JP4440450B2 - 土砂輸送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気圧送船内のホッパに投入された土砂を圧送管路に輸送する土砂輸送装置に係り、特に含水比の高い軟弱な粘性土である浚渫土を輸送する土砂輸送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、航路の増深などを目的とする浚渫作業において発生する浚渫土は、埋立工事などに利用されている。
【0003】
この埋立工事では、土運船により搬送された土砂が、空気圧送船内のホッパに投入され、土砂輸送装置により、打設箇所(埋立領域)まで布設された圧送管路の入口まで輸送され、その圧送管路を通して圧縮空気で圧送されて、打設されている。
【0004】
従来の土砂輸送装置としては、ロータリーフィーダタイプや加圧ポンプ付スクリューコンベアタイプなどが知られている。
【0005】
図2にロータリーフィーダタイプの土砂輸送装置の概略図を示す。
【0006】
図2に示すように、ロータリーフィーダタイプの土砂輸送装置は、ホッパ51と圧送管路53との間に上下一列に並べて設けられており、回転軸の回りに適宜間隔を隔てて配置されたフィンにより区画形成された土砂収容室55を有する大径のフィーダ57と、このフィーダ57を覆うように形成されたケーシング59とから主に構成されている。
【0007】
この土砂輸送装置で土砂を輸送するに際しては、フィーダ57を回転させ、上側で土砂収容室55の中に土砂dを導入した後、その土砂dをフィーダ57とケーシング59で覆って移動させ、下側でその土砂dを圧送管路53に順次排出することにより、ホッパ51に投入された土砂dを圧送管路53に輸送している。また、図3に加圧ポンプ付スクリューコンベアタイプの土砂輸送装置の概略図を示す。
【0008】
図3に示すように、加圧ポンプ付スクリューコンベアタイプの土砂輸送装置は、一端部がホッパ61内の下部に挿入されると共に他端部が圧送管路63に接続されたスクリューコンベア65と、このスクリューコンベア65に搬送された土砂dを圧送管路63内に押し出すと共にスクリューコンベア65内への圧縮空気eの進入を防ぐ加圧ポンプ67とから主に構成されている。
【0009】
この土砂輸送装置で土砂を輸送するに際しては、ホッパ61からスクリューコンベア65内に土砂dを導入し、スクリュを回転させてこの土砂dを圧送管路63側へと搬送した後、加圧ポンプ67を通して圧送管路63に輸送している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示したロータリーフィーダタイプの土砂輸送装置は、止水性(密閉性)を高めるために、フィーダ57とケーシング59との隙間が狭く形成されているが、フィーダ57の外径に対して隙間が極端に小さいので、隙間を最適に形成することが困難である。さらに、フィーダ57の下部で土砂dを圧送管路53に排出した後の回転により、圧縮空気eが土砂収容室55を通してホッパ51に流れ込んでしまい、連続性が無く、圧力保持性が低いので、エネルギー損失が大きいという問題があった。
【0011】
また、図3に示した加圧ポンプ付スクリューコンベアタイプの土砂輸送装置は、スクリューコンベア65内に連通した空間を有するので、加圧ポンプ67で圧縮空気eの流出を防止しなければならず、さらに土砂dの中に塊状のものが混入していると、土砂eが加圧ポンプ67を通らないために輸送ができなくなるという問題があった。
【0012】
このように、圧縮空気eで土砂dを圧送する場合、ホッパと圧送管路との間に何らかの仕切り兼供給装置が必要である。すなわち土砂輸送装置としては、止水性(密閉性)、圧力保持機能、ポンプ機能、及び連続性の機能を備えていることが要求されるが、従来はこれら全ての機能を兼ね備えた土砂輸送装置が存在しなかった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、止水性(密閉性)、圧力保持機能、ポンプ機能、及び連続性を兼ね備えた土砂輸送装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、浚渫された土砂等が投入されるホッパとその土砂を圧縮空気にて圧送する圧送管路を結び、そのホッパ内の土砂を高圧に保持された圧送管路に輸送するための土砂輸送装置であって、ホッパと圧送管路との間にスクリューコンベアを多段に接続すると共にこれらスクリューコンベア相互を結ぶ搬出端と搬入端との間に止水管路を介設した土砂輸送装置において、ホッパの搬出口に斜め上方に土砂を搬送する第1のスクリューコンベアを接続し、その第1のスクリューコンベアの搬出端に、止水管路を介して斜め上方に土砂を搬送する第2のスクリューコンベアを接続し、その第2のスクリューコンベアの搬出端に圧送管路を接続し、上記第1と第2のスクリューコンベアのケーシング径を同じに形成し、その第1のスクリューコンベアのスクリュの回転数を第2のスクリューコンベアのスクリュの回転数より高く設定し、止水管路に搬送土砂による止水層を形成したものである。
