JP4449930B2 - 電動機、冷凍・空調装置、電動機の製造方法 - Google Patents

電動機、冷凍・空調装置、電動機の製造方法 Download PDF

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本発明は、電動機の技術に関するもので、例えば冷媒圧縮機及びこの冷媒圧縮機を用いた冷凍空調機に係わり、この冷媒圧縮機に搭載される電動機に関する。
近年冷蔵庫やエアコンの圧縮機用電動機などには、高効率化とコンパクト化の目的で、複数のティースにまたがらずに1つのティースの回りに集中的に巻線を巻く集中巻式固定子を採用した電動機が検討され、ティ−スと巻線間には絶縁材として樹脂成形品が用いられるのが一般的である。
圧縮機内部には、冷媒を圧縮する圧縮要素部とこの圧縮要素を駆動させる電動機が内蔵され、−20℃以下から120℃を越える環境において、冷媒と冷凍機油が貯留され、この混合液に晒されながら使用される。冷凍機油は圧縮要素部のシ−ル、潤滑を行うと共に冷媒ガスと混合して冷凍回路内を循環しながら、毛細管などの絞り部を通過して蒸発器、圧縮機に戻る。このため絶縁材などの樹脂が冷凍機油に溶出すると、圧縮要素部のシ−ル性・潤滑性の低下、絞り部の閉塞などの問題を発生しうる可能性がある。
そこで圧縮機内部の電動機の絶縁部材として、熱的安定性、耐加水分解性等の化学的安定性が高く、冷媒および冷凍機油に対する耐久性に優れるポリフェニレンサルファイド(以下PPS樹脂)等を使用する検討が進められてきた。
従来の冷媒圧縮機の集中巻電動機の固定子および回転子の構造は、特許文献1に示す様に、固定子、この固定子ヨーク部の内周または外周方向に突出したティース部、ティ−スに直接巻装される巻線、巻線とティースとの絶縁を行う絶縁部材であるインシュレ−タ、回転子に埋設された永久磁石にて構成されている。
この集中巻電動機に使用されるインシュレ−タは、上下2分割され円環状固定子に挿入され、複数のティ−ス毎に分割されていないいわゆる一体タイプのインシュレ−タである。このインシュレ−タは、コイルが直接巻装される巻枠部と、巻枠長手延長方向において固定子の内径または外径側に配置される壁部と、その壁部には電線の結線を行うための端子箱とを備え、樹脂注入口であるゲ−トは壁部の先端に設けられている。
この絶縁部材は特許文献1に示す様に樹脂モールド成形品もしくはティース部と一体モールド化されたもので曲げ弾性率、曲げ強度や寸法を規定し、且つ、オリゴマの抽出量の少ないPPS、PA、PBT、LCPなどが検討されている。なおこの中の液晶ポリエステルであるLCPの組成物の特性に関しては特許文献2にて説明されている。
特開2001−55979号公報(請求項1−3および請求項5、表1、図1、図2) 特開平10−46009号公報(0014欄乃至0018欄)
しかしながら、使用を検討されているPPS樹脂を用いてもオリゴマ−含有量の多いものは冷凍回路内で、オリゴマ−成分を溶出し、低温部に析出して回路を閉塞させる不具合があった。またPPS樹脂等は成分中に硫黄を含むため、溶融時に重合未反応成分等から硫黄を含んだ腐食性のガスを発生するため、金型寿命が短くなるなどの問題があった。
成形品に使用される樹脂は一般に高結晶性の樹脂であり、成形時の金型温度を高くし、金型内で保持する時間を長くして結晶化を促進させる必要があり、成形サイクルが長いとういう課題があった。またこれらの樹脂はバリが生成しやすいため、剥離したバリによる冷凍回路閉塞を防止するために、成形品のバリ処理が不可欠であった。ショットブラスト等のバリ処理を行う場合にはストレスにより成形品にクラックの生ずる恐れがあり、絶縁機能として必要とされる以上の肉厚としなければ成らず、加工費、材料費が高くなるという課題があった。LCPなどの樹脂を使用しようとしても複雑な成形品を製造する量産に対し多くの問題があるとともに、材料費も高いという問題があった。
また、固定子ティ−スと巻線間の絶縁材として成形した樹脂をティースに挿入する方式において、部位により収縮量絶対値の差違が大きい樹脂では、鉄心と樹脂成形品との挿入クリアランスが不均一となり、収縮率の少ない部分のクリアランスは大きくなるため、巻線工程における巻線張力や振動による巻乱れから、巻き込まれる量が減少して、スロット面積に対する巻線断面の比率である占線率が低下し、すなわち電動機の効率が低下を引き起こす。逆に収縮率の大きい部位はクリアランスが小さいかマイナス公差となり、ティースへの挿入時や巻線工程での巻線張力によりに成形品にクラックを生じ、絶縁機能を満足させられない。そのため電動機の効率と絶縁耐力を両立するためには、樹脂成形品の収縮率を小さく留めるように成形時の冷却時間を長くするか、絶縁機能として必要とされる以上の肉厚としなければならないという課題があった。
従来の集中巻式電動機に使用される絶縁材は、直接巻線が巻装される巻枠部と、巻枠長手延長方向において固定子の内径または外径側に設けた壁部と、内径または外径壁部に巻線の結線を行うための端子箱部より構成された樹脂成形品が用いられるが、樹脂注入口であるゲ−トを壁部頂部に設けた場合、多くのプレ−ト構成の金型での成形とする必要があり、金型構成部品点数が多く金型費用が嵩み製造時間がかかるという問題があった。以上の様に電動機の構造に対し、信頼性の高い絶縁物成形品を適用する場合安価で大量生産可能な製造が困難であるという問題があった。
本発明は以上のような問題を解決するもので、高効率、且つ、信頼性が高く大量生産が可能な電動機を提案するものである。更に製造サイクルが短く生産性の良い電動機の製造方法を提案するものである。更に簡単な構成で寿命の長いこの電動機の金型装置を提案するものである。更に信頼性が高く性能の良い冷凍・空調装置を提案するものである。
本発明の電動機は、固定子を形成するヨークの内周または外周方向に突出した複数ティース部を有する鋼板を積層された鉄心と、ティ−ス部に直接巻装され通電されるコイルと、コイルとティース部間に設けられ絶縁を行う各ティース事に分割されティースに挿入される絶縁部材と、絶縁部材を形成する成形品であって繊維状無機強化材もしくは無機充填材を30−40重量%程度含有する融点が350℃以下で結晶化潜熱が10J/g以下の高耐熱熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を成形して鉄心とコイルを絶縁する樹脂成形品と、を備え、樹脂成形品はティース部のコイルが軸方向に巻装される面の厚みを0.5ないし1.5mmとし、且つ、コイルが軸方向に巻装される面の表面粗さを10μmRz以下とする保圧圧力にて成形されるものである。
本発明の電動機は、固定子を形成するヨークの内周または外周方向に突出した複数ティース部を有する鉄心と、ティ−ス部に直接巻装され通電されるコイルと、コイルとティース部間に設けられ絶縁を行う絶縁部材と、絶縁部材を形成する繊維状無機強化材もしくは無機充填材を含有する融点が350℃以下で結晶化潜熱が10J/g以下の高耐熱熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を成形してティース部とコイルを絶縁する樹脂成形品と、を備え、金型にインサートされたティース部を覆う様に高耐熱熱可塑性樹脂を一体に成形する樹脂成形品は、ティース部のコイルが軸方向に巻装される面の厚みを0.3乃至0.9mmとし、且つ、コイルが軸方向に巻装される面の表面粗さを10μmRz以下とする保圧圧力にて成形されるものである。
本発明の電動機の製造方法は、固定子を形成する鉄心に直接巻装され通電されるコイルと鉄心間に設けられ絶縁を行う絶縁部材を、繊維状無機強化材もしくは無機充填材を30−40重量%程度含有し熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を金型に注入し射出成形するステップと、樹脂注入後絶縁部材成形品の表面粗さが10μmRz以下となる保圧圧力にて保圧を行うステップと、成形された樹脂成形品もしくは固定子と一体となった樹脂成形品を冷却後金型から取り出すステップと、を備えたものである。
この発明は、上記構成としたので、高効率かつ、絶縁信頼性が高い電動機が得られる。又信頼性の高い冷凍・空調装置が得られる。又信頼性が高い電動機を生産性の高い製造方法にて製造できる。又信頼性が高くメインテナンスの容易な電動機の金型装置が得られる。また、本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂(LCP樹脂)製のインシュレ−タは、融点が350℃以下としているため、成形を行う射出成形機などの熱負荷が少なく大量生産に問題が少ない。また、結晶化潜熱が10J/g以下としているので、熱可塑射出成形機の金型の中で樹脂が固化する際の発熱を抑えることが出来、結晶化潜熱が倍以上のPPSに比べ良いし、この結果、金型に対する熱負荷が減らせるので金型寿命に対して有効であり,製造設備が簡単になり量産が容易になる。
実施の形態1.
