JP5093362B2 - 固定子製造方法、及び固定子 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0001】
この発明は、分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1及び2において、分割固定子の製造方法を提案している。すなわち、分割コアのティース部に0.2〜0.3mm厚さのインシュレータを成形する。次に、インシュレータの上にエッジワイズコイルを装着する。エッジワイズコイルがインシュレータを介して装着された分割コアをインサートして、樹脂モールドを行う。これにより、分割固定子が製造できる。
この製造方法によれば、樹脂モールドがエッジワイズコイルの隙間に進入するため、熱放熱に優れた固定子を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】
特開2009−072055号公報
【特許文献2】
特開2008−160938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2の技術には、次のような問題があった。
(1)インシュレータにエッジワイズコイルを装着したときに、インシュレータとエッジワイズコイルとの間に隙間が形成されてしまう。この隙間は、小さいため、樹脂モールドしたときに、樹脂が進入できず、空気層が形成されてしまう。固定子として使用するときに、エッジワイズコイルにおいて発熱が生じる。発生した熱は、インシュレータを介してコアに逃がされるのであるが、インシュレータとエッジワイズコイルとの間に空気層が存在すると、熱伝達の効率が著しく劣化する問題がある。
(2)また、インシュレータを成形するために樹脂を加熱し、冷却しているため、加熱したエネルギをそのまま捨てることとなり、省エネ、二酸化炭素削減に貢献することができない問題がある。
【0005】
この発明は上記問題点を解決するためのものであって、コイルで発生する熱を効率よく固定子コアに放熱することができ、かつ、インシュレータを成形するのに必要な熱エネルギを有効に使用できる固定子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における固定子製造方法は、次の構成を有している。
(1)分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、集中巻きコイルをインサートして、インシュレータを成形する成形工程と、インシュレータが成形された集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、分割コアのティース部に装着し、冷却することにより、インシュレータが成形された集中巻きコイルをティース部に焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有する。
(2)(1)に記載する固定子製造方法において、インシュレータが、コイルが分割コアと相対する箇所にのみ形成されていることが好ましい。
(3)(1)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータが、前記コイルの全周を覆って形成されていることが好ましい。
(4)(3)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータの外周面と、前記分割コアに隣接する分割コアのインシュレータ外周面との間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0007】
(5)(1)乃至(4)に記載する固定子製造方法のいずれか1つにおいて、前記集中巻きコイルがエッジワイズコイルであること、前記エッジワイズコイルを成形金型内で位置決めする位置決め機構を有することが好ましい。
(6)(5)に記載する固定子製造方法において、前記位置決め機構が、予めエッジワイズコイルをインサートして、成形された凸部であることが好ましい。
(7)(1)乃至(6)に記載する固定子製造方法のいずれか1つの固定子製造法により製造された固定子であって、前記固定子は、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、前記分割コアの前記ティース部に装着し、冷却することにより、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めしていること、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めすることにより、前記インシュレータと前記ティース部との隙間がほとんどない固定子とするのが好ましい。
発明の効果
[0008]
次に、上記構成を有する固定子製造方法、及び固定子の作用及び効果について説明する。
(1)分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、集中巻きコイルをインサートして、インシュレータを成形する成形工程と、インシュレータが成形された集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、分割コアのティース部に装着し、冷却することにより、インシュレータが成形された集中巻きコイルをティース部に焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有する。
コイルをキャビティ内にインサートして、インシュレータを成形したときに、インシュレータ及びコイルは、150℃以上の温度まで加熱されている。内周面等にインシュレータが成形されたコイルが、まだ所定温度(例えば、150℃)以上ある状態で、すなわち、インシュレータ成形直後に、分割コアのティース部に装着して、分割コアを冷金として、インシュレータとコイルとを冷却するので、インシュレータとコイルとが、冷却されて収縮するため、インシュレータとコイルとが、分割コアのティース部に対して、焼き嵌めされる。これにより、インシュレータとティース部との間の隙間(空気層の存在)をほとんどなくすことができる。また、インシュレータを成形するために使用した熱エネルギを、インシュレータとコイルの焼き嵌め工程にそのまま使用できるため、省エネ、二酸化炭素の削減に貢献できる。
[0009]
(2)(1)に記載する固定子製造方法において、インシュレータが、コイルが分割コアと相対する箇所にのみ形成されていることを特徴とするので、インシュレータをコイルに成形し、成形直後の余熱でコイルを分割コアに対して、焼き嵌めできる。
(3)(1)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータが、前記コイルの全周を覆って形成されていることを特徴とするので、インシュレータは、特許文献1のインシュレータと樹脂モールドとを一体として形成したものとなるため、樹脂モールド工程を省略することができ、生産効率を高めることができる。
