JP4448258B2 - 硫化カルボニルの加水分解方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塩化水素と硫化カルボニルが混在するガス中の硫化カルボニルを加水分解する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉ガスなどのガス中の硫化カルボニルを乾式法により除去する方法は幾つか提案されている。
特開昭63−224736号公報には、アルミナに水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムを担持した触媒を用いる方法が開示されているが、担持成分が劇物である上、その強塩基性により、担体の細孔構造が崩れやすいなどの問題点がある。
【0003】
特開昭61−46244号公報には、アルカリ化酸化クロム/酸化アルミニウム触媒を用いて高温(100〜350℃)、高圧(実施例では5.1〜41.8気圧)下で硫化カルボニルを加水分解する方法が開示されている。しかし、この方法では酸化クロムの担持に要する費用が高く、不経済であるばかりでなく、高温・高圧下での反応によって生じるガス中の不純物の重合およびその生成物であるガム状物質が装置などに及ぼす悪影響が考えられるので好ましくない。
【0004】
特開平2−276891号公報には、アルミナに炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムを担持した触媒を用いる方法が提案されている。また、該公報には、塩基性を有する活性アルミナに、電気陰性度の低い金属の化合物を含浸させた触媒、例えば、アルミナに炭酸セシウムなどを担持した触媒を、硫化カルボニルを含有するコークス炉ガスに適用した場合、炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムを担持した触媒に比べ、初期活性や寿命の点で劣る旨記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、廃棄物のガス化溶融処理など、あらゆる種類の廃棄物をガス化処理する試みが行われている。これらの廃棄物ガスには、硫化カルボニルを含有することも多く、当然ながら、硫化カルボニルを加水分解して除去する必要が出て来る。しかし、廃棄物の中には、ポリ塩化ビニルなどの塩化水素の発生源になる物質が多量に含まれていることも多く、発生する廃棄物ガス中には硫化カルボニル以外に塩化水素などが混入している。
【0006】
ところで、本発明者は、塩化水素が混入した硫化カルボニル含有ガスに対して、炭酸カリウムをアルミナに担持した触媒を用いて、硫化カルボニルの加水分解試験を行ったところ、硫化カルボニルの加水分解活性は小さく(硫化カルボニルの転化率が小さい)、該活性の持続性(触媒寿命)が短いという結果を得た。すなわち、炭酸カリウムをアルミナに担持した触媒の有効性が前記公報の記載と異なることを知見した。
【0007】
そして、ガス中に混入した塩化水素が加水分解活性などに大きな影響を与えることを究明した。すなわち、前記の特開平2−276891号公報で使用されたコークス炉ガスは、コークス炉で発生したガスを多量の安水(アンモニアを主成分とする水溶液)を噴霧して洗浄して製造されるので、通常のコークス炉ガス中の塩化水素含有量は痕跡量(1ppm 以下)であるが、本発明者の上記加水分解試験で使用したガスは塩化水素を含有しており、塩化水素の有無が加水分解活性などに違いをもたらすことを究明した。なお、特開平2−276891号公報には、硫化カルボニルの加水分解活性などに及ぼす塩化水素の影響について言及されていない。
【0008】
よって、本発明は、硫化カルボニルと塩化水素が混在するガス中の硫化カルボニルの加水分解を高転化率で、かつ高転化率を長時間持続する硫化カルボニルの加水分解方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、硫化カルボニルおよび塩化水素を含有するガスを、アルミナに炭酸セシウムを担持した触媒と接触せしめて、前記ガス中の硫化カルボニルを加水分解することを特徴とする硫化カルボニルの加水分解方法である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記したガス中の塩化水素の含有量が1ppm 超100ppm 以下の場合である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒は、アルミナに炭酸セシウムを担持した触媒である。触媒成分は炭酸セシウムであるが、ある種の担体アルミナは触媒成分としても機能する。
【0012】
本発明に使用する担体のアルミナには、α、κ、θ、δ、γ、η、χ、ρ型の8種類の変態形があるが、硫化カルボニルの加水分解活性があるγ、η型、特にγ型が好ましい。アルミナの比表面積、細孔直径、粒径は特に限定されないが、比表面積は10〜500m2/g、特に50〜300m2/gであるのが好ましく、粒径は0.1〜50mm、特に1〜10mmであるのが好ましい。
【0013】
本発明の触媒は、アルミナを炭酸セシウム水溶液に浸漬後、100〜150℃で数時間乾燥することによって、容易に調製することができる。炭酸セシウム水溶液の濃度は0.5〜40質量%、好ましくは2〜20質量%である。前記範囲より低濃度であると、炭酸セシウムのアルミナ担体への含浸量が少なすぎ、活性が発現せず、一方、前記範囲より高濃度であると、アルミナの細孔閉塞や細孔内拡散の抑制が生じ、加水分解活性が減殺されるので好ましくない。
【0014】
