JP6112509B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Description

この発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板に対して処理液を用いた処理が行われる。
基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板の上面に処理液の液滴を衝突させる液滴ノズルと、スピンチャックに保持されている基板の上面に向けて保護液を吐出する保護液ノズルとを備えている(特許文献1参照)。この基板処理装置では、液滴ノズルおよび保護液ノズルが、互いの位置関係を一定に保ちながら移動させられる。
特許文献1に記載の基板処理装置では、液滴ノズルは、基板の上面内の領域(以下では、「噴射領域」という。)に向けて処理液を吐出する。また、液滴ノズルからの処理液の吐出と並行して、保護液ノズルから基板の上面に向けて保護液が吐出される。保護液ノズルから吐出された保護液は噴射領域に進入し、十分な厚みを有する保護液の液膜が噴射領域に形成される。よって、処理液の液滴は、保護液の液膜によって噴射領域の位置が覆われている状態で噴射領域に衝突する。
特開2012−216777号公報
特許文献1に記載の基板処理装置では、保護液ノズルの液滴ノズルに対する相対的な位置および姿勢を、基板の上面に供給された保護液が処理液の液滴に抗して噴射領域に進入し、かつ当該保護液により噴射領域の全域を覆うことができるように設定する必要がある。
しかしながら、基板の上面における保護液の拡がり方は、基板の中心部と、基板の周縁部とで大きく異なる。そのため、基板の上面中心部に保護液を供給する場合を基準として保護液ノズルの位置および姿勢を設定すると、基板の上面周縁部では保護液が噴射領域の全域に行き渡らず、十分な厚みを有する保護膜の液膜が形成されない噴射領域の位置が生じるおそれがある。また、基板の上面周縁部に保護液を供給する場合を基準として保護液ノズルの位置および姿勢を設定すると、基板の上面中央部では保護液が噴射領域の全域に行き渡らず、十分な厚みを有する保護膜の液膜が形成されない噴射領域の位置が生じるおそれがある。
噴射領域の位置が液膜によって覆われていない状態、または噴射領域を覆う液膜が薄い状態で、処理液の液滴が噴射領域に吹き付けられると、液滴と基板との衝突によって、基板に形成されたパターンに大きな衝撃が加わり、パターン倒れなどのダメージが発生するおそれがある。
基板の上面中心部および基板の上面周縁部の双方で、中心部噴射領域の全域を保護液により確実に覆うようにするために、基板に供給される保護液の流量を増大させることが考えられるが、その方策では、1枚の基板の処理に要するコストが増えてしまう。
この発明の目的は、基板に供給される保護液の流量を増大させることなく、基板のダメージを抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基板(W)を水平に保持する基板保持手段(2)と、前記基板保持手段によって保持された基板を、鉛直な回転軸線(C1)まわりに回転させる回転手段(10)と、前記基板保持手段によって保持された基板の上面内の噴射領域(T1)に吹き付けられる処理液の液滴を生成する液滴ノズル(5)と、前記基板の上面に保護液を吐出するための第1の保護液ノズル(6)と、前記基板の上面に保護液を吐出するための第2の保護液ノズル(7)と、前記第1および第2の保護液ノズルに対し、保護液を供給するための保護液供給手段(26,29,30)と、前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるためのノズル移動手段(20)と、前記保護液供給手段を制御して、前記第1および第2保護ノズルの双方から前記基板の上面に保護液を吐出させ、前記基板の上面に保護液の液膜を形成して、前記保護液の液膜によって前記噴射領域が覆われている状態で、処理液の液滴を前記噴射領域に衝突させる保護液吐出制御手段(8)と、前記第1および第2保護ノズルからの保護液の吐出に並行して、前記液滴ノズルと前記第1および第2の保護液ノズルとの位置関係を一定に保ちながら、前記基板の上面中心部と前記基板の上面周縁部との間で前記噴射領域が移動するように、前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるノズル移動制御手段(8)とを含み、前記第1の保護液ノズルの前記液滴ノズルに対する位置および姿勢は、前記基板の上面において当該保護液ノズルからの保護液が着液する、前記液滴ノズルに対する相対的な着液位置(P1)、および当該保護液ノズルから吐出された保護液が前記着液位置に入射するときの、前記液滴ノズルに対する相対的な入射角度(θH1,θV1)の少なくとも一方を含む着液状態が第1の着液状態となるような第1の位置および姿勢に設定されており、前記第2の保護液ノズルの前記液滴ノズルに対する位置および姿勢は、前記着液位置(P2)および前記入射角度(θH2,θV2)の少なくとも一方を含む前記着液状態が、前記第1の着液状態と異なる第2の着液状態となるような第2の位置および姿勢に設定されている、基板処理装置(1)である。
なお、この項において、括弧内の英数字等は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符合を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。
この構成によれば、第1の位置および姿勢に設定された第1の保護液ノズルならびに第2の位置および姿勢に設定された第2の保護液ノズルの双方から保護液が吐出される。第1および第2の保護液ノズルからの保護液の吐出に並行して、噴射領域が、基板の上面中心部と基板の上面周縁部との間で移動させられる。
第1の位置および姿勢にある第1の保護液ノズルからの保護液の着液状態(着液位置および入射角度の少なくとも一方を含む着液状態)が第1の着液状態にあり、第2の位置および姿勢にある第2の保護液ノズルからの保護液の着液状態が、第1の着液状態と異なる第2の着液状態にある。
この場合、第1の保護液ノズルの第1の位置および姿勢ならびに第2の保護液ノズルの第2の位置および姿勢(すなわち、第1および第2の着液状態)を、噴射領域の位置が基板上面の異なる二位置に配置される場合を基準して、それぞれ設定することが可能である。
そのため、噴射領域の位置が基板の上面のいずれに配置される場合であっても、噴射領域に保護液を効率良く供給することができ、その結果、多量の保護液を供給することなく、噴射領域の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。これにより、基板に供給される保護液の流量を増大させることなく、基板のダメージを抑制できる。
請求項2に記載の発明は、前記第1の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部の位置に配置された状態で、前記第1の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢であり、前記第2の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面周縁部の位置に配置された状態で、前記第2の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢である、請求項1に記載の基板処理装置である。
より具体的には、第1の着液状態は、噴射領域の位置が基板の上面中心部に配置されている状態で最適化されており、第2の着液状態は、噴射領域の位置が基板の上面周縁部に配置されている状態で最適化されていることが好ましい。このような場合、基板の上面中心部に配置される保護液ノズルから基板に供給される保護液の流量が少流量であっても、保護液の液膜によって噴射領域の全域を覆うことができ、また、基板の上面周縁部に配置される保護液ノズルから基板に供給される保護液の流量が少流量であっても、保護液の液膜によって噴射領域の全域を覆うことができる。
その結果、噴射領域の位置が基板の上面のいずれの位置に配置されていても、基板への少流量の保護液の供給により、噴射領域の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。これにより、基板に供給される保護液の流量を増大させることなく、基板のダメージを抑制できる。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置は、請求項3に記載のように、前記保護液吐出制御手段は、前記保護液供給手段を制御して、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化によらずに一定流量の保護液を前記第1および第2の保護液ノズルから吐出させる。
