JP2000223338A - 圧縮成形装置および圧縮成形方法 - Google Patents

圧縮成形装置および圧縮成形方法

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JP2000223338A
JP2000223338A JP2731399A JP2731399A JP2000223338A JP 2000223338 A JP2000223338 A JP 2000223338A JP 2731399 A JP2731399 A JP 2731399A JP 2731399 A JP2731399 A JP 2731399A JP 2000223338 A JP2000223338 A JP 2000223338A
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compression molding
cooling
molding apparatus
punch
molding
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Toshiaki Yamagami
利昭 山上
Kiyoshi Shiobara
清 塩原
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Seiko Epson Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0253Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets
    • H01F41/0266Moulding; Pressing

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質、高寸法精度の成形体を容易かつ短時間
に製造することができる圧縮成形装置および圧縮成形方
法を提供すること。 【解決手段】圧縮成形装置1は、ボンド磁石を圧縮成形
するための圧縮成形装置であって、圧縮成形用の外型2
と、該外型2内に充填された成形材料15を圧縮する上
パンチ7および下パンチ8とを有している。外型2は、
軸方向に沿って、成形材料15を加熱する加熱部3と、
成形材料15を冷却する冷却部5と、これらの間に位置
する断熱部4とで構成されている。上パンチ7および下
パンチ8は、それぞれ、外型2に対しその成形空間21
内で軸方向に相対的に移動することができる。上パンチ
7の加圧面71付近を除く部分の外周には、空隙部73
が形成され、下パンチ8の加圧面81付近を除く部分の
外周には、空隙部83が形成されている。これらの空隙
部73、83は、断熱効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮成形装置およ
び圧縮成形方法、特に、ボンド磁石を圧縮成形により製
造するための圧縮成形装置および圧縮成形方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ボンド磁石は、磁石粉末と結合樹脂(有
機バインダー)との混合物(コンパウンド)を所望の磁
石形状に賦形して製造されるものである。この成形方法
には、大別して、圧縮成形法、射出成形法および押出成
形法がある。
【0003】このうち、圧縮成形法は、磁石粉末と結合
樹脂(有機バインダー)との混合物または混練物である
コンパウンドをプレス金型中に充填し、これを圧縮成形
して成形体を得、その後、結合樹脂が熱硬化性樹脂であ
る場合にはそれを硬化(キュア)させて磁石とする方法
である。この方法は、他の方法に比べ、結合樹脂の量が
少なくても成形が可能であるため、得られた磁石中の樹
脂量が少なくなり、磁気特性の向上にとって有利であ
る。
【0004】しかしながら、このような圧縮成形法によ
る磁石の製造には、次のような欠点がある。
【0005】すなわち、製造された希土類ボンド磁石
は、成形体の密度は高いものの空孔率が高くなる傾向を
示すため、機械的強度が弱く、耐食性に劣る。そのた
め、特に圧縮成形法においては、成形圧力を100kgf/
mm以上と高圧にする高圧成形を行っていたが、高圧成
形は、成形機への負担が大きい。
【0006】そこで、成形圧力を下げるために、温間成
形、すなわち、金型温度を結合樹脂の溶融温度領域で成
形する方法も提案されている。この場合、金型の内部ま
たは外部にヒータを配設し、該ヒータを作動させて金型
を所定の温度に加熱した状態で成形材料を圧縮成形し、
その後、成形体を金型内に残したままヒータをOFFに
して成形体を金型毎自然冷却(放冷)もしくは、水や冷
風等により強制冷却するか、または成形体を金型から除
材して自然冷却(放冷)する方法が採られる。
【0007】また、結合樹脂が熱硬化性樹脂の場合には
圧縮成形後、金型を更に硬化温度まで加熱して金型内で
樹脂の形状を維持できる温度まで硬化させる方法が採ら
れる。
【0008】しかしながら、このような方法では、製造
工程が複雑であり、また、成形体を冷却するのに長時間
を要するので、生産性が低い。特に、成形体を金型から
除材して冷却する場合には、成形体の形状を保持するた
めに、成形体の温度がある程度下がった状態まで待って
除材しなければならず、そのために、成形開始から成形
完了までに要する時間(サイクルタイム)が長くなって
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
問題を解決するために、図11に模式的に示すように、
圧縮成形用の外型101として、加熱部102と冷却部
104とが断熱部103を介して配置された構成のもの
を用い、外型101内に挿通され、成形材料15を圧縮
する一対の上パンチ105および下パンチ106を外型
101に対し移動することにより、加熱部102による
加熱と冷却部104による冷却とを順次行う構成の圧縮
成形装置100が考えられている。
【0010】しかしながら、この装置100では、上パ
ンチ105の外周面が冷却部103の内周面に密着して
いるため、図11に示すように、成形材料15を加熱す
る際に、成形材料15の熱が成形材料15の図11中上
面側から上パンチ105を介して逃げる(図11中矢印
A参照)。そのため、成形材料15の加熱効率が低下す
るばかりでなく、成形材料15の上面側と下面側とで加
熱が均一な温度でなされず、すなわち温度ムラが生じ
る。また、このような温度ムラは、成形材料15の中心
部と外周部とでも生じる。
【0011】このような温度ムラが生じると、製造され
たボンド磁石が均質なものとならず、その結果、ボンド
磁石の寸法精度および磁気特性の低下を招く。
【0012】また、加熱効率の低下によって、加熱に要
する時間が長くなり、形成のサイクルタイムが長くな
り、生産性が低下する。
【0013】また、装置100では、下パンチ106の
外周面も加熱部102の内周面に密着しているため、成
形材料15を加熱した後、図12に示すように、両パン
チ105、106を上方へ移動して成形材料15を冷却
部104へ移送し、冷却する際に、加熱部102の熱が
下パンチ106を介して成形材料15の図12中下面側
に伝達される(図12中矢印B参照)。そのため、成形
材料15の冷却効率が低下するばかりでなく、成形材料
15の上面側と下面側とで冷却が均一な温度でなされ
ず、すなわち温度ムラが生じる。また、このような温度
ムラは、成形材料15の中心部と外周部とでも生じる。
【0014】このような温度ムラが生じると、製造され
たボンド磁石の内部に残留応力が生じ、ボンド磁石の変
形や割れが生じ易くなり、その結果、ボンド磁石の外観
品質、寸法精度および磁気特性の低下を招く。
【0015】また、冷却効率の低下によって、冷却に要
する時間が長くなり、形成のサイクルタイムが長くな
り、生産性が低下する。
【0016】従って、本発明は、上記問題を解決し、高
品質、高寸法精度の成形体を容易かつ短時間で得ること
