JP6939870B2 - クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤に関する。また、本発明は、前記クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を焼付けしてなる絶縁被膜を表面に備える絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料で、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、二次再結晶焼鈍の際にいわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。
一般に、方向性電磁鋼板においては、絶縁性、加工性および防錆性等を付与するために表面に被膜をもうける。かかる表面被膜は、最終仕上焼鈍時に形成されるフォルステライトを主体とする下地被膜とその上に形成されるリン酸塩系の上塗り被膜からなる。
これらの被膜は高温で形成され、しかも低い熱膨張率を持つことから室温まで下がったときの鋼板と被膜との熱膨張率の差異により鋼板に張力を付与し、鉄損を低減させる効果がある。そのため、かかる被膜には、できるだけ高い張力を鋼板に付与することが望まれている。
このような要望を満たすために、従来から種々の被膜が提案されている。例えば、特許文献1には、リン酸マグネシウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜が、また特許文献2には、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜がそれぞれ提案されている。
一方、近年の環境保全への関心の高まりにより、クロムや鉛等の有害物質を含まない製品に対する要望が高まっており、方向性電磁鋼板においてもクロムフリー(クロムを含まない)被膜の開発が望まれていた。しかし、クロムフリー被膜の場合、著しい耐吸湿性、耐食性の低下や張力付与不足の問題が発生するため、クロムフリーとすることができなかった。
上述の問題を解決する方法として、特許文献3にはクロム化合物の代わりに酸化物コロイドを表面処理剤に添加する方法が、特許文献4にはチタンキレート化合物を絶縁被膜処理液に添加する方法が、それぞれ開示されている。酸化物コロイドの添加により、耐吸湿性の低下や張力付与不足が改善され、鉄損低減効果は改善されたものの、酸化物コロイドは凝集を起こしやすく表面処理剤の安定性が低い場合があり、工業的に安定な生産が難しいという問題点を抱えている。チタンキレート化合物を添加する方法についても、耐吸湿性の低下や張力付与不足が改善され、鉄損低減効果は改善されたものの、キレート分子が有機物であるため、焼付時に炭素が地鉄へ侵入し、鉄損劣化を起こす場合がある。いずれの技術を用いても、十分な被膜張力を有し、耐食性、絶縁性に優れる絶縁被膜を形成するには、完全な解決策とはなり得なかった。
特開昭50−79442号公報 特開昭48−39338号公報 特開2000−169972号公報 特開2009−57591号公報
本発明は、被膜張力、耐食性、絶縁性に優れる絶縁被膜を形成することができるクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を提供することを目的とする。また、本発明は、被膜張力、耐食性、絶縁性に優れるクロムフリー絶縁被膜を備える絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、方向性電磁鋼板の表面に、金属微粒子を含有する絶縁被膜を形成することにより、上記目的を達成することができる。
本発明の要旨構成は、次の通りである。
[1]方向性電磁鋼板の表面に、絶縁被膜を形成するためのクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤であって、(A)成分:Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Mnのリン酸塩のうちから選ばれる1種または2種以上と、(B)成分:コロイド状シリカと、(C)成分:平均粒径が1.000μm以下である金属粒子と、を、固形分換算で(A)成分100質量部に対して、(B)成分をSiO固形分換算で50〜200質量部、(C)成分を10質量部以下含有することを特徴とする、クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤。
[2]さらに、水溶性金属塩を含有することを特徴とする、[1]に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤。
[3][1]または[2]に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を焼付けしてなる絶縁被膜を、方向性電磁鋼板の表面に備えることを特徴とする、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板。
