JP4441313B2 - 2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、抗がん剤や抗ウイルス薬として有用な2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの製造法に関する。
2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンは、それ自身制癌剤として有用であると同時に、他の医薬上有用な化合物の原料となるので、その需要は高まっている。
従来、2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの製造法としては、例えば、次の様な製造法が知られていた。
1) −パーフルオロアルキルウラシル誘導体をトリアルキルシリル化し、水酸基を保護した1−クロロ−2−デオキシリボースと触媒存在下、反応させ、次いで脱保護して目的物を得る方法。(特許文献1)
2) 水酸基を保護した2’−デオキシウリジン誘導体にN−トリフルオロメチル−N−ニトロソトリフルオロメタンスルホンアミドを反応させトリフルオロメチル化後、脱保護して目的物を得る方法。(特許文献2)
3) クレオシド−2’−デオキシリボース転移酵素を用いて、チミジンと5−トリフルオロメチルウラシルの核酸塩基交換反応を行い、目的物を得る方法。(特許文献3)
特開平2−289595号公報 特開昭63−145296号公報 特開平2−31686号公報
1)の方法では目的物を得る為に多工程を要し、且つ目的物であるβ体の選択性が低く、精製に多大な労力がかかり、製造コスト上問題が多い。また、2)の方法では原料である2’−デオキシウリジンが高価である事、且つ工程も長く収率もあまり高くない事から工業的製造法とは言い難い。3)の方法は酵素反応である為、1工程で目的物を得られ、且つβ体の選択性は100%であり非常に良いが、収率が低い。更に、2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンは弱アルカリ水溶液中での安定性が著しく乏しい(J.Pharm.Sci.,57,1117(1968))。その為、酵素反応を用いる場合は反応の転化率もさることながら、水中で反応することによる生成物の分解を抑制した効率的な2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの製造法の開発が望まれていた。
本発明は、従来技術の問題点に鑑み、2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの分解を抑え、簡便で効率的かつ高収率な酵素法による2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、酵素反応の転化率を上げる方法として、反応により生成するリン酸を不溶化することにより反応の平衡を目的物側に大きくずらす事が出来ることを見出した。更に、反応で同時に生成する2’−デオキシリボース−1−リン酸のカウンターカチオンがパーフルオロ基の加水分解を促進する事を突き止め、反応で生成するカウンターカチオンを酸のアニオンと反応させる事により目的物の分解を抑え高収率で2’−デオキシ−5−パーフルオロアルキルウリジンを製造出来ることを見出した。更に酸の加え方としてリン酸と不溶性の塩を形成すると同時に、酸成分を遊離する事が出来る金属塩を併用する事で滴下操作などの煩雑な操作も必要とせずに目的を達成できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)
Figure 0004441313
(式中、R1は炭素数1から4のパーフルオロアルキル基を示す。)で表される化合物と、一般式(2)
Figure 0004441313
(式中、R2はアルカリ金属カチオンまたは(R3)(R4)(R5)NHを示す。ただし、R3、R4およびR5はそれぞれ水素原子または炭素数1から8のアルキル基を示す。)で表される化合物を、ヌクレオシドホスホリラーゼ、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウム、および、マグネシウムイオンと酸のアニオンの塩または酸の存在下、水に不溶性のリン酸マグネシウムおよび一般式(2)中のR2の塩を生成させつつ反応させる、一般式(3)
Figure 0004441313
(式中、R1は前記と同義。)で表される化合物の製造方法に関するものである。
本発明によれば、従来の方法に比べ高選択的かつ高収率で2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンを製造する方法を提供することができる。
本発明の製造方法は、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を、ヌクレオシドホスホリラーゼの存在下、水に不溶性のリン酸塩および一般式(2)中のR2の塩を生成させつつ反応させる、一般式(3)で表される化合物の製造方法である。
一般式(1)および一般式(3)中のR1は、炭素数1から4のパーフルオロアルキル基を示す。
炭素数1から4のパーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロt−ブチル基等が挙げられる。
一般式(1)および一般式(3)で表される化合物のなかでも、R1がトリフルオロメチル基である化合物は、本発明の製造方法を適用するのに好ましい化合物である。
一般式(1)で表される化合物は、その一部を市販品として入手することができるが、公知の方法、例えば、特開昭60−94971号広報や特開平7−33750号広報等に記載の方法で容易に製造することができる。
一般式(2)中のR2は、アルカリ金属イオンまたは(R3)(R4)(R5)NHを示す。ただし、R3R4R5NH中のR3、R4およびR5は、それぞれ水素原子または炭素数1から8のアルキル基を示す。
一般式(2)で表される化合物のなかでも、R2におけるR3、R4およびR5がそれぞれ水素原子である化合物は、本発明の製造方法を適用するのに好ましい化合物である。
一般式(2)で表される化合物は、公知の方法、例えば、特開平13−026599記載の方法で容易に製造する事が出来る。すなわち3,5−ビス(p−クロロベンゾイル)−1−クロロ−2−デオキシリボースをリン酸によりアノマー位の置換反応後、脱保護して製造する事が出来る。
ヌクレオシドホスホリラーゼとしては、ペントース−1−リン酸とパーフルオロアルキルウラシルを反応させて相当するヌクレオシド化合物を生成できる活性を有するものであれば制限はない。
ヌクレオシドホスホリラーゼとしては、例えば、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)、ウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)、チミジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.4)、デオキシウリジンホスホリラーゼ(EC2.4.2.23)などが挙げられる。
