JP4449018B2 - 落橋防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地震等の災害時に橋桁が橋脚や橋台などの下部構造物から落下するのを防止する落橋防止装置に関するものである。
通常、道路橋や鉄道橋などの橋梁は、地震等によりその橋脚や橋台に大きな水平力が作用すると、橋脚や橋台が損壊するばかりでなく、それらが振動して橋桁が落下すなわち落橋するという被害をもたらす。このような橋桁の落下を防止するための落橋防止として、以前は、橋脚上の桁間や橋台と桁とをPCケーブルにより連結するもの、或いはリンクにより連結するものが用いられていた。
しかしながら、上記のような落橋防止装置は、大地震時においてその衝撃力を吸収する機構を備えておらず、荷重が急激に作用する構造になっている。また、既設橋梁の耐震補強の際には、変位制限装置(地震時のエネルギー吸収装置)と落橋防止装置とを設置することが多いが、これら2つを個別に設置するのは困難が多い。そこで、衝撃力吸収機能を持たせた落橋防止装置として例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この文献に記載の落橋防止装置は、橋桁などの橋梁部材同士を連結する連結ケーブルと、この連結ケーブルが挿通される筒体とを備えている。そして、筒体は一方の橋梁部材に連結ケーブルの軸方向と平行な方向に移動可能に取り付けられ、かつ、コイルばねによって他方の橋梁部材から離れる方向に付勢されており、この筒体と連結ケーブルの端部とはノックオフボルトで締結されている。
この落橋防止装置では、設計最大移動量のうち、温度変化、活荷重及び小中規模の地震による移動量のみをコイルばねで対応し、設計最大移動量にまで至るような大地震による移動量はノックオフボルトの破断又は筒体の破壊による連結ケーブルの移動を確保により対応させるようになっている。
特開平11−315510号公報
上記した落橋防止装置は、連結ケーブルに一定の引張荷重が作用した時に筒体と連結ケーブルと締結するノックオフボルトが破断することで、連結ケーブルがそれまでの変位制限位置を越えて変位できるようにしている。ところが、当該引張荷重とノックオフボルトが破断する荷重とを合致させるためには、ボルトの本数やサイズ、座金部のタップなどを変更しなければならず、そのためには、複雑な設計検討が必要であり、各部材の加工が煩雑になるという問題点がある。
また、連結ケーブルと一緒に筒体が移動する構成になっているので、筒体の移動を軸方向に規制するための別の案内部材が必要であり、構造が複雑で部品点数が多く、施工に手間を要し、コストが高くなるという問題点がある。また、ノックオフボルト切断後の移動量が多い構造の場合、筒体が長くなるため、重さで下側に傾く傾向があり、温度変化、活荷重時における連結ケーブルの円滑な動きは期待しづらいといった問題点もある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造がコンパクトで製作が簡単であり、破断部の強度計算も簡単な落橋防止装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の落橋防止装置は、橋桁の橋軸方向端部に一方の端部が取り付けられた連結ケーブルにより、橋桁が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、
橋桁の端部に取り付けられ連結ケーブルが挿通される挿通孔を有する支持板と、支持板に固定されその内部に連結ケーブルが通る筒体と、支持板から突出して筒体の内部を通る連結ケーブルの先端部に固定されたストッパとを備え、
筒体には支持板と反対側の端部に鍔状のフランジが設けられ、そのフランジと接続する軸方向の補強リブが周囲に複数本設けられ、フランジの内端には筒体の内部に突き出る内向き突出部分が形成されており、
連結ケーブルには中間リングが軸方向に移動可能な状態で嵌め込まれ、その中間リングには筒体におけるフランジの内向き突出部分と軸方向に重なり合う外向き突出部分が形成され、ストッパと中間リングの間には中間リングを支持板の側に付勢することにより中間リングの外向き突出部分をフランジの内向き突出部分に押し付けるためのコイルばねが設けられており、
