特に限定されず、繊維を難燃加工剤に浸漬する方法、繊維に難燃加工剤を噴霧又は塗布する方法等が挙げられる。接触時間は特に限定されず、繊維の種類、難燃性の程度等に応じて適宜設定できる。
乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥又は加熱乾燥が採用できる。加熱乾燥の場合の乾燥温度は150℃未満であって、60〜100℃程度が好ましく、乾燥時間は5〜30分程度が好ましい。
乾燥後、繊維を150〜200℃、好ましくは160〜190℃で熱処理する。該熱処理により、ホスホン酸エステルが繊維内部及び表面に定着する。熱処理は、例えば、繊維(生地)を運ぶロールを上記温度に加熱する方法、上記温度に設定された雰囲気炉を通過させる方法等により行える。熱処理時間は、熱処理温度、該加工剤の定着程度等に応じて適宜設定できるが、通常30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
(2)の製造方法
この製造方法は、100〜150℃、特に110〜130℃の温度の難燃加工剤を繊維に接触させる工程を有する。100〜150℃に加温した難燃加工剤と繊維とを接触させることにより、ホスホン酸エステルが繊維内部及び表面に定着する。特にこの製造方法は、繊維がポリエステル繊維の場合に有効である。
両者の接触方法は特に限定されず、前記した浸漬、噴霧、塗布等が利用できる。例えば、浸漬の場合には、1〜60分程度浸漬することによりホスホン酸エステルを繊維に定着させることができる。接触後は、前記同様の条件により乾燥処理を施せばよい。
上記いずれの製造方法においても、難燃加工剤に含まれるホスホン酸エステル(ホスホン酸エステル固体微粒子又は液体ホスホン酸エステルを含む微粒子)の平均粒子径が0.1〜10μmと小さい場合には、熱処理によりホスホン酸エステルは繊維(特にポリエステル繊維)内部の非結晶領域に拡散・定着し易く、容易に難燃性繊維(難燃性ポリエステル繊維)を製造できる。
本発明の難燃性繊維は、一般式(I)で表されるホスホン酸エステルを定着させてなるものであり、それ自体が燃え難い性質を有するとともに、仮に引火したとしても、引火部分の繊維が非引火部分から分離し易い(例えば、カーテンの下部に引火した場合に、引火部分の繊維だけが、非引火部分から分離してボタボタと落下し易い)ため、繊維の延焼を防止することができる。また、洗濯耐久性が高く、水洗、ドライクリーニング等による難燃性の低下が抑制されている。さらに、一般式(I)で表されるホスホン酸エステルは、耐候(光)性が高いため、繊維が本来有する性能を大きく損ねることがないとともに、大量生産に適している。
本発明の難燃加工剤は、ハロゲンを含まないため、難燃性繊維を燃焼した際にも、有害ガスの発生が抑えられている。
本発明の難燃加工剤は、原糸の製造段階及び繊維織編物の形態での後加工の両方に好適に適用でき、繊維の洗濯耐久性を確保しつつ繊維に優れた難燃性を付与できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
<式(1)〜(5)で表されるホスホン酸エステルの合成>
下記合成例1〜5では、フォトダイオードアレイ(PDA)3次元UV検出器付高速液体クロマトグラフィー(アライアンスHPLCシステム: ウォーターズ社製)により生成化合物の純度確認を行った。また、300MHz核磁気共鳴吸収分析装置(JNM−AL300:日本電子(株)製)による水素核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトル及び質量分析計付高速液体クロマトグラフィー(LC/MS、インテグリティシステム:ウォーターズ社製)による質量スペクトルより各々の生成化合物の構造同定を行った。
合成例1
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレンー10−オキシド32.4g、フェノール14.1g、トリエチルアミン17.2g、及びジクロロメタン150mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素30.8gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより淡黄色液状の粗生成物を得て、メタノール−水で再結晶することにより白色粉末状の式(1)で表される化合物43.5gを得た。得られた化合物の純度は99.1%であった。
Figure 0004450703
1H−NMR(CDCl3):δ/ppm 7.02−7.12(m,3H),7.18−7.29(m,4H),7.33−7.37(m,1H),7.46−7.51(m,1H),7.67−7.73(m,1H),7.91−8.03(m,3H)
・LC/MS(EI,70eV):M+;m/z=308(計算値C18133P=308.27)
合成例2
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレンー10−オキシド43.2g、3−クレゾール21.6g、トリエチルアミン22.3g、及びトルエン200mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素40.0gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより淡黄色液状の粗生成物を得て、活性炭処理することにより微黄色透明液状の式(2)で表される化合物58.0gを得た。得られた化合物の純度は96.8%であった。
Figure 0004450703