ができる圧縮成形装置および圧縮成形方法を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。
【0018】(1) 圧縮成形用の外型と、前記外型の
内部に挿通され、外型内に充填された成形材料を加圧す
る加圧面を有する一対のパンチとを有し、前記一対のパ
ンチが、前記外型に対し相対的に移動し得るよう構成さ
れた圧縮成形装置であって、少なくとも一方の前記パン
チの側面に、前記外型の内面との間に隙間を形成する空
隙部を設けたことを特徴とする圧縮成形装置。
【0019】(2) 前記空隙部は、前記加圧面からパ
ンチの軸方向の所定距離範囲内を除く部位に設けられて
いる上記(1)に記載の圧縮成形装置。
【0020】(3) 前記空隙部は、前記パンチの全周
にわたって設けられている上記(2)に記載の圧縮成形
装置。
【0021】(4) 圧縮成形用の外型と、前記外型の
内部に挿通され、外型内に充填された成形材料を加圧す
る加圧面を有する一対のパンチとを有し、前記一対のパ
ンチが、前記外型に対し相対的に移動し得るよう構成さ
れた圧縮成形装置であって、少なくとも一方の前記パン
チの側面に、断熱材を配置したことを特徴とする圧縮成
形装置。
【0022】(5) 前記断熱材は、前記加圧面からパ
ンチの軸方向の所定距離範囲内を除く部位に配置されて
いる上記(4)に記載の圧縮成形装置。
【0023】(6) 前記断熱材は、前記パンチの全周
にわたって設けられている上記(5)に記載の圧縮成形
装置。
【0024】(7) 前記断熱材の硬度が前記外型の内
周面の硬度以下である上記(4)ないし(6)のいずれ
かに記載の圧縮成形装置。
【0025】(8) 前記外型は、加熱部と、冷却部
と、前記加熱部と前記冷却部との間に位置する断熱部と
を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の圧
縮成形装置。
【0026】(9) 前記加熱部による加熱時に、前記
加熱部の内面と前記断熱部の内面とが実質的に段差のな
い連続面を形成するよう構成されている上記(8)に記
載の圧縮成形装置。
【0027】(10) 前記成形材料がボンド磁石製造用
の組成物である上記(1)ないし(9)のいずれかに記
載の圧縮成形装置。
【0028】(11) 前記組成物は、希土類元素を含む
磁石粉末と結合樹脂とを含むものである上記(10)に記
載の圧縮成形装置。
【0029】(12) 厚さが8mm以下の板状のボンド磁
石を製造するための圧縮成形装置である上記(1)ない
し(11)のいずれかに記載の圧縮成形装置。
【0030】(13) 上記(1)ないし(12)のいずれ
かに記載の圧縮成形装置を用いて成形材料を圧縮成形す
る圧縮成形方法であって、成形材料を前記加熱部で加熱
した後、前記冷却部へ相対的に移動して圧縮成形すると
ともに冷却することを特徴とする圧縮成形方法。
【0031】(14) 上記(1)ないし(12)のいずれ
かに記載の圧縮成形装置を用いて成形材料を圧縮成形す
る圧縮成形方法であって、成形材料を前記加熱部で加熱
しつつ圧縮した後、前記冷却部へ相対的に移動して冷却
することを特徴とする圧縮成形方法。
【0032】(15) 前記冷却は、前記加熱部における
加圧状態を維持したまま行われる上記(14)に記載の圧
縮成形方法。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の圧縮成形装置およ
び圧縮成形方法について、添付図面に示す好適実施例に
基づき詳細に説明する。
【0034】図1および図2は、それぞれ、本発明の圧
縮成形装置における外型の構成例を模式的に示す縦断面
図、図3および図4は、それぞれ、本発明の圧縮成形装
置の第1実施例を模式的に示す縦断面図である。ここ
で、図1は、加熱部で加熱しておらず、室温での状態を
示し、図2は、加熱部で加熱している状態を示す。な
お、図1〜図4中の上下方向を「軸方向」として説明す
る。
【0035】図1〜図4に示す圧縮成形装置1は、ボン
ド磁石を圧縮成形するための圧縮成形装置であって、圧
縮成形用の外型(金型)2と、該外型2内に充填された
成形材料15を圧縮する工具として上パンチ7および下
パンチ8とを有している。
【0036】外型2は、軸方向に沿って3つの部分から
構成されている。すなわち、外型2は、成形材料15を
加熱する加熱部3と、加熱された成形材料を冷却する冷
却部5と、加熱部3と冷却部5との間に位置する断熱部
4とで構成されている。
【0037】外型2の加熱部3、断熱部4および冷却部
5には、これらを貫通する成形空間21が形成されてい
る。この成形空間21は、成形すべき成形体の形状に対
応した形状をなしており、本実施例では、円柱状(中
実)をなしている。ただし、成形空間21の形状(成形
体の形状)は、これに限定されず、例えば、横断面が半
円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等の多角形等の
もの、円筒状(中空)、平板状、湾曲板状等、いかなる
ものでもよい。
【0038】加熱部3は、金属製の加熱部本体31を有
しており、この加熱部本体31の内部には、それを加熱
するためのヒータ9が設置されている。図示の構成で
は、棒状のヒータが用いられているが、ヒータ9の構成
は、これに限定されない。このヒータ9の作動により、
加熱部3は、後述する所定の温度に加熱される。
【0039】加熱部本体31は、図1に示すように、ヒ
ータ9がOFFとされ、室温下(非加熱状態)では、そ
の内径が断熱部4の内径より若干小さくなっているが
(図1中、加熱部本体31の内径は、誇張して描かれて
いる。)、図2に示すように、ヒータ9をONとし、加
熱部3により成形材料15を加熱するとき(加熱時)に
は、加熱部3が熱膨張して加熱部本体31の内周面32
と断熱部4の内周面42とが実質的に段差のない連続面
を形成するよう構成されている。
【0040】加熱部3をこのような構成としたことによ
り、成形空間21内での上パンチ7および下パンチ8の
軸方向の移動(摺動)が低摩擦で円滑に行われる。その
ため、成形を円滑に短時間で行うことができるととも
に、両パンチ7、8の傷付きや摩耗を防止し、両パンチ
7、8の寿命が長くなる。
【0041】また、内周面32と上パンチ7および下パ
ンチ8の端部外周面72、82とが密着し、これらの間
に隙間がほとんど生じないので、得られたボンド磁石成
形体にバリ、ケズレ、キズ、表面荒れ(粗面化)等が生
じることが防止され、よって、ボンド磁石の外観品質を
良好に保つことができる。ボンド磁石表面のキズや粗面
化(表面積の増大)による酸化の促進も防止され、磁気
特性の向上にも寄与する。
【0042】また、ケズレ等による成形材料の欠損が防
止されるので、これによるボンド磁石の縦寸法の減少が
なく、高い寸法精度が得られる。
【0043】また、上パンチ7および下パンチ8の移動
(摺動)に伴うボンド磁石のケズレかすの発生がないの
で、このケズレかす、特に酸化、劣化したケズレかすが
次回の成形の際に成形材料中に混入する(コンタミを生
じる)ことが防止され、よって、ボンド磁石の磁気特性
を高く維持することができる。
【0044】また、内周面32と上パンチ7および下パ
ンチ8の端部外周面72、82とが密着し、これらの間
に隙間がほとんど生じないので、加熱部3における成形
材料15の加熱の際に、内周面32からの成形材料15
への熱伝達や、上パンチ7および下パンチ8を介しての
成形材料15への熱伝達における熱伝達効率が高く維持
され、よって、成形材料15を十分に加熱するまでの時
間が短くてよい。そのため、形成のサイクルタイムが短
く、生産性が向上する。
【0045】加熱部本体31を構成する金属材料として
は、熱膨張係数(線膨張係数)が18×10−6/℃以
下のものであるのが好ましい。熱膨張係数が高過ぎると
熱膨張による型設計が困難となり、また、装置自体への
熱膨張による応力がかかり、寿命を縮める。