(4)(3)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータの外周面と、前記分割コアに隣接する分割コアのインシュレータ外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とするので、ハイブリッド自動車で使用され、固定子に冷却油がかけられたときに、隙間に冷却油が進入して、コイルをより冷却することができる。
【0010】
(5)(1)に記載する固定子製造方法において、前記集中巻きコイルがエッジワイズコイルであること、前記エッジワイズコイルを成形金型内で位置決めする位置決め機構を有すること、を特徴とするので、エッジワイズコイルの内周面にインシュレータを所定の厚みで成形することができる。エッジワイズコイルの内周面に形成されるインシュレータの厚みは、0.2〜0.3mm程度である。その程度の厚みで十分な絶縁が確保できるからであり、薄くすることにより、コイルからコアへの熱伝達の効率を高くするためである。しかし、インシュレータの厚みは、確実に0.2mm確保される必要があり、そのために、位置決め機構を必要とするのである。
【0011】
(6)(5)に記載する固定子製造方法において、前記位置決め機構が、予めエッジワイズコイルをインサートして、成形された凸部であることを特徴とするので、エッジワイズコイルをインサートして、予備成形することにより、エッジワイズコイルの必要箇所に凸部を形成できる。凸部が形成されたエッジワイズコイルを、インシュレータ成形用金型にインサートすると、凸部が金型内面に当接して位置決めされる。この状態で、成形することにより、エッジワイズコイルの内周面に形成されるインシュレータの厚みを一定とすることができる。ここで、凸部はインシュレータと同じ材料で形成されているので、凸部もインシュレータの一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例の上型、下型、インサートするエッジワイズコイルを示す断面図である。
【図2】図1において、エッジワイズコイルをインサートした状態を示す図である。
【図3】図2において、上型を閉じた状態を示す図である。
【図4】図3において、樹脂を射出してインシュレータを成形した状態を示す図である。
【図5】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルと、分割コアとの関係を示す図である。
【図6】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルを、分割コアのティース部に装着した状態を示す図である。
【図7】エッジワイズコイルの斜視図である。
【図8】固定子組立の斜視図である。
【図9】第2実施例の位置決め凸部が形成されたエッジワイズコイルを示す図である。
【図10】第2実施例の位置決め凸部を成形する方法を説明する断面図である。
【図11】図9の位置決め凸部が形成されたエッジワイズコイルを、下型にインサートして、上型を閉じた状態を示す図である。
【図12】図11において、樹脂を射出してインシュレータを成形した状態を示す図である。
【図13】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルと、分割コアとの関係を示す図である。
【図14】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルを、分割コアのティース部に装着した状態を示す図である。
【図15】第3実施例の隣接するティース部に装着されたインシュレータが形成されたエッジワイズコイルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の1実施例である固定子製造方法について図面を用いて詳細に説明する。図1乃至図4に、エッジワイズコイルを金型にインサートして、インシュレータを成形する工程を示す。図7に、エッジワイズコイル11の斜視図を示す。エッジワイズコイル11は、厚さ1〜2mm、幅8〜10mmの断面が矩形形状で、外周にエナメル層が形成された導線を矩形形状に巻いて、順次矩形の短辺の長さを変化させて、全体断面が台形形状に成形したものである。エッジワイズコイル11からは、端子部11a、11bが突出している。
図3においては、固定型である下型12と、可動型である上型13とでキャビティ14を構成している。エッジワイズコイル11は、キャビティ14内にインサートされている。図3には表れていないが、図7に示すエッジワイズコイル11の端子部11a、11bは、上下の金型12,13に形成された段差部により挟み込まれて、キャビティ14の外に突出している。図3及び図4に示すように、下型12には、樹脂Fを射出するための射出口12aが形成されている。
【0014】
図2に示すように、下型12内にエッジワイズコイル11をインサートしたときに、キャビティ14の内面14aがエッジワイズコイル11の外周面11cと当接することにより、キャビティ14内でエッジワイズコイル11が位置決めされている。この状態で、上型13が下型12と当接する位置まで下降する。その状態を図3に示す。
図3に示すように、エッジワイズコイル11の内周面には、インシュレータ15を形成するためのキャビティ空間14bが存在する。また、エッジワイズコイル11の上部端面には、キャビティ空間14cが存在する。また、エッジワイズコイル11の下部端面には、キャビティ空間14dが存在する。キャビティ空間14b、14c、14dにより、キャビティ14が構成されている。また、射出口12aは、分配流路12bにより、キャビティ空間14dに連通している。
【0015】
図4は、インシュレータ15を成形するための樹脂Fが射出された状態を示している。樹脂は、熱可塑性樹脂であり、150℃以上に加熱され溶融している。インシュレータ15は、筒部15aと、筒部15aの分割コア本体側の一端に形成されたコア側部15bと、筒部15aの他端側に形成されたティース先端側部15cとを有している。
筒部15aは、エッジワイズコイル11の筒状の内面を覆っている部分である。コア側部15bは、図5に示す、分割コア16のティース部16a以外の内周面であるコア本体内周面16bと相対する部分である。ティース先端側部15cは、エッジワイズコイル11を保持するためのものである。
【0016】
図5に、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ15を成形した状態であるコイル組立体17を示す。図5に示すように、ティース部根元部の横幅寸法をA=20.000mmとしている。また、コイル組立体17のインシュレータ15の内面幅をB=20−0.013mmとしている。いずれも、常温における寸法である。