また、本発明の一実施形態に係る基板処理装置は、請求項4に記載のように、前記保護液供給手段は、前記第1および第2の保護液ノズルに供給する保護液の流量を調整するための流量調整手段(30)を含み、前記保護液吐出制御手段は、前記流量調整手段を制御する吐出流量制御手段(8)を含み、前記吐出流量制御手段は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化に応じて、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を変化させてもよい。
この構成によれば、噴射領域が基板の上面中心部および上面周縁部に配置されているときに、第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を低減させることができる。これにより、基板のダメージを抑制しつつ、基板に供給される保護液の総流量を、より一層低減させることができる。
また、この場合、請求項5に記載のように、前記吐出流量制御手段は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部に配置される場合よりも前記基板の上面周縁部に配置される場合に、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を多くさせてもよい。
請求項6に記載のように、前記第1および第2の保護液ノズルからの保護液の吐出流量比は1:1に設定されていてもよい。
前記の目的を達成するための請求項7に記載の発明は、基板(W)を水平に保持する基板保持工程と、第1の保護液ノズル(6)を、前記保持された基板の上面において当該保護液ノズルからの保護液が着液する、液滴ノズル(5)に対する相対的な着液位置(P1)、および当該保護液ノズルから吐出された保護液が前記着液位置に入射するときの、液滴ノズルに対する相対的な入射角度(θH1,θV1)の少なくとも一方を含む着液状態が第1の着液状態となるような第1の位置および姿勢に設ける工程と、第2の保護液ノズル(7)を、前記着液位置(P2)および前記入射角度(θH2,θV2)の少なくとも一方を含む前記着液状態が、前記第1の着液状態と異なる第2の着液状態となるような第2の位置および姿勢に設ける工程と、前記保持された基板を、鉛直な回転軸線(C1)まわりに回転させる回転工程と、前記保持された基板の上面内の噴射領域(T1)に、前記液滴ノズルから処理液の液滴を吹き付ける液滴供給工程と、前記第1および第2の保護液ノズルの双方から前記基板の上面に保護液を吐出し、前記保持された基板の上面に保護液の液膜を形成して、前記保護液の液膜によって前記噴射領域が覆われている状態で、前記処理液の液滴を前記噴射領域に衝突させる保護液吐出工程と、前記第1および第2保護ノズルからの保護液の吐出に並行して、前記液滴ノズルと前記第1および第2の保護液ノズルとの位置関係を一定に保ちながら、前記基板の上面中心部と前記基板の上面周縁部との間で前記噴射領域が移動するように、前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるノズル移動工程とを含む、基板処理方法である。
この発明の方法によれば、請求項1に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項8に記載の発明は、前記第1の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部の位置に配置された状態で、前記第1の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢であり、前記第2の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面周縁部の位置に配置された状態で、前記第2の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢である、請求項7に記載の基板処理方法である。
この発明の方法によれば、請求項2に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る基板処理方法は、請求項9に記載のように、前記保護液吐出工程は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化によらずに一定流量の保護液を前記第1および第2の保護液ノズルから吐出させる工程を含む。
本発明の他の実施形態に係る基板処理方法は、請求項10に記載のように、前記保護液吐出工程は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化に応じて、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を変化させてもよい。この発明の方法によれば、請求項4に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
また、この場合、請求項11に記載のように、前記保護液吐出工程は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部に配置される場合よりも前記基板の上面周縁部に配置される場合に、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を多くさせてもよい。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。 図1に示す液滴ノズルおよびこれに関連する構成の平面図である。 図1に示す液滴ノズルならびに第1および第2の保護液ノズルの模式的な側面図である。 図1に示す液滴ノズルならびに第1および第2の保護液ノズルの模式的な平面図である。 図1に示す液滴ノズルと第1の保護液ノズルとの位置関係を示す模式的な平面図である。 図1に示す液滴ノズルと第2の保護液ノズルとの位置関係を示す模式的な平面図である。 図1に示す基板処理装置によって行われる基板の第1処理例について説明するための図である。 図7Bに示す洗浄工程および第2カバー工程について説明するための図である(その1)。 図7Bに示す洗浄工程および第2カバー工程について説明するための図である(その2)。 基板の上面の各所において、噴射領域の位置の回転中心からの距離と、噴射領域に到達する保護液の流量との関係を概略的に示すグラフである。 実施例1および比較例1における、基板に供給される保護液の流量と基板のダメージ数との関係を示すグラフである。 図1に示す基板処理装置によって行われる基板の第2処理例について説明するための図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を模式的に示す図である。図2は、液滴ノズル5およびこれに関連する構成の平面図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック2(基板保持手段)と、スピンチャック2を取り囲む筒状のカップ3と、基板Wにリンス液を供給するリンス液ノズル4と、基板Wに処理液の液滴を衝突させる液滴ノズル5と、基板Wに保護液を供給する第1の保護液ノズル6と、基板Wに保護液を供給する第2の保護液ノズル7と、スピンチャック2などの基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置8とを備えている。
スピンチャック2は、基板Wを水平に保持して当該基板Wの回転中心C1を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転可能なスピンベース9と、このスピンベース9を回転軸線L1まわりに回転させるスピンモータ(回転手段)10とを含む。スピンチャック2は、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。基板処理装置1において、スピンチャック2は、挟持式のチャックである。
リンス液ノズル4は、リンス液バルブ11が介装されたリンス液供給管12に接続されている。リンス液バルブ11が開かれると、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル4からリンス液が吐出される。その一方で、リンス液バルブ11が閉じられると、リンス液ノズル4からのリンス液の吐出が停止される。リンス液ノズル4に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
液滴ノズル5は、インクジェット方式によって多数の液滴を噴射するインクジェットノズルである。液滴ノズル5は、処理液供給管13を介して処理液供給機構14に接続されている。さらに、液滴ノズル5は、排出バルブ16が介装された処理液排出管15に接続されている。処理液供給機構14は、たとえば、ポンプを含む。処理液供給機構14は、常時、所定圧力(たとえば、10MPa以下)で処理液を液滴ノズル5に供給している。液滴ノズル5に供給される処理液としては、たとえば、SC−1(NHOHとHとを含む混合液)などの薬液や、純水、炭酸水などが挙げられる。制御装置8は、処理液供給機構14を制御することにより、液滴ノズル5に供給される処理液の圧力を任意の圧力に変更することができる。
