JP4450571B2 - リポソーム含有経口摂取用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リポソーム含有経口摂取用組成物を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペプチド性化合物、フラボノイド等の生理活性物質を経口摂取した場合、胃酸や消化管内の種々の酵素の作用により分解され容易に不活化されてしまう。また、ペプチド性化合物等の生理活性物質は水溶性である場合が多く、その分子量も大きいため消化管粘膜からの膜透過性が悪いために、消化管からほとんど吸収されない。現在、ペプチド性化合物の吸収を上げるためには、主にタンパク分解酵素阻害剤を併用する方法と剤型修飾を施す方法とが検討されている。タンパク質分解酵素阻害剤の具体例としてはアプロチニンやバシトラシンなどが応用されている。一方、剤型修飾を施す方法としてはペプチドが胃酸によって分解されるのを防止するために腸溶性コーティングを施した製剤などが利用されている。しかし、腸溶剤は、固形製剤に限られ、液体製剤などの種々の形態とすることができず、特に食品に配合することが困難である。また、腸溶剤は、消化管粘膜からの透過性を改善することはできないため、消化管からの吸収にはあまり影響しない。
【0003】
近年、剤型修飾を施す方法の一つとして微粒子製剤を薬物キャリアーとして利用する研究が精力的になされており、その中の一つとして、リポソームを経口投与の薬物キャリアーとして利用する検討も過去になされてきている。例示すれば、通常経口投与では無効とされていたインスリンを修飾したリポソームに封入することによって経口投与時のインスリンのバイオアベイラビリティーが増加することが認められている(非特許文献1〜3)。また、エリスロポエチンをリポソームに封入することによりそのバイオアベイラビリティーが上昇することも報告されている(非特許文献4)。しかしながら、これらのペプチド性化合物封入リポソームは注射に比べて高投与量が必要であることや吸収が変動し易いこと等の難点があり、現在においてまだ完全な実用化に至っておらず、ペプチド性化合物は臨床では注射剤として利用されているのが現状である。
【0004】
【非特許文献1】
Hirofumi Takeuchi et al. ,"Enteral Absorption of Insulin in Rats from Mucoadhesive Chitosan-Coated Liposomes", Pharmaceutical Research,13(6),896-901,1996
【0005】
【非特許文献2】
Muramatsu K et al.,"Dipalmitoylphosphatidylcholine Liposomes with Soybean-Derived Sterols and Cholesterol as a Carrier for the Oral Administration of Insulin in Rats",Biological & Pharmaceutical Bulletin, 19(8), 1055-1058, 1996
【0006】
【非特許文献3】
Kazunori Iwanaga et al.," Application of surface-coated liposomes for oral delivery of peptide: Effects of coating the liposome's surface on the GI transit of insulin",Journal of Pharmaceutical Sciences,88, 248-252, 1999
【0007】
【非特許文献4】
Yoshie Maitani et al.," Oral administration of recombinant human erythropoietin in liposomes in rats: Influence of lipid composition and size of liposomes on bioavailability", Journal of Pharmaceutical Sciences,85, 440-445,1996
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、抗炎症、抗アレルギー作用等を有する経口摂取用組成物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために脂質膜微小運搬体であるリポソームに生理活性物質を封入することによって、抗炎症作用を有するリポソーム含有経口摂取用組成物としたものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記の各項に係る発明を提供するものである。
項1.生理活性物質が封入され、レシチン及びステロールを含んだリポソームを含有することを特徴とする経口摂取用組成物。
項2.レシチンのグリセロールの1位に炭素数14〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数14〜24の不飽和脂肪酸が結合していることを特徴とする項1に記載の経口摂取用組成物。
項3.レシチンが、卵黄レシチン及び大豆レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の経口摂取用組成物。
