JPH1117459A - 電子回路 - Google Patents

電子回路

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JPH1117459A
JPH1117459A JP17239997A JP17239997A JPH1117459A JP H1117459 A JPH1117459 A JP H1117459A JP 17239997 A JP17239997 A JP 17239997A JP 17239997 A JP17239997 A JP 17239997A JP H1117459 A JPH1117459 A JP H1117459A
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transistors
transistor
current
emitter
circuit
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JP17239997A
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Masayuki Katakura
雅幸 片倉
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路の高速性に影響を与えることなく、利得
の精度を改善でき、アーリー効果を低減できる電子回路
を実現する。 【解決手段】 ベースが共通なバイアス電圧VB1により
バイアスされているトランジスタQ41,Q42および
差動増幅回路を構成するトランジスタQ43,Q44に
より、トランジスタQ41,Q42のアーリー効果によ
り生じたトランジスタQ41,Q42のエミッタ電位差
を補正電流Δiとして抽出する。この補正電流Δiをト
ランジスタQ45,Q46のエミッタ側に供給し、トラ
ンジスタQ45,Q46のアーリー効果を補正するの
で、回路の動作特性に影響を与えることなく、アーリー
効果を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路、例え
ば、トランジスタのアーリー効果を補正する機能を備え
た電子回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トランジスタのコレクタ電流は、便宜的
に電流源として考えるが、実際には図7のIC −VCE
性に示すように有限のインピーダンスを持っている。な
お、図7において、IC はトランジスタのコレクタ電
流、VCEはトランジスタのコレクタ−エミッタ間電
圧、IB1,IB2,IB3はベース電流、VBE1 ,VBE2
BE3 はベース−エミッタ間電圧をそれぞれ表してい
る。
【0003】トランジスタのこのような特性はアーリー
効果と呼ばれ、バイポーラ型トランジスタの場合VCE
増えるとコレクタ−ベース間の空乏層が広がり、実効的
なベース幅が変調されるために起こる。同様の現象は接
合型やMOS型のFET(電界効果トランジスタ)にお
いても起こる。これは飽和領域におけるチャンネルとド
レイン間の空乏層の広がりによるものと考えられる。図
7に示すように、IC −VCE特性の直線部をのばすと、
B に殆ど依存せずに一点でX軸に集まる。これが図7
のVA として示され、アーリー電圧と称される。
【0004】回路設計からいえば、アーリー電圧は高い
方が都合がよい。アーリー電圧が低いとコレクタ(又は
ドレイン)電流が定電流源と見なされず、利得の低下や
オフセット特性の劣化を招くからである。しかしデバイ
ス構造の微細化に伴い、アーリー電圧は低下する傾向に
ある。微細化やデバイスの高速化のためにはベース幅を
薄く作らなければならず、同じ空乏層の広がりでも相対
的なベース幅の変化が大きくなる、等の理由である。
【0005】またバイポーラ型集積回路(IC)につい
ていえば、基本デバイスであるNPN型トランジスタは
それ程でもないが、PNP型トランジスタの方がアーリ
ー電圧を高く作ることが難しい。PNP型トランジスタ
の構造は3種類に分類できる。サブストレート(基板)
PNP型、ラテラル(横型)PNP型、バーティカル
(縦型)PNP型トランジスタである。前者の2種は標
準的なバイポーラ型ICに特に追加工程なしに生成でき
るため広く使われる。後者は追加工程が必要なため、特
別な理由により高性能なPNPトランジスタが必要な場
合のみ使われる。
【0006】以下、ラテラルPNPトランジスタやバー
ティカルPNPトランジスタのアーリー電圧が高く作り
にくい理由について簡単に説明する。サブストレートP
NPではアーリー電圧VA を問題にすることはほとんど
ない。これはエミッタフォロワとしての使い方しかでき
ないためである。
【0007】ラテラルPNPトランジスタは図8のよう
な構造を持つ。図8において、10はp基板、11はn
+ 埋め込み層、12はエピタキシャル領域(Epi)、
13はエミッタ領域(E)、14はベース領域(B)、
15はコレクタ(C)領域をそれぞれ示している。埋め
込み層11は、p基板10に形成されているn+ 領域で
ある。エピタキシャル領域は、埋め込み層11の上にエ
ピタキシャル成長により形成したn- 領域である。エミ
ッタ領域13およびコレクタ領域15は、それぞれp+
領域により構成され、ベース領域14はエピタキシャル
領域12に形成されており、n- 領域により構成されて
いる。
【0008】エミッタ13とコレクタ15はNPNトラ
ンジスタのベースの領域を使い、ベース14はNPNト
ランジスタのコレクタ領域に対応するエピタキシャル領
域12を使う。そのためエピタキシャル領域12を使う
ベース14の方が、コレクタ15よりも不純物濃度が薄
くなってしまう。その結果コレクタ−ベース間に電圧が
加わると空乏層は主にベース領域にしか延びられず、ベ
ース幅変調が大きくなりアーリー電圧VA が低いデバイ
スとなってしまう。
【0009】また、図9は代表的なバーティカルPNP
型トランジスタの構造を示す図である。図9において、
20はp基板、21はn+ 埋め込み層、22はエピタキ
シャル層(Epi)、23はエミッタ領域(E)、24
はベース領域(B)、25はコレクタ(C)領域、26
a,26b、27a,27bはpn接合分離領域をそれ
ぞれ示している。
【0010】埋め込み層21は、p基板20に形成され
ているn+ 領域である。埋め込み層21が形成した後、
エピタキシャル層22を形成する前に、p+ 領域からな
るコレクタ領域25が形成される。コレクタ領域21が
形成した後、その上にエピタキシャル成長によりエピタ
キシャル層22が形成される。なお、図示のようにエピ
タキシャル層は、n- 領域により構成されている。エピ
タキシャル層21が形成した後、その上にn+ 領域が形
成され、このn+領域によりベース領域24が構成され
ている。さらに、ベース領域24の上に、p+ 領域が形
成され、これによりエミッタ領域24が構成されてい
る。pn接合領域26a,26b、27a,27bは、
図示のようにp+ 領域により構成され、半導体集積回路
が動作するとき、p基板20が回路の最低電位に設定さ
れ、このpn接合が逆にバイアスされることによって、
各素子を電気的に分離される。
【0011】このように形成したPNPトランジスタ
は、動作するときエミッタ電流は基板表面にあるエミッ
タ領域23から基板の深さ方向、即ち、縦方向に流れる
ので、バーティカル(縦型)PNPトランジスタと呼ば
れる。
【0012】n+ 領域からなる埋め込み層はNPNトラ
ンジスタのコレクタ抵抗を下げるため不純物濃度がかな
り濃く設定される。コレクタ領域25においてはそれを
+型に反転させるため、やはりかなり濃い濃度にな
る。n+ 型として形成されたベース領域24の下部には
エピタキシャル層22を薄く残した方が、エピタキシャ
ル層の厚さのばらつき等による生産性が良い、また耐圧
を確保する上でも都合がよい。その結果、この構造のベ
ース−コレクタ接合部もコレクタ側よりベース側の濃度
が薄い構造となり、空乏層がベース側に延び、アーリー
電圧VA の低いデバイスとなる。
【0013】複雑な構造を作れば、ラテラルPNP型ト
ランジスタやバーティカルPNP型トランジスタでもア
ーリー電圧VA の高いデバイスを作ることは不可能では
ない。しかしマスク枚数や製造工程数が大幅に増加し、
高価で生産性の悪いデバイスになってしまい実用的では
ない。
【0014】次にアーリー電圧VA が低いと回路設計上
どのような不都合があるかについて説明する。図10は
アーリー効果を考慮した場合のトランジスタの等価回路
を示している。図示のように、アーリー効果は、図7に
示すように、理想的なトランジスタQに有限のコレクタ
抵抗RCがつながったものと考えることができる。
【0015】図11は電圧フォロワとして広く用いられ
る回路の一例を示す回路図である。図示のように、本例