[4][1]または[2]に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を、方向性電磁鋼板の表面に塗布した後、焼付けすることを特徴とする、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、被膜張力、耐食性、絶縁性に優れる絶縁被膜を形成することができるクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を提供することができる。本発明のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を用いることで、被膜張力、耐食性、絶縁性に優れる絶縁被膜を有する絶縁被膜付き方向性電磁鋼板を製造することができる。
図1は、金属Si((C)成分)の配合形態(粉末、分散液)の相違による耐食性試験の結果を示すグラフである。
以下に、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
まず、第一リン酸マグネシウム水溶液を固形分換算で100質量部に、コロイド状シリカをSiO固形分換算で100質量部、塩化マグネシウムを30質量部、金属Siの平均粒径0.005μmの粒子を表1に記載の含有比になるよう含有させたクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を製造した(なお、試料No.1−1には、金属Siの粒子を添加していない)。前記各処理剤を、公知の方法で製造され、フォルステライト被膜を有する板厚:0.23mmの仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板に両面合計で乾燥後目付け量が8g/mとなるように塗布した後、300℃、1分間乾燥し、その後、平坦化焼鈍と絶縁被膜の焼付けを兼ねた熱処理(850℃、2分間、N:100vol%雰囲気)を施した。
かくして得られた絶縁被膜付き方向性電磁鋼板について、方向性電磁鋼板への付与張力(被膜張力)、耐食性、絶縁性を、以下の方法により調査した。
絶縁被膜の方向性電磁鋼板への付与張力(被膜張力)は、圧延方向の張力とし、圧延方向長さ280mm×圧延直角方向長さ30mmの試験片の一方の面の絶縁被膜が除去されないように粘着テープでマスキングしてから片面の絶縁被膜をアルカリ、酸などを用いて剥離して除去し、次いで前記試験片の片端30mmを固定して試験片250mmの部分を測定長さとしてそり量を測定し、下記式(I)を用いて算出した。
鋼板への付与張力[MPa]=鋼板ヤング率[GPa]×板厚[mm]×そり量[mm]÷(測定長さ[mm])×10・・・式(I)
ただし、鋼板ヤング率は、132GPaとした。被膜張力が7.5MPa以上を良好(被膜張力に優れる)と評価した。
耐食性については、相対湿度98%以上、雰囲気温度50℃の空気雰囲気中に50mm×50mmの試験片を50時間保持したのち、試験片表面を観察し、錆の発生がないもの(錆面積率0%)を◎(極めて耐食性に優れる)、錆面積率が0%超2.5%未満のものを○(特に耐食性に優れる)、錆面積率が2.5%以上5.0%未満のものを△(耐食性に優れる)、錆面積率が5.0%以上のものを×(耐食性に劣る)とした。◎、○、△を評価合格とし、×を評価不合格とした。
絶縁性については、JIS C 2550−4:2011 電磁鋼帯試験方法第4部:表面絶縁抵抗測定方法のA法に準拠して層間抵抗値を測定し、層間抵抗値300[Ω・cm/枚]以上を◎(絶縁性に特に優れる)、層間抵抗値100[Ω・cm/枚]以上300[Ω・cm/枚]未満を○(絶縁性に優れる)、層間抵抗値100[Ω・cm/枚]未満を×(絶縁性に劣る)とした。◎、○を評価合格とし、×を評価不合格とした。
表1に、鋼板への付与張力(被膜張力)、耐食性、絶縁性の評価結果を示す。
Figure 0006939870
以上の実験結果から、金属粒子を含有することで、優れた耐食性と十分な被膜張力を兼ね備え、絶縁性に優れたクロムフリーの絶縁被膜を形成できることが分かった。
なお、表1では、金属Siの配合にあたって特別な方法はとっておらず、金属Siを粉末の状態で、第一リン酸マグネシウム、コロイド状シリカを含有する水溶液に配合した。この方法の場合、若干配合に時間がかかったため、表1の試料No.1−2と同様の配合比で、金属Siを事前に、すなわち上記水溶液に配合する前に溶媒(エタノール)中に分散させた分散液としてから、当該分散液を上記水溶液に配合した場合とで耐食性を比較した。結果を図1に示す。図1に示すように、表1での耐食性の試験方法(試験時間50時間)では、金属Siを粉末の状態で配合した場合と、事前に溶媒に分散させてから配合した場合とで差が出なかったものの、試験時間75時間では、金属Siを事前に溶媒に分散させてから配合した方が耐食性がより優れる結果が得られた。ただし、試験時間50時間では耐食性に差が出なかったため、以降の実験では、金属Si等の後述する(C)成分を粉末の状態で配合するものとした。
