JP4449454B2 - 方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法 - Google Patents

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Description

この発明は、方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法に関し、従来、かかるクロムフリー絶縁被膜を形成する際に不可避的に発生していた張力効果の不足または耐吸湿性の低下を効果的に防止して、クロムを含有する絶縁被膜と同等の良好な磁気特性および被膜外観を得ようとするものである。
一般に、方向性電磁鋼板においては、絶縁性、加工性および防錆性等を付与するために、鋼板の表面に被膜を被成する。一般にかかる表面被膜は、最終仕上焼鈍時に形成されるフォルステライトを主体とする下地被膜とその上に被成されるリン酸塩系の上塗り被膜からなる。
また、これらの被膜は、高温で成膜され、しかも低い熱膨張率を持つことから、温度が室温まで下がったときの鋼板とコーティング層との熱膨張率の違いにより鋼板に張力を付与し、鉄損を低減させる効果があるので、できるだけ高い張力を鋼板に付与することが望まれている。
このような諸特性を満足させるために、従来から種々のコーティング技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、リン酸マグネシウムとコロイド状シリカと無水クロム酸を主体とするコーティングが、また特許文献2には、リン酸アルミニウムとコロイド状シリカと無水クロム酸を主体とするコーティングがそれぞれ提案されている。
ところで、近年、環境保全への関心の高まりに伴い、クロムや鉛等の有害物質を含まない製品に対する要望が強まっており、方向性電磁鋼板においてもクロムを含まない絶縁被膜の開発が望まれていた。
しかしながら、クロムを用いないと、耐吸湿性の著しい劣化や張力低下による鉄損改善効果の消失等の品質上の問題が発生するため、クロムを無添加とすることは難しかった。
上記の問題を解決するものとして、特許文献3では、コロイド状シリカとリン酸アルミニウム、ホウ酸および硫酸塩からなるコーティング被膜を形成する方法を提案している。この方法により、従来のクロム含有被膜に近い張力効果による鉄損改善と耐吸湿性の改善がもたらされたものの、この方法のみでは、鉄損および耐吸湿性の改善効果は不十分であった。
そこで、これを解決するために、例えばコロイド状シリカや硫酸塩を増量するなどの方法が試みられたが、コロイド状シリカを増量すると鉄損の改善効果は増大するものの、耐吸湿性が劣化し、一方硫酸塩の添加量を増すと耐吸湿性は改善されるものの、鉄損の改善効果は低下するといったように、両方の特性を同時に満足させることはできなかった。
これら以外にも、クロムを含まないコーティングとして、例えば特許文献4には、ベースであるリン酸−コロイダルシリカ−クロム化合物中のクロム化合物の代りにホウ酸化合物を添加する方法が、また特許文献5には、クロム化合物の代りに酸化物コロイドを添加する方法が、さらに特許文献6には、クロム化合物の代りに金属有機酸塩を添加する方法が、それぞれ提案されている。
しかしながら、いずれの技術を用いても、耐吸湿性と鉄損改善効果の両者を同時に、クロムを含有する従来コーティングと同レベルまで到達させることは難しく、完全な解決策がないというのが現状である。
特公昭56−52117 号公報 特公昭53−28375 号公報 特公昭57−9631号公報 特開2000−169973号公報 特開2000−169972号公報 特開2000−178760号公報
この発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、コーティングを下地層と上地層の2層とすることにより、クロム含有被膜を被成した電磁鋼板と同レベルの低い鉄損と高い耐吸湿性とを兼備した、方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の有利な形成方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく、クロムを含まないコーティングで、所望の耐吸湿性と磁気特性を得るために種々の試みを行った。