1H−NMR(CDCl3):δ/ppm 2.26(s,3H),6.78−6.81(d,1H),6.89−6.99(m,2H),7.08−7.13(t,1H),7.21−7.31(m,2H),7.36−7.42(m,1H),7.47−7.54(m,1H),7.70−7.76(m,1H),7.90−8.05(m,3H)
・LC/MS(EI,70eV):M+;m/z=322(計算値C19153P=322.29)
合成例3
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレンー10−オキシド21.6g、4−t−ブチルフェノール15.0g、トリエチルアミン11.1g、及びジクロロメタン150mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素20.0gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより淡黄色液状の粗生成物を得て、メタノール−水で再結晶することにより白色粉末状の式(3)で表される化合物31.0gを得た。得られた化合物の純度は98.8%であった。
Figure 0004450703
1H−NMR(CDCl3):δ/ppm 1.24(s,9H),6.94−6.99(m,2H),7.22−7.43(m,5H),7.50−7.56(m,1H),7.72−7.79(m,1H),7.94−8.07(m,3H)
・LC/MS(EI,70eV):M+;m/z=364(計算値C22213P=364.37)
合成例4
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレンー10−オキシド43.2g、2−フェニルフェノール34.0g、トリエチルアミン22.3g、及びトルエン200mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素40.0gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより淡黄色液状の粗生成物を得て、メタノール−水で再結晶することにより白色粉末状の式(4)で表される化合物71.2gを得た。得られた化合物の純度は99.8%であった。
Figure 0004450703
1H−NMR(CDCl3):δ/ppm 6.96−7.05(m,4H),7.08−7.36(m,8H),7.56−7.79(m,5H)
・LC/MS(EI,70eV):M+;m/z=384(計算値C24173P=364.37)
合成例5
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレンー10−オキシド5.2g、4−オクチルフェノール5.0g、トリエチルアミン2.7g、及びMTBE(t−ブチルメチルエーテル)50mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素4.9gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより淡黄色液状の粗生成物を得た。この粗生成物を、シリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて分離精製する事によって無色透明液状の式(5)で表される化合物8.1gを得た。得られた化合物の純度は96.1%であった。
Figure 0004450703
1H−NMR(CDCl3):δ/ppm 0.85−0.89(t,3H),1.26(s,10H),1.53(s,2H),2.48−2.53(t,2H),6.91−7.04(m,4H),7.20−7.52(m,4H),7.68−7.73(m,1H),7.91−8.04(m,3H)
・LC/MS(EI,70eV):M+;m/z=420(計算値C26293P=420.48)

<難燃加工剤の調製>
実施例1
ポリオキシエチレンジスチレン化フェノールエーテル硫酸塩5重量部、カルボキシメチルセルロース(10重量%水溶液)2重量部、水53重量部の均一な混合液に、式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物40重量部を添加し、この混合物をメノウ製ポット(2mmΦジルコニアビーズにて粉砕)に投入して、遊星ボールミル(フリッチュ(株)製)にて、公転回転数400rpm、回転時間2時間で粉砕分散させて均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
得られた難燃加工剤の平均粒子径を粒度分布測定装置(レーザー回折/散乱式粒度分布径LA−910、(株)堀場製作所製)により測定した結果、メジアン径は0.824μmであった。
実施例2
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、式(2)で表されるホスホン酸エステル化合物を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は1.946μmであった。
実施例3
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、式(3)で表されるホスホン酸エステル化合物を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は1.910μmであった。
実施例4
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、式(4)で表されるホスホン酸エステル化合物を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は1.116μmであった。
実施例5
