JP2013065795A - 基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パターンにダメージが発生することを抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させること。
【解決手段】噴射ノズル5から基板Wの上面に向けて複数の処理液の液滴を噴射させながら、基板Wに対して噴射ノズル5を移動させて、基板Wに対する液滴の衝突位置を移動させる。基板Wに付着しているパーティクルは、液滴の衝突によって除去される。基板Wの上面に向けて噴射された液滴の断面積と液滴の数との積である総液滴衝突面積は、基板Wの上面の面積の14倍以上である。
【選択図】図3

Description

この発明は、基板を処理する基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。たとえば特許文献1には、基板を洗浄する基板洗浄装置が開示されている。この基板洗浄装置は、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、複数の吐出孔から基板の上面に向けて洗浄液の液滴を噴射する洗浄ノズルとを備えている。基板の上面に付着しているパーティクルは、洗浄ノズルから噴射された多数の液滴が基板に衝突することにより除去される。
特開2010−56376号公報
基板に対する液滴の衝突によって基板に加わる衝撃の大きさは、液滴の大きさに依存する。すなわち、液滴の速度が同じであれば、液滴が大きいほど基板に加わる衝撃が大きい。したがって、液滴を小さくすることにより、基板に形成されているパターンにダメージ(倒壊や傾き)が発生することを抑制できる。しかしながら、液滴が小さいと、基板に付着しているパーティクルに加わる衝撃も減少するから、パーティクルの除去率が低下してしまう。
そこで、この発明の目的は、ダメージの発生を抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させることができる基板処理方法を提供することである。
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、処理液の液滴を基板(W)の主面に衝突させる基板処理方法であって、基板の主面に向けて噴射された液滴の断面積と前記液滴の数との積である総液滴衝突面積が、前記基板の主面の面積の14倍以上となるように、前記基板の主面に対する液滴の衝突位置を移動させながら、複数の処理液の液滴を基板に衝突させる液滴衝突工程を含む、基板処理方法である。基板の主面は、デバイス形成面である基板の表面であってもよいし、表面とは反対の裏面であってもよい。
この方法によれば、基板の主面内の複数の領域に処理液の液滴が衝突し、これらの領域からパーティクルが除去される。すなわち、同時に噴射された複数の液滴が基板の主面に衝突する領域は、基板の主面の一部であり、液滴が衝突する衝突位置が近接しているとしても、隣接する衝突位置の間には、液滴が衝突しない領域がある。しかし、この方法では、処理液の液滴が基板の主面に衝突する面積の総数(総液滴衝突面積)が、基板の主面の面積の14倍以上で十分に広く、さらに、基板の主面に対する液滴の衝突位置を移動させるため、基板の主面全域に処理液の液滴が衝突し、基板の主面がむらなく洗浄される。すなわち、基板の主面内のいたる所に処理液の液滴が衝突するのは当然のことながら、同じ位置に処理液の液滴が複数回衝突する。したがって、基板の主面に向けて噴射される液滴を小さくしたとしても、パーティクルの除去率を向上させることができる。これにより、ダメージの発生を抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させることができる。
前記総液滴衝突面積は、前記基板の主面の面積の14倍以上、かつ73倍以下であってもよい。重複度(総液滴衝突面積/基板の主面の面積)が、14であれば、前述のように、パーティクルの除去率を向上させることができる。さらに、後述するように、重複度が、73以下であれば、基板の主面に液滴を衝突させて基板を洗浄する洗浄時間の増加、および処理液の液滴を噴射する複数の噴射口が形成された噴射ノズルの大型化を抑制できる。
