JP4438852B2 - 電子回路 - Google Patents

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Description

本発明は、電子回路、例えば、トランジスタのアーリー効果を補正する機能を備えた電子回路に関するものである。
トランジスタのコレクタ電流は、便宜的に電流源として考えるが、実際には図7のIC−VCE特性に示すように有限のインピーダンスを持っている。なお、図7において、ICはトランジスタのコレクタ電流、VCEはトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧、IB1,IB2,IB3はベース電流、VBE1,VBE2,VBE3はベース−エミッタ間電圧をそれぞれ表している。
トランジスタのこのような特性はアーリー効果と呼ばれ、バイポーラ型トランジスタの場合VCEが増えるとコレクタ−ベース間の空乏層が広がり、実効的なベース幅が変調されるために起こる。同様の現象は接合型やMOS型のFET(電界効果トランジスタ)においても起こる。これは飽和領域におけるチャンネルとドレイン間の空乏層の広がりによるものと考えられる。
図7に示すように、IC−VCE特性の直線部をのばすと、IBに殆ど依存せずに一点でX軸に集まる。これが図7のVAとして示され、アーリー電圧と称される。
回路設計からいえば、アーリー電圧は高い方が都合がよい。アーリー電圧が低いとコレクタ(又はドレイン)電流が定電流源と見なされず、利得の低下やオフセット特性の劣化を招くからである。しかしデバイス構造の微細化に伴い、アーリー電圧は低下する傾向にある。微細化やデバイスの高速化のためにはベース幅を薄く作らなければならず、同じ空乏層の広がりでも相対的なベース幅の変化が大きくなる、等の理由である。
またバイポーラ型集積回路(IC)についていえば、基本デバイスであるNPN型トランジスタはそれ程でもないが、PNP型トランジスタの方がアーリー電圧を高く作ることが難しい。PNP型トランジスタの構造は3種類に分類できる。サブストレート(基板)PNP型、ラテラル(横型)PNP型、バーティカル(縦型)PNP型トランジスタである。前者の2種は標準的なバイポーラ型ICに特に追加工程なしに生成できるため広く使われる。後者は追加工程が必要なため、特別な理由により高性能なPNP型トランジスタが必要な場合のみ使われる。
以下、ラテラルPNP型トランジスタやバーティカルPNPトランジスタのアーリー電圧が高く作りにくい理由について簡単に説明する。サブストレートPNPではアーリー電圧VAを問題にすることはほとんどない。これはエミッタフォロワとしての使い方しかできないためである。
ラテラルPNP型トランジスタは図8のような構造を持つ。図8において、10はp基板、11はn+埋め込み層、12はエピタキシャル領域(Epi)、13はエミッタ領域(E)、14はベース領域(B)、15はコレクタ(C)領域をそれぞれ示している。
埋め込み層11は、p基板10に形成されているn+領域である。エピタキシャル領域12は、埋め込み層11の上にエピタキシャル成長により形成したn-領域である。
エミッタ領域13およびコレクタ領域15は、それぞれp+領域により構成され、ベース領域14はエピタキシャル領域12に形成されており、n-領域により構成されている。
エミッタ13とコレクタ15はNPN型トランジスタのベースの領域を使い、ベース14はNPN型トランジスタのコレクタ領域に対応するエピタキシャル領域12を使う。そのためエピタキシャル領域12を使うベース14の方が、コレクタ15よりも不純物濃度が薄くなってしまう。その結果コレクタ−ベース間に電圧が加わると空乏層は主にベース領域にしか延びられず、ベース幅変調が大きくなりアーリー電圧VAが低いデバイスとなってしまう。
また、図9は代表的なバーティカルPNP型トランジスタの構造を示す図である。図9において、20はp基板、21はn+埋め込み層、22はエピタキシャル層(Epi)、23はエミッタ領域(E)、24はベース領域(B)、25はコレクタ(C)領域、26a,26b、27a,27bはpn接合分離領域をそれぞれ示している。
埋め込み層21は、p基板20に形成されているn+領域である。埋め込み層21が形成した後、エピタキシャル層22を形成する前に、p+領域からなるコレクタ領域25が形成される。
コレクタ領域21が形成した後、その上にエピタキシャル成長によりエピタキシャル層22が形成される。なお、図示のようにエピタキシャル層は、n-領域により構成されている。
エピタキシャル層21が形成した後、その上にn+領域が形成され、このn+領域によりベース領域24が構成されている。さらに、ベース領域24の上に、p+領域が形成され、これによりエミッタ領域24が構成されている。
pn接合領域26a,26b、27a,27bは、図示のようにp+領域により構成され、半導体集積回路が動作するとき、p基板20が回路の最低電位に設定され、このpn接合が逆にバイアスされることによって、各素子を電気的に分離される。
このように形成したPNP型トランジスタは、動作するときエミッタ電流は基板表面にあるエミッタ領域23から基板の深さ方向、即ち、縦方向に流れるので、バーティカル(縦型)PNP型トランジスタと呼ばれる。
n+領域からなる埋め込み層はNPN型トランジスタのコレクタ抵抗を下げるため不純物濃度がかなり濃く設定される。コレクタ領域25においてはそれをp+型に反転させるため、やはりかなり濃い濃度になる。n+型として形成されたベース領域24の下部にはエピタキシャル層22を薄く残した方が、エピタキシャル層の厚さのばらつき等による生産性が良い、また耐圧を確保する上でも都合がよい。その結果、この構造のベース−コレクタ接合部もコレクタ側よりベース側の濃度が薄い構造となり、空乏層がベース側に延び、アーリー電圧VAの低いデバイスとなる。
複雑な構造を作れば、ラテラルPNP型トランジスタやバーティカルPNP型トランジスタでもアーリー電圧VAの高いデバイスを作ることは不可能ではない。しかしマスク枚数や製造工程数が大幅に増加し、高価で生産性の悪いデバイスになってしまい実用的ではない。
次にアーリー電圧VAが低いと回路設計上どのような不都合があるかについて説明する。
図10はアーリー効果を考慮した場合のトランジスタの等価回路を示している。図示のように、アーリー効果は、図10に示すように、理想的なトランジスタQに有限のコレクタ抵抗RCがつながったものと考えることができる。
図11は電圧フォロワとして広く用いられる回路の一例を示す回路図である。図示のように、本例の電圧フォロワ回路は、PNP型トランジスタQ1,Q2、NPN型トランジスタQ3,Q4,Q5および電流源IS1,IS2により構成されている。
トランジスタQ3のベースは、入力電圧VINの端子に接続され、コレクタはノードND1に接続されている。トランジスタQ4のベースは出力電圧VOUTの端子に接続され、コレクタはノードND2に接続されている。トランジスタQ3,Q4のエミッタが電流源IS1に共通に接続されている。
トランジスタQ1とQ2のベースが共通に接続され、エミッタがともに電源電圧VCCの供給線に接続されている。トランジスタQ1のコレクタは、そのベースとともにノードND1に接続され、トランジスタQ2のコレクタはノードND2に接続されている。
トランジスタQ5のベースはノードND2に接続され、コレクタは電源電圧VCCの供給線に接続され、エミッタは電圧VOUTの出力端子に接続されている。さらに、出力端子に電流源IS2が接続されている。
即ち、トランジスタQ3,Q4は差動増幅回路を構成しており、電流源IS1によりこの差動増幅回路に動作電流を供給されている。トランジスタQ1,Q2によりカレントミラー回路を形成し、このカレントミラー回路は差動増幅回路の負荷を構成している。
入力電圧VINに応じて差動増幅回路の出力ノードND2の電圧が設定される。さらに、トランジスタQ5はエミッタフォロワを構成しており、ノードND2の電圧に応じて出力電圧VOUTのレベルを設定するので、トランジスタQ1〜Q5は理想的なトランジスタである場合に、出力電圧VOUTのレベルは入力電圧VINのレベルに追従する形となる。
さらに、このように構成された電圧フォロワは回路構成が簡素で、帯域も広く取りやすい。しかし、実際のトランジスタはアーリー効果の影響を受け、理想的な特性が得られない。トランジスタのアーリー効果を考慮する場合に、本例の電圧フォロワは、図示のように、回路を構成する各トランジスタのコレクタにコレクタ抵抗RCPおよびRCNがそれぞれ接続されている回路により等価的に表すことができる。この回路においてトランジスタのアーリー電圧が低いと、下記の2つの問題が生ずる。