項4.ステロールが、コレステロール及びフィトステロールからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
項5.レシチンとステロールのモル比が、55:45〜95:5である項1〜4のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
項6.生理活性物質が、生理活性蛋白質である項1〜5のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
項7.生理活性蛋白質が、ラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン及びリゾチームからなる群より選ばれる少なくとも1種である項6に記載の経口摂取用組成物。
項8.生理活性蛋白質が、ラクトフェリンである項7に記載の経口摂取用組成物。
項9.経口摂取用組成物が食品組成物である項1〜8のいずれかに記載の組成物。
項10.薬学的に許容される担体を含有し、経口摂取用組成物が医薬組成物である項1〜8のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
項11.医薬組成物が抗炎症剤である項10に記載の経口摂取用組成物。
項12.医薬組成物が歯周病予防又は治療剤、アトピー性皮膚炎予防又は治療剤又は肝炎予防又は治療剤である項10に記載の経口摂取用組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
リポソームはリン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される二分子膜を有する脂質小胞体である。現在、リポソームは脂質二重層の数に基づいて分類され、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)に分類される。本発明のリポソームは、これらのいずれであってもよい。好ましいのはMLVである。
【0013】
本発明のリポソームの大きさとしては、30〜1000nm程度が一般的であり、好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜200nmである。
【0014】
リポソームは水溶性薬物をその内水層に、脂溶性薬物を脂質二重層へ取り込むことができ、薬物のターゲティング、徐放化、副作用の軽減などを目的にDDS製剤の薬物運搬体としてその応用が試みられている。また、リポソームは生体膜の成分から構成されているため安全性が高いことも知られている。
【0015】
経口摂取用組成物に含まれる生理活性物質の量は、リポソームの総脂質量の50〜2000重量%であることが好ましく、100〜1000重量%であることがより好ましい。なお、リポソームの総脂質量とは、リポソームを構成する油分の総和であり、当該油分にはレシチン、ステロールだけでなく、ビタミンE等も含まれる。
【0016】
本発明では、レシチンとして、卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチンなどが挙げられる。本発明では、これらの水素添加物を用いることもできる。レシチンはホスファチジルコリン又は1,2-ジアシルグリセロール 3-ホスホコリンとも称され、一般的に、グリセロールの1位及び2位に脂肪酸が結合している。本発明では、上記例示のレシチンに加えて、1位及び2位の両方又は片方に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが好ましく、1位に炭素数12〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが特に好ましい。ここで、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は直鎖状及び分枝状のいずれでもよい。このようなレシチンを使用することにより、リポソームに封入された生理活性物質の腸吸収性が向上する。好ましい不飽和脂肪酸としては、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を使用でき、特に2位にオレイン酸、リノール酸が多く結合したレシチンを使用することにより、より腸吸収性の向上が期待できる。
【0017】
また、本発明のレシチンとしては、これらの中でも、卵黄レシチン及び大豆レシチンが好ましい。
【0018】
ステロールとしては、コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール;スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられる。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましく用いられる。
【0019】
リポソームにおけるレシチンとステロールのモル比は、55:45〜95:5程度が好ましく、60:40〜90:10がより好ましく、75:25〜85:15が最も好ましい。モル比がこれらの範囲にあるとリポソーム膜の安定性が向上する。
【0020】
本発明のリポソームに封入される生理活性物質としては、消化管内で分解されやすく、吸収を期待されるようなものであればよく、生理活性蛋白質、アミド結合を有する化合物、配糖体などが例示される。
【0021】
