JP4438388B2 - トナー製造方法、トナー及びトナー製造装置 - Google Patents
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(請求項1)
水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、固液分離により脱水してトナーケーキとし、該トナーケーキを乾燥する工程を有するトナー製造方法において、トナーケーキを乾燥する乾燥部と、前記乾燥部で形成されたトナーの凝集物(ダマ)を、回転体又はエアー流により加速して間隙を通過させることにより解粒する解粒部を閉回路で結び、該解粒部で解粒されたトナーを該乾燥部に戻し乾燥することを特徴とするトナー製造方法。
(請求項2)
請求項1に記載のトナー製造方法で製造されたトナーであって、該トナーの乾燥前の電気伝導度と乾燥後の電気伝導度の差が、0.2〜1.5μS/cmであることを特徴とするトナー。
(請求項3)
水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、固液分離により脱水してトナーケーキとし、該トナーケーキを乾燥するトナー製造装置において、トナーケーキを乾燥する乾燥部とトナーの凝集物を、回転体又はエアー流により加速して間隙を通過させることにより解粒する解粒部とを閉回路で結び、該解粒部で解粒されたトナーを該乾燥部に戻し乾燥する構造としたことを特徴とするトナー製造装置。
1.トナーの凝集物を作らせずに急激乾燥すると、トナー粒子内部の揮発性有機化合物がトナー粒子内部にとどまったまま、水分だけが失われる結果、揮発性有機化合物が加熱定
着時に一気に発散され、ユーザーに臭気を感じさせる。
2.トナーの凝集物を作らせ、自然に、或いは特開平9−80803号のように穏やかに解粒を進めると、トナー粒子内部に残存する無機金属塩が水和物(例えば、塩化マグネシウム6水和物のような)を形成し、乾燥を続けていってもトナーの水分量がある値より下がらない。その結果、加熱定着時に水蒸気が一気に膨張し、白点状の画像欠陥、すなわちトナーブリスタの発生を誘発する。さらに、前述の水和物は、トナーの耐電を阻害し、耐電の立ち上がりが悪くなる結果、トナー飛散の原因となる。
本発明で用いる乾燥部とは、垂直な円筒状乾燥室の下部の目皿板から乾燥用温風エアーを吹き込み、上部に設けたフィルターから乾燥用温風エアーを吸引排気することにより、乾燥室の下部から上部に乾燥用温風エアーの流れを作り、その流れの中にトナー粒子を舞い上がらせて、トナーケーキ(湿潤状態のトナー)を乾燥するタイプのものである。
本発明に用いる「解粒部」としては、乾燥部と解粒部を閉回路ダクトで結ぶことができ、トナー粒子にダメージを与えずにトナーの凝集物を解粒して乾燥部へ戻すことができれば特に限定されるものではない。
3.トナーケーキの製造工程
次に、前記トナー粒子分散液を固液分離してトナーケーキを製造する工程について説明する。
(ラテックス(1HML)の調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコにアニオン系界面活性剤
式(101)
C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na
7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
(2)中間層の形成(第二段重合)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に離型剤として、下記式で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」と云う。)98.0gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
CH3(CH2)20COOCH2C(CH2OCO(CH2)20CH3)3
一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記「ラテックス(1H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を8時間混合分散させて284nmの分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
(3)外層の形成(第三段重合)
上記の様にして得られた「ラテックス(1HM)」に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
アニオン系界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)59.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解し、この溶液を攪拌しながら、「C.I.ピグメントブルー15:3」420.0g徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子の分散液」を調製した。
次に、「トナー粒子分散液1」を、回転円筒型脱水機「MARKIII型 形式番号60×40」(松本機械株式会社製)を用いて固液分離し、水洗浄して水分量の異なる「トナーケーキ1〜4」を作製した。次で機内に挿入されたスクレーパーで掻き落し、機内から排出してトナーケーキタンクに保管した。
次に、「トナーケーキ1〜4」を、図1に記載の「乾燥部と解粒部を有するトナー製造装置」を用い、「乾燥部」で形成されたトナーの凝集物を図2、或いは図3に記載の「解粒部」で解粒し、再び「乾燥部」へ戻し、排気エアー温度を70〜90℃の範囲で変更して乾燥を行い「トナー1〜7」を作製した。