【0015】
上記構成によれば、止水管路内に充填された土砂が、スクリューコンベア間をシールすると共に加圧され、スクリューコンベア間の圧力差が維持される。また、第1及び第2のスクリューコンベアの土砂搬送量の差異に相当する土砂が、止水管路内に充填されて止水層が形成される。
【0016】
請求項2の発明は、上記止水管路を略垂直としたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1に本発明にかかる土砂輸送装置の概略図を示す。
【0022】
図1に示すように、本発明にかかる土砂輸送装置は、土運船により搬送された土砂dが投入される、空気圧送船内に設けられたホッパ1と、内部に圧縮空気eが導入されて土砂dを打設箇所(埋立領域)まで圧送する圧送管路3との間を結んで設けられている。
【0023】
そして、この土砂輸送装置は、ホッパ1の搬出口に接続されたホッパ側スクリューコンベア10と、圧送管路3に接続された圧送管路側スクリューコンベア20とが、内部に土砂が充填されて止水層が形成される止水管路30を挟んで直列に設けられて主に構成されている。
【0024】
ホッパ側スクリューコンベア10は、一端部に形成された土砂搬入口14が下方に傾斜されてホッパ1の下部に形成された搬出口に挿入されていると共に、他端部に形成された土砂搬出口15が止水管路30の上側開口端31とほぼ直角に接続されている。また、圧送管路側スクリューコンベア20は、一端部に形成された土砂搬入口24が下方に傾斜されて止水管路30の下側開口端32とほぼ直角に接続されていると共に、他端部に形成された土砂搬出口25が圧送管路3に接続されている。この圧送管路側スクリューコンベア20の傾斜についてさらに言えば、止水管路30の圧力PA が土砂の充填により上昇しやすくするために、止水管路30は略垂直に設けられていると共に、土砂搬出口25の高さよりも止水管路30の下側開口端32の高さが低くなる角度に傾斜されている。
【0025】
これら2台のスクリューコンベア10,20は、同径のケーシング12,22内に、それぞれ、螺旋状に形成されたスクリュ11,21が回転自在に支持されて設けられており、そのスクリュ11,21の軸の上部に、スクリュ11,21を所定の速度で回転させる駆動手段としてのモータ13,23を備えている。
【0026】
止水管路30は、ホッパ側スクリューコンベア10内と圧送管路側スクリューコンベア20内との間を、内部に充填される土砂でシールできるように、輸送される土砂の粘性や粒子の大きさに応じて、その内径及び長さが形成されている。また、ホッパ1の下部には、土砂dの投入により発生する圧力P0 を検出して信号を出力する圧力センサ41が設けられており、止水管路30の下部には、土砂の充填により発生する圧力PA を検出して信号を出力する圧力センサ42が設けられており、圧送管路3には、圧縮空気eの圧力に依存する圧力P2 を検出して信号を出力する圧力センサ43が設けられている。
【0027】
さらに、ホッパ側スクリューコンベア10のモータ13と、圧送管路側スクリューコンベア20のモータ23との間には、それぞれの圧力センサ41,42,43と接続され、これら圧力センサ41,42,43から入力された信号により各モータ13,23の回転数N1 ,N2 を制御して止水管路30内に土砂を充填するための制御手段としての制御盤40が設けられている。
【0028】
この制御盤40は、圧力P0 が一定以上あり、かつ圧力PA が圧力P0 よりも小さければP0 <PA となるまでホッパ側スクリューコンベア10のスクリュ11を所定の回転数N1 で回転させ、さらに、圧力PA が所定値を越えていれば圧送管路側スクリューコンベア20のスクリュ21をN1 >N2 となる回転数N2 で回転させる。すなわち、圧力P0 、P1 、P2 がP0 <PA <P2 となる関係を維持するように、各モータ13,23に信号を出力するようになっている。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
この土砂輸送装置で土砂を輸送するに際しては、運転開始時には、ホッパ1内に土砂dが投入される。これにより圧力P0 が発生する。この圧力P0 の信号が制御盤40に入力されると、制御盤40は、圧力PA が圧力P0 よりも大きくなり一定値(制御上のある設定値)を越えるところまでホッパ側スクリューコンベア10のスクリュ11を回転数N1 で回転させて、土砂を搬送させる。そして、圧力PA が一定値を越えると圧送管路側スクリューコンベア20のスクリュ21を所定の回転数N2 (N1>N2)で回転させて、土砂を搬送する。