ヌクレオシドホスホリラーゼは、Sigma社などの市販を入手することができるが、ヌクレオシドホスホリラーゼを有する微生物菌体及び菌体処理物またはそれらの固定化物なども使用できる。菌体処理物とは、例えばアセトン乾燥菌体や機械的破壊、超音波破砕、凍結融解処理、加圧減圧処理、浸透圧処理、自己消化、細胞壁分解処理、界面活性剤処理などにより調製した菌体破砕物などであり、また、必要に応じて硫安沈殿やアセトン沈殿、カラムクロマトグラフィーにより精製を重ねたものを用いても良い。
ヌクレオシドホスホリラーゼを有する微生物としては、例えば、ノカルディア(Nocardia)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、フラボバクテリウム(Flabobacterium)属、クルイヘラ(Kluyvere)属、ミコバクテリウム(Micobacterium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属、ミコプラナ(Micoplana)属、プロタミノバクター(Protaminobacter)属、キャンディダ(Candida)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ハフニア(Hafnia)属、プロテウス(Proteus)属、ビブリオ(Vibrio)属、スタフィロコッカス(Staphyrococcus)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ザルチナ(Sartina)属、プラノコッカス(Planococcus)属、エシェリシア(Escherichia)属、クルチア(Kurthia)属、ロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、サルモネラ(Salmonella)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アースロバクター属(Arthrobacter)属またはシュードノカルディア(Pseudonocardia)属に含まれる微生物株を好適な例として挙げることができる。
近年の分子生物学および遺伝子工学の進歩により、上述の微生物株のヌクレオシドホスホリラーゼの分子生物学的な性質やアミノ酸配列等を解析することにより、該蛋白質の遺伝子を該微生物株より取得し、該遺伝子および発現に必要な制御領域が挿入された組換えプラスミドを構築し、これを任意の宿主に導入し、該蛋白質を発現させた遺伝子組換え菌を作出することが可能となり、かつ、比較的容易にもなった。かかる技術水準に鑑み、このようなヌクレオシドホスホリラーゼの遺伝子を任意の宿主に導入した遺伝子組換え菌も本発明のヌクレオシドホスホリラーゼを発現している微生物に包含されるものとする。
ここでいう発現に必要な制御領域とは、プロモーター配列(転写を制御するオペレーター配列を含む)・リボゾーム結合配列(SD配列)・転写終結配列等を示している。プロモーター配列の具体例としては、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター・ラクトースオペロンのlacプロモーター・ラムダファージ由来のPLプロモーター及びPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)・アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)・中性プロテアーゼプロモーター(npr)・α−アミラーゼプロモーター(amy)等が挙げられる。また、tacプロモーターのように独自に改変・設計された配列も利用できる。リボゾーム結合配列としては、大腸菌由来または枯草菌由来の配列が挙げられるが、大腸菌や枯草菌等の所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。たとえば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列が4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作成してこれを利用してもよい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、ρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター・trpオペロンターミネーター等が利用できる。これら制御領域の組換えプラスミド上での配列順序は、5’末端側上流からプロモーター配列、リボゾーム結合配列、ヌクレオシドホスホリラーゼをコードする遺伝子、転写終結配列の順に並ぶことが望ましい。
ここでいうプラスミドの具体例としては、大腸菌中での自律複製可能な領域を有しているpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pKK223−3、pSC101や、枯草菌中での自律複製可能な領域を有しているpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1、φ105等をベクターとして利用することができる。また、2種類以上の宿主内での自律複製が可能なプラスミドの例として、pHV14、TRp7、YEp7及びpBS7をベクターとして利用することができる。
ここでいう任意の宿主には、大腸菌(Escherichia coli)および枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母および放線菌等の微生物菌株が挙げられる。
ヌクレオシドホスホリラーゼの使用量に制限は設けないが、通常、24時間以内に反応が終了する量を使用する。
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を、ヌクレオシドホスホリラーゼの存在下で反応させると、一般式(3)で表される化合物の生成に伴ってリン酸イオンが生成することになるが、本発明においては、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンとリン酸イオンを反応させて水に不溶性のリン酸塩を生成させるとともに、反応系内に存在するR2と酸のアニオンを反応させてR2と酸のアニオンとの塩を生成させつつ、一般式(3)で表される化合物を生成させる。
なお、水に不溶性のリン酸塩とは、その塩の水に対する溶解度が25℃で0.2%以下となるリン酸塩を意味するものと定義する。
前記の水に不溶性のリン酸塩およびR2の塩の生成は、例えば、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩を用いるか、または水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と酸を用いることにより行うことができる。
水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化コバルト、酸化コバルト、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等のイオンが挙げられるが、これらの中でも水酸化マグネシウムは好ましい。