本発明によって焼付け処理後の耐食性を確保できる理由は明らかとなっていないが、次のように推定される。被膜中に金属粒子を含有することで、0価の金属が被膜中の酸素や水と優先的に反応し、被膜を形成するガラス部分の加水分解や錆び発生を抑制すると考えられる。
次に、本発明の各構成要件の限定理由について述べる。
〔方向性電磁鋼板〕
本発明で対象とする鋼板は、方向性電磁鋼板である。通常、方向性電磁鋼板は、含珪素鋼スラブを、公知の方法で熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行うことによって製造される。
〔クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤〕
本発明のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤は、以下の(A)〜(C)成分を含有する。なお、以下、クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を単に「処理剤」ともいう。
[(A)成分:リン酸塩]
リン酸塩としては、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Mnのリン酸塩のうちから選ばれる1種または2種以上を用いる。一般的には上記リン酸塩のいずれか1種を用いるが、2種以上を混合して用いてもよい。リン酸塩の種類としては第一リン酸塩(重リン酸塩)が入手容易であり好適である。
[(B)成分:コロイド状シリカ]
本発明の処理剤においては、上記(A)成分と、コロイド状シリカのベース液の割合が重要である。固形分換算で上記(A)成分100質量部に対しコロイド状シリカはSiO固形分換算で50〜200質量部とする。50質量部未満では形成された絶縁被膜の熱膨張係数低減効果が小さくなり、鋼板への付与張力が低下するため絶縁被膜形成による鉄損改善効果が得られない。また200質量部よりも多いと焼付け時に絶縁被膜が結晶化しやすくなるとともに、割れが生じやすく、耐食性や密着性も劣化する場合がある。
[(C)成分:金属粒子]
本発明の処理剤においては、特定の平均粒径の金属粒子を、(A)成分と、特定の割合で含有することが重要である。金属粒子の平均粒径は、1.000μm以下とする。また、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、金属粒子を10質量部以下とする。被膜の絶縁性、耐食性及び被膜張力の観点から、金属粒子の含有量は、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、5.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましい。また、金属粒子の含有量は、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、0.001質量部以上が好ましく、0.010質量部以上がより好ましい。上記観点から、特に好ましい金属粒子の含有量の範囲は、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、0.010質量部以上1.0質量部以下である。金属粒子の含有量が固形分換算で(A)成分100質量部に対し10質量部超では、形成された絶縁被膜中で金属粒子同士が近接し絶縁性が低くなる。さらに金属の熱膨張により、被膜張力が低下するなど、所望の特性が得られない場合がある。
被膜の絶縁性および耐食性の観点から、金属粒子の平均粒径は、0.001μm以上が好ましく、0.005μm以上がより好ましく、0.010μm以上がさらに好ましい。また、金属粒子の平均粒径は、0.300μm以下が好ましく、0.100μm以下がより好ましい。上記観点から、特に好適な金属粒子の平均粒径の範囲は、0.005〜0.300μmであり、最も好適な金属粒子の平均粒径の範囲は、0.010〜0.100μmである。金属粒子の平均粒径が、1.000μm超えでは、金属粒子同士が近接し、絶縁性が低くなる場合がある。なお、金属粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折散乱法により測定される粒子径分布における体積基準の累積50%の粒子径(D50)で測定することができる。
金属粒子の金属としては、特に限定されないが、Si、Ni、Zn、Al、V、Mn、Co、Snを用いることが好ましい。一般的には1種の金属を用いるが、2種以上を混合しても良い。
〔水溶性金属塩〕