また、図1に示すように、液滴ノズル5は、液滴ノズル5の内部に配置された圧電素子(piezo element)17を含む。圧電素子17は、配線18を介して電圧印加機構19に接続されている。電圧印加機構19は、たとえば、インバータを含む。電圧印加機構19は、交流電圧を圧電素子17に印加する。交流電圧が圧電素子17に印加されると、印加された交流電圧の周波数に対応する周波数で圧電素子17が振動する。制御装置8は、電圧印加機構19を制御することにより、圧電素子17に印加される交流電圧の周波数を任意の周波数(たとえば、数百KHz〜数MHz)に変更することができる。したがって、圧電素子17の振動の周波数は、制御装置8によって制御される。
基板処理装置1は、ノズル移動機構20(ノズル移動手段)をさらに含む。ノズル移動機構20は、液滴ノズル5を先端に保持するノズルアーム21と、ノズルアーム21に接続された回動機構22と、回動機構22に接続された昇降機構23とを含む。回動機構22は、たとえば、モータを含む。昇降機構23は、たとえば、ボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するモータとを含む。回動機構22は、スピンチャック2の周囲に設けられた鉛直な回転軸線L2まわりにノズルアーム21を回動させる。液滴ノズル5は、ノズルアーム21とともに回転軸線L2まわりに回動する。これにより、液滴ノズル5が水平方向に移動する。一方、昇降機構23は、回動機構22を鉛直方向に昇降させる。液滴ノズル5およびノズルアーム21は、回動機構22とともに鉛直方向に昇降する。これにより、液滴ノズル5が鉛直方向に移動する。
回動機構22は、スピンチャック2の上方を含む水平面内で液滴ノズル5を水平に移動させる。図2に示すように、回動機構22は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面に沿って延びる円弧状の軌跡X1に沿って液滴ノズル5を水平に移動させる。軌跡X1は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面に垂直な垂直方向(鉛直方向)から見たときに基板Wの上面に重ならない2つの位置を結び、鉛直方向から見たときに基板Wの上面の回転中心C1を通る曲線である。液滴ノズル5がスピンチャック2に保持された基板Wの上方に位置する状態で、昇降機構23が液滴ノズル5を降下させると、液滴ノズル5が基板Wの上面に近接する。処理液の液滴を基板Wに衝突させるときは、液滴ノズル5が基板Wの上面に近接している状態で、制御装置8が、回動機構22を制御することにより、軌跡X1に沿って液滴ノズル5を水平に移動させる。
第1の保護液ノズル6および第2の保護液ノズル7は、図1に示すように、ノズルアーム21に取り付けられたノズルホルダ24に保持されている。回動機構22および昇降機構23の少なくとも一方がノズルアーム21を移動させると、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7は、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7の位置関係が一定に保たれた状態で移動する。したがって、回動機構22がノズルアーム21を回動させると、第1および第2の保護液ノズル6,7は、液滴ノズル5とともに軌跡X1に沿って水平に移動する。
第1の保護液ノズル6は、第1の保護液供給管25に接続されている。第2の保護液ノズル7は、第2の保護液供給管28に接続されている。第1の保護液供給管25には、第1の保護液バルブ(保護液供給手段)26が介装されている。第2の保護液供給管28には、第2の保護液バルブ(保護液供給手段)29が介装されている。第1および第2の保護液供給管25,28は、保護液供給源に接続された保護液供給集合管31に分岐接続されている。保護液供給集合管31には、流量調整バルブ(保護液供給手段)30が介装されている。
第1および第2の保護液バルブ26,29が開かれると、基板Wの上面に向けて第1および第2の保護液ノズル6,7の双方から保護液が吐出される。このとき、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の吐出流量は互いに等しくなっており、また、第1の保護液ノズル6のみから保護液が吐出される場合や、第2の保護液ノズル7のみから保護液が吐出される場合と比較して、その吐出流量は半分である。
また、第1の保護液ノズル6からの保護液の吐出流量、および第2の保護液ノズル7からの保護液の吐出流量は、制御装置8が流量調整バルブ30の開度を調整することにより変更可能である。
第1および第2の保護液ノズル6,7に供給される保護液としては、たとえば、SC−1などの薬液やリンス液が挙げられる。
図3は、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7の模式的な側面図である。図4は、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7の模式的な平面図である。図5は、液滴ノズル5と第1の保護液ノズル6との位置関係を示す模式的な平面図である。図6は、液滴ノズル5と第2の保護液ノズル7との位置関係を示す模式的な平面図である。図4において、液滴ノズル5は、その上面5bだけが示されており、図5および図6において、その下面5a(対向面)だけが示されている。また、図示の関係上、図5は、後述する噴射領域T1が基板Wの上面中心部にある場合を示し、図6は、後述する噴射領域T1が基板Wの上面周縁部にある場合を示す。以下では、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7について説明する。最初に、液滴ノズル5について説明する。
図3に示すように、液滴ノズル5は、処理液の液滴を噴射する本体36と、本体36を覆うカバー37と、カバー37によって覆われた圧電素子17と、本体36とカバー37との間に介在するシール38とを含む。本体36およびカバー37は、いずれも耐薬性を有する材料によって形成されている。本体36は、たとえば、石英によって形成されている。カバー37は、たとえば、フッ素系の樹脂によって形成されている。シール38は、たとえば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの弾性材料によって形成されている。本体36は、耐圧性を有している。本体36の一部と圧電素子17とは、カバー37の内部に収容されている。配線18の端部は、たとえば半田(solder)によって、カバー37の内部で圧電素子17に接続されている。カバー37の内部は、シール38によって密閉されている。
図3に示すように、本体36は、処理液が供給される供給口39と、供給口39に供給された処理液を排出する排出口40と、供給口39と排出口40とを接続する処理液流通路41と、処理液流通路41に接続された複数の噴射口42とを含む。処理液流通路41は、本体36の内部に設けられている。供給口39、排出口40、および噴射口42は、本体36の表面で開口している。供給口39および排出口40は、噴射口42よりも上方に位置している。本体36の下面5aは、たとえば、水平な平坦面であり、噴射口42は、本体36の下面5aで開口している。噴射口42は、たとえば数μm〜数十μmの直径を有する微細孔である。処理液供給管13および処理液排出管15は、それぞれ、供給口39および排出口40に接続されている。
図5および図6に示すように、複数の噴射口42は、複数(図5および図6では、たとえば4つ)の列Lを構成している。各列Lは、等間隔で配列された多数(たとえば10個以上)の噴射口42によって構成されている。各列Lは、水平な長手方向D5に沿って直線状に延びている。各列Lは、直線状に限らず、曲線状であってもよい。4つの列Lは、互いに平行である。4つの列Lのうちの2つの列Lは、長手方向D5に直交する水平な方向に隣接している。同様に、残り2つの列Lも、長手方向D5に直交する水平な方向に隣接している。隣接する2つの列Lは、対をなしている。対の2つの列Lにおいて、一方の列Lを構成する複数の噴射口42(図5および図6の噴射口42a)と、他方の列Lを構成する複数の噴射口42(図5および図6の噴射口42b)とは、長手方向D5にずれている。液滴ノズル5は、鉛直方向から見たときに、たとえば、4つの列Lが軌跡X1に交差するようにノズルアーム21に保持されている(図2を併せて参照)。