浸漬時間はアルミナの種類、性状および炭酸セシウムの設計含浸量によって、数秒から数時間の間で大きく変化するので適宜選択すればよい。前記水溶液に適当時間浸漬した後、固形物を取り出し、炭酸セシウム水溶液を含浸したアルミナを乾燥させるが、この乾燥は好ましくは250℃以下の温度で、より好ましくは100〜140℃の温度で行う。300℃以上に加熱すると、アルミナの変態が生じ、加水分解活性の低下があるので好ましくない。
【0015】
アルミナに担持した炭酸セシウムの含有量は、触媒(炭酸セシウムとアルミナの合計)に対し0.5〜40質量%、好ましくは5〜15質量%である。前記範囲外であると、前記炭酸セシウム水溶液濃度の選定に際して生じた問題と同様な問題が発生するので好ましくない。
【0016】
本発明は、製鉄業におけるコークス炉、転炉、高炉などから発生するガス、石油精製業における種々の発生ガス、石炭および重質炭化水素のガス化プロセスにおける発生ガス、廃棄物の溶融ガス化における発生ガス、さらに種々の産業における煙道ガスなどの乾式法による廃棄物ガス中の硫化カルボニルの除去方法に適用される。特に前記ガスが塩化水素を1ppm 超100ppm 以下含有する場合に好適に適用される。
【0017】
前記ガス中の塩化水素の含有量は様々であり特定は難しいが、塩化水素の含有量が極端に少ない(1ppm 以下)ガスの場合には、その効果が期待するほどではない。塩化水素の含有量は2〜100ppm であるのが好ましく、5〜20ppm であるのが特に好ましい。
またガス中の水分は、ガス中に含有する硫化カルボニルに対して当量以上であればよく、逆に過剰の水分は触媒上に凝縮するので好ましくない。
【0018】
本発明のガス中の硫化カルボニルの除去は、前記の炭酸セシウムをアルミナに担持せしめた触媒を、例えば、充填塔などに充填し、硫化カルボニルを含んだガスを充填塔に通気させる方法により実施される。充填塔内の温度は常温〜100℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。100℃を越えると、加水分解速度は大きくなるものの、ガス中の不純物が重合してガム状物質が生成するので好ましくない。圧力は常圧付近であればよく、加圧しても構わない。
【0019】
本発明の方法による加水分解後のガス中には、加水分解前のガス中に含有される硫化カルボニルとほぼ等量の硫化水素が検出されることから、下記反応式(1)に示されるように、硫化カルボニルが加水分解して硫化水素に転化するのである。
COS+H2 O→H2 S+CO2 (1)
【0020】
生成した硫化水素は、例えば鉄系の吸収剤などにより常温常圧で容易に吸収除去することが可能で、何らの問題を派生することはない。
【0021】
なお、本発明の触媒の形状、寸法は充填塔内での圧力損失、ガス中のダスト濃度などを考慮し、適切なものを選択すればよく、1〜50mm程度で球状、円柱状、環状など、任意のものでよい。
【0022】
以上のように、本発明の触媒を用いることにより、簡単な充填塔で、塩化水素ガスを含むガス中の硫化カルボニルを常温〜100℃という低温で長期間、高効率で除去することができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
10質量%の炭酸セシウム水溶液に、球状のγ−アルミナ(粒径3〜5mm)を常温で約1分間浸漬し、その後、110℃で12時間乾燥し、触媒を調製した。触媒の炭酸セシウム含有量は6.3質量%であった。
上記触媒50gを、充填塔に充填し、充填塔の下部から硫化カルボニルを330ppm 、塩化水素を10ppm 含有する水素ガスを供給し、下記の条件で硫化カルボニルの加水分解を行った。結果を図1に示した。
【0024】
水素ガスの流速 3L/minの速度
空間速度(SV) 20000h-1
温度 50℃
圧力 常圧
露点 20℃
通気時間 160時間
【0025】
(比較例1)
実施例1において、炭酸セシウムの代わりに炭酸カリウムを用いる以外は、実施例1と同様な方法で硫化カルボニルの加水分解を行った。結果を図1に示した。
【0026】
図1から、硫化カルボニルの転化率は、炭酸カリウム担持触媒を用いた場合、初期が51%で、144時間後に11%まで低下したのに対し、炭酸セシウム担持触媒を用いた場合には、初期が75%であり、144時間後でも60%と高水準を維持しており、炭酸セシウム担持触媒は、硫化カルボニルの加水分解力が高く、加水分解活性を長時間持続することが分かる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の炭酸セシウム担持触媒を用いる、ガス中の硫化カルボニルの加水分解方法によれば、取扱上安全で、担体アルミナの崩壊も生じさせずに、常温、常圧に近い条件で十分な加水分解活性を有し、すなわち、高い初期活性、活性寿命、耐酸性を有し、かつ、ガス中の不純物に由来する重合、ガム状物質の生成を引き起こすことなく、加えて、ガス中に塩化水素が混在していても高効率で安定的、経済的に硫化カルボニルを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 炭酸セシウムを担持した触媒および炭酸カリウムを担持した触媒を用いた場合の硫化カルボニルの転化率の経時変化を示すグラフである。
Claims (1)
- 硫化カルボニルおよび塩化水素を含有し、前記塩化水素の含有量が1ppm超100ppm以下であるガスを、アルミナに炭酸セシウムを担持した触媒と接触せしめて、前記ガス中の硫化カルボニルを加水分解することを特徴とする硫化カルボニルの加水分解方法。
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