JP4442911B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

基板にIPAを用いて処理を行う基板処理装置に関する。
従来より、半導体基板やガラス基板(以下、「基板」という。)に様々な処理液を供給して基板に処理を施す基板処理装置が使用されている。基板処理においては洗浄処理も重要な役割を果たしており、ブラシ等を利用して物理的に基板表面のパーティクルを除去する物理洗浄や薬液を用いて基板表面を洗浄する化学洗浄等が行われている。
また、近年、物理洗浄で問題となっている基板上のパターン破壊を防止しつつ化学洗浄よりも洗浄効果が優れている洗浄方法として、純水の微小液滴を基板に向けて噴出する手法が提案されている。この洗浄方法では、微小液滴が基板に向かって高速に噴出されるため、純水の微小液滴が帯電し基板上の素子に影響を与える恐れがある。そこで、帯電防止のために比抵抗の低い純水(例えば、炭酸ガスを溶解した純水)が洗浄液として使用されている。
一方、基板処理装置においては、従来よりイソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。)が洗浄後の基板の乾燥に多く利用されている。例えば、特許文献1では、基板上にIPAを吐出して基板処理に用いられた処理液や純水等をIPAと置換することにより、乾燥染みを残すことなく基板を乾燥する技術が開示されている。また、特許文献2では、気体および液体を混合するノズルを用いて微小液滴にされたIPAを所定間隔にて積層配置された基板を収容する処理空間に噴霧し、処理空間に漂うIPAにより基板に付着した純水等を置換する手法が提案されている。
特開平11−162898号公報 特開2001−77077号公報
ところで、近年、半導体装置の層間絶縁膜として撥水性を有する、あるいは、空孔を有する多孔質膜等の誘電率の小さい膜が注目されている。しかしながら、撥水性を有する低誘電膜の場合、表面張力が大きい純水では膜の表面を十分に洗浄することができず、多孔質膜の場合は水そのものを嫌うため、これらの膜に対しては純水による洗浄は好ましくない。
また、微小液滴を基板に向けて噴出する洗浄方法において炭酸ガスを溶解した比抵抗の低い純水が用いられた場合には、基板上の銅配線等が腐食する可能性があり、配線の微細化が進む半導体装置においてはその影響が無視できなくなってきている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、純水以外の洗浄液により基板の洗浄を行うことを主たる目的としている。
請求項1に記載の発明は、基板に処理を施す基板処理装置であって、基板を支持する支持部と、前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部とを備え、前記ノズル部が、液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口とを有する外部混合型二流体ノズルであり前記液相のIPAと前記不活性ガスとが噴出直後に前記混合位置にて混合される。
請求項2に記載の発明は、基板に処理を施す基板処理装置であって、基板を支持する支持部と、前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部とを備え、前記ノズル部が、液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口とを有する外部混合型二流体ノズルであり、前記ノズル部が、前記液相のIPAと前記不活性ガスとを混合することにより、前記IPA微小液滴を生成し、前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地される。
請求項3に記載の発明は、基板に処理を施す基板処理装置であって、基板を支持する支持部と、前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、前記支持部の周囲を覆う静電気放電防止用の略円筒状の仕切部材とを備え、前記ノズル部が、液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口とを有する外部混合型二流体ノズルであり、前記ノズル部が、前記液相のIPAと前記不活性ガスとを混合することにより、前記IPA微小液滴を生成する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置であって、前記仕切部材の直径が700ミリメートル未満である。
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の基板処理装置であって、前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地される。