請求項2記載の発明は、前記液滴衝突工程は、処理液の液滴を噴射する複数の噴射口(32)に処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液供給工程と並行して、前記複数の噴射口から噴射される処理液に振動を付与することにより、前記複数の噴射口から噴射される処理液を分断する振動付与工程とを含む、請求項1に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、噴射口への処理液の供給と並行して、噴射口から噴射される処理液に振動が付与される。これにより、噴射口の直径と概ね等しい直径を有する処理液の液柱が形成される。そして、この液柱は、表面張力によって球形に変化し、球形の液滴となる。たとえば、液体と気体とを衝突させて複数の液滴を生成する場合には、液滴の直径および速度が均一でなく、ばらつきが大きい。したがって、液体と気体とを衝突させて複数の液滴を生成する場合よりも、粒径および速度の均一な液滴が形成される。これにより、液滴の衝突によって基板に加わる衝撃のばらつきを低減できる。したがって、ダメージの発生を抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させることができる。
請求項3記載の発明は、前記液滴衝突工程は、直径30μm以下、好ましくは、21μm以下、さらに好ましくは、15μm以下の処理液の液滴を基板の主面に衝突させる工程である、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、基板の主面に向けて噴射される液滴の直径が30μm以下であり、小さいので、液滴の衝突によって基板の主面に加わる衝撃が小さい。したがって、基板の主面に形成されているパターンにダメージが生じることを確実に抑制または防止できる。さらに、前述のように、総液滴衝突面積が基板の主面に対して十分に広いので、基板の主面をむらなく洗浄して、パーティクルの除去率を向上させることができる。
前記液滴衝突工程は、基板の主面を通る回転軸線(L1)まわりに基板を回転させる基板回転工程と、前記基板回転工程と並行して、処理液の液滴を噴射する複数の噴射口が形成された噴射ノズル(5)を基板に対して移動させることにより、基板の主面に対する液滴の衝突位置を移動させる衝突位置移動工程を含んでいてもよい。前記衝突位置移動工程は、基板の主面中央部と主面周縁部との間で前記衝突位置を移動させる工程(ハーフスキャン工程)であってもよいし、前記衝突位置が基板の主面中央部と2つの主面周縁部とを通るように前記衝突位置を移動させる工程(フルスキャン工程)であってもよい。さらに、前記衝突位置移動工程は、前記衝突位置を等速で移動させる工程であってもよい。これらの場合、衝突位置によって基板の主面が走査され、基板の主面全域に確実に処理液の液滴が供給される。これにより、基板の主面をむらなく洗浄して、パーティクルの除去率を向上させることができる。
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
この発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。 この発明の一実施形態に係る噴射ノズルおよびこれに関連する構成の平面図である。 この発明の一実施形態に係る噴射ノズルの模式的な側面図である。 この発明の一実施形態に係る噴射ノズルの本体の模式的な平面図である。 この発明の一実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理例について説明するための図である。 総液滴衝突面積とパーティクルの除去率との関係を示すグラフである。 液滴の大きさと噴射口の数との関係を示すグラフである。 パーティクルの除去率とダメージの発生数との関係を示すグラフである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。図2は、この発明の一実施形態に係る噴射ノズル5およびこれに関連する構成の平面図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック2と、スピンチャック2を取り囲む筒状のカップ3と、基板Wにリンス液を供給するリンス液ノズル4と、基板Wに処理液の液滴を衝突させる噴射ノズル5と、基板Wに保護液(カバーリンス液)を供給する保護液ノズル6と、スピンチャック2などの基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置7とを備えている。
図1に示すように、スピンチャック2は、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心C1を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転可能なスピンベース8と、このスピンベース8を回転軸線L1まわりに回転させるスピンモータ9とを含む。スピンチャック2は、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図1および図2では、スピンチャック2が挟持式のチャックである場合が示されている。