生理活性蛋白質は、分子量1,000〜200,000程度のものを好ましく用いることができる。具体的には、ラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン、リゾチームなどの蛋白質;インスリン、グルカゴン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、カリクレイン、ガストリン、セクレチン、成長ホルモン、エリスロポエチンなどのペプチドホルモン;インフルエンザワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチンなどのワクチン類が挙げられる。これらの中でも、特にラクトフェリン、トランスフェリン、インターフェロン、インターロイキン、リゾチームなどの蛋白質が好ましく、ラクトフェリンが更に好ましい。
【0022】
生理活性物質の配合割合は、リポソームの総脂質量の50〜2000重量%程度が好ましく、100〜1000重量%程度がより好ましい。
【0023】
生理活性物質を封入したリポソームは、従来の方法により製造することができる。例えば、所定量のレシチン及びステロールを、例えばエタノールなどの適当な有機溶媒で可溶化し、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これに上記生理活性物質を含む水溶液を添加して、例えば、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム懸濁液を調製することにより得ることができる。
【0024】
得られた懸濁液に対しては、必要に応じて、リポソーム外液中の生理活性物質を除去する操作、例えば懸濁液を濾過後,得られた濾液を透析する操作を行ってもよい。
【0025】
得られたリポソームの表面をコーティングすることができる。好ましいコーティングとしては、硫酸基を含有する多糖類でのコーティングが挙げられる。
【0026】
硫酸基含有多糖類としては、フコイダン、カラギーナン、寒天、ヘパリンなどが挙げられる。また、本発明の硫酸基含有多糖類としては、硫酸基を含まない多糖を硫酸化したものであってもよく、例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などであってもよい。
【0027】
本発明の硫酸基含有多糖類としては、分子量が5,000〜300,000程度のものが好ましく用いられる。
【0028】
本発明においては、これらの硫酸基含有多糖類の中でもフコイダン及びカラギーナンを好ましく用いることができ、特にフコイダンが好ましい。
【0029】
硫酸基含有多糖類の使用量は、例えば、リポソームに含有されるレシチン100重量部に対して、10〜500重量部程度が好ましく、20〜200重量部程度がより好ましい。
【0030】
コーティングは、例えば、生理活性物質を封入したリポソームを含む懸濁液に、硫酸基含有多糖類を加え、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌することにより行うことができる。なお、1つのコーティング膜の中に複数のリポソームが含まれていてもよい。
【0031】
リポソームが硫酸基含有多糖類でコーティングされたことは、例えば、リポソーム溶液のゼータ電位が、硫酸基含有多糖類を添加して撹拌することにより変化することにより確認できる。
【0032】
リポソームの懸濁液は、液状のままでも使用できるが、凍結乾燥した乾燥物として使用することもできる。リポソームは、その乾燥物を錠剤やカプセル化したものをはじめ、様々な経口摂取に適した形態とすることが可能である。
【0033】
本発明の経口摂取用組成物を食品組成物として利用する場合には、生理活性物質を封入したリポソームを必要に応じてその食品の形態に応じた可食性担体、食品素材、食品添加物などと組み合わせて、通常の方法により調製することができる。食品の形態としては、飲料などの液状の食品、錠剤、顆粒、チュアブルタブレットなどの固形の食品等として利用することができる。また、ヨーグルトなどの半固形の食品としても利用することができる。具体的な食品の形態としては、ジュース、清涼飲料水、ティー等の液体飲料;粉末ジュース、粉末スープ等の粉末飲料;チョコレート、キャンディー、チューインガム、アイスクリーム、ゼリー、クッキー、ビスケット、コーンフレーク、チュアブルタブレット、フィルムシート、ウエハース、グミ、煎餅、饅頭等の菓子類;ドレッシング、ソース等の調味料;パン類、麺類、こんにゃく、練り製品(かまぼこ等)、ふりかけ、口腔用スプレー、トローチ等が挙げられる。また、添加物として、乳酸菌などの生菌又は死菌、その他のプロバイオティクス素材、ビタミン、生薬、ハーブ等の植物そのものまたは抽出物を配合しても良い。
【0034】
本発明の経口摂取用食品組成物は、リポソームに封入された生理活性物質の機能に応じた健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品等の用途に用いることができる。
【0035】
また、本発明の経口摂取用組成物は、生理活性物質を封入したリポソーム及び薬学的に許容される担体を含有し、液剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、粉剤などの固形剤或いは当該液剤又は固形剤を封入したカプセル剤等の経口投与可能な医薬組成物として使用できる。薬学的に許容される担体としては、賦形剤、希釈剤等が挙げられる。また、医薬組成物は香料等の各種添加剤を含むこともできる。このような医薬組成物は、リポソームに封入された生理活性物質の機能に応じ、各種疾患の予防又は治療剤として用いることができる。
【0036】