分割コア16は、積層鋼板から構成されており、鉄製である。鉄の線膨張係数は、12*10−6である。エッジワイズコイル11は銅製であり、インシュレータは樹脂製である。銅及びインシュレータ樹脂の線膨張係数は、17*10−6である。
図2において、分割コア16は常温であり、A=20mmである。エッジワイズコイル11とインシュレータ15の温度は、金型から取り出した直後のため、約150℃である。そのため、コイル組立体17のインシュレータ内面幅は、熱膨張しており、B=20mmである。
【0017】
これにより、コイル組立体17を分割コア16のティース部16aの根元まで、すなわち、インシュレータ15のコア側部15bの外面が、分割コア16のコア本体内周面16bに当接する位置まで挿入することができる。
この状態で、コイル組立体17を常温まで冷却することにより、Bは、0.013mm縮小してB=19.987mmになろうとする。これにより、締め代0.013mmの焼き嵌めが行われる。常温になった状態を図6に示す。
インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、ティース部16aに対して焼き嵌めされることにより、インシュレータ15の筒部15aの内周面と、ティース部16aの外周面と間に存在する空気層がなくすことができる。
図6の状態から、エッジワイズコイル11の外側を樹脂モールドして、分割固定子を完成させ、18個の分割固定子を環状に配置して、焼き嵌めリング19を焼き嵌めすることにより、図8に示すように、固定子組立20が完成する。固定子組立20に、バスバーを取り付けて配線し、3相の各端子を接続することにより、固定子が完成する。
【0018】
以上、詳細に説明したように、本実施例の固定子製造方法によれば、分割コア16と、インシュレータ15と、集中巻きコイルであるエッジワイズコイル11とを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ15を成形する成形工程と、インシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11を、所定温度(本実施例では、150℃)以上に保ったまま、分割コア16のティース部16aに装着し、冷却することにより、インシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11をティース部16aに焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有するので、エッジワイズコイル11をキャビティ14内にインサートして、インシュレータ15を成形したときに、インシュレータ15及びコイル11は、150℃以上の温度まで加熱されている。内周面等にインシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11が、まだ所定温度(本実施例では、150℃)以上ある状態で、すなわち、インシュレータ成形直後に、分割コア16のティース部16aに装着して、分割コア16を冷金として、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とを冷却するので、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、冷却されて収縮するため、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、分割コア16のティース部16aに対して、焼き嵌めされる。これにより、インシュレータ15とティース部16aとの間の隙間(空気層の存在)をほとんどなくすことができる。そして、固定子の放熱特性を向上させることができる。
また、インシュレータ15を成形するために使用した熱エネルギを、インシュレータ15とエッジワイズコイル11の焼き嵌め工程にそのまま使用できるため、省エネ、二酸化炭素の削減に貢献できる。
また、インシュレータ15が、エッジワイズコイル11が分割コア16と相対する箇所にのみ形成されていることを特徴とするので、インシュレータ15をエッジワイズコイル11に成形し、成形直後の余熱でエッジワイズコイル11を分割コア16に対して、焼き嵌めできる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図9に、本成形前に、エッジワイズコイル11の外周に4箇所の位置決め凸部21を形成した状態のものを示す。図10に、図9の状態のものを成形する方法を示す。図10は、エッジワイズコイル11がインサートされた固定型である下型22、及び可動型である上型23の断面図を示している。断面は、図9におけるAA断面に対応する下型22、上型23を示している。
下型22には、樹脂が通過する流路24が形成されている。流路24は、樹脂を供給するためのノズル25に接続している。図9では、樹脂が射出され、位置決め凸部21が4箇所に形成された状態を示している。これにより、図9に示すものができる。これは、本成形前の予備的な工程である。
【0020】
次に、本成形工程について説明する。図11に、図9に示した位置決め凸部21が形成されたエッジワイズコイル11を、固定型である下型26のキャビティ28内にインサートして、可動型である上型27を閉じた状態を示す。下型26には、樹脂の流路33が形成されている。
図11に示すように、エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21が、下型26のキャビティ28の内周面に当接して位置決めされている。エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21を介してのみ下型26、及び上型27と接触しており、他の部分は、キャビティ28内で浮いた状態となっている。下型26のキャビティ28の内面が下にいくほど、狭くなっているので、エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21により、位置決めされるのである。
エッジワイズコイル11の図中上面側には、キャビティ28aが形成され、左側にはキャビティ28bが形成され、下側にはキャビティ28cが形成され、右側には、位置決め凸部21以外の場所にキャビティ28dが形成されている。
【0021】
図12に、樹脂Fを射出してインシュレータ29を成形した状態を示す。流路33は、樹脂Fを射出するためのノズル36に接続されている。
エッジワイズコイル11は、インシュレータ29により全周を覆われている。位置決め凸部21と、図12で射出した樹脂は同じ樹脂なので、位置決め凸部21も、新たに射出された樹脂Fと共に、インシュレータ29を構成している。本実施例のインシュレータ29は、第1実施例のインシュレータ15と、樹脂モールドとを含む構成である。
