JP4449324B2 - ビニルエチレンカーボネートの製造方法 - Google Patents

ビニルエチレンカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルエチレンカーボネートの製造方法に関するものである。詳しくは、1,3−ブタジエンと酢酸との反応により1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを製造する際の副生物を原料とすることにより、工業的に有利にビニルエチレンカーボネートを得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビニルエチレンカーボネートの製造方法としては、例えば、過酸化水素と氷酢酸から生ずる過酢酸によりオキシラン環を経るブタジエンのヒドロキシアセテート化またはジアセテート化を行い、その加水分解によって3−ブテン−1,2−ジオールを合成し、これをナトリウム触媒で炭酸ジエチルとエステル交換反応させる方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法は、実験室的な手法としては有用であるが、収率が低く経済性の点で問題がある他に、爆発性の強い取り扱いの上で極めて注意を要する過酢酸を用いるなど工業的には好ましくない。
【0003】
また、別の方法として、エポキシブテンと二酸化炭素を触媒の存在下に反応させてビニルエチレンカーボネートを製造する方法が種々提唱されている。その際に用いる触媒としては、有機第3級ホスフィン化合物、クロム、マンガン、ルテニウム、ロジウム、カドミウムの金属のハロゲン化物と有機第3級ホスフィン化合物等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしこれらの方法では、反応は180℃以上、50Kg/cm2 以上という高温、高圧下で行われているため、反応器などの設備費が高くなり経済的に有利な方法とはいえない。また、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムとトリフェニルホスフィンの組み合わせからなる触媒を用いる方法がある(例えば、非特許文献2参照。)。しかしこの方法では、触媒として高価で空気に対し不安定なパラジウム触媒を使用するため、その回収、再使用に十分な注意が必要であり、少しでも損失があるとコスト高になる欠点がある。
【0004】
この様な工業上の欠点に対して、アルケニル置換アルキレンオキシドと二酸化炭素とをアルカリ金属の臭素化物及び/又は塩化物を触媒としアルコールの存在下で反応させることにより、温和な条件下で製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法においては、ハロゲン化合物が用いられていることから、装置上の制約があり工業的に実施するには問題がある。また、安定性に欠け取り扱いに際して注意を要するエポキシブテンを原料として用いなければならないなど、工業的に安価に製造するには依然として課題があった。
【0005】
【非特許文献1】
浅井,「ビニルエチレンカーボナートの重合と生成ポリマーの反応」,生産研究,1973年7月,第25巻,第7号,p.297
【特許文献1】
特公昭48−22702号公報
【特許文献2】
特開平8−59557号公報
【非特許文献2】
タツオ・フジナミ(Tatuo Fujinami),「ケミストリ レターズ(Chemistry Letters)」,(日本),第2号;1985年,p.199−200
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来法のエポキシブテンを出発物質とする方法と比較して、温和な反応条件の下に高収率でビニルエチレンカーボネートを製造することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、1,3−ブタジエンと酢酸とを分子状酸素の存在下にアセトキシ化反応させて1,4−ブタンジオール及びテトラヒドロフランの原料として有用な1,4−ジアセトキシー2−ブテンを製造する際に副生する3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(以下、3,4−DABEと略記)、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテン(以下、3,4−HABEと略記)及び3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン(以下、3,4−AHBEと略記)のうち少なくとも1種を用い、これを塩基性触媒及びアルコールの存在下にジアルキルカーボネートとアルコリシス反応更にはエステル交換反応させることにより高収率で目的とするビニルエチレンカーボネートが得られることを発見し、本発明を完成するに至った。この方法は副生物の有効利用であるため有益かつ経済性に優れ、また従来法の原料であるエポキシブテンに替えて、安定かつ毒性が低く取り扱いが容易な原料を使用するため、工業的に非常に有用である。
【0008】
