JP4098417B2 - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法または静電記録法において静電荷像の現像に用いられる、結着樹脂および着色剤を含有してなる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂と着色剤とを含有して構成され、この静電荷像現像用トナーの製造方法としては種々の方法が提案されている。
従来より、電子写真法または静電記録法において形成された静電潜像の現像に使用する静電荷像現像用トナーの製造方法は、幾つか知られている。その中には、モノマーを出発原料として、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接トナー粒子を製造する方法がある。しかし、これらの重合法で製造されるトナー粒子は、残存モノマー及び界面活性剤の除去が難しいこと、着色剤、帯電制御剤及び離型剤等の不溶材料を内添させることが難しいこと、得られる結着樹脂の種類及び粒径範囲が限定されること、材料組成が変わるごとに粒子化に最適な条件の検討を要すること、等の問題がある。
【0003】
また、予め重合反応により得られたポリマーを微粒子化させることにより、トナー粒子を製造する方法がある。この中で、溶融混練粉砕法は、予め粗粉砕したポリマーを機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで分級することによりトナー粒子を得る方法であり、現在では最も汎用化されている静電荷像現像用トナーの製造方法である。しかし、この方法で得られるトナー粒子は、その形状が不定形であるばかりでなく、その粒径が均一でないことから粒度分布をシャープにするには分級工程が必要である等の欠点がある。
【0004】
また、予め結着樹脂や着色剤等のトナー組成物を溶媒に溶解したトナー組成物混合溶液を噴霧することにより粒子化する方法が知られているが、この方法では製造されるトナー粒子の粒径が均一にならないこと及びその製造に用いる装置が大きくなる等の欠点がある。さらに、予め溶媒に溶解したポリマー溶液に貧溶媒を添加するか、または予め溶媒に加熱溶解したポリマー溶液を冷却することにより、トナー粒子を析出させる方法が知られているが、この方法では、得られる粒子の形状制御が難しいこと及び粒径が不均一である等の欠点がある。
【0005】
さらに、特開昭50−120632号等には、加熱溶融したポリマーを、その融点以上に加熱した媒体中に分散させた後、冷却することによりトナー粒子を得る方法が記載されているが、この方法では、媒体が水系であると、殆んどの場合に加圧を必要とするし、また、媒体が油系であると洗浄が難しくなること及び形状の制御が困難である等の欠点がある。
【0006】
近年では、特公昭61−28688号公報、特開昭63−25664号、特開平7−152202号、特開平9−15902号等のように、予め溶媒に溶解したポリマー溶液(トナー組成物の混合液等) を水系媒体中に分散懸濁させ、これを加熱、或いは、減圧等することによって溶媒を除去し、粒子化する方法が提案されている。
【0007】
このポリマー溶液の懸濁液から溶媒を除去する方法は、残存モノマーが無いこと、界面活性剤を使用していないために除去する必要がないこと、着色剤、帯電制御剤及び離型剤等の不溶材料の内添が容易であること及び水系媒体の洗浄が容易であること等の数多くの利点があることから、従来法の中ではトナー性能向上や製造適性の面で好適な方法と考えられる。
しかしながら、この方法では得られる静電荷像現像用トナー粒子は、その粒径を均一にするという点において未だ不十分なものであり、粒径を均一にするためには、粒子を作製した後に分級工程を設けることが必要となるため、製造工程数の増加およびコストアップの要因になるという欠点があった。
【0008】
一般に、静電荷像現像用トナーは、粒径が均一であると、次のような利点がある。
(1)トナーの帯電がシャープになる。これにより帯電量を低くすることができるとともに、印加電圧に対するトナー濃度の立ち上がりがシャープになるため、印加電圧を下げることができる。その結果、感光体寿命を延長させることが可能となるのである。さらに、潜像消去に要する発光ダイオードの光量も節減できるため、用いる発光ダイオードの寿命も向上する。
(2)選択現像が減少する。これは、スペントトナーの発生原因となる微粉が少ないことに起因するものであり、その結果、現像剤寿命を延長させることができる。
(3)紙等の被転写体への転写効率が向上する。これは、非静電的付着力の大きい微粉が少ないことに起因するものであり、その結果、クリーナーレスシステムの発展に有用となる。
(4)クリーニング不良を改善することができる。クリーニング不良の原因となる微粉が少ないため、簡単なクリーニングシステムで済み、また感光体の傷や磨耗が減少して感光体寿命を延長させることが可能となる。
以上の種々の利点から、均一な粒径を有する静電荷像現像用トナーの作製が強く要請されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分級することなく粒径を制御し、粒度分布の狭い静電荷像現像用トナーを簡易に、かつ安定して得ることのできる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、従来の前記実状と粒径の均一化を図ることによる種々の利点に鑑み、静電荷像現像用トナーの製造工程の分散懸濁工程における、結着樹脂および着色剤を含有するトナー組成物混合液を水系媒体中に分散懸濁させる方法について鋭意検討を重ねた結果、分散懸濁工程に特定の水系媒体と、特定の混合比(水系媒体の重量/トナー組成物混合液の重量)からなる分散懸濁液を用い、かつ分散懸濁時の回転羽根を特定の周速で回転させて分散懸濁する工程を経ることにより、トナー組成物の分散性を高め、かつその安定化を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記目的は、以下の静電荷像現像用トナーの製造方法<4>により達成される。