水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩としては、例えば、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属イオンの酢酸塩、塩化物塩、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられる。水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩をより具体的に例示すれば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化コバルト、酢酸コバルト、炭酸リチウムなどが挙げられる。これらのなかでも酢酸マグネシウムは好ましい。
酸としては、R2と塩を形成するものであれば特に限定はないが、無機酸として、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、硝酸、有機酸として、例えば、酢酸、炭酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、安息香酸等が挙げられる。これらの酸のなかでも酢酸は好ましい。
一般式(2)で表される化合物の使用量は一般式(1)で表される化合物に対し1当量以上、好ましくは1から2当量の間である。
水に不溶性のリン酸塩および一般式(2)中のR2の塩を生成させつつ反応させるに際して、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩を使用する場合、これらの塩の合計使用量は、リン酸の場合、反応系内のリン酸イオンすべてを水に不溶性のリン酸塩に変換できる量以上であればよく、R2に対しては、酸のアニオンがR2に対し0.5から1.1当量になるように加えれば良い。水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩および水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩の金属カチオンが一価のカチオンである場合は、リン酸イオンに対し3当量以上、好ましくは3から5当量となる量を、該金属カチオンが2価のカチオンである場合は、リン酸イオンに対し1.5当量以上、好ましくは1.5から3当量となる量を使用することができる。
例えば、一般式(2)で表される化合物として2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩を使用し、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩および水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンとして、水酸化マグネシウムおよび酢酸マグネシウムをそれぞれ使用する場合、水酸化マグネシウムを2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩に対し0.5当量、酢酸マグネシウムを2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩に対し1当量使用することは好ましく、反応系内のリン酸イオンおよびR2からリン酸マグネシウムおよび酢酸アンモニウムをそれぞれ生成させることができる。
水に不溶性のリン酸塩および一般式(2)中のR2の塩を生成させつつ反応させるに際して、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と酸を使用する場合、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩の使用量は、反応系内のリン酸イオンのすべてを水に不溶性のリン酸塩に変換できる量以上であればよい。酸の使用量はR2に対し、0.5から1.1当量使用すればよい。水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩の金属カチオンが一価のカチオンである場合は、リン酸イオンに対し3当量以上、好ましくは3から5当量となる量を、該金属カチオンが2価のカチオンである場合は、リン酸イオンに対し1.5当量以上、好ましくは1.5から3当量となる量を使用することができる。
R2をR2と酸のアニオンとの塩を生成させるために使用する酸は、酸のアニオンが一価のアニオンである場合、反応系内のR2に対して0.5から1.1当量、酸のアニオンが二価のアニオンである場合、反応系内のR2に対して0.25から0.55当量となる量を使用することができる。
例えば、一般式(2)で表される化合物として2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩を使用し、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩および酸として、水酸化マグネシウムおよび酢酸をそれぞれ使用する場合、水酸化マグネシウムを1.5当量、酢酸を2当量使用することは好ましく、反応系内のリン酸イオンおよびアンモニウムイオンからリン酸マグネシウムおよび酢酸アンモニウムを生成させることができる。
反応は水溶媒中で行うが、一般式(1)で表される化合物の反応混合物中(反応系内)の濃度は、通常、1から20wt%、好ましくは3から15wt%である。
反応温度は酵素を失活させず、生成物の分解を起こさない温度であれば制限されないが、通常、10から60℃、好ましくは20から50℃の範囲である。
本発明の製造方法の実施態様として好ましい具体例を示すとすれば、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと酸のアニオンとの塩を用いる場合、これらの塩、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物および水との混合物にヌクレオシドホスホリラーゼを添加する方法、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩と酸を用いる場合、水に不溶性のリン酸塩を形成しうる金属カチオンと水酸化物アニオンまたは酸化物アニオンとの塩、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、ヌクレオシドホスホリラーゼおよび水との混合物に対して酸を滴下しながら添加する方法が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物は、分液、濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは晶析などの公知の精製方法により反応混合物から分離、精製することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例及び比較例のHPLC条件
カラム:YMC AM−313(250mm×直径6mm)
流速:1mL/min.