本発明の処理剤においては、(A)成分、(B)成分、(C)成分に加え、さらに水溶性金属塩を添加しても良い。水溶性金属塩としては、特に限定はされないが、硝酸Mgや塩化Mg、硫酸Mnなどの無機酸塩や酢酸Ni、クエン酸Feなどの有機酸塩を添加しても良い。特に、遷移金属の水溶性塩は、被膜を形成するガラスに追加で含有されることで、ガラスの耐食性や被膜張力が向上するので好ましい。水溶性金属塩を添加する場合、その含有量は、特に限定されないが、被膜密着性の点からは、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、水溶性金属塩を120質量部以下とすることが好ましい。また、被膜張力の点からは、固形分換算で(A)成分100質量部に対し、水溶性金属塩を15質量部以上とすることが好ましい。
〔クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤の製造方法〕
本発明の処理剤の製造は、公知の条件および方法により行うことができる。例えば、本発明の処理剤は、上述した各成分を水を溶媒として混合することで製造できる。
(C)成分を混合する方法としては、特に限定するものではなく、(C)成分を粉末のまま、(A)、(B)成分を含む溶液に混合してもよい。(C)成分の分散性を高めることで、絶縁性、耐食性がより高められる傾向となるため、(C)成分を十分分散させることが好ましい。(C)成分の分散性をより高めるためには、(C)成分を予め溶媒に混合・分散することが好ましく、(C)成分をあらかじめ分散させる溶媒として、水はもちろんのこと、エタノールやアセトン、THFなどの水と混和する有機溶媒を用いても良い。これにより、(C)成分の分散性が向上し、(C)成分を粉末の状態で混合した場合よりもより耐食性が高められる場合がある。
(C)成分の分散液を用いる場合の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、(C)成分を溶媒に分散させた分散液と、(C)成分以外の各成分を混合する方法が挙げられる。例えば、(C)成分を溶媒に分散させた分散液と、(A)成分および(B)成分を含む溶液(一例としては水溶液)を混合する方法、(C)成分を溶媒に分散させた分散液と(A)成分を含む溶液を混合した溶液と、(B)成分を含む溶液を混合する方法、(C)成分を溶媒に分散させた分散液と(B)成分を含む溶液を混合した溶液と、(A)成分を含む溶液を混合する方法等が挙げられる。
〔絶縁被膜付き方向性電磁鋼板の製造方法〕
[処理剤の塗布]
本発明の処理剤を方向性電磁鋼板の表面上に塗布する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。本発明の処理剤は、鋼板の少なくとも片面に塗布するが、鋼板の両面に塗布することが好ましく、焼付け後(後述する乾燥を行う場合には、乾燥および焼付け後)の目付量が両面合計で4〜15g/mとなるように塗布することがより好ましい。この目付量が両面合計で4g/m以上であると層間抵抗が高められやすくなり、15g/m以下であると占積率の低下を抑制しやすくなる。
[焼付け]
本発明の処理剤を、塗布した後、任意で乾燥した方向性電磁鋼板について、焼付けを施し、これにより、絶縁被膜を形成する。このとき、平坦化焼鈍を兼ねるという観点から、800〜1000℃で10〜300秒間の焼付けを施すことが好ましい。焼付け温度が低すぎたり焼付け時間が短すぎたりすると、平坦化が不十分で、形状不良で歩留りが低下する場合があり、一方で、焼付け温度が高すぎたり焼付け時間が長すぎたりすると、平坦化焼鈍の効果が強すぎてクリープ変形して磁気特性が劣化しやすくなる場合があるが、上記条件であれば、平坦化焼鈍の効果が、十分かつ適度となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤として、水を溶媒とし、第一リン酸Mgを固形分換算で100質量部に対し、コロイド状シリカをSiO固形分換算で110質量部配合した基本成分系に、平均粒径が0.010μmの金属Si或いは平均粒径が0.010μmの金属Niを表2に記載の割合で配合したクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を製造した。前記各処理剤を、公知の方法で製造した板厚:0.23mmの仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板に両面合計で乾燥後目付量が8g/mとなるように塗布した後、300℃、1分間乾燥し、その後、平坦化焼鈍と絶縁被膜の焼付けを兼ねた熱処理(850℃、2分間、N:100vol%雰囲気)を施した。かくして得られた試料の、鋼板への被膜張力、耐食性および絶縁性を上述のようにして評価した。
評価結果を表2に併記する。
Figure 0006939870
