JP2005068493A - クロムを含まない上塗絶縁被膜の形成方法 - Google Patents

クロムを含まない上塗絶縁被膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を用いた、被膜特性と磁気特性改善効果に優れた上塗絶縁被膜の形成方法を提案する
【解決手段】 仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面に、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を塗布し、平坦化焼鈍により焼付けて上塗絶縁被膜を形成する方法において、前記平坦化焼鈍を均熱温度域における酸素ポテンシャルPH20/PH2が0.2以下の雰囲気下で行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、方向性電磁鋼板の絶縁被膜の形成方法に関し、特に、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を用いた被膜特性と磁気特性の改善効果に優れた上塗絶縁被膜の形成方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、絶縁性や加工性、防錆性等を付与するために、製品鋼板の表面に被膜処理を施すのが一般的である。かかる表面被膜は、通常、最終仕上焼鈍時に形成されるフォルステライトを主体とする下地被膜と、その上に被成されるリン酸塩系の上塗被膜から構成されている。
上記表面被膜は、通常、高温で成膜されるが、その被膜の熱膨張率は、鋼板のそれと比較して桁違いに低い。そのため、この熱膨張率の違いに起因して、成膜後の鋼板表面には、引張張力が発生する。この張力は、鉄損を低減する効果があるため、電磁鋼板の表面に形成される被膜は、張力付与効果が大きいものが望まれている。
上記の諸特性を満たすために、従来から数多くの研究が行われ、種々のコーティング被膜が提案されている。例えば、特許文献1には、仕上焼鈍で鋼板表面に形成されるガラス状被膜の上に、コロイド状シリカと、リン酸アルミニウム、無水クロム酸およびクロム酸塩の1種または2種以上を添加したコーティング液を塗布、焼付けた張力付加表面被膜が、また、特許文献2には、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板の上に、コロイド状シリカ、リン酸マグネシウムと無水クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩のいずれか1種または2種以上とからなるコーティング液を塗布、焼付けた絶縁被膜が提案されている。
一方、近年では、廃液処理や作業環境ならびに自然環境に対する配慮などから、クロムや鉛等の有害物質を含まない製品が強く望まれるようになり、方向性電磁鋼板の分野においても、クロムを含まない表面被膜の開発が行われている。しかし、クロムを含まない絶縁被膜は、吸湿性が激しく、また、付与される張力が低くて鉄損改善効果が小さい等の品質上の問題を抱えていた。
上記問題を解決する技術として、例えば、特許文献3には、コロイド状シリカ、リン酸アルミニウム、ホウ酸および硫酸塩からなるコーティング液を、フォルステライト被膜を有する方向性珪素鋼板表面に塗布、焼付ける方法が開示されている。また、特許文献4〜6には、リン酸塩とコロイダルシリカおよびクロム化合物を主成分とする従来の張力付与型絶縁被膜において、クロム化合物の代りに酸化物コロイド状物質、ホウ素化合物、Ca,Mn等の金属の有機酸塩を添加する方法がそれぞれに開示されている。
特公昭53−28375号公報 特公昭56−52117号公報 特公昭57−9631号公報 特開2000−169972号公報 特開2000−189973号公報 特開2000−178760号公報
しかしながら、上述した従来のクロムを含まない被膜形成技術は、耐吸湿性や張力付与による鉄損改善効果を、従来のクロム含有被膜に近いレベルまで改善するものではあるが、その効果にバラツキが大きく、場合によっては製品化できないほど鉄損や耐吸湿性が劣化することがあり、実用化するには不十分なものであった。
本発明の目的は、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を用いて、従来のクロム含有被膜と同等以上の優れた被膜特性と磁気特性改善効果を有する上塗絶縁被膜の有利な形成方法を提案することにある。