即ち本発明の要旨は、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種とジアルキルカーボネートとを塩基性触媒及びアルコールの存在下に逐次的にアルコリシス反応及びエステル交換反応させることによりビニルエチレンカーボネートを製造する方法であって、該3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種が、1,3−ブタジエンと酢酸とを分子状酸素の存在下にアセトキシ化反応させて得られる反応生成物から3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEのうち少なくとも1種を主成分とする混合物を蒸留により分離して得られたものであることを特徴とするビニルエチレンカーボネートの製造方法、に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくともいずれかを含有する混合物>
本発明において出発原料として用いる3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種を含有する混合物は、1,3−ブタジエンと酢酸とを分子状酸素の存在下にアセトキシ化反応させて1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを製造する際に同時に生成する副生成物である。なお主生成物である1,4−ジアセトキシ−2−ブテンからは、化学工業の基礎となる化合物である1,4−ブタンジオール及びテトラヒドロフランが製造される。
【0010】
アセトキシ化反応は、例えば、特開平8−3110号公報に記載の方法で、触媒の存在下に高温高圧で実施される。触媒としては、パラジウム及び/又は白金含有触媒(特に担持触媒)が好適なものとして挙げられる。また触媒組成物として用いる場合には、パラジウム又は白金に加えて、Te,Cu,Sb,Se又はBiなどの他の金属を含んでいても良い。特に、パラジウムとテルルの組み合わせで、パラジウム1グラム原子に対しテルルを0.15〜0.5グラム原子用いた担持触媒が好ましい。反応温度は通常、20〜150℃の範囲であり、反応圧力は通常、0.49〜9.81MPaの範囲が好適である。
【0011】
本反応系内には分子状酸素を存在させる必要がある。分子状酸素とは、必ずしも純粋な酸素である必要はなく、ヘリウム,窒素,アルゴンなどの不活性ガスで希釈された酸素を用いることができ、例えば空気でも良い。酸素の使用量は化学量論量以上であれば良く特に限定されるものではないが、安全上の理由から工業的には爆発組成とならないような範囲が好ましい。
【0012】
アセトキシ化反応混合物から、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEを分離する方法は、通常、蒸留が一般的である。特に、分解反応や転化反応を防止するために、減圧で操作することが好ましい。一般的な蒸留塔を用いた場合、塔底温度としては、下限が通常、110℃、好ましくは120℃であり、上限が通常190℃、好ましくは150℃である。圧力としては、下限が通常、0.1kPa、好ましくは1kPaであり、上限が通常、20kPa、好ましくは5kPaである。
【0013】
蒸留によって分離された3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEの少なくとも1種を含有する混合物は、3,4−DABEの含量が、混合物の総重量に対して、下限が通常60重量%、好ましくは70重量%であり、上限が通常、95重量%、好ましくは90重量%である。これ以外の成分として、対応するモノアセテート、すなわち、3,4−HABE及び3,4−AHBEが比較的高い含量で存在する。その他には、後述するアルコールの水酸基と反応し得る成分として、上記の3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBE以外に1,2−ジアセトキシブタン(以下、1,2−DABと略記)、1−ヒドロキシ−2−アセトキシブタン(以下、1,2−HABと略記)及び1−アセトキシ−2−ヒドロキシブタン(1,2−AHBと略記)などがある。
【0014】
また、通常上記混合物中には、4−アセトキシクロトンアルデヒド(以下、4ACDと略記)、1−アセトキシブタン−2−オン(以下、MEKAと略記)などの活性水素を有するカルボニル化合物を含有する。活性水素を有するカルボニル化合物は、塩基性触媒に対して触媒毒となるため少ない方が望ましく、原料として用いる混合物中、5重量%以下であるのが好ましく、2重量%以下であるのがさらに好ましい。
【0015】
<ジアルキルカーボネート>
本発明において出発原料として用いられるジアルキルカーボネートとしては、アルキル基部分の炭素数が、通常、1〜6個のものである。具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。中でもジメチルカーボネートが、反応性及び経済性の点において好ましい。2個のアルキル基は同一でも異なっていても良い。
【0016】
<塩基性触媒>
上記、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種を含有する混合物とジアルキルカーボネートとを、塩基性触媒及びアルコールの存在下に逐次的にアルコリシス反応及びエステル交換反応させる。
【0017】
ここで用いられる塩基性触媒は、一般的なエステル交換触媒の使用が可能であるが、塩基性の強いものが好ましい。具体例としては、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどの金属アルコキシドが挙げられる。また、金属アルコキシド源として、後述するアルコールと共存させると金属アルコキシドを生成する、Li、Na、Kなどのアルカリ金属単体やMgなどのアルカリ土類金属単体、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウムなどの有機リチウム化合物、ナトリウムアミドなどの金属アミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、LiBH4などの金属水素化物を挙げることができる。