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、式(5)で表されるホスホン酸エステル化合物を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は1.012μmであった。
比較例1
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、ヘキサブロモシクロドデカン(日宝化学(株)製)を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は1.108μmであった。
比較例2
式(1)で表されるホスホン酸エステル化合物の代わりに、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学(株)製)を用いて、実施例1と全く同様に粉砕分散させ、均一な白色分散液状の難燃加工剤を得た。
上記同様に平均粒子径を測定した結果、メジアン径は0.215μmであった。

<ポリエステル繊維織物の難燃加工>
実施例1〜5及び比較例1〜2で調製した各難燃加工剤を用いて、ポリエステル繊維を難燃加工した。ポリエステル繊維としては、難燃化処理が非常に困難であるレギュラーポリエステルとカチオン可染性ポリエステルとから構成された、目付け量233g/m2であるレギュラーポリエステル/カチオン可染性ポリエステル織物(90/10)を用いた。
難燃加工方法としては、次の加工例1と加工例2との2種類を採用した。
加工例1
各難燃加工剤を20重量%含むように調製された7種類の処理液で、該ポリエステル織物をパディング処理(絞り率70%)後、80℃で5分間乾燥した。次いで180℃、1分間でヒートセット処理を行った。その後、下記組成の洗浄液にて洗浄を行い、80℃で5分間乾燥を行って難燃加工を施した。
<洗浄液>
・ソーダ灰 1.0 g/L
加工例2
該ポリエステル織物の未染色布を、ミニカラー染色機(テクサム技研社製)を用いて下記の組成の吸尽処理液(染色と同時に難燃性を付与できる処理液)にて、浴比1:10、温度45℃で5分処理後、120℃まで2℃/分で昇温して、120℃で60分間染色する条件で浴中処理を行った。次いで、80℃まで冷却後、下記組成の還元洗浄処理液により還元洗浄を行ってすすぎを行い、次いで乾燥後、180℃で1分間乾燥して難燃加工を施した。
<吸尽処理液>
o.w.f:on the weight of fiberを示す。
・キワロンPブルー E−SP(分散染料、紀和化学工業(株)製)0.1%o.w.f.
・キワロンPレッド E−SP(分散染料、紀和化学工業(株)製)0.1%o.w.f.
・キワロンPイエロー E−SP(分散染料、紀和化学工業(株)製)0.1%o.w.f.
・カヤクリルブルー GSL−ED(カチオン染料、日本化薬(株)製)0.1%o.w.f.
・カヤクリルレッド GL−ED(カチオン染料、日本化薬(株)製)0.1%o.w.f.
・カヤクリルイエロー 3RL−ED(カチオン染料、日本化薬(株)製)0.1%o.w.f.
・KPレベラーAL(分散均染剤、日本化薬(株)製)0.5 g/L
・酢酸(pH調整剤) 0.1 mL/L
・難燃加工剤(実施例1〜9及び比較例1で得た難燃加工剤)20%o.w.f.
<還元洗浄処理液>
・ハイドロサルファイト 1.0 g/L
・ソーダ灰 1.0 g/L
<難燃性確認試験:燃焼試験>
上記により得られた難燃性ポリエステル繊維について、JIS L−1091 A−1(ミクロバーナー法)とJIS L−1091 D(コイル法)による難燃性評価試験を行った。また、難燃性評価試験は、昭和61年2月21日消防庁告示第1号に準じて水洗濯及びドライクリーニングを5回行ったものに対しても行った。評価に当たっては、JIS L−1091に規定される残炎時間及び接炎回数をそれぞれ3回測定した。各々の難燃加工液で処理された難燃加工繊維試料の難燃性評価結果を表に示す。なお、難燃加工処理に供したポリエステル系繊維の難燃未加工繊維についても、同様に試験を行った。結果を下記表1に示す。
Figure 0004450703

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004450703
    〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
    で表されるホスホン酸エステルを含むことを特徴とするポリエステル繊維の後加工用難燃加工剤。
  2. 固体のホスホン酸エステル微粒子が分散媒中に分散してなり、該微粒子の平均粒子径が0.1〜5μmである請求項1記載の難燃加工剤。
  3. 液体のホスホン酸エステルを含む分散微粒子が分散媒中に分散したエマルションであり、該微粒子の平均粒子径が0.1〜5μmである請求項1記載の難燃加工剤。
  4. ポリエステル繊維に請求項1〜3のいずれかに記載の難燃加工剤を接触させる工程を含む難燃性繊維の製造方法。
  5. ポリエステル繊維に難燃加工剤を接触させた後、繊維を150℃未満に乾燥させて、次いで繊維を150〜200℃で熱処理する請求項4記載の難燃性繊維の製造方法。
  6. 接触時の難燃加工剤の温度が100〜150℃である請求項4記載の難燃性繊維の製造方法。
  7. 下記一般式(I)
    Figure 0004450703
    〔式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。〕
    で表されるホスホン酸エステルを後加工によりポリエステル繊維に定着させてなる難燃性繊維。
  8. 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された難燃性繊維。
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