その結果、コーティングを2層として、下地層を付与張力が大きく鉄損改善効果の高い層とし、上地層を耐吸湿性の高い層とすることにより、鉄損低減効果と耐吸湿性の両者が併せて得られることの知見を得た。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
1.最終仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板の表面に、下地層として、いずれも固形分比率で、Mg, Al, Fe, Ca, Sr, MnおよびZnのうちから選んだいずれか1種または複数種のリン酸塩:100 質量部に対し、コロイド状シリカを16〜200 質量部配合したリン酸塩−シリカ系の張力コーティングを被成したのち、上地層として、いずれも固形分比率で、有機樹脂:100 質量部に対し、コロイド状シリカを50〜500 質量部配合した耐吸湿性コーティングを被成したことを特徴とする、方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
.前記下地層であるリン酸塩−シリカ系の張力コーティング組成物において、前記リン酸塩:100 質量部に対し、固形分比率でさらに、Mg, Al, Fe, Co, MnおよびZnのうちから選んだ1種または複数種の硫酸塩を合計で10〜100 質量部配合したことを特徴とする上記記載の方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
.前記上地層である耐吸湿性コーティング組成物において、前記有機樹脂:100 質量部に対し、固形分比率でさらに、Mg, Al, Fe, Co, MnおよびZnのうちから選んだ1種または複数種の硫酸塩を合計で 0.5〜10質量部配合したことを特徴とする上記1または2に記載の方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
この発明によれば、クロムを含まない絶縁被膜を使用して、クロムを含有する電磁鋼板と遜色のない、磁気特性および被膜特性に優れた方向性鋼板を安定して得ることができる。
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明を由来するに至った実験結果について説明する。
公知の方法によって製造した0.23mm厚の仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板を、 300×100 mmのサイズにせん断し、未反応の焼鈍分離剤を除去したのち、800 ℃、2時間の歪取焼鈍を施してから、SST 試験機(単板磁気試験器) で磁気測定を行った。
ついで、リン酸酸洗後、表1に示すように、コーティング処理液として
1)リン酸アルミニウム:40質量部、コロイド状シリカ:50質量部、ホウ酸:5質量部、硫酸マグネシウム:10質量部の配合割合になるコーティング剤を、両面で10g/m2塗布、
2)リン酸アルミニウム:40質量部、コロイド状シリカ:50質量部、ホウ酸:5質量部、硫酸マグネシウム:10質量部の配合割合になるコーティング剤を、両面で8g/m2塗布し、300 ℃の炉に1分間投入して乾燥させた後、アクリルエマルジョン樹脂:100 質量部、コロイド状シリカ:250 質量部の配合割合になるコーティング液を両面で0.8 g/m2塗布、
3)アクリルエマルジョン樹脂:100 質量部、コロイド状シリカ:250 質量部の配合割合になるコーティング液を、両面で0.8 g/m2塗布、
4)リン酸マグネシウム:30質量部とコロイド状シリカ:20質量部、無水クロム酸:3質量部、シリカ粉末:0.5 質量部の配合割合になるコーティング液を、両面で10g/m2塗布
の各条件で塗布したのち、300 ℃の炉に1分間投入して乾燥させ、その後平坦化焼鈍とコーティングの焼付けを兼ねて、800 ℃で2分間、熱処理した。
このようにして得られた鋼板に対して、再び SST試験機で磁気測定を行い、またPの溶出試験を行った。
なお、Pの溶出試験は、50×50mmの試験片3枚を 100℃の蒸留水中で5分間浸漬煮沸することによって被膜表面(両面)からPを溶出させ、そのPを定量分析して、調査した。このPの溶出量によって、被膜の水分による溶解のし易さを判別することにより、耐吸湿性が評価できる。
その後、800 ℃で2時間の歪取り焼鈍を行ったのち、再度 SST試験機で磁気測定を行った。
表2に、得られた磁気特性およびP溶出量を示す。
Figure 0004449454
Figure 0004449454