特に、ラクトフェリンを封入したリポソームを含有する経口投与用組成物は、炎症性疾患、例えば、歯周病、口内炎、その他の歯肉及び口腔粘膜の炎症、急性肝炎、慢性肝炎、C型肝炎などのウイルス性肝炎、アレルギー性疾患(胃炎、関節炎、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、鼻炎等)、腎炎、誤嚥性肺炎、慢性関節リウマチ、クローン病、関節炎、消化管の炎症等の予防、治療又は症状改善に有効である。
【0037】
なお、TNF−αは、免疫系に関与するサイトカインであり、体内においてTNF−αが過剰となると、好中球や血管内皮細胞をはじめとする種々の細胞膜表面のTNF−αレセプターにTNF−αが作用することによって、炎症、微小循環障害、インスリン抵抗性などが発生する。このため、TNF−αの産生抑制は、歯周病、ウイルス性肝炎、関節炎などの炎症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、臓器の機能不全、全身性エリテマトーテス、リウマチ、クローン病などの膠原病、糖尿病などの疾患の予防又は治療に有効である。
【0038】
また、GOT及びGPTは、細胞内に存在するアミノ基転移酵素であり、臓器障害に伴って細胞から血清中に遊出する。GOT値は心筋梗塞や肝障害、GPT値は肝障害の指標として用いられており、ウイルス性肝炎などをはじめとする肝障害でGOT、GPT値が高くなることが知られている。このため、GOT、GPTの産生を抑制することは、肝障害や心筋梗塞等の疾患の予防又は治療に有効であることを示している。
【0039】
【実施例】
以下に実施例及び試験例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
ラクトフェリン封入リポソームの調製
薄膜水和法により、ラクトフェリンを封入したリポソーム製剤を調製した。卵黄レシチンとフィトステロールをモル比が7:3となるように量りとり(卵黄レシチン 63.0mg、フィトステロール 14.55mg)、エタノール 6mlを加えて溶解した。この溶液からロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、薄膜を形成させた。この薄膜にラクトフェリン180mgを溶解させたクエン酸緩衝液(pH 6.69)の6mlを加え、ボルテックスミキサーにより2000rpmにて3分間程度撹拌を行い、リポソーム懸濁液を得た。この懸濁液を0.4μmの孔径のポリカーボネート膜を用いて濾過し、ラクトフェリン封入リポソームを得た。なお、このリポソームを1%リンタングステン酸処理によりネガティブ染色し、乾燥後、これを電子顕微鏡で観察して、多重膜リポソームが形成されていることを確認した。
【0041】
実施例2
ラクトフェリン封入リポソーム経口投与によるマウス末梢血単球からのTNF−α産生抑制作用 (ex vivo)
ラクトフェリン含有クエン酸溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度でラクトフェリンを溶解)、実施例1と同様な方法で調製したラクトフェリン封入リポソーム溶液、及びコントロールとしてpH6.69のクエン酸緩衝液を調製した。これらのサンプルを、BALB/Cマウス(n=6)に、ラクトフェリンの濃度が300mg/kgとなるように(10ml/kgの量で)7日間連続で経口投与した。一方、ポジティブコントロール群(n=6)としてシクロホスファミド(30mg/kg)を6日目に腹腔内投与した。8日目に心臓穿刺によりすべての群のマウスより血液を採取し単球を単離した。各群3匹より得た単球(106個, n=2)をリポポリサッカライド(LPS)(1μg/ml)を添加したRPMI-1640培地中で37℃、24時間培養し、培養液中に産生されるTNF-α濃度をELISA法(TNF-α ELISA キット、GT社製)により測定した。測定結果を表1及び図1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004450571
【0043】
測定結果より、ラクトフェリン封入リポソームをマウスに7日間連続で経口投与することによって、マウス末梢血単球のLPS刺激によるTNF−αの産生がコントロールと比較して約70%抑制されることが判明した。その作用はポジティブコントロールであるシクロホスファミドよりも強かった。ラクトフェリン緩衝液投与群においても弱いTNF−α産生抑制効果が認められるものの、その効果はラクトフェリン封入リポソーム投与群のそれよりも小さかった。
【0044】
TNF−αは炎症、アレルギーに関与するサイトカインであるため、TNF−α産生抑制効果を有するラクトフェリン封入リポソームは抗炎症、抗アレルギー効果を有すると考えられる。また、シクロホスファミドは抗腫瘍剤としての効果が確認されており、ラクトフェリン封入リポソームも抗腫瘍効果を有すると考えられる。
【0045】
また、本実施例で使用した機器等は以下のとおりである。
【0046】
エクストルーダー(LIPEX)、パーティクルサイザー(NICOMP)、CO2インキュベーター(SANYO)、Centrifuge(HITACHI)、光学顕微鏡(OLYMPUS)、イムノリーダー (InterMed)。
【0047】
実施例3
ラクトフェリン封入リポソームの経口投与によるラット急性肝障害抑制作用