図1に示すように、リンス液ノズル4は、リンス液バルブ10が介装されたリンス液供給管11に接続されている。リンス液バルブ10が開かれると、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル4からリンス液が吐出される。その一方で、リンス液バルブ10が閉じられると、リンス液ノズル4からのリンス液の吐出が停止される。リンス液ノズル4に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
噴射ノズル5は、インクジェット方式によって多数の液滴を噴射するインクジェットノズルである。図1に示すように、噴射ノズル5は、処理液供給管12を介して処理液供給機構13に接続されている。さらに、噴射ノズル5は、排出バルブ14が介装された処理液排出管15に接続されている。処理液供給機構13は、たとえば、ポンプを含む機構である。処理液供給機構13は、常時、所定圧力(たとえば、10MPa以下)で処理液を噴射ノズル5に供給している。噴射ノズル5に供給される処理液としては、たとえば、純水や、炭酸水や、SC−1(NHOHとHとを含む混合液)などが挙げられる。制御装置7は、処理液供給機構13を制御することにより、噴射ノズル5に供給される処理液の圧力を任意の圧力に変更することができる。
また、図1に示すように、噴射ノズル5は、噴射ノズル5の内部に配置された圧電素子16(piezo element)を含む。圧電素子16は、配線17を介して電圧印加機構18に接続されている。電圧印加機構18は、たとえば、インバータを含む機構である。電圧印加機構18は、交流電圧を圧電素子16に印加する。交流電圧が圧電素子16に印加されると、印加された交流電圧の周波数に対応する周波数で圧電素子16が振動する。制御装置7は、電圧印加機構18を制御することにより、圧電素子16に印加される交流電圧の周波数を任意の周波数(たとえば、数百KHz〜数MHz)に変更することができる。したがって、圧電素子16の振動の周波数は、制御装置7によって制御される。
図1に示すように、基板処理装置1は、ノズル移動機構19をさらに含む。ノズル移動機構19は、噴射ノズル5を保持するノズルアーム20と、ノズルアーム20に接続された回動機構21と、回動機構21に接続された昇降機構22とを含む。回動機構21は、たとえば、モータを含む機構である。昇降機構22は、ボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するモータとを含む機構である。回動機構21は、スピンチャック2の周囲に設けられた鉛直な回転軸線L2まわりにノズルアーム20を回動させる。噴射ノズル5は、ノズルアーム20と共に回転軸線L2まわりに回動する。これにより、噴射ノズル5が水平方向に移動する。一方、昇降機構22は、回動機構21を鉛直方向に昇降させる。噴射ノズル5およびノズルアーム20は、回動機構21と共に鉛直方向に昇降する。これにより、噴射ノズル5が鉛直方向に移動する。
回動機構21は、スピンチャック2の上方を含む水平面内で噴射ノズル5を水平に移動させる。図2に示すように、回動機構21は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面に沿って延びる円弧状の軌跡X1に沿って噴射ノズル5を水平に移動させる。軌跡X1は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面に垂直な垂直方向(鉛直方向)から見たときに基板Wの上面に重ならない2つの位置を結び、鉛直方向から見たときに基板Wの上面の中心C1を通る曲線である。噴射ノズル5がスピンチャック2に保持された基板Wの上方に位置する状態で、昇降機構22が噴射ノズル5を降下させると、噴射ノズル5が基板Wの上面に近接する。処理液の液滴を基板Wに衝突させるときは、噴射ノズル5が基板Wの上面に近接している状態で、制御装置7が、回動機構21を制御することにより、軌跡X1に沿って噴射ノズル5を水平に移動させる。