次に、「トナーケーキ2」を、図1に記載の「乾燥部と解粒部を有するトナー製造装置」を用い、「乾燥部」で形成されたトナーの凝集物を解粒部で解粒せずに、再び「乾燥部」へ戻して乾燥を行って「トナー8」を作製した。
次に、「トナーケーキ2」を、特許第3295789号の図1に記載の「高速流動層乾燥機」を用い、乾燥を行い「トナー9」を作製した。
上記で作製した「トナー1〜9」100質量部に、それぞれルチル型酸化チタン(体積平均粒径=20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕処理を施した粒子径D50=127nm)1.8質量部を混合し、「ヘンシェルミキサー」(周速30m/s)(三井三池化工株式会社製)で15分間ブレンドを行った。その後、目開き45μmのフィルターを用いて粗粒を除去し、外添剤処理トナー1〜9を作製し、「実施例1〜7」および「比較例1、2」とした。
上記で作製した外添剤処理トナー1〜9のそれぞれに、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の「現像剤1〜9」を調製した。
〈実写評価〉
電子写真方式を採用した市販のカラー画像形成装置「Sitios 8050」(コニカミノルタビジネステクノロジー株式会社製)の現像器に上記トナーと現像剤をセットしプリントを行い、下記の評価項目について評価をおこなった。なお、画像濃度は「マクベスRD−918型濃度計」(マクベス社製)を用いて行った。
45m2の換気設備のない部屋で、上記画像形成装置を用い、画像面積率20%の文字画像(文字サイズ10.5ポイント)を連続5000枚プリントを行った後、年齢20〜50代の男女計8人の被験者に部屋に入ってもらい、定着時に発生したにおいの程度を評価してもらった。
◎ 8人中6人までが、全くにおいが気にならなかった。2人が何らかのにおいを感じるがいやなにおいとは思わなかった
○ 8人中4人までが、全くにおいが気にならなかった。4人が何らかのにおいを感じるがいやなにおいとは思わなかった
△ 8人中4人が何らかのにおいを感じるがいやなにおいとは思わなかった。残り4人が軽微ではあるが好まないにおいと思った
× 8人中6人が軽微ではあるが好まないにおいであると思った。
転写材上のトナー付着量が、1.6mg/cm2となるようプロセスを調整してプリント画像を形成した。この画像に直径0.1〜0.5mm程度の穴、すなわちトナーブリスターがあるかどうかを顕微鏡を用いて観察し、評価した。
◎ トナーブリスターが全く無く問題なし
○ 4cm2あたり1〜2個のトナーブリスターが存在するが、目視では凝視しなければ判らない程度のため実用上問題なし
△ 4cm2あたり3〜5個のトナーブリスターが存在するが、目視では凝視しなければ判らない程度のため実用上問題なし
× 4cm2あたり6個以上の明瞭なトナーブリスターが存在し実用上問題有り。
転写率の評価には、複合機のトナーリサイクル機構をはずし、転写残トナーを回収しできるように改造した複合機を用いておこなった。転写率は、画素率5%(A4版)の文字画像のトナー付着量を1プリント当たり20.00mgに設定したときの転写残トナーの量を求め、その値から算出して求めた。転写残トナーは、少ないほど転写率が高くなり、現像剤の劣化がおさえられ、且つ高濃度の画像が得られるので好ましい。
○ 転写率は、99.0〜99.6%であり良好
△ 転写率は、95.1〜98.9%であり実用可能
× 転写率は、95.0%以下で不良。
20万枚プリントを繰り返し、現像器下に飛散したトナー量を評価した。
◎ トナー飛散は検知されなく継続して使用可能
○ さわれば若干手が汚れる程度であるが、清掃の必要はなく継続して使用可能
△ 乾いた布で清掃すれば継続して使用可能
× 乾いた布ではふき取りきれず、清掃に電気掃除機が必要なほどトナーが飛散し実用上問題有り。
101 乾燥部
102 トナーケーキタンク
103 トナーケーキ供給スクリュー
104 乾燥用エアー送風口
105 バグフィルター
106 エアー排気口
107 乾燥室
108 トナー排出口
109 目皿板
201 解粒部
202 トナーの凝集物用スクリュー
203 送風エアー
204 解粒トナー戻り口
222 閉回路用ダクト
Claims (3)
- 水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、固液分離により脱水してトナーケーキとし、該トナーケーキを乾燥する工程を有するトナー製造方法において、トナーケーキを乾燥する乾燥部と、前記乾燥部で形成されたトナーの凝集物(ダマ)を、回転体又はエアー流により加速して間隙を通過させることにより解粒する解粒部を閉回路で結び、該解粒部で解粒されたトナーを該乾燥部に戻し乾燥することを特徴とするトナー製造方法。
- 請求項1に記載のトナー製造方法で製造されたトナーであって、該トナーの乾燥前の電気伝導度と乾燥後の電気伝導度の差が、0.2〜1.5μS/cmであることを特徴とするトナー。
- 水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、固液分離により脱水してトナーケーキとし、該トナーケーキを乾燥するトナー製造装置において、トナーケーキを乾燥する乾燥部とトナーの凝集物を、回転体又はエアー流により加速して間隙を通過させることにより解粒する解粒部とを閉回路で結び、該解粒部で解粒されたトナーを該乾燥部に戻し乾燥する構造としたことを特徴とするトナー製造装置。
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