請求項に記載の発明は、請求項2ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、液相のIPAを貯留するIPA供給部と、前記IPA供給部からのIPAを純水にて希釈する混合手段とをさらに備える。
請求項に記載の発明は、請求項2ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記支持部の周囲において基板の被処理面側から裏面側へと向かう気流を発生する気流発生手段をさらに備える。
請求項に記載の発明は、基板に処理を施す基板処理装置であって、基板を支持する支持部と、液相のIPAを貯留するIPA供給部と、前記IPA供給部からのIPAを純水にて希釈する混合手段と、前記支持部に支持される基板の回転中に、前記混合手段からのIPAからIPA微小液滴を生成するとともに被処理面に向けて噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、前記支持部の周囲において基板の被処理面側から裏面側へと向かう気流を発生する気流発生手段とを備え、前記ノズル部が、液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口とを有する外部混合型二流体ノズルである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の基板処理装置であって、前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地される。
請求項10に記載の発明は、請求項1、2並びに請求項8、9のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記支持部の周囲を覆う静電気放電防止用の略円筒状の仕切部材をさらに備え、前記仕切部材の直径が700ミリメートル未満である。
請求項11に記載の発明は、請求項1、2並びに請求項8、9のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記支持部および前記ノズル部が内部に配置され、基板の被処理面に垂直な方向に伸びる筒状のカバーをさらに備え、基板の被処理面に平行な方向に関して前記カバーの最小幅が700ミリメートル未満である。
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記ノズル部を基板の被処理面に沿って揺動させる揺動機構をさらに備える。
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記ノズル部の先端と基板の被処理面との距離が5ミリメートル以上50ミリメートル以下とされる。
請求項14に記載の発明は、請求項1ないし13のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記ノズル部の噴出方向が基板の被処理面となす角が45度以上である。
請求項15に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記ノズル部から噴出されるIPA微小液滴の速度が、秒速10メートル以上300メートル以下である。
請求項16に記載の発明は、請求項1ないし15のいずれかに記載の基板処理装置であって、基板に向けて処理液を吐出する吐出部をさらに備える。
本発明によれば、IPA微小液滴を用いて基板の洗浄を行うことができ、これにより、純水では洗浄困難な基板であっても適切に洗浄を行うことができる。
また、請求項13ないし15の発明では基板の被処理面を効率よく洗浄することができ、請求項2、5およびの発明ではIPA微小液滴の帯電を抑制することができる。
また、請求項3、4、10および11の発明では静電気放電を防止することができ、請求項ないしの発明では支持部周辺のIPAガスの濃度を低減することができる。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。基板処理装置1は基板9に各種処理液を吐出することによる処理および洗浄を行う装置である。
基板処理装置1は処理される基板9を収容するカップ2、および、カップ2内にて基板9を支持する円盤状の支持部21を有し、支持部21は下方の支持部駆動機構22に接続される。支持部21の外周上には複数のチャックピン211が移動可能に設けられ、チャックピン211により基板9が支持部21上に把持される。支持部駆動機構22は支持部21の下面に接続されたシャフト221、および、回転軸J1を中心としてシャフト221を回転させるモータ222を有する。なお、後述のように(図3参照)、カップ2の側方周囲はカバーで覆われるが、図1ではカバーの図示を省略している。