また、保護液ノズル6は、ノズルアーム20に保持されている。回動機構21および昇降機構22の少なくとも一方がノズルアーム20を移動させると、噴射ノズル5および保護液ノズル6は、噴射ノズル5および保護液ノズル6の位置関係が一定に保たれた状態で移動する。したがって、回動機構21がノズルアーム20を回動させると、保護液ノズル6は、噴射ノズル5と共に軌跡X1に沿って水平に移動する。図1に示すように、保護液ノズル6は、保護液バルブ23および流量調整バルブ24が介装された保護液供給管25に接続されている。保護液バルブ23が開かれると、基板Wの上面に向けて保護液ノズル6から保護液が吐出される。その一方で、保護液バルブ23が閉じられると、保護液ノズル6からの保護液の吐出が停止される。保護液ノズル6からの保護液の吐出速度は、制御装置7が流量調整バルブ24の開度を調整することにより変更される。保護液ノズル6に供給される保護液としては、たとえば、リンス液や、SC−1などの薬液が挙げられる。
図3は、この発明の一実施形態に係る噴射ノズル5の模式的な側面図である。図4は、この発明の一実施形態に係る噴射ノズル5の本体26の模式的な平面図である。
図3に示すように、噴射ノズル5は、処理液の液滴を噴射する本体26と、本体26を覆うカバー27と、カバー27によって覆われた圧電素子16と、本体26とカバー27との間に介在するシール28とを含む。本体26およびカバー27は、いずれも耐薬性を有する材料によって形成されている。本体26は、たとえば、石英によって形成されている。カバー27は、たとえば、フッ素系の樹脂によって形成されている。シール28は、弾性材料によって形成されている。本体26は、高圧に耐えうる強度を有している。本体26の一部と圧電素子16とは、カバー27の内部に収容されている。配線17の端部は、たとえば半田(solder)によって、カバー27の内部で圧電素子16に接続されている。カバー27の内部は、シール28によって密閉されている。
図3および図4に示すように、本体26は、処理液が供給される供給口29と、供給口29に供給された処理液を排出する排出口30と、供給口29と排出口30とを接続する処理液流通路31と、処理液流通路31に接続された複数の噴射口32とを含む。処理液流通路31は、本体26の内部に設けられている。処理液流通路31は、供給口29に接続された上流路33と、排出口30に接続された下流路34と、上流路33と下流路34とをそれぞれ接続する複数の分岐路35と、複数の分岐路35に接続された複数の接続路36とを含む。複数の噴射口32は、それぞれ、複数の接続路36に接続されている。したがって、噴射口32は、接続路36を介して処理液流通路31に接続されている。供給口29、排出口30、および噴射口32は、本体26の表面で開口している。供給口29および排出口30は、噴射口32よりも上方に位置している。本体26の下面5aは、たとえば、水平な平坦面であり、噴射口32は、本体26の下面5aで開口している。
図4に示すように、複数の噴射口32は、複数(たとえば、4つ)の列Lを構成している。各列Lは、等間隔で配列された多数(たとえば、10個以上)の噴射口32によって構成されている。各列Lは、水平な長手方向D1に沿って直線状に延びている。各列Lは、直線状に限らず、曲線状であってもよい。4つの列Lは、平行である。4つの列Lのうちの2つの列Lは、長手方向D1に直交する水平な方向に隣接している。同様に、残り2つの列Lも、長手方向D1に直交する水平な方向に隣接している。隣接する2つの列Lは、対をなしている。対の列Lにおいて、一方の列Lを構成する複数の噴射口32(図4の噴射口32a)と、他方の列Lを構成する複数の噴射口32(図4の噴射口32b)とは、長手方向D1にずれている。噴射ノズル5は、鉛直方向から見たときに、たとえば、4つの列Lが軌跡X1に交差するようにノズルアーム20に保持されている(図2参照)。
図3に示すように、処理液供給管12および処理液排出管15は、それぞれ、供給口29および排出口30に接続されている。したがって、処理液供給機構13(図1参照)は、処理液供給管12を介して供給口29に接続されている。処理液供給機構13は、常時、高圧で処理液を噴射ノズル5に供給している。処理液供給機構13から供給口29に供給された処理液は、処理液流通路31に供給される。排出バルブ14が閉じられている状態では、処理液流通路31での処理液の圧力(液圧)が高い。そのため、この状態では、液圧によって各噴射口32から処理液が噴射される。さらに、この状態で、交流電圧が圧電素子16に印加されると、処理液流通路31を流れる処理液に圧電素子16の振動が付与され、各噴射口32から噴射される処理液が、この振動によって分断される。そのため、処理液の液滴が各噴射口32から噴射される。すなわち、接続路36を流れる処理液が振動によって分断され、噴射口32の直径と概ね等しい直径を有する処理液の液柱が形成される。この液柱は、表面張力によって球形に変化する。そのため、噴射口32の直径よりも大きい直径(たとえば、15μm〜200μm)を有する球状の液滴が基板Wに向かって飛散する。