表2に示す通り、固形分質量で、リン酸塩100質量部に対し金属粒子が10質量部以下配合された処理剤を焼付けた場合には、耐食性、被膜張力、絶縁性が優れた絶縁被膜が得られた。特に、金属微粒子の含有量が、固形分換算でリン酸塩100質量部に対し、0.010質量部以上5.0質量部以下では被膜張力が8.0MPa以上と高く、0.010質量部以上1.0質量部以下では耐食性と絶縁性が特に優れていた。
(実施例2)
クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤として、水を溶媒とし、第一リン酸Mgを固形分換算で100質量部に対し、コロイド状シリカをSiO固形分換算で110質量部配合した基本成分系に、表3に記載の平均粒径の異なる金属粒子を2.0質量部配合したクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を製造した。前記各処理剤を、公知の方法で製造した板厚:0.23mmの仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板に両面合計で乾燥後目付量が8g/mとなるように塗布した後、300℃、1分間乾燥し、その後、平坦化焼鈍と絶縁被膜の焼付けを兼ねた熱処理(850℃、2分間、N:100vol%雰囲気)を施した。かくして得られた試料の、鋼板への被膜張力、耐食性および絶縁性を上述のようにして評価した。
Figure 0006939870
表3に示す通り、平均粒径が1.000μm以下の金属粒子が配合された処理剤を焼付けた場合には、耐食性と被膜張力、絶縁性が優れた絶縁被膜が得られた。特に、金属粒子の平均粒径が0.010〜0.300μmでは被膜張力と耐食性が優れ、0.010〜0.100μmでは被膜張力、耐食性とともに、絶縁性も特に優れていた。
(実施例3)
クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤として、水を溶媒とし、リン酸金属塩を固形分換算で100質量部に対し、コロイド状シリカをSiO固形分換算で表4に記載の配合比で配合した基本成分系に、平均粒径0.008μmの金属Si粒子を2.0質量部と、水溶性金属塩を表4に記載の配合比で配合したクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を製造した。前記各処理剤を、公知の方法で製造した板厚:0.23mmの仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板に両面合計で乾燥後目付量が8g/mとなるように塗布した後、300℃、1分間乾燥し、その後、平坦化焼鈍と絶縁被膜の焼付けを兼ねた熱処理(850℃、2分間、N:100vol%雰囲気)を施した。かくして得られた試料の、鋼板への被膜張力、耐食性および絶縁性を上述のようにして評価した。
Figure 0006939870
表4に示す通り、固形分質量でリン酸塩100質量部に対し、SiO固形分換算で50〜200質量部のコロイド状シリカが配合された処理剤を焼付けた場合には、耐食性と被膜張力、絶縁性が優れた絶縁被膜が得られた。特に、80〜150質量部のコロイダルシリカが配合された絶縁被膜では、被膜張力が8.0MPa以上と優れていた。また、遷移金属の水溶性金属塩を添加したNo.4−5、4−6では、耐食性が特に優れていた。

Claims (4)

  1. 方向性電磁鋼板の表面に、絶縁被膜を形成するためのクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤であって、
    (A)成分:Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Mnのリン酸塩のうちから選ばれる1種または2種以上と、
    (B)成分:コロイド状シリカと、
    (C)成分:平均粒径が1.000μm以下である金属粒子と、を、
    固形分換算で(A)成分100質量部に対して、(B)成分をSiO固形分換算で50〜200質量部、(C)成分を10質量部以下含有することを特徴とする、クロムフリー絶縁被膜形成用処理剤。
  2. さらに、水溶性金属塩を含有することを特徴とする、請求項1に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤。
  3. 請求項1または2に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を焼付けしてなる絶縁被膜を、方向性電磁鋼板の表面に備えることを特徴とする、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1または2に記載のクロムフリー絶縁被膜形成用処理剤を、方向性電磁鋼板の表面に塗布した後、焼付けすることを特徴とする、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板の製造方法。
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