処理液供給機構14(図1参照)は、常時、高圧で処理液を液滴ノズル5に供給している。処理液供給管13を介して処理液供給機構14から供給口39に供給された処理液は、処理液流通路41に供給される。排出バルブ16が閉じられている状態では、処理液流通路41での処理液の圧力(液圧)が高い。そのため、排出バルブ16が閉じられている状態では、液圧によって各噴射口42から処理液が噴射される。さらに、排出バルブ16が閉じられている状態で、交流電圧が圧電素子17に印加されると、処理液流通路41を流れる処理液に圧電素子17の振動が付与され、各噴射口42から噴射される処理液が、この振動によって分断される。そのため、排出バルブ16が閉じられている状態で、交流電圧が圧電素子17に印加されると、処理液の液滴が各噴射口42から噴射される。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射される。
一方、排出バルブ16が開かれている状態では、処理液流通路41に供給された処理液が、排出口40から処理液排出管15に排出される。すなわち、排出バルブ16が開かれている状態では、処理液流通路41での液圧が十分に上昇していないため、処理液流通路41に供給された処理液は、微細孔である噴射口42から噴射されずに、排出口40から処理液排出管15に排出される。したがって、噴射口42からの処理液の吐出は、排出バルブ16の開閉により制御される。制御装置8は、液滴ノズル5を基板Wの処理に使用しない間(液滴ノズル5の待機中)は、排出バルブ16を開いている。そのため、液滴ノズル5の待機中であっても、液滴ノズル5の内部で処理液が流通している状態が維持される。
基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させるときは、制御装置8が、ノズル移動機構20(図1参照)によって液滴ノズル5を移動させることにより、液滴ノズル5の下面5a(本体36の下面5a)を基板Wの上面に近接させる。そして、制御装置8は、液滴ノズル5の下面5aが基板Wの上面に対向している状態で、排出バルブ16を閉じて処理液流通路41の圧力を上昇させるとともに、圧電素子17を駆動することにより、処理液流通路41内の処理液に振動を加える。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射される。そして、図3、図5および図6に示すように、液滴ノズル5から噴射された多数の液滴は、基板Wの上面内の2つの噴射領域T1に吹き付けられる。すなわち、一方の噴射領域T1は、一方の対の2つの列Lの直下の領域であり、この2つの列Lを構成する噴射口42から噴射された処理液の液滴は、一方の噴射領域T1に吹き付けられる。同様に、他方の噴射領域T1は、他方の対の2つの列Lの直下の領域であり、この2つの列Lを構成する噴射口42から噴射された処理液の液滴は、他方の噴射領域T1に吹き付けられる。図5および図6に示すように、各噴射領域T1は、長手方向D5に延びる平面視長方形状であり、2つの噴射領域T1は、平行である。
次に、図3〜図5を参照しつつ、第1の保護液ノズル6について説明する。
第1の保護液ノズル6は、保護液を吐出する第1の吐出口43を有している。第1の吐出口43は、液滴ノズル5の上端よりも下方に配置されている。第1の吐出口43はたとえば、円形である。第1の吐出口43は、円形に限らず、楕円形であってもよいし、スリット状であってもよい。
第1の保護液ノズル6は、吐出される保護液の基板Wの上面への着液状態が第1の着液状態となるように、保護液を吐出する。具体的に説明すると、第1の保護液ノズル6は、基板W上における第1の着液位置P1に向けて保護液を吐出する。第1の着液位置P1は、基板Wの回転方向Drに関して噴射領域T1よりも上流側の位置である。第1の着液位置P1から、噴射領域T1の中央位置Mまでの距離Dc(図5参照)は、たとえば15〜40mmの所定の距離である。第1の吐出口43は、第1の着液位置P1に向かう第1の吐出方向D1に保護液を吐出する。換言すると、第1の吐出口43からの保護液は、基板W上における第1の着液位置P1に対して第1の吐出方向D1に入射する。第1の吐出方向D1は、第1の吐出口43から第1の着液位置P1に向かう方向であるとともに、平面視において第1の吐出口43から液滴ノズル5に向かう方向である。第1の吐出方向D1は、長手方向D5に対して傾いている。平面視において長手方向D5と第1の吐出方向D1とがなす角度(入射角度)θH1(図5参照)は、たとえば、25〜35度の範囲内における所定の角度に設定されている。
図3に示すように、第1の吐出方向D1は、鉛直方向に対して噴射領域T1の方へ傾けられている。すなわち、第1の着液位置P1は、水平方向に関して第1の吐出口43よりも噴射領域T1側に配置されており、第1の吐出方向D1は、基板Wの上面に対して傾いている。基板Wの上面と第1の吐出方向D1とがなす角度(入射角度)θV1(図3参照)は、たとえば、10〜40度の範囲内における所定の角度に設定されている。
第2の保護液ノズル7は、吐出される保護液の基板Wの上面への着液状態が第2の着液状態となるように、保護液を吐出する。具体的に説明すると、基板W上における第2の着液位置P2に向けて保護液を吐出する。第2の着液位置P2は、基板Wの回転方向Drに関して噴射領域T1よりも上流側の位置である。第2の着液位置P2から中央位置Mまでの距離De(図6参照)は、たとえば15〜40mmの所定の距離である。
第2の吐出口44は、第2の着液位置P2に向かう第2の吐出方向D1に保護液を吐出する。換言すると、第2の吐出口44からの保護液は、基板W上における第2の着液位置P2に対して第2の吐出方向D2に入射する。第2の吐出方向D2は、第2の吐出口44から第2の着液位置P2に向かう方向であるとともに、平面視において第2の吐出口44から液滴ノズル5に向かう方向である。第2の吐出方向D2は、長手方向D5に対して傾いている。平面視において長手方向D5と第2の吐出方向D2とがなす角度(入射角度)θH2(図6参照)は、たとえば、25〜35度の範囲内における所定の角度に設定されている。
図3に示すように、第2の吐出方向D2は、鉛直方向に対して噴射領域T1の方へ傾けられている。すなわち、第2の着液位置P2は、水平方向に関して第2の吐出口44よりも噴射領域T1側に配置されており、第2の吐出方向D2は、基板Wの上面に対して傾いている。基板Wの上面と第2の吐出方向D2とがなす角度(入射角度)θV2(図3参照)は、たとえば、10〜40度の範囲内における所定の角度に設定されている。
ノズルホルダ27(図1参照)には、第1および第2の保護液ノズル6,7が取り付けられている。第1の保護液ノズル6の位置および姿勢(第1の位置および姿勢)は、噴射領域T1の位置が、基板Wの回転中心C1を含む部分である基板Wの上面中心部に配置されている状態で最適化されている。すなわち、第1の着液状態(第1の着液位置P1(図3参照)、角度θV1(図3参照)および角度θH1(図5参照))は、基板Wの上面中心部に噴射領域T1の位置が配置されている状態で、第1の保護液ノズル6のみから保護液が吐出される場合に、当該保護液が、最も効率的に噴射領域T1の全域に行き渡るような着液状態である。換言すると、第1の保護液ノズル6の第1の位置および姿勢は、基板Wの上面中心部に噴射領域T1の位置が配置されている状態で、第1の保護液ノズル6のみから保護液が吐出される場合に、当該保護液が、最も効率的に噴射領域T1の全域に行き渡るような位置および姿勢である。
また、第2の保護液ノズル7の位置および姿勢は、噴射領域T1の位置が、基板Wの上面周縁部に配置されている状態で最適化されている。すなわち、第2の着液状態(第2の着液位置P2(図3参照)、角度θV2(図3参照)および角度θH2(図6参照))は、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置されている状態で、第2の保護液ノズル7のみから保護液が吐出される場合に、当該保護液が、最も効率的に噴射領域T1の全域に行き渡るような着液状態である。換言すると、第2の保護液ノズル7の第2の位置および姿勢は、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置されている状態で、第2の保護液ノズル7のみから保護液が吐出される場合に、当該保護液が、最も効率的に噴射領域T1の全域に行き渡るような位置および姿勢である。
図3および図4に示すように、一実施形態に係る基板処理装置1では、第1および第2の保護液ノズル6,7の姿勢は互いに等しくされており、上下にずれて配置されている。換言すると、第1および第2の保護液ノズル6,7は、平面視で互いに重複している(図4では、図示の便宜上、若干ずれた状態を示している)。
すなわち、基板処理装置1では、第1の保護液ノズル6の吐出口43と第2の保護液ノズル7の吐出口44とが上下にずれており、その結果、第2の着液位置P2は、第1の着液位置P1よりも、噴射領域T1に近い位置になっている(Dc(図5参照)>De(図6参照)。第2の着液位置P2は、第1の吐出口43と第1の着液位置P1とを結ぶ線分の延長線上に配置されている。
また、第1の吐出方向D1は、第2の吐出方向D2と同方向である。すなわち、角度θV2(図3参照)が角度θV1(図3参照)と同じであり、角度θH2(図6参照)が角度θH1(図5参照)と同じである。