一方、排出バルブ14が開かれている状態では、処理液流通路31に供給された処理液が、排出口30から処理液排出管15に排出される。すなわち、排出バルブ14が開かれている状態では、処理液流通路31での液圧が十分に上昇していない。噴射口32が微細孔であるから、噴射口32から処理液を噴射させるには、処理液流通路31の液圧を所定値以上に上昇させる必要がある。しかしながら、排出バルブ14が開かれている状態では、処理液流通路31の液圧が低圧であるので、処理液流通路31の処理液は、噴射口32から噴射されずに、排出口30から処理液排出管15に排出される。このように、噴射口32からの処理液の噴射は、排出バルブ14の開閉により制御される。制御装置7(図1参照)は、噴射ノズル5を基板Wの処理に使用しない間(噴射ノズル5の待機中)は、排出バルブ14を開いている。そのため、噴射ノズル5の待機中であっても、噴射ノズル5の内部で処理液が流通している状態が維持される。
基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させるときは、制御装置7が、ノズル移動機構19(図1参照)によって噴射ノズル5を移動させることにより、噴射ノズル5の下面5a(本体26の下面5a)を基板Wの上面に近接させる。そして、制御装置7は、噴射ノズル5の下面5aが基板Wの上面に対向している状態で、排出バルブ14を閉じて処理液流通路31の圧力を上昇させると共に、圧電素子16を駆動することにより、処理液流通路31内の処理液に振動を加える。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射される。具体的には、平均値に対する粒径および速度のばらつきが10%以内の均一な液滴が基板Wの上面に向けて噴射される。そして、図3に示すように、噴射ノズル5から噴射された多数の液滴は、基板Wの上面内の複数の領域に衝突する。
図5は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1によって行われる基板Wの処理例について説明するための図である。以下では、図1、図2、および図5を参照する。
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって搬送され、デバイス形成面である表面をたとえば上に向けてスピンチャック2上に載置される。そして、制御装置7は、スピンチャック2によって基板Wを保持させる。その後、制御装置7は、スピンモータ9を制御して、スピンチャック2に保持されている基板Wを回転させる。
次に、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wの上面を純水で覆う第1カバー工程が行われる。具体的には、制御装置7は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ10を開いて、図5(a)に示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。そして、リンス液バルブ10が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置7は、リンス液バルブ10を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
次に、処理液の一例である炭酸水の液滴を噴射ノズル5から基板Wに供給して基板Wを洗浄する洗浄工程と、保護液の一例であるSC−1を保護液ノズル6から基板Wに供給して基板Wの上面をSC−1で覆う第2カバー工程とが並行して行われる。具体的には、制御装置7は、ノズル移動機構19を制御することにより、噴射ノズル5および保護液ノズル6をスピンチャック2の上方に移動させると共に、噴射ノズル5の下面5aを基板Wの上面に近接させる。その後、制御装置7は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、保護液バルブ23を開いて、図5(b)に示すように、保護液ノズル6からSC−1を吐出させる。これにより、基板Wの上面を覆うSC−1の液膜が形成される。
一方、制御装置7は、保護液ノズル6からのSC−1の吐出と並行して、噴射ノズル5から炭酸水の液滴を噴射させる。具体的には、制御装置7は、噴射ノズル5の下面5aが基板Wの上面に近接しており、保護液ノズル6からSC−1が吐出されている状態で、排出バルブ14を閉じるとともに、電圧印加機構18によって所定の周波数の交流電圧を噴射ノズル5の圧電素子16に印加させる。さらに、図5(b)に示すように、制御装置7は、一定の回転速度で基板Wを回転させながら、ノズル移動機構19によって、中心位置Pcと周縁位置Peとの間で噴射ノズル5を軌跡X1に沿って複数回往復させる(ハーフスキャン)。図2において実線で示すように、中心位置Pcは、平面視において噴射ノズル5と基板Wの上面中央部とが重なる位置であり、図2において二点鎖線で示すように、周縁位置Peは、平面視において噴射ノズル5と基板Wの上面周縁部とが重なる位置である。