樹脂Fは、熱可塑性樹脂であり、150℃以上に加熱され溶融している。
図13に、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ29を成形した状態であるコイル組立体30を示す。図13に示すように、ティース部根元部の横幅寸法をA=20.000mmとしている。また、コイル組立体30のインシュレータ29の内面幅をB=20−0.013mmとしている。いずれも、常温における寸法である。
分割コア16は、積層鋼板から構成されており、鉄製である。鉄の線膨張係数は、12*10−6である。エッジワイズコイル11は銅製であり、インシュレータは樹脂製である。銅及びインシュレータ樹脂の線膨張係数は、17*10−6である。
図13において、分割コア16は常温であり、A=20mmである。エッジワイズコイル11とインシュレータ29の温度は、金型から取り出した直後のため、約150℃である。そのため、コイル組立体30のインシュレータ内面幅は、熱膨張しており、B=20mmである。
【0022】
これにより、コイル組立体30を分割コア16のティース部16aの根元まで、すなわち、インシュレータ29のコア側部29bの外面が、分割コア16のコア本体内周面16bに当接する位置まで挿入することができる。
この状態で、コイル組立体30を常温まで冷却することにより、Bは、0.013mm縮小してB=19.987mmになろうとする。これにより、締め代0.013mmの焼き嵌めが行われる。常温になった状態を図14に示す。
インシュレータ29とエッジワイズコイル11とが、ティース部16aに対して焼き嵌めされることにより、インシュレータ29の筒部29aの内周面と、ティース部16aの外周面と間に存在する空気層がなくすことができる。
図14の状態の分割固定子を、18個環状に配置して、焼き嵌めリング19を焼き嵌めすることにより、図8に示すように、固定子組立20が完成する。固定子組立20に、バスバーを取り付けて配線し、3相の各端子を接続することにより、固定子が完成する。
【0023】
以上、説明したように、第2実施例の固定子製造方法によれば、インシュレータ29が、エッジワイズコイル11の全周を覆って形成されていることを特徴とするので、インシュレータ29は、特許文献1のインシュレータと樹脂モールドとを一体として形成したものとなるため、樹脂モールド工程を省略することができ、生産効率を高めることができる。
また、エッジワイズコイル11を成形金型内で位置決めする位置決め機構を有すること、を特徴とするので、エッジワイズコイル11の内周面にインシュレータ29を所定の厚みで成形することができる。エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ29の厚みは、0.2〜0.3mm程度である。その程度の厚みで十分な絶縁が確保できるからであり、薄くすることにより、エッジワイズコイル11からコアへの熱伝達の効率を高くするためである。しかし、インシュレータ29の厚みは、確実に0.2mm確保される必要があり、そのために、位置決め機構を必要とするのである。
【0024】
また、位置決め機構が、予めエッジワイズコイル11をインサートして、成形された位置決め凸部21であることを特徴とするので、エッジワイズコイル11をインサートして、予備成形することにより、エッジワイズコイル11の必要箇所に位置決め凸部21を形成できる。位置決め凸部21が形成されたエッジワイズコイル11を、インシュレータ成形用金型である下型26にインサートすると、位置決め凸部21が下型26の内面に当接して位置決めされる。この状態で、成形することにより、エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ29の厚みを一定とすることができる。ここで、位置決め凸部21はインシュレータ29と同じ材料で形成されているので、位置決め凸部21もインシュレータ29の一部を構成する。
【0025】
次に、本発明の第3実施例について説明する。第3実施例は、インシュレータ29の形状が、第2実施例のものと相違するのみで、他の構成等は、第2実施例と同じであるので、相違する点のみ詳細に説明し、他の部分については、説明を割愛する。
図15に、第3実施例のインシュレータ34の形状を示す。隣接する分割コア16に装着されたエッジワイズコイル11とインシュレータ34を断面で示している。
図15に示すように、隣接するインシュレータ34の外面同士の間に隙間Sが形成されている。
この隙間Sは、18個の分割固定子の間に18箇所の隙間Sが形成されている。ハイブリッド自動車においては、固定子を冷却するために、固定子に冷却油をかける場合がある。その場合に、隙間Sが存在することにより、冷却油が隙間S内を流れて、エッジワイズコイル11を効率よく冷却できる。
【0026】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、エッジワイズコイル11の位置決め機構を、予備成形により位置決め凸部21を成形することにより行っているが、位置決め機構が、付勢手段によりキャビティ内に突出した摺動部材を備えることにより行っても良い。この方法によれば、エッジワイズコイル11がキャビティ内で、摺動部材の先端で位置決めされる。成形することにより、エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ15の厚みを一定とすることができる。ここで、摺動部材は、キャビティ内に樹脂が充填された状態では、樹脂の内圧が付勢手段の力を上まわるため、摺動部材は金型内に引っ込み、所定の厚みのインシュレータを成形できる。
【符号の説明】
【0027】
11 エッジワイズコイル
12、22、26 下型
13、23、27 上型
14 キャビティ
15、29、34 インシュレータ
16 分割コア
16a ティース部
16b コア本体内周面
17、30 コイル組立体
20 固定子組立
21 位置決め凸部
28 キャビティ
【0001】
この発明は、分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1及び2において、分割固定子の製造方法を提案している。すなわち、分割コアのティース部に0.2〜0.3mm厚さのインシュレータを成形する。次に、インシュレータの上にエッジワイズコイルを装着する。エッジワイズコイルがインシュレータを介して装着された分割コアをインサートして、樹脂モールドを行う。これにより、分割固定子が製造できる。
この製造方法によれば、樹脂モールドがエッジワイズコイルの隙間に進入するため、熱放熱に優れた固定子を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】
特開2009−072055号公報
【特許文献2】