発明者らは、クロムを含まない被膜が抱える上記問題点、即ち、耐吸湿性、鉄損改善効果にバラツキが大きいという問題点は、何らかの外乱要因があって所望の特性が達成できないものと考え、その原因究明に向けて鋭意研究を行った。その結果、仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面に、上塗絶縁被膜を塗布、焼付けする際の雰囲気条件が、上記バラツキを生じさせる主要因であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面に、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を塗布し、平坦化焼鈍により焼付けて上塗絶縁被膜を形成する方法において、前記平坦化焼鈍を均熱温度域における酸素ポテンシャルPH20/PH2が0.2以下の雰囲気下で行うことを特徴とするクロムを含まない上塗絶縁被膜の形成方法である。
なお、本発明における上記仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板は、表面にフォルステライト被膜を有しないものであっても有効に作用する。
本発明によれば、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を使用しても、被膜特性、磁気特性が共に優れた方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。また、絶縁被膜の脱クロム化が可能となる結果、廃液処理の簡素化、作業環境の改善、自然環境の保護等に大きく寄与する。
最初に、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
C:0.045mass%、Si:3.25mass%、Mn:0.07mass%、Se:0.02mass%を含み、残部が実質的にFeよりなる珪素鋼スラブを、1380℃で30分間加熱してから熱間圧延を行い板厚2.2mmの熱延鋼板とし、この熱延鋼板を950℃で1分間の熱延板焼鈍をした後、1000℃で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を行い、最終板厚0.23mmの冷延鋼板とした。その後、この冷延鋼板を、酸素ポテンシャルPH20/PH2:0.55のH2,N2混合雰囲気中で、850℃×2分の脱炭焼鈍を施した後、酸化マグネシウム100重量部、酸化チタン2重量部、硫酸ストロンチウム1重量部よりなる焼鈍分離剤を鋼板表面に両面で12g/m2塗布・乾燥し、その後、二次再結晶焼鈍と続く乾H2雰囲気中での1200℃×10時間の純化焼鈍とからなる仕上焼鈍を行い、未反応の分離剤をリン酸酸洗して除去し、ガラス質のフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板とした。上記のようにして得た方向性電磁鋼板を、300mm×l00mmの大きさに剪断し、SST試験機(Single Sheet Tester,単板磁気試験器)を用いて磁気特性(鉄損)の測定を行った。
その後、上記リン酸酸洗後の方向性電磁鋼板に、特許文献3に開示されたコーティング液と同じ成分からなる、コロイド状シリカ40重量部、リン酸アルミニウム50重量部、ホウ酸5重量部、硫酸マグネシウム10重量部の配合割合からなるリン酸塩系のコーティング液を、乾燥重量にして両面で10g/m2塗布した後、コーティング液の焼付けと平坦化焼鈍とを兼ねて、90%N2+10%H2雰囲気中で、800℃×2分間の焼鈍を行った。この焼鈍の際、均熱温度域における雰囲気の露点を変えて、酸素ポテンシャルPH20/PH2を0.05〜0.5の範囲で変化させた。なお、比較としてコロイド状シリカ40重量部、リン酸アルミニウム50重量部、無水クロム酸10重量部からなる従来技術に属するコーティング液についても同様の方法で塗布、焼付けし、平坦化焼鈍を行った。このようにして得た鋼板について、再びSST試験機で磁気特性を測定すると共に、Pの溶出試験を行った。Pの溶出試験は、50mm×50mmの試験片3枚を、100℃の蒸留水中で5分間浸漬煮沸して被膜表面からPを溶出させ、その溶出したPを定量分析するものであり、このPの溶出量は、被膜の水に対する溶解のし易さを示すもので、被膜の耐吸湿性を評価するのに有効な指標となる。