支持部21の上方には、基板9の被処理面(上面)に向けてエッチング液等の処理液を吐出する処理液吐出ノズル3が設けられる。処理液吐出ノズル3には処理液供給管31が接続され、処理液供給管31は制御弁312を介して処理液供給部32へと接続される。なお、処理液吐出ノズル3は、図示を省略する機構により基板9の被処理面に対して進退可能とされる。
支持部21の上方には、基板9の被処理面に向けてIPAの微小液滴を噴出するIPA噴出ノズル40がさらに設けられる。図1に示すように、IPA噴出ノズル40はアーム42により支持され、アーム42はノズル揺動機構43に接続される。ノズル揺動機構43は回転軸J2を中心として回動するシャフト431、および、シャフト431の一端が接続されたモータ432を有し、モータ432が制御されることによりIPA噴出ノズル40が回転軸J2を中心に基板9の被処理面に沿って揺動する。
ノズル揺動機構43はノズル昇降機構44の昇降ステージ441に固定され、昇降可能とされる。ノズル昇降機構44は、昇降ステージ441に固定されたナット444がボールねじ443に取り付けられ、ボールねじ443にモータ442が接続された構造となっている。そして、モータ442が回転すると、ナット444とともに昇降ステージ441がガイドレール445に沿って滑らかに昇降する。
IPA噴出ノズル40にはIPA供給管411および窒素ガス供給管412が接続される。IPA供給管411は制御弁413を介してIPA混合タンク415に、窒素ガス供給管412は制御弁414を介して窒素ガス供給部416にそれぞれ接続される。そして、制御弁413,414の開閉が制御されることによりIPA噴出ノズル40へのIPAおよび窒素ガスの供給が行われる。
また、IPA混合タンク415には液相のIPAを貯留するIPA供給部417が接続され、液相のIPAがIPA混合タンク415に供給される。さらに、IPA混合タンク415には純水供給部(図示省略)が接続され、純水供給部より純水が供給されることによりIPA混合タンク415において液相のIPAが所定の濃度に希釈される。これにより、希釈されたIPAがIPA噴出ノズル40に供給される。以下、希釈されたIPAを単にIPAと呼ぶ。
基板処理装置1はさらに制御部5を有し、支持部駆動機構22、ノズル揺動機構43、ノズル昇降機構44および制御弁312,413,414が制御部5に接続される。そして、制御部5がそれぞれの動作を制御することにより基板処理装置1による基板9の処理が行われる。
図2はIPA噴出ノズル40の縦断面図である。前述のようにIPA噴出ノズル40にはIPA供給管411および窒素ガス供給管412が接続され、2種類の流体(気体および液体)を混合することにより微小液滴を生成するノズル(以下、このようなノズルを「二流体ノズル」と呼ぶ。)となっている。IPA噴出ノズル40の下方には基板9が位置する。以下、IPA噴出ノズル40の構造およびIPAの微小液滴が生成される様子についての説明を行う。
IPA噴出ノズル40はIPA供給管411が接続される内側ノズル部材401を中央に有し、内側ノズル部材401の周囲には、窒素ガス供給管412が接続される外側ノズル部材402が設けられる。内側ノズル部材401は中心軸J3を中心とする円筒状となっており、内側ノズル部材401の噴出口403(以下、「IPA噴出口」という。)は基板9の被処理面に対向するように位置する。これにより、IPA供給管411から供給されたIPAはIPA噴出口403から中心軸J3に沿って基板9の被処理面に向かって噴出される。
内側ノズル部材401と外側ノズル部材402との間には隙間405が形成されており、隙間405には窒素ガス供給管412が接続される。隙間405はIPA噴出口403の周囲に円環状に開口しており、開口が窒素ガスの噴出口404(以下、「ガス噴出口」という。)となっている。また、中心軸J3を中心とする隙間405の径は、ガス噴出口404に向かって小さくなっており、窒素ガス供給管412から供給された窒素ガスがガス噴出口404から勢いよく噴出される。
噴出された窒素ガスはIPA噴出口403から所定の距離離れた中心軸J3上の点P1へと収束するように進み、IPA噴出口403から噴出されたIPAと点P1にて混合される。混合により液相のIPAは微小液滴(以下、「IPA微小液滴」という。)となり、生成されたIPA微小液滴は窒素ガスにより高速にて基板9へと向かう。
なお、ガス噴出口404の周囲には基板9側に向かって突出する円筒状の突出部406が設けられ、突出部406によりIPAおよびIPA微小液滴が外側(中心軸J3から離れる方向)に広がることが防止される。
このようにして基板9の被処理面に向けて噴出されたIPA微小液滴は、高速にて被処理面と衝突することから、被処理面上のパーティクルを物理的に除去することが可能となる。また、基板9の被処理面上に撥水性の高い、あるいは、多孔質の膜が生成されている場合であっても、膜の特性を損なうことなくIPA微小液滴を被処理面全体に効率よく供給することができる。