特開2008−160938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2の技術には、次のような問題があった。
(1)インシュレータにエッジワイズコイルを装着したときに、インシュレータとエッジワイズコイルとの間に隙間が形成されてしまう。この隙間は、小さいため、樹脂モールドしたときに、樹脂が進入できず、空気層が形成されてしまう。固定子として使用するときに、エッジワイズコイルにおいて発熱が生じる。発生した熱は、インシュレータを介してコアに逃がされるのであるが、インシュレータとエッジワイズコイルとの間に空気層が存在すると、熱伝達の効率が著しく劣化する問題がある。
(2)また、インシュレータを成形するために樹脂を加熱し、冷却しているため、加熱したエネルギをそのまま捨てることとなり、省エネ、二酸化炭素削減に貢献することができない問題がある。
【0005】
この発明は上記問題点を解決するためのものであって、コイルで発生する熱を効率よく固定子コアに放熱することができ、かつ、インシュレータを成形するのに必要な熱エネルギを有効に使用できる固定子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における固定子製造方法は、次の構成を有している。
(1)分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、集中巻きコイルをインサートして、インシュレータを成形する成形工程と、インシュレータが成形された集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、分割コアのティース部に装着し、冷却することにより、インシュレータが成形された集中巻きコイルをティース部に焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有する。
(2)(1)に記載する固定子製造方法において、インシュレータが、コイルが分割コアと相対する箇所にのみ形成されていることが好ましい。
(3)(1)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータが、前記コイルの全周を覆って形成されていることが好ましい。
(4)(3)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータの外周面と、前記分割コアに隣接する分割コアのインシュレータ外周面との間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0007】
(5)(1)乃至(4)に記載する固定子製造方法のいずれか1つにおいて、前記集中巻きコイルがエッジワイズコイルであること、前記エッジワイズコイルを成形金型内で位置決めする位置決め機構を有することが好ましい。
(6)(5)に記載する固定子製造方法において、前記位置決め機構が、予めエッジワイズコイルをインサートして、成形された凸部であることが好ましい。
(7)(1)乃至(6)に記載する固定子製造方法のいずれか1つの固定子製造法により製造された固定子であって、前記固定子は、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、前記分割コアの前記ティース部に装着し、冷却することにより、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めしていること、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めすることにより、前記インシュレータと前記ティース部との隙間がほとんどない固定子とするのが好ましい。
発明の効果
[0008]
次に、上記構成を有する固定子製造方法、及び固定子の作用及び効果について説明する。
(1)分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、集中巻きコイルをインサートして、インシュレータを成形する成形工程と、インシュレータが成形された集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、分割コアのティース部に装着し、冷却することにより、インシュレータが成形された集中巻きコイルをティース部に焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有する。
コイルをキャビティ内にインサートして、インシュレータを成形したときに、インシュレータ及びコイルは、150℃以上の温度まで加熱されている。内周面等にインシュレータが成形されたコイルが、まだ所定温度(例えば、150℃)以上ある状態で、すなわち、インシュレータ成形直後に、分割コアのティース部に装着して、分割コアを冷金として、インシュレータとコイルとを冷却するので、インシュレータとコイルとが、冷却されて収縮するため、インシュレータとコイルとが、分割コアのティース部に対して、焼き嵌めされる。これにより、インシュレータとティース部との間の隙間(空気層の存在)をほとんどなくすことができる。また、インシュレータを成形するために使用した熱エネルギを、インシュレータとコイルの焼き嵌め工程にそのまま使用できるため、省エネ、二酸化炭素の削減に貢献できる。
[0009]
(2)(1)に記載する固定子製造方法において、インシュレータが、コイルが分割コアと相対する箇所にのみ形成されていることを特徴とするので、インシュレータをコイルに成形し、成形直後の余熱でコイルを分割コアに対して、焼き嵌めできる。
(3)(1)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータが、前記コイルの全周を覆って形成されていることを特徴とするので、インシュレータは、特許文献1のインシュレータと樹脂モールドとを一体として形成したものとなるため、樹脂モールド工程を省略することができ、生産効率を高めることができる。
(4)(3)に記載する固定子製造方法において、前記インシュレータの外周面と、前記分割コアに隣接する分割コアのインシュレータ外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とするので、ハイブリッド自動車で使用され、固定子に冷却油がかけられたときに、隙間に冷却油が進入して、コイルをより冷却することができる。
【0010】
(5)(1)に記載する固定子製造方法において、前記集中巻きコイルがエッジワイズコイルであること、前記エッジワイズコイルを成形金型内で位置決めする位置決め機構を有すること、を特徴とするので、エッジワイズコイルの内周面にインシュレータを所定の厚みで成形することができる。エッジワイズコイルの内周面に形成されるインシュレータの厚みは、0.2〜0.3mm程度である。その程度の厚みで十分な絶縁が確保できるからであり、薄くすることにより、コイルからコアへの熱伝達の効率を高くするためである。しかし、インシュレータの厚みは、確実に0.2mm確保される必要があり、そのために、位置決め機構を必要とするのである。