中間リングの外向き突出部分とフランジの内向き突出部分に一定以上の荷重が作用した時に何れか一方が破断するように構成されていることを特徴としている。
本発明の落橋防止装置は、カバーとなる筒体にフランジと補強リブを付け、連結ケーブルのストッパとの間でコイルばねを抑えるための中間リングを設けただけのシンプルな構造としたので、コンパクトで製作が簡単であり、コストが低く抑えられる。しかも、中間リングの外向き突出部分とフランジの内向き突出部分の何れかのせん断破壊によって変位制限が解除されるので、前記のようにノックオフボルトの破断によって変位制限が解除される場合に比べ、その変位制限が解除される時の荷重の設定が容易である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明の落橋防止装置は、前記した落橋防止装置と同様、橋桁の橋軸方向端部に一方の端部が取り付けられた連結ケーブルにより、橋桁が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置であり、橋脚上で互いに隣接する橋桁の端部同士を連結する場合のみならず、橋の端部において橋台の上向き突出部と橋桁の端部とを連結する場合についても同様に用いられる。
図1は本発明の第1の形態に係る落橋防止装置の一例を示す断面図である。
この落橋防止装置10は、図示のように、橋桁の端部に取り付けられ連結ケーブル11が挿通される挿通孔を有する支持板12と、支持板12に固定されその内部に連結ケーブルが通る円筒状の筒体13と、支持板12から突出して筒体13の内部を通る連結ケーブル11の先端部に固定されたストッパ14とを備えており、ストッパ14は連結ケーブル11の端部に切られたネジに螺合するナットで構成されている。図中15はゴム等からなるクッション材であり、橋桁に取り付けるためのブラケット16と支持板12との間に配置される。
筒体13には支持板12と反対側の端部に鍔状のフランジ17が設けられ、そのフランジ17と接続する軸方向の補強リブ18が周囲に複数本設けられ、フランジ17の内端には筒体13の内部に突き出る内向き突出部分17aが形成されている。また、筒体13を支持板12に取り付けるために筒体13の支持板側にもフランジ19が設けられており、補強リブ18はこれらのフランジ17,19の間に取り付けられる。フランジ17,19はリング状の板材、補強リブ18は細長状の板材であり、これらのフランジ17,19と補強リブ18は筒体13に対して溶接で取り付けてある。この補強リブ18は、筒体13を軸方向に押圧する荷重がかかった時に筒体13が座屈しないようにする役目があり、例えば4本を直交して設けるなど周方向に均等に配置する。
連結ケーブル11にはドーナッツ状の中間リング20が軸方向に移動可能な状態で嵌め込まれており、その中間リング20には筒体13におけるフランジ17の内向き突出部分17aと軸方向に重なり合う外向き突出部分20aが形成されている。そして、ストッパ14と中間リング20の間には中間リング20を支持板12の側へ付勢するためのコイルばね21が設けられており、中間リング20にはコイルばね21の一方の端部を収納するための深い凹部20bが設けられている。これにより、中間リング20の外向き突出部分20aはフランジ17の内向き突出部分17aに押し付けられた状態となる。また、ストッパ14の内側にはコイルばね21の他方の端部を当接させる円板状の止め部材22が配置されており、この止め部材22が中間リング20に当接する状態では、圧縮されたコイルばね21が中間リング20の凹部20bに収まるようになっている。
また、ストッパ14を含む連結ケーブル11の先端側を覆うようにしてカバー23が筒体13を延長する形で取り付けられている。具体的には、筒体13と同径で有底のカバー23がその取付けフランジ24を筒体13のフランジ17にネジで固定することにより筒体13に取り付けられている。
中間リング20の外向き突出部分20aは、中間リング20の外周面から周状にリップ状に突き出ており、その付け根の部分には、図2の一部拡大図に示す如くフランジ17の側にノッチ20cが形成されている。したがって、中間リング20が支持板12の方向に押されて、中間リング20の外向き突出部分20aとフランジ17の内向き突出部分17aに一定以上の荷重が作用すると、リップ状の外向き突出部分20aはせん断により破断するようになっている。その破断荷重は、外向き突出部分20aのノッチ20cを考慮したせん断方向の断面積の大きさにより設定することができる。