以上のように、IPA噴出ノズル40は外部にてIPAと窒素ガスとを混合してIPA微小液滴を生成する、いわゆる外部混合型の二流体ノズルであり、容易にIPA微小液滴を生成することができる。
なお、IPA噴出ノズル40の先端を構成する内側ノズル部材401および外側ノズル部材402はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等を利用した導電性樹脂により形成され、かつ、接地される。これにより、IPAが高速に噴出された際のIPAの帯電が抑制される。さらに、IPAは電荷を除去する作用を有するため、基板9の被処理面に素子等が形成されていた場合に、静電気による素子へのダメージが抑制される。
また、IPA噴出ノズル40の噴出方向(中心軸J3の方向)と基板9の被処理面とのなす角は90度のときに最もパーティクルの除去効率が高く、好ましくは噴出方向と被処理面とのなす角は45度以上とされる。さらに、除去効率が損なわれず、設計も容易に行うことができるという観点から、IPA噴出ノズル40の先端と基板9の被処理面との距離(噴出口から液滴照射領域までの距離)は、5mm以上50mm以下とされることが好ましい。
図3は、図1において図示を省略するカバー20とカップ2との関係を示す図である。カバー20は支持部21を中心とする筒状(円筒であっても角柱面であってもよい。)となっており、支持部21に支持された基板9の被処理面に垂直な方向に伸びるようにカップ2に取り付けられる。また、処理液吐出ノズル3およびIPA噴出ノズル40はカバー20の所定の挿入口から挿入されたアームに支持される。
カバー20の上方には気流を発生するためのファンユニット231が設けられ、ファンユニット231はHEPAフィルタ232を介してカバー20内部に基板9の被処理面側から裏面側(上方から下方)へと向かう気流を発生させ、カバー20内のエアは支持部21の下方に設けられた排気口233から排気される。これにより、支持部21周辺のIPAガスの濃度が低減される。
ここで、IPAの爆発限界濃度は2.5〜12.0vol%であり、揮発性の高いIPAはノズルで噴出されるのみで多量に揮発する。実験では、IPA噴出ノズル40にIPAを毎分100ccで、窒素ガスを毎分100L(リットル)で同時に供給した場合に、IPAの揮発量が26.6%となることが確認されている。さらに、ファンユニット231により毎分1mのダウンフロー(供給および排気)を行った場合、IPAガスの濃度が0.78vol%となり、IPAガスの濃度が爆発限界濃度を大きく下回ることが確認されている。
また、基板処理装置1におけるカバー20は基板の被処理面に平行な方向に関して、最小幅が700mm未満となる形状とされる。産業安全技術協会発行の静電気安全指針(1998年3月改訂、労働産業安全研究所、第51頁)によれば、空間電荷雲の規模が直径700mm未満、または、空間電荷雲の平均電界が1kV/cm未満であれば空間電荷雲からのブラシ放電(静電気放電)が防止される。つまり、カバー20の水平方向に関する最小幅を700mm未満としておくことで、カバー20内の処理空間における静電気放電が確実に防止される。
次に、基板処理装置1の動作の流れについて説明する。図4は基板処理装置1が基板9を処理する動作の流れを示す図である。
まず、予めIPA混合タンク415において希釈前のIPAと純水とが混合されて希釈されたIPAが生成され(ステップS10)、処理する基板9が支持部21に載置(ロード)される(ステップS11)。その際、カバー20に設けられた取出口(図示省略)を開くことによりカバー20内へ基板9が搬入される。なお、別途設けられた昇降機構によりカバー20が昇降する等して、基板9が支持部21に載置されてもよい。
次に、制御部5が制御弁312を制御することにより処理液吐出ノズル3から所定の処理液が基板9に向けて吐出され(ステップS12)、さらに、支持部駆動機構22により基板9が回転することにより、処理液が被処理面全体に広がって処理液による処理が行われる。
続いて、制御部5がノズル昇降機構44を制御し、IPA噴出ノズル40と基板9の処理表面との距離が所定の距離となるまでIPA噴出ノズル40を昇降させる。そして、制御部5が制御弁413,414を制御することによりIPAおよび窒素ガスの流量が調整され、前述のようにIPA噴出ノズル40により混合されたIPA微小液滴が基板9に向けて勢いよく噴出される(ステップS13)。なお、IPA微小液滴の噴出に際して基板9の回転は速度制御されつつ継続している。
また、IPA微小液滴の噴出に際してノズル揺動機構43によりIPA噴出ノズル40が揺動動作を行う。図5はノズル揺動機構43によるIPA噴出ノズル40の動作の様子を示す図である。