まず、入出力電圧VIN,VOUT間にオフセット電圧が発生する。次に、回路の利得が厳密な単位利得“1”より若干低下する。
具体的に、アーリー効果による影響を検討する場合に、トランジスタQ1、Q2のコレクタに抵抗RCPが、Q3、Q4のコレクタに抵抗RCNがつながり、これはどのような影響を及ぼすかを考えればよい。
アーリー効果により、この回路の伝達特性は図12のようなものとなる。入力電圧がViの時出力電圧はオフセット電圧Voffだけずれたものとなる。このオフセット電圧は、入力電圧VINがVCC−2VF(VFはPN接合の順方向降下電圧)の時ほぼゼロとなる。その時トランジスタQ1とQ2、またはトランジスタQ3とQ4のVCEが等しくなるからである。オフセット電圧Voffは、VINに依存し変化する。これは伝達特性の傾斜に注目すれば、等価的に利得が低下したと考えることができる。
この回路において、NPN型トランジスタのアーリー効果とPNP型トランジスタのアーリー効果は加算される。しかし前述したように、通常のバイポーラICプロセスにおいては、PNPのアーリー電圧がNPNに比較し大幅に劣るケースが多いので、オフセット特性や利得の低下は主にPNPの性能によって決まる。
同様な問題は、図13に示す極めて単純なエミッタフォロワ回路においても問題になる場合がある。例えばAC的な利得を限りなく単位利得”1”にしたいような場合において、その精度を決める要因がアーリー効果である。
次にアーリー効果による性能の劣化を防ぐ従来技術について説明する。電流源や電流ミラー(カレントミラー)回路の場合には、図14(a)に示すようにエミッタに帰還抵抗REを入れる方法がある。これは非常に簡便で相応な効果がある。REの電圧降下をVEとすると、見かけ上のアーリー電圧は(1+VE/VT)倍程度になる。ここで、VTは熱電圧(=kT/q)で室温で約26mVである。
カレントミラー回路に有効な別の方法として、図14(b)に示すような回路も知られている。この回路は考案者の名前を取り、ウィルソン型カレントミラー回路とも呼ばれる。この回路においてトランジスタQ34がカスケードにはいるので、見かけのアーリー電圧は電流倍増率HFE倍に近くなり効果は絶大である。
特開2005−306949号公報
ところで、上述した従来の回路においては、トランジスタのアーリー効果による影響を完全に抑制することができず、高精度の信号処理回路にとってその精度がアーリー効果により制限されてしまうという不利益がある。
また、アーリー電圧の値は製造工程によって大きくバラツキ、一定値に制御することが困難である。従って、固定の補正係数を導入したとして大した効果が得られず、有効な補正手段はないのは実情である。
さらに、図14(b)に示すウィルソン型カレントミラー回路においては、アーリー効果を抑制する有効な手段の一つであるが、この回路は電圧ロスが大きく、低電圧回路に向かないことである。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路の高速性に影響することなく、且つ利得の精度が高く、アーリー効果を低減できる電子回路を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の電子回路は、ベース電位が同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が接続され、コレクタがそれぞれ第1の機能回路に接続されている第1と第2のトランジスタと、ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、差動対を構成している第3と第4のトランジスタと、ベース電位が同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されている第5と第6のトランジスタと、ベースが上記第5のトランジスタのコレクタに接続され、エミッタに電流源が接続されてエミッタフォロワを形成する第7のトランジスタと、ベースが上記第2のトランジスタのエミッタに接続され、エミッタが上記第7のトランジスタのコレクタに接続されてエミッタフォロワを形成する第8のトランジスタと、を有し、上記第5のトランジスタのエミッタは、上記第3のトランジスタのコレクタに接続され、上記第6のトランジスタのエミッタは、上記第4のトランジスタのコレクタに接続され、上記第5と第6のトランジスタのコレクタがそれぞれ第2の機能回路に接続され、上記第1と第2のトランジスタのアーリー効果により発生するエミッタ間の差電圧を上記第3と第4のトランジスタのコレクタ電流に変換して、当該コレクタ電流を補正を必要とする回路の一部である上記第5と第6のトランジスタのエミッタに供給し、上記第5のトランジスタのコレクタ電位を上記第7と第8のトランジスタを介して上記第2のトランジスタにコピーを行うことにより上記第1と第2のトランジスタのエミッタ間のアーリー効果による差電圧と逆極性に上記第5と第6のトランジスタのエミッタ電圧を制御してアーリー効果を補正する。
また、本発明の電子回路は、エミッタが共通に接続されて差動対を構成している第9と第10のトランジスタと、エミッタが電流源に接続され、差動対を構成している第11と第12のトランジスタと、を有し、上記第1のトランジスタのコレクタは自身のベースおよび電流源に接続され、上記第1と第2のトランジスタはカレントミラー回路を構成し、上記第6のトランジスタのコレクタは自身のベースおよび上記第9のトランジスタのコレクタに接続され、上記第5と第6のトランジスタはカレントミラー回路を構成し、上記第9のトランジスタのベースが信号の入力端子に接続され、上記第10のトランジスタのベースが上記第2のトランジスタのコレクタおよび上記第8のトランジスタのエミッタに接続され、当該接続点が出力端子に接続され、上記第11のトランジスタのコレクタが上記第5のトランジスタのコレクタに接続され、上記第12のトランジスタのコレクタが上記第9と第10のトランジスタのエミッタに接続され、上記第11のトランジスタのベースがホールド信号の供給ラインに接続され、上記第12のトランジスタのベースがサンプル信号の供給ラインに接続され、上記第5のトランジスタのコレクタおよび上記第7のトランジスタのベースにキャパシタが接続されている
また、本発明の電子回路は、ゲート電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が接続され、ドレインがそれぞれ第1の機能回路に接続されている第1と第2の電界効果トランジスタと、ゲートがそれぞれ上記第1と第2の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが電流源に共通に接続され、差動対を構成している第3と第4の電界効果トランジスタと、ゲート電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されている第5と第6の電界効果トランジスタと、ゲートが上記第5の電界効果トランジスタのドレインに接続され、ソースに電流源が接続されてソースフォロワを形成する第7の電界効果トランジスタと、ゲートが上記第7の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが上記第2の電界効果トランジスタのドレインに接続されてソースフォロワを形成する第8の電界効果トランジスタと、を有し、上記第5の電界効果トランジスタのソースは、上記第3の電界効果トランジスタのドレインに接続され、上記第6の電界効果トランジスタのソースは、上記第4の電界効果トランジスタのドレインに接続され、上記第5と第6の電界効果トランジスタのドレインがそれぞれ第2の機能回路に接続され、上記第1と第2の電界効果トランジスタのアーリー効果により発生するソース間の差電圧を上記第3と第4の電界効果トランジスタのドレイン電流に変換して、当該ドレイン電流を補正を必要とする回路の一部である上記第5と第6の電界効果トランジスタのソースに供給し、上記第5の電界効果トランジスタのドレイン電位を上記第7と第8の電界効果トランジスタを介して上記第2の電界効果トランジスタにコピーを行うことにより上記第1と第2の電界効果トランジスタのソース間のアーリー効果による差電圧と逆極性に上記第5と第6の電界効果トランジスタのソース電圧を制御してアーリー効果を補正する。
さらに、本発明では、好適には上記第3と第4のトランジスタのエミッタ或いはソースに接続されている電流供給手段の供給電流は、絶対温度にほぼ比例するように設定されている。