コントロール(pH 6.69のクエン酸緩衝液)、ラクトフェリン含有クエン酸溶液(pH6.69のクエン酸緩衝液に30mg/mlの濃度でラクトフェリンを溶解)、実施例1と同様の方法で調製したラクトフェリン封入リポソーム溶液及びコントロールとしてpH6.69のクエン酸緩衝液を調製した。これらのサンプルを、Wister系ラット(n=5)にCCl4を経口投与(オリーブオイルとの1:1の溶液を1ml/kgの濃度で経口投与)する80、56、32、8時間前に、10ml/kg(ラクトフェリン濃度が300mg/kg)で経口投与した。CCl4投与24時間後にラットより血清を採取し、血清中のglutamic pyruvate transaminase (GPT)及びglutamic oxaloacetate transaminase (GOT)をoptimized UV法(GPT・GOTアッセイキット(Wako))で測定し、血清1リットルあたりのU(ユニット)として算出した。また、ポジティブコントロールとしてドイツで肝炎用医薬品として使用されているシリマリン(アルドリッチ社製)を使用した。シリマリンはCCl4投与の30分前、及び投与後4、8時間後に300mg/kgの濃度で経口投与した。
【0048】
試験結果を表2及び図2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0004450571
【0050】
試験結果より、リポソーム化ラクトフェリンをCCl4で肝障害を誘発する3日前から経口投与することによって、血清中のGPT及びGOT濃度がコントロールと比較して有意に減少することが確認された。この効果は医薬品であるシリマリンとほぼ同等である。ラクトフェリン緩衝液投与群においても弱いGPT及びGOT濃度減少作用が認められるものの、その効果はラクトフェリン封入リポソームに比較して小さかった。
【0051】
シリマリンは、アルコール肝臓障害患者、慢性肝炎患者、肝硬変患者に対する臨床試験においてGOT及びGPT量低下や病状悪化遅延効果が既に確認されており、ラクトフェリン封入リポソームも同様な効果を有すると示唆された。
【0052】
なお、本実施例で使用した機器等は以下のとおりである。
エクストルーダー(LIPEX)、パーティクルサイザー(NICOMP 370)、電子顕微鏡(JEOL JEM-100SX)、Centrifuge(HITACHI)、Automatic analyzer(HITACHI model 7050)。
【0053】
処方例
実施例1と同様な方法で調製したリポソーム化ラクトフェリンを含有する以下に示す食品を製造した。
【0054】
Figure 0004450571
上記の原料を使用し、一般的な製造法によりチューインガムを製造した。
【0055】
Figure 0004450571
上記の原料を使用し、一般的な製造法によりアイスクリームを製造した。
【0056】
Figure 0004450571
上記の原料を使用し、一般的な製造法によりチョコレートを製造した。
【0057】
【発明の効果】
生理活性のある蛋白質を経口摂取したとき、胃酸や胃内、小腸内のタンパク質分解酵素によって分解され生理活性が抑制されてしまうため、経口摂取による利用が普及していなかったが、蛋白質をリポソームに封入することにより、蛋白質の生理活性の低下を抑制または生理活性を増強することができるため、このリポソームの経口摂取により蛋白質の生理活性を有効に利用できる。
【0058】
特にラクトフェリン封入リポソームを経口投与すると、ラクトフェリンと比較して顕著なTNF−α産生抑制効果及びGOT、GPT値抑制効果が示される。このため、ラクトフェリン封入リポソームを含有する経口摂取用組成物は、食品組成物、医薬組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2において測定された、マウス末梢血単球におけるTNF−α産生量(ex vivo)を示すグラフである。
【図2】実施例3において測定された、ラットの急性肝障害における血清中のGPT濃度を示すグラフである。
【図3】実施例3において測定された、ラットの急性肝障害における血清中のGOT濃度を示すグラフである。

Claims (8)

  1. ラクトフェリンが封入され、レシチン及びフィトステロールを含んだリポソームを含有することを特徴とする経口摂取用組成物。
  2. レシチンのグリセロールの1位に炭素数14〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数14〜24の不飽和脂肪酸が結合していることを特徴とする請求項1に記載の経口摂取用組成物。
  3. レシチンが、卵黄レシチン及び大豆レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の経口摂取用組成物。
  4. レシチンとフィトステロールのモル比が、55:45〜95:5である請求項1〜3のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
  5. 経口摂取用組成物が食品組成物である請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  6. 薬学的に許容される担体を含有し、経口摂取用組成物が医薬組成物である請求項1〜のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
  7. 医薬組成物が抗炎症剤である請求項に記載の経口摂取用組成物。
  8. 医薬組成物が歯周病予防又は治療剤、アトピー性皮膚炎予防又は治療剤あるいは肝炎予防又は治療剤である請求項に記載の経口摂取用組成物。
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