【0011】
<2> 結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、該混合工程で得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、回転羽根を有する乳化機を用いて分散懸濁させる分散懸濁工程、得られた分散懸濁液から溶媒を除去する溶媒除去工程、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記分散懸濁工程に用いる水系媒体中に、カルボキシル基を有する重合体で被覆された無機分散剤が含有され、かつ前記分散懸濁液が、前記混合液Aと無機分散剤を除いた前記水系媒体Bとの重量比(b/a)が下記範囲にある分散懸濁液であって、
0.8≦b/a≦1.8
〔式中、a:混合液Aの重量[g]、b:水系媒体Bの重量[g]を表す。〕
さらに前記回転羽根の周速が15[m/sec]以上である、
ことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0012】
<3> 上記製造方法<2>の混合液Aと無機分散剤を除いた水系媒体Bとの重量比(b/a)が、1≦b/a≦1.5の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0013】
<4> 結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、該混合工程で得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、回転羽根を有する乳化機を用いて分散懸濁させる分散懸濁工程、得られた分散懸濁液から溶媒を除去する溶媒除去工程、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記水系媒体Bの水中に、予め前記混合工程で用いた溶媒を、その飽和溶解度以下の範囲で含有させておくことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0014】
<5> 結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、該混合工程で得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、回転羽根を有する乳化機を用いて分散懸濁させる分散懸濁工程、得られた分散懸濁液から溶媒を除去する溶媒除去工程、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記混合工程における溶媒中に、予め前記分散懸濁工程で用いた水を、その飽和溶解度以下の範囲で含有させておくことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0015】
<6> 結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、該混合工程で得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、回転羽根を有する乳化機を用いて分散懸濁させる分散懸濁工程、得られた分散懸濁液から溶媒を除去する溶媒除去工程、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記水系媒体Bの水中に、予め前記混合工程で用いた溶媒を、その飽和溶解度以下の範囲で含有させ、かつ前記分散懸濁工程で用いた水を、前記混合工程における溶媒中に予め飽和溶解度以下の範囲で含有させておくことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、その製造上の特質よりトナー中に1〜500ppmの溶媒が残存するトナーであって、このトナーの粒度分布を示すGSD値(Geometrical Standard Deviation)が1.6以下の範囲にある静電荷像現像用トナーである。
ここで、上記GSD値は、(全トナー粒子数の50%個数平均粒径)/(全トナー粒子数の84%個数平均粒径)から算出される全トナー粒子の粒子径のバラツキの広がり度合(粒度分布)を示す1以上の値であり、この値が1に近づくほど粒径が単分散であることを意味し、一般に単分散と言われているものはこのGSD値が1.1前後のものである。
通常使用されるトナーは上記GSD値が1.7程度のものであるが、トナーの諸性能を向上し、より高画質な画像を得るためには、トナーのGSD値を下げる、即ち、粒度分布の狭いものとすることが好ましい。
【0017】
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、上記GSD値が1.6以下のトナーであり、従って、微粉が少なく、トナーの帯電を均一にすることができるため、現像剤、感光体の長寿命化、および転写効率の向上を図ることができ、カブリのない高画質な画像を長期間安定して得ることができる。
【0018】
本発明の静電荷像現像用トナーのGSD値は、上記範囲の中でも1に近いほど好ましいが、GSD値が後述の実施例で採用したGSD値のいずれかの値を下限とし、上記の上限値または後述の実施例で採用したGSD値のいずれかの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0019】
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、1〜500ppmの範囲で溶媒が含有されていることが必要であり、また、この範囲でトナー中に溶媒が含有されることは、本発明の静電荷像現像用トナーの特徴的なところである。
ここにいう溶媒とは、結着樹脂および着色剤を溶解若しくは分散する混合工程に分散媒として用いる溶媒と同一のものである。