の電圧フォロワ回路は、PNP型トランジスタQ1,Q
2、NPN型トランジスタQ3,Q4,Q5および電流
源IS1,IS2により構成されている。トランジスタ
Q3のベースは、入力電圧VINの端子に接続され、コレ
クタはノードND1に接続されている。トランジスタQ
4のベースは出力電圧VOUT の端子に接続され、コレク
タはノードND2に接続されている。トランジスタQ
3,Q4のエミッタが電流源IS1に共通に接続されて
いる。トランジスタQ1とQ2のベースが共通に接続さ
れ、エミッタがともに電源電圧VCCの供給線に接続され
ている。トランジスタQ1のコレクタは、そのベースと
ともにノードND1に接続され、トランジスタQ2のコ
レクタはノードND2に接続されている。トランジスタ
Q5のベースはノードND2に接続され、コレクタは電
源電圧VCCの供給線に接続され、エミッタは電圧VOUT
の出力端子に接続されている。さらに、出力端子に電流
源IS2が接続されている。
【0016】即ち、トランジスタQ3,Q4は差動増幅
回路を構成しており、電流源IS1によりこの差動増幅
回路に動作電流を供給されている。トランジスタQ1,
Q2によりカレントミラー回路を形成し、このカレント
ミラー回路は差動増幅回路の負荷を構成している。入力
電圧VINに応じて差動増幅回路の出力ノードND2の電
圧が設定される。さらに、トランジスタQ5はエミッタ
フォロワを構成しており、ノードND2の電圧に応じて
出力電圧VOUT のレベルを設定するので、トランジスタ
Q1〜Q5は理想的なトランジスタである場合に、出力
電圧VOUT のレベルは入力電圧VINのレベルに追従する
形となる。
【0017】さらに、このように構成された電圧フォロ
ワは回路構成が簡素で、帯域も広く取りやすい。しか
し、実際のトランジスタはアーリー効果の影響を受け、
理想的な特性が得られない。トランジスタのアーリー効
果を考慮する場合に、本例の電圧フォロワは、図示のよ
うに、回路を構成する各トランジスタのコレクタにコレ
クタ抵抗RCPおよびRCNがそれぞれ接続されている
回路により等価的に表すことができる。この回路におい
てトランジスタのアーリー電圧が低いと、下記の2つの
問題が生ずる。まず、入出力電圧VIN,VOUT 間にオフ
セット電圧が発生する。次に、回路の利得が厳密な単位
利得“1”より若干低下する。
【0018】具体的に、アーリー効果による影響を検討
する場合に、トランジスタQ1、Q2のコレクタに抵抗
RCPが、Q3、Q4のコレクタに抵抗RCNがつなが
り、これはどのような影響を及ぼすかを考えればよい。
アーリー効果により、この回路の伝達特性は図12のよ
うなものとなる。入力電圧がViの時出力電圧はオフセ
ット電圧Voffだけずれたものとなる。このオフセッ
ト電圧は、入力電圧VINがVCC−2VF (VF はPN接
合の順方向降下電圧)の時ほぼゼロとなる。その時トラ
ンジスタQ1とQ2、またはトランジスタQ3とQ4の
CEが等しくなるからである。オフセット電圧Voff
は、VINに依存し変化する。これは伝達特性の傾斜に注
目すれば、等価的に利得が低下したと考えることができ
る。
【0019】この回路において、NPN型トランジスタ
のアーリー効果とPNP型トランジスタのアーリー効果
は加算される。しかし前述したように、通常のバイポー
ラICプロセスにおいては、PNPのアーリー電圧がN
PNに比較し大幅に劣るケースが多いので、オフセット
特性や利得の低下は主にPNPの性能によって決まる。
【0020】同様な問題は、図13に示す極めて単純な
エミッタフォロワ回路においても問題になる場合があ
る。例えばAC的な利得を限りなく単位利得”1”にし
たいような場合において、その精度を決める要因がアー
リー効果である。
【0021】次にアーリー効果による性能の劣化を防ぐ
従来技術について説明する。電流源や電流ミラー(カレ
ントミラー)回路の場合には、図14(a)に示すよう
にエミッタに帰還抵抗REを入れる方法がある。これは
非常に簡便で相応な効果がある。REの電圧降下をVE
とすると、見かけ上のアーリー電圧は(1+VE
T )倍程度になる。ここで、VT は熱電圧(=kT/
q)で室温で約26mVである。
【0022】カレントミラー回路に有効な別の方法とし
て、図14(b)に示すような回路も知られている。こ
の回路は考案者の名前を取り、ウィルソン型カレントミ
ラー回路とも呼ばれる。この回路においてトランジスタ
Q34がカスケードにはいるので、見かけのアーリー電
圧は電流倍増率HFE倍に近くなり効果は絶大である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の回路においては、トランジスタのアーリー効果によ
る影響を完全に抑制することができず、高精度の信号処
理回路にとってその精度がアーリー効果により制限され
てしまうという不利益がある。また、アーリー電圧の値
は製造工程によって大きくバラツキ、一定値に制御する
ことが困難である。従って、固定の補正係数を導入した
として大した効果が得られず、有効な補正手段はないの
は実情である。
【0024】さらに、図14(b)に示すウィルソン型
カレントミラー回路においては、アーリー効果を抑制す
る有効な手段の一つであるが、この回路は電圧ロスが大
きく、低電圧回路に向かないことである。
【0025】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、回路の高速性に影響することな
く、且つ利得の精度が高く、アーリー効果を低減できる
電子回路を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の電子回路は、ベース電位が同じレベルに保
持され、エミッタに所定の電流を供給する第1と第2の
電流供給手段が接続され、コレクタがそれぞれ所定の機
能回路に接続されている第1と第2のトランジスタと、
ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミ
ッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、
差動対を構成している第3と第4のトランジスタとを有
し、上記第3と第4のトランジスタのコレクタ電流を受
けて、これらのコレクタ電流に応じてアーリー効果を補
正する。
【0027】また、本発明の電子回路は、ベース電位が
同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給す
る第1と第2の電流供給手段が接続され、コレクタがそ
れぞれ所定の機能回路に接続されている第1と第2のト
ランジスタと、ベースがそれぞれ上記第1と第2のトラ
ンジスタのエミッタに接続され、エミッタが電流源に共
通に接続され、差動対を構成している第3と第4のトラ
ンジスタとを有し、上記第3のトランジスタのコレクタ
が上記第2のトランジスタのエミッタに、上記第4のト
ランジスタのコレクタが上記第1のトランジスタのエミ
ッタにそれぞれ接続し、上記第3および第4のトランジ
スタのコレクタ電流に応じて、上記第1および第2のト
ランジスタのエミッタ電流が制御され、これらのトラン
ジスタのアーリー効果が補正される。
【0028】また、本発明の電子回路は、ベース電位が
同じレベルに保持され、エミッタに所定の電流を供給す
る第1と第2の電流供給手段が接続され、コレクタがそ
れぞれ所定の機能回路に接続されている第1と第2のト
ランジスタと、ベースがそれぞれ上記第1と第2のトラ
ンジスタのエミッタに接続され、エミッタが電流源に共
通に接続され、差動対を構成している第3と第4のトラ
ンジスタと、ベース電位が同じレベルに保持され、エミ
ッタに所定の電流を供給する第3と第4の電流供給手段
が接続されている第5と第6のトランジスタとを有し、
上記第5のトランジスタのエミッタは、上記第3のトラ
ンジスタのコレクタに接続され、上記第6のトランジス
タのエミッタは、上記第4のトランジスタのコレクタに
接続され、上記第5、第6のトランジスタのコレクタが
それぞれ所定の機能回路に接続され、上記第3および第
4のトランジスタのコレクタ電流に応じて当該第5およ
び第6のトランジスタのアーリー効果が補正される。
【0029】また、本発明の電子回路は、ゲート電位が
同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を供給する
第1と第2の電流供給手段が接続され、ドレインがそれ
ぞれ所定の機能回路に接続されている第1と第2の絶縁
ゲート型電界効果トランジスタと、ゲートがそれぞれ上
記第1と第2のトランジスタのソースに接続され、ソー
スが電流源に共通に接続され、差動対を構成している第
3と第4の絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、ゲー