多数の炭酸水の液滴が噴射ノズル5から下方に噴射されることにより、SC−1の液膜によって覆われている基板Wの上面に多数の炭酸水の液滴が吹き付けられる。また、制御装置7が、基板Wを回転させながら、中心位置Pcと周縁位置Peとの間で噴射ノズル5を移動させるので、炭酸水の液滴によって基板Wの上面が走査され、炭酸水の液滴が基板Wの上面全域に衝突する。したがって、基板Wの上面に付着しているパーティクルなどの異物は、基板Wに対する液滴の衝突によって物理的に除去される。また、異物と基板Wとの結合力は、SC−1が基板Wを溶融させることにより弱められる。したがって、異物がより確実に除去される。また、基板Wの上面全域が液膜によって覆われている状態で、炭酸水の液滴が基板Wの上面に吹き付けられるので、基板Wに対する異物の再付着が抑制または防止される。このようにして、第2カバー工程と並行して洗浄工程が行われる。そして、洗浄工程および第2カバー工程が所定時間に亘って行われると、制御装置7は、排出バルブ14を開いて、噴射ノズル5からの液滴の噴射を停止させる。さらに、制御装置7は、保護液バルブ23を閉じて、保護液ノズル6からのSC−1の吐出を停止させる。
次に、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wに付着している液体や異物を洗い流すリンス工程が行われる。具体的には、制御装置7は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ10を開いて、図5(c)に示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wに付着している液体や異物が洗い流される。そして、リンス液バルブ10が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置7は、リンス液バルブ10を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御装置7は、スピンモータ9を制御して、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、図5(d)に示すように、基板Wに付着している純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥工程が所定時間にわたって行われた後は、制御装置7は、スピンモータ9を制御することにより、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
図6は、総液滴衝突面積とパーティクルの除去率との関係を示すグラフである。図7は、液滴の大きさと噴射口32の数との関係を示すグラフである。
図6に示すパーティクルの除去率は、噴射ノズル5を用いて、直径300mmの円形基板Wを洗浄したときの測定値である。この測定では、洗浄のパワー(液滴の大きさおよび速度)を一定にし、基板Wの上面に向けて噴射された液滴の断面積(S)と基板Wの上面に向けて噴射された液滴の数(N)との積である総液滴衝突面積(T)を変化させた。総液滴衝突面積は、液滴の断面積と液滴の数との積であるから、液滴の断面積および/または液滴の数が変化すると、総液滴衝突面積も変化する。以下に説明するように、噴射口32の直径が一定であれば、液滴の断面積は一定である。一方、液滴の数は、噴射ノズル5に形成されている噴射口32の数、および/または噴射ノズル5からの液滴の噴射時間によって変化する。図6に示すパーティクルの除去率は、洗浄のパワーと、噴射口32の数および直径とを一定にし、噴射ノズル5からの液滴の噴射時間を変化させたときの測定値である。
前述のように、噴射口32から噴射された液滴は、概ね球形である。したがって、液滴の直径が分かれば、液滴の断面積および体積が求められる。液滴の直径は、液滴の噴射状況を撮影した画像から測定してもよいが、液滴の直径と噴射口32の直径とが一定の関係にあるので、噴射口32の直径から液滴の直径を求めてもよい。たとえば、噴射口32の直径が10μmのとき、液滴の直径は、15μmであり、噴射口32の直径が15μmのとき、液滴の直径は、21μmである。したがって、噴射口32の直径から液滴の断面積および体積が求められる。さらに、噴射ノズル5から噴射された液滴の数は、噴射ノズル5への処理液の供給量を液滴の体積によって割ることにより求められる。したがって、噴射口32の直径と、噴射ノズル5への処理液の供給量とから、液滴の断面積(S)と液滴の数(N)とが求められる。これにより、総液滴衝突面積(T)が求められる。