表2に示したとおり、条件2)のコーティングを2層とした場合は、条件4)の従来のクロムを含有するコーティングと同程度以上の優れた磁気特性と耐吸湿性が併せて得られていることが分かる。
これに対し、条件1)のコーティングでは、コーティング塗布後の磁気特性、特に鉄損特性は改善されているものの、歪取り焼鈍後はやや鉄損特性が劣化し、所望の鉄損低減効果は得られなかった。また、P溶出量が他の条件に比べて著しく高く、耐吸湿性は不十分であった。
また、条件3)では、コーティングにリン酸塩を用いないためにP溶出はないものの、コーティング塗布後、及び歪取り焼鈍後の鉄損特性は塗布前よりもむしろ劣化しており、鉄損改善効果は認められなかった。
このように、2層コーティングとすることによって耐吸湿性と磁気特性の両者が共に改善される結果になったことについて、発明者らは次のように考えている。
まず、条件1)のリン酸塩−シリカ系のコーティングでは、一般には従来の技術で述べたとおり、鉄損改善効果および耐吸湿性とも不十分であるが、今回の実験では、コロイド状シリカを多めにしたために、コーティング後の鉄損低減量は改善されたが、そのかわりにP溶出量が増大した。これは、コロイド状シリカの増量に伴い被膜にクラックが発生し、そこにフリーのリン酸が濃化したためと考えられる。
そして、このようなクラックが発生していると、歪取り焼鈍時に雰囲気ガスの影響を受けて地鉄中に析出物が生成するため、鉄損が劣化し、張力効果により鉄損が低減した分が相殺されたものと考えられる。
また、条件3)のコーティングについては、このコーティング液自体がPを含まないため、P溶出はなく、耐吸湿性は良好であるものの、このコーティングは無機物に比べてガラス転移点の低い有機樹脂を主成分としているために、成膜が低温で起こってしまう。これは、地鉄とコーティングの熱膨張率の差に起因する張力効果がかかりにくくなることに対応するため、鉄損の改善効果は低い。
これに対し、条件2)では、下地層として張力付与効果の高いリン酸塩−シリカ系のコーティングを用いているために鉄損低減効果が大きく、また上地層として樹脂−シリカ系の被覆性の高いコーティングを用いているために下地に存在するフリーのリン酸が溶出することがなく、良好な耐吸湿性を示すものと考えられる。
また、この上地層のコーティングが雰囲気からの影響を遮断する結果、歪取り焼鈍中に鋼板中で析出物の生成がなく、鉄損の低減効果が損なわれないものと考えられる。
次に、この発明について具体的に説明する。
この発明の素材である方向性電磁鋼板としては、従来公知のものであれば、その鋼種を問わない。これを公知の方法で最終仕上焼鈍を行う。この時、通常の方向性電磁鋼板の場合は、仕上焼鈍後にフォルステライト被膜を有しているが、場合によっては焼鈍分離剤にアルミナを用いたり、マグネシアに塩化物を添加した粉体を用いることによって、表面に被膜をほとんど形成させないようにして打抜性や磁気特性を改善する方法もあり、この発明はこれらいずれに対しても有効である。
このような仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板に対して、クロムを含まないコーティング液を塗布して絶縁被膜を形成する。この発明では、この絶縁被膜の形成に際し、コーティングを上下2層とするところに特徴がある。
下地層としては、付与張力が大きく鉄損改善効果の高いリン酸塩−シリカ系の張力コーティング組成物を用いることが重要である。
コーティング成分としては、それぞれ固形分比率で、Mg, Al, Fe, Ca, Sr, MnおよびZnのうちから選んだいずれか1種または複数種のリン酸塩:100 質量部に対し、コロイド状シリカを16〜200 質量部配合すること必要である。
コロイド状シリカが16質量部を下回ると、付与張力が低下して鉄損低減効果が低くなり、一方 200質量部を上回ると、相対的にリン酸塩が少なくなるために、コーティングのクラックが大きくなりすぎ、上地層を被成したとしても耐吸湿性が不十分となる。
なお、この発明における下地層には、上記したコロイド状シリカの他、耐熱性を改善することを目的として、上記のリン酸塩:100 質量部に対して、平均粒径:0.2 〜20μm のFe, Si, Mg, Ca, Sr,Ba, Al, Ti, Cu, Mn, Mo, Snの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩のうちから選んだ1種または2種以上を 0.1〜5質量部添加することができる。平均粒径が 0.2μm 未満であったり、添加量が 0.1質量部未満では効果がなく、一方平均粒径が20μm を超えたり、添加量が5質量部を超えると占積率の低下を招く。