上記の構成からなる落橋防止装置10は、通常使用時において橋桁同士が水平方向に僅かに相対変位する場合、その相対変位はストッパ14と止め部材22の移動に伴うコイルばね21の伸縮変形によって吸収され、連結ケーブル11と中間リング20に大きな荷重は作用しない。
ところが、大地震により橋桁が大きく移動すると、コイルばね21が圧縮変形してストッパ14と止め部材22とが中間リング20に当接して相対変位ができなくなり、この状態でさらに連結ケーブル11に荷重が作用すると、少しはクッション材15の弾性変形により衝撃が吸収されるが、一定荷重に達するとその荷重に負けて中間リング20の外向き突出部分20aがせん断破壊される。その後の橋桁同士の相対変位量の増大に伴い、中間リング20はストッパ14により止め部材22を介して押される状態で筒体13内に嵌入していく。そして、中間リング20は筒体13の奥まで移動し、支持板12に当たった状態で停止する。支持板12とブラケット16との間にクッション材15があるため、このクッション材15の弾性変形で再度衝撃が吸収されながら停止し、この停止位置で連結ケーブル11により橋桁同士の連結状態が保持され、橋桁が橋脚や橋台などの下部構造物から落下するのが防止される。
図3は本発明の第2の形態に係る落橋防止装置の一例を示す断面図である。
この落橋防止装置30は、図示のように、橋桁の端部に取り付けられ連結ケーブル31が挿通される挿通孔を有する支持板32と、支持板32に固定されその内部に連結ケーブルが通る円筒状の筒体33と、支持板32から突出して筒体33の内部を通る連結ケーブル31の先端部に固定されたストッパ34とを備えており、ストッパ34は連結ケーブル31の端部に切られたネジに螺合するナットで構成されている。図中35はゴム等からなるクッション材であり、橋桁に取り付けるためのブラケット36と支持板32との間に配置される。
筒体33には支持板32と反対側の端部に鍔状のフランジ37が設けられ、そのフランジ37と接続する軸方向の補強リブ38が周囲に複数本設けられ、フランジ37の内端には筒体33の内部に突き出る内向き突出部分37aが形成されている。また、筒体33を支持板32に取り付けるために筒体33の支持板側にもフランジ39が設けられており、補強リブ38はこれらのフランジ37,39の間に取り付けられる。フランジ37,39はリング状の板材、補強リブ38は細長状の板材であり、これらのフランジ37,39と補強リブ38は筒体33に対して溶接で取り付けてある。この補強リブ38は、筒体33を軸方向に押圧する荷重がかかった時に筒体33が座屈しないようにする役目があり、例えば4本を直交して設けるなど周方向に均等に配置する。
連結ケーブル31にはドーナッツ状の中間リング40が軸方向に移動可能な状態で嵌め込まれており、その中間リング40には筒体33におけるフランジ37の内向き突出部分37aと軸方向に重なり合う外向き突出部分40aが形成されている。そして、ストッパ34と中間リング40の間には中間リング40を支持板32の側へ付勢するためのコイルばね41が設けられており、中間リング40にはコイルばね41の一方の端部を収納するための浅い凹部40bが設けられている。これにより、中間リング40の外向き突出部分40aはフランジ37の内向き突出部分37aに押し付けられた状態となる。また、ストッパ34の内側にはコイルばね41の他方の端部を支える筒部付きの保持部材42が配置されており、この保持部材42の筒部先端が中間リング40に当接する状態では、圧縮されたコイルばね41が保持部材42の筒部の周囲に収まるようになっている。
また、ストッパ34を含む連結ケーブル31の先端側を覆うようにしてカバー43が筒体33を延長する形で取り付けられている。具体的には、筒体33と同径で有底のカバー43がその取付けフランジ44を筒体33のフランジ37にネジで固定することにより筒体33に取り付けられている。