以下、本発明に係わる実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における集中巻型電動機の断面図である。また、図2は図1のスロット部20を拡大した図である。固定子1は固定子バックヨーク2の内側に突出したティース3に巻線4がインシュレータ5を介して巻かれている。固定子コア12は一円状に形成され、巻線4は回転子6が無い状態で固定子コア12の内径側から巻線機のノズルが挿入されて、このノズルを動かすことによりインシュレータ5を介してティース3に直巻きされる。いわゆる集中巻で巻装される。固定子1に対向して固定子1の内側には磁石7が鉄心の中に埋め込まれた回転子6が回転可能に配置され図示していない軸受で支持される。なお図1の巻線4の説明を分かりやすくするため実物より大きくし、且つ一部しか記載していないが、本発明ではティース3間の溝に密に巻線を巻くことが出来る。なお図1では巻線4の中心部の記載を省略してあるが実際は密着して巻回してある。これにより溝の中央部にティース巻線絶縁用のスペースやし切り(図示せず)を除く範囲を巻線で埋められるので巻線のスペースファクターが良くなり効率の良い電動機が出来る。
インシュレータ5は、エナメル線や絶縁被覆された巻線4と固定子12のヨーク部2やティース部3との間の絶縁を行なうために設けられるものである。圧縮機に用いるインシュレータ5としては、液晶ポリエステル樹脂(LCP樹脂)を用いる。このLCP樹脂とは、パラヒドロキシ安息香酸(4-HBA)、ヒドロキシナフトエ酸(2,6-HNA)を重合反応させて得られる熱可塑性樹脂である。このLCP樹脂は従来のインシュレータ材料に比べ、耐熱性や抽出性に優れ、成形時の溶融粘度が低く薄肉での流動特性に優れ、溶融状態から固化するまでの熱量移動量が少ないため、固化速度が非常に速くバリが生成しにくい、という特性とともに200℃以上の耐熱性(熱変形温度)を有している。
そのため、この電動機を圧縮機の駆動用に使用して高温高圧状態で冷媒や冷凍機油に露出して長期間使用されたとしても信頼性を確保できる。冷媒として、ジフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、クロロジフルオロメタン、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエ−テル、プロパン、ブタン、冷凍機油として、エステル系、エ−テル系、グリコ−ル系、アルキルベンゼン系、ポリαオレフィン系、ポリビニールエーテル系、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油のいずれの組み合わせに対しても安定性が高く、圧縮機電動機のインシュレータとして適している。また、本実施の形態に記載したインシュレータ材料は、薄肉成形する必要があり、この材料は溶融流動性に優れることから有効である。
本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂(LCP樹脂)製のインシュレ−タは、融点が350℃以下とし、これであれば成形を行う射出成形機などの熱負荷が少なく大量生産に問題が少ない。また、結晶化潜熱が10J/g以下とすると熱可塑射出成形機の金型の中で樹脂が固化する際の発熱を抑えることが出来、結晶化潜熱が倍以上のPPSに比べ良いし、この結果、金型に対する熱負荷が減らせるので金型寿命に対して有効であり,製造設備が簡単になり量産が容易になる。また溶融時の生成ガス量が200ppm以下(融点+30degの範囲)とすることにより金型の腐食をも抑えることが出来都合が良い。また、インシュレータの強度上から炭素繊維、ガラス繊維、炭化珪素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ−繊維、アルミナ粉、シリカ粉、硫化モリブデン粉、黒鉛粉のうちの少なくとも1つから選ばれる無機充填材を95重量%以下含有するものであって、10乃至50重量%含有するものが使い易い。このような樹脂には耐熱性や熱伝導性、あるいは費用的な問題からは充填材の含有率を増やすのが良いがあまり入れすぎると脆くなるなどの問題もあり10乃至50重量%含有するものが適当で、更に望ましくは30−40重量%程度を選択する。更にステアリン酸系金属塩の滑剤を添加しないか、3.0重量%以下添加した液晶ポリエステル成形品であり、コイルを直接巻装される巻枠部と、固定子の内径または外径側に配置される壁部と、その壁部には巻線の結線を行うための端子箱とを備え、内径または外径側の壁部の金型分割面近傍にサイドゲートを設け、ゲートサイズを1.2mm□以下とし、ゲ−トを凹形状部に設けている。固定子ティース部を覆い巻線が巻装される絶縁材の巻枠部の表面粗さを10μmRz以下としている。
ここでいう液晶ポリマ(LCP)とは、液晶構造を発現する高分子で、溶融時に分子が配向して流動しない固体と、分子が配向せずランダムな状態で流動する液体との中間状態となるもので、溶融時にこの液晶性を示す樹脂であれば流動性が良く射出成形が容易になる。本発明の液晶ポリエステル樹脂はベンゼン環類を有するモノマーをエステル結合で繋いだ全芳香族の主鎖型タイプで、この剛直鎖の配向により耐熱性や強度特性が得やすい。この樹脂に無機充填材を30又は40%混合し、290゜Cの融点で溶解時の生成ガス量が150ppm/g以下のものを成形に使用する。
図3は液晶ポリエステル樹脂とPPSとの特性比較を示す図であって、樹脂として液晶ポリエステル樹脂(LCP)は成形条件の変更を含め6種類と、参考用の従来例であるポリフェニレンサルファイド(以下PPS樹脂)を記載する。無機充填材はガラス繊維の充填量である。滑剤は射出成形時に金型から成形樹脂を外しやすくする離形材で、樹脂成形品を金型から外す時に抵抗が大きいと、樹脂が変形したり、かじりが発生するなどの問題が起こる。樹脂に含めるものと金型に吹きつけるものなどがあるが本発明の場合固化時の収縮が均一で樹脂自体の剛性が高いので離形しやすく離形材はほとんど使用しなくとも良いが、成形装置の軽量不安定を解決するため一部に内部離形剤を使用し、どのような成形装置のスクリュー形状でも使用できるようにしている。
