JP4446109B2 - 燃料タンクに溶接可能な蒸発ガス通気バルブ - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー製の燃料タンクに溶接するのに適した通気バルブの分野のものであり、より具体的には、燃料タンクに溶接可能なものと、熱および蒸発ガスに耐えるものとの異なる材料から形成された２つの結合された部分を有する形式の溶接可能な蒸発ガス通気バルブに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車製造業者は、ブロー成型等の製造工程の高効率性を利用するために、ポリエチレン等のポリマー材料（以下、「プラスチック」という）から自動車用燃料タンクを成型するようになってきている。蒸発ガス通気バルブは、一般的に、燃料タンクからの蒸発ガスを通気させるために、タンク内またはタンク上に設ける必要がある。このようなバルブが、燃料および燃料蒸発ガスが周囲に漏れるのを防止するために適切にシールすることは、常に考慮すべき重要な事柄である。
【０００３】
好ましくは、プラスチック製の燃料タンクとともに使用されるバルブは、例えば、突き合わせたタンクとバルブの表面を接着するまで圧縮力の下で加熱、接触させる熱板溶接法を利用して、タンクに溶接される。バルブのタンクへの溶接に関連して２つの大きな問題がある。まず、プラスチック製の燃料タンクに溶接されるの適した材料は、軟らか過ぎて、経年クリープの問題があり、また、溶接行程時の熱による損傷を受けやすいので、良質のバルブを製造するのに適していないことが多い。一方で、バルブ本体に使用するのに適したナイロン等のより硬く、より高い溶融温度のプラスチック材料は、燃料タンクに使用されるプラスチックに溶接するのが不可能ではないにしろ困難である。例えば、ポリエチレンおよびナイロンは、実際、これらの溶融温度の差および他の特性のため、うまく溶着しない。
【０００４】
ベンジェイ氏他に発行された米国特許第5,404,907 号は、溶接性の結合部分と非溶接性のバルブ本体との間の効率的な結合およびシール構造を提供することによって上記問題の一つの解決を示している。
【０００５】
米国特許第5,404,907 号の第１実施形態においては、標準的な非溶接性の通気バルブが、燃料タンク壁の開口を通して燃料タンク内へ挿入する下部および当該バルブが挿入されたとき燃料タンクの上方に配置される上部を有する主バルブ本体を含んでいる。溶接性の結合部は、バルブ本体の上部に結合されて、少なくとも溶接性の結合部の一部は、通気バルブが燃料タンクの開口内に配置されたとき、燃料タンクに溶接できる適当な位置にあるようになっている。溶接性の結合部は、バルブ本体の上部の上を覆うように成型される。このバルブ本体は、その外部に周囲を囲む水平方向の複数の漏れ防止リブを含む。これらのリブは、バルブ本体の上部と、その上を覆うように成型された溶接性の結合部との間の結合を増強し、さらに、溶接性の結合部とバルブ本体との間に、迂回、ラビリンス形式の流れを制限する境界を設けて、これらの間の燃料および蒸発ガスの漏れを防止する。
【０００６】
米国特許第5,404,907 号の図１（本願の図２）を参照して、耐熱通気バルブ本体20は、燃料タンク壁10の開口11を通して挿入された下部22を有している。バルブ本体の上部24は、燃料タンク壁10の上方に延び、また、水平方向の漏れ防止リブ34を含んでいる。溶接性の結合部38は、バルブ本体20の上を覆うように成型され、成型行程中にリブ34の回りおよび間に流れて、これらの間に強い結合力を生じさせる。また、リブ34は、バルブ本体20と溶接性の結合部38との間にラビリンス形式の流れを制限する境界を設けて、液体の燃料および燃料蒸発ガスの漏れを防止する。溶接性の結合部38は、公知の形式の複数の溶接脚42によって燃料タンク壁10に溶接される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記米国特許第5,404,907 号の漏れ防止リブ構造を改良して、バルブ本体を溶接性の結合部で覆うように成型する必要性を解消することができる燃料タンクに溶接可能な蒸発ガス通気バルブを提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
概して、本発明は、米国特許第5,404,907 号の覆うように成型された漏れ防止リブ構造の改良することが考慮されており、バルブ本体の上を溶接性の結合部で覆うように成型する必要性が解消されている。概して、本発明は、米国特許第5,404,907 号の覆うように成型された結合部およびリブ構造を溶接性の結合部およびバルブ本体上の垂直な組合せリブセットに置き換え、さらに、燃料タンクへの溶接に先立って組付けるための２つの部品の間の簡単な押し嵌め結合を設けることによって達成される。好ましい形態では、溶接性の結合部から下方に延びる軟らかいリブが、それぞれ、バルブ本体から上方に延びる非溶接性の２つの硬いリブの間に、液密および気密的な締り嵌めによって係合される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付の図面を参照して、さらに本明細書を読むことによって明らかになる。