フランジ37の内向き突出部分37aは、フランジ37の内周面から周状にリップ状に突き出ており、その付け根の部分には、図4の一部拡大図に示す如く中間リング40の側にノッチ37bが形成されている。したがって、中間リング40が支持板32の方向に押されて、中間リング40の外向き突出部分40aとフランジ37の内向き突出部分37aに一定以上の荷重が作用すると、リップ状の内向き突出部分37aはせん断により破断するようになっている。その破断荷重は、内向き突出部分37aのノッチ37bを考慮したせん断方向の断面積の大きさにより設定することができる。
上記の構成からなる落橋防止装置30は、通常使用時において橋桁同士が水平方向に僅かに相対変位する場合、その相対変位はストッパ34と保持部材42の移動に伴うコイルばね41の伸縮変形によって吸収され、連結ケーブル31と中間リング40に大きな荷重は作用しない。
ところが、大地震により橋桁が大きく移動すると、コイルばね41が圧縮変形してストッパ34と保持部材42とが中間リング40に当接して相対変位ができなくなり、この状態でさらに連結ケーブル31に荷重が作用すると、少しはクッション材35の弾性変形により衝撃が吸収されるが、一定荷重に達するとその荷重に負けてフランジ37の内向き突出部分37aがせん断破壊される。その後の橋桁同士の相対変位量の増大に伴い、中間リング40はストッパ34により保持部材42を介して押される状態で筒体33内に嵌入していく。そして、中間リング40は筒体33の奥まで移動し、支持板32に当たった状態で停止する。支持板32とブラケット36との間にクッション材35があるため、このクッション材35の弾性変形で再度衝撃が吸収されながら停止し、この停止位置で連結ケーブル31により橋桁同士の連結状態が保持され、橋桁が橋脚や橋台などの下部構造物から落下するのが防止される。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による落橋防止装置は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
本発明の第1の形態に係る落橋防止装置の一例を示す断面図である。 図1の要部を示す一部拡大図である。 本発明の第2の形態に係る落橋防止装置の一例を示す断面図である。 図3の要部を示す一部拡大図である。
符号の説明
10 落橋防止装置
11 連結ケーブル
12 支持板
13 筒体
14 ストッパ
15 クッション材
16 ブラケット
17 フランジ
17a 内向き突出部分
18 補強リブ
19 フランジ
20 中間リング
20a 外向き突出部分
20b 凹部
20c ノッチ
21 コイルばね
21 止め部材
23 カバー
24 フランジ
30 落橋防止装置
31 連結ケーブル
32 支持板
33 筒体
34 ストッパ
35 クッション材
36 ブラケット
37 フランジ
37a 内向き突出部分
37b ノッチ
38 補強リブ
39 フランジ
40 中間リング
40a 外向き突出部分
40b 凹部
41 コイルばね
42 保持部材
43 カバー
44 フランジ

Claims (1)

  1. 橋桁の橋軸方向端部に一方の端部が取り付けられた連結ケーブルにより、橋桁が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、
    橋桁の端部に取り付けられ連結ケーブルが挿通される挿通孔を有する支持板と、支持板に固定されその内部に連結ケーブルが通る筒体と、支持板から突出して筒体の内部を通る連結ケーブルの先端部に固定されたストッパとを備え、
    筒体には支持板と反対側の端部に鍔状のフランジが設けられ、そのフランジと接続する軸方向の補強リブが周囲に複数本設けられ、フランジの内端には筒体の内部に突き出る内向き突出部分が形成されており、
    連結ケーブルには中間リングが軸方向に移動可能な状態で嵌め込まれ、その中間リングには筒体におけるフランジの内向き突出部分と軸方向に重なり合う外向き突出部分が形成され、ストッパと中間リングの間には中間リングを支持板の側に付勢することにより中間リングの外向き突出部分をフランジの内向き突出部分に押し付けるためのコイルばねが設けられており、
    中間リングの外向き突出部分とフランジの内向き突出部分に一定以上の荷重が作用した時に何れか一方が破断するように構成されていることを特徴とする落橋防止装置。
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