【0046】また、加熱部本体31の内周面32は、上
パンチ7および下パンチ8の摺動に伴う内周面32の傷
付きを防止するために、比較的硬度が高いものが好まし
い。具体的には、内周面32のビッカース硬度Hvは、
500以上であるのが好ましく、600以上であるのが
より好ましい。
【0047】加熱部本体31を構成する金属材料の具体
例としては、耐熱合金鋼(例えばSKD4、6、61、
SKT4、3)、炭素鋼(例えばSK5)、合金工具鋼
(例えばSKS3、SKD11)、高速度鋼(例えばS
KH51)、ステンレス鋼、超硬合金、チタンまたはチ
タン合金、タングステンまたはタングステン合金等が挙
げられる。また、これらの材料を2種以上組み合わせた
もの(例えば2種以上を接合した複合材料)でもよい。
なお、これらの材料は、添加元素の組成や量、鋳造条
件、圧延条件、施される熱処理の条件等を適宜選択する
ことにより、その熱膨張係数や硬度(内周面32の硬
度)等の特性を調整することができる。
【0048】冷却部5は、金属製の冷却部本体51を有
しており、この冷却部本体51の内部には、例えば水
(液体)や空気(気体)のような冷媒10が通る流路1
1が形成されている。この流路11は、成形空間21の
外周部の全周にわたって形成されている。
【0049】流入口12から流入した冷媒10は、流路
11内を流れ、その間に冷却部5、特に冷却部5の成形
空間21に臨む壁部が後述する所定の温度に冷却され
る。そして、冷却部5の冷却に供された冷媒10は、流
出口13から排出される。
【0050】冷却部本体51は、図1および図2に示す
ように、冷媒10を流路11内に流通させて冷却部5を
冷却した状態で、その内周面52と断熱部4の内周面4
2とが実質的に段差のない連続面を形成するよう構成さ
れているのが好ましい。
【0051】これにより、前記加熱部3と同様に、上パ
ンチ7および下パンチ8の円滑な摺動、両パンチ7、8
の傷付きや摩耗の防止、ボンド磁石の良好な外観品質、
高磁気特性の維持および寸法精度の向上、冷却効率の向
上によるサイクルタイムの短縮等の効果が促進される。
【0052】なお、冷却部本体51を構成する金属材料
の種類や熱膨張係数、硬度等の特性は、前述した加熱部
本体31と同様のものを用いることができる。
【0053】断熱部4は、加熱部3、冷却部5間での熱
の伝達を遮断する機能を有するものであり、例えば、セ
ラミックス、ガラス、樹脂材料、炭素材料、各種多孔質
材料、エアギャップまたはこれらを適宜組み合せたもの
等で構成されている。このような断熱部4を設けること
により、熱損失を低減し、加熱部3、冷却部5におい
て、それぞれ、効率の良い加熱および冷却を行うことが
でき、サイクルタイムの短縮に寄与する。
【0054】なお、図示と異なり、外型2の外周部にヒ
ータ等の加熱冶具や冷媒管等の冷却冶具を設置した構成
であってもよい。
【0055】図3、図4に示すように、圧縮成形装置1
は、成形材料15を互いに反対方向から加圧する上パン
チ7および下パンチ8を備えている。上パンチ7および
下パンチ8は、それぞれ、外型2に対しその成形空間2
1内で、軸方向に相対的に移動(摺動)し得るように構
成されている。本実施例では、軸方向の移動が固定され
ている外型2に対し、上パンチ7および下パンチ8が、
それぞれ、図示しない駆動機構により軸方向に移動する
よう構成されている。
【0056】上パンチ7および下パンチ8のそれぞれの
端部には、成形材料15を加圧する加圧面71、81が
形成されている。この加圧面71、81と、成形空間2
1の内周面とで、成形体の形状(本実施例では円板形状
または円柱形状)が規制される。
【0057】なお、加圧面71、81は平坦な面、所望
に湾曲した面、突起や窪みを有する面、溝等が存在する
面のいずれでも良い。
【0058】上パンチ7の加圧面71から軸方向の所定
距離範囲内(以下「加圧面付近」と言う)では、上パン
チ7の外径は、外型2の内径(=成形空間21の直
径)、すなわち、加熱時の加熱部本体31の内径、断熱
部4の内径および冷却時の冷却部本体51の内径のそれ
ぞれとほぼ等しいか、またはそれより若干小さな値に設
定されている。これにより、上パンチ7の端部外周面
(加圧面付近の外周面)72は、外型2の内周面と密着
または接触しつつ(ほとんど隙間なく)摺動する。
【0059】これに対し、上パンチ7の加圧面付近を除
く部位におけるパンチ側面は、加圧面付近に比べてその
外径が小さく、外型2の内周面との間に空隙部(隙間)
73が形成される。この空隙部73は、好ましくは上パ
ンチ7の全周にわたって形成されている。
【0060】このような空隙部73が存在することによ
り、空隙部73が断熱層として機能するので、図3に示
すように、加熱部3で成形材料15を加熱する際に、成
形材料15の熱が図3中の上面側から上パンチ7を介し
て冷却部5へ逃げることが防止され、よって、加熱効率
が向上するとともに、成形材料15が均一に加熱され
る。特に、成形材料15の上面側と下面側とでの温度差
が抑制される。そのため、得られたボンド磁石は、変形
や割れ等の欠陥の発生が防止され、ボンド磁石の外観品
質、寸法精度および磁気特性の向上が図れる。また、加
熱効率の向上から、成形のサイクルタイムも短くなり、
生産性が高まる。
【0061】下パンチ8の加圧面81から軸方向の所定
距離範囲内(以下「加圧面付近」と言う)では、下パン
チ8の外径は、外型2の内径(=成形空間21の直
径)、すなわち、加熱時の加熱部本体31の内径、断熱
部4の内径および冷却時の冷却部本体51の内径のそれ
ぞれとほぼ等しいか、またはそれより若干小さな値に設
定されている。これにより、下パンチ8の端部外周面
(加圧面付近の外周面)82は、外型2の内周面と密着
または接触しつつ(ほとんど隙間なく)摺動する。
【0062】これに対し、下パンチ8の加圧面付近を除
く部位におけるパンチ側面は、加圧面付近に比べてその
外径が小さく、外型2の内周面との間に空隙部(隙間)
83が形成される。この空隙部83は、好ましくは下パ
ンチ8の全周にわたって形成されている。
【0063】このような空隙部83が存在することによ
り、空隙部83が断熱層として機能するので、図4に示
すように、冷却部5で成形材料15を冷却する際に、加
熱部3の熱が下パンチ8を介して成形材料15の図4中
の下面側に伝達されることが防止され、よって、冷却効
率が向上するとともに、成形材料15が均一に冷却され
る。特に、成形材料15の上面側と下面側とでの温度差
が抑制される。そのため、得られたボンド磁石は、変形
や割れ等の欠陥の発生が防止され、ボンド磁石の外観品
質、寸法精度および磁気特性の向上が図れる。また、冷
却効率の向上から、成形のサイクルタイムも短くなり、
生産性が高まる。
【0064】空隙部73、83の厚さTは、特に限定さ
れないが、10μm〜1mm程度が好ましく、0.05〜
0.5mm程度がより好ましい。厚さTが小さ過ぎると断
熱効果が少なく、また、厚さTが大き過ぎると、外型2
に対し上パンチ7、下パンチ8を移動する際の移動の安
定性が低下することがある。また、軸合せが困難とな
る、パンチ7、8の耐力の低下をもたらす等の問題も生
じる。
【0065】上パンチ7の端部外周面72および下パン
チ8の端部外周面82の硬度は、それぞれ、加熱部本体
31の内周面32の硬度とほぼ同等かまたはそれ以下で
あるのが好ましく、加熱部本体31の内周面32の硬度
未満であるのがより好ましい。上パンチ7および下パン
チ8が成形空間21内で摺動した場合、端部外周面7
2、82と内周面32とが擦れ、頻回の摺動によりこれ
らの面に摩耗が生じる。摩耗の進行は、ギャップ(隙
間)の増大を招くので、新たなものへの交換が必要とな
る。この場合、外型2に比べ両パンチ7、8の構造は簡
易であるため、外型2を新たなものに交換するよりは、
両パンチ7、8を新たなものに交換する方が好ましい。
そこで、端部外周面72、82と内周面32の硬度が上