なお、第1および第2の保護液ノズル6,7の位置および姿勢が基板Wの上面中心部および上面周縁部のそれぞれで最適化されているのであれば、第1および第2の保護液ノズル6,7が、吐出口43,44の位置が異ならされているだけでなく、姿勢も互いに異ならせてもよい。この場合、第1の吐出方向D1も第2の吐出方向D2と異なるようになる。また、吐出される保護液の第1および第2の着液位置P1,P2が共通するように第1および第2の保護液ノズル6,7を設けることもできる。但し、この場合には、第1の吐出方向D1と第2の吐出方向D2とを互いに異ならせておく必要がある。
基板処理装置1を用いて実行される第1処理例(後述する)では、噴射領域T1の位置の移動(スキャン)に並行して、制御装置8は、第1および第2の保護液ノズル6,7から保護液を吐出させる。このときにおける、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の吐出流量は、互いに等しい(吐出流量比が1:1)。
図1、図3および図5を参照して、基板Wの上面中心部に噴射領域T1の位置が配置されている場合の保護液の流れについて説明する。また、第2の保護液ノズル7については、図6も併せて参照しつつ説明する。
制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、第1および第2の保護液ノズル6,7から保護液を吐出させる。第1の保護液ノズル6からの保護液は、第1の着液位置P1に着液し、第2の保護液ノズル7からの保護液は、第2の着液位置P2に着液する。回転状態の基板Wに保護液が供給されるので、基板Wに供給された保護液は、基板Wとの接触によって径方向(回転半径方向)に加速されるとともに基板Wの回転方向Dr(図6参照)に加速される。したがって、基板Wに供給された保護液は、各着液位置P1,P2から径方向に拡がりながら回転方向に流れる。第1および第2の吐出方向D1,D2が鉛直方向に傾いており、かつ基板Wの中心部では基板Wの回転速度が遅いので、基板Wの上面中心部に供給された保護液は、各着液位置P1,P2を頂点の1つとする三角形状を保ちながら広範囲に拡がる。
図1、図3および図6を参照して、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置されている場合の保護液の流れについて説明する。また、第1の保護液ノズル6については、図6も併せて参照しつつ説明する。
制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、第2の保護液ノズル7から保護液を吐出させる。第1の保護液ノズル6からの保護液は、第1の着液位置P1に着液し、第2の保護液ノズル7からの保護液は、第2の着液位置P2に着液する。回転状態の基板Wに保護液が供給されるので、基板Wに供給された保護液は、基板Wとの接触によって径方向(回転半径方向)に加速されるとともに基板Wの回転方向Drに加速される。したがって、基板Wに供給された保護液は、各着液位置P1,P2から径方向に拡がりながら回転方向に流れる。基板Wの周縁部では基板Wの回転速度が速いので、基板Wの上面周縁部に供給された保護液は、各着液位置P1,P2を頂点の1つとする角度の小さな鋭角三角形状(基板Wの周方向に沿うほぼ直線状)をなしつつ径方向に高速で拡がる。
図7A−7Eは、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1によって行われる基板Wの第1処理例について説明するための図である。図1および図7A−7Eを参照して第1処理例について説明する。
たとえば直径300mmの円形基板からなる未処理の基板Wは、搬送ロボット(図示しない)によって搬送され、デバイス形成面である表面をたとえば上に向けてスピンチャック2上に載置される。そして、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを保持させる。その後、制御装置8は、スピンモータ10を制御して、スピンチャック2に保持されている基板Wを回転させる。
次に、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wの上面を純水で覆う第1カバー工程が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ11を開いて、図7Aに示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に拡がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。そして、リンス液バルブ11が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置8は、リンス液バルブ11を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
次に、処理液の一例である炭酸水の液滴を液滴ノズル5から基板Wに供給して基板Wを洗浄する洗浄工程と、保護液の一例であるSC−1を基板Wに供給して基板Wの上面をSC−1で覆う第2カバー工程とが並行して行われる。つまり、制御装置8は、図7Bおよび図7Cに示すように、第1および第2の保護液ノズル6,7からSC−1を吐出させ、かつ液滴ノズル5から炭酸水の液滴を噴射させつつ、基板Wを一定速度で回転させながら、ノズル移動機構20によって、中心位置Pcと周縁位置Peとの間で液滴ノズル5を軌跡X1に沿って複数回往復させる(ハーフスキャン)。制御装置8が、基板Wを回転させながら、中心位置Pcと周縁位置Peとの間で液滴ノズル5を移動させるので、噴射領域T1によって基板Wの上面が走査され、噴射領域T1の位置が基板Wの上面全域を通過する。図2において実線で示すように、中心位置Pcは、平面視において液滴ノズル5と基板Wの上面中心部とが重なる位置であり、図2において二点鎖線で示すように、周縁位置Peは、平面視において液滴ノズル5と基板Wの上面周縁部とが重なる位置である。
洗浄工程および第2カバー工程の終了後、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wに付着している液体や異物を洗い流すリンス工程が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ11を開いて、図7Dに示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に拡がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wに付着している液体や異物が洗い流される。そして、リンス液バルブ11が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置8は、リンス液バルブ11を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンモータ10を制御して、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、図7Eに示すように、基板Wに付着している純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥工程が所定時間にわたって行われた後は、制御装置8は、スピンモータ10を制御して、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
図8A−8Cおよび図8D−8Eは、洗浄工程および第2カバー工程について説明するための図である。図1、図8A−8C、および図8D−8Eを参照して、洗浄工程および第2カバー工程について説明する。
制御装置8は、ノズル移動機構20を制御することにより、図8Aに示すように、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7を、基板Wの回転範囲外のホームポジション(図示しない)からスピンチャック2の上方に移動させ、かつ液滴ノズル5の下面5aを基板Wの上面周縁部に近接させる。すなわち、液滴ノズル5が周縁位置Peに配置される。
その後、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、第1および第2の保護液バルブ26,29を開いて、第1および2の保護液ノズル6,7の双方からSC−1を吐出させる。この実施例1では、流量調整バルブ30の開度は、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の合計吐出流量が、所定の少流量AF(たとえば約1.3リットル/分)となるように調整されている。このとき、第1および第2の保護液ノズル6,7から、それぞれ約0.65リットル/分の吐出流量のSC−1が吐出される。