ト電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電流を
供給する第3と第4の電流供給手段が接続されている第
5と第6の絶縁ゲート型電界効果トランジスタとを有
し、上記第5のトランジスタのソースは、上記第3のト
ランジスタのドレインに接続され、上記第6のトランジ
スタのソースは、上記第4のトランジスタのドレインに
接続され、ドレインがそれぞれ所定の機能回路に接続さ
れ、上記第3および第4のトランジスタのドレイン電流
に応じて当該第5および第6のトランジスタのアーリー
効果が補正される。
【0030】さらに、本発明では、好適には上記第3と
第4のトランジスタのエミッタ或いはソースに接続され
ている電流供給手段の供給電流は、絶対温度にほぼ比例
するように設定されている。
【0031】本発明によれば、第1と第2のトランジス
タのアーリー効果によりこれらのトランジスタのエミッ
タまたはソース間に生じた電位差が、第3と第4のトラ
ンジスタからなる差動対により補正電流に変換される。
この補正電流は、第3と第4のトランジスタのコレクタ
またはドレイン電流として出力される。当該補正電流に
応じて、アーリー効果による影響が問題となるトランジ
スタに対して、補正が行われる。なお、補正の対象とな
るトランジスタは、例えば、上記第1および第2のトラ
ンジスタ、或いは、第5および第6のトランジスタ。第
3と第4のトランジスタのコレクタ電流がそれぞれ補正
対象となるトランジスタのエミッタまたはソース側に入
力される。これによって、第1および第2のトランジス
タのアーリー効果を第3と第4のトランジスタからなる
差動対により検出され、それに応じて補正電流が発生さ
れる。当該補正電流を用いて第1および第2のトランジ
スタ、或いは、第5および第6のトランジスタのエミッ
タまたはソース電流を制御するので、補正対象のトラン
ジスタにおけるアーリー効果による影響が低減できる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の電子回路は、ベースまた
はゲートを同電位に保持されている一対のトランジスタ
のエミッタ、またはソース電位差としてアーリー効果を
検出し、さらに一対のトランジスタからなる差動対によ
り電流に変換し補正電流を発生させ、当該補正電流によ
って、トランジスタのアーリー効果による影響を補正す
るものである。以下、本発明の幾つかの実施形態につい
て、図面を参照しつつそれぞれ構成および動作を詳述
し、本発明の電子回路の特徴を明らかにする。
【0033】第1実施形態 図1は本発明に係る電子回路の第1の実施形態を示す回
路図である。図示のように、本実施形態の電子回路は、
npn型トランジスタQ43,Q44、pnp型トラン
ジスタQ41,Q42,Q45,Q46および電流源I
S0,IS1,IS2,IS3,IS4により構成され
ている。トランジスタQ41,Q42はそれぞれ第1と
第2のトランジスタとし、また、トランジスタQ45,
Q46はそれぞれ第5と第6のトランジスタとして、こ
れらのトランジスタは、アーリー効果の影響を受けるト
ランジスタ対である。トランジスタQ43,Q44は、
第3および第4のトランジスタとして、差動対を構成し
ている。
【0034】本実施形態では、差動対を成しているトラ
ンジスタQ43,Q44により、アーリー効果により生
じたトランジスタQ41,Q42のエミッタ間の差電圧
を検出し、当該差電圧をこれらのトランジスタのコレク
タ電流に変換する。さらに、トランジスタQ41,Q4
2のコレクタ電流に応じて、トランジスタQ40,Q4
6のエミッタを制御することにより、トランジスタQ4
5,Q46におけるアーリー効果による影響を補正す
る。以下、図1を参照しつつ、本実施形態の電子回路の
構成および動作をさらに詳細に説明する。
【0035】トランジスタQ41,Q42のベースはと
もにバイアス電圧VB1によりバイアスされ、トランジス
タQ41のエミッタは電流源IS0に接続され、トラン
ジスタQ42のエミッタは電流源IS1に接続されてい
る。ここで、電流源IS0,IS1の供給電流値はとも
にI0 とする。
【0036】トランジスタQ43,Q44は差動増幅回
路を構成している。トランジスタQ43のベースは、ト
ランジスタQ41のエミッタに接続され、トランジスタ
Q44のベースは、トランジスタQ42のエミッタに接
続されている。トランジスタQ43,Q44のエミッタ
は、電流源IS4に共通に接続されている。さらに、ト
ランジスタQ45,Q46のベースは、バイアス電圧V
B2によりバイアスされ、トランジスタQ45のエミッタ
は、トランジスタQ43のコレクタとともに電流源IS
2に接続され、トランジスタQ46のエミッタは、トラ
ンジスタQ44のコレクタとともに電流源IS3に接続
されている。ここで、電流源IS2,IS3の供給電流
値をともにI1 とし、さらに、電流源IS4の供給電流
値を、2I1 とする。
【0037】トランジスタQ41,Q42のコレクタは
それぞれ他の機能回路に接続されており、これらのトラ
ンジスタのコレクタ電圧をVC1,VC2として、アーリー
効果によりこれらのトランジスタのベース−エミッタ間
電圧VBE1 ,VBE2 が異なる。さらに、これらのトラン
ジスタベース−エミッタ間電圧VBE1 ,VBE2 の差は、
図1に示すエミッタ電圧差ΔVE として反映される。
【0038】以下、図1の回路図および図5に示すトラ
ンジスタのIC −VCE特性を参照しつつ、本実施形態の
電子回路のアーリー効果抑制の原理について説明する。
図5に示すIC −VCE特性グラフにおいて、ベース−エ
ミッタ間電圧をVBEとし、コレクタ−エミッタ間電圧を
CEとし、コレクタ電流をIC とすると、次式が得られ
る。
【0039】
【数1】 IC =(1+VCE/VA )・IS ・exp(VBE/VT ) …(1) なお、VA はアーリー電圧、VT は熱電圧(=kT/
q)である。
【0040】ここで、任意のVBEに対し、VCE=0近傍
でのIC をIC0とし、任意のVCEにおいてIC =IC0
保つベースエミッタ間電圧VBE−ΔVは次式により求ま
る。
【数2】 ΔV=VT ・ln(1+VCE/VA ) …(2)
【0041】この式により、図1における差電圧ΔVE
を求めることができる。ここで、トランジスタQ41、
Q42のコレクタ−エミッタ間電圧VCE1 ,VCE2 、ベ
ース−エミッタ間電圧をVBE1 ,VBE2 とすると、次式
が得られる。
【0042】
【数3】 VCE1 =VC1−VB +VBE1 …(3)
【数4】 VCE2 =VC2−VB +VBE2 …(4)
【0043】各トランジスタのベース−エミッタ間電圧
BE1 ,VBE2 をVCE=0近傍での値と、アーリー効果
分を区別して表現すると、次式が得られる。
【0044】
【数5】 VBE1 =VBE0 +ΔV1 =VBE0 +VT ・ln(1+VCE1 /VA ) …(5)
【数6】 VBE2 =VBE0 +ΔV2 =VBE0 +VT ・ln(1+VCE2 /VA ) …(6)
【0045】ここで、電圧VBE0 はトランジスタのコレ
クタ−エミッタ間電圧VCE=0の近傍におけるベース−
エミッタ間電圧である。その結果、図1におけるトラン
ジスタQ41,Q42のエミッタ電圧差ΔVEは次式の
ようになる。
【0046】
【数7】
【0047】この差電圧ΔVE はトランジスタQ43,
Q44に伝達される電流に変換される。電流の変化分Δ
iは次式により求まる。
【数8】
【0048】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、ベースが共通なバイアス電圧VB1によりバイアスさ
れているトランジスタQ41,Q42および差動増幅回
路を構成するトランジスタQ43,Q44により、トラ
ンジスタQ41,Q42のアーリー効果を補正電流Δi
として抽出する。この補正電流ΔiをトランジスタQ4
5,Q46のエミッタに供給し、トランジスタQ45,
Q46は、アーリー効果を問題とし、その補正を必要と
する回路の一部でその電流源を構成しているので、補正
電流Δiに応じて当該電流源の電流を調整することによ
りトランジスタQ45,Q46のアーリー効果を補正す
ることができる。
【0049】次に、アーリー効果を補正電流Δiとして
抽出し、本来の信号処理として望ましくないアーリー効
果の影響をどのように排除するかを、具体的な回路例を
用いて、次の実施形態でさらに詳しく説明する。
【0050】第2実施形態 図2は本発明に係る電子回路の第2の実施形態を示す回
路図である。本実施形態は、図1に示すアーリー効果補
正回路が高速のサンプルホールド回路に適用した回路例
である。
【0051】図示のように、トランジスタQ51〜Q5
4が電圧フォロワを構成し、トランジスタQ55,Q5
6によりその電圧フォロワを能動状態にしたり、遮断状
態にしたりすることによりサンプルホールドの機能を成