記関係であれば、摩耗は、硬度の低い端部外周面72、
82側に生じ易く、硬度の高い内周面32側に生じ難く
なる。その結果、ボンド磁石を量産するに当たり、内周
面32の摩耗等による外型2の交換頻度を少なくするこ
とができ、生産性の向上、製造コストの低減を図ること
ができる。
【0066】このような内周面32との硬度の関係を考
慮すると、上パンチ7および下パンチ8の端部外周面7
2、82のビッカース硬度Hvは、500以上であるの
が好ましく、600以上であるのがより好ましい。
【0067】本実施例における成形材料15は、ボンド
磁石製造用の組成物(コンパウンド)である。この組成
物は、磁石粉末と結合樹脂(有機バインダー)との混合
物または混練物あるいはそれを造粒または整粒して得た
粒状物等である。
【0068】磁石粉末としては、例えば、Baフェライ
ト、Srフェライトのようなフェライトやアルニコ、あ
るいはSm−Co系、R−TM−B系(RはYを含む希
土類元素、TMは遷移金属)、Sm−Fe−N系等の各
種希土類磁石の粉末が挙げられる。この中でも、高い磁
気特性が得られる点で、希土類磁石粉末(希土類元素を
含む磁石粉末)が好ましく、特にNd−Fe−B系磁
石、Sm−Fe−N系磁石が好ましい。
【0069】磁石粉末の平均粒径は、特に限定されない
が、0.5〜150μm程度が好ましく、10〜100
μm程度がより好ましい。
【0070】結合樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ
フェニレンサルファイド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン
−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂が挙げら
れる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂が挙げられる。
【0071】以上のような結合樹脂の組成物中での含有
量は、特に限定されないが、0.5〜15wt%程度であ
るのが好ましく、1〜10wt%程度であるのがより好ま
しく、1.5〜7wt%程度であるのがさらに好ましい。
結合樹脂の含有量が多過ぎると、磁気特性(特に最大磁
気エネルギー積)の向上が図れず、また、結合樹脂の含
有量が少な過ぎると、成形性が低下する。
【0072】また、組成物中には、酸化防止剤が含まれ
ていてもよい。この酸化防止剤としては、磁石粉末等の
酸化を防止または抑制し得るものであればいかなるもの
でもよく、例えば、アミン系化合物、アミノ酸系化合
物、ニトロカルボン酸類、ヒドラジン化合物、シアン化
合物、硫化物等の金属イオン、特にFe成分に対しキレ
ート化合物を生成するキレート化剤が好適に使用され
る。
【0073】さらに、磁石粉末と樹脂成分の混練時に分
散しやすくさせるためや混練物の成形性の改良のために
高級脂肪酸や脂肪酸塩等の可塑剤、シリコンオイルやワ
ックス等の潤滑剤、シリカ粉末等の固形潤滑剤、コポリ
マー等の成形助剤等が含まれていてもよい。
【0074】以上のような磁石粉末と、結合樹脂と、好
ましくは酸化防止剤とを混練する場合には、例えば2軸
押出混練機、ロール式混練機、ニーダー等の混練機を用
いて行われる。
【0075】この混練は、好ましくは用いる結合樹脂の
熱変形温度(ASTM D648 による方法で測定)以上の温
度、より好ましくは用いる結合樹脂の軟化点もしくは融
点以上の温度で行われる。
【0076】また、混練物を造粒または整粒し、所定の
粒径の粒状物とすることもできる。造粒または整粒の方
法は、特に限定されないが、混練物を粉砕することによ
りなされるのが好ましい。この粉砕は、例えば、ボール
ミル、振動ミル、破砕機、ジェットミル、ピンミル等を
用いて行われる。
【0077】次に、圧縮成形装置1を用いた第1の圧縮
成形方法について、図3、図4を参照しつつ説明する。
【0078】<A−1> 上パンチ7を上昇させ、成形
空間21から離脱させておく。また、下パンチ8は、そ
の加圧面81が加熱部3に位置するように移動してお
く。
【0079】<A−2> 成形材料15を秤量し、この
成形材料15を成形空間21内に充填(給材)する。
【0080】<A−3> 図3に示すように、上パンチ
7をその加圧面71が成形材料15に当接するまで下降
させる。この場合、上パンチ7の加圧面71と下パンチ
8の加圧面81との間で成形材料15を軽度に加圧(圧
縮)してもよい。
【0081】また、このとき、ヒータ9の作動により、
外型2の加熱部3は所望の温度(加熱温度)に加熱され
ている。この加熱温度は、例えば次のように設定され
る。
【0082】充填されている成形材料15が結合樹脂と
して熱可塑性樹脂を含む場合、その熱可塑性樹脂が軟化
または溶融状態となるような温度とされる。
【0083】より詳しくは、用いる熱可塑性樹脂の熱変
形温度以上の温度とされるのが好ましく、さらには、用
いる熱可塑性樹脂の融点以上の温度とされるのが好まし
く、融点から(融点+100)℃程度までの範囲の所定
の温度とされるのがより好ましく、融点から(融点+7
0)℃程度までの範囲の所定の温度とされるのがさらに
好ましい。
【0084】例えば、用いる熱可塑性樹脂がポリアミド
樹脂(融点:178℃)である場合、成形時における特
に好ましい材料温度(加熱温度)は、180〜280℃
程度とされる。
【0085】また、充填されている成形材料15が結合
樹脂として熱硬化性樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂
が軟化または溶融状態となり、かつ成形時間内で硬化が
完了しないような温度とされる。
【0086】より詳しくは、用いる熱硬化性樹脂の溶融
温度(または軟化点)〜(溶融温度+80)℃が好まし
く、溶融温度(または軟化点)〜(溶融温度+40)℃
がより好ましい。
【0087】例えば、用いる熱硬化性樹脂が溶融温度6
0℃、硬化条件が200℃で1時間であるエポキシ樹脂
の場合、成形時における特に好ましい材料温度(加熱温
度)は、60〜140℃程度とされる。
【0088】以上のような加熱温度で成形することによ
り、外型2内(加熱部3内)での成形材料15の流動性
が向上し、円柱状、ブロック状のものは勿論のこと、円
筒状(リング状)、平板状(円板状)、湾曲板状等の薄
肉部を有する形状のもの、小型のもの、長尺なもので
も、低空孔率で、機械的強度が高く、良好かつ安定した
形状、寸法のものを量産することができる。
【0089】本工程および次工程は、磁場中(配向磁場
が例えば5〜20kOe 、配向方向は、縦、横、ラジアル
方向のいずれも可)または無磁場中のいずれで行っても
よい。これらは、磁石粉末の組成、特性等の条件に応じ
て適宜選択される。
【0090】<A−4> 図4に示すように、上パンチ
7および下パンチ8を上昇(移動)させ、加熱された状
態の成形材料(成形体)15を冷却部5に位置させる。
【0091】このとき、上パンチ7を下降させ、成形材
料15を圧縮成形する。成形材料15は、前工程で既に
加熱されており、よって温間成形(所望の温度に加熱さ
れた状態での圧縮成形)がなされる。
【0092】この圧縮成形における成形圧力は、好まし
くは5〜500kgf/mm程度、より好ましくは25〜2
00kgf/mm程度とされる。本発明では、比較的低い成
形圧力でも、前述したような長所を持つボンド磁石を成
形(賦形)することができる。
【0093】また、冷却部5は、流路11を流れる冷媒
10により所定の温度に冷却されている。これにより、
成形材料15は、温間成形された後、冷却される。
【0094】この冷却は、成形材料15に付与される成
形圧力を前記範囲内に維持したまま行われるのが好まし
い。以下、これを「加圧下冷却」と言う。
【0095】このような加圧下冷却を行うことにより、
成形体は、圧縮成形により低空孔率となった状態でその
まま冷却、固化されるので、低空孔率で寸法精度が高