上記溶媒濃度が、1ppm未満では、トナーの製造適性が低下し、長期経時での乾燥によるトナー表面の変質が生じやすくなるため好ましくなく、500ppmを超えると、トナーとしたときに溶媒臭が生じやすく、また、トナー保存時における凝集が発生しやすくなるとともに、汚染物質が内部から表面に移行しやすくなることから好ましくない。
【0020】
上記本発明の静電荷像現像用トナーの粒径としては、1〜30μmの範囲にあるものが好ましく、3〜15μmの範囲にあるものがより好ましい。粒径が1μm未満であると、表面積が大きくなりキャリア汚染が発生しやすくなる結果、現像剤の耐久性が低下しやすくなり、30μmを超えると、ドットの忠実な再現性が悪くなりやすく、画像が粗くなるため好ましくない。
【0021】
本発明の静電荷像現像用トナーは、以下に説明する製造方法(I)〜(IV)のいずれによっても製造することができる。
上記製造方法(I)〜(IV)の製造工程は、少なくとも(1)結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、(2)この混合工程より得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、乳化機の回転羽根を所望の回転数で回転し、分散懸濁させる分散懸濁工程、(3)得られた分散懸濁液から上記溶媒を除去する除去工程、の3工程から構成される。
【0022】
まず、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法(I)について、上記した各工程ごとに順次説明する。
本発明の製造方法(I)の第1工程は、トナー材料を溶媒中に混合させて、溶解若しくは分散する混合工程である。この混合工程で、少なくとも結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を溶媒中に溶解若しくは分散させることにより、トナー組成物の混合液(以下、単に「混合液A」という場合がある。)を得ることができる。
【0023】
上記トナー材料には、結着樹脂および着色剤の他に、必要に応じてトナー粒子に通常添加される離型剤若しくは帯電制御剤等を配合してもよい。
上記混合液Aは、予め結着樹脂に着色剤、離型剤若しくは帯電制御剤等を混練させたものを、溶媒中に溶解若しくは分散させてもよいし、或いは、結着樹脂を溶媒中に溶解させた後、ボールミル、サンドミル等のメディア入り分散機、高圧分散機または超音波分散機等を用いて、着色剤、離型剤若しくは帯電制御剤等を分散させてもよいし、或いは、予め溶媒中に着色剤、離型剤若しくは帯電制御剤等をボールミル、サンドミル等のメディア入り分散機、高圧分散機または超音波分散機等を用いて分散した後、結着樹脂を溶解させてもよい。
この混合工程においては、結着樹脂が溶媒中に溶解し、着色剤が分散した状態である限り、如何なる方法を用いて混合してよい。
【0024】
上記トナー材料に用いる結着樹脂としては、熱可塑性の樹脂で、分散媒として用いる溶媒に溶解するものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、スチレン- アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、その他静電荷像現像用トナーの結着樹脂として使用される公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0025】
上記着色剤としては、カーボンブラック、磁性粉、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、その他静電荷像現像用トナー粒子の着色剤として用いられる公知のものを使用することができる。
【0026】
上記離型剤としては、石油ワックス、鉱物ワックス、動植物ワックス、合成ワックス、その他静電荷像現像用トナー粒子の離型剤として用いられる公知のものを使用することができる。
【0027】
上記帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、その他静電荷像現像用トナー粒子の帯電制御剤として用いられる公知のものを使用することができる。
【0028】
また、上記トナー材料の溶解若しくは分散に用いる溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0029】
これらの溶媒は、前記の結着樹脂を溶解することができ、かつ水への溶解量が0〜30重量%程度のもので、沸点が100℃以下のものであることが好ましい。尚、スチレンやアクリル酸等の重合性単量体は用いない方が好ましい。
また、製造時の作業上の安全性、製造コストおよび生産性等の製造適正を考慮すると、結着樹脂にポリオレフィンを用いた場合には溶媒にシクロヘキサンを用い、他の結着樹脂を用いた場合には、酢酸エチルを用いることが最も好ましい。
これらの溶剤の使用量は、上記混合液Aの粘度が、20℃下で1〜10000[Pa・s]の範囲となる量が好ましく、1〜3000[Pa・s]の範囲となる量がより好ましい。
【0030】
次に、本発明の製造方法(I)の第2工程について説明する。
第2工程は、上記混合液Aを水系媒体(以下、「水系媒体B」という場合がある。)中に分散および懸濁させる分散懸濁工程である。
この分散懸濁工程においては、上記混合工程で得られた混合液Aを、水系媒体B中に両者の混合割合が特定の比となる範囲で加え、これを回転羽根を有する乳化機を用いて所望の回転数で分散懸濁することにより、分散懸濁液を得ることができる。
【0031】
上記の水系媒体Bとしては、水中に無機分散剤を分散させたものを用いる。ここで用いる水としては、通常、イオン交換水、蒸留水または純水を用いる。
また、粒径の均一なトナー粒子を形成し、トナーの粒度分布の範囲を小さくする目的で、水中に無機分散剤を分散させるが、その他に、さらに水溶性の高分子分散剤を添加することが好ましい。
【0032】
無機分散剤は、ボールミル、サンドミル等のメディア入り分散機、高圧分散機または超音波分散機等を用いて水中に分散させる。また、高分子分散剤は、水中に均一に溶解させることができる方法であれば、いずれの方法によって添加・分散してもよい。