【0018】
この中で、アルカリ金属単体、アルカリ土類金属単体、有機リチウム化合物、金属アミド、金属水素化物を用いた場合には、塩基性が強過ぎるため、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBE混合物やジアルキルカーボネートの存在する反応系に直接投じて用いるとカルボニル基などに対する副反応を起こす場合がある。また、塩基性の強さの点では水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなども適用できるが、これらを用いると3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEのアセトキシ基の加水分解を起こし経時的に失活する場合がある。
【0019】
従って、塩基性触媒としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシドが好ましく、中でも、取り扱いの容易さ及び経済性の点でナトリウムメトキシドが最も好ましい。これらの塩基性触媒は、2種以上を併用しても良い。
<アルコール>
ここで用いられるアルコールとしては、特に制限はないが、具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数1〜6の脂肪族2価アルコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族2価アルコール、ベンゼンジメタノール(オルト、メタ、パラ)等の芳香族2価アルコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。中でも炭素数1〜3の脂肪族1価アルコールが好ましく、反応性及び経済性の点でメタノールが特に好ましい。
【0020】
<反応条件>
3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種を含有する混合物とジアルキルカーボネートとを、塩基性触媒及びアルコールの存在下に逐次的にアルコリシス反応及びエステル交換反応させてビニルエチレンカーボネートを製造する。
【0021】
ジアルキルカーボネートの量は、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種を含有する混合物中に含まれる、前記したアルコールの水酸基と反応性を有する化合物(3,4−DABE、3,4−HABE、3,4−AHBE、1,2−DAB、1,2−HAB及び1,2−AHB)1モルに対し、下限が通常、0.1モル、好ましくは1.0モルであり、上限が通常5モル、好ましくは3モルである。通常、ジアルキルカーボネートの使用量は多い方が収率は高くなる。また、触媒の使用量が多い及び/又は反応温度が高いなどの反応がより速やかに進行する条件においては、ジアルキルカーボネートの使用量が少なくても高い収率が得られる場合がある。
【0022】
アルコールの量は、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBEから選ばれる少なくとも1種を含有する混合物中のアルコールの水酸基と反応性を有する化合物の合計1モルに対し、下限が通常、0.01モル、好ましくは0.1モルであり、上限が通常、5モル、好ましくは2モルである。
触媒の使用量が多い及び/又は反応温度が高いなどの反応がより速やかに進行する条件においては、アルコールの使用量は少ない方が収率が高くなるので好ましい。一方、アルコールの使用量が多過ぎると、平衡反応の問題からエステル交換反応の押し切りが鈍り、収率が上がり難くなる傾向がある。
【0023】
塩基性触媒は、原料として用いる混合物中の活性水素を有するカルボニル化合物が触媒毒となり、活性が低下する。例えば塩基性触媒として金属アルコキシドを用いた場合、該カルボニル化合物の活性水素と金属アルコキシドのアルコキシ基が結合することにより、該カルボニル化合物がより安定な共役系弱塩基を形成し活性が低下するものと考えられる。この場合、活性水素を有するカルボニル化合物の合計に対してその40モル%程度と当量の塩基性触媒が消失する傾向が認められる。原因としては、次の2つの可能性もしくはその両方が考えられる。すなわち、上記の共役系弱塩基がもとの塩基性触媒に対して40%程度以下の活性を保持している可能性と用いた塩基性触媒自体が例えば使用前に吸湿することによって活性が低下する可能性である。
【0024】
一方、反応系中に含有する水分も3,4−DABE及び3,4−HABEなどのアセトキシ基の加水分解を起こし、その結果生成した酢酸が触媒毒となる。水分については、ほぼ当量の塩基性触媒を失活させるものと考えられる。従って、塩基性触媒の使用量は、原料として用いる混合物中の該カルボニル化合物のモル数の総和の40%と反応系中の水分のモル数の合計を超えて使用するのが好ましい。また、塩基性触媒の量は、3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBE1モルに対して、下限が通常、0.001モル、好ましくは0.01モル、更に好ましくは、0.03モルであり、上限が通常、1モル、好ましくは0.2モル、更に好ましくは0.1モルとするのが適当である。塩基性触媒の使用量が少な過ぎると反応の進行が遅くなる傾向がある。一方、多過ぎると、反応条件によっては副反応を起こし易くなる傾向がある。