く、磁気特性に優れるボンド磁石が得られる。
【0096】また、成形圧力を除荷する温度(除圧温
度)は、得られたボンド磁石の空孔率の低減および寸法
精度の向上にとって、できるだけ低い温度であるのが好
ましい。
【0097】すなわち、成形材料15が結合樹脂として
熱可塑性樹脂を含む場合、除圧温度は、用いる熱可塑性
樹脂の融点またはそれ以下の温度であるのが好ましく、
用いる熱可塑性樹脂の熱変形温度またはそれ以下の温度
であるのがより好ましい。
【0098】また、成形材料15が結合樹脂として熱硬
化性樹脂を含み、後工程で硬化処理を行う場合、除圧温
度は、熱硬化性樹脂の溶融温度または軟化点以下の温度
であるのが好ましい。
【0099】また、加熱部3と冷却部5は、前述の加熱
温度と、除圧温度に設定される。
【0100】また、加圧下冷却は、圧縮成形時の加圧を
解除することなく連続して行われるのが、工程の簡素化
および寸法精度の向上等のために好ましい。
【0101】また、加圧下冷却の際の圧力は、一定でも
変化してもよいが、少なくとも用いる結合樹脂の融点
(特に熱変形温度)までは一定に保持されているのが好
ましい。加圧下冷却の際の圧力が変化する場合、例え
ば、圧力が連続的または段階的に増加または減少するよ
うなパターンを含んでいてもよい。
【0102】なお、本発明では、加圧下冷却の後(除圧
後)に、上パンチ7を上昇させ、非加圧下(常圧下)で
冷却を続行してもよいことは、言うまでもない。
【0103】このような冷却、特に加圧下冷却の際の冷
却速度(冷却速度が経時変化する場合にはその平均値)
は、特に限定されないが、0.5〜100℃/秒である
のが好ましく、1〜80℃/秒であるのがより好まし
い。冷却速度が速過ぎると、成形体の内部と外部に差が
生じ、冷却に伴う急速な収縮により、成形体内部に微細
なクラックが発生し、機械的強度の低下を招くおそれが
あり、また、冷却により内部応力が増大し、外型2から
の除材時に応力緩和によるひずみや変形が生じて、寸法
精度が低下することがある。一方、冷却速度が遅過ぎる
と、成形のサイクルタイムが増加し、生産性が低下す
る。
【0104】<A−5> 以上のようにして得られたボ
ンド磁石成形体を外型2から取り出す(除材)。すなわ
ち、上パンチ7および下パンチ8をそのまま上昇させ
て、ボンド磁石成形体を成形空間21より外型2の上方
へ排出させる。
【0105】このように、加熱部3と冷却部5のうちの
温度が低い方、すなわち冷却部5側から除材することに
より、ボンド磁石成形体が再度加熱されて変形すること
がなく、寸法精度の向上に寄与する。
【0106】<A−6> 結合樹脂として熱硬化性樹脂
を用いた場合には、除材されたボンド磁石成形体は、未
硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる処理(キュアリング)
に供される。この処理は、ボンド磁石成形体に対し、そ
れに含まれる熱硬化性樹脂が硬化し得る所定の温度およ
び時間で熱処理を施すことによりなされる。
【0107】なお、この熱処理(キュアリング)は、圧
縮成形装置1とは別の場所で行っても、加熱部3で行っ
てもよい。後者の場合、冷却部5で冷却された上パンチ
7および下パンチ8の間に位置するボンド磁石成形体
を、上パンチ7および下パンチ8を下降させることによ
り再び加熱部3へ移動し、加熱することにより行うこと
ができる。
【0108】次に、圧縮成形装置1を用いた第2の圧縮
成形方法について、図5、図6を参照しつつ説明する。
なお、この第2の圧縮成形方法は、前記第1の圧縮成形
方法との相違点を中心に説明する。
【0109】<B−1> 前記<A−1>と同様。
【0110】<B−2> 前記<A−2>と同様。
【0111】<B−3> 図5に示すように、上パンチ
7を下降させ、その加圧面71と下パンチ8の加圧面8
1との間で、成形材料15を圧縮成形する。このとき、
ヒータ9の作動により、外型2の加熱部3を前述した加
熱温度に加熱しておく。これにより、充填された成形材
料15は、温間成形、すなわち所望の温度に加熱されつ
つ圧縮成形される。
【0112】なお、本工程の圧縮成形における成形圧力
は、好ましくは5〜500kgf/mm程度、より好ましく
は25〜200kgf/mm程度とされる。本発明では、比
較的低い成形圧力でも、前述したような長所を持つボン
ド磁石を成形(賦形)することができる。
【0113】また、圧縮成形は、磁場中(配向磁場が例
えば5〜20kOe 、配向方向は、縦、横、ラジアル方向
のいずれも可)または無磁場中のいずれで行ってもよ
い。これらは、磁石粉末の組成、特性等の条件に応じて
適宜選択される。
【0114】<B−4> 図6に示すように、上パンチ
7および下パンチ8を上昇(移動)させ、加熱・加圧状
態の成形材料15を冷却部5に位置させる。これによ
り、成形材料15が冷却される。
【0115】上パンチ7および下パンチ8の移動は、そ
れらによる成形材料15の加圧状態を維持したまま行わ
れるのが好ましい。すなわち、前記と同様に、加圧下冷
却がなされるのが好ましい。これにより、成形体は、圧
縮成形時の低空孔率な状態がそのまま維持されるので、
低空孔率で寸法精度が高く、磁気特性に優れるボンド磁
石が得られる。
【0116】<B−5> 前記<A−5>と同様。
【0117】<B−6> 前記<A−6>と同様。
【0118】図7および図8は、それぞれ、本発明の圧
縮成形装置の第2実施例を模式的に示す縦断面図であ
る。これらの図に示す圧縮成形装置1は、上パンチ7お
よび下パンチ8の構成が異なり、その他は前記第1実施
例と同様である。以下、相違点を中心に説明する。
【0119】上パンチ7の加圧面付近を除くパンチ側面
(外周面)には、断熱材(断熱層)6が配置されてい
る。この断熱材6は、好ましくは上パンチ7の全周にわ
たって形成されている。また、上パンチ7の端部外周面
72と、断熱材6の外周面とは、実質的に段差のない連
続面(滑らかな面)を形成している。すなわち、本実施
例では、上パンチ7の外径は、軸方向に加圧面71から
断熱材6の存在する部分にかけてほぼ一定となってい
る。
【0120】このような断熱材6を設けたことにより、
図7に示すように、加熱部3で成形材料15を加熱する
際に、成形材料15の熱が図7中の上面側から上パンチ
7を介して冷却部5へ逃げることが防止され、よって、
加熱効率が向上するとともに、成形材料15が均一に加
熱される。特に、成形材料15の上面側と下面側とでの
温度差が抑制される。そのため、得られたボンド磁石
は、変形や割れ等の欠陥の発生が防止され、ボンド磁石
の外観品質、寸法精度および磁気特性の向上が図れる。
また、加熱効率の向上から、成形のサイクルタイムも短
くなり、生産性が高まる。
【0121】下パンチ8の加圧面付近を除くパンチ側面
(外周面)には、断熱材6が配置されている。この断熱
材6は、好ましくは下パンチ8の全周にわたって形成さ
れている。また、下パンチ8の端部外周面82と、断熱
材6の外周面とは、実質的に段差のない連続面(滑らか
な面)を形成している。すなわち、本実施例では、下パ
ンチ8の外径は、軸方向に加圧面81から断熱材6の存
在する部分にかけてほぼ一定となっている。
【0122】このような断熱材6を設けたことにより、
図8に示すように、冷却部5で成形材料15を冷却する
際に、加熱部3の熱が下パンチ8を介して成形材料15
の図4中の下面側に伝達されることが防止され、よっ
て、冷却効率が向上するとともに、成形材料15が均一
に冷却される。特に、成形材料15の上面側と下面側と
での温度差が抑制される。そのため、得られたボンド磁
石は、変形や割れ等の欠陥の発生が防止され、ボンド磁
石の外観品質、寸法精度および磁気特性の向上が図れ
る。また、冷却効率の向上から、成形のサイクルタイム
も短くなり、生産性が高まる。
【0123】両パンチ7、8に設置される断熱材6の構
成材料としては、前記断熱部4で挙げたものと同様のも
のを用いることができる。