【００１０】
本発明の好ましい形態の例を説明する例が図１に示されている。溶接可能な蒸発ガス通気バルブアセンブリ 118は、燃料タンク10の開口11を通して燃料タンク壁10に挿入することができる下部 122を有する耐熱性の主バルブ本体 120と、このバルブ本体の上端部に締結される溶接性の結合部 138とからなる。燃料タンク壁10は、ポリエチレン等のブロー成型に適したプラスチックからなる。バルブ本体 120は、溶接中に達する温度に耐える充分な耐熱性を有し、かつ、タンクの周囲に汲み出された燃料蒸発ガスに曝されるのに耐えられさえすれば、あらゆる適当なプラスチック材料で製造することができる。好適な実施形態では、バルブ本体 120は、ナイロン製であるが、他の材料を用いることもできる。溶接性の結合部 138は、燃料タンク壁10と溶接適合性のある材料で形成されている。好適な実施形態では、燃料タンクおよび溶接性の結合部 138は、共にポリエチレンで形成されるが、他の溶接適合性を有する材料による可能な組合せが当業者には公知である。
【００１１】
バルブ本体 120は、通気出口 126を形成して、下部バルブ本体 122の中空内部と、上部 124から直角に延びるように示される導管 128との間で燃料蒸発ガスを流通させる。導管 128は、別体に形成して溶接性の結合部 138に取付けることもでき、あるいは、図１に示すように、溶接性の結合部 138と一体に形成することもできる。
【００１２】
バルブ本体 120に利用されるバルブ構造は、当該技術において公知の殆どあらゆるバルブ構造とすることができ、また、本発明にとって重要なことではない。図１に例示されたものでは、バルブ構造は、剥離形式のバルブ要素121aをその上端に支持するばね付勢されたフロート 121が、タンク内の液体燃料レベルが上昇および下降することによって、通気出口 126に対して上昇および下降して通気流を遮断および導通するようにした公知の形式の液体レベルに応答するフロート機構である。例えば例示に過ぎないが、図１に符号 121で示される形式のバルブ構造は、米国特許第5,313,977 号にさらに詳細に記載されている。限定するわけではないが、車載の燃料補給時蒸発ガス回収、転倒時遮断機能および充填制御機能等を含むここには示されていない異なる目的のために、他の形式の液体レベルに応答するバルブ構造を本発明の溶接性の通気バルブアセンブリに利用することもできる。
【００１３】
溶接性の結合部 138とバルブ本体 120は、バルブ本体 120の上端および結合部 138の内表面にそれぞれ形成された垂直リブ 134，135 の組合せよって、組立てられ、また、液体および蒸発ガスの漏れに対してシールされる。組み合わされた垂直リブ 134，135 は、バルブ本体および溶接性の結合部から延びる一体形成された材料の環状のフランジからなる。バルブ本体および溶接性の結合部を成型した後、これらにリブ 134，135 を取付けることも可能であるが、一体成型されたリブが好ましい。
【００１４】
図示されたリブ 134，135 は、バルブ本体および溶接性の結合部から延びる材料の連続する同心のリングとして示されている。この図示された実施形態では、２つの溶接性のリブ 135がバルブ本体の３つのリブ 134の間に挿入されて挟まれるように示されている。リブ 134および 135の総数は、バルブアセンブリの寸法、溶接性の結合部とバルブ本体との間の機械的結合に要する強度および要求される漏れ防止ラビリンスの長さによって変更できることは、当業者には理解されることである。シールのための好ましい構造は、少なくとも、溶接性の結合部およびバルブ本体のそれぞれから延びる１つのリブが他方から延びる２つのリブによって挟まれるようにする。これは、温度または燃料の膨潤の影響によって一方の材料が膨張した場合でも、シールを確実にする。溶接性の各リブ 135がバルブ本体の２つのリブ 134の間に把持されるように、最少の１つの溶接性のリブ 135に対応するバルブ本体に立設されるリブ 134の最少数は２つである。
【００１５】
溶接性のリブ 135の幅すなわち厚さは、好ましくは、バルブ本体の隣接するリブ 134の間の隙間 134a よりも僅かに大きく、これによって、リブ 135とリブ 134との間に締り嵌めが生じ、溶接性のリブ 135が変形してリブ 134との液密および気密シールが提供される。
【００１６】
リブ 134とリブ 135との組合せおよびシール嵌め合いは、通気出口 126から溶接性の結合部 138とバルブ本体 120との境界を通して周辺へ流出する燃料蒸発ガスの漏れを防止するだけでなく、さらに、燃料タンクの溶接性の結合部とバルブ本体との境界の間から、液体燃料が出口 128に流入するのを防止することが図１からわかる。
【００１７】
ある状況においては、リブ 135の可撓性およびリブ 134，135 間の締り嵌めによってなされる以上に、これらの間の気密的な嵌合い結合を増強することが望ましい場合がある。例えば、ある種の適用においては、リブ 134，135 を圧入して組立てるのに先立って、これらの組の一方または両方に粘着性または他の接着性の作用剤を用いることが望ましい場合がある。また、ある種の適用では、リブ 134，135 の組の一方または両方を加熱または冷却して、これらの間の気密的な嵌合いを改善することもできる。しかしながら、好ましい構造は、上述のように、これらリブ間の真直な(straight-forward)締り嵌めである。