本発明によれば、第1と第2のトランジスタのアーリー効果によりこれらのトランジスタのエミッタまたはソース間に生じた電位差が、第3と第4のトランジスタからなる差動対により補正電流に変換される。この補正電流は、第3と第4のトランジスタのコレクタまたはドレイン電流として出力される。当該補正電流に応じて、アーリー効果による影響が問題となるトランジスタに対して、補正が行われる。なお、補正の対象となるトランジスタは、例えば、上記第1および第2のトランジスタ、或いは、第5および第6のトランジスタ。第3と第4のトランジスタのコレクタ電流がそれぞれ補正対象となるトランジスタのエミッタまたはソース側に入力される。
これによって、第1および第2のトランジスタのアーリー効果を第3と第4のトランジスタからなる差動対により検出され、それに応じて補正電流が発生される。当該補正電流を用いて第1および第2のトランジスタ、或いは、第5および第6のトランジスタのエミッタまたはソース電流を制御するので、補正対象のトランジスタにおけるアーリー効果による影響が低減できる。
本発明の電子回路によれば、ベース又はゲートを同電位に保たれた2つのトランジスタのエミッタ、又はソース電位差としてアーリー効果を検出し、差動トランジスタ対により電流に変換し補正電流を生成する。この手法により簡潔に、かつ回路の性能、例えば高速性等を何ら犠牲にすることなくアーリー効果の影響を大幅に低減でき、オフセットが小さい、あるいは利得の精度が優れた回路を実現することができる利点がある。
本発明の電子回路は、ベースまたはゲートを同電位に保持されている一対のトランジスタのエミッタ、またはソース電位差としてアーリー効果を検出し、さらに一対のトランジスタからなる差動対により電流に変換し補正電流を発生させ、当該補正電流によって、トランジスタのアーリー効果による影響を補正するものである。以下、本発明の幾つかの実施形態について、図面を参照しつつそれぞれ構成および動作を詳述し、本発明の電子回路の特徴を明らかにする。
第1実施形態
図1は本発明に係る電子回路の第1の実施形態を示す回路図である。
図示のように、本実施形態の電子回路は、NPN型トランジスタQ43,Q44、PNP型トランジスタQ41,Q42,Q45,Q46および電流源IS0,IS1,IS2,IS3,IS4により構成されている。
トランジスタQ41,Q42はそれぞれ第1と第2のトランジスタとし、また、トランジスタQ45,Q46はそれぞれ第5と第6のトランジスタとして、これらのトランジスタは、アーリー効果の影響を受けるトランジスタ対である。
トランジスタQ43,Q44は、第3および第4のトランジスタとして、差動対を構成している。
本実施形態では、差動対を成しているトランジスタQ43,Q44により、アーリー効果により生じたトランジスタQ41,Q42のエミッタ間の差電圧を検出し、当該差電圧をこれらのトランジスタのコレクタ電流に変換する。さらに、トランジスタQ41,Q42のエミッタ間の差電圧に応じてトランジスタQ45,Q46におけるアーリー効果による影響を補正する。
以下、図1を参照しつつ、本実施形態の電子回路の構成および動作をさらに詳細に説明する。
トランジスタQ41,Q42のベースはともにバイアス電圧VB1によりバイアスされ、トランジスタQ41のエミッタは電流源IS0に接続され、トランジスタQ42のエミッタは電流源IS1に接続されている。ここで、電流源IS0,IS1の供給電流値はともにI0とする。
トランジスタQ43,Q44は差動増幅回路を構成している。トランジスタQ43のベースは、トランジスタQ41のエミッタに接続され、トランジスタQ44のベースは、トランジスタQ42のエミッタに接続されている。トランジスタQ43,Q44のエミッタは、電流源IS4に共通に接続されている。
さらに、トランジスタQ45,Q46のベースは、バイアス電圧VB2によりバイアスされ、トランジスタQ45のエミッタは、トランジスタQ43のコレクタとともに電流源IS2に接続され、トランジスタQ46のエミッタは、トランジスタQ44のコレクタとともに電流源IS3に接続されている。ここで、電流源IS2,IS3の供給電流値をともにI1とし、さらに、電流源IS4の供給電流値を、2I1とする。
トランジスタQ41,Q42のコレクタはそれぞれ他の機能回路に接続されており、これらのトランジスタのコレクタ電圧をVC1,VC2として、アーリー効果によりこれらのトランジスタのベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2が異なる。さらに、これらのトランジスタベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2の差は、図1に示すエミッタ電圧差ΔVEとして反映される。
以下、図1の回路図および図5に示すトランジスタのIC−VCE特性を参照しつつ、本実施形態の電子回路のアーリー効果抑制の原理について説明する。
図5に示すIC−VCE特性グラフにおいて、ベース−エミッタ間電圧をVBEとし、コレクタ−エミッタ間電圧をVCEとし、コレクタ電流をICとすると、次式が得られる。
[数1]
C=(1+VCE/VA)・IS・exp(VBE/VT) …(1)
なお、VAはアーリー電圧、VTは熱電圧(=kT/q)である。
ここで、任意のVBEに対し、VCE=0近傍でのICをIC0とし、任意のVCEにおいてIC=IC0を保つベースエミッタ間電圧VBE−ΔVは次式により求まる。
[数2]
ΔV=VT・ln(1+VCE/VA) …(2)
この式により、図1における差電圧ΔVEを求めることができる。ここで、トランジスタQ41、Q42のコレクタ−エミッタ間電圧VCE1,VCE2、ベース−エミッタ間電圧をVBE1,VBE2とすると、次式が得られる。
[数3]
CE1=VC1−VB+VBE1 …(3)
[数4]
CE2=VC2−VB+VBE2 …(4)
各トランジスタのベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2をVCE=0近傍での値と、アーリー効果分を区別して表現すると、次式が得られる。
[数5]
BE1=VBE0+ΔV1
=VBE0+VT・ln(1+VCE1/VA) …(5)
[数6]
BE2=VBE0+ΔV2
=VBE0+VT・ln(1+VCE2/VA) …(6)
ここで、電圧VBE0はトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧VCE=0の近傍におけるベース−エミッタ間電圧である。
その結果、図1におけるトランジスタQ41,Q42のエミッタ電圧差ΔVE
は次式のようになる。
Figure 0004438852
この差電圧ΔVEはトランジスタQ43,Q44に伝達される電流に変換される。電流の変化分Δiは次式により求まる。
Figure 0004438852
以上説明したように、本実施形態によれば、ベースが共通なバイアス電圧VB1によりバイアスされているトランジスタQ41,Q42および差動増幅回路を構成するトランジスタQ43,Q44により、トランジスタQ41,Q42のアーリー効果を補正電流Δiとして抽出する。この補正電流ΔiをトランジスタQ45,Q46のエミッタに供給し、トランジスタQ45,Q46は、アーリー効果を問題とし、その補正を必要とする回路の一部でその電流源を構成しているので、補正電流Δiに応じて当該電流源の電流を調整することによりトランジスタQ45,Q46のアーリー効果を補正することができる。
次に、アーリー効果を補正電流Δiとして抽出し、本来の信号処理として望ましくないアーリー効果の影響をどのように排除するかを、具体的な回路例を用いて、次の実施形態でさらに詳しく説明する。
第2実施形態
図2は本発明に係る電子回路の第2の実施形態を示す回路図である。本実施形態は、図1に示すアーリー効果補正回路を高速のサンプルホールド回路に適用した回路例である。
図示のように、トランジスタQ51〜Q54が電圧フォロワを構成し、トランジスタQ55,Q56によりその電圧フォロワを能動状態にしたり、遮断状態にしたりすることによりサンプルホールドの機能を成している。
トランジスタQ53,Q54は差動増幅回路を構成し、抵抗素子R51,R52およびトランジスタQ51,Q52はカレントミラー回路を構成し、この差動増幅回路の負荷を成している。トランジスタQ55,Q56により、この差動増幅回路に動作電流を選択的に供給する。トランジスタQ53のベースは信号VINの入力端子INに接続され、トランジスタQ54ベースは出力端子OUTに接続されている。トランジスタQ53,Q54コレクタはそれぞれトランジスタQ51,Q52のコレクタに接続され、これらのトランジスタのエミッタがトランジスタQ56のコレクタに共通に接続されている。