【0124】また、両パンチ7、8に設置される断熱材
6の厚さtは、特に限定されないが、0.05〜5mm程
度が好ましく、0.5〜2mm程度がより好ましい。厚さ
tが小さ過ぎると断熱効果が少なく、また、厚さtが大
き過ぎると、パンチ7、8の材質に比較して断熱材6は
耐圧に劣るので、パンチ7、8の耐圧が低下する。
【0125】両パンチ7、8に設置される断熱部6の硬
度は、特に限定されないが、ビッカース硬度Hvが、5
00以上であるのが好ましく、700以上であるのがよ
り好ましい。また、断熱部6の硬度は、内周面32、5
2の硬度より低いのが好ましい。
【0126】また、上パンチ7の端部外周面72および
下パンチ8の端部外周面82の硬度については、前述の
第1実施例と同様である。
【0127】この第2実施例の圧縮成形装置1は、前記
第1実施例における両パンチ7、8の空隙部73、83
に代えて断熱材6を設置したものであるが、断熱材6の
存在により、外型2に対し上パンチ7、下パンチ8を移
動する際の移動の安定性がより高いという利点がある。
【0128】図9および図10は、それぞれ、本発明の
圧縮成形装置の第3実施例および第4実施例におけるパ
ンチの横断面図である。
【0129】第1実施例および第2実施例では、両パン
チ7、8の空隙部73、83または断熱材6は、パンチ
の全周にわたって形成されていたが、図9に示す第3実
施例では、上パンチ7、下パンチ8の外周に沿って空隙
部74、84が部分的(間欠的)に形成されており、図
10に示す第4実施例では、上パンチ7、下パンチ8の
外周に沿って前記断熱材6と同様の断熱材61が部分的
(間欠的)に配置されている。
【0130】この場合、空隙部74、84や断熱材61
の配置されている部分の周方向の占有率は、高い断熱効
果を得るために、全周に対し50%以上(合計の中心角
度が180°以上)とするのが好ましく、65%以上
(合計の中心角度が234°以上)とするのが好まし
い。
【0131】本発明において、ボンド磁石の形状は、特
に限定されないが、前述した実施例では、成形空間21
の横断面が円形であり、上パンチ7および下パンチ8の
加圧面71、81がそれぞれ平坦面であるため、円板状
または円柱状のボンド磁石が得られる。この場合、ボン
ド磁石の厚さは、特に限定されないが、本発明では、加
熱効率や冷却効率が高く、成形のサイクルタイムがより
短いという点で、厚さ8mm以下の板状のものが好まし
く、厚さ0.1〜4.5mm程度の板状のものがより好ま
しい。また、このような板状のものは、一般に、加熱
時、冷却時において温度が不均一となり易いが、前述し
たように、本発明によれば、加熱時、冷却時において成
形材料15の温度を均一とすることができ好ましい。こ
のような点からも、本発明を板状のボンド磁石の製造に
適用する利点は大きい。
【0132】なお、本発明は、厚さ(高さ、長さ)8mm
を超えるボンド磁石の製造を妨げるものではないこと
は、言うまでもない。
【0133】以上のような本発明の装置および方法によ
れば、成形材料15を温度の異なる加熱部3、冷却部5
間で移動させることにより、成形材料15の温間成形と
冷却とを同一の外型2内で連続して行うことができるの
で、成形が容易であり、成形のサイクルタイムが短く、
よって、生産性が大幅に向上する。特に、成形空間21
を画成する内周面32と内周面42とが連続面を構成
し、実質的に段差がないため、上パンチ7および下パン
チ8の円滑な摺動が確保され、よって、両パンチ7、8
の傷付きや摩耗の防止、ボンド磁石の良好な外観品質、
高磁気特性の維持および寸法精度の向上、冷却効率の向
上によるサイクルタイムの短縮等の効果が得られる。
【0134】そして、本発明では、上パンチ7および/
または下パンチ8の側面に空隙部や断熱材を設けたこと
により、それらが断熱効果を発揮し、加熱時における加
熱効率の向上と加熱の均一化、冷却時における冷却効率
の向上と冷却の均一化が図れ、ボンド磁石の良好な外観
品質、高磁気特性の維持および寸法精度の向上、サイク
ルタイムの短縮等の効果が得られる。
【0135】また、本発明の装置および方法では、次の
ような優れた特性を有するボンド磁石を製造することが
できる。すなわち、ボンド磁石の空孔率が低く、好まし
くは5.0 vol%以下、より好ましくは3.5 vol%以
下、さらに好ましくは2.0vol%以下とすることがで
きる。このように、空孔率が低い(=密度が高い)の
で、機械的強度が高く、耐食性に優れ、また、寸法精度
が高く、量産した場合にも寸法のバラツキが少なく、寸
法安定性に優れている。
【0136】さらに、本発明の装置および方法で製造さ
れたボンド磁石は、磁気特性に優れており、特に、磁石
粉末の組成、磁石粉末の含有量の多さ等から、等方性磁
石であっても、優れた磁気特性を有する。
【0137】以上、本発明の圧縮成形装置および圧縮成
形方法を添付図面に示す各実施例に基づいて説明した
が、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0138】また、本発明は、圧粉磁石の製造や、その
他、焼成、焼結に供される成形体の製造、樹脂成形体の
製造等、ボンド磁石の製造以外にも適用することができ
る。
【0139】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0140】(実施例1)下記の磁石粉末と結合樹脂
(熱可塑性樹脂)と添加剤とを混合し、該混合物を混練
し、該混練物を造粒(整粒)してボンド磁石製造用の組
成物(粒状物)を得た。
【0141】・組成物の構成 Nd−Fe−B系磁石粉末:Nd12.0Fe77.8
Co4.35.9(急冷リボン粉、平均粒径12.5
μm、95.2wt%(磁石中の量もほぼ同値)) 熱可塑性樹脂:ポリアミド(ナイロン12、融点180
℃)、2.8wt% 添加剤:ヒドラジン系酸化防止剤、1.0wt%、潤滑
剤、1.0wt% 混合:ヘンシェルミキサーを用いて混合。
【0142】混練:2軸押出混練機により混練。混練温
度210℃×平均滞留時間5分 造粒(整粒):混練物を粉砕と分級により平均粒径70
μmの粒に調整。
【0143】一方、下記表1に示す条件の外型、上パン
チおよび下パンチを備えた図1〜図4に示す構造の圧縮
成形装置を製造した。上パンチおよび下パンチは、加圧
面付近を除く部位を縮径させ、その外周に空隙部を形成
させた。
【0144】この圧縮成形装置を用いて、前記組成物を
前記第1の圧縮成形方法(工程<A−1>〜<A−5
>)により圧縮成形し、ボンド磁石を製造した。各工程
における条件は、次の通りである。
【0145】工程<A−2> 組成物(成形材料)の充填量:5.6g 工程<A−3> 両パンチによる組成物に対する加圧力:10kgf/mm 加熱温度:210℃ 加熱時間:15秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<A−4> 冷却状態:加圧下冷却 両パンチによる成形圧力:30kgf/mm 除圧温度:100℃ 冷却時間:15秒 冷却速度:7.3℃/秒 配向磁場の有無:無磁場中 また、製造されたボンド磁石の形状は、円板状であり、
その寸法は、直径φ24mm×厚さ2.0mmであった。
【0146】(実施例2)下記の磁石粉末と結合樹脂
(熱硬化性樹脂)と添加剤とを混合し、該混合物を混練
し、該混練物を造粒(整粒)してボンド磁石製造用の組
成物(粒状物)を得た。
【0147】・組成物の構成 Nd−Fe−B系磁石粉末:Nd10.0Pr1.8
80.35.5Cu1.2Al0.7Ga
0.5(平均粒径10.5μm、96.6wt%(磁石中
の量もほぼ同値)) 熱硬化性樹脂:エポキシ樹脂(軟化点70℃)、3.1
wt% 添加剤:ヒドラジン系酸化防止剤、0.2wt%、潤滑
剤、0.1wt% 混合:ヘンシェルミキサーを用いて混合。
【0148】混練:2軸ロール混練機により混練。混練
温度95℃×平均滞留時間4分 造粒(整粒):混練物を粉砕と分級により平均粒径78