また、制御装置8は、第1および第2の保護液ノズル6,7からのSC−1の吐出と並行して、液滴ノズル5から炭酸水の液滴を噴射させる。具体的には、制御装置8は、液滴ノズル5の下面5aが基板Wの上面に近接しており、第2の保護液ノズル7からSC−1が吐出されている状態で、排出バルブ16を閉じるとともに、電圧印加機構19によって所定の周波数の交流電圧を液滴ノズル5の圧電素子17に印加させる。多数の炭酸水の液滴が液滴ノズル5から下方に噴射されることにより、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置される。第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出されたSC−1は、基板Wの上面周縁部に配置される噴射領域T1の全域に行き渡りSC−1の液膜を形成し、このSC−1の液膜によって覆われている噴射領域T1に、液滴ノズル5から多数の炭酸水の液滴が吹き付けられる。
さらに、制御装置8は、図8Bに示すように、一定の回転速度で基板Wを回転させるとともに、一定の吐出流量(吐出流量AF)で第1および第2の保護液ノズル6,7からSC−1を吐出させながら、ノズル移動機構20によって、液滴ノズル5を基板Wの上面に沿って、中心位置Pcに向けて移動させる。これにより、噴射領域T1の位置が、SC−1の液膜によって覆われつつ、基板Wの上面を基板Wの回転中心C1に向けて移動させられる。
その後、図8Cに示すように、液滴ノズル5が中心位置Pcに達すると、制御装置8は回動機構22を制御してノズルアーム21の揺動方向を反転させる。そのため、液滴ノズル5は、中心位置Pcから周縁位置Peに向けて移動を開始させられる。これにより、液滴ノズル5から炭酸水の液滴が噴射され、かつ第1および第2の保護液ノズル6,7からSC−1が吐出されつつ、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7が周縁位置Peに向けて移動させられる。これにより、図8Dに示すように噴射領域T1の位置が、SC−1の液膜によって覆われつつ、基板Wの上面を基板Wの周縁に向けて移動させられる。
その後、図8Eに示すように、液滴ノズル5が周縁位置Peに達すると、制御装置8は回動機構22を制御してノズルアーム21の揺動方向を反転させる。これにより、液滴ノズル5は、周縁位置Peから中心位置Pcに向けて移動を開始させられる。
このように、制御装置8が、基板Wを回転させながら、中心位置Pcと周縁位置Peとの間で液滴ノズル5を移動させるので、噴射領域T1によって基板Wの上面が走査され、噴射領域T1の位置が基板Wの上面全域を通過する。
多数の炭酸水の液滴が液滴ノズル5から下方に噴射されることにより、SC−1の液膜によって覆われている噴射領域T1に多数の炭酸水の液滴が吹き付けられる。したがって、基板Wの上面全域に炭酸水の液滴が吹き付けられる。基板Wの上面に付着しているパーティクルなどの異物は、基板Wに対する液滴の衝突によって物理的に除去される。また、異物と基板Wとの結合力は、SC−1が基板Wを溶解させることにより弱められる。したがって、異物がより確実に除去される。また、基板Wの上面全域が液膜によって覆われている状態で、炭酸水の液滴が噴射領域T1に吹き付けられるので、基板Wに対する異物の再付着が抑制または防止される。このようにして、第2カバー工程および洗浄工程が行われる。
そして、ノズルアーム21の往復揺動動作が予め定める回数行われると、制御装置8は、排出バルブ16を開いて、液滴ノズル5からの液滴の噴射を停止させる。さらに、制御装置8は、開状態にある第1または第2の保護液バルブ26,29を閉じて、第1または第2の保護液ノズル6,7からのSC−1の吐出を停止させる。
図9Aは、基板Wの上面の各所において、噴射領域T1の位置の回転中心C1からの距離と、噴射領域T1に到達する保護液の流量との関係を概略的に示すグラフである。
第1の保護液ノズル6の位置および姿勢(第1の位置および姿勢)は、噴射領域T1の位置が基板Wの上面中心部に配置されている状態で最適化されている。この場合、噴射領域T1の位置が基板Wの上面中心部に配置されるときは、基板Wに供給された保護液は、噴射領域T1に効率良く供給される。しかしながら、噴射領域T1の位置の回転中心C1からの距離が大きくなるのに従って(噴射領域T1の位置が基板Wの周縁に向けて移動するのに従って)、噴射領域T1に到達される保護液の流量が反比例的に減少する。そして、噴射領域T1の位置が基板Wの上面周縁部に配置されるときには、僅かな流量の保護液しか噴射領域T1に達しない。この場合、基板Wの上面周縁部に配置された噴射領域T1に、第1の保護液ノズル6から供給される保護液を行き渡らせるためには、大流量の保護液を第1の保護液ノズル6から吐出させなければならない。
第2の保護液ノズル7の位置および姿勢(第2の位置および姿勢)は、噴射領域T1の位置が基板Wの上面周縁部に配置されている状態で最適化されている。この場合、噴射領域T1の位置が基板Wの上面周縁部に配置されるときは、基板Wに供給された保護液は、噴射領域T1に効率良く供給される。しかしながら、噴射領域T1の位置の回転中心C1からの距離が小さくなるのに従って(噴射領域T1の位置が基板Wの回転中心C1に向けて移動するのに従って)、噴射領域T1に到達される保護液の流量が反比例的に減少する。そして、噴射領域T1の位置が基板Wの上面中心部に配置されるときには、僅かな流量の保護液しか噴射領域T1に達しない。この場合、基板Wの上面中心部に配置された噴射領域T1に、第2の保護液ノズル7から供給される保護液を行き渡らせるためには、大流量の保護液を第2の保護液ノズル7から吐出させなければならない。
処理例1では、基板Wの上面中心部に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、第1の保護液ノズル6から吐出される保護液が有効に機能し、噴射領域T1に保護液が効率良く供給される。また、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、第2の保護液ノズル7から吐出される保護液が有効に機能し、噴射領域T1に保護液が効率良く供給される。
そして、基板Wの回転中心C1と上面周縁部との間の部分に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、各保護液ノズル6,7から吐出された保護液の噴射領域T1への供給効率は高くないもの、第1および第2の保護液ノズル6,7が互いに異なる位置で最適化されているために、少なくない合計供給流量が噴射領域T1に供給される。なお、噴射領域T1が基板W上面の中間部M1に配置されているときに、第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出されたSC−1が噴射領域T1に供給される効率が最も低い。
図9Bは、実施例1および比較例1における、基板Wに供給される保護液の流量と基板Wのダメージ数との関係を示すグラフである。
実施例1は、前述の処理例1のように、第1および第2の保護液ノズル6,7の双方から保護液を吐出させる第2カバー工程および洗浄工程を実行する場合を示し、比較例1は、第1の保護液ノズル6のみから保護液を吐出させつつ、第2カバー工程および洗浄工程を実行する場合を示す。また、基板Wの上面には、厚さ37nmのポリシリコンの薄膜が形成されているものとする。図9Bのダメージ数は、基板Wに供給される保護液の流量を除き、同じ条件で基板Wを処理したときの測定値である。具体的には、基板の回転速度は300rpmである。また、ノズルアーム21の1回の往復揺動動作(往復ハーフスキャン)に要する時間は15secであり、ハーフスキャンの実行回数は2回である。
比較例1では、基板Wに供給される保護液の流量が1.8リットル/分未満のときにダメージ数が多い。これに対し、実施例1では、基板Wに供給される保護液の流量が1.1リットル/分であってもダメージ数は極めて少ない。したがって、第1処理例の場合に、基板Wに供給される保護液の流量を増大させることなく、基板Wのダメージを抑制できる。
以上によりこの実施形態によれば、噴射位置T1の移動に並行して、第1および第2の保護液ノズル6,7の双方から保護液が吐出される。第1の保護液ノズル6の位置および姿勢は、噴射領域T1の位置が基板Wの上面中心部に配置されている状態で、第1の保護液ノズル6から吐出される保護液が噴射領域の全域に行き渡るように最適化されている。また、第2の保護液ノズル7の位置および姿勢は、噴射領域T1の位置が基板Wの上面周縁部に配置されている状態で、第2の保護液ノズル7から吐出される保護液が噴射領域の全域に行き渡るように最適化されている。