【0011】
(6)(5)に記載する固定子製造方法において、前記位置決め機構が、予めエッジワイズコイルをインサートして、成形された凸部であることを特徴とするので、エッジワイズコイルをインサートして、予備成形することにより、エッジワイズコイルの必要箇所に凸部を形成できる。凸部が形成されたエッジワイズコイルを、インシュレータ成形用金型にインサートすると、凸部が金型内面に当接して位置決めされる。この状態で、成形することにより、エッジワイズコイルの内周面に形成されるインシュレータの厚みを一定とすることができる。ここで、凸部はインシュレータと同じ材料で形成されているので、凸部もインシュレータの一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例の上型、下型、インサートするエッジワイズコイルを示す断面図である。
【図2】図1において、エッジワイズコイルをインサートした状態を示す図である。
【図3】図2において、上型を閉じた状態を示す図である。
【図4】図3において、樹脂を射出してインシュレータを成形した状態を示す図である。
【図5】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルと、分割コアとの関係を示す図である。
【図6】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルを、分割コアのティース部に装着した状態を示す図である。
【図7】エッジワイズコイルの斜視図である。
【図8】固定子組立の斜視図である。
【図9】第2実施例の位置決め凸部が形成されたエッジワイズコイルを示す図である。
【図10】第2実施例の位置決め凸部を成形する方法を説明する断面図である。
【図11】図9の位置決め凸部が形成されたエッジワイズコイルを、下型にインサートして、上型を閉じた状態を示す図である。
【図12】図11において、樹脂を射出してインシュレータを成形した状態を示す図である。
【図13】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルと、分割コアとの関係を示す図である。
【図14】インシュレータが成形された直後のエッジワイズコイルを、分割コアのティース部に装着した状態を示す図である。
【図15】第3実施例の隣接するティース部に装着されたインシュレータが形成されたエッジワイズコイルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の1実施例である固定子製造方法について図面を用いて詳細に説明する。図1乃至図4に、エッジワイズコイルを金型にインサートして、インシュレータを成形する工程を示す。図7に、エッジワイズコイル11の斜視図を示す。エッジワイズコイル11は、厚さ1〜2mm、幅8〜10mmの断面が矩形形状で、外周にエナメル層が形成された導線を矩形形状に巻いて、順次矩形の短辺の長さを変化させて、全体断面が台形形状に成形したものである。エッジワイズコイル11からは、端子部11a、11bが突出している。
図3においては、固定型である下型12と、可動型である上型13とでキャビティ14を構成している。エッジワイズコイル11は、キャビティ14内にインサートされている。図3には表れていないが、図7に示すエッジワイズコイル11の端子部11a、11bは、上下の金型12,13に形成された段差部により挟み込まれて、キャビティ14の外に突出している。図3及び図4に示すように、下型12には、樹脂Fを射出するための射出口12aが形成されている。
【0014】
図2に示すように、下型12内にエッジワイズコイル11をインサートしたときに、キャビティ14の内面14aがエッジワイズコイル11の外周面11cと当接することにより、キャビティ14内でエッジワイズコイル11が位置決めされている。この状態で、上型13が下型12と当接する位置まで下降する。その状態を図3に示す。
図3に示すように、エッジワイズコイル11の内周面には、インシュレータ15を形成するためのキャビティ空間14bが存在する。また、エッジワイズコイル11の上部端面には、キャビティ空間14cが存在する。また、エッジワイズコイル11の下部端面には、キャビティ空間14dが存在する。キャビティ空間14b、14c、14dにより、キャビティ14が構成されている。また、射出口12aは、分配流路12bにより、キャビティ空間14dに連通している。
【0015】
図4は、インシュレータ15を成形するための樹脂Fが射出された状態を示している。樹脂は、熱可塑性樹脂であり、150℃以上に加熱され溶融している。インシュレータ15は、筒部15aと、筒部15aの分割コア本体側の一端に形成されたコア側部15bと、筒部15aの他端側に形成されたティース先端側部15cとを有している。
筒部15aは、エッジワイズコイル11の筒状の内面を覆っている部分である。コア側部15bは、図5に示す、分割コア16のティース部16a以外の内周面であるコア本体内周面16bと相対する部分である。ティース先端側部15cは、エッジワイズコイル11を保持するためのものである。
【0016】
図5に、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ15を成形した状態であるコイル組立体17を示す。図5に示すように、ティース部根元部の横幅寸法をA=20.000mmとしている。また、コイル組立体17のインシュレータ15の内面幅をB=20−0.013mmとしている。いずれも、常温における寸法である。
分割コア16は、積層鋼板から構成されており、鉄製である。鉄の線膨張係数は、12*10−6である。エッジワイズコイル11は銅製であり、インシュレータは樹脂製である。銅及びインシュレータ樹脂の線膨張係数は、17*10−6である。
図2において、分割コア16は常温であり、A=20mmである。エッジワイズコイル11とインシュレータ15の温度は、金型から取り出した直後のため、約150℃である。そのため、コイル組立体17のインシュレータ内面幅は、熱膨張しており、B=20mmである。
【0017】
これにより、コイル組立体17を分割コア16のティース部16aの根元まで、すなわち、インシュレータ15のコア側部15bの外面が、分割コア16のコア本体内周面16bに当接する位置まで挿入することができる。
この状態で、コイル組立体17を常温まで冷却することにより、Bは、0.013mm縮小してB=19.987mmになろうとする。これにより、締め代0.013mmの焼き嵌めが行われる。常温になった状態を図6に示す。
インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、ティース部16aに対して焼き嵌めされることにより、インシュレータ15の筒部15aの内周面と、ティース部16aの外周面と間に存在する空気層がなくすことができる。
図6の状態から、エッジワイズコイル11の外側を樹脂モールドして、分割固定子を完成させ、18個の分割固定子を環状に配置して、焼き嵌めリング19を焼き嵌めすることにより、図8に示すように、固定子組立20が完成する。固定子組立20に、バスバーを取り付けて配線し、3相の各端子を接続することにより、固定子が完成する。
【0018】
以上、詳細に説明したように、本実施例の固定子製造方法によれば、分割コア16と、インシュレータ15と、集中巻きコイルであるエッジワイズコイル11とを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ15を成形する成形工程と、インシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11を、所定温度(本実施例では、150℃)以上に保ったまま、分割コア16のティース部16aに装着し、冷却することにより、インシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11をティース部16aに焼き嵌めする焼き嵌め工程を、有するので、エッジワイズコイル11をキャビティ14内にインサートして、インシュレータ15を成形したときに、インシュレータ15及びコイル11は、150℃以上の温度まで加熱されている。内周面等にインシュレータ15が成形されたエッジワイズコイル11が、まだ所定温度(本実施例では、150℃)以上ある状態で、すなわち、インシュレータ成形直後に、分割コア16のティース部16aに装着して、分割コア16を冷金として、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とを冷却するので、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、冷却されて収縮するため、インシュレータ15とエッジワイズコイル11とが、分割コア16のティース部16aに対して、焼き嵌めされる。これにより、インシュレータ15とティース部16aとの間の隙間(空気層の存在)をほとんどなくすことができる。そして、固定子の放熱特性を向上させることができる。
また、インシュレータ15を成形するために使用した熱エネルギを、インシュレータ15とエッジワイズコイル11の焼き嵌め工程にそのまま使用できるため、省エネ、二酸化炭素の削減に貢献できる。
また、インシュレータ15が、エッジワイズコイル11が分割コア16と相対する箇所にのみ形成されていることを特徴とするので、インシュレータ15をエッジワイズコイル11に成形し、成形直後の余熱でエッジワイズコイル11を分割コア16に対して、焼き嵌めできる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図9に、本成形前に、エッジワイズコイル11の外周に4箇所の位置決め凸部21を形成した状態のものを示す。図10に、図9の状態のものを成形する方法を示す。図10は、エッジワイズコイル11がインサートされた固定型である下型22、及び可動型である上型23の断面図を示している。断面は、図9におけるAA断面に対応する下型22、上型23を示している。
下型22には、樹脂が通過する流路24が形成されている。流路24は、樹脂を供給するためのノズル25に接続している。図9では、樹脂が射出され、位置決め凸部21が4箇所に形成された状態を示している。これにより、図9に示すものができる。これは、本成形前の予備的な工程である。
【0020】
次に、本成形工程について説明する。図11に、図9に示した位置決め凸部21が形成されたエッジワイズコイル11を、固定型である下型26のキャビティ28内にインサートして、可動型である上型27を閉じた状態を示す。下型26には、樹脂の流路33が形成されている。
図11に示すように、エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21が、下型26のキャビティ28の内周面に当接して位置決めされている。エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21を介してのみ下型26、及び上型27と接触しており、他の部分は、キャビティ28内で浮いた状態となっている。下型26のキャビティ28の内面が下にいくほど、狭くなっているので、エッジワイズコイル11は、4箇所の位置決め凸部21により、位置決めされるのである。
エッジワイズコイル11の図中上面側には、キャビティ28aが形成され、左側にはキャビティ28bが形成され、下側にはキャビティ28cが形成され、右側には、位置決め凸部21以外の場所にキャビティ28dが形成されている。
【0021】
図12に、樹脂Fを射出してインシュレータ29を成形した状態を示す。流路33は、樹脂Fを射出するためのノズル36に接続されている。
エッジワイズコイル11は、インシュレータ29により全周を覆われている。位置決め凸部21と、図12で射出した樹脂は同じ樹脂なので、位置決め凸部21も、新たに射出された樹脂Fと共に、インシュレータ29を構成している。本実施例のインシュレータ29は、第1実施例のインシュレータ15と、樹脂モールドとを含む構成である。
樹脂Fは、熱可塑性樹脂であり、150℃以上に加熱され溶融している。
図13に、エッジワイズコイル11をインサートして、インシュレータ29を成形した状態であるコイル組立体30を示す。図13に示すように、ティース部根元部の横幅寸法をA=20.000mmとしている。また、コイル組立体30のインシュレータ29の内面幅をB=20−0.013mmとしている。いずれも、常温における寸法である。
分割コア16は、積層鋼板から構成されており、鉄製である。鉄の線膨張係数は、12*10−6である。エッジワイズコイル11は銅製であり、インシュレータは樹脂製である。銅及びインシュレータ樹脂の線膨張係数は、17*10−6である。
図13において、分割コア16は常温であり、A=20mmである。エッジワイズコイル11とインシュレータ29の温度は、金型から取り出した直後のため、約150℃である。そのため、コイル組立体30のインシュレータ内面幅は、熱膨張しており、B=20mmである。
【0022】
これにより、コイル組立体30を分割コア16のティース部16aの根元まで、すなわち、インシュレータ29のコア側部29bの外面が、分割コア16のコア本体内周面16bに当接する位置まで挿入することができる。
この状態で、コイル組立体30を常温まで冷却することにより、Bは、0.013mm縮小してB=19.987mmになろうとする。これにより、締め代0.013mmの焼き嵌めが行われる。常温になった状態を図14に示す。