μmの粒に調整。
【0149】実施例1と同様の圧縮成形装置を用いて、
前記組成物を前記第1の圧縮成形方法(工程<A−1>
〜<A−6>)により圧縮成形し、ボンド磁石を製造し
た。各工程における条件は、次の通りである。
【0150】工程<A−2> 組成物(成形材料)の充填量:5.5g 工程<A−3> 両パンチによる組成物に対する加圧力:10kgf/mm 加熱温度:95℃ 加熱時間:12秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<A−4> 冷却状態:加圧下冷却 両パンチによる成形圧力:95kgf/mm 冷却温度:30℃(室温) 冷却時間:10秒 冷却速度:6.5℃/秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<A−6> 加熱温度:200℃ 加熱時間:15分 また、製造されたボンド磁石の形状は、円板状であり、
その寸法は、直径φ24mm×厚さ2.0mmであった。
【0151】(実施例3)圧縮成形装置の上パンチおよ
び下パンチとして、図7、図8に示すように、外周に断
熱材を配置したもの(断熱材の条件は表1参照)を用い
た以外は実施例1と同様にしてボンド磁石を製造した。
【0152】(実施例4)圧縮成形装置の上パンチおよ
び下パンチとして、図7、図8に示すように、外周に断
熱材を配置したもの(断熱材の条件は表1参照)を用い
た以外は実施例2と同様にしてボンド磁石を製造した。
【0153】(実施例5)圧縮成形装置の上パンチおよ
び下パンチとして、図9に示すように、加圧面付近を除
く部位の外周に4つの空隙部を等間隔で配置(空隙部の
周方向の占有率は、全周に対し66.7%)したものを
用いた以外は実施例1と同様にしてボンド磁石を製造し
た。
【0154】(実施例6)圧縮成形装置の上パンチおよ
び下パンチとして、図10に示すように、加圧面付近を
除く部位の外周に4つの断熱材(断熱層)を等間隔で配
置(断熱材の周方向の占有率は、全周に対し80%)し
たものを用いた以外は実施例2と同様にしてボンド磁石
を製造した。
【0155】(実施例7)下記表2に示す条件の外型、
上パンチおよび下パンチを備えた図1、図2、図5およ
び図6に示す構造の圧縮成形装置を製造した。上パンチ
および下パンチは、加圧面付近を除く部位を縮径させ、
その外周に空隙部を形成させた。
【0156】この圧縮成形装置を用いて、実施例1と同
様の組成物を前記第2の圧縮成形方法(工程<B−1>
〜<B−5>)により圧縮成形し、ボンド磁石を製造し
た。各工程における条件は、次の通りである。
【0157】工程<B−2> 組成物(成形材料)の充填量:7.3g 工程<B−3> 両パンチによる成形圧力:50kgf/mm(以後、次工程
終了までこの圧力を維持) 加熱温度:210℃ 加熱時間:15秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<B−4> 冷却状態:加圧下冷却 両パンチによる成形圧力:50kgf/mm 冷却温度:100℃(室温) 冷却時間:18秒 冷却速度:6.1℃/秒 配向磁場の有無:無磁場中 また、製造されたボンド磁石の形状は、円板状であり、
その寸法は、直径φ24mm×厚さ2.6mmであった。
【0158】(実施例8)圧縮成形装置の上パンチおよ
び下パンチとして、図7、図8に示すように、外周に断
熱材を配置したもの(断熱材の条件は表1参照)を用い
た以外は実施例7と同様にしてボンド磁石を製造した。
【0159】(実施例9)実施例7と同様の圧縮成形装
置を用いて、実施例2と同様の組成物を前記第2の圧縮
成形方法(工程<B−1>〜<B−6>)により圧縮成
形し、ボンド磁石を製造した。各工程における条件は、
次の通りである。
【0160】工程<B−2> 組成物(成形材料)の充填量:7.2g 工程<B−3> 両パンチによる組成物に対する加圧力:10kgf/mm 加熱温度:95℃ 加熱時間:12秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<B−4> 冷却状態:加圧下冷却 両パンチによる成形圧力:85kgf/mm 冷却温度:40℃ 冷却時間:13秒 冷却速度:4.2℃/秒 配向磁場の有無:無磁場中 工程<B−6> 加熱温度:200℃ 加熱時間:15分 また、製造されたボンド磁石の形状は、円板状であり、
その寸法は、直径φ24mm×厚さ2.6mmであった。
【0161】(比較例1)圧縮成形装置の外型における
加熱部の構成を表2に示すものに変えるとともに、上パ
ンチおよび下パンチとして、図11、図12に示すよう
に、外周に空隙部を有さないもの(外径が一定のもの)
を用いた以外は、実施例1と同様にしてボンド磁石を製
造した。
【0162】(比較例2)圧縮成形装置の外型における
加熱部の構成を表2に示すものに変えるとともに、上パ
ンチおよび下パンチとして、図11、図12に示すよう
に、外周に空隙部を有さないもの(外径が一定のもの)
を用いた以外は、実施例2と同様にしてボンド磁石を製
造した。
【0163】(比較例3)圧縮成形装置の外型における
加熱部の構成を表2に示すものに変えるとともに、上パ
ンチおよび下パンチとして、図11、図12に示すよう
に、外周に空隙部を有さないもの(外径が一定のもの)
を用いた以外は、実施例7と同様にしてボンド磁石を製
造した。
【0164】(比較例4)圧縮成形装置の外型における
加熱部の構成を表2に示すものに変えるとともに、上パ
ンチおよび下パンチとして、図11、図12に示すよう
に、外周に空隙部を有さないもの(外径が一定のもの)
を用いた以外は、実施例9と同様にしてボンド磁石を製
造した。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】<ボンド磁石の特性評価>実施例1〜9、
比較例1〜4で得られた各ボンド磁石について、外観品
質、空孔率および寸法精度を、それぞれ、次の方法によ
り調べた。その結果を下記表3および表4に示す。
【0168】また、実施例1〜9、比較例1〜4で用い
た各圧縮成形装置を頻回使用したときのパンチの消耗度
合いを下記の方法により調べた。
【0169】また、成形開始から終了までに要した時間
(サイクルタイム)も併せて表3および表4中に記す。
【0170】1.外観品質 ボンド磁石の外周面を肉眼およびルーペ(倍率:10
倍)で観察し、表面性状を調べた。ワレ(クラック)、
カケ(欠損)、バリ、キズ、ケズレ、粗面化等が存在す
る度合いが少ないものから順に、A、B、C、Dの4段
階で評価した。
【0171】2.空孔率 ボンド磁石を複数に切断し、それらの切断端面を顕微鏡
観察して、切断端面のボンド磁石の比重から計算した。
【0172】3.寸法精度 実施例1〜9、比較例1〜4で得られた各ボンド磁石各
20個について、実際に測定された厚さの目標厚さ
(2.0mmまたは2.6mm)に対する誤差を調べた。な
お、1つのボンド磁石について、厚さは10箇所で測定
した。
【0173】ボンド磁石に反り等の湾曲変形がある場
合、それが厚さの変動となって現れるため、誤差が大き
くなる。
【0174】4.パンチの消耗度合い 各圧縮成形装置について、上下パンチを外型の加熱部
(加熱状態)と冷却部との間で1000往復摺動させ、
その後、代表的に下パンチの端部外周面の消耗度合いを
観察した。下パンチの端部外周面に、キズ、摩耗等の損
傷が少ないものから順に、A、B、C、Dの4段階で評
価した。
【0175】
【表3】
【0176】
【表4】
【0177】表3および表4に示すように、実施例1〜
9によるボンド磁石は、いずれも、比較例1〜4による
ボンド磁石に比べ、外観品質が優れ(特に、温度ムラに
よる割れや変形等がほとんどなく)、空孔率が低く、高
い機械的強度と優れた磁気特性を有し、また、寸法精度
が高いことがわかる。さらに、実施例1〜9における装
置および方法では、上下パンチの消耗、損傷が少ないの