【0033】
上記の無機分散剤としては、親水性のものを用いることが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等を挙げることができ、中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。
しかし、本発明の製造方法においては、分散時の分散性およびその安定性をより高める観点から、上記無機分散剤としては、その粒子表面にカルボキシル基を有する重合体で被覆された無機分散剤を用いることができる
カルボキシル基を有する重合体で被覆された無機分散剤を用いることにより、親油親水バランスを最適化することができるため、水相成分と油相成分とが安定化し、分散媒中に含有される各トナー成分を均一に分散することができ、かつこの状態を保持することができる。従って、上記のような重合体にて被覆された無機分散剤を用いることにより、均一なトナー粒子を形成することができ、粒度分布の狭い、安定したトナーを製造することができる。
従って、本発明においては、カルボキシル基を有する重合体で被覆された炭酸カルシウムを用いることが最も好ましい。
【0034】
上記カルボキシル基を有する重合体としては、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸またはα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン等により中和されたアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等から選ばれる少なくとも1種と、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルと、の共重合物、或いは、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸とα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物の上記のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩等が含まれる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0035】
上記α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα、β不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のα、β不飽和ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
また、上記α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルの代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸その他のアルキルエステル類、アルコキシ基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、シクロヘキシル基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、ヒドロキシ基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、ポリアルキレングリコールモノアクリレート類およびポリアルキレングリコールモノメタクリレート類等が挙げられ、これらに代表されるα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルより選ばれるものが好ましい。
【0036】
上記の無機分散剤としては、その平均粒子径が1〜1000nmの範囲のものが用いられるが、5〜500nmの範囲のものが好ましく、10〜300nmのものがより好ましい。この平均粒子径が1nm未満では、無機分散剤を分散させることが困難となり、1000nmを超えると、トナー粒子径との差が小さくなるため、トナー組成物の混合液(油相成分)を安定に分散維持させることが困難となるため好ましくない。
【0037】
また、無機分散剤は、トナー100重量部に対して1〜300重量部の範囲で使用することが好ましく、4〜100重量部の範囲で使用することがより好ましい。上記使用量が、1重量部未満では十分な分散性とその安定性を得ることができず、300重量部を超えると水系媒体(水相成分)の粘度が高くなりやすく、分散懸濁が不安定なる場合があるため好ましくない。
【0038】
上記の高分子分散剤としては、親水性のものを用いることが好ましく、カルボキシル基を有するものの中で、特にヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基等の親油基を持たないものが好ましい。
具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性セルロースエーテルが用いられるが、中でも、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0039】
上記水溶性セルロースエーテルは、エーテル化度が0.6〜1.5の範囲にあり、平均重合度が50〜3000のものが好ましい。
また、含まれるカルボキシル基は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩であってもよい。
【0040】
本発明においては、トナー粒子の粒度分布をシャープにするために、高分子分散剤の使用量をトナー材料の混合液の粘度(トナー材料と溶媒との比等により異なる。)によって変えることが望ましい。例えば、トナー材料の混合液Aの粘度が比較的低い場合には、水系媒体Bの粘度を高くする必要はなく、高分子分散剤の添加量も少なくてよい。これに対し、トナー材料の混合液Aの粘度が高い場合には、高分子分散剤の添加量も多くして水系媒体Bの粘度を高くしておく必要がある。