【0031】
これにより、止水管路30内に確実に土砂が充填されて止水層が形成されると共に、止水管路30内の圧力PA が所定の範囲に確保されるので、止水性(密閉性)が得られる。
【0032】
また、定常運転時には、ホッパ側スクリューコンベア10のスクリュ11と圧送管路側スクリューコンベア20のスクリュ21は、N1 >N2 となる回転数N1 ,N2 で回転され、P0 <PA <P2 となる圧力関係が維持される。そして、この状態で、ホッパ側スクリューコンベア10により止水管路30内に充填された土砂が、圧送管路側スクリューコンベア20により圧送管路3に順次輸送される。
【0033】
これにより、圧送管路3の入口付近の圧力P2 が圧送管路側スクリューコンベア20を通って止水管路30内に流出せず、圧力P2 が保持され、エネルギーが損失しない。
【0034】
そして、圧送管路3内に輸送された土砂は、圧縮空気eにより、この圧送管路3を通して打設箇所まで圧送される。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、止水性(密閉性)、圧力保持機能、ポンプ機能、連続性の機能を兼ね備えた土砂輸送装置を提供できる。
【0036】
さらに、本発明は、構造を簡略化できるので、低コスト化が図れる。
【0037】
また、本発明は、圧力保持機能及びポンプ機能を備えているので、従来の土砂輸送装置に設けられているような加圧ポンプを必要とせず、土砂に塊状のものが含まれていても輸送することができる。
【0038】
尚、本実施の形態にあっては、各スクリューコンベア10,20の土砂搬送量をスクリュ11,21の回転数N1 ,N2 で制御して、止水管路30内に土砂を充填するようにしたが、スクリュ11,21の駆動手段として回転速度が可変のモータを用い、このモータに回転速度を検出して制御盤40に信号を出力する速度センサを設け、スクリュ11,21の回転速度を制御して、止水管路30内に土砂を充填するようにしても良い。
【0039】
また、第1と第2のスクリューコンベアのケーシング径が異なる場合でも同様の考え方より、第1のスクリューコンベアの搬送量と第2のスクリューコンベアの搬送量を制御することにより、同様の効果が得られることは容易に想像できる。
【0040】
また、本実施の形態ではスクリューコンベア10,20を2台直列に設けたが、3台以上直列に設けることにより、さらに止水性(密閉性)を高めることができることは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、以下に示すような優れた効果を発揮する。
(1)止水性(密閉性)、圧力保持機能、ポンプ機能、連続性の機能を兼ね備えた土砂輸送装置を提供できる。
(2)構造を簡略化できるので、低コスト化が図れる。
(3)圧力保持機能及びポンプ機能を備えているので、従来の土砂輸送装置に設けられているような加圧ポンプを必要とせず、土砂に塊状のものが含まれていても輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す土砂輸送装置の概略図である。
【図2】従来の土砂輸送装置の概略図である。
【図3】従来の土砂輸送装置の概略図である。
【符号の説明】
1 ホッパ
3 圧送管路
10,20 スクリューコンベア
11,21 スクリュ
12,22 ケーシング
13,23 モータ(駆動手段)
30 止水管路
40 制御盤(制御手段)
41,42,43 圧力センサ
Claims (2)
- 浚渫された土砂等が投入されるホッパとその土砂を圧縮空気にて圧送する圧送管路を結び、そのホッパ内の土砂を高圧に保持された圧送管路に輸送するための土砂輸送装置であって、ホッパと圧送管路との間にスクリューコンベアを多段に接続すると共にこれらスクリューコンベア相互を結ぶ搬出端と搬入端との間に止水管路を介設した土砂輸送装置において、ホッパの搬出口に斜め上方に土砂を搬送する第1のスクリューコンベアを接続し、その第1のスクリューコンベアの搬出端に、止水管路を介して斜め上方に土砂を搬送する第2のスクリューコンベアを接続し、その第2のスクリューコンベアの搬出端に圧送管路を接続し、上記第1と第2のスクリューコンベアのケーシング径を同じに形成し、その第1のスクリューコンベアのスクリュの回転数を第2のスクリューコンベアのスクリュの回転数より高く設定し、止水管路に搬送土砂による止水層を形成したことを特徴とする土砂輸送装置。
- 上記止水管路を略垂直とした請求項1記載の土砂輸送装置。
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