している。トランジスタQ53,Q54は差動増幅回路
を構成し、抵抗素子R51,R52およびトランジスタ
Q51,Q52はカレントミラー回路を構成し、この差
動増幅回路の負荷を成している。トランジスタQ55,
Q56により、この差動増幅回路に動作電流を選択的に
供給する。トランジスタQ53のベースは信号VINの入
力端子INに接続され、トランジスタQ54ベースは出
力端子OUTに接続されている。トランジスタQ53,
Q54コレクタはそれぞれトランジスタQ51,Q52
のコレクタに接続され、これらのトランジスタのエミッ
タがトランジスタQ56のコレクタに共通に接続されて
いる。
【0052】トランジスタQ55,Q56は差動増幅回
路を構成し、トランジスタQ55のベースはホールド信
号VH の入力端子に接続され、トランジスタQ56のベ
ースはサンプル信号VS の入力端子に接続されている。
トランジスタQ55のコレクタは、トランジスタQ52
のエミッタ、即ち、ノードND1に接続されている。さ
らに、トランジスタQ55,Q56のエミッタはトラン
ジスタQ57のコレクタに共通に接続されている。トラ
ンジスタQ57のベースはバイアス電圧VB によりバイ
アスされ、エミッタは、抵抗素子R53を介して接地さ
れている。トランジスタQ57と抵抗素子R53により
電流源が構成され、バイアス電圧VB に応じて、トラン
ジスタQ55,Q56からなる差動対への供給電流が制
御される。
【0053】ホールド信号VH およびサンプル信号VS
に応じて、トランジスタQ55,Q56からなる差動対
の動作状態が制御される。さらに、それに応じて電圧フ
ォロワを構成するトランジスタQ53,Q54の動作状
態に制御される。例えば、差動対のトランジスタQ56
がオンしていると、Q51〜Q54は電圧フォロワとし
て機能する。逆にトランジスタQ55がオンすると、ト
ランジスタQ56がオフ状態に保持され、トランジスタ
Q51〜Q54からなる電圧フォロワは遮断状態にな
り、キャパシタC51は元の電位を保持する。
【0054】キャパシタC51の一方の電極はノードN
D2、即ちトランジスタQ52とQ54のコレクタの共
通の接続点に接続され、他方の電極が接地されている。
トランジスタQ58のベースはノードND2に接続さ
れ、コレクタは電源電圧VCCの供給線に接続され、エミ
ッタはノードND3に接続されている。また、トランジ
スタQ59のベースはバイアス電圧VB によりバイアス
され、コレクタはノードND3 に接続され、エミッタは
抵抗素子R54を介して接地されている。
【0055】即ち、トランジスタQ58はエミッタフォ
ロワを構成しており、トランジスタQ59、抵抗素子R
54により、エミッタに電流を供給する電流源回路が構
成されている。このように構成されているエミッタフォ
ロワにより、ノードND2の電位に応じて、ノードND
3の電位が設定される。例えば、ノードND3の電位
は、ノードND2の電位よりトランジスタQ58のベー
ス−エミッタ間電圧分低く設定されている。
【0056】抵抗素子R55,R56およびトランジス
タQ61,Q62により、カレントミラー回路が構成さ
れている。さらに、トランジスタQ60により、エミッ
タフォロワを構成されている。図示のように、トランジ
スタQ60のベースはノードND3に接続され、コレク
タは接地され、エミッタはトランジスタQ61のコレク
タとともに出力電圧VOUT の端子OUTに接続されてい
る。また、トランジスタQ62のコレクタにトランジス
タQ63と抵抗素子R57からなる電流源回路が接続さ
れている。トランジスタQ63のベースは、バイアス電
圧VB によりバイアスされ、コレクタはトランジスタQ
62のコレクタに接続され、エミッタは抵抗素子R57
を介して接地されている。
【0057】トランジスタQ64,Q65は差動対を構
成しており、トランジスタQ64,Q65のベースは、
それぞれトランジスタQ61,Q62のエミッタに接続
されている。トランジスタQ64のコレクタは、トラン
ジスタQ52のコレクタに接続され、トランジスタQ6
5のコレクタは、トランジスタQ51のコレクタに接続
されている。トランジスタQ64,Q65のエミッタに
トランジスタQ66と抵抗素子R58からなる電流源回
路が接続されている。トランジスタQ66のベースは、
バイアス電圧VB によりバイアスされ、コレクタはトラ
ンジスタQ64,Q65のエミッタに接続され、エミッ
タは抵抗素子R58を介して接地されている。
【0058】電流源回路により、回路の各部分の動作電
流が設定される。例えば、トランジスタQ53とQ54
からなる差動対の両側に対して、抵抗素子R51,R5
2およびトランジスタQ51,Q52からなるカレント
ミラー回路により、それぞれ電流I2 が供給される。ま
た、トランジスタQ66と抵抗素子R58により構成さ
れた電流源により、トランジスタQ64とQ65のエミ
ッタに電流2・I1 が供給されている。
【0059】以下、図2を参照しつつ、本実施形態の電
子回路の動作について説明する。本実施形態の電子回路
においては、例えば、サンプリング動作時に、サンプル
信号VS がハイレベル、ホールド信号VH がローレベル
にそれぞれ保持され、逆に、ホールド時に、ホールド信
号VH がハイレベル、サンプル信号VS がローレベルに
それぞれ保持されている。
【0060】このため、サンプリング動作時に、トラン
ジスタQ55,Q56からなる差動対において、トラン
ジスタQ55がオフ状態、トランジスタQ56がオン状
態に保持されている。トランジスタQ57と抵抗素子R
53からなる電流源回路により、2・I2 の電流が供給
されているとすると、サンプリング動作時に、電流2・
2 がトランジスタQ56側に流れる。トランジスタQ
51とQ52のアーリー効果による影響で、抵抗素子R
51,R52に不平衡電流Δi2 が生じる。例えば、図
2に示すように、抵抗素子R51,R52に流れる電流
がそれぞれ(I2 −Δi2 )、(I2 +Δi2 )であ
る。
【0061】サンプリング動作時に、トランジスタQ5
3とQ54からなる差動対により、ノードND2の電圧
が入力信号VINに応じて設定される。さらに、ノードN
D2の電圧がトランジスタQ58,Q60からなる2段
のエミッタフォロワにより、出力電圧VOUT として出力
端子OUTに出力される。ここで、トランジスタQ58
とQ60のエミッタ−ベース間電圧がほぼ同じ値とする
と、出力電圧VOUT のレベルは、ノードND2の電圧レ
ベルとほぼ同じく保持されている。出力端子OUTの電
圧VOUT がトランジスタQ54のベースにフィードバッ
クされ、これに応じてノードND2が電圧レベルが制御
されるでの、サンプリング動作時に、ノードND2の電
圧は、入力端子INの電圧VINに追従して変化する。さ
らに、ノードND2の電圧は2段のエミッタフォロワ回
路により、出力端子OUTに出力される。
【0062】ホールド時に、トランジスタQ55,Q5
6からなる差動対において、トランジスタQ55がオン
状態、トランジスタQ56がオフ状態にそれぞれ保持さ
れているので、電圧フォロワが遮断状態にあり、このと
き、トランジスタQ53,Q54からなる差動対に電流
が供給されることなく、ノードND2の電位がキャパシ
タC51により保持され、元の値が保持される。
【0063】このように、本例電子回路により、サンプ
ル信号VS およびホールド信号VHにより選択的に動作
状態と遮断状態に設定されている電圧フォロワにより、
サンプルホールド回路が構成されている。サンプリング
動作時に、入力信号VINに応じて出力信号VOUT のレベ
ルが設定され、ホールド時に、前回のサンプリング動作
で設定されている信号レベルがそのまま保持される。
【0064】上述したサンプルホールド回路において、
トランジスタQ51、Q52のアーリー効果は出力信号
OUT のオフセット電圧の主要な原因となる。トランジ
スタQ51のコレクタ−エミッタ間電圧VCEはVF (P
N接合の順方向降下)であり、トランジスタQ52のコ
レクタ−エミッタ間電圧VCEは、概略(VCC−VIN)で
ある。この実施例においては、トランジスタQ60から
なるエミッタフォロワの電流源を形成しているカレント
ミラー回路Q61、Q62をアーリー効果検出に利用し
ている。即ち、トランジスタQ62のコレクタ−エミッ
タ間電圧はVであり、Q61のコレクタ−エミッタ間
電圧は、概略(VCC−VIN)である。
【0065】図1に示す実施形態では、トランジスタQ
41、Q42のエミッタには電流源が接続されていた
が、この実施例では抵抗素子R55、R56が接続され
ている。抵抗素子R55、R56の電圧降下がVT より
充分大きければ、実質的な違いはない。従って、トラン
ジスタQ51とQ52のアーリー効果はトランジスタQ
61、Q62に複製される。各々のエミッタ間電位差は
ほぼ等しいΔVE となり、次のように表される。
【0066】
【数9】