上記水系媒体Bの粘度は、20℃下で概ね1〜3000[Pa・s]の範囲となるように調整され、1〜1000[Pa・s]の範囲となる量がより好ましい。
【0041】
また、前記混合液Aを水系媒体B中に添加し、分散懸濁する場合、混合液Aと無機分散剤を除いた水系媒体Bとの重量比(b/a)が0.8≦b/a≦1.8〔ここで、aは混合液Aの添加重量、bは水系媒体Bの添加重量を表す。〕の範囲で両者を添加し、分散懸濁液とすることが好ましい。中でも、この重量比b/aが1≦b/a≦1.5の範囲で両者を添加し、分散懸濁液とすることがより好ましく、1.1≦b/a≦1.3の範囲で両者を添加し、分散懸濁液とすることが最も好ましい。さらに、b/a値は、上記数値範囲のいずれかの下限値または後述の実施例で採用したb/a値のいずれかの値を下限とし、上記数値範囲のいずれかの上限値または後述の実施例で採用したb/a値のいずれかの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0042】
上記b/a値が0.8未満では、分散相である混合液A(分散層A)が連続相である水系媒体Bよりも多くなることにより乳化状態が不安定になり、転相を生じやすく、1.8を超えると、水系媒体B中に分散する分散相A同士の衝突回数が減少し、微少粒子の合一が進まず、粒度分布の狭いトナー粒子を形成することができない。
【0043】
分散懸濁工程に使用される回転羽根を有する乳化機としては、特に限定されるものではなく、乳化機、分散機として一般に市販されているものであれば使用することができる。例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業(株)製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製) 、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)等のバッチまたは連続両用乳化機等が挙げられる。
【0044】
上記乳化機等を用いて分散懸濁する場合、回転羽根の回転周速は15m/s以上の範囲で分散懸濁を行うことができる。この周速が15m/s未満であると、平均粒子径が小さく、粒度分布がシャープであるとともに、分散性および分散後の安定性に優れたトナーを得ることができなくなるため好ましくないことがある
【0045】
次に、本発明の製造方法(I)における第3工程について説明する。
第3工程は、上記第2工程で得られた分散懸濁液中に含有する溶媒の除去工程である。この溶媒除去工程により、分散懸濁液中に含まれる溶媒を除去してトナー分散液を得ることができる。
【0046】
この工程では、トナー分散液を乾燥させることなく、第1工程で使用した溶媒を除去し、除去後においてもトナー材料および無機分散剤等が均一に分散した状態であることが必要である。
また、この分散懸濁液中の溶媒を除去する際には、上述の分散懸濁工程の直後に行ってもよいが、粒度分布幅が狭く、均一で安定したトナー粒子を得るためには、分散懸濁工程を終了した後、1分以上経過してから溶媒除去を行うことが好ましい。
【0047】
この溶媒除去工程では、分散懸濁工程で得られた分散懸濁液を0〜100℃の範囲で冷却または加熱して、分散懸濁液中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。
【0048】
この溶媒除去の具体的な方法としては、以下の方法(1)及び(2)が挙げられ、そのいずれかで行うことが好ましい。
(1)分散懸濁液の表面に気流を吹き付けて、分散懸濁液面上の気相を強制的に更新する。この場合、分散懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
(2)圧力を10〜760mmHgの範囲で減圧する。この場合、気体のパージにより分散懸濁液面上の気相を強制的に更新してもよいし、さらに分散懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
【0049】
本発明における静電荷像現像用トナーの製造方法には、必要に応じて、以下の工程が付加される。
まず、上記溶媒除去工程で得られたトナー分散液から水系媒体を除去した後、洗浄、脱水して、トナーケークを得る工程(洗浄、脱水工程)である。この洗浄および脱水の過程では、溶媒除去工程で得られたトナー分散液を酸処理することにより無機分散剤を溶解除去し、次に、水で洗浄して脱水する。但し、上記酸処理後に、アルカリによる中和処理を追加してもよい。
【0050】
さらに、次の工程として、上記より得られたトナーケークを乾燥し、その後、篩分、外添することにより静電荷像現像用トナーの粉体を作製する工程(乾燥、篩分工程)を付加することができる。
これらの工程においては、トナーの凝集や粉砕が起こらない方法であれば、上記の乾燥、篩分および外添はいかなる方法でも行うことができる。
【0051】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法(II)について説明する。
この製造方法(II)は、少なくとも、前記製造方法(I)の第1工程〜第3工程の3工程から構成され、第1工程、第3工程およびその他の工程は上記製造方法(I)と同様にして行うことができる。
【0052】
製造方法(II)の第2工程の分散懸濁工程においては、第1工程の混合工程で得られた混合液Aを、水系媒体B中に両者の混合割合が本発明に規定する特定の比となる範囲で加える前に、予め上記水系媒体B中の水に、第1工程で用いた溶媒と同一のものをその飽和溶解度以下の範囲で加えておく。溶媒の添加された水系媒体Bを作製した後に、混合液Aを添加し、製造方法(I)と同様にして分散懸濁することにより、分散懸濁液を得ることを特徴とするものである。
【0053】
上記のように水系媒体B中の水に予め、第1工程で用いた溶媒と同一のものを加える場合、水系媒体B中の水に対するその溶媒の飽和溶解度以下の範囲で添加することができるが、中でも特に、その飽和溶解度の30〜100%の範囲で添加することが好ましく、50〜100%の範囲で添加することがより好ましい。