図3の抽出量とはオリゴマ抽出量であって、高分子化合物は一般に分子量一万以上で規則的繰り返し構造を有しこの繰り返し数である数十から数百程度を重合体というが、この内、重合体が20程度までのものをオリゴマといい、このような低分子成分が冷媒や冷凍機油中に溶出してくる量のことである。オリゴマ抽出量が多いと冷媒回路中の低温部で析出し冷媒回路を詰まらせる原因となる。又熱可塑性樹脂は過熱すると溶融するが、融点はこの溶融温度で、この融点は、例えば示差走査熱量計(DSC)等で計測する。結晶化潜熱は、やはりDSCなどで溶融させた樹脂を一定速度で冷却降温したときに結晶ピークの面積から熱量を求めるもので、溶融後に固化する結晶性の樹脂はある温度で結晶化しこの時発熱するこの発熱量を言う。この発熱量が多いと冷却に時間がかかり、成形に時間がかかる。又熱可塑性樹脂は溶融時に微量ガスを発生する。これは樹脂製造段階で重合などが不充分で残留する未反応成分、末端基の反応による副生成物、不純物などが要因であったり、樹脂自体の微量熱分解で発生し、温度が高ければガス量も多くなる。このガス量が多いと金型へのスラグなどの付着も多くなり、腐食や摩耗が増加する。溶融時の生成ガス量によっては金型の腐食や摩耗で金型寿命が短くなる。
保圧とは射出した後冷却を行うまでの圧力を保つ時間でこれが極端に長いと成形サイクルが長くなってしまい、量産時に問題となる。グリセリンBDV値とは電線の絶縁層の絶縁耐力を測定する方法で、グリセリン溶液中に浸漬させた電線に電圧をかけ絶縁破壊する電圧、break Down Voltageを測定するもので、この電圧が高いほど絶縁信頼性が高く、特に低い部分があるとそこを基点としたレアーショート発生の原因となる。電動機の巻線はその巻線工程で冶具やノズルなどに電線が接触し絶縁皮膜は傷がつくし、巻線が直接巻回されるインシュレーター5の表面粗度が粗いと電線皮膜にも劣化などの影響がある。成形の際保圧を行う。樹脂が固化時に収縮しこの時縮や凹部など,ヒケを発生しやすい。この時射出する樹脂にシリンダーを回転させて圧力を掛けつづけ,即ち保圧により樹脂の充填量を確保してヒケを防止する。保圧が低い場合は表面粗度も大きくなり絶縁の信頼性を考えた表面粗さ10μmRZをこすのでPPS樹脂を成形する時の保圧より大きくすることが望ましい。この保圧をかけて金型の表面の形状を樹脂に移す金型転写性を良くすることが出来,成形後の樹脂の表面粗度が上がる。図3は、このLCP樹脂による効果を検証した結果でバリの有無や巻線の電圧破壊値などの信頼性評価や成形時の条件選択が得られている。
図3に示す様に、供試樹脂は、比較用としてPPS樹脂が1種、LCP樹脂が2種類であるが、LCPは成形条件(保圧)をそれぞれ3条件、と2条件に振って計6種について検証を行った。LCP樹脂は溶融粘度が低いため、成型機スクリュ−仕様によってはスクリュ−溝への食い込みが悪く、計量が安定しないことがある。これを防止する目的で滑剤を少量添加することがあるが、LCP−1cには脂肪酸アミド系の添加剤を、LCP−2にはステアリン酸系の添加剤をそれぞれ0.3wt%添加している。図3の各樹脂の成形品を粉砕して、クロロホルムによるソックスレ−抽出試験によりオリゴマ抽出量を評価した。LCP−1は抽出量がPPS樹脂の半分であり、LCP−2は添加剤を添加している分LCP−1より抽出量は増加するが、それでもPPS樹脂と同等であり、LCP樹脂は冷媒回路中の圧縮機に使用しても抽出物が冷凍回路を詰まらせるような不都合はなく、信頼性に優れることが分った。
次いでDSCにより各樹脂の融点を測定したが、いずれの樹脂も約290℃であることから、通常の射出成形機の耐熱性で十分対応可能である。またDSCにより結晶化潜熱を測定した。これは結晶性樹脂が溶融状態から固化するまでの間に発生する熱量を表すもので、この値が大きい場合は金型に保持して冷却する時間が多く必要で、この値が小さい場合は、容易に固化するので冷却時間は極短時間で良いことになる。この結果から、LCP樹脂は結晶化潜熱が3J/g以下と非常に小さいため冷却時間を短くしたハイサイクル成形が可能である。そして、各樹脂の溶融時の生成ガス量を測定したが、LCP樹脂はPPS樹脂に比べて生成ガス量が少なく、腐食性の硫黄成分も含んでいないため、金型メンテナンス頻度を減らせ、金型の長寿命化をはかれるというメリットを有している。
次に各樹脂を同一の金型・成形機を用いてインシュレ−タ形状に成形し、ティ−ス端面に対向する巻枠頂部における、表面粗度を測定した。続いてインシュレ−タをティ−スに挿入し、例えば巻線は線径φ1.1を用て実際に巻線を施した後、1タ−ンづつ巻き解き、巻線のグリセリン中でのBDV値を測定することにより巻線の被膜へ与えるダメ−ジを検証した。この結果から同等保圧条件下ではLCP樹脂はPPS樹脂に比べて金型転写性が若干劣り、成形品の表面粗度が低く、巻線被膜へのダメ−ジも表面粗度に比例して悪い結果であった。しかし保圧圧力を上げて成形することにより、表面粗度が向上し、巻線被膜へのダメ−ジを少なく出来ることが分った。つまりインシュレ−タにLCP樹脂を用いて、巻線が巻装される巻枠部の表面粗度を10μmRZ以下とすることで、巻線被膜へダメ−ジを与えず、絶縁信頼性を確保できる。
図4,図5,図6は固定子ティース軸方向に2分割し、ティース3の軸方向端部からそれぞれティーすに差し込まれるインシュレ−タ5の構造を示す。図4,図5はインシュレータ5の半分を示し,ほとんど図4,図5と同一形状のインシュレータ5を反対側の軸方向端部から差し込み突合せ部を一部重ね合わせる構造。にして巻線を俵巻になるように巻くことにより鉄心との間の絶縁を構成できる。図4の左側にはバックヨーク2の方から見た平面図を,右側にはその側面図を記載しており,回転子側の内径側壁9aとヨーク側の外形側壁9bの間に電線を巻く巻枠8が示されている。この図4を上から見た図が図5の上部側の図で,回転子側から見た図が下部側の図である。インシュレータの軸方向端部には端子箱10が一体成形されており,インシュレ−タの内壁9aの根本近傍に軸方向に設けた段差13を有し,この段差13の凹部にゲ−ト11を設け、ゲ−トのサイズを1.2mm□以下としている。即ち内壁9aの軸方向に段差13を設けて、段差13の凹部における金型分割面位置にゲ−ト11を設けている。この構成によれば、金型を2プレ−ト構造にできるので部品点数を抑えてコストを抑えられる。さらにゲ−トサイズを1.2mm□以下とし、凹部に設けたため、切り離し性が良好であり、さらにゲ−ト残りがあったとしても凹の部分であるため、内壁の外側端面まで突出せず、内壁対向位置で微小ギャップを隔てて回転する、回転子に接触することがない。なおこの図は各ティ−ス毎に分割したインシュレ−タであるが、各ティ−ス毎に分割せず複数のティースに連続して円環状や円弧上の一部で繋がった一体形状のものであっても同じ効果を奏する。