トランジスタQ55,Q56は差動増幅回路を構成し、トランジスタQ55のベースはホールド信号VHの入力端子に接続され、トランジスタQ56のベースはサンプル信号VSの入力端子に接続されている。トランジスタQ55のコレクタは、トランジスタQ52のエミッタ、即ち、ノードND1に接続されている。さらに、トランジスタQ55,Q56のエミッタはトランジスタQ57のコレクタに共通に接続されている。
トランジスタQ57のベースはバイアス電圧VBによりバイアスされ、エミッタは、抵抗素子R53を介して接地されている。トランジスタQ57と抵抗素子R53により電流源が構成され、バイアス電圧VBに応じて、トランジスタQ55,Q56からなる差動対への供給電流が制御される。
ホールド信号VHおよびサンプル信号VSに応じて、トランジスタQ55,Q56からなる差動対の動作状態が制御される。さらに、それに応じて電圧フォロワを構成するトランジスタQ53,Q54の動作状態に制御される。
例えば、差動対のトランジスタQ56がオンしていると、Q51〜Q54は電圧フォロワとして機能する。逆にトランジスタQ55がオンすると、トランジスタQ56がオフ状態に保持され、トランジスタQ51〜Q54からなる電圧フォロワは遮断状態になり、キャパシタC51は元の電位を保持する。
キャパシタC51の一方の電極はノードND2、即ちトランジスタQ52とQ54のコレクタの共通の接続点に接続され、他方の電極が接地されている。
トランジスタQ58のベースはノードND2に接続され、コレクタは電源電圧VCCの供給線に接続され、エミッタはノードND3に接続されている。
また、トランジスタQ59のベースはバイアス電圧VBによりバイアスされ、コレクタはノードND3に接続され、エミッタは抵抗素子R54を介して接地されている。
即ち、トランジスタQ58はエミッタフォロワを構成しており、トランジスタQ59、抵抗素子R54により、エミッタに電流を供給する電流源回路が構成されている。このように構成されているエミッタフォロワにより、ノードND2の電位に応じて、ノードND3の電位が設定される。例えば、ノードND3の電位は、ノードND2の電位よりトランジスタQ58のベース−エミッタ間電圧分低く設定されている。
抵抗素子R55,R56およびトランジスタQ61,Q62により、カレントミラー回路が構成されている。さらに、トランジスタQ60により、エミッタフォロワを構成されている。図示のように、トランジスタQ60のベースはノードND3に接続され、コレクタは接地され、エミッタはトランジスタQ61のコレクタとともに出力電圧VOUTの端子OUTに接続されている。
また、トランジスタQ62のコレクタにトランジスタQ63と抵抗素子R57からなる電流源回路が接続されている。トランジスタQ63のベースは、バイアス電圧VBによりバイアスされ、コレクタはトランジスタQ62のコレクタに接続され、エミッタは抵抗素子R57を介して接地されている。
トランジスタQ64,Q65は差動対を構成しており、トランジスタQ64,Q65のベースは、それぞれトランジスタQ61,Q62のエミッタに接続されている。トランジスタQ64のコレクタは、トランジスタQ52のコレクタに接続され、トランジスタQ65のコレクタは、トランジスタQ51のコレクタに接続されている。トランジスタQ64,Q65のエミッタにトランジスタQ66と抵抗素子R58からなる電流源回路が接続されている。
トランジスタQ66のベースは、バイアス電圧VBによりバイアスされ、コレクタはトランジスタQ64,Q65のエミッタに接続され、エミッタは抵抗素子R58を介して接地されている。
電流源回路により、回路の各部分の動作電流が設定される。例えば、トランジスタQ53とQ54からなる差動対の両側に対して、抵抗素子R51,R52およびトランジスタQ51,Q52からなるカレントミラー回路により、それぞれ電流I2が供給される。
また、トランジスタQ66と抵抗素子R58により構成された電流源により、トランジスタQ64とQ65のエミッタに電流2・I1が供給されている。
以下、図2を参照しつつ、本実施形態の電子回路の動作について説明する。
本実施形態の電子回路においては、例えば、サンプリング動作時に、サンプル信号VSがハイレベル、ホールド信号VHがローレベルにそれぞれ保持され、逆に、ホールド時に、ホールド信号VHがハイレベル、サンプル信号VSがローレベルにそれぞれ保持されている。
このため、サンプリング動作時に、トランジスタQ55,Q56からなる差動対において、トランジスタQ55がオフ状態、トランジスタQ56がオン状態に保持されている。トランジスタQ57と抵抗素子R53からなる電流源回路により、2・I2の電流が供給されているとすると、サンプリング動作時に、電流2・I2がトランジスタQ56側に流れる。
トランジスタQ51とQ52のアーリー効果による影響で、抵抗素子R51,R52に不平衡電流Δi2が生じる。例えば、図2に示すように、抵抗素子R51,R52に流れる電流がそれぞれ(I2−Δi2)、(I2+Δi2)である。
サンプリング動作時に、トランジスタQ53とQ54からなる差動対により、ノードND2の電圧が入力信号VINに応じて設定される。さらに、ノードND2の電圧がトランジスタQ58,Q60からなる2段のエミッタフォロワにより、出力電圧VOUTとして出力端子OUTに出力される。
ここで、トランジスタQ58とQ60のエミッタ−ベース間電圧がほぼ同じ値とすると、出力電圧VOUTのレベルは、ノードND2の電圧レベルとほぼ同じく保持されている。
出力端子OUTの電圧VOUTがトランジスタQ54のベースにフィードバックされ、これに応じてノードND2が電圧レベルが制御されるので、サンプリング動作時に、ノードND2の電圧は、入力端子INの電圧VINに追従して変化する。さらに、ノードND2の電圧は2段のエミッタフォロワ回路により、出力端子OUTに出力される。
ホールド時に、トランジスタQ55,Q56からなる差動対において、トランジスタQ55がオン状態、トランジスタQ56がオフ状態にそれぞれ保持されているので、電圧フォロワが遮断状態にあり、このとき、トランジスタQ53,Q54からなる差動対に電流が供給されることなく、ノードND2の電位がキャパシタC51により保持され、元の値が保持される。
このように、本例電子回路により、サンプル信号VSおよびホールド信号VHにより選択的に動作状態と遮断状態に設定されている電圧フォロワにより、サンプルホールド回路が構成されている。サンプリング動作時に、入力信号VINに応じて出力信号VOUTのレベルが設定され、ホールド時に、前回のサンプリング動作で設定されている信号レベルがそのまま保持される。
上述したサンプルホールド回路において、トランジスタQ51、Q52のアーリー効果は出力信号VOUTのオフセット電圧の主要な原因となる。トランジスタQ51のコレクタ−エミッタ間電圧VCEはVF(PN接合の順方向降下)であり、トランジスタQ52のコレクタ−エミッタ間電圧VCEは、概略(VCC−VIN)である。この実施例においては、トランジスタQ60からなるエミッタフォロワの電流源を形成しているカレントミラー回路Q61、Q62をアーリー効果検出に利用している。即ち、トランジスタQ62のコレクタ−エミッタ間電圧はVF
であり、Q61のコレクタ−エミッタ間電圧は、概略(VCC−VIN)である。
図1に示す実施形態では、トランジスタQ41、Q42のエミッタには電流源が接続されていたが、この実施例では抵抗素子R55、R56が接続されている。抵抗素子R55、R56の電圧降下がVTより充分大きければ、実質的な違いはない。従って、トランジスタQ51とQ52のアーリー効果はトランジスタQ61、Q62に複製される。各々のエミッタ間電位差はほぼ等しいΔVEとなり、次のように表される。
Figure 0004438852
さらに、アーリー効果の補正電流となるトランジスタQ64,Q65のコレクタ電流ICの変化分Δi1は次のようになる。
Figure 0004438852
次に、抵抗素子R51,R52に流れる不平衡電流Δi2について考える。この電流は、トランジスタQ51,Q52のベース−エミッタ間電圧差ΔVBによって発生する。抵抗素子R51,R52の抵抗値をr51,r52(r51=r52=RE)とすると、Δi2は次式により表される。
[数11]
Δi2=ΔVB/(2・RE) …(11)