そのため、基板Wの上面中心部に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、第1の保護液ノズル6から吐出される保護液が、噴射領域T1に保護液が効率良く供給され、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、第2の保護液ノズル7から吐出される保護液が、噴射領域T1に効率良く供給される。また、基板Wの回転中心C1と上面周縁部との間の部分に噴射領域T1の位置が配置されている状態では、第1および第2の保護液ノズル6,7が互いに異なる位置で最適化されているために、少なくない合計供給流量が噴射領域T1に供給される。そのため、基板Wに供給される保護液の流量が少流量(流量AF)であっても、基板Wの回転中心C1と上面周縁部との間の部分に配置された噴射領域T1の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。
その結果、噴射領域T1の位置が基板Wの上面のいずれに配置される場合であっても、基板Wへの少流量の保護液の供給により、噴射領域T1の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。これにより、基板Wに供給される保護液の流量を増大させることなく、基板Wのダメージを抑制できる。
図10A−10Cは、基板処理装置1によって行われる基板Wの第2処理例について説明するための図である。
図10A−10Cは、第2処理例のうち、洗浄工程および第2カバー工程を示す。第2処理例のうち第1処理例と異なるのは、洗浄工程および第2カバー工程だけである。それ以外の工程は、第1処理例の場合と同様であるので説明を省略する。図1、図10A−10Cを参照して、第2処理例における洗浄工程および第2カバー工程について説明する。
第2処理例の洗浄工程および第2カバー工程が、第1処理例の洗浄工程および第2カバー工程と相違する点は、基板Wの上面内の噴射領域T1の位置変化に応じて、第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出される保護液の流量を変化させるようにした点である。より具体的には、噴射領域T1が基板Wの上面中心部に配置される場合よりも、基板Wの上面周縁部に配置される場合に、第1および第2の保護液ノズル6,7から、より大流量の保護液を吐出させる点が相違する。
制御装置8は、ノズル移動機構20を制御することにより、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7を、基板Wの回転範囲外のホームポジション(図示しない)からスピンチャック2の上方に移動させ、かつ液滴ノズル5の下面5aを基板Wの上面周縁部に近接させる。すなわち、液滴ノズル5が周縁位置Peに配置される。
その後、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、第1および第2の保護液バルブ26,29を開いて、第1および2の保護液ノズル6,7の双方からSC−1を吐出させる。前述のように、流量調整バルブ30の開度は、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の合計吐出流量が、所定の少流量AF1(たとえば約0.7リットル/分)となるように調整されている。具体的には、このとき第1および第2の保護液ノズル6,7から、それぞれ約0.35リットル/分の吐出流量のSC−1が吐出される。
また、制御装置8は、第1および第2の保護液ノズル6,7からのSC−1の吐出と並行して、液滴ノズル5から炭酸水の液滴を噴射させる。多数の炭酸水の液滴が液滴ノズル5から下方に噴射されることにより、基板Wの上面周縁部に噴射領域T1の位置が配置される。第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出されたSC−1は、基板Wの上面周縁部に配置される噴射領域T1の全域に行き渡りSC−1の液膜を形成し、このSC−1の液膜によって覆われている噴射領域T1に、液滴ノズル5から多数の炭酸水の液滴が吹き付けられる。
さらに、制御装置8は、図10Aに示すように、一定の回転速度で基板Wを回転させるとともに、ノズル移動機構20によって、液滴ノズル5を基板Wの上面に沿って、中心位置Pcに向けて移動させる。これにより、噴射領域T1の位置が、SC−1の液膜によって覆われつつ、基板Wの上面を基板Wの回転中心C1に向けて移動させられる。
噴射領域T1が基板Wの周縁から離反するのに従って、制御装置8は、調整バルブ30の開度を徐々拡大させ、第1の保護液ノズル6および第2の保護液ノズル7からの保護液の吐出流量を増大させる。
図10Bに示すように、液滴ノズル5が中間位置Pmを通過する状態(具体的には、噴射領域T1の中央位置Mが基板W上面の中間部M1を通過する状態)において、流量調整バルブ30の開度は、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の合計吐出流量が所定の第2流量AF2(たとえば約1.3リットル/分)となるように拡大させられている。このとき、第1および第2の保護液ノズル6,7から、それぞれ約0.65リットル/分の吐出流量のSC−1が吐出される。なお、基板Wの中間部M1は、基板Wの回転中心C1と基板W周縁との間の中間の部分(直径300mmの基板Wでは、回転中心C1から75mmの位置)である。
噴射領域T1が基板W上面の中間部M1を通過した後は、噴射領域T1が基板Wの回転中心C1に近づくのに従って、制御装置8は、調整バルブ30の開度を徐々に縮小させ、第1の保護液ノズル6および第2の保護液ノズル7からの保護液の吐出流量を低減させる。
図10Cに示すように、液滴ノズル5が中心位置Pcに達した状態では、流量調整バルブ30の開度は、第1および第2の保護液ノズル6,7からの保護液の合計吐出流量が所定の第3流量AF3(たとえば約0.7リットル/分)となるように縮小させられている。このとき、第1および第2の保護液ノズル6,7から、それぞれ約0.35リットル/分の吐出流量のSC−1が吐出される。
また、液滴ノズル5が中心位置Pcに達すると、制御装置8は回動機構22を制御してノズルアーム21の揺動方向を反転させる。そのため、液滴ノズル5は、中心位置Pcから周縁位置Peに向けて移動を開始させられる。これにより、液滴ノズル5から炭酸水の液滴が噴射され、かつ第1および第2の保護液ノズル6,7からSC−1が吐出されつつ、液滴ノズル5ならびに第1および第2の保護液ノズル6,7が周縁位置Peに向けて移動させられる。これにより、噴射領域T1の位置が、SC−1の液膜によって覆われつつ、基板Wの上面を基板Wの周縁に向けて移動させられる。噴射領域T1が基板W上面の中間部M1に達するまでは、噴射領域T1が基板Wの回転中心C1から離反するのに従って、制御装置8は、調整バルブ30の開度を徐々に縮小させ、噴射領域T1が基板W上面の中間部M1を通過した後は、噴射領域T1が基板Wの周縁に近づくのに従って、制御装置8は、調整バルブ30の開度を徐々に縮小させる。
そして、ノズルアーム21の往復揺動動作が予め定める回数行われると、制御装置8は、排出バルブ16を開いて、液滴ノズル5からの液滴の噴射を停止させる。さらに、制御装置8は、開状態にある第1または第2の保護液バルブ26,29を閉じて、第1または第2の保護液ノズル6,7からのSC−1の吐出を停止させる。
前述のように、噴射領域T1が基板W上面の中間部M1に配置されているときに、第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出されたSC−1が噴射領域T1に供給される効率が最も低い。このような位置に噴射領域T1が配置されている場合に第1または第2の保護液ノズル6,7からの吐出流量を最大の第2流量AF2(たとえば約1.3リットル/分)とするので、噴射領域T1が基板W上面の中間部M1に配置されている場合であっても、噴射領域T1の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。
また、噴射領域T1が基板Wの上面中心部および上面周縁部に配置されているときには、第1および第2の保護液ノズル6,7から吐出されたSC−1が効率良く噴射領域T1に供給されるので、第1または第2の保護液ノズル6,7からの吐出流量を低減させることができる。とくに、噴射領域T1が基板Wの上面中心部に配置されている場合には、第1および第2の保護液ノズル6,7からのSC−1が、より効率良く噴射領域T1に導かれるので、基板Wに供給されるSC−1の流量を第3流量AF3(たとえば約0.7リットル/分)に低減しても、噴射領域T1の全域を保護液の液膜によって覆うことができる。これにより、基板Wのダメージを抑制しつつ、基板Wに供給される保護液の総流量をより一層低減させることができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
また、第1の保護液ノズル6の位置および姿勢の最適化の基準を、噴射領域T1の位置が基板Wの上面中心部に配置されている状態とし、また、第2の保護液ノズル7の位置および姿勢の最適化の基準を、噴射領域T1の位置が基板Wの上面周縁部に配置されている状態とした。しかしながら、第1の保護液ノズル6の位置および姿勢の基準を、上面中心部を除く、中心部M1よりも内周側の所定位置にしてもよいし、第2の保護液ノズル7の位置および姿勢の基準を、上面中心部を除く、中心部M1よりも外周側の所定位置にしてもよい。