図6は円環状の固定子の軸方向に対して上下に2分割したインシュレ−タの巻枠部8の縦断面模式図である。このインシュレ−タ内径壁部9aに設けた段差の凹形状部における金型分割面近傍の1箇所にサイドゲ−ト11を設け、2プレ−ト金型で成形を行っている。図6の最上部の巻き枠頂部をとおる中心線の上にこのゲート11が設けられている。また図6のDは巻枠部根本の固定子ティ−ス端面に接する部分においてティ−ス直行方向の幅を示し、dは巻枠部の先端におけるティ−ス直行方向の幅を示し、金型のD寸法はPPS樹脂と同一とすると、LCP樹脂は成形収縮率が小さいため(PPS樹脂に比べてd/Dの値が大きい)、金型からの離型時や、固定子ティ−ス3への挿入時に加わる応力が低くなり、巻枠部根本でのクラックが生じなかった。またPPS樹脂比べて巻枠8の肉厚を低減できる。さらに巻枠部根本幅を、PPS樹脂より小さくしても応力が増加しないため、固定子ティ−ス3とのクリアランスを小さくできる。すなわち巻線行程における巻線張力と巻線機振動によるインシュレ−タ5のブレ量が減り、巻線の整列性の向上、すなわち占線率を向上させられるので、電動機効率が向上するという良好な結果が得られた。
図7は集中巻型電動機の固定子コアの製造方法について説明する。まず、図7(a)に示すような2種類のコア片20a,20bをフレす加工,即ち打ち抜きで形成する。例えば、磁性材料をプレス打ち抜きして2種類のコア片20a,20bを形成する。このコア片20a、20bには連結部22として、表面に凸部を裏面に凹部をそれぞれに設けている。
次に、図7(b)に示すように2種類のコア片20a,20bを積層する。積層は次のように行なう。まず、同じ種類のコア片20aを複数個の直線状(帯状)に配列することによりコア部材21aを形成する。次に、コア部材21aの上に他の種類のコア片20bを帯状に配列して層を形成する。この時、コア片20bの裏面の凹部がコア片20aの表面の凸部に嵌合するように積層する。すなわち、積層方向に相隣るコア片の凸部と凹部とが嵌合される。さらにコア片20bからなるコア部材21bの上にコア片20aを帯状に配列する。この時もコア片20aの裏面の凹部がコア片20bの表面の凸部に嵌合するように積層する。このようにコア片20aからなるコア部材21aとコア片20bからなるコア部材21bとを互い違いに積層していき、固定子コア12を形成する。
このように形成された固定子コア12は、コア片20a,20bにそれぞれ設けられた凸部・凹部の連結部22を中心に、回転可能となる。その後、この固定子コア12のティースに絶縁部材としてのインシュレータ5を取り付ける。このインシュレータはLCP樹脂にて成形されたものである。インシュレータ5を取り付けた後、図7(c)の様に、固定子コア12を直線状(バックヨ−クが水平状態)、またはティ−ス歯先が開くようにバックヨ−クを180°以上に展開した状態に保持して、インシュレータ5を介してティース3の回りに巻線4を施す。その後、連結部22を回転することにより環状に形成する。このようにして最終的に図1に示す固定子を製造する。
この電動機製造方法を採用することにより、巻線性が良く、より高効率な集中巻型電動機を提供できる。尚、この方法では、コア片20a,20bを形成してから、積層する手順で説明しているが、コア片20aを形成して積層し、その後コア片20bを形成して積層するというようにコア片の形成と積層を繰り返して行なうことで、固定子鉄心を形成するようにしてもよい。この固定子コアに対して、インシュレ−タをあらかじめ上下分割して、各ティ−ス毎に別ピ−スとして挿入する製造方式では、巻枠部の肉厚14は、樹脂流動性ら0.5mmが限界でそれより薄い場合は、挿入時や、巻線時の応力により巻枠根本にクラックが生じる。逆に1.5mm以上の肉厚とすると固定子スロット16の面積が減るため、電動機の効率が低下する。すなわち巻枠部の肉厚を0.5mmから1.5mmの範囲とすると生産性および効率に優れた電動機が提供できる。
次に、固定子コアを金型にインサ−トして、固定子ティ−スを覆うようにインシュレ−タを一体成形する場合について説明する。この方式によれば、あらかじめ上下分割したインシュレ−タを、各ティ−ス毎に別ピ−スとして挿入する方式に対して、固定子ティ−スとインシュレ−タのクリアランスはほぼゼロとなる。さらにガタ付きによる巻線性に乱れがないため、占積率が向上する。さらにインシュレータ毎にティース部に挿入する挿入行程がないため生産性が優れ、挿入時の応力による巻枠根本のクラック生成がないので絶縁特性を満たすためだけの最低限の巻枠肉厚とすればよいので、占積率を向上させられる。巻枠の肉厚としては、巻枠肉厚は0.2mmあれば絶縁特性を満たせることが出来る。逆に肉厚が1.5mmを越える固定子スロット16の面積が減るため、電動機の効率が低下する。すなわち巻枠部の肉厚0.2mmから1.5mmの範囲とすると生産性および効率に優れた電動機が提供できる。この様に固定子に一体に成形された絶縁成形体5は巻線時に余計な応力が加わることも無く,即ち絶縁と鉄心との間に隙間など応力の高くなる要素が存在しないため0.2ミリメートルの厚み以上であれば問題ないし,巻き枠の形状を鉄心形状にフィットさせて一体に出来、更に薄い形状を製造しやすいので、各種絶縁仕様やサイズ,形状など巻線の違いを考えても1.5ミリメートルよりも薄いもので良く、高々0.9ミリメートルの厚みがあれば巻線作業上も問題点は無くなると判断される。
図8は固定子のバックヨーク部2、複数のティース部3、当該複数のティース部間を繋ぐ連結部22を有し、当該連結部22において折り曲げ可能なコア12の巻線方法説明図で、図8aはこの固定子を金型にインサ−トしてバックヨ−ク2と巻線4との絶縁を行うウェッジ15を、ティ−ス3の歯先と平行方向に薄肉形状にインシュレ−タ5ともに一体に成形する行程を示し、図8bは連結部22を可動させ各ティ−ス3先端側を開いてバックヨ−クを180°以上に展開した後に樹脂を加熱させた上で冶具等の機械的手段等用いてウェッジ15をティ−ス直角方向に変形を加え、その後ティ−ス3に直接巻線を行う工程を示し、図8cは巻線後に、変形させたウェッジ15を前記と同等方法により再度ティ−ス3直角方向に戻す工程を示し、展開したティ−ス3は連結部22を可動させて最終的に図1に示すような環状とする。この方式によれば、絶縁紙やシ−ト状絶縁樹脂等をティース間絶縁として挿入することなく固定子バックヨ−ク部2と巻線4との絶縁を確実にできるので、部品点数の削減ができる。
図9はインシュレータ5を固定子コア12に挿入する工程を説明する説明図である。図8aの様に巻線が無い状態でコアに挿入されるので簡単な作業で行える。以上のような製造方法で製造される電動機は、電動機の低振動、低騒音化のためには電動機のスロット数および極数を多くすることが有効である。従来の集中巻式電動機は巻線占積率が低いため、極数を多くするのに限界があったが、本発明の集中巻式電動機は固定子スロットの占積率を高くできるので、スロット数および極数を多くしても効率の低下がないため、4ヶ以上の極数、より好ましくは6極とする事が可能で、小型で、性能が良いものが得られる。