【0054】
上記のように、水系媒体B中の水に、後に加える混合液Aに使用した溶媒を予め加えておくことにより、分散懸濁時に分散懸濁粒子から水系媒体B中への溶媒の抽出を抑制することができる。特に、単位体積当りの表面積が大きい微粒子は、この溶媒の抽出が大きいため、粒子の粘度の上昇や固化が生じて合一が進行しにくくなり、その結果、微粒子の残存が大きくなり粒度分布が広がることとなる。
従って、上記のように水系媒体B中に予め溶媒を加えておくことにより、分散初期の段階より高い分散性が得られ、分散性に優れた分散懸濁液を容易に作製することができる。
その結果、得られたトナー中の極小な粒子や粗大な粒子の含有率を低減することができ、粒度分布のシャープなトナーを簡易に得ることができる。
【0055】
この第2工程で用いる水、無機分散剤、有機分散剤および乳化機等は全て製造方法(I)と同様のものを使用することができる。
【0056】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法(III)について説明する。
この製造方法(III)は、少なくとも、前記製造方法(I)の第1工程〜第3工程の3工程から構成され、第2工程、第3工程およびその他の工程は上記製造方法(I)と同様にして行うことができる。
【0057】
製造方法(III)の第1工程の混合工程においては、少なくとも結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を溶解若しくは分散させる溶媒中に、予め、次の第2工程で使用する水と同一のものを、その飽和溶解度以下の範囲で加えておく。この水を加えた溶媒を作製しておき、次いで上記トナー材料を溶解若しくは分散して混合液Aを作製し、これを第2工程で水系媒体Bに添加することを特徴とするものである。
【0058】
上記のように第1工程の溶媒中に、予め第2工程の水系媒体Bに用いる水と同一のものを加える場合、溶媒に対する水の飽和溶解度以下の範囲で添加することができるが、中でも特に、その飽和溶解度の30〜100%の範囲で添加することが好ましく、50〜100%の範囲で添加することがより好ましい。
【0059】
上記のように、混合液Aの溶媒中に、水系媒体Bの水を予め加えておくことにより、分散懸濁時に水系媒体Bの分散懸濁粒子中への溶解を少なくし、前記b/a値を変えることなく、最適に保ったまま、分散性に優れた分散懸濁液を容易に作製するすることができる。
【0060】
この第1工程で用いる結着樹脂、着色剤、溶媒および分散機等は全て製造方法(I)と同様のものを使用することができる。
【0061】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法(IV)について説明する。
この製造方法(IV)は、少なくとも、前記製造方法(I)の第1工程〜第3工程の3工程から構成され、第3工程およびその他の工程は上記製造方法(I)と同様にして行うことができる。
【0062】
製造方法(IV)の第1工程の混合工程においては、少なくとも結着樹脂および着色剤を含むトナー材料を溶解若しくは分散させる溶媒中に、予め、第2工程で使用する水と同一のものを、その飽和溶解度以下の範囲で加えておき、この水を加えた溶媒中に上記トナー材料を溶解若しくは分散して、水を含有する混合液Aを作製する。また、第2工程の分散懸濁工程においては、予め、水系媒体B中の水に第1工程で用いた溶媒と同一のものをその飽和溶解度以下の範囲で加えておき、その溶媒を加えた水系媒体Bを作製した後に、第1工程で得られた水を含有する混合液Aを、AとB両者の混合割合が特定の比となる範囲で加え、製造方法(I)と同様にして分散懸濁することにより、分散懸濁液を得ることを特徴とするものである。
【0063】
上記のように第1工程の溶媒中に、予め第2工程の水系媒体Bに用いる水と同一のものを加える場合、前記本発明の製造方法(III)で溶媒に添加することができる量の範囲で水を添加することができる。
また、上記のように第2工程の水系媒体Bに用いる水中に、予め第1工程の溶媒と同一のものを加える場合、前記本発明の製造方法(II)で溶媒中に添加することができる量の範囲で水を添加することができる。
【0064】
ここで、第1工程の溶媒中に、予め第2工程の水系媒体Bに用いる水と同一のものを加える場合、未使用の水を用い、使用可能な溶媒量および水量は、次の第2工程で使用する溶媒量および水量に関係なく、溶媒および水を上記に示すそれぞれの範囲内であれば、任意の比率で任意の量使用することができ、第2工程においても第1工程で用いた溶媒量および水量と無関係に、溶媒および水を、上記に示すそれぞれの範囲内であれば、任意の比率で任意の量使用することができる。即ち、第1工程の溶媒中に水を添加しても、第2工程でその分を考慮し水量を減らす等の必要はなく、その分を考慮して溶媒量を増加する等の必要もない。
また、第2工程の水系媒体Bに用いる水中に、予め第1工程の溶媒と同一のものを加える場合においても同様に、未使用の溶媒を用い、使用可能な溶媒量および水量は、前の第2工程で使用する溶媒量および水量に関係なく、溶媒および水を、前記に示すそれぞれの範囲内であれば、任意の比率で任意の量使用することができ、第1工程においても第2工程で用いる溶媒量および水量と無関係に、溶媒および水を、上記に示すそれぞれの範囲内であれば、任意の比率で任意の量使用することができる。
【0065】
上記のように、予め混合液Aの溶媒中に水系媒体Bに用いる水と同一のものを加え、さらに水系媒体B中の水に分散層の溶媒と同一のものを加えておき、分散懸濁して分散懸濁液を作製することにより、微粒子の残存を防止するとともに、前記b/a値を変えることなく、最適に保ったまま、より分散性に優れた分散懸濁液を容易に作製することができる。
【0066】
この第1工程で用いる結着樹脂、着色剤、溶媒および分散機、第2工程で用いる水、無機分散剤、有機分散剤および乳化機等は全て製造方法(I)と同様のものを使用することができる。
【0067】
