JP4443512B2 - フレキシブルパイプ及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明はフレキシブルパイプに関する。より詳細には、本発明は任意に曲げることができ、しかもその形状を維持する機能を備えたスタンドフレキシブルパイプに関する。

フレキシブルパイプは可撓管とも呼ばれ、形状や大きさが異なる様々なものが知られている。フレキシブルパイプは配管あるいは継ぎ手、また、保護管として広く使用されている。このようなフレキシブルパイプの中で、特にスタンドフレキシブルパイプ（以下、略して、スタンドフレキと称す）と呼ばれるものがある。このスタンドフレキは、一般的なフレキシブルパイプと同様にユーザが自由に曲げることができるだけでなく、その形状を保持するための構造を備えている。
このようなスタンドフレキは、電気スタンドやスタンドマイク等に広く採用されている。例えば電気スタンド本体から立ち上がりランプを支える支柱として用いられ、スタンド本体からランプ部への配線が内部に配設されている。そして、ユーザはこの支柱（スタンドフレキ）を曲げることにより望む位置にランプを保持できる。
図１は、従来のスタンドフレキの一部を切り欠いて内部構成が見えるように示した図である。従来のスタンドフレキ１００は、断面円形の硬線を母線材１０１として螺旋状に巻き、この母線材１０１の外周の谷間に嵌り込むように断面略三角形の補助線材１０２を密着して巻き付けた構造を有している。このスタンドフレキ１００を曲げると、密着している母線材１０１と補助線材１０２との表面に摩擦が生じる。曲げたられたスタンドフレキ１００は、この摩擦力によりその状態（形状）が保持される。
しかしながら、図１に示す従来のスタンドフレキ１００は巻戻す方向への耐力が弱く、巻戻す方向へ所定値以上の捩り力を受けると形状を保持する力が低下するという欠点がある。スタンドフレキの保持力が低下するとその長所が失われてしまい、例えば電気スタンドのランプを所望の位置に固定できないという問題が生じる。ユーザがこのような構造的な特徴を知らずに、電気スタンドのランプ部を軸周りに捩じる動作を繰り返した場合などでは、上記問題が早期に顕在化することとなる。
前述したように、スタンドフレキ１００は母線材１０１と補助線材１０２との表面摩擦で曲げ状態を保持する。しかし、巻戻し方向への捩り力を受けると、母線材１０１と補助線材１０２との密着状態が壊される。これによって、十分な摩擦力が得られなくなることが保持力低下の原因である。また、母線材１０１と補助線材１０２との密着状態は、経年劣化により徐々に弱くなることも知られている。
なお、フレキシブルパイプにおける捩れの問題を解決する技術は、例えば特開平７−３０５７８９号公報や特開平７−３０５７９０号公報等で提案されている。しかし、これらで開示する技術は前述した線材を螺旋状に巻くスタンドフレキ構造に適用することができない。すなわち、従来にあっては、巻戻し方向への捩り力に対するスタンドフレキの耐力を向上させる十分な提案がないというのが実情である。

本発明は、前述した従来における課題を解決し、巻戻し方向への捩り力に対抗する力（耐力）を発生させる新規な構造を備え、捩り力を受けても形状保持能力を維持でき、長期の仕様に耐え得るスタンドフレキシブルパイプを提供することである。
本発明は、螺旋状に巻いた第１母線材の外側に、該第１母線材の谷間に嵌り込むように第１補助線材を密接状態に設けた第１パイプと、前記第１母線材の方向とは逆向で螺旋状に巻いた第２母線材の外側に、該第２母線材の谷間に嵌り込むように第２補助線材を密接状態に設けた第２パイプとを含み、前記第１パイプの内に前記第２パイプを密接配置したスタンドフレキシブルパイプである。
本発明によると、第１パイプ内に逆向きに巻いた第２パイプを含み、この第２パイプが第１パイプの内に密着配置されている。よって、第１パイプが巻戻し方向への捩り力を受けたときに、第２パイプがこれに抗する耐力を発生させる。このように本発明のスタンドフレキシブルパイプは、捩れに対する耐力を発生させる構造を第１パイプ内に有しているので、捩り力を受けても従来のように容易に保持力が低下することがない。特に本スタンドフレキシブルパイプに含む構造は、第１パイプの螺旋の向きとは逆向きに第２パイプの螺旋が形成されている。よって、第１パイプの螺旋が巻戻される方向への捩り力（外力）を受けたときに、この外力が第２パイプの螺旋を巻付ける方向に作用するため第２パイプがより強固となり第１パイプを確実に補助できる。
本発明のスタンドフレキシブルパイプでは、前記第１及び第２母線材は断面略円形の鋼線、また、前記第１及び第２補助線材は断面略三角形の鋼線とすることができる。また、第２パイプの第２補助線材の一面と、第１パイプの第１母線材の内面とを密着させて製造することが望ましい。
前述したスタンドフレキシブルパイプは、例えば直線状の基材に第２パイプ用の第２母線材を螺旋状に巻き付け、さらに該第２母線材の外周の谷間に嵌り込むように第２補助線材を密着させて同方向に巻き付ける第１の工程と、第１母線材を前記第２補助線材上に逆向きの螺旋で巻き付け、さらに該第１母線材の外周の谷間に嵌り込むように第１補助線材を密着させて同方向に巻き付ける第２の工程とを経て製造することができる。