図10は射出成形装置50の金型装置中でインシュレータ5を成形している状態を説明する説明図で,金型装置は固定金型37と可動金型36よりなる。図示していない射出成形装置から注入された上記で説明した樹脂の溶融品を、金型内の樹脂流動路であるスプルー34、ランナー35を通してゲート11から成形品5の形状を決めている金型内の空間へ供給される。固定金型と可動金型の境界である金型分割面はランナーと接続するゲート11の存在する面であり,この結果2プレート金型と出来るので部品点数の少ない製造装置が得られる。しかも3プレート金型機に比べ成形サイクル時間が短くなり大量生産にも有効である。もちろん3プレート金型など多くのプレートを有する金型にすればより複雑な形状やゲートを壁部先端に設けるなどゲート位置を自由に選択できる。
図11に射出成形装置全体を説明する説明図を示す。射出成形機は計量されて一定量が決められた樹脂のペレットや粒体を投入するホッパー38から供給されたシリンダー39内で樹脂を溶融させスクリュー40で金型装置の方へ押し出す。射出成形機から固定金型37に押し込まれた溶融樹脂はスプルー34などの流道路から成形品60の空間へ注入される。可動金型36は固定盤42に対し固定金型37の方向へ駆動されて金型装置が一体となり,型締めが行われた後でこの樹脂の注入が射出されて行われる。樹脂注入後保圧され、冷却されて固化した後で可動金型36が固定盤42の方向へ成形品を固着したままゲートで破断して引き剥がされる。又後射出成形機も可動盤41により固定金型37から引き離される。成形品はピンにより可動金型から押し出されて取り出すことが出来る。
射出成形は以上の様に、計量,型締め,射出,保圧,冷却,離型,製品取出し,の工程で1サイクルが構成される。第1サイクルの冷却工程中に第2サイクルの計量が開始されるので計量時間は射出成形サイクルに入れないとすると、型締めから製品取出しまでが1サイクルの時間となる。方締めと取り出し時間は成形装置能力と金型構造に依存するので、射出,保圧,冷却時間が樹脂特性に依存する。既に述べてきた様に,本発明のLCP樹脂を使うことによりこのサイクル時間を短縮でき,且つ,冷却などに大掛かりな成形装置を使わなくとも済み,簡単に量産が可能になる。
以上のとおり,図10に示す装置で製造されるインシュレータ5は、ティース軸方向に分割したもので,巻線が巻かれる巻枠8と巻き線4がティース直角方向に線漏れするのを防止するため軸方向延長方向のコイルエンドに対向する位置に設けられた内径壁又は外形壁9a,9bより構成され,外形壁部には巻き線の結線を行うための端子箱10が設けられる。内径壁部には図5に示す様に1−2ミリメートル程度の段差13を設けこの引っ込んだ部分に1.2mm角より小さな面積のゲートを設けて、熱可塑性の液晶ポリエステル樹脂により成形されたものである。成形にあたっては金型分割面を図10の如くインシュレータ5の巻枠部8が固定子ティース端面に接する面で、巻き枠頂部の裏側の面と同一面で,ゲート11の近傍に設ける。固定金型37側にインシュレータ5の内外径壁部,巻枠頂部の形状をしたキャビティおよびランナー,ゲートを形成し,可動金型36側には巻枠部の頂部より下側の形状のキャビティを形成させる。これにより樹脂の注入をスムースに行え,且つ,製品の成形と離型が簡単に行える2プレート金型で樹脂成形品を製造できる。なお金型装置の場合大きな射出圧力が金型に作用するため,この力に耐える様に油圧やエアー圧により型締めを行う。
金型のキャビティ内部に樹脂が充填された後冷却・固化によりインシュレータ5が形成される。次に型開きを行い可動金型に埋設されたイジェクトピンを突出させることにより製品およびランナ―から金型を取り出す。この際にイジェクトピンを製品側の巻枠頂部裏側の面とランナー部双方に設けて、ランナー側ピンにアンダーカット部を設け,ランナー側だけ保持しインシュレーたー成形品より離型を送らせて、即ちピン突出のタイミングをずらして製品をランナーより若干早め可動金型から切り離すことによりゲートへの力をあまりかけずにランナー35をゲート位置で切り離す工程を省略することが出来る。これによりゲート切り離し工程が不要になるだけでなく,ゲート切り離し後のゲート残りを短く抑えることが可能になりこのゲート残りが段差の凹部から突出せず、ゲート処理も不要に出来るので工程が簡素化でき生産性に優れた生産方式とすることが出来る。
以上の様に、固定子を形成する鉄心に直接巻装され通電されるコイルである巻線とヨークやティース間に設けられ絶縁を行う絶縁部材を、繊維状無機強化材もしくは無機充填材を含有する本発明の液晶ポリエステル樹脂を金型に注入して樹脂成形品を成形して製造する際、この液晶ポリエステル樹脂は融点が350゜C以下、融解時の生成ガス量が200ppm以下であって、結晶化潜熱が10J/g以下のものを前記金型に注入して熱可塑性射出成形するので、射出から成形品取出しまで簡単で早い電動機の製造方法が得られる。更に樹脂成形品のコイルの軸方向端部であるコイルエンドに対向する部分であって内径側もしくは外径側の壁部先端又は壁部根元部の成形品凹部に設けたゲートから液晶ポリエステル樹脂を注入するのでゲート処理工程なども省略できる。なお上記説明は内径側壁面に凹部を設け個々にゲートを持ってくる形状の説明をしたが外径側壁面の端子箱などの凹部であっても良いし,更に、固定子の内側に回転子を回転させる構造の電動機にて説明してきたが、アウターローター,即ち固定子を中心側に設け外側に回転子を配置する構造でも同様な形状,製造方法が可能であることは当然である。
図12,図13は本発明の液晶ポリエステル樹脂を使用した射出成形により成形品を製造する別の成形装置の構成を説明する説明図である。即ち固定子1を形成するヨーク2の内周または外周方向に突出した複数ティース部3を有する鉄心と、このティ−ス部3に直接巻装され通電されるコイルである巻線4と、コイル4とティース部3間に設けられ絶縁を行う絶縁部材であるインシュレータ5と、を備えた電動機を製造する際,絶縁部材5として、繊維状無機強化材もしくは無機充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂を金型に注入して樹脂成形品を成形する時に、金型に固定子1をそのまま埋め込み,特にティース部3に直接樹脂が密着して一体となるようにキャビティにこのティースを挿入してから、液晶ポリエステル樹脂を注入し、前記固定子と前記樹脂成形品を一体に成形するものである。
この製造方法では先に図8で説明した固定子1のヨ−ク2とコイル4との絶縁を行うウェッジ15を、固定子1のティ−ス部3の歯先と平行方向に薄肉形状に金型内で一体に射出成形を行なうことが出来る。このように電動機の固定子を形成する鉄心ティース部に直接巻装され通電されるコイルと鉄心間に設けられ絶縁を行う絶縁部材を形成するように、繊維状無機強化材もしくは無機充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂を注入して樹脂成形品を成形する金型の場合,固定子の鉄心部分を覆うとともに、ティース部3の周囲にキャビティを設け,このキャビティを覆う様な構成としている。