上記試験の結果について、酸素ポテンシャルPH20/PH2と鉄損W17/50との関係を図1に、酸素ポテンシャルPH20/PH2とP溶出量との関係を図2に示した。これらの図から、従来のクロム含有コーティング液を塗布した鋼板では、雰囲気の酸素ポテンシャルが変化しても、磁気特性およびP溶出量とも大きな変化はなく良好な値を維持しているのに対し、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を塗布した鋼板では、酸素ポテンシャルPH20/PH2が低い領域では、鉄損およびP溶出量ともクロム含有コーティング液の場合と同等の良好な特性が得られているものの、酸素ポテンシャルPH20/PH2が0.2を超えると、鉄損、Pの溶出量がともに急増し、磁気特性、耐吸湿性が急激に劣化することがわかった。
この焼鈍雰囲気の酸素ポテンシャルによる被膜特性の変化のメカニズムについて、発明者らは以下のように考えている。
まず、従来のクロムを含有したコーティング液では、リン酸塩とコロイド状シリカとが反応し、残ったフリーのリン酸がクロムによってトラップされる結果、Pの溶出が抑制されて耐吸湿性が改善される。さらに、酸素ポテンシャルPH20/PH2が高い場合には、たとえ乾燥中に割れ(クラック)が発生したとしても、クロムの修復機能によりクラックが容易に修復されるため、Pが溶出する起点も減少する。また、クラックの修復により強固な被膜が形成されるため、鋼板への張力効果が高まり、磁気特性(鉄損)が改善されるものと考えられる。
これに対して、上記実験で用いたクロムを含まないリン酸塩系のコーティング液では、上記クロムの代わりに金属硫酸塩とホウ酸に、フリーのリン酸をトラップする働きを持たせているが、焼鈍時の雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2が高い場合には、雰囲気の酸素分がコーティングにダメージを与えるためクラックが発生し易くなり、上記リン酸をトラップする効果が不十分になる。さらに、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液では、クロムの自己修復機能がないために、焼付けたコーティング被膜や下地のフォルステライト被膜に部分的にクラックが発生したり、剥離を生じたりする。また、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング被膜のクラック周辺を分析すると、多くの場合、リンが濃化し、Siの量が少ないことから、この部分には、フリーのリン酸が強く濃化していることが予想される。その結果、クラックや剥離した部分が存在すると、この部分からフリーのリン酸が溶出し、耐吸湿性を劣化させるものと考えられる。また、上記のようなクラックの存在は、被膜自体の強度を弱めることにもなるため、張力付与効果を低減し鉄損の改善効果を失わせるものと考えられる。
一方、酸素ポテンシャルPH20/PH2が低い場合には、雰囲気酸素分が低いためにクラックの発生が抑えられることによって、Pが溶出する起点が減少し、耐吸湿性が改善されると共に、被膜自体も十分な強度が確保できるため、本来の張力効果が発揮されて鉄損も効果的に低減されるものと考えられる。
次に、本発明に係る上塗絶縁被膜の形成方法について説明する。
本発明において、上塗絶縁被膜を形成する方向性電磁鋼板の素材は、Siを含有した従来公知の方向性電磁鋼板用の素材であれば、特に鋼種を問わない。方向性電磁鋼板の製造方法も、特に限定されるものではなく、上記従来公知の鋼スラブを従来公知の方法で加熱し、熱間圧延した後、必要に応じて熱延板焼鈍を行い、その後、1回もしくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終板厚に圧延し、脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、マグネシアを主体とした焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍と純化焼鈍を兼ねた仕上焼鈍を行うのが好ましい。