また、コーティングのクラックを出にくくする目的で、同じく上記のリン酸塩:100 質量部に対して、Mg,Ca,Sr, Ba,Li,Na,Kのホウ酸塩を5〜20質量部添加することができる。添加量が5質量部より少ないと効果がなく、一方20質量部を超えると張力効果が低下する。
上地層としては、リンの溶出阻止効果が大きい耐吸湿性コーティング組成物を用いることが重要である。
コーティング成分としては、それぞれ固形分比率で、有機樹脂:100 質量部に対し、コロイド状シリカを50〜500 質量部配合すること必要である。
コロイド状シリカが50質量部を下回ると、歪取り焼鈍後の耐食性が劣化し、一方 500質量部を上回ると密着性の低下を招く。
ここに、有機樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラニン樹脂、酢酸ビニル樹脂およびこれら2種以上の混合物等が有利に適合する。
なお、この発明における上地層には、上記したコロイド状シリカの他、耐熱性を改善することを目的として、上記の有機樹脂:100 質量部に対して、平均粒径:0.2 〜20μm のFe, Si, Mg, Ca, Sr,Ba, Al, Ti, Cu, Mn, Mo, Snの酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩のうちから選んだ1種または2種以上を 0.1〜5質量部を添加することができる。平均粒径が 0.2μm 未満であったり、添加量が 0.1質量部未満では効果がなく、一方平均粒径が20μm を超えたり、添加量が5質量部を超えると占積率の低下を招く。
また、コーティングのクラックを出にくくする目的で、同じく上記の有機樹脂:100 質量部に対して、Mg,Ca,Sr, Ba,Li,Na,Kのホウ酸塩を5〜20質量部添加することができる。添加量が5質量部より少ないと効果がなく、一方20質量部を超えると張力効果が低下する。
さらに、この発明では、上記した下地層および上地層それぞれに、硫酸塩を含有させることができる。
下地層に硫酸塩を含有させる目的は、コーティングの熱膨張率、ヤング率を低下させて張力を改善するためである。この硫酸塩の配合割合が、リン酸塩:100 質量部に対して10質量部に満たないとその添加効果に乏しく、一方 100質量部を超えると相対的にシリカの割合が低下するため、張力効果がやはり低下するという不利が生じる。
また、上地層に硫酸塩を含有させる目的は、フリーのリン酸をトラップして耐吸湿性を向上させるためである。
ここに、硫酸塩の配合割合が、有機樹脂:100 質量部に対して 0.5質量部に満たないとその添加効果に乏しく、一方10質量部を超えると樹脂、シリカ分が相対的に少なくなり、成膜性が低下するためクラックが発生し、やはり耐吸湿性が低下する不利が生じる。
上述したとおり、この発明の絶縁被膜では、上地層でリンの溶出を効果的に阻止できるので、下地層ではリンの溶出に配慮する必要がない。このため、従来、リン溶出の面から制限されていたコロイド状シリカの配合量の上限をさらに高くすることができる。
すなわち、従来よりもコロイド状シリカの配合量を多くすることができるので、被膜厚が同じであれば、鋼板に対する付与張力をさらに大きくすることができる。また、従来と同じ程度の付与張力を目指すのであれば、被膜厚を薄くすることができ、その分占積率の向上に寄与する。
下地層の目付け量は両面で4〜15g/m2適度とすることが好ましい。4g/m2より少ないと層間抵抗が低下し、一方15g/m2より多いと占積率が低下するためである。
また、上地層の目付け量は両面で 0.1〜1.0 g/m2とすることが好ましい。0.1 g/m2より少ないと効果がなく、一方 1.0g/m2より多いと占積率が低下するためである。
これらのコーティングの焼付けは、2ベークで行うこともできるし、一旦下地コーティングを乾燥させたのち上地コーティングを塗布してから、1ベークで焼きつけることも可能である。