【0025】
反応温度は、触媒の種類及び量などの条件によるが、下限が通常、40℃、好ましくは、80℃であり、上限が通常、190℃、好ましくは150℃である。反応温度が低過ぎると反応の進行が遅くなる傾向がり、一方、高過ぎると、副反応を起こしたり、得られたビニルエチレンカーボネートが重合し反応液の粘度が高くなる場合がある。
反応時間は、触媒の種類や量及び反応温度などの条件によるが、下限が通常、0.5時間、好ましくは、1時間であり、上限が通常、12時間、好ましくは4時間である。
【0026】
この反応は、通常無溶媒中で行われるが、必要に応じて適当な有機溶媒中で反応しても差し支えない。この際用いることができる有機溶剤として、例えば、反応に関与しないと考えられるn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶剤、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶剤、DMF、DMAcなどのアミド系溶剤などが挙げられる。また、この反応系には、必要に応じて、ビニルエチレンカーボネートの重合禁止剤として、p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体やジフェニルピクリルヒドラジルなどのニトロ化合物などの添加剤を使用しても良い。
【0027】
<反応形式>
本発明における反応形式は、同一釜を用いてアルコリシス反応とエステル交換反応を同時に行うため、簡便かつ効率的である。また、必要とあらば、反応釜を分けてアルコリシス反応とエステル交換反応を2段反応で行うこともできる。
また、本反応は、バッチ設備でも連続設備でも適用できる。反応液が大量にある場合には、例えばプラグフローなどの連続設備を用いて製造しても良い。
【0028】
<精製処理>
ビニルエチレンカーボネートに適した精製方法としては、通常蒸留による精製が挙げられる。その際の条件としては、温度が通常105〜135℃、圧力が通常、0.9〜2.5kPaの減圧蒸留にて行うことができる。
<用途>
本発明の製造方法により得られるビニルエチレンカーボネートは、リチウム2次電池などの電解液として有用であるほか、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、エチレン、プロピレンなどと共重合させることにより物性の改良や機能性の付与等の用途に用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の例においてビニルエチレンカーボネートの定量はガスクロマトグラフィーで行った。
【0030】
<アセトキシ化反応>
パラジウム5.0重量%及びテルル1.56重量%を含有した担持触媒(球状シリカ担体)4gを内径12mm(有効断面積1.005cm2)のステンレス製反応管に充填し、反応圧力5.9MPa、反応温度80℃において1,3−ブタジエン0.15モル/時,酢酸2.5モル/時,酸素6%を含有する窒素100Nl/時の流量で流通し、連続的に反応を500時間実施した。続いて、温度135℃,圧力12kPaにて酢酸及び水を蒸留で除去しアセトキシ化反応混合物1510gを得た。
【0031】
<3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBE混合物の分離蒸留>
アセトキシ化反応混合物1500gを内容積2Lの三つ口フラスコに入れ、これに攪拌機・温度計・蒸留塔(オルダーショウ;75mmφ,実段数30段)を取り付け、還流比15の下で内温140℃,圧力0.2kPaにて約2時間減圧蒸留を行ったところ、160gの蒸留精製物が得られた。これをガスクロマトグラフィーにて定量分析を行ったところ、主な含有成分は次の通りであった。
3,4−DABE 73.6重量%
3,4−HABE及び3,4−AHBE 18.4重量%
1,2−DAB 3.1重量%
1,2−HAB及び1,2−AHB 1.5重量%
4ACD 1.4重量%
MEKA 0.5重量%
その他 1.5重量%
従って、得られた混合物100g中には、3,4−DABEが0.428モル、3,4−HABE及び3,4−AHBEが0.142モル、アルコールの水酸基と反応性を有する化合物(3,4−DABE、3,4−HABE、3,4−AHBE、1,2−DAB、1,2−HAB及び1,2−AHB)の総和が0.599mol、活性水素を有するカルボニル化合物(4ACD及びMEKA)の総和が0.015mol含有されていた。
【0032】
実施例1
容量70mlの撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、3,4−DABE混合物10.00g、ジメチルカーボネート6.42g、メタノール3.34g、触媒としてナトリウムメトキシド0.128g仕込みオートクレーブを密封した。その後反応器内を乾燥窒素で置換し大気圧とした後、130℃まで昇温した。昇温及び反応の進行に伴い圧力は若干上昇したが、0.5MPaで一定となった。かかる状態を維持して4時間反応を継続させた。反応終了後、内容物を分析したところビニルエチレンカーボネートの収率は62.5%であった。結果を表−1に示す。
【0033】
実施例2
実施例1における、ジメチルカーボネートの使用量を16.05g、ナトリウムメトキシドの使用量を0.200gとした他は、実施例1と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は87.4%であった。
結果を表−1に示す。