なお、通常の方向性電磁鋼板の場合、仕上焼鈍後の鋼板表面には、ガラス質のフォルステライト被膜が形成されている。しかし脱炭焼鈍後、鋼板表面に塗布する焼鈍分離剤として、アルミナを用いたり、あるいは、マグネシアに塩化物を添加した分離剤を用いたりすることにより、表面にフォルステライト被膜をほとんど形成させないようにし、打抜性や磁気特性を改善する技術も開発されている。本発明は、このような被膜を形成させない鋼板に対しても、有効に適用することができる。その理由は、酸素ポテンシャルの低い条件で焼鈍するため、鋼板の酸化による品質劣化がない、コーティングにクラックが発生していないので、フォルステライト被膜がなくても耐食性の劣化が少ないからである。
続いて、上記仕上焼鈍済みの方向性電磁鋼板の表面に、クロムを含まないリン酸塩系コーティング液を塗布する。このコーティング液としては、従来公知のもの、例えば、特許文献3に開示されたコロイド状シリカとリン酸アルミニウム、ホウ酸及び硫酸塩からなるコーティング液や、特許文献4〜6に開示されたリン酸塩とコロイダルシリカおよびクロム化合物を主成分とするコーティング液において、クロム酸の代わりに、ホウ酸化合物、酸化物コロイドあるいは金属有機酸塩等を添加したコーティング液等、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液であればいずれも好適に用いることができる。さらに、本発明においては、上記コーティング液に、シリカ、アルミナ等の無機鉱物粒子を添加し、耐スティッキング性の改善を図ってもよい。
なお、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液の目付量は、両面で4〜15g/m2の範囲とすることが好ましい。4g/m2より少ないと層間抵抗が低下し、15g/m2より多いと占積率が低下するため好ましくないからである。
上記のコーティング液を塗布、乾燥した後、焼付けと平坦化焼鈍とを兼ねた焼鈍(以降、単に、「平坦化焼鈍」という。)を行う。この平坦化焼鈍の均熱温度域における雰囲気は、酸素ポテンシャルPH20/PH2で0.2以下にすることが、本発明においては特に重要である。PH20/PH2が0.2を超えると、上述したように、フリーなリン酸のトラップが不十分となる他、被膜にクラックが発生し易くなり、被膜特性および磁気特性の劣化を招くからである。
平坦化焼鈍におけるその他の条件は、特に限定されるものではないが、200〜700℃の平均昇温速度は10〜60℃/secとするのが好ましい。昇温速度が10℃/secより低いと、水蒸気等のガスの発生により被膜に膨れが発生し易く、逆に、60℃/secを超えると、被膜にクラックを発生し易いからである。また、焼鈍条件は、700〜950℃の温度で2〜120秒程度の時間とするのが望ましい。温度が低すぎたり時間が短すぎたりすると平坦化が不十分となって形状不良が発生し易く、一方、温度が高すぎたり時間が長すぎたりすると、平坦化焼鈍の効果が強すぎてクリープ変形し、磁気特性の劣化を招くからである。
板厚0.23mmに圧延した含珪素冷延鋼板(Si:3.2mass%)に、圧延方向の直角方向に対して10°傾けた方向に深さ20μmの溝を4mmピッチで形成する磁区細分化処理を施した後、酸素ポテンシャルPH20/PH2が0.55のH2,N2混合雰囲気中で、850℃×2分の脱炭焼鈍を施し、その後、マグネシア100重量部に対し塩化ニッケル3重量部を添加した粉体を主体とする焼鈍分離剤を塗布、乾燥してから、公知の方法で仕上焼鈍を行い、その後、未反応の分離剤をリン酸酸洗により除去し、フォルステライト被膜のない方向性電磁鋼板を得た。この仕上焼鈍後の鋼板の磁束密度B8は1.89Tであった。その後、リン酸酸洗処理後の鋼板表面に、成分組成が乾固固形分比率で、コロイド状シリカ:50重量部、リン酸マグネシウム:40重量部、硫酸マンガン:9.5重量部、微粉末シリカ粒子:0.5重量部からなるリン酸塩系のコーティング液を両面で10g/m2塗布した後、200〜700℃までを10℃/secの昇温速度で加熱後、均熱温度:850℃、均熱時間:30秒の平坦化焼鈍を施した。なお、上記平坦化焼鈍においては、均熱温度域における雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2を0.05〜0.45の範囲で変化させた。上記のようにして得た鋼板について、発粉性、耐熱性、磁歪特性、密着性、占積率、外観、防錆性およびP溶出量について、下記の要領で調査した。また、鉄損については、仕上焼鈍後および上塗絶縁被膜形成後に測定を行った。