図6に示すように、洗浄のパワーが同じであれば、パーティクルの除去率は、総液滴衝突面積に依存する。具体的には、総液滴衝突面積が1.0m未満の範囲では、総液滴衝突面積の増加に伴ってパーティクルの除去率が増加している。その一方で、総液滴衝突面積が1.0m以上の範囲では、総液滴衝突面積が増加しても、パーティクルの除去率が殆ど増加せず、約80%で安定している。さらに、総液滴衝突面積が1.3m以上の範囲では、パーティクルの除去率が80%以上の値で安定している。総液滴衝突面積が1.0m以上の範囲でパーティクルの除去率が安定しているのは、処理液の液滴が基板Wの上面全域に衝突することにより、この洗浄パワーで除去できるパーティクルが全て除去されており、この洗浄パワーでは除去できないパーティクルだけが残っているためと考えられる。
このように、総液滴衝突面積が1.0m以上であれば、約80%の高い除去率を確保できる。したがって、総液滴衝突面積は、1.0m以上であることが好ましい。また、総液滴衝突面積を大きくして、基板Wを過剰に洗浄したとしても、パーティクルの除去率は増加する傾向にあるので、総液滴衝突面積の上限値は、1.0m以上のどのような値であってもよい。しかし、以下の理由により、総液滴衝突面積の上限値は、5.2mであることが好ましい。
すなわち、液滴の大きさと、噴射ノズル5に形成されている噴射口32の数とが一定の場合に、総液滴衝突面積を増加させるには、噴射ノズル5からの液滴の噴射時間を増加させて、1つの噴射口32から噴射される液滴の数を増加させる必要がある。しかしながら、基板Wの製造工程では、1つの工程に費やすことのできる時間が限られているから、液滴の噴射時間は、この制限時間内(たとえば、2分以内)でしか増加させることができない。
また、液滴の大きさと、噴射ノズル5からの液滴の噴射時間が一定の場合に、総液滴衝突面積を増加させるには、噴射口32の数を増加させて噴射ノズル5から同時に噴射される液滴の数を増加させる必要がある。しかしながら、噴射口32の数が多いと、噴射ノズル5が大型化してしまう。したがって、噴射口32の数を極端に増加させることは好ましくない。
以上の2つの理由、すなわち、噴射時間と噴射ノズル5の大きさとを考慮すると、総液滴衝突面積の上限値は、5.2mであることが好ましい。したがって、総液滴衝突面積は、1.0m以上、5.2m以下であることが好ましい。直径300mmの円形基板Wの上面の面積は、約0.07mである。総液滴衝突面積が1.0mのときの重複度(総液滴衝突面積/基板Wの上面の面積)は、約14であり、総液滴衝突面積が5.2mのときの重複度は、約73である。したがって、重複度は、14以上、73以下であることが好ましい。図6に示すように、重複度がこの範囲内であれば、約80%の高い除去率を確保できる。
前述の処理例において、総液滴衝突面積を1.0m以上、5.2m以下に設定する場合には、たとえば、噴射口32の数が80〜160個(一つの列Lで、20〜40個)で、噴射口32の直径が10μmに設定された噴射ノズル5から直径15μmの液滴を20〜60m/sで噴射させる共に、基板Wを300〜600rpmで回転させる。そして、この状態で、片道5秒で周縁位置Peと中心位置Pcとの間を等速で複数回往復させる。このようにして、噴射ノズル5から基板Wの上面に向けて複数の処理液の液滴を32秒間噴射させる。また、この条件において、総液滴衝突面積を1.3mに設定する場合には、噴射口32の数が128個に設定された噴射ノズル5から直径15μmの液滴を50m/sで噴射させる共に、基板Wを500rpmで回転させる。
噴射ノズル5から噴射される液滴の大きさ(直径)は、15μmに限らず、200μm以下の大きさであってもよい。しかし、液滴の大きさが変わると、総液滴衝突面積が変化するので、噴射口32の数および/または噴射時間を変更して、総液滴衝突面積を調整する必要がある。たとえば、噴射口32の数を変更する場合には、図7に示す曲線上または曲線より上側の領域の値を採用すればよい。図7に示す曲線は、噴射時間が一定の場合に、総液滴衝突面積が1.0mになるときの液滴の大きさと噴射口32の数との関係を示している。したがって、噴射口32の数をyとし、液滴の直径をxとすると、y≧1682.4X−1.0004の関係が成立していればよい。
図8は、パーティクルの除去率とダメージの発生数との関係を示すグラフである。