2ベークで行う場合には、下地層の焼付は平坦化焼鈍を兼ねて 700〜950 ℃, 2〜120秒程度とすることが好ましい。温度が低すぎたり、時間が短すぎると平坦化が不十分で形状不良のために歩留りが低下し、一方温度が高すぎたり、時間が長すぎると平坦化焼鈍の効果が強すぎ、クリープ変形して磁気特性が劣化するためである。また、上地層の焼付けは 100〜250 ℃程度が良好である。100 ℃未満ではコーティングが硬化せず、一方 250℃超ではエネルギーコストが高くなる。
また、1ベークの場合には、よりガラス転移点の高い、下地コーティングの焼付け条件に合せる。すなわち、 700〜950 ℃の温度範囲で2〜120 秒の均熱時間とするのが好適である。
0.23mm厚の仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板を準備した。この鋼板を、リン酸酸洗後、成分組成が乾固固形分比率で、リン酸マグネシウム:100 質量部に対し、コロイド状シリカ:5〜250 質量部、硫酸鉄:50質量部、ホウ酸マグネシウム:10質量部を配合したコーティング剤を、両面で10g/m2塗布し、850 ℃、30秒の焼付処理を施した。
ついで、ポリエチレン−アクリル樹脂:100 質量部に対し、コロイド状シリカ:200 質量部を配合した上地コーティング剤を塗布し、150 ℃で1分の焼付処理を施した。
さらに、800 ℃で2時間の歪取り焼鈍を施した。
かくして得られた鋼板の諸特性について調べた結果を、表3に示す。
Figure 0004449454
同表から明らかなように、この発明に従う絶縁被膜を形成した電磁鋼板はいずれも、歪取り焼鈍後の鉄損をはじめとして、耐熱性、密着性、占積率、防錆性などの諸特性に優れ、また鋼板外観も美麗で、リンの溶出もわずかであった。
磁区細分化処理として4mmピッチで深さ:20μmの溝を圧延方向直角方向から10°傾けた角度で形成した板厚:0.23mm厚の方向性電磁鋼板を準備した。この鋼板を、リン酸酸洗後、成分組成が乾固固形分比率で、リン酸マグネシウム:100 質量部に対し、コロイド状シリカ:8〜250 質量部、硫酸マンガン:5〜150 質量部、微粉末シリカ粒子:0.5 質量部を配合したコーティング剤を、両面で10g/m2塗布し、850 ℃、30秒の焼付処理を施した。
ついで、エポキシ樹脂:100 質量部に対し、コロイド状シリカを100 質量部配合した上地コーティング剤を塗布し、150 ℃で1分の焼付処理を施した。
さらに、800 ℃で2時間の歪取り焼鈍を施した。
かくして得られた鋼板の諸特性について調べた結果を、表4に示す。
Figure 0004449454
同表に示したとおり、この発明に従う絶縁被膜を形成した電磁鋼板はいずれも、歪取り焼鈍後の鉄損は勿論のこと、発粉性、耐熱性、密着性、占積率、防錆性などの諸特性に優れ、また鋼板外観も美麗で良好であった。

Claims (3)

  1. 最終仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板の表面に、下地層として、いずれも固形分比率で、Mg, Al, Fe, Ca, Sr, MnおよびZnのうちから選んだいずれか1種または複数種のリン酸塩:100 質量部に対し、コロイド状シリカを16〜200 質量部配合したリン酸塩−シリカ系の張力コーティングを被成したのち、上地層として、いずれも固形分比率で、有機樹脂:100 質量部に対し、コロイド状シリカを50〜500 質量部配合した耐吸湿性コーティングを被成したことを特徴とする、方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
  2. 前記下地層であるリン酸塩−シリカ系の張力コーティング組成物において、前記リン酸塩:100 質量部に対し、固形分比率でさらに、Mg, Al, Fe, Co, MnおよびZnのうちから選んだ1種または複数種の硫酸塩を合計で10〜100 質量部配合したことを特徴とする請求項記載の方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
  3. 前記上地層である耐吸湿性コーティング組成物において、前記有機樹脂:100 質量部に対し、固形分比率でさらに、Mg, Al, Fe, Co, MnおよびZnのうちから選んだ1種または複数種の硫酸塩を合計で 0.5〜10質量部配合したことを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板用クロムフリー絶縁被膜の形成方法。
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