【0067】さらに、アーリー効果の補正電流となるト
ランジスタQ64,Q65のコレクタ電流IC の変化分
Δi1 は次のようになる。
【数10】
【0068】次に、抵抗素子R51,R52に流れる不
平衡電流Δi2 について考える。この電流は、トランジ
スタQ51,Q52のベース−エミッタ間電圧差ΔVB
によって発生する。抵抗素子R51,R52の抵抗値を
r51,r52(r51=r52=RE )とすると、Δ
2 は次式により表される。
【0069】
【数11】 Δi2 =ΔVB /(2・RE ) …(11)
【0070】従って、トランジスタQ51,Q52のア
ーリー効果によるオフセットを回避するには、(Δi2
=Δi1 )となるように条件を設定すれば、Δi2 はト
ランジスタQ51,Q52に流れ込むことなく、抵抗素
子R51,R52に生じた不平衡電流は、補正電流Δi
1 によりキャンセルされる。その条件は次式のようにな
る。
【0071】
【数12】
【0072】さらにこの式は、(VCC−VIN)<<VA
の条件で近似式を導出すると、次式のようになる。
【数13】
【0073】このような設定により、トランジスタQ5
1、Q52のアーリー効果によるオフセット電圧の発生
をキャンセルすることができる。上記の解析は、いくつ
かの近似を用いているので、非常に正確なものではな
い。実際に回路シミュレータを用いてアーリー効果によ
るオフセット電圧がゼロになるようトランジスタQ6
4、Q65の電流I1 を調整すればよい。電流I1 はい
わば、補正係数を設定するための電流である。
【0074】式(13)が示すように、この電流は熱電
圧VT 、即ちチップの絶対温度に比例するように構成す
ることがより望ましい。それにより温度が変化した場合
にもより完全な補正効果が得られる。多くの場合、そこ
まではしなくとも相応の補正の効果は充分に得られる。
【0075】この実施例では、トランジスタQ51、Q
52とトランジスタQ61、Q62のコレクタ−エミッ
タ間電圧VCEがほぼ完全に等しくなるが、そこまでしな
くてVF 程度はずれていても、入力信号VINや、電源電
圧VCCの変動が同等に印加されれば充分な効果が得られ
る。
【0076】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、アーリー効果を補償するために、単にトランジスタ
Q51、Q52のエミッタに補正電流を加えるのみなの
で、回路性能には何らの悪影響も及ぼさない。これは特
に回路に高速動作が要求される場合に重要で、非常に複
雑な回路を構成すればアーリー効果の影響を受けにくい
回路は可能であるが、従来の手法によれば、一般的には
回路の高速性を損なう場合が多く、アーリー効果の影響
を抑制するには限度があった。本実施形態の電子回路に
よれば、このような問題がなく、回路の高速性を損なう
ことなく、アーリー効果による影響を抑制できる。
【0077】第3実施形態 図3は本発明の第3の実施形態、即ち、本発明の電子回
路を高速バッファ回路に適応した例を示す回路図であ
る。図示のように、本実施形態の電子回路は基本的に完
全な対称回路となっている。トランジスタQ71,Q7
3,Q77,Q81,Q87,Q72,Q74,Q7
8,Q84およびそれぞれのトランジスタのエミッタに
接続されている抵抗素子R71,R73,R75,R7
7,R79,R72,R74,R76,R78により、
それぞれ定電流を発生する電流源回路が構成されれてい
る。トランジスタQ79,Q80からなる差動対および
トランジスタQ82,Q83からなる差動対はアーリー
効果を補正するために設けられている。
【0078】トランジスタQ85,Q86は信号入力の
ために設けられており、トランジスタQ90,Q91は
トランジスタQ85,Q86のエミッタ出力により駆動
されるトランジスタである。pnp型トランジスタQ8
8,Q89,Q94はカレントミラー回路を構成してお
り、このカレントミラー回路はトランジスタQ90のコ
レクタ側の負荷回路を構成している。npn型トランジ
スタQ92,Q93,Q97はカレントミラー回路を構
成しており、このカレントミラー回路はトランジスタQ
91のコレクタ側の負荷回路を構成している。
【0079】これらのカレントミラー回路の出力信号
は、ダイオード接続となっているトランジスタQ95,
Q96を介して接続されており、これによって出力トラ
ンジスタQ98,Q99を駆動する。トランジスタQ9
8,Q99のエミッタが共通の端子に接続され、この端
子から出力信号VOUT が出力される。さらに、出力信号
OUT はトランジスタQ90,Q91のエミッタにフィ
ードバックされている。
【0080】以下、図3を参照しつつ、本実施形態の電
子回路の動作について説明する。入力信号VINは、トラ
ンジスタQ85、Q86のベースに加えられ、これらの
トランジスタのエミッタ出力はトランジスタQ90、Q
91のベースを駆動する。トランジスタQ90、Q91
の各々のコレクタにはpnpトランジスタQ88、Q8
9、Q94で構成されたカレントミラー回路と、npn
トランジスタQ92、Q93、Q97で構成されたカレ
ントミラー回路に接続され、各々のカレントミラー回路
の出力は、ダイオード接続されているトランジスタQ9
5、Q96を介して接続され、出力トランジスタQ9
8、Q99を駆動する。出力はQ90、Q91のエミッ
タに帰還されている。
【0081】この回路は基本的に電圧フォロワとして動
作する。入力電圧VINと出力電圧VOUT 間の誤差電圧が
大きくなるとトランジスタQ90またはQ91は、極め
て大きな電流を出力し、出力トランジスタQ98、Q9
9を強力に駆動する。従って本実施形態のバッファ回路
は単に周波数特性が良いだけではなく、スルーレートが
高い、即ち大振幅の信号を高速に出力可能で、重い負荷
を駆動することもできる。
【0082】この回路の電圧利得を限りなく単位利得”
1”に近づけたいような場合、やはりアーリー効果によ
る影響を受ける。利得に影響する主要なトランジスタ
は、pnpトランジスタQ85、Q91、Q94、np
nトランジスタQ86、Q90、Q97である。前述し
たように、一般的にはpnpトランジスタの方がアーリ
ー電圧が低いので、トランジスタQ85、Q91、Q9
4の影響は特に大きい。
【0083】本実施形態では、より高い精度を得るた
め、npn側のアーリー電圧についても補正回路を設け
ている。pnp側のアーリー効果の検出には、トランジ
スタQ74とQ84のエミッタの電位差をトランジスタ
Q79、Q80からなる差動対により検出し、トランジ
スタQ88、Q94のエミッタに補正をかけている。n
pn側のアーリー効果の検出には、トランジスタQ77
とQ87のエミッタの電位差をトランジスタQ82、Q
83からなる差動対により検出し、トランジスタQ9
3、Q97のエミッタに補正をかけている。
【0084】アーリー電圧が利得に影響するトランジス
タは、無信号時(VIN≒VCC/2)のVCEが概略(VCC
/2)である。そのためアーリー効果検出の基準を作っ
ているトランジスタQ74、Q77のVCEも概略(VCC
/2)となるようトランジスタQ75、Q76が設けら
れ、これらのトランジスタのベースに(VCC/2)レベ
ルを有する定電圧VCNT がそれぞれ印加されている。
【0085】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、トランジスタQ74とQ84のエミッタの電位差を
トランジスタQ79、Q80からなる差動対により検出
し、トランジスタQ88、Q94のエミッタに補正をか
け、トランジスタQ77とQ87のエミッタの電位差を
トランジスタQ82、Q83からなる差動対により検出
し、トランジスタQ93、Q97のエミッタに補正をか
けているので、アーリー効果の影響を抑制でき、バッフ
ァ回路の電圧利得がほぼ単位利得“1”に設定できる。
さらに、対称的な回路構成により入力信号VINに応じて
出力信号VOUT を発生し、出力信号を入力側にフィード
バックさせることで信号レベルを制御することにより、
周波数特性がよく、駆動能力が大きく、重い負荷を高速
に駆動することが可能である。
【0086】第4実施形態 図4は本発明の電子回路の第4の実施形態を示す回路図
である。以上の説明した第1〜第3の実施形態はバイポ
ーラトランジスタを用いたものであるが、本発明はバイ
ポーラトランジスタに限定されることなく、MOSFE
T(MOS電界効果トランジスタ)に適用することも可
能である。図4は、MOSFETを用いた場合のアーリ
ー効果の検出回路の回路例である。
【0087】nチャネルMOSトランジスタ(以下、n
MOSトランジスタという)Q101,102のゲート
に電圧VG2が印加され、トランジスタQ101のソース
はノードND1に接続され、トランジスタQ102のソ
ースはノードND2に接続されている。nMOSトラン
ジスタQ103,Q104のゲートはともにバイアス電