図8において◆で示す測定値は、直径21μmの液滴を38m/sおよび50m/sの速度で基板Wに衝突させたときの値である。また、図8において■で示す測定値は、直径15μmの液滴を38m/sおよび50m/sの速度で基板Wに衝突させたときの値である。いずれの測定値も、総液滴衝突面積が1.0m以上、5.2m以下になるように、直径300mmの円形基板Wに処理液の液滴を衝突させて、この基板Wを洗浄したときの値である。すなわち、各測定値は、重複度が14以上、73以下のときの測定値である。図8におけるパーティクルの除去率は、図6におけるパーティクルの除去率より低い。これは、基板Wに付着しているパーティクルが異なるためである。
図8において液滴の速度が38m/sのときの2つの測定値を見ると分かるように、速度が同じであれば、パーティクルの除去率は、粒径(液滴の直径)が大きい程高い。これは、速度が同じであれば、粒径が大きいほど、液滴の運動エネルギーが大きく、基板Wに加わる衝撃が大きいためと考えられる。しかしながら、基板Wに加わる衝撃が大きいと、基板Wに形成されているパターンにダメージが発生し易くなる。具体的には、図8に示すように、粒径が21μmの場合、速度が38m/sのときにはダメージが発生していないが、速度が38m/sより高い範囲では、ダメージが発生している。
一方、図8に示すように、粒径が15μmの場合、速度が、38m/sより高い範囲でも、ダメージが発生していない。すなわち、粒径が小さいと、液滴の運動エネルギーが小さく、基板Wに加わる衝撃が小さい。そのため、ダメージが発生し難い。さらに、図8の測定値では、総液滴衝突面積が1.0m以上、5.2m以下に設定されており、基板Wの上面がくまなく洗浄されているので、粒径が15μmであっても、高い除去率が得られている。すなわち、粒径が21μmのときには、ダメージが発生しない速度の上限値が38m/sであり、そのときのパーティクルの除去率が約25%であるのに対し、粒径が15μmのときには、速度が50m/sでもダメージが発生しておらず、約45%(25%の2倍弱)の除去率が得られている。したがって、重複度を14以上、73以下に設定することにより、ダメージの発生を抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させることができる。
以上のように本実施形態では、噴射ノズル5から基板Wの上面に向けて複数の処理液の液滴が噴射される。これにより、基板Wの上面内の複数の領域に処理液の液滴が衝突し、これらの領域からパーティクルが除去される。すなわち、同時に噴射された複数の液滴が基板Wの上面に衝突する領域は、基板Wの上面の一部であり、液滴が衝突する衝突位置が近接しているとしても、隣接する衝突位置の間には、液滴が衝突しない領域がある。しかし、本実施形態では、処理液の液滴が基板Wの上面に衝突する面積の総数(総液滴衝突面積)が、基板Wの上面の面積の14倍以上で十分に広く、さらに、基板Wの上面に対する液滴の衝突位置を移動させるため、基板Wの上面全域に処理液の液滴が衝突し、基板Wの上面がむらなく洗浄される。したがって、基板Wの上面に向けて噴射される液滴を小さくしたとしても、パーティクルの除去率を向上させることができる。これにより、ダメージの発生を抑制または防止しつつ、パーティクルの除去率を向上させることができる。
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
5 噴射ノズル
32 噴射口
L1 回転軸線
W 基板

Claims (3)

  1. 処理液の液滴を基板の主面に衝突させる基板処理方法であって、
    基板の主面に向けて噴射された液滴の断面積と前記液滴の数との積である総液滴衝突面積が、前記基板の主面の面積の14倍以上となるように、前記基板の主面に対する液滴の衝突位置を移動させながら、複数の処理液の液滴を基板に衝突させる液滴衝突工程を含む、基板処理方法。
  2. 前記液滴衝突工程は、処理液の液滴を噴射する複数の噴射口に処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液供給工程と並行して、前記複数の噴射口から噴射される処理液に振動を付与することにより、前記複数の噴射口から噴射される処理液を分断する振動付与工程とを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記液滴衝突工程は、直径30μm以下の処理液の液滴を基板の主面に衝突させる工程である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
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