図１は、従来のスタンドフレキの一部を切り欠いて内部構成が見えるように示した図である。
図２は、実施例のスタンドフレキ１の一部を切欠いて、内部構成が見えるように示した図である。

以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係るスタンドフレキについて説明する。図２は実施例のスタンドフレキ１の一部を切欠いて、内部構成が見えるように示した図である。各線材の断面部分にはハッチングを付している。
本スタンドフレキ１は、第１パイプ２と第２パイプ３との螺旋半径が異なる２つのパイプを含む構造となっている。これら第１パイプ２、第２パイプ３の基本構造は、図１に示した従来のスタンドフレキと同様である。第１パイプ２は断面円形の硬線を母線材（第１母線材）２１として螺旋状に巻き、この母線材２１の外周の谷間に嵌り込むように断面略三角形の補助線材（第１補助線材）３２が密着して巻き付けられた構造を有している。
上記第１パイプ２内に小径の第２パイプ３が密接配置されている。この第２パイプ３は径が小さい点が異なるが、その基本構造は第１パイプ２と同様である。すなわち、同様に断面円形の硬線を母線材（第２母線材）３１として螺旋状に巻き、この母線材３１の外周の谷間に嵌り込むように断面略三角形の補助線材（第２補助線材）３２が密着して巻き付けられた構造を有している。
ただし、上記第２パイプ３が螺旋に巻かれる方向は、第１パイプ２が巻かれている方向とは逆向きとなっている。また、第２パイプ２の補助線材３２はその外周が、第１パイプ２の母線材３１と密着するように配置されている。このような二重構造のスタンドフレキ１は、例えば次のような２段階の工程で作製される。第１の工程で、直線状の基材に第２パイプ用の母線材３１を螺旋状に巻き付け、さらにこの母線材３１の外周の谷間に嵌り込むように補助線材３２を密着し同方向に巻き付ける。そして、第２の工程で、第１パイプ用の母線材２１を補助線材３２上に逆向きの螺旋で巻き付け、さらにこの母線材２１の外周の谷間に嵌り込むように補助線材２２を密着して同方向に巻き付けることで作製できる。
上記の構成を有するスタンドフレキ１であれば、例えば一端を固定した状態で第１パイプ２に巻きを戻す方向へ捩り力を受けても、その内面に第２パイプ３が密接しているので捩り力に対抗する耐力を発して第１パイプ２に生じる巻き戻し方向への変形を抑制できる。よって、巻きを戻す方向への力を受けても、第１パイプ２の母線材２１と補助線材２２との密接状態を維持できるので、形状保持力を維持できる。特に、本スタンドフレキ１は第２パイプ３の螺旋方向が逆向きであるので第１パイプ２を巻き戻す方向の力は、第２パイプ３では逆に巻く方向に作用する。この様な構造としたことにより、第２パイプ３がより強固に第１パイプ２を内面側から補助できる。
以上の説明から明らかなように、本スタンドフレキ１は巻きを戻す方向への捩り力を受けてもこれに対抗する構造を備えているので保持力を維持できる。このような構造は、経年劣化に対しても同様に有効であるので、長期にわたり保持力を維持できるスタンドフレキとして提供できる。また、第１パイプ２内に同様の構造を有する第２パイプ３が配備されているので、仮に外側の第１パイプ２が弱くなったとしても第２パイプ３により形状保持力が担保できる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、捩りに対する耐力を発生させる構造をパイプ内に有しているので容易に保持力が低下することがなく、長期の使用に耐え得るスタンドフレキシブルパイプとして提供できる。

Claims (4)

1. 螺旋状に巻いた第１母線材の外側に、該第１母線材の谷間に嵌り込むように第１補助線材を密接状態に設けた第１パイプと、前記第１母線材の方向とは逆向で螺旋状に巻いた第２母線材の外側に、該第２母線材の谷間に嵌り込むように第２補助線材を密接状態に設けた第２パイプとを含み、前記第１パイプの内に前記第２パイプを密接配置したことにより形状保持力を維持することを特徴とするフレキシブルパイプ。
2. 前記第１及び第２母線材は断面略円形の鋼線であり、前記第１及び第２補助線材は断面略三角形の鋼線であることを特徴とする請求項１に記載のフレキシブルパイプ。
3. 前記第２パイプの第２補助線材の一面と、前記第１パイプの第１母線材の内面とを密着させたことを特徴とする請求項２に記載のフレキシブルパイプ。
4. 直線状の基材に第２パイプ用の第２母線材を螺旋状に巻き付け、さらに該第２母線材の外周の谷間に嵌り込むように第２補助線材を密着させて同方向に巻き付ける第１の工程と、パイプの形状保持力を強化するために、第１母線材を前記第２補助線材上に逆向きの螺旋で巻き付け、さらに該第１母線材の外周の谷間に嵌り込むように第１補助線材を密着させて同方向に巻き付ける第２の工程とを含むことを特徴とするフレキシブルパイプの製造方法。

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