圧VG1の端子に接続され、トランジスタQ103のドレ
インはノードND1に、トランジスタQ104のドレイ
ンはノードND2にそれぞれ接続されている。トランジ
スタQ103,Q104のソースは接地されている。
【0088】pチャネルMOSトランジスタ(以下、p
MOSトランジスタという)Q105,Q106が差動
対を構成している。トランジスタQ105,Q106の
ゲートは、それぞれノードND2,ND1に接続され、
これらのトランジスタのソースは、電流源IS5に接続
されている。トランジスタQ105のドレインはノード
ND3に、トランジスタQ106のドレインはノードN
D4にそれぞれ接続されている。
【0089】nMOSトランジスタQ107,Q108
のゲートに電圧VG4が印加され、トランジスタQ107
のソースはノードND3に接続され、トランジスタQ1
08のソースはノードND4に接続されている。nMO
SトランジスタQ109,Q110のゲートはともにバ
イアス電圧VG3の端子に接続され、トランジスタQ10
9のドレインはノードND3に、トランジスタQ110
のドレインはノードND4にそれぞれ接続されている。
トランジスタQ109,Q110のソースは接地されて
いる。
【0090】また、図4に示していないが、トランジス
タQ101,Q102およびトランジスタQ107.Q
108のドレイン側にそれぞれ機能回路、例えば、カレ
ントミラー回路などの電流供給回路が接続される。
【0091】本実施形態の電子回路において、nMOS
トランジスタQ101,Q102のアーリー効果がこれ
らのトランジスタのソース−ドレイン間電圧VSDに反映
されている。アーリー効果によって、トランジスタQ1
01,Q102のソース電位間に差が生じ、この差電圧
ΔVをトランジスタQ105,Q106からなる差動対
により検出され、差電圧ΔVに応じた補正電流Δiがト
ランジスタQ105,Q106のドレイン電流に反映さ
れる。この補正電流ΔiがそれぞれトランジスタQ10
7,Q108のソース側に入力される。補正電流Δiに
応じてトランジスタQ107,Q108に流れる電流が
制御されるので、トランジスタQ107,Q108のア
ーリー効果による影響が補正される。
【0092】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、nMOSトランジスタQ101,Q102のアーリ
ー効果により生じたソース電位差ΔVをpMOSトラン
ジスタQ105,Q106からなる差動対により検出
し、電位差ΔVに応じて補正電流Δiが発生し、nMO
SトランジスタQ107,Q108のソース側に供給す
るので、nMOSトランジスタQ107,Q108のア
ーリー効果により影響が抑制できる。
【0093】上述した本発明の第1〜第4の実施形態
は、何れも同じ原理に基づきトランジスタのアーリー効
果を補正するものである。即ち、ベースまたはゲートが
同電位に保持されている二つのトランジスタにおいて、
アーリー効果により生じたエミッタまたはソース間の差
電圧を差動トランジスタ対により電流に変換し、補正電
流を生成する。当該補正電流を用いて、アーリー効果の
影響を回避すべくトランジスタ対のエミッタまたはソー
ス電流を制御することによって、アーリー効果の影響を
抑制する。
【0094】即ち、上述した何れの実施形態において
も、アーリー効果を補正すべくトランジスタと同じバイ
アス条件に設定されている他のトランジスタによりアー
リー効果の影響分を検出し、検出結果に応じて補正対象
トランジスタに対して補正を行うことでアーリー効果に
よる影響を抑制する。
【0095】本発明では、アーリー効果の補正手法とし
て、上述したものに限定されるものではなく、他の手法
も考えられる。その一例として、アーリー効果により影
響が問題となるトランジスタに対して、その影響分を、
例えば、差動トランジスタ対により検出し、検出結果に
応じて補正電流を発生し、当該補正電流を上記トランジ
スタに帰還させることにより、当該トランジスタにおけ
るアーリー効果の影響を補正することができる。以下、
上記第1〜4実施形態に述べた手法を第1の手法、次に
述べる第5、6実施形態の手法を第2の手法という。次
に述べる本発明の第5および第6の実施形態は、本発明
の第2の手法に基づいたものである。以下、図5および
図6を参照しつつ、この手法の概念およびそれに基づく
具体な応用回路について、より詳細に説明する。
【0096】第5実施形態 図5は本発明の電子回路の第5の実施形態を示す回路図
である。上述したアーリー効果の第2の補正手法の概念
を説明するための図である。図5において、ベースが同
じ電位に保持されているトランジスタQ111,Q11
2は、アーリー効果を問題とするトランジスタ、差動対
を構成しているトランジスタQ113,Q114は、ト
ランジスタQ111,Q112のアーリー効果による影
響を検出するためのトランジスタ対である。
【0097】本実施形態においては、アーリー効果によ
り生じたトランジスタQ111,Q112のエミッタ間
の差電圧を差動対を成しているトランジスタQ113,
Q114により検出し、当該差電圧をトランジスタQ1
13,Q114のコレクタ電流に変換する。これらのト
ランジスタのコレクタ電流を補正電流としてトランジス
タQ111,Q112のエミッタ側に帰還させ、これら
のトランジスタのエミッタ電流を制御することによっ
て、トランジスタQ111,Q112におけるアーリー
効果による影響を補正する。以下、図5を参照しつつ、
本実施形態の電子回路の構成および補正動作について説
明する。
【0098】トランジスタQ111,Q112のベース
はともにバイアス電圧VB1によりバイアスされ、トラン
ジスタQ111のエミッタは抵抗素子R111を介して
電源電圧VCCの供給線に接続され、トランジスタQ11
2のエミッタは抵抗素子R112を介して電源電圧VCC
の供給線に接続されている。なお、ここでトランジスタ
Q111,Q112のエミッタにそれぞれ接続されてい
る抵抗素子R111,R112は、これらの抵抗素子に
生じた電圧降下が熱電圧VT (VT =kT/q)より十
分小さいとき、これらの抵抗素子は、実質的に電流源と
見なせる。即ち、これら抵抗素子R111,R112を
接続したことにより、トランジスタQ111,Q112
のエミッタに所定の定電流が供給されている。本実施形
態では、抵抗素子R111,R112の抵抗値を設定す
ることにより、これらの抵抗素子に流れる電流が同じく
保持されている。
【0099】トランジスタQ113とQ114は差動差
動対を構成している。トランジスタQ113のベースと
トランジスタQ114のコレクタは、トランジスタQ1
11のエミッタに接続され、トランジスタQ114のベ
ースとトランジスタQ113のコレクタは、トランジス
タQ112のエミッタに接続されている。即ち、トラン
ジスタQ113とQ114のベース、コレクタがそれぞ
れ交差に接続されている。トランジスタQ113,Q1
14のエミッタは、電流源IS10に共通に接続されて
いる。ここで、電流源IS10の供給電流値を2I1
する。
【0100】トランジスタQ111,Q112のコレク
タはそれぞれ他の機能回路に接続されており、これらの
トランジスタのコレクタ電圧をVC1,VC2として、アー
リー効果によりこれらのトランジスタのベース−エミッ
タ間電圧VBE1 ,VBE2 が異なる。さらに、これらのト
ランジスタベース−エミッタ間電圧VBE1 ,VBE2 の差
は、図5に示すエミッタ電圧差ΔVE として反映され
る。
【0101】電圧差ΔVE は、第1の実施形態に関する
説明における式(7)により求められる。さらに、電圧
差ΔVE に応じてベース、コレクタが交差接続されてい
るトランジスタQ113とQ114のコレクタ電流に生
じた電流変化分Δiは、式(8)により求まる。
【0102】このように、トランジスタQ111,Q1
12のエミッタ間の電圧差ΔVE はは、ベース、コレク
タが交差接続されたトランジスタQ113とQ114に
より、トランジスタのコレクタ電流の電流変化分Δiに
変換される。即ち、アーリー効果による影響が検出さ
れ、それに応じた補正電流が発生される。
【0103】図5に示すように、本実施形態では、トラ
ンジスタQ113,Q114のコレクタは、それぞれト
ランジスタQ112,Q111のエミッタに接続されて
いるので、トランジスタQ113,Q114のコレクタ
電流に応じて、トランジスタQ112,Q111のエミ
ッタ電流が制御される。即ち、トランジスタQ113,
Q114により発生した補正電流を、それぞれアーリー
効果の影響を問題とするトランジスタQ112,Q11
1に帰還させることにより、アーリー効果を補正する。
【0104】これによって、トランジスタQ111,Q
112のアーリー効果のにより抵抗素子R111,R1
12に流れる電流に生じた不均衡成分を補正電流により
打ち消し、トランジスタQ111,Q112のエミッタ