従って、トランジスタQ51,Q52のアーリー効果によるオフセットを回避するには、(Δi2=Δi1)となるように条件を設定すれば、Δi2はトランジスタQ51,Q52に流れ込むことなく、抵抗素子R51,R52に生じた不平衡電流は、補正電流Δi1によりキャンセルされる。その条件は次式のようになる。
Figure 0004438852
さらにこの式は、(VCC−VIN)<<VAの条件で近似式を導出すると、次式のようになる。
Figure 0004438852
このような設定により、トランジスタQ51、Q52のアーリー効果によるオフセット電圧の発生をキャンセルすることができる。上記の解析は、いくつかの近似を用いているので、非常に正確なものではない。実際に回路シミュレータを用いてアーリー効果によるオフセット電圧がゼロになるようトランジスタQ64、Q65の電流I1を調整すればよい。電流I1はいわば、補正係数を設定するための電流である。
式(13)が示すように、この電流は熱電圧VT、即ちチップの絶対温度に比例するように構成することがより望ましい。それにより温度が変化した場合にもより完全な補正効果が得られる。多くの場合、そこまではしなくとも相応の補正の効果は充分に得られる。
この実施例では、トランジスタQ51、Q52とトランジスタQ61、Q62のコレクタ−エミッタ間電圧VCEがほぼ完全に等しくなるが、そこまでしなくてVF程度はずれていても、入力信号VINや、電源電圧VCCの変動が同等に印加されれば充分な効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、アーリー効果を補償するために、単にトランジスタQ51、Q52のエミッタに補正電流を加えるのみなので、回路性能には何らの悪影響も及ぼさない。これは特に回路に高速動作が要求される場合に重要で、非常に複雑な回路を構成すればアーリー効果の影響を受けにくい回路は可能であるが、従来の手法によれば、一般的には回路の高速性を損なう場合が多く、アーリー効果の影響を抑制するには限度があった。本実施形態の電子回路によれば、このような問題がなく、回路の高速性を損なうことなく、アーリー効果による影響を抑制できる。
第3実施形態
図3は本発明の第3の実施形態、即ち、本発明の電子回路を高速バッファ回路に適応した例を示す回路図である。
図示のように、本実施形態の電子回路は基本的に完全な対称回路となっている。トランジスタQ71,Q73,Q77,Q81,Q87,Q72,Q74,Q78,Q84およびそれぞれのトランジスタのエミッタに接続されている抵抗素子R71,R73,R75,R77,R79,R72,R74,R76,R78により、それぞれ定電流を発生する電流源回路が構成されている。トランジスタQ79,Q80からなる差動対およびトランジスタQ82,Q83からなる差動対はアーリー効果を補正するために設けられている。
トランジスタQ85,Q86は信号入力のために設けられており、トランジスタQ90,Q91はトランジスタQ85,Q86のエミッタ出力により駆動されるトランジスタである。
PNP型トランジスタQ88,Q89,Q94はカレントミラー回路を構成しており、このカレントミラー回路はトランジスタQ90のコレクタ側の負荷回路を構成している。
NPN型トランジスタQ92,Q93,Q97はカレントミラー回路を構成しており、このカレントミラー回路はトランジスタQ91のコレクタ側の負荷回路を構成している。
これらのカレントミラー回路の出力信号は、ダイオード接続となっているトランジスタQ95,Q96を介して接続されており、これによって出力トランジスタQ98,Q99を駆動する。トランジスタQ98,Q99のエミッタが共通の端子に接続され、この端子から出力信号VOUTが出力される。さらに、出力信号VOUTはトランジスタQ90,Q91のエミッタにフィードバックされている。
以下、図3を参照しつつ、本実施形態の電子回路の動作について説明する。
入力信号VINは、トランジスタQ85、Q86のベースに加えられ、これらのトランジスタのエミッタ出力はトランジスタQ90、Q91のベースを駆動する。トランジスタQ90、Q91の各々のコレクタにはPNPトランジスタQ88、Q89、Q94で構成されたカレントミラー回路と、NPNトランジスタQ92、Q93、Q97で構成されたカレントミラー回路に接続され、各々のカレントミラー回路の出力は、ダイオード接続されているトランジスタQ95、Q96を介して接続され、出力トランジスタQ98、Q99を駆動する。出力はQ90、Q91のエミッタに帰還されている。
この回路は基本的に電圧フォロワとして動作する。入力電圧VINと出力電圧VOUT間の誤差電圧が大きくなるとトランジスタQ90またはQ91は、極めて大きな電流を出力し、出力トランジスタQ98、Q99を強力に駆動する。従って本実施形態のバッファ回路は単に周波数特性が良いだけではなく、スルーレートが高い、即ち大振幅の信号を高速に出力可能で、重い負荷を駆動することもできる。
この回路の電圧利得を限りなく単位利得”1”に近づけたいような場合、やはりアーリー効果による影響を受ける。利得に影響する主要なトランジスタは、pnpトランジスタQ85、Q91、Q94、NPNトランジスタQ86、Q90、Q97である。前述したように、一般的にはPNPトランジスタの方がアーリー電圧が低いので、トランジスタQ85、Q91、Q94の影響は特に大きい。
本実施形態では、より高い精度を得るため、npn側のアーリー電圧についても補正回路を設けている。
pnp側のアーリー効果の検出には、トランジスタQ74とQ84のエミッタの電位差をトランジスタQ79、Q80からなる差動対により検出し、トランジスタQ88、Q94のエミッタに補正をかけている。
npn側のアーリー効果の検出には、トランジスタQ77とQ87のエミッタの電位差をトランジスタQ82、Q83からなる差動対により検出し、トランジスタQ93、Q97のエミッタに補正をかけている。
アーリー電圧が利得に影響するトランジスタは、無信号時(VIN≒VCC/2)のVCEが概略(VCC/2)である。そのためアーリー効果検出の基準を作っているトランジスタQ74、Q77のVCEも概略(VCC/2)となるようトランジスタQ75、Q76が設けられ、これらのトランジスタのベースに(VCC/2)レベルを有する定電圧VCNTがそれぞれ印加されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、トランジスタQ74とQ84のエミッタの電位差をトランジスタQ79、Q80からなる差動対により検出し、トランジスタQ88、Q94のエミッタに補正をかけ、トランジスタQ77とQ87のエミッタの電位差をトランジスタQ82、Q83からなる差動対により検出し、トランジスタQ93、Q97のエミッタに補正をかけているので、アーリー効果の影響を抑制でき、バッファ回路の電圧利得がほぼ単位利得“1”に設定できる。さらに、対称的な回路構成により入力信号VINに応じて出力信号VOUTを発生し、出力信号を入力側にフィードバックさせることで信号レベルを制御することにより、周波数特性がよく、駆動能力が大きく、重い負荷を高速に駆動することが可能である。
第4実施形態
図4は本発明の電子回路の第4の実施形態を示す回路図である。
以上の説明した第1〜第3の実施形態はバイポーラトランジスタを用いたものであるが、本発明はバイポーラトランジスタに限定されることなく、MOSFET(MOS電界効果トランジスタ)に適用することも可能である。図4は、MOSFETを用いた場合のアーリー効果の検出回路の回路例である。
nチャネルMOSトランジスタ(以下、nMOSトランジスタという)Q101,102のゲートに電圧VG2が印加され、トランジスタQ101のソースはノードND1に接続され、トランジスタQ102のソースはノードND2に接続されている。nMOSトランジスタQ103,Q104のゲートはともにバイアス電圧VG1の端子に接続され、トランジスタQ103のドレインはノードND1に、トランジスタQ104のドレインはノードND2にそれぞれ接続されている。トランジスタQ103,Q104のソースは接地されている。
pチャネルMOSトランジスタ(以下、pMOSトランジスタという)Q105,Q106が差動対を構成している。トランジスタQ105,Q106のゲートは、それぞれノードND2,ND1に接続され、これらのトランジスタのソースは、電流源IS5に接続されている。トランジスタQ105のドレインはノードND3に、トランジスタQ106のドレインはノードND4にそれぞれ接続されている。