カラム温度:40℃
検出波長:254nm
移動相:20mmolの酢酸アンモニウム水溶液(2.7L)に酢酸を加えpHを3.5に調整した後、MeOH(0.3L)を加え混和し、脱気する。
内標準物質:ニコチン酸
実施例1
2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの製造
2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩20g、水酸化マグネシウム1.82g、酢酸マグネシウム4水和物20g、5−トリフルオロメチルウラシル13.2gを88gの水に懸濁し、Sigma社より入手したチミジンホスフォリラーゼ2gを加え、30℃で5時間反応する。この際、反応初期のpHは8.3、反応終了後のpHは6.0であった。反応後、反応液をHPLCで分析した所、目的物である2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの収率は5−トリフルオロメチルウラシルに対し97%であった。
実施例2
2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの製造
2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩20g、水酸化マグネシウム8g、5−トリフルオロメチルウラシル13.2gを88gの水に懸濁し、Sigma社より入手したチミジンホスフォリラーゼ2gを加え、酢酸9.7gをpHを確認しながら30℃で4hrかけて滴下し、その後3時間反応する。この際、反応マスのpHは、反応初期が8.5、反応終了時のpHは6.0であった。反応後、反応液をHPLCで分析した所、目的物である2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの収率は5−トリフルオロメチルウラシルに対し93%であった。
比較例1
2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの製造
2−デオキシリボース−1−リン酸・2アンモニウム塩20g、水酸化マグネシウム8g、5−トリフルオロメチルウラシル13.2gを88gの水に懸濁し、Sigma社より入手したチミジンホスフォリラーゼ2gを加え、30℃で7時間反応する。この際、反応マスのpHは、反応初期が8.3、反応終了時のpHは8.3であった。反応後、反応液をHPLCで分析した所、目的物である2’−デオキシ−5−トリフルオロメチルウリジンの収率は5−トリフルオロメチルウラシルに対し76%であった。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004441313



    (式中、R1は炭素数1から4のパーフルオロアルキル基を示す。)で表される化合物と、一般式(2)
    Figure 0004441313

    (式中、R2はアルカリ金属カチオンまたは(R3)(R4)(R5)NHを示す。ただし、R3、R4およびR5はそれぞれ水素原子または炭素数1から8のアルキル基を示す。)で表される化合物を、ヌクレオシドホスホリラーゼ、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウム、および、マグネシウムイオンと酸のアニオンの塩または酸の存在下、水に不溶性のリン酸マグネシウムおよび一般式(2)中のR2の塩を生成させつつ反応させる、一般式(3)
    Figure 0004441313

    (式中、R1は前記と同義。)で表される化合物の製造方法。
  2. 前記水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムとして水酸化マグネシウム、前記マグネシウムイオンと酸のアニオンの塩として酢酸マグネシウムを用いる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムとして水酸化マグネシウム、前記酸として酢酸を用いる、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記マグネシウムイオンと酸のアニオンの塩または酸をR2に対し、0.5から1.1モル当量使用する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記ヌクレオシドホスホリラーゼは、チミジンホスホリラーゼである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法
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