本発明の製造方法(IV)により得られるトナーは、製造方法(II)〜(III)より得られるトナーよりも、トナー粒子の均一性に富み、より粒度分布のシャープなトナーを形成することができる。また、製造方法(II)および(III)では、製造方法(II)による方法を用いた方が効果は大きく、より均一なトナーを得ることができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。尚、以下実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」、「重量%」を表す。
【0069】
参考例1)
<混合工程(第1工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、ポリエステル樹脂を溶解したトナー組成物混合液A200部を得た。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレン オキサイド付加物/テレフタル酸誘導体の共重合ポリエステル樹脂
(ガラス転移点Tg66℃、融点Tm106℃) ・・・ 90部
・C.I.ピグメントブルー(15:3) ・・・ 5 部
・パラフィンワックス(融点89℃) ・・・ 5 部
・酢酸エチル ・・・100部
【0070】
<分散懸濁工程(第2工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体Bを得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆) ・・・20部
(商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製)
・カルボキシメチルセルロース ・・・ 0.5部
(商品名:セロゲンBS−H,第一工業(株)製)
・イオン交換水 ・・・99.5部
【0071】
上記より得られた水系媒体B1200gを、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製) に入れ、回転羽根を周速20m/secで撹拌している状態の上記水系媒体B中に、前記トナー組成物混合液A1000gを投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して分散懸濁し、トナー組成物混合液Aと無機分散剤を除いた水系媒体Bとの混合重量比(b/a)が1.0の分散懸濁液(1)を得た。
【0072】
<溶媒除去工程(第3工程)>
上記より得られた分散懸濁液(1)を撹拌しながら、温度を40℃一定に保ち、ブロワーを用いて分散懸濁液面上の気相を強制更新して、17時間そのままに保ちトナー分散液(1)を得た。
【0073】
<洗浄、脱水工程>
溶媒除去工程で得られたトナー分散液(1)の300重量部に、10規定塩酸80重量部を加え、さらに0.1N水酸化ナトリウム水溶液により中和処理後、吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、トナーケーク(1)を得た。
【0074】
<乾燥、篩分工程>
上記より得られたトナーケーク(1)を真空乾燥機で乾燥し、45μmメッシュで篩分して、静電荷像現像用トナー(1)を得た。
【0075】
<残存溶媒量の測定>
上記より得られた静電荷現像用トナー(1)1重量部に、2−プロパノール2重量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫にて1日以上保存し、トナー中の溶媒を抽出した。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC14A,SHIMADZU)で分析し、トナー中の溶媒を定量することにより溶媒濃度を測定した。
ここで、測定条件は以下の通りである。測定した結果を以下の表1に示す。
・装置 ;島津GC−14A
・カラム ;CBP20−M50−0.25
・検出器 ;FID
・注入量 ;1〜5μl
・キャリアガス ;He2.5kg/cm2
・水素流量 ;0.6kg/cm2
・空気流量 ;0.5kg/cm2
・チャートスピード ;5mm/min
・感度 ;Range 101 ×Atten 20
・カラム温度 ;40℃
・Injection Temp ;150℃
【0076】
<粒径および粒度分布の測定>
上記より得られた静電荷像現像用トナー(1)の粒径およびその粒度分布を、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を使用し、50μmのアパーチャー径で測定した。
ここで、粒径は重量平均粒径で表し、粒度分布の幅を示す尺度はGSD(Geometrical Standard Deviation,(全トナー粒子数の50%個数平均粒径)/(全トナー粒子数の84%個数平均粒径))で表した。
測定した結果を、以下の表2に示す。
【0077】
また、上記より得られた本発明の静電荷像現像用トナー(1)を用いて、電子写真複写機(商品名:Vivace555,富士ゼロックス(株)製)によりコピーテストを行った。
【0078】
<画質の評価>
得られた画像を下記基準にしたがい目視による官能評価を行った。その評価結果を以下の表2に上記結果と併せて示す。
○: 地肌部にカブリがなく、画像欠陥のない安定した画像である。
△: 若干地肌部のカブリや画像欠陥があるが、実使用上問題ない。
×: 地肌部のカブリの発生が顕著で、画像欠陥も認められる。
【0079】
参考例2〜6、参考
参考例1における、トナー組成物混合液Aと無機分散剤を除いた水系媒体Bとの添加重量比b/a値を、0.5%カルボキシメチルセルロース水溶液を用いて下記表1に示すb/a値にまで調整したこと以外、参考例1と同様にして静電荷像現像用トナー(2)〜(9)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(2)〜(9)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記参考例1と同様の方法により測定した。また、参考例1と同様にしてコピー画像を作製し、参考例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。以下の表1および表2に、これらの結果を上記結果と併せて示す。