nMOSトランジスタQ107,Q108のゲートに電圧VG4が印加され、トランジスタQ107のソースはノードND3に接続され、トランジスタQ108のソースはノードND4に接続されている。nMOSトランジスタQ109,Q110のゲートはともにバイアス電圧VG3の端子に接続され、トランジスタQ109のドレインはノードND3に、トランジスタQ110のドレインはノードND4にそれぞれ接続されている。トランジスタQ109,Q110のソースは接地されている。
また、図4に示していないが、トランジスタQ101,Q102およびトランジスタQ107.Q108のドレイン側にそれぞれ機能回路、例えば、カレントミラー回路などの電流供給回路が接続される。
本実施形態の電子回路において、nMOSトランジスタQ101,Q102のアーリー効果がこれらのトランジスタのソース−ドレイン間電圧VSDに反映されている。アーリー効果によって、トランジスタQ101,Q102のソース電位間に差が生じ、この差電圧ΔVをトランジスタQ105,Q106からなる差動対により検出され、差電圧ΔVに応じた補正電流ΔiがトランジスタQ105,Q106のドレイン電流に反映される。この補正電流ΔiがそれぞれトランジスタQ107,Q108のソース側に入力される。補正電流Δiに応じてトランジスタQ107,Q108に流れる電流が制御されるので、トランジスタQ107,Q108のアーリー効果による影響が補正される。
以上説明したように、本実施形態によれば、nMOSトランジスタQ101,Q102のアーリー効果により生じたソース電位差ΔVをpMOSトランジスタQ105,Q106からなる差動対により検出し、電位差ΔVに応じて補正電流Δiが発生し、nMOSトランジスタQ107,Q108のソース側に供給するので、nMOSトランジスタQ107,Q108のアーリー効果により影響が抑制できる。
上述した本発明の第1〜第4の実施形態は、何れも同じ原理に基づきトランジスタのアーリー効果を補正するものである。即ち、ベースまたはゲートが同電位に保持されている二つのトランジスタにおいて、アーリー効果により生じたエミッタまたはソース間の差電圧を差動トランジスタ対により電流に変換し、補正電流を生成する。当該補正電流を用いて、アーリー効果の影響を回避すべくトランジスタ対のエミッタまたはソース電流を制御することによって、アーリー効果の影響を抑制する。
即ち、上述した何れの実施形態においても、アーリー効果を補正すべくトランジスタと同じバイアス条件に設定されている他のトランジスタによりアーリー効果の影響分を検出し、検出結果に応じて補正対象トランジスタに対して補正を行うことでアーリー効果による影響を抑制する。
本発明では、アーリー効果の補正手法として、上述したものに限定されるものではなく、他の手法も考えられる。その一例として、アーリー効果により影響が問題となるトランジスタに対して、その影響分を、例えば、差動トランジスタ対により検出し、検出結果に応じて補正電流を発生し、当該補正電流を上記トランジスタに帰還させることにより、当該トランジスタにおけるアーリー効果の影響を補正することができる。以下、上記第1〜4実施形態に述べた手法を第1の手法、次に述べる第5、6実施形態の手法を第2の手法という。
次に述べる本発明の第5および第6の実施形態は、本発明の第2の手法に基づいたものである。以下、図5および図6を参照しつつ、この手法の概念およびそれに基づく具体な応用回路について、より詳細に説明する。
第5実施形態
図5は本発明の電子回路の第5の実施形態を示す回路図である。上述したアーリー効果の第2の補正手法の概念を説明するための図である。
図5において、ベースが同じ電位に保持されているトランジスタQ111,Q112は、アーリー効果を問題とするトランジスタ、差動対を構成しているトランジスタQ113,Q114は、トランジスタQ111,Q112のアーリー効果による影響を検出するためのトランジスタ対である。
本実施形態においては、アーリー効果により生じたトランジスタQ111,Q112のエミッタ間の差電圧を差動対を成しているトランジスタQ113,Q114により検出し、当該差電圧をトランジスタQ113,Q114のコレクタ電流に変換する。これらのトランジスタのコレクタ電流を補正電流としてトランジスタQ111,Q112のエミッタ側に帰還させ、これらのトランジスタのエミッタ電流を制御することによって、トランジスタQ111,Q112におけるアーリー効果による影響を補正する。
以下、図5を参照しつつ、本実施形態の電子回路の構成および補正動作について説明する。
トランジスタQ111,Q112のベースはともにバイアス電圧VB1によりバイアスされ、トランジスタQ111のエミッタは抵抗素子R111を介して電源電圧VCCの供給線に接続され、トランジスタQ112のエミッタは抵抗素子R112を介して電源電圧VCCの供給線に接続されている。
なお、ここでトランジスタQ111,Q112のエミッタにそれぞれ接続されている抵抗素子R111,R112は、これらの抵抗素子に生じた電圧降下が熱電圧VT(VT=kT/q)より十分小さいとき、これらの抵抗素子は、実質的に電流源と見なせる。即ち、これら抵抗素子R111,R112を接続したことにより、トランジスタQ111,Q112のエミッタに所定の定電流が供給されている。本実施形態では、抵抗素子R111,R112の抵抗値を設定することにより、これらの抵抗素子に流れる電流が同じく保持されている。
トランジスタQ113とQ114は差動対を構成している。トランジスタQ113のベースとトランジスタQ114のコレクタは、トランジスタQ111のエミッタに接続され、トランジスタQ114のベースとトランジスタQ113のコレクタは、トランジスタQ112のエミッタに接続されている。
即ち、トランジスタQ113とQ114のベース、コレクタがそれぞれ交差に接続されている。
トランジスタQ113,Q114のエミッタは、電流源IS10に共通に接続されている。ここで、電流源IS10の供給電流値を2I1とする。
トランジスタQ111,Q112のコレクタはそれぞれ他の機能回路に接続されており、これらのトランジスタのコレクタ電圧をVC1,VC2として、アーリー効果によりこれらのトランジスタのベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2が異なる。さらに、これらのトランジスタベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2の差は、図5に示すエミッタ電圧差ΔVEとして反映される。
電圧差ΔVEは、第1の実施形態に関する説明における式(7)により求められる。さらに、電圧差ΔVEに応じてベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ113とQ114のコレクタ電流に生じた電流変化分Δiは、式(8)により求まる。
このように、トランジスタQ111,Q112のエミッタ間の電圧差ΔVEはは、ベース、コレクタが交差接続されたトランジスタQ113とQ114により、トランジスタのコレクタ電流の電流変化分Δiに変換される。即ち、アーリー効果による影響が検出され、それに応じた補正電流が発生される。
図5に示すように、本実施形態では、トランジスタQ113,Q114のコレクタは、それぞれトランジスタQ112,Q111のエミッタに接続されているので、トランジスタQ113,Q114のコレクタ電流に応じて、トランジスタQ112,Q111のエミッタ電流が制御される。即ち、トランジスタQ113,Q114により発生した補正電流を、それぞれアーリー効果の影響を問題とするトランジスタQ112,Q111に帰還させることにより、アーリー効果を補正する。
これによって、トランジスタQ111,Q112のアーリー効果により抵抗素子R111,R112に流れる電流に生じた不均衡成分を補正電流により打ち消し、トランジスタQ111,Q112のエミッタ間電圧差ΔVEに関わらず、これらのトランジスタのコレクタ電流を等しく保ち、それぞれのトランジスタのコレクタに接続されている機能回路の動作の安定性を図る。
以上説明したように、本実施形態によれば、ベース電位が同じく保持されているトランジスタQ111,Q112のエミッタ電圧差をベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ113,Q114により検出し、これらのトランジスタのコレクタ電流の電流変化分Δiに変換する。トランジスタQ113,Q114のコレクタ電流に応じてトランジスタQ112,Q111のエミッタ電流を制御することにより、トランジスタQ111,Q112のコレクタに接続されている機能回路において、これらのトランジスタのアーリー効果による影響を抑制でき、安定した動作を実現できる。
第6実施形態