・鉄損:SST試験機を用いて、鉄損W17/50を測定した。
・発粉性:SEMを用いて被膜表面を500倍で観察し、表面に膨れや割れがないものを○、膨れや割れが僅かにあるものを△、膨れ、割れの発生が激しいものを×と評価した。
・耐熱性(耐スティッキング性):50mm×50mmの大きさの試験片10枚を密着して重ね、20MPaの圧縮荷重を付与した状態で、乾窒素雰囲気中で800℃×2hrの焼鈍を行った後、重ねた試験片の上に500gの分銅を落下させたとき、重ねた試験片が全て分離した時の分銅の落下高さを測定し、その高さが20cm未満を○、20cm以上40cm未満を△、60cm以上を×と評価した。
・磁歪:λP-Pが4×10-4となる圧縮応力(MPa)を測定し評価した。
・密着性:各種大きさの直径を有する丸棒に試験片を巻き付け、剥離が起こらない最小曲げ径(直径)にて評価した。
・占積率:JIS C 2550 に規定された占積率試験に準拠し測定した。
・外観:目視観察により、被膜表面の美麗さを評価した。
・防錆性:温度50℃、露点50℃の大気雰囲気中に50時間保持後、表面を目視観察し、錆の発生がないものを○、若干の錆が発生したものを△、錆が激しいものを×と評価した。
・P溶出試験:50mm×50mmの試験片3枚を、100℃の蒸留水中で5分間浸漬煮沸して被膜表面から溶出したPを定量分析し評価した。
上記試験の結果を、表1に示した。本実施例の上塗絶縁被膜のコーティング液は、特許文献3で開示されたリン酸塩系のコーティング液のホウ酸を無添加としたものであるが、このような成分組成のコーティング液を用いても、本発明の条件、即ち、雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2を0.2以下とした条件で焼鈍することにより、被膜特性(耐吸湿性、密着性等)ならびに磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を得ることができる。
Figure 2005068493




最終仕上焼鈍後の磁束密度B8が1.89Tであるフォルステライト被膜付きの含珪素方向性電磁鋼板(Si:3.3mass%)をリン酸酸洗処理した後、成分組成が乾固固形分比率で、コロイド状シリカ:50重量部、各種第1リン酸塩化合物:40重量部、各種無機化合物:9.5重量部、微粉末シリカ粒子:0.5重量部からなるリン酸塩系のコーティング液(第1リン酸塩化合物、無機化合物については表2中に記載)を両面で10g/m2塗布した後、200〜700℃までを昇温速度20℃/secで加熱し、酸素ポテンシャルPH20/PH2を0.06または0.32に制御した雰囲気中で、850℃×30秒の平坦化焼鈍を施した。
上記のようにして得た鋼板について、実施例1と同様にして諸特性を調査し、その結果を表2に併せて示した。この結果から、特許文献4〜6等に記載されたクロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を用いても、平坦化焼鈍時の雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2を適切な範囲内に低下させることにより優れた磁気特性、被膜特性を有する方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
Figure 2005068493

本発明の技術は、方向性電磁鋼板のみならず、無方向性電磁鋼板の分野にも活用することができる。
平坦化焼鈍における雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2が鉄損に及ぼす影響を示す図である。 平坦化焼鈍における雰囲気の酸素ポテンシャルPH20/PH2が被膜のP溶出量に及ぼす影響を示す図である。

Claims (1)

  1. 仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面に、クロムを含まないリン酸塩系のコーティング液を塗布し、平坦化焼鈍により焼付けて上塗絶縁被膜を形成する方法において、前記平坦化焼鈍を均熱温度域における酸素ポテンシャルPH20/PH2が0.2以下の雰囲気下で行うことを特徴とするクロムを含まない上塗絶縁被膜の形成方法。


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