でその寿命が長く、また、成形のサイクルタイムが短
く、生産性が高い。
【0178】なお、比較例1〜4におけるパンチの消
耗、損傷は、外型の加熱時における加熱部内周面と断熱
部内周面との間に段差が生じていることが主な原因であ
ると推測される。
【0179】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、加
熱や冷却を均一な温度で行うことができ、よって、割れ
や変形等の欠陥のない高品質の成形体を容易かつ短時間
で製造することができ、生産性の向上に寄与する。
【0180】特に、ボンド磁石の製造に適用した場合に
は、機械的強度が高く、均一で磁気特性に優れ、高寸法
精度のボンド磁石を高い製造効率で製造することができ
る。
【0181】また、外型やパンチの損傷も少なく、その
寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧縮成形装置における外型の構成例
(非加熱時)を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の圧縮成形装置における外型の構成例
(加熱時)を模式的に示す縦断面図である。
【図3】本発明の圧縮成形装置の第1実施例を用いて第
1の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(加
熱工程)を示す断面側面図である。
【図4】本発明の圧縮成形装置の第1実施例を用いて第
1の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(冷
却工程)を示す断面側面図である。
【図5】本発明の圧縮成形装置の第1実施例を用いて第
2の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(加
熱工程)を示す断面側面図である。
【図6】本発明の圧縮成形装置の第1実施例を用いて第
2の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(冷
却工程)を示す断面側面図である。
【図7】本発明の圧縮成形装置の第2実施例を用いて第
1の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(加
熱工程)を示す断面側面図である。
【図8】本発明の圧縮成形装置の第2実施例を用いて第
1の圧縮成形方法により圧縮成形を行っている状態(冷
却工程)を示す断面側面図である。
【図9】本発明の圧縮成形装置の第3実施例における上
パンチおよび下パンチの構造を示す横断面図である。
【図10】本発明の圧縮成形装置の第4実施例における
上パンチおよび下パンチの構造を示す横断面図である。
【図11】比較例の圧縮成形装置の構成(非加熱時)を
模式的に示す縦断面図である。
【図12】比較例の圧縮成形装置の構成(加熱時)を模
式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮成形装置 2 外型 21 成形空間 3 加熱部 31 加熱部本体 32 内周面 4 断熱部 42 内周面 5 冷却部 51 冷却部本体 52 内周面 6 断熱材 61 断熱材 7 上パンチ 71 加圧面 72 端部外周面 73、74 空隙部 8 下パンチ 81 加圧面 82 端部外周面 83、84 空隙部 9 ヒータ 10 冷媒 11 流路 12 流入口 13 流出口 15 成形材料 100 圧縮成形装置(比較例) 101 外型 102 加熱部 103 断熱部 104 冷却部 105 上パンチ 106 下パンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F204 AA00 AA29 AA39 AB01 AB06 AB16 AC04 FA01 FB01 FF01 FF06 FN15 FQ15 FQ40 4K018 CA07 CA13 CA15 CA17 KA46 5E062 CC02 CD05 CE04 CE07 CF02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮成形用の外型と、前記外型の内部に
    挿通され、外型内に充填された成形材料を加圧する加圧
    面を有する一対のパンチとを有し、前記一対のパンチ
    が、前記外型に対し相対的に移動し得るよう構成された
    圧縮成形装置であって、 少なくとも一方の前記パンチの側面に、前記外型の内面
    との間に隙間を形成する空隙部を設けたことを特徴とす
    る圧縮成形装置。
  2. 【請求項2】 前記空隙部は、前記加圧面からパンチの
    軸方向の所定距離範囲内を除く部位に設けられている請
    求項1に記載の圧縮成形装置。
  3. 【請求項3】 前記空隙部は、前記パンチの全周にわた
    って設けられている請求項2に記載の圧縮成形装置。
  4. 【請求項4】 圧縮成形用の外型と、前記外型の内部に
    挿通され、外型内に充填された成形材料を加圧する加圧
    面を有する一対のパンチとを有し、前記一対のパンチ
    が、前記外型に対し相対的に移動し得るよう構成された
    圧縮成形装置であって、 少なくとも一方の前記パンチの側面に、断熱材を配置し
    たことを特徴とする圧縮成形装置。
  5. 【請求項5】 前記断熱材は、前記加圧面からパンチの
    軸方向の所定距離範囲内を除く部位に配置されている請
    求項4に記載の圧縮成形装置。
  6. 【請求項6】 前記断熱材は、前記パンチの全周にわた
    って設けられている請求項5に記載の圧縮成形装置。
  7. 【請求項7】 前記断熱材の硬度が前記外型の内周面の
    硬度以下である請求項4ないし6のいずれかに記載の圧
    縮成形装置。
  8. 【請求項8】 前記外型は、加熱部と、冷却部と、前記
    加熱部と前記冷却部との間に位置する断熱部とを有する
    請求項1ないし7のいずれかに記載の圧縮成形装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱部による加熱時に、前記加熱部
    の内面と前記断熱部の内面とが実質的に段差のない連続
    面を形成するよう構成されている請求項8に記載の圧縮
    成形装置。
  10. 【請求項10】 前記成形材料がボンド磁石製造用の組
    成物である請求項1ないし9のいずれかに記載の圧縮成
    形装置。
  11. 【請求項11】 前記組成物は、希土類元素を含む磁石
    粉末と結合樹脂とを含むものである請求項10に記載の
    圧縮成形装置。
  12. 【請求項12】 厚さが8mm以下の板状のボンド磁石を
    製造するための圧縮成形装置である請求項1ないし11
    のいずれかに記載の圧縮成形装置。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし12のいずれかに記載
    の圧縮成形装置を用いて成形材料を圧縮成形する圧縮成
    形方法であって、 成形材料を前記加熱部で加熱した後、前記冷却部へ相対
    的に移動して圧縮成形するとともに冷却することを特徴
    とする圧縮成形方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし12のいずれかに記載
    の圧縮成形装置を用いて成形材料を圧縮成形する圧縮成
    形方法であって、 成形材料を前記加熱部で加熱しつつ圧縮した後、前記冷
    却部へ相対的に移動して冷却することを特徴とする圧縮
    成形方法。
  15. 【請求項15】 前記冷却は、前記加熱部における加圧
    状態を維持したまま行われる請求項14に記載の圧縮成
    形方法。
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