【００１８】
リブ 134とリブ 135との間の組合せ嵌合いは、ある状況では溶接性の結合部 138とバルブ本体 120とを充分に機械的に一体に保持することができるが、一般的には、例えば図示の実施形態において符号 123，146 で示されるような、これらの２つの部品間をロックする付加的な構造を設けることが望ましい。図示の実施形態において、バルブ本体 120の側壁には、バルブ本体 120の一部の周りに被さる溶接性の結合部 138から下方へ延びる可撓性スリーブ 146の両端を押しのけて、適当に配置された開口 147内に嵌り込む傾斜されたタブ 123が設けられている。バルブ本体 120のスリーブ 146への挿入は、スリーブ 146の下端の傾斜部 145によって改善される。タブ 123と開口 147の相対的な高さは、タブ 123がスリーブ上の開口 147内に嵌り込む前に、リブ 135とリブ 134との挿入部分の所定の軸方向長さがとれるように設計される。
【００１９】
上述のように、溶接性の結合部とバルブ本体とを一定の方向に一体的に合体させる以上の如何なる付加的な構造を必要とすることなく、また、覆うように成型すること等の付加的な行程を必要とすることなく、簡単な軸方向の圧入によって一旦、溶接性の結合部 138がバルブ本体 120に組み付けられると、このバルブアセンブリは、燃料タンク壁10の開口11に挿入して、公知の方法によって溶接脚 142で燃料タンクに溶接することができる。
【００２０】
上記本発明の好適な実施形態の図に示す例が、請求項で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって修正され得ることは、当業者には理解されることである。例えば、バルブ本体 120の形式およびその内部のバルブ構造 121，123 は、変更することができ、溶接温度に耐え得る殆ど全ての公知のバルブ構造とすることができる。溶接性の結合部の正確な寸法および形状は、燃料タンクへの溶接構造、および、例えば符号 128で示される出口構造に接続される出口の形式によって、変更することができる。垂直組合せリブ 134， 135の数および寸法は、特定の適用に応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る通気バルブおよび溶接性の結合部の構造を有する蒸発ガス通気バルブが燃料タンクに取付けられた状態を示す側面の縦断面図である。
【図２】米国特許第5,404,907 号に示された従来の覆うように成型された通気バルブおよび溶接性の結合部を有する構造の蒸発ガス通気バルブが燃料タンクに取付けられた状態を示す側面の縦断面図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク
11 開口
120 バルブ本体
123 タブ
134 リブ
135 リブ
138 結合部
146 スリーブ
147 開口

Claims (2)

  1. 開口(11)を通してポリマー製の燃料タンク(10)内へ延びるように設けられた下部(122)および前記燃料タンク(10)上に延びるように設けられた上部(124)を有し、前記燃料タンク(10)の内部から外部への蒸発ガス流路を形成する非溶接性の主バルブ本体(20)と、
    前記燃料タンク(10)への溶接に適した溶接性の材料からなり、少なくとも一部が、前記主バルブ本体(120)が前記燃料タンクの開口(11)内の作動位置に配置されたとき、前記燃料タンク(10)に溶接するために該燃料タンク(10)に当接するように設計されており、前記主バルブ本体(120)に組み付けられる溶接性の結合部(138)とを備え、
    前記溶接性の結合部(138)の下面部には、幾つかの第１垂直リブ(135)が形成され、前記バルブ本体(120)の上端部には幾つかの第２垂直リブ(134)が形成されており、前記溶接性の結合部(138)および前記バルブ本体(120)上のこれらの第１、第２垂直リブ(135,134)は、前記溶接性の結合部(138)から延びる少なくとも１つのリブ(135)が前記バルブ本体(120)から延びる２つのリブ(134)の間に挟まれ、かつ、前記バルブ本体から延びる少なくとも１つのリブ(134)が前記溶接性の結合部(138)から延びる２つのリブ(135)に挟まれるように結合されて気密的に嵌め合わされた状態で、軸方向に組み合わされるようになっていることを特徴とする燃料タンクに溶接可能な蒸発ガス通気バルブ。
  2. さらに、前記溶接性の結合部(138)と前記バルブ本体(120)との間を軸方向に締結するために、前記リブ(134,135)とは別に、前記バルブボディおよび前記溶接性の結合部に形成された組合せロック構造(123,146)を含むことを特徴とする請求項１に記載の蒸発ガス通気バルブ。
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