図12は金型の正面図で,図13は金型の側面図である。射出成形機のノズル51は固定盤42と接触しては樹脂を射出し,終わると離れる構造で,固定盤42からランナーストリッパー52,固定金型37に設けてある溶融樹脂の流路であるスプルー34,ランナー35を経由してゲート11からキャビティに樹脂が注入される。成形時は固定金型37に型締めされ一体にキャビティを形成する可動金型36はスライド金型36Aとスライド金型36Bが可動盤41にも受けられ記載していないインジェクションピンとともに、固定金型に型締め,型開きし、成形品を取り出す構成にしている。
このインシュレータ一体成形金型による製造方法では図8の様に、先ず各ティース部を連結する連結部22により展開自在に稼動させてバックヨーク2を水平状態とする。図12の金型装置が型開きの状態で可動盤41にバックヨークを図の下側にして固定子コア1をスライド金型36Bの所定位置に固定する。このスライド金型Bは少なくとも1対設けられ例えば一方を固定し,他方を横方向にスライドさせてヨークを設定された位置である一方へ押し付けて両側から抑えこむ。次に固定子コア1の軸方向両端面を絶縁材5の空間を介して覆うスライド金型36Aも軸方向両側からスライドさせ固定子スロット部に挿入し,固定子スロット中央部で付き合わせる。ついで可動盤41、スライド金型36A,36Bの可動金型をを油圧やエアー圧にて駆動し固定金型に固定し、ランナーストリッパープレート52,固定盤共々型締めを行い,各方向における圧力を成形時の樹脂圧力以上の圧力で保持する。こうして固定子コア,スライド金型36A,36Bおよび固定金型によりインシュレータ形状で樹脂が注入される空間であるキャビティが形成される。
続いて射出成形機のシリンダーノズルを固定盤の溶融樹脂入口であるスプールブッシュに接触させて液晶ポリエステル樹脂を射出する。スプルー34,ランナー35,ゲート11を通過した溶融樹脂はキャビティ内に流動して金型内の配管に通水するなどの冷却を行い,樹脂を固化して固定子コアとともにインシュレータ5を一体に成形させる。本発明のように流動性の良い樹脂を使用するが,更に加えて,ゲートは各ティース毎にインシュレータ内壁部分に例えば1ヶ所設け,樹脂流動長さコア積層厚さの半分とし,樹脂が射出され流動中に固化してショート不良となるのを防止している。図に示す様にスライド金型36A,36Bの間や固定金型とスライド金型間にウエッジ15のキャビティを設けることにより成形時にインシュレータ5と一緒にウェッジ15をどのような形状、例えば部分的に薄くするなどしても成形できる。なお図8の説明ではウェッジ位置を外径壁側だけに設ける構造を説明したがこの様に内径壁側にも簡単に設けることが出来る。
この様に、固定子のバックヨーク部、複数のティース部、複数のティース部間を繋ぐ連結部を有し、当該連結部において折り曲げ可能な固定子鉄心とし、固定子鉄心を金型装置にインサートして絶縁樹脂と一体に成形することにより、固定子ティース部の軸方向において巻線が巻装される面の絶縁材成形品の肉厚を0.3から0.9mmとすることが出来,さらに一層効率が良く信頼性の高い電動機を製造することができる。
なおウエッジ15を有する構造の場合の製造では,先ずバックヨ−クと巻線との絶縁を行うウェッジを、ティ−スの歯先と平行方向に薄肉形状に金型内で一体に射出成形を行う工程と、連結部を可動させ各ティ−ス先端側を開いてを水平方向以上に展開した後に樹脂の熱変形温度以上に過熱させるか、冶具等の機械的手段を用いてウェッジをティ−ス直角方向に変形を加えてからティ−スに直接巻線を行う工程と、巻線後に変形させたウェッジを前記と同等方法により再度ティ−ス直角方向に戻し、展開したティ−スを間接部を可動させて環状とする工程による作業により製造することが出来る。
上記は連結部22を有し展開可能な固定子を水平方向に伸ばしてから射出成形したが,円環状の固定子を金型にインサートして絶縁樹脂と一体に成形することも可能であり,これにより固定子ティース部を覆い、ティ−ス部の軸方向において巻線が巻装される面の絶縁材成形品の肉厚を0.3から0.9mmと薄い絶縁にすることが出来る。水平展開状態で巻線を巻く作業では無理な力をかけることなく簡単な作業のため絶縁の厚みは絶縁耐力だけで決めることが出来0.2mm以上とより薄く出来るが,円環状固定子にコイルを巻く作業には巻線機の複雑な作業により力の方向が変わるなど絶縁に加わる負担を考え0.3mm以上の薄さが必要である。
別の金型装置の説明を図16乃至図19にて示す。図16は型締めしている金型装置のキャビティにインシュレータ5が成形機ノズルより射出された溶融樹脂が固化している状態を示す。射出された溶融金属は溶解プラスチックを移送する経路71を通りランナー35からゲート11を介し金型本体の型板に角穴又は丸穴を掘り込み穴に嵌めこまれたコア入れ子74、75のなかに設けられたキャビティに充填され固化されてインシュレータ5となる。この時途中の通路にもスプルー34やランナー35の如く溶融金属が充填されて固化する。この状態ではエジェクタープレート下79に埋設されたロック押だしピン82は,頭部の下方にクリアランスdを設けている。エジェクタープレート上下78、79が、成形機の動力を伝達するシャフトであるエジェクターロッド81により上昇した時に、このクリアランスdの距離まで押だしピン82は動作しない。そのため同じくエジェクタープレート78、79により押し出されるエジェクターピン77に比べランナーロックピン76は動き出しが遅くなり動作タイミングが遅れることになる。即ちランナーロックピン76はエジェクターピン77とは時間差を置いて動作することになる。また型開きの時ランナーを可動側にひきつけスプールブッシュからスプールを引き抜くとともに製品とランナーをゲート11で切り離す役目であるランナーロックピン76を押し出してランナー35を金型から取り出す役割であるロックピン押だしピン82の上部は図16B部詳細に記す如くランナー35のアンダーカット部にはまり込む形状をしている。ランナーに食い込み可動側固に保持されるようであればアンダーカットで無くとも良い。エジェクタープレート78,79は押し出し装置が可動するためのスペースを造るスペーサーブロック80の範囲内で動くことが出来る。
図17は図16から金型が開く工程を説明する図で、可動金型が成形機の動力により下のほうへ開く型開きを示している。金型の可動側と固定側が切り離されることにより溶融金属が固化した樹脂成形製品であるインシュレータ5,ランナー35,スプルー34などはそのまま可動側金型に接着した状態で残り,固定側から離型される。