図5に示すように、ノズル揺動機構43(図1参照)が回転軸J2を中心としてアーム42を駆動することにより、アーム42の先端に固定されたIPA噴出ノズル40が基板9上を揺動する。その際、IPA噴出ノズル40が基板9の外縁部と交わる位置(図5中のP2およびP3で示される点)まで揺動し、かつ、基板9(支持部21)の回転軸J1を通過する。このようなIPA噴出ノズル40の揺動動作および基板9の回転により、IPA噴出ノズル40からのIPA微小液滴は基板9の被処理面全体にわたって噴出されることとなり、基板9の被処理面全体の洗浄が行われる。
また、IPA微小液滴による洗浄効果を十分に得るために、秒速10m以上300m以下の速度で噴出するように制御弁413,414が制御部5により制御される(図1参照)。これにより、基板9上のパターンを破壊することなく基板9上のパーティクルが効果的に除去される。
なお、基板処理装置1ではIPA噴出ノズル40に供給する窒素ガスの流量を毎分50〜100Lとし、IPAの流量を毎分100〜150mLとした場合に得られる粒径5〜20μmのIPA微小液滴が使用される。
IPA微小液滴の噴出による洗浄が完了すると、制御部5が制御弁414を閉じて窒素ガスの供給が停止され、IPA噴出ノズル40から液相のIPAのみが基板9上に噴出(吐出)される(ステップS14)。これにより、基板9の被処理面全域に液相のIPAが満たされる。なお、このとき、基板9の回転が停止されてもよい。その後、支持部駆動機構22が支持部21を高速回転させることにより基板9上のIPAが飛散するとともに揮発し、基板9の被処理面に乾燥染みが残ることなく基板9の乾燥が行われる(ステップS15)。
以上、基板処理装置1について説明してきたが、基板処理装置1ではIPA液滴を基板9に向けて噴出することにより、基板9の被処理面を効率よく洗浄することができるとともに被処理面のパターンを破壊することが抑制される。また、表面張力が水と比較して小さいIPAを用いることにより、撥水性の高い膜が基板の被処理面に成膜されている場合であっても、IPAが被処理面全体に行き渡り、パーティクルの除去を行うことができる。さらに、洗浄、リンス、乾燥の一連の工程を容易に行うことができる。
図6は本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置のカバー20a内部の様子を示す図である。図6に示す基板処理装置では図1に示す基板処理装置1の処理液吐出ノズル3に代えてブラシ部3aが設けられる。また、カバー20aの内部に配置されるカップ2の上部に支持部21の周囲を覆うように仕切部材20bが設けられる。仕切部材20bは、支持部21を中心とする略円筒状となっており、その径は700mm未満とされる。これにより仕切部材20bの内部における静電気放電が防止される。また、カップ2の下方には基板9から飛散してカップ2の内側面に沿って下方に流れるIPA廃液を回収するIPA回収部24が設けられる。IPA回収部24により回収されたIPAは別途設けられたフィルタを介する等して再生され、再利用される。
図6における基板処理装置のその他の構成は図1に示す基板処理装置1と同様であり、IPA噴出ノズル40が被処理面と対向して配置され、カバー20a内にはファンユニット231からHEPAフィルタ232を介してダウンフローが生じている。
図7は図6に示す基板処理装置が基板9を処理する動作の流れを示す図である。以下、図6(および図1に付す符号)を参照しながら、図7の動作の流れについての説明を行う。
まず、図4に示す動作と同様に希釈されたIPAが生成され(ステップS20)、基板9が支持部21にロードされる(ステップS21)。そして、制御部5が支持部21を回転させるとともにブラシ部3aによりブラシ洗浄が行われる(ステップS22)。ブラシ洗浄終了後、IPA噴出ノズル40よりIPA微小液滴が基板9に向けて噴出される(ステップS23)。これにより、基板9の被処理面にブラシ洗浄後のさらなる洗浄が行われる。
IPA微小液滴による洗浄が終わると、制御弁414が閉じて液相のIPAがIPA噴出ノズル40から基板9に向けて噴出(吐出)される(ステップS24)。その後、支持部21を高速に回転させて基板9上のIPAを飛散および揮発させ、基板9の乾燥が行われる(ステップS25)。以上のように、図6に示す基板処理装置ではブラシ部3aにより物理洗浄を基板9に施した後に、IPA微小液滴による洗浄が行われる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
記実施の形態にて説明したいわゆる外部混合型の二流体ノズルは、内部混合型の二流体ノズルのように内部でパーティクルが発生したり、不要なときにノズル先端から液が滴下してしまうという問題が生じないという長所を有している。
IPA混合タンク415には予め希釈されたIPAが供給されてもよく、また、IPA供給管411にミキシングバルブを設けることにより、IPA供給管411中においてIPAが希釈されてもよい。なお、IPAは必ずしも希釈される必要はないが、希釈によりIPAの使用量および揮発量を減少させることができる。希釈する場合はIPAの除電効果を維持するために含有濃度が10%以上とされることが好ましい。また、IPA濃度は厳密に均一でなくてもよい。