図6は本発明の電子回路の第6の実施形態を示す回路図であり、本発明の電子回路を高速バッファ回路に適応した例を示す回路図である。
図示のように、本実施形態の電子回路は基本的に完全な対称回路となっている。トランジスタQ121,Q123,Q125,Q133,Q122,Q1244,Q130およびそれぞれのトランジスタのエミッタに接続されている抵抗素子R121,R123,R125,R127,R122,R124,R126により、それぞれ定電流を発生する電流源回路が構成されている。ベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ126,Q127およびトランジスタQ128,Q129はアーリー効果を検出し、それに応じて補正電流を発生するために設けられている。
トランジスタQ131,Q132は信号入力のために設けられており、それぞれのトランジスタのエミッタ側に接続されている電流源回路とともに、エミッタフォロワを形成している。トランジスタQ136,Q137はトランジスタQ131,Q132のエミッタ出力により駆動されるトランジスタである。
PNP型トランジスタQ134,Q135,Q140はカレントミラー回路を構成しており、このカレントミラー回路はトランジスタQ136のコレクタ側の負荷回路を構成している。
NPN型トランジスタQ138,Q139,Q145はカレントミラー回路を構成しており、このカレントミラー回路はトランジスタQ137のコレクタ側の負荷回路を構成している。
これらのカレントミラー回路の出力信号は、ダイオード接続となっているトランジスタQ141,Q144を介して接続されており、これによって出力トランジスタQ142,Q143を駆動する。トランジスタQ142,Q143のエミッタが共通の端子に接続され、この端子から出力信号VOUTが出力される。さらに、出力信号VOUTはトランジスタQ136,Q137のエミッタにフィードバックされている。
以下、図3を参照しつつ、本実施形態のバッファ回路の動作について説明する。
入力信号VINは、トランジスタQ131とQ132のベースに加えられ、これらのトランジスタのエミッタ出力によって、トランジスタQ136とQ137が駆動される。トランジスタQ136,Q137の各々のコレクタにはPNPトランジスタQ134,Q135,Q140で構成されたカレントミラー回路と、NPNトランジスタQ138,Q139,Q145で構成されたカレントミラー回路に接続され、各々のカレントミラー回路の出力は、ダイオード接続されているトランジスタQ141,Q144を介して接続され、これにより出力トランジスタQ142,Q143が駆動される。トランジスタQ142,Q143のエミッタからの出力信号VOUTはQ136,Q137のエミッタに帰還されている。
このバッファ回路は基本的に電圧フォロワとして動作する。入力電圧VINと出力電圧VOUT間の誤差電圧が大きくなるとトランジスタQ136またはQ137は、極めて大きな電流を出力し、出力トランジスタQ142とQ143を強力に駆動する。従って本実施形態のバッファ回路は単に周波数特性が良いだけではなく、スルーレートが高い、即ち大振幅の信号を高速に出力可能で、重い負荷を駆動することもできる。
この回路の電圧利得を限りなく単位利得”1”に近づけたいような場合、やはりアーリー効果による影響を受ける。利得に影響する主要なトランジスタは、PNPトランジスタQ130、Q137、Q140とNPNトランジスタQ132、Q136、Q145である。前述したように、一般的にはPNPトランジスタの方がアーリー電圧が低いので、トランジスタQ130、Q137、Q140の影響は特に大きい。
本実施形態では、より高い精度を得るため、NPN側のアーリー電圧についても補正回路を設けている。
PNP側のアーリー効果の検出には、トランジスタQ134とQ140のエミッタ間電位差をベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ126、Q127により検出し、それに応じて発生した補正電流を用いて、トランジスタQ134、Q140のエミッタ電流を補正する。
npn側のアーリー効果の検出には、トランジスタQ139とQ145のエミッタ間電位差をベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ128、Q129により検出し、それに応じて発生した補正電流を用いて、トランジスタQ139、Q145のエミッタ電流を補正する。
トランジスタQ126、Q127のエミッタはトランジスタQ125と抵抗素子R125により構成されている電流源回路に共通に接続されている。このため、例えば、抵抗素子R125の抵抗値を調整することにより、電流源回路により発生した電流値が設定され、これに応じて、ベースとコレクタが交差接続されているトランジスタQ126、Q127により発生した補正電流の値を制御することができる。
同様に、トランジスタQ128、Q129のエミッタはトランジスタQ124と抵抗素子R124により構成されている電流源回路に共通に接続されている。このため、例えば、抵抗素子R124の抵抗値を調整することにより、電流源回路により発生した電流値が設定され、これに応じて、ベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ128、Q129により発生した補正電流の値を制御することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、トランジスタQ134とQ140のエミッタの電位差をベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ126、Q127により検出し、それに応じて発生した補正電流をトランジスタQ134、Q140のエミッタに入力し、トランジスタQ139とQ145のエミッタの電位差をベース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ128、Q129により検出し、それに応じて発生した補正電流をトランジスタQ139、Q145のエミッタに入力するので、アーリー効果の影響を抑制でき、バッファ回路の電圧利得がほぼ単位利得“1”に設定できる。さらに、対称的な回路構成により入力信号VINに応じて出力信号VOUTを発生し、出力信号を入力側にフィードバックさせることで信号レベルを制御することにより、周波数特性がよく、駆動能力が大きく、重い負荷を高速に駆動することが可能である。
なお、図5および図6に示す実施形態では、バイポーラトランジスタにより構成した回路において、トランジスタのアーリー効果の補正を例として説明したが、本発明の第2の補正手法は、前述した第1の手法と同様にバイポーラトランジスタに限定されることなく、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、例えば、MOSトランジスタで構成した回路にも適用できることはいうまでもない。
上述のように、本発明の第2の手法で高速バッファ回路を構成することによって、図3に示す第1の手法により構成したバッファ回路に較べて、回路の機能を損なうことなく、回路構成を簡素化できる。一方、例えば、本第2の手法を図2に示すサンプルホールド回路に適用する場合に、カレントミラー回路を構成したトランジスタQ51とQ52がホールドモード時にオフ状態になるため、やや複雑な動作をする。例えば、図5に示す回路において、アーリー効果を補正すべくトランジスタQ111とQ112がオフ状態になる場合に、アーリー効果を検出するために設けられたトランジスタQ113とQ114が一種のラッチ回路であるため、2安定状態を持つ可能性がある。従って、動作状態が一定ではなく、オン/オフ状態が相互に設定されるトランジスタのアーリー効果を補正する場合、図1に示す本発明の第1の手法を用いた方が確実な動作が得られる。一方、安定してオン状態に保持されたトランジスタのアーリー効果を補正する場合に、図5に示す本発明の第2の手法を用いることにより、補正機能を損なうことなく、回路構成の簡素化を実現できる。
本発明に係る電子回路の第1の実施形態を示す回路図である。 本発明に係る電子回路の第2の実施形態を示す回路図である。 本発明に係る電子回路の第3の実施形態を示す回路図である。 本発明に係る電子回路の第4の実施形態を示す回路図である。 本発明に係る電子回路の第5の実施形態を示す回路図である。 本発明に係る電子回路の第6の実施形態を示す回路図である。 トランジスタのIC−VCE特性およびアーリー電圧VAを示すグラフである。 ラテラルPNPトランジスタの構造を示す概念図である。 縦型PNPトランジスタの構造を示す概念図である。 アーリー効果を考慮したトランジスタの等価回路図である。 電圧フォロワの一例を示す回路図である。 電圧フォロワの伝達特性を示すグラフである。 簡単なエミッタフォロワ回路の構成を示す回路図である。 アーリー効果を低減するための電流源回路の回路図である。