間電圧差ΔVE に関わらず、これらのトランジスタのコ
レクタ電流を等しく保ち、それぞれのトランジスタのコ
レクタに接続されている機能回路の動作の安定性を図
る。
【0105】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、ベース電位が同じく保持されているトランジスタQ
111,Q112のエミッタ電圧差をベース、コレクタ
が交差接続されているトランジスタQ113,Q114
により検出し、これらのトランジスタのコレクタ電流の
電流変化分Δiに変換する。トランジスタQ113,Q
114のコレクタ電流に応じてトランジスタQ112,
Q111のエミッタ電流を制御することにより、トラン
ジスタQ111,Q112のコレクタに接続されている
機能回路において、これらのトランジスタのアーリー効
果による影響を抑制でき、安定した動作を実現できる。
【0106】第6実施形態 図6は本発明の電子回路の第6の実施形態を示す回路図
であり、本発明の電子回路を高速バッファ回路に適応し
た例を示す回路図である。図示のように、本実施形態の
電子回路は基本的に完全な対称回路となっている。トラ
ンジスタQ121,Q123,Q125,Q133,Q
122,Q1244,Q130およびそれぞれのトラン
ジスタのエミッタに接続されている抵抗素子R121,
R123,R125,R127,R122,R124,
R126により、それぞれ定電流を発生する電流源回路
が構成されれている。ベース、コレクタが交差接続され
ているトランジスタQ126,Q127およびトランジ
スタQ128,Q129はアーリー効果を検出し、それ
に応じて補正電流を発生するために設けられている。
【0107】トランジスタQ131,Q132は信号入
力のために設けられており、それぞれのトランジスタの
エミッタ側に接続されている電流源回路とともに、エミ
ッタフォロワを形成している。トランジスタQ136,
Q137はトランジスタQ131,Q132のエミッタ
出力により駆動されるトランジスタである。pnp型ト
ランジスタQ134,Q135,Q140はカレントミ
ラー回路を構成しており、このカレントミラー回路はト
ランジスタQ136のコレクタ側の負荷回路を構成して
いる。npn型トランジスタQ138,Q139,Q1
45はカレントミラー回路を構成しており、このカレン
トミラー回路はトランジスタQ137のコレクタ側の負
荷回路を構成している。
【0108】これらのカレントミラー回路の出力信号
は、ダイオード接続となっているトランジスタQ14
1,Q144を介して接続されており、これによって出
力トランジスタQ142,Q143を駆動する。トラン
ジスタQ142,Q143のエミッタが共通の端子に接
続され、この端子から出力信号VOUT が出力される。さ
らに、出力信号VOUT はトランジスタQ136,Q13
7のエミッタにフィードバックされている。
【0109】以下、図3を参照しつつ、本実施形態のバ
ッファ回路の動作について説明する。入力信号VINは、
トランジスタQ131とQ132のベースに加えられ、
これらのトランジスタのエミッタ出力によって、トラン
ジスタQ136とQ137が駆動される。トランジスタ
Q136,Q137の各々のコレクタにはpnpトラン
ジスタQ134,Q135,Q140で構成されたカレ
ントミラー回路と、npnトランジスタQ138,Q1
39,Q145で構成されたカレントミラー回路に接続
され、各々のカレントミラー回路の出力は、ダイオード
接続されているトランジスタQ141,Q144を介し
て接続され、これにより出力トランジスタQ142,Q
143が駆動される。トランジスタQ142,Q143
のエミッタからの出力信号VOUT はQ136,Q137
のエミッタに帰還されている。
【0110】このバッファ回路は基本的に電圧フォロワ
として動作する。入力電圧VINと出力電圧VOUT 間の誤
差電圧が大きくなるとトランジスタQ136またはQ1
37は、極めて大きな電流を出力し、出力トランジスタ
Q142とQ143を強力に駆動する。従って本実施形
態のバッファ回路は単に周波数特性が良いだけではな
く、スルーレートが高い、即ち大振幅の信号を高速に出
力可能で、重い負荷を駆動することもできる。
【0111】この回路の電圧利得を限りなく単位利得”
1”に近づけたいような場合、やはりアーリー効果によ
る影響を受ける。利得に影響する主要なトランジスタ
は、pnpトランジスタQ130、Q137、Q140
とnpnトランジスタQ132、Q136、Q145で
ある。前述したように、一般的にはpnpトランジスタ
の方がアーリー電圧が低いので、トランジスタQ13
0、Q137、Q140の影響は特に大きい。
【0112】本実施形態では、より高い精度を得るた
め、npn側のアーリー電圧についても補正回路を設け
ている。pnp側のアーリー効果の検出には、トランジ
スタQ134とQ140のエミッタ間電位差をベース、
コレクタが交差接続されているトランジスタQ126、
Q127により検出し、そに応じて発生した補正電流を
用いて、トランジスタQ134、Q140のエミッタ電
流を補正する。npn側のアーリー効果の検出には、ト
ランジスタQ139とQ145のエミッタ間電位差をベ
ース、コレクタが交差接続されているトランジスタQ1
28、Q129により検出し、そに応じて発生した補正
電流を用いて、トランジスタQ139、Q145のエミ
ッタ電流を補正する。
【0113】トランジスタQ126、Q127のエミッ
タはトランジスタQ125と抵抗素子R125により構
成されている電流源回路に共通に接続されている。この
ため、例えば、抵抗素子R125の抵抗値を調整するこ
とにより、電流源回路により発生した電流値が設定さ
れ、これに応じて、ベースとコレクタが交差接続されて
いるトランジスタQ126、Q127により発生した補
正電流の値を制御することができる。同様に、トランジ
スタQ128、Q129のエミッタはトランジスタQ1
24と抵抗素子R124により構成されている電流源回
路に共通に接続されている。このため、例えば、抵抗素
子R124の抵抗値を調整することにより、電流源回路
により発生した電流値が設定され、これに応じて、ベー
ス、コレクタが交差接続されているトランジスタQ12
8、Q129により発生した補正電流の値を制御するこ
とができる。
【0114】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、トランジスタQ134とQ140のエミッタの電位
差をベース、コレクタが交差接続されているトランジス
タQ126、Q127により検出し、それに応じて発生
した補正電流をトランジスタQ134、Q140のエミ
ッタに入力し、トランジスタQ139とQ145のエミ
ッタの電位差をベース、コレクタが交差接続されている
トランジスタQ128、Q129により検出し、それに
応じて発生した補正電流をトランジスタQ139、Q1
45のエミッタに入力するので、アーリー効果の影響を
抑制でき、バッファ回路の電圧利得がほぼ単位利得
“1”に設定できる。さらに、対称的な回路構成により
入力信号VINに応じて出力信号VOUT を発生し、出力信
号を入力側にフィードバックさせることで信号レベルを
制御することにより、周波数特性がよく、駆動能力が大
きく、重い負荷を高速に駆動することが可能である。
【0115】なお、図5および図6に示す実施形態で
は、バイポーラトランジスタにより構成した回路におい
て、トランジスタのアーリー効果の補正を例として説明
したが、本発明の第2の補正手法は、前述した第1の手
法と同様にバイポーラトランジスタに限定されることな
く、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、例えば、MO
Sトランジスタで構成した回路にも適用できることはい
うまでもない。
【0116】上述のように、本発明の第2の手法で高速
バッファ回路を構成することによって、図3に示す第1
の手法により構成したバッファ回路に較べて、回路の機
能を損なうことなく、回路構成を簡素化できる。一方、
例えば、本第2の手法を図2に示すサンプルホールド回
路に適用する場合に、カレントミラー回路を構成したト
ランジスタQ51とQ52がホールドモード時にオフ状
態になるため、やや複雑な動作をする。例えば、図5に
示す回路において、アーリー効果を補正すべくトランジ
スタQ111とQ112がオフ状態になる場合に、アー
リー効果を検出するために設けられたトランジスタQ1
13とQ114が一種のラッチ回路であるため、2安定
状態を持つ可能性がある。従って、動作状態が一定では
なく、オン/オフ状態が相互に設定されるトランジスタ
のアーリー効果を補正する場合、図1に示す本発明の第
1の手法を用いた方が確実な動作が得られる。一方、安
定してオン状態に保持されたトランジスタのアーリー効