IPA噴出ノズル40に供給されるガスは窒素ガスに限らず、他の不活性ガスが用いられてもよい。支持部21が複数設けられ、複数の基板が基板処理装置により並行して処理されてもよい。
カバー20の形状はおよそ筒状であるならば他の形状であってもよい。仕切部材20bはカップ2の開口と形状を合わせるという点では円筒状であることが好ましいが、他の筒形状であってもよい。なお、カバー20と仕切部材20bとは厳密に区別されるものではなく、図6に示す仕切部材20bがカバー20a内に配置された内側のカバーとしての役割を果たしてもよい。さらに、カバー20および仕切部材20bはカップ2と分離して設けられてもよい。カバー20や仕切部材20bがおよそ筒状であり、かつ、内部(基板9の被処理面を底面とする空間)に直径700mmの球が入らない形状であるならば、静電気放電の防止という目的を達成することができる。
また、図6に示す基板処理装置において図示を省略するノズル揺動機構43またはノズル昇降機構44がカバー20a内部に設けられてもよい。
基板処理装置1には、処理液吐出ノズル3およびブラシ部3aの両方が設けられてもよく、IPA噴出ノズル40のみが設けられてもよい。また、ブラシによる洗浄以外の洗浄として他の物理洗浄が行われてもよい。基板処理装置1による基板9の処理および洗浄は、基板9の上面への処理および洗浄には限定されず、下面に対して行われてもよい。
ステップS14またはS24における液相のIPAの基板9への吐出は別途設けられたノズルから行われてもよい。また、ステップS14またはS24を省略し、IPA微小液滴の噴出の際に基板9に付着したIPAを利用して基板9の乾燥が行われてもよい。
第1の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。 ノズル部の縦断面図である。 基板処理装置のカバー内部の様子を示す図である。 基板を処理する動作の流れを示す図である。 ノズル部の揺動の様子を示す図である。 第2の実施の形態に係る基板処理装置のカバー内部の様子を示す図である。 基板を処理する動作の流れを示す図である。
符号の説明
1 基板処理装置
3 処理液吐出ノズル
9 基板
20 カバー
20b 仕切部材
21 支持部
40 IPA噴出ノズル
43 揺動機構
231 ファンユニット
403 IPA噴出口
404 ガス噴出口
415 IPA混合タンク
416 IPA供給部
P1 点(混合位置)

Claims (16)

  1. 基板に処理を施す基板処理装置であって、
    基板を支持する支持部と、
    前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、
    を備え、
    前記ノズル部が、
    液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、
    前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口と、
    を有する外部混合型二流体ノズルであり
    前記液相のIPAと前記不活性ガスとが噴出直後に前記混合位置にて混合されることを特徴とする基板処理装置。
  2. 基板に処理を施す基板処理装置であって、
    基板を支持する支持部と、
    前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、
    を備え、
    前記ノズル部が、
    液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、
    前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口と、
    を有する外部混合型二流体ノズルであり、
    前記ノズル部が、前記液相のIPAと前記不活性ガスとを混合することにより、前記IPA微小液滴を生成し、
    前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地されることを特徴とする基板処理装置。
  3. 基板に処理を施す基板処理装置であって、
    基板を支持する支持部と、
    前記支持部に支持される基板の回転中に被処理面に向けてIPA微小液滴を噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、
    前記支持部の周囲を覆う静電気放電防止用の略円筒状の仕切部材と、
    を備え、
    前記ノズル部が、
    液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、