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、半導体ウエハなどの円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用ガラス基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 基板処理装置
2 スピンチャック(基板保持手段)
5 液滴ノズル
6 第1の保護液ノズル
7 第2の保護液ノズル
8 制御装置
10 スピンモータ(回転手段)
20 ノズル移動機構(ノズル移動手段)
26 第1の保護液バルブ(保護液供給手段)
29 第2の保護液バルブ(保護液供給手段)
30 流量調整バルブ(保護液供給手段)
P1 第1の着液位置
P2 第2の着液位置
T1 噴射領域
W 基板
θH1 角度(入射角度)
θH2 角度(入射角度)
θV1 角度(入射角度)
θV2 角度(入射角度)

Claims (11)

  1. 基板を水平に保持する基板保持手段と、
    前記基板保持手段によって保持された基板を、鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転手段と、
    前記基板保持手段によって保持された基板の上面内の噴射領域に吹き付けられる処理液の液滴を生成する液滴ノズルと、
    前記基板の上面に保護液を吐出するための第1の保護液ノズルと、
    前記基板の上面に保護液を吐出するための第2の保護液ノズルと、
    前記第1および第2の保護液ノズルに対し、保護液を供給するための保護液供給手段と、
    前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるためのノズル移動手段と、
    前記保護液供給手段を制御して、前記第1および第2保護ノズルの双方から前記基板の上面に保護液を吐出させ、前記基板の上面に保護液の液膜を形成して、前記保護液の液膜によって前記噴射領域が覆われている状態で、処理液の液滴を前記噴射領域に衝突させる保護液吐出制御手段と、
    前記第1および第2保護ノズルからの保護液の吐出に並行して、前記液滴ノズルと前記第1および第2の保護液ノズルとの位置関係を一定に保ちながら、前記基板の上面中心部と前記基板の上面周縁部との間で前記噴射領域が移動するように、前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるノズル移動制御手段とを含み、
    前記第1の保護液ノズルの前記液滴ノズルに対する位置および姿勢は、前記基板の上面において当該保護液ノズルからの保護液が着液する、前記液滴ノズルに対する相対的な着液位置、および当該保護液ノズルから吐出された保護液が前記着液位置に入射するときの、前記液滴ノズルに対する相対的な入射角度の少なくとも一方を含む着液状態が第1の着液状態となるような第1の位置および姿勢に設定されており、
    前記第2の保護液ノズルの前記液滴ノズルに対する位置および姿勢は、前記着液位置および前記入射角度の少なくとも一方を含む前記着液状態が、前記第1の着液状態と異なる第2の着液状態となるような第2の位置および姿勢に設定されている、基板処理装置。
  2. 前記第1の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部の位置に配置された状態で、前記第1の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢であり、
    前記第2の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面周縁部の位置に配置された状態で、前記第2の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢である、請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記保護液吐出制御手段は、前記保護液供給手段を制御して、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化によらずに一定流量の保護液を前記第1および第2の保護液ノズルから吐出させる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記保護液供給手段は、前記第1および第2の保護液ノズルに供給する保護液の流量を調整するための流量調整手段を含み、
    前記保護液吐出制御手段は、前記流量調整手段を制御する吐出流量制御手段を含み、
    前記吐出流量制御手段は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化に応じて、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を変化させる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  5. 前記吐出流量制御手段は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部に配置される場合よりも前記基板の上面周縁部に配置される場合に、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を多くさせる、請求項4に記載の基板処理装置。
  6. 前記第1および第2の保護液ノズルからの保護液の吐出流量比は1:1に設定されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  7. 基板を水平に保持する基板保持工程と、
    第1の保護液ノズルを、前記保持された基板の上面において当該保護液ノズルからの保護液が着液する、液滴ノズルに対する相対的な着液位置、および当該保護液ノズルから吐出された保護液が前記着液位置に入射するときの、前記液滴ノズルに対する相対的な入射角度の少なくとも一方を含む着液状態が第1の着液状態となるような第1の位置および姿勢に設ける工程と、
    第2の保護液ノズルを、前記着液位置および前記入射角度の少なくとも一方を含む前記着液状態が、前記第1の着液状態と異なる第2の着液状態となるような第2の位置および姿勢に設ける工程と、
    前記保持された基板を、鉛直な回転軸線まわりに回転させる回転工程と、
    前記保持された基板の上面内の噴射領域に、前記液滴ノズルから処理液の液滴を吹き付ける液滴供給工程と、
    前記第1および第2の保護液ノズルの双方から前記基板の上面に保護液を吐出し、前記保持された基板の上面に保護液の液膜を形成して、前記保護液の液膜によって前記噴射領域が覆われている状態で、前記処理液の液滴を前記噴射領域に衝突させる保護液吐出工程と、
    前記第1および第2保護ノズルからの保護液の吐出に並行して、前記液滴ノズルと前記第1および第2の保護液ノズルとの位置関係を一定に保ちながら、前記基板の上面中心部と前記基板の上面周縁部との間で前記噴射領域が移動するように、前記液滴ノズルならびに前記第1および第2の保護液ノズルを移動させるノズル移動工程とを含む、基板処理方法。
  8. 前記第1の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部の位置に配置された状態で、前記第1の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢であり、
    前記第2の位置および姿勢は、前記噴射領域が前記基板の上面周縁部の位置に配置された状態で、前記第2の保護液ノズルから吐出される保護液が前記噴射領域の全域に行き渡るような位置および姿勢である、請求項7に記載の基板処理方法。
  9. 前記保護液吐出工程は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化によらずに一定流量の保護液を前記第1および第2の保護液ノズルから吐出させる工程を含む、請求項7または8に記載の基板処理方法。
  10. 前記保護液吐出工程は、前記基板の上面内における前記噴射領域の位置変化に応じて、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を変化させる、請求項7または8に記載の基板処理方法。
  11. 前記保護液吐出工程は、前記噴射領域が前記基板の上面中心部に配置される場合よりも前記基板の上面周縁部に配置される場合に、前記第1および第2の保護液ノズルから吐出される保護液の流量を多くさせる、請求項10に記載の基板処理方法。
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