果を補正する場合に、図5に示す本発明の第2の手法を
用いることにより、補正機能を損なうことなく、回路構
成の簡素化を実現できる。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子回路
によれば、ベース又はゲートを同電位に保たれた2つの
トランジスタのエミッタ、又はソース電位差としてアー
リー効果を検出し、差動トランジスタ対により電流に変
換し補正電流を生成する。この手法により簡潔に、かつ
回路の性能、例えば高速性等を何ら犠牲にすることなく
アーリー効果の影響を大幅に低減でき、オフセットが小
さい、あるいは利得の精度が優れた回路を実現すること
ができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子回路の第1の実施形態を示す
回路図である。
【図2】本発明に係る電子回路の第2の実施形態を示す
回路図である。
【図3】本発明に係る電子回路の第3の実施形態を示す
回路図である。
【図4】本発明に係る電子回路の第4の実施形態を示す
回路図である。
【図5】本発明に係る電子回路の第5の実施形態を示す
回路図である。
【図6】本発明に係る電子回路の第6の実施形態を示す
回路図である。
【図7】トランジスタのIC −VCE特性およびアーリー
電圧VA を示すグラフである。
【図8】ラテラルPNPトランジスタの構造を示す概念
図である。
【図9】縦型PNPトランジスタの構造を示す概念図で
ある。
【図10】アーリー効果を考慮したトランジスタの等価
回路図である。
【図11】電圧フォロワの一例を示す回路図である。
【図12】電圧フォロワの伝達特性を示すグラフであ
る。
【図13】簡単なエミッタフォロワ回路の構成を示す回
路図である。
【図14】アーリー効果を低減するための電流源回路の
回路図である。
【符号の説明】
10,20…p基板、11,21…n+ 埋め込み層、1
2…エピタキシャル領域、13,23…エミッタ領域、
14,24…ベース領域、15,25…コレクタ、22
…エピタキシャル層、26a,26b、27a,27b
…pn接合分離領域、IS0,IS1,IS2,IS
3,IS4,IS5…電流源、Q1〜Q5,Q11,Q
21,Q22,Q31〜Q34、Q41〜Q46、Q5
1〜Q66、Q71〜Q99、Q111〜Q145…バ
イポーラトランジスタ、Q101〜Q110…MOSト
ランジスタ、R51〜R58、R71〜R85、R11
1〜R132…抵抗素子、VCC…電源電圧、GND…接
地電位。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベース電位が同じレベルに保持され、エミ
    ッタに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段
    が接続され、コレクタがそれぞれ所定の機能回路に接続
    されている第1と第2のトランジスタと、 ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミ
    ッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、
    差動対を構成している第3と第4のトランジスタとを有
    し、 上記第3と第4のトランジスタのコレクタ電流を受け
    て、これらのコレクタ電流に応じてアーリー効果を補正
    する電子回路。
  2. 【請求項2】ベース電位が同じレベルに保持され、エミ
    ッタに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段
    が接続され、コレクタがそれぞれ所定の機能回路に接続
    されている第1と第2のトランジスタと、 ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミ
    ッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、
    差動対を構成している第3と第4のトランジスタとを有
    し、 上記第3のトランジスタのコレクタが上記第2のトラン
    ジスタのエミッタに、上記第4のトランジスタのコレク
    タが上記第1のトランジスタのエミッタにそれぞれ接続
    し、上記第3および第4のトランジスタのコレクタ電流
    に応じて、上記第1および第2のトランジスタのエミッ
    タ電流が制御され、これらのトランジスタのアーリー効
    果が補正される電子回路。
  3. 【請求項3】ゲート電位が同じレベルに保持され、ソー
    スに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が
    接続され、ドレインがそれぞれ所定の機能回路に接続さ
    れている第1と第2の絶縁ゲート型電界効果トランジス
    タと、 ゲートがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのソー
    スに接続され、ソースが電流源に共通に接続され、差動
    対を構成している第3と第4の絶縁ゲート型電界効果ト
    ランジスタとを有し、 上記第3のトランジスタのドレインが上記第2のトラン
    ジスタのソースに、上記第4のトランジスタのドレイン
    が上記第1のトランジスタのソースにそれぞれ接続し、
    上記第3および第4のトランジスタのドレイン電流に応
    じて、上記第1および第2のトランジスタのソース電流
    が制御され、これらのトランジスタのアーリー効果が補
    正される電子回路。
  4. 【請求項4】ベース電位が同じレベルに保持され、エミ
    ッタに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段
    が接続され、コレクタがそれぞれ所定の機能回路に接続
    されている第1と第2のトランジスタと、 ベースがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのエミ
    ッタに接続され、エミッタが電流源に共通に接続され、
    差動対を構成している第3と第4のトランジスタと、 ベース電位が同じレベルに保持され、エミッタに所定の
    電流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されて
    いる第5と第6のトランジスタとを有し、 上記第5のトランジスタのエミッタは、上記第3のトラ
    ンジスタのコレクタに接続され、上記第6のトランジス
    タのエミッタは、上記第4のトランジスタのコレクタに
    接続され、上記第5、第6のトランジスタのコレクタが
    それぞれ所定の機能回路に接続され、上記第3および第
    4のトランジスタのコレクタ電流に応じて上記第5およ
    び第6のトランジスタのアーリー効果が補正される電子
    回路。
  5. 【請求項5】上記第1、第2、第3および第4の電流供
    給手段は、抵抗素子により構成されている請求項4記載
    の電子回路。
  6. 【請求項6】上記第3と第4のトランジスタのエミッタ
    に接続されている電流供給手段の供給電流は、絶対温度
    にほぼ比例するように設定されている請求項4記載の電
    子回路。
  7. 【請求項7】ゲート電位が同じレベルに保持され、ソー
    スに所定の電流を供給する第1と第2の電流供給手段が
    接続され、ドレインがそれぞれ所定の機能回路に接続さ
    れている第1と第2の絶縁ゲート型電界効果トランジス
    タと、 ゲートがそれぞれ上記第1と第2のトランジスタのソー
    スに接続され、ソースが電流源に共通に接続され、差動
    対を構成している第3と第4の絶縁ゲート型電界効果ト
    ランジスタと、 ゲート電位が同じレベルに保持され、ソースに所定の電
    流を供給する第3と第4の電流供給手段が接続されてい
    る第5と第6の絶縁ゲート型電界効果トランジスタとを
    有し、 上記第5のトランジスタのソースは、上記第3のトラン
    ジスタのドレインに接続され、上記第6のトランジスタ
    のソースは、上記第4のトランジスタのドレインに接続
    され、ドレインがそれぞれ所定の機能回路に接続され、
    上記第3および第4のトランジスタのドレイン電流に応
    じて当該第5および第6のトランジスタのアーリー効果
    が補正される電子回路。
  8. 【請求項8】上記第3と第4のトランジスタのソースに
    接続されている電流供給手段の供給電流は、絶対温度に
    ほぼ比例するように設定されている請求項7記載の電子
    回路。
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