    前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口と、
    を有する外部混合型二流体ノズルであり、
    前記ノズル部が、前記液相のIPAと前記不活性ガスとを混合することにより、前記IPA微小液滴を生成することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項3に記載の基板処理装置であって、
    前記仕切部材の直径が700ミリメートル未満であることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項3または4に記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地されることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項2ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    液相のIPAを貯留するIPA供給部と、
    前記IPA供給部からのIPAを純水にて希釈する混合手段と、
    をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項2ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記支持部の周囲において基板の被処理面側から裏面側へと向かう気流を発生する気流発生手段をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  8. 基板に処理を施す基板処理装置であって、
    基板を支持する支持部と、
    液相のIPAを貯留するIPA供給部と、
    前記IPA供給部からのIPAを純水にて希釈する混合手段と、
    前記支持部に支持される基板の回転中に、前記混合手段からのIPAからIPA微小液滴を生成するとともに被処理面に向けて噴出して前記被処理面に衝突させることにより前記被処理面を洗浄するノズル部と、
    前記支持部の周囲において基板の被処理面側から裏面側へと向かう気流を発生する気流発生手段と、
    を備え
    前記ノズル部が、
    液相のIPAを所定の混合位置に向けて噴出するIPA噴出口と、
    前記IPA噴出口の周囲に円環状に開口しており、不活性ガスを前記混合位置に向けて噴出するガス噴出口と、
    を有する外部混合型二流体ノズルであることを特徴とする基板処理装置。
  9. 請求項に記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部の先端が導電性樹脂により形成され接地されることを特徴とする基板処理装置。
  10. 請求項1、2並びに請求項8、9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記支持部の周囲を覆う静電気放電防止用の略円筒状の仕切部材をさらに備え、
    前記仕切部材の直径が700ミリメートル未満であることを特徴とする基板処理装置。
  11. 請求項1、2並びに請求項8、9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記支持部および前記ノズル部が内部に配置され、基板の被処理面に垂直な方向に伸びる筒状のカバーをさらに備え、
    基板の被処理面に平行な方向に関して前記カバーの最小幅が700ミリメートル未満であることを特徴とする基板処理装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部を基板の被処理面に沿って揺動させる揺動機構をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部の先端と基板の被処理面との距離が5ミリメートル以上50ミリメートル以下とされることを特徴とする基板処理装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部の噴出方向が基板の被処理面となす角が45度以上であることを特徴とする基板処理装置。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記ノズル部から噴出されるIPA微小液滴の速度が、秒速10メートル以上300メートル以下であることを特徴とする基板処理装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    基板に向けて処理液を吐出する吐出部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
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