図18は可動側金型から成形品を離型させる動作を説明する図で,離型のため製品突き出し動作を油圧などにより駆動されるエジェクタロッド81が行う。このエジェクタロッド81がエジェクタプレート78、79を固定側へ動かしエジェクタピン77が成形品5を金型から先ずクリアランスd寸法だけ押し出す。この時ランナー35はランナーロックピン76により保持されているので、製品5とランナー35はゲート位置で自動的に切断される。先に説明した様にゲートを1.2mm角以下としているので、ピンによる押し出しのみで容易に成形品とランナーは切断される。逆にいうと寸法dはこの切断を行える寸法以上にすれば良い。図19は製品およびランナー他を取り出す説明図で,エジェクタープレート78,79が更に上昇するとゲート位置で切断されたランナーはロックピンにより金型から押し出されるので簡単に取出しが可能となる。この様に射出成形製品と金型内の経路などの溶融固化品であるランナーなどとは離型に時間差を持たせることにより成形サイクルが簡単になる。当然製品も金型から押し出され、ロボットアームによりチャックして取り出せる位置に着た時に製品と,スプルーをつけたランナーは同時に取り出しが可能となる。このような構成により簡単で短時間の射出成形サイクルを行うことが出来る。
図14にてPPS樹脂とLCP樹脂の成形サイクルの比較を説明する。先に説明した様に成形サイクルは型締め,射出,保圧,冷却,離型、製品取出しの各工程での作業が行われるが,本発明の液晶ポリエステル樹脂では結晶化潜熱が大幅に小さく,結晶化樹脂は冷却時の固化するまでの熱量が小さいので発熱が小さく冷却時間が大幅に低下していることがわかる。他の工程は大差ないとしても金型の冷却が早く成形サイクルが大幅に短く出来るので製品が短時間で得られ,簡単に量産が可能となる。以上の様に本発明は、高効率、且つ、信頼性が高く大量生産が可能な電動機が得られる。更に製造サイクルが短く大量生産に適した電動機の製造方法を得ることが出来る。更に簡単な構成で寿命の長いこの電動機の金型装置となるものである。
図15には本発明の電動機を冷凍サイクルにおける圧縮機に使用した場合の冷媒回路図を示す。図は圧縮機30、蒸発器31、凝縮器32、絞り33から構成される冷凍回路を示し、圧縮機30は密閉構造の容器の内部に圧縮機高部を駆動する電動機が内蔵されており、本発明の集中巻式電動機を搭載している。この冷媒回路では圧縮機で圧縮され高温高圧のガス冷媒とされ、凝縮機32で冷媒の温度が低下し液体化した後で、絞り33で圧力が低下し,蒸発器で蒸発してほぼガス状態となって再び圧縮機に戻されるが、内蔵された電動機にはこのような冷媒や圧縮機構などを回転させるなどの潤滑油が常に浸漬された状態となる。この回路内に冷媒、冷凍機油を内包し、冷媒としてジフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、クロロジフルオロメタン、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエ−テル、プロパン、ブタンのうち少なくとも一種と、冷凍機油として、エステル系、エ−テル系、グリコ−ル系、アルキルベンゼン系、ポリαオレフィン系、ポリビニールエーテル系、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油のうち少なくとも一種とを組み合わせて使用したても、運転中の温度や圧力の状態でこれらの冷媒や潤滑油により電動機の絶縁物が影響を受けても、本発明の電動機ではスラッジ生成等の問題を起すことなくによる回路閉塞がなく長期信頼性に優れる冷凍空調機を得ることが出来る。更に本発明の電動機の回転子に、燒結永久磁石またはプラスチック系のフェライト永久磁石又は希土類永久磁石が用いられた場合でも冷媒や冷凍機の影響が無く、且つ電動機の効率がより高くなり,絶縁性能を確保でき,信頼性が高い電動機や冷凍空調装置が得られる。
以上の様に本発明の電動機は、積層鋼板により形成される円環状バックヨークと当該バックヨークの内周または外周方向に突出した複数ティース部を有する鉄心と、ティ−スとティ−スに直接巻装されるコイルと、このコイルとティースとの絶縁を行う絶縁部材(インシュレ−タ)から構成された固定子を有する集中巻式電動機において、絶縁材が、DSCにより測定される融点が350℃以下、結晶化潜熱が10J/g以下、溶融時の生成ガス量が200ppm以下(融点+30degの範囲)、炭素繊維、ガラス繊維、炭化珪素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ−繊維、アルミナウィスカ−繊維等の繊維状無機強化材、もしくはシリカ粉、硫化モリブデン粉、黒鉛粉等の無機充填材のうちから選ばれる少なくとも1つを95重量%以下含有し、滑剤を添加しないか、ステアリン酸系または脂肪酸アミド系の滑剤を3.0重量%以下添加した液晶ポリエステル成形品であり、信頼性が高く製造が簡単である。
又本発明では、絶縁材はコイルを直接巻装される巻枠部と、固定子の内径または外径側に配置される壁部と、その壁部には巻線の結線を行うための端子箱を備え、内径または外径側のいずれかの壁部にサイドゲ−トを設け、ゲートサイズを1.2mm□以下としており結線も簡単で、見栄えの良いものが得られる。
また、固定子ティース部を覆い巻線が巻装される絶縁材の巻枠部の表面粗さを10μmRz以下としたので絶縁信頼性が高い。
また、円環状の固定子の軸方向に対して上下に2分割した絶縁材成形品を挿入し、固定子ティース部の軸方向において巻線が巻装される面の成形品肉厚を0.5から1.5mmとし、内径または外径側の壁部に段差を設けて、段差の凹形状部における金型分割面近傍の1箇所にサイドゲ−トを設け、2プレ−ト金型で成形したので、製造装置が簡単で安価となる。
また、固定子のバックヨーク部、複数のティース部、当該複数のティース部間を繋ぐ連結部を有し、当該連結部において折り曲げ可能な固定子鉄心とし、各ティース部に対して一対の上下分割された絶縁材成形品を挿入し、固定子ティース部を覆い、ティ−ス部の軸方向において巻線が巻装される面の絶縁材成形品の肉厚を0.5から1.5mmとし、内径または外径側の壁部に段差を設けて、段差の凹形状部における金型分割面の1箇所にゲ−トを設け、2プレ−ト金型で成形したので,効率の良いモーターを生産性良く生産できる。
また、円環状の固定子をインサートして絶縁樹脂と一体に成形し、固定子ティース部を覆い、ティ−ス部の軸方向において巻線が巻装される面の絶縁材成形品の肉厚を0.3から0.9mmとすることにより、高効率な電動機とすることができる。
また、固定子のバックヨーク部、複数のティース部、当該複数のティース部間を繋ぐ連結部を有し、当該連結部において折り曲げ可能な固定子鉄心とし、固定子鉄心をインサートして絶縁樹脂と一体に成形し、固定子ティース部の軸方向において巻線が巻装される面の絶縁材成形品の肉厚を0.2から0.9mmと出来,一層効率を改善できる。