【0034】
実施例3
実施例1における、メタノールの使用量を0.19g、ナトリウムメトキシドの使用量を0.230g用いた他は、実施例1と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は89.1%であった。結果を表−1に示す。
実施例4
容量70mlの撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブに、3,4−DABE混合物10.00g、ジメチルカーボネート10.7g、メタノール1.67g、触媒としてナトリウムメトキシド0.156g仕込みオートクレーブを密封した。その後反応器内を乾燥窒素で置換し大気圧とした後、150℃まで昇温した。昇温及び反応の進行に伴い圧力は若干上昇したが、0.8MPaで一定となった。かかる状態を維持して4時間反応を継続させた。反応終了後、内容物を分析したところビニルエチレンカーボネートの収率は93.7%であった。結果を表−1に示す。
【0035】
実施例5
実施例1における、ナトリウムメトキシドの使用量を0.060gとした他は、実施例1と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は62.6%であった。この時、各成分に含まれる水分を測定し、反応系中に存在する水分の量を計算したところ340ppmであった。結果を表−1に示す。
【0036】
実施例6
実施例5における、ナトリウムメトキシドの使用量を0.055gとした他は、実施例5と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は41.5%であった。この時、各成分に含まれる水分を測定し、反応系中に存在する水分の量を計算したところ340ppmであった。結果を表−1に示す。
【0037】
比較例1
実施例1における、ナトリウムメトキシドを用いなかった他は、実施例1と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は0.1%であった。結果を表−2に示す。
比較例2
実施例1における、メタノールを用いなかった他は、実施例1と同様にして反応を行った結果、ビニルエチレンカーボネートの収率は10.8%であった。結果を表−2に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004449324
【0039】
【表2】
Figure 0004449324
【0040】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、1,4−ブタンジオールを製造する際の副生物を原料として用いることにより、温和な反応条件の下に高収率でビニルエチレンカーボネートを経済的に製造することができ、その工業的価値は大きい。

Claims (7)

  1. 1,3−ブタジエンと酢酸とを分子状酸素の存在下にアセトキシ化反応させて得られる反応生成物から蒸留により分離して得られた3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(以下、3,4−DABEと略記)、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテン(以下、3,4−HABEと略記)及び3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン(以下、3,4−AHBEと略記)のうち少なくとも1種を主成分とする混合物とジアルキルカーボネートとを塩基性触媒及びアルコールの存在下に反応させることによりビニルエチレンカーボネートを製造する方法。
  2. 塩基性触媒が、金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシド源である請求項1に記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
  3. 混合物が、3,4−DABEの含有量が60重量%以上のものである請求項1または2に記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
  4. 混合物が、活性水素を有するカルボニル化合物の含有量が5重量%以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
  5. 塩基性触媒の量が、混合物中に含有される活性水素を有するカルボニル化合物のモル数の総和の40%及び反応系中に含有される水分のモル数の合計を超える量であって、且つ3,4−DABE、3,4−HABE及び3,4−AHBE1モルに対し0.001モル以上1モル以下の範囲である請求項4に記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
  6. アルコールの使用量が、混合物中のアルコールの水酸基と反応性を有する化合物の総和1モルに対し、0.01モル以上5モル以下の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
  7. ジアルキルカーボネートの使用量が、混合物中のアルコールの水酸基と反応性を有する化合物の総和1モルに対し、0.1モル以上5モル以下の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のビニルエチレンカーボネートの製造方法。
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