インシュレータ29とエッジワイズコイル11とが、ティース部16aに対して焼き嵌めされることにより、インシュレータ29の筒部29aの内周面と、ティース部16aの外周面と間に存在する空気層がなくすことができる。
図14の状態の分割固定子を、18個環状に配置して、焼き嵌めリング19を焼き嵌めすることにより、図8に示すように、固定子組立20が完成する。固定子組立20に、バスバーを取り付けて配線し、3相の各端子を接続することにより、固定子が完成する。
【0023】
以上、説明したように、第2実施例の固定子製造方法によれば、インシュレータ29が、エッジワイズコイル11の全周を覆って形成されていることを特徴とするので、インシュレータ29は、特許文献1のインシュレータと樹脂モールドとを一体として形成したものとなるため、樹脂モールド工程を省略することができ、生産効率を高めることができる。
また、エッジワイズコイル11を成形金型内で位置決めする位置決め機構を有すること、を特徴とするので、エッジワイズコイル11の内周面にインシュレータ29を所定の厚みで成形することができる。エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ29の厚みは、0.2〜0.3mm程度である。その程度の厚みで十分な絶縁が確保できるからであり、薄くすることにより、エッジワイズコイル11からコアへの熱伝達の効率を高くするためである。しかし、インシュレータ29の厚みは、確実に0.2mm確保される必要があり、そのために、位置決め機構を必要とするのである。
【0024】
また、位置決め機構が、予めエッジワイズコイル11をインサートして、成形された位置決め凸部21であることを特徴とするので、エッジワイズコイル11をインサートして、予備成形することにより、エッジワイズコイル11の必要箇所に位置決め凸部21を形成できる。位置決め凸部21が形成されたエッジワイズコイル11を、インシュレータ成形用金型である下型26にインサートすると、位置決め凸部21が下型26の内面に当接して位置決めされる。この状態で、成形することにより、エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ29の厚みを一定とすることができる。ここで、位置決め凸部21はインシュレータ29と同じ材料で形成されているので、位置決め凸部21もインシュレータ29の一部を構成する。
【0025】
次に、本発明の第3実施例について説明する。第3実施例は、インシュレータ29の形状が、第2実施例のものと相違するのみで、他の構成等は、第2実施例と同じであるので、相違する点のみ詳細に説明し、他の部分については、説明を割愛する。
図15に、第3実施例のインシュレータ34の形状を示す。隣接する分割コア16に装着されたエッジワイズコイル11とインシュレータ34を断面で示している。
図15に示すように、隣接するインシュレータ34の外面同士の間に隙間Sが形成されている。
この隙間Sは、18個の分割固定子の間に18箇所の隙間Sが形成されている。ハイブリッド自動車においては、固定子を冷却するために、固定子に冷却油をかける場合がある。その場合に、隙間Sが存在することにより、冷却油が隙間S内を流れて、エッジワイズコイル11を効率よく冷却できる。
【0026】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、エッジワイズコイル11の位置決め機構を、予備成形により位置決め凸部21を成形することにより行っているが、位置決め機構が、付勢手段によりキャビティ内に突出した摺動部材を備えることにより行っても良い。この方法によれば、エッジワイズコイル11がキャビティ内で、摺動部材の先端で位置決めされる。成形することにより、エッジワイズコイル11の内周面に形成されるインシュレータ15の厚みを一定とすることができる。ここで、摺動部材は、キャビティ内に樹脂が充填された状態では、樹脂の内圧が付勢手段の力を上まわるため、摺動部材は金型内に引っ込み、所定の厚みのインシュレータを成形できる。
【符号の説明】
【0027】
11 エッジワイズコイル
12、22、26 下型
13、23、27 上型
14 キャビティ
15、29、34 インシュレータ
16 分割コア
16a ティース部
16b コア本体内周面
17、30 コイル組立体
20 固定子組立
21 位置決め凸部
28 キャビティ
Claims (7)
- 分割コアと、インシュレータと、集中巻きコイルとを備える分割固定子を有する固定子を製造する固定子製造方法において、
前記集中巻きコイルをインサートして、インシュレータを成形する成形工程と、
前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、前記分割コアのティース部に装着し、冷却することにより、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めする焼き嵌め工程を、
有することを特徴とする固定子製造方法。 - 請求項1に記載する固定子製造方法において、
前記インシュレータが、前記コイルが前記分割コアと相対する箇所にのみ形成されていることを特徴とする固定子製造方法。 - 請求項1に記載する固定子製造方法において、
前記インシュレータが、前記コイルの全周を覆って形成されていることを特徴とする固定子製造方法。 - 請求項3に記載する固定子製造方法において、
前記インシュレータの外周面と、前記分割コアに隣接する分割コアのインシュレータ外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする固定子製造方法。 - 請求項1乃至4に記載する固定子製造方法のいずれか1つにおいて、
前記集中巻きコイルがエッジワイズコイルであること、
前記エッジワイズコイルを成形金型内で位置決めする位置決め機構を有すること、
を特徴とする固定子製造方法。 - 請求項5に記載する固定子製造方法において、
前記位置決め機構が、予めエッジワイズコイルをインサートして、成形された凸部であることを特徴とする固定子製造方法。 - 請求項1乃至6に記載する固定子製造方法のいずれか1つの固定子製造法により製造された固定子であって、
前記固定子は、
前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを、所定温度以上に保ったまま、前記分割コアの前記ティース部に装着し、冷却することにより、前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めしていること、
前記インシュレータが成形された前記集中巻きコイルを前記ティース部に焼き嵌めすることにより、前記インシュレータと前記ティース部との隙間がほとんどないこと、
を特徴とする固定子。
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