また、バックヨ−クと巻線との絶縁を行うウェッジを、ティ−スの歯先と平行方向に薄肉形状に金型内で一体に射出成形を行う第一の工程と、連結部を可動させ各ティ−ス先端側を開いてを水平方向以上に展開した後に樹脂の熱変形温度以上に過熱させるか、冶具等の機械的手段を用いてウェッジをティ−ス直角方向に変形を加えてからティ−スに直接巻線を行う第2の工程と、巻線後に変形させたウェッジを前記と同等方法により再度ティ−ス直角方向に戻し、展開したティ−スを間接部を可動させて環状とする第3の工程により製造することにより,より信頼性の高い絶縁性能を簡単に得られる。
本発明の実施の形態の電動機断面図。 本発明の図1のスロット部分を拡大した説明図。 本発明の実施の携帯における樹脂である液晶ポリエステル樹脂と従来の樹脂であるPPSとの特性比較を示す図。 本発明の実施の形態におけるインシュレ−タ正面図および側面図。 本発明の実施の形態におけるインシュレ−タのゲ−ト位置と端子箱を示す図。 本発明の実施の形態における電動機のインシュレ−タの巻枠の縦断面模式図。 本発明の実施の形態における固定子の製造方法を示す図。 本発明の実施の形態における固定子の製造方法を示す図。 本発明の実施の形態における固定子の製造方法を示す図。 本発明の実施の形態における固定子の製造方法および装置を示す図。 本発明の実施の形態における射出成形装置を説明する説明図。 本発明の実施の形態における製造装置を説明する図。 本発明の実施の形態における製造装置を説明する図。 本発明の実施の形態における成形サイクル比較図。 本発明の実施の形態における冷凍空調機の冷媒回路説明図。 本発明の実施の形態における金型説明図。 本発明の実施の形態における金型説明図。 本発明の実施の形態における金型説明図。 本発明の実施の形態における金型説明図。
符号の説明
1 固定子、 2 固定子バックヨ−ク、 3 ティ−ス、 4 巻線、 5 インシュレ−タ、 6 回転子、 7 永久磁石、 8 巻枠、 9 壁部、 10 端子箱、 11 ゲ−ト、 12 固定子コア、 13 壁部段差、 14 巻枠肉厚、 15 ウエッジ、 16 スロット、 20a,20b コア片、 21 コア部材、 22 連結部、 30 圧縮機、 31 蒸発器、 32 凝縮器、 33 絞り部, 34 スプルー、 35 ランナー、 36 可動金型, 37 固定金型、 38 ホッパー、 39 シリンダ, 40 スクリュー, 41 可動盤, 42 固定盤, 50 金型装置, 51 ノズル, 52 ランナストリッパー、 71 溶融プラスチックを移送する経路, 74 キャビティ側入れ子, 75 コア入れ子, 76 ランナーロックピン, 77 エジェクターピン, 80 スペーサーブロック, 81 エジェクターロッド, 82 ロック押だしピン。

Claims (7)

  1. 固定子を形成するヨークの内周又は外周方向に突出した複数ティース部を有する鋼板を積層された鉄心と、前記ティース部に直接巻装され通電されるコイルと、前記コイルとティース部間に設けられ絶縁を行う各ティースごとに分割され前記ティースに挿入される絶縁部材と、前記絶縁部材を形成する成形品であって繊維状無機強化材若しくは無機充填材を30−40重量%程度含有する融点が350℃以下で結晶化潜熱が10J/g以下の高耐熱熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を成形して前記鉄心と前記コイル間を絶縁する樹脂成形品と、を備え、前記樹脂成形品は、前記ティース部の前記コイルが軸方向に巻装される面の厚みを0.5乃至1.5mmとし、且つ、前記コイルが軸方向に巻装される面の表面粗さを10μmRz以下とする保圧圧力にて成形されることを特徴とする電動機。
  2. 前記各ティース毎に分割される絶縁部材は、前記ティース部の前記コイルが軸方向に巻装される面を上下方向に分割することを特徴とする請求項1記載の電動機。
  3. 固定子を形成するヨークの内周又は外周方向に突出した複数ティース部を有する鉄心と、前記ティース部に直接巻装され通電されるコイルと、前記コイルとティース部間に設けられ絶縁を行う絶縁部材と、前記絶縁部材を形成する繊維状無機強化材若しくは無機充填材を含有する融点が350℃以下で結晶化潜熱が10J/g以下の高耐熱熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を成形して前記ティース部と前記コイル間を絶縁する樹脂成形品と、を備え、金型にインサートされた前記ティース部を覆うように前記高耐熱熱可塑性樹脂を一体に成形する前記樹脂成形品は、前記ティース部の前記コイルが軸方向に卷装される面の厚みを0.3乃至0.9mmとし、且つ、前記コイルが軸方向に巻装される面の表面粗さを10μmRz以下とする保圧圧力にて成形されることを特徴とする電動機。
  4. 前記樹脂成形品は繊維状無機強化材若しくは無機充填材を30−40重量%程度含有することを特徴とする請求項3記載の電動機。
  5. 回転子に、焼結永久磁石又はプラスチック系のフェライト磁石又は希土類永久磁石が用いられたことを特徴とする請求項1乃至の少なくともいずれかに記載の電動機。
  6. 請求項1乃至5の少なくともいずれかに記載の電動機を搭載した圧縮機を使用し、凝縮器、絞り機構、蒸発器により構成され、冷媒がジフオロメタン、1、1、1、2、2―ペンタフルオロエタン、1、1、1、2―テトラフルオロエタン、1、1、1―トリフルオロエタン、クロロジフルオロメタン、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエーテル、プロパン、ブタンの内の少なくとも一種であり、冷凍機油が、エステル系、エーテル系、グリコール系、アルキルベンゼン系、ポリαオレフィン系、ポリビニールエーテル系、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油の少なくとも一種であることを特徴とする冷凍・空調装置。
  7. 固定子を形成する鉄心に直接巻装され通電されるコイルと前記鉄心間に設けられ絶縁を行う絶縁部材を、繊維状無機強化材もしくは無機充填材を30−40重量%程度含有し結晶化潜熱が10J/g以下の高耐熱熱可塑性樹脂である液晶ポリエステル樹脂を金型に注入し射出成形するステップと、樹脂注入後絶縁部材成形品の表面粗さが10μmRz以下となる保圧圧力にて保圧を行うステップと、成形された樹脂成形品若しくは固定子と一体になった樹脂成形品を冷却後金型内から取り出すステップと、を備えたことを特徴とする電動機の製造方法。
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