符号の説明
10,20…p基板、11,21…n+埋め込み層、12…エピタキシャル領域、13,23…エミッタ領域、14,24…ベース領域、15,25…コレクタ、22…エピタキシャル層、26a,26b、27a,27b…pn接合分離領域、IS0,IS1,IS2,IS3,IS4,IS5…電流源、Q1〜Q5,Q11,Q21,Q22,Q31〜Q34、Q41〜Q46、Q51〜Q66、Q71〜Q99、Q111〜Q145…バイポーラトランジスタ、Q101〜Q110…MOSトランジスタ、R51〜R58、R71〜R85、R111〜R132…抵抗素子、VCC…電源電圧、GND…接地電位。

Claims (7)

  1. ベース電位が同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が接続され、コレクタがそれぞれ第1の機能回路に接続されている第1と第2のトランジスタと、
    ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、差動対を構成している第3と第4のトランジスタと、
    ベース電位が同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されている第5と第6のトランジスタと、
    ベースが上記第5のトランジスタのコレクタに接続され、エミッタに電流源が接続されてエミッタフォロワを形成する第7のトランジスタと、
    ベースが上記第7のトランジスタのエミッタに接続され、エミッタが上記第2のトランジスタのコレクタに接続されてエミッタフォロワを形成する第8のトランジスタと、を有し、
    上記第5のトランジスタのエミッタは、上記第3のトランジスタのコレクタに接続され、上記第6のトランジスタのエミッタは、上記第4のトランジスタのコレクタに接続され、上記第5と第6のトランジスタのコレクタがそれぞれ第2の機能回路に接続され、
    上記第1と第2のトランジスタのアーリー効果により発生するエミッタ間の差電圧を上記第3と第4のトランジスタのコレクタ電流に変換して、当該コレクタ電流を補正を必要とする回路の一部である上記第5と第6のトランジスタのエミッタに供給し、上記第5のトランジスタのコレクタ電位を上記第7と第8のトランジスタを介して上記第2のトランジスタにコピーを行うことにより上記第1と第2のトランジスタのエミッタ間のアーリー効果による差電圧と逆極性に上記第5と第6のトランジスタのエミッタ電圧を制御してアーリー効果を補正する
    電子回路。
  2. エミッタが共通に接続されて差動対を構成している第9と第10のトランジスタと、
    エミッタが電流源に接続され、差動対を構成している第11と第12のトランジスタと、を有し、
    上記第1のトランジスタのコレクタは自身のベースおよび電流源に接続され、上記第1と第2のトランジスタはカレントミラー回路を構成し、
    上記第6のトランジスタのコレクタは自身のベースおよび上記第9のトランジスタのコレクタに接続され、上記第5と第6のトランジスタはカレントミラー回路を構成し、
    上記第9のトランジスタのベースが信号の入力端子に接続され、
    上記第10のトランジスタのベースが上記第2のトランジスタのコレクタおよび上記第8のトランジスタのエミッタに接続され、当該接続点が出力端子に接続され、
    上記第11のトランジスタのコレクタが上記第5のトランジスタのコレクタに接続され、
    上記第12のトランジスタのコレクタが上記第9と第10のトランジスタのエミッタに接続され、
    上記第11のトランジスタのベースがホールド信号の供給ラインに接続され、
    上記第12のトランジスタのベースがサンプル信号の供給ラインに接続され、
    上記第5のトランジスタのコレクタおよび上記第7のトランジスタのベースにキャパシタが接続されている
    請求項1記載の電子回路。
  3. 上記第1、第2、第3および第4の電流供給手段は、抵抗素子により構成されている
    請求項1または2記載の電子回路。
  4. 上記第3と第4のトランジスタのエミッタに接続されている電流供給手段の供給電流は、絶対温度にほぼ比例するように設定されている
    請求項1から3のいずれか一に記載の電子回路。
  5. ゲート電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が接続され、ドレインがそれぞれ第1の機能回路に接続されている第1と第2の電界効果トランジスタと、
    ゲートがそれぞれ上記第1と第2の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが電流源に共通に接続され、差動対を構成している第3と第4の電界効果トランジスタと、
    ゲート電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されている第5と第6の電界効果トランジスタと、
    ゲートが上記第5の電界効果トランジスタのドレインに接続され、ソースに電流源が接続されてソースフォロワを形成する第7の電界効果トランジスタと、
    ゲートが上記第7の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが上記第2の電界効果トランジスタのドレインに接続されてソースフォロワを形成する第8の電界効果トランジスタと、を有し、
    上記第5の電界効果トランジスタのソースは、上記第3の電界効果トランジスタのドレインに接続され、上記第6の電界効果トランジスタのソースは、上記第4の電界効果トランジスタのドレインに接続され、上記第5と第6の電界効果トランジスタのドレインがそれぞれ第2の機能回路に接続され、
    上記第1と第2の電界効果トランジスタのアーリー効果により発生するソース間の差電圧を上記第3と第4の電界効果トランジスタのドレイン電流に変換して、当該ドレイン電流を補正を必要とする回路の一部である上記第5と第6の電界効果トランジスタのソースに供給し、上記第5の電界効果トランジスタのドレイン電位を上記第7と第8の電界効果トランジスタを介して上記第2の電界効果トランジスタにコピーを行うことにより上記第1と第2の電界効果トランジスタのソース間のアーリー効果による差電圧と逆極性に上記第5と第6の電界効果トランジスタのソース電圧を制御してアーリー効果を補正する
    電子回路。
  6. ソースが共通に接続されて差動対を構成している第9と第10の電界効果トランジスタと、
    ソースが電流源に接続され、差動対を構成している第11と第12の電界効果トランジスタと、を有し、
    上記第1の電界効果トランジスタのドレインは自身のゲートおよび電流源に接続され、上記第1と第2の電界効果トランジスタはカレントミラー回路を構成し、
    上記第6の電界効果トランジスタのドレインは自身のゲートおよび上記第9の電界効果トランジスタのドレインに接続され、上記第5と第6の電界効果トランジスタはカレントミラー回路を構成し、
    上記第9の電界効果トランジスタのゲートが信号の入力端子に接続され、
    上記第10の電界効果トランジスタのゲートが上記第2の電界効果トランジスタのドレインおよび上記第8の電界効果トランジスタのソースに接続され、当該接続点が出力端子に接続され、
    上記第11の電界効果トランジスタのドレインが上記第5の電界効果トランジスタのドレインに接続され、
    上記第12の電界効果トランジスタのドレインが上記第9と第10の電界効果トランジスタのソースに接続され、
    上記第11の電界効果トランジスタのゲートがホールド信号の供給ラインに接続され、
    上記第12の電界効果トランジスタのゲートがサンプル信号の供給ラインに接続され、
    上記第5の電界効果トランジスタのドレインおよび上記第7の電界効果トランジスタのゲートにキャパシタが接続されている
    請求項5記載の電子回路。
  7. 上記第3と第4の電界効果トランジスタのソースに接続されている電流供給手段の供給電流は、絶対温度にほぼ比例するように設定されている
    請求項5または6記載の電子回路。
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