【0080】
【表1】
Figure 0004098417
【0081】
参考10
参考例1の分散懸濁工程(第2工程)で用いた炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆;商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製) を、被覆の施していない炭酸カルシウムに代えて水系媒体Bを作製した以外、参考例1と同様にしてトナーを形成したが、そのほとんどが篩分メッシュ上に残存し、評価できるトナーを得ることができなかった。
【0082】
参考11
参考例1の分散懸濁工程(第2工程)で用いた炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆;商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製) を、被覆の施していないリン酸カルシウムに代えて水系媒体Bを作製した以外、参考例1と同様にして静電荷像現像用トナー(11)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(11)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記参考例1と同様の方法により測定した。また、参考例1と同様にしてコピー画像を作製し、参考例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。上記表1および下記の表2に、これらの結果を上記結果と併せて示す。
【0083】
参考12
参考例1において、20m/secの周速で用いた回転羽根の周速を、12m/secに代えて分散懸濁し、分散懸濁液(12)を作製した以外、参考例1と同様にして静電荷像現像用トナー(12)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(12)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記参考例1と同様の方法により測定した。また、参考例1と同様にしてコピー画像を作製し、参考例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。上記表1および下記の表2に、これらの結果を上記結果と併せて示す。
【0084】
【表2】
Figure 0004098417
【0085】
(実施例
<混合工程(第1工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、ポリエステル樹脂を溶解したトナー組成物混合液A200部を得た。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレン オキサイド付加物/テレフタル酸誘導体の共重合ポリエステル樹脂
(ガラス転移点Tg66℃、融点Tm106℃) ・・・ 90部
・C.I.ピグメントブルー(15:3) ・・・ 5 部
・パラフィンワックス(融点89℃) ・・・ 5 部
・酢酸エチル ・・・100部
【0086】
<分散懸濁工程(第2工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体Bを得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆) ・・・20部
(商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製)
・カルボキシメチルセルロース ・・・ 1部
(商品名:セロゲンBS−H,第一工業(株)製)
・イオン交換水 ・・119部
・酢酸エチル ・・・10部
【0087】
上記より得られた水系媒体B1500gを、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製) に入れ、回転羽根を周速20m/secで撹拌している状態の上記水系媒体B中に、前記トナー組成物混合液A1000gを投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して分散懸濁し、分散懸濁液(13)を得た。
【0088】
<溶媒除去工程(第3工程)>
上記より得られた分散懸濁液(13)を撹拌しながら、温度を30℃一定に保ち、ブロワーを用いて3時間、分散懸濁液面上の気相を強制更新してトナー分散液(13)を得た。
【0089】
<洗浄、脱水、乾燥、篩分工程>
溶媒除去工程で得られたトナー分散液(13)を用い、参考例1と同様にして、トナーケーク(13)を得た後、静電荷像現像用トナー(13)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(13)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記実施例1と同様の方法により測定し、その結果を以下の表3に示す。
【0090】
参考13
上記実施例の混合工程(第1工程)で用いた酢酸エチル100部を、酢酸エチル97部およびイオン交換水3部に代え、さらに分散懸濁工程(第2工程)で用いたイオン交換水119部および酢酸エチル10部を、イオン交換水129部に代えた以外、実施例と同様にして静電荷像現像用トナー(14)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(14)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記参考例1と同様の方法により測定し、その結果を以下の表3に示す。
【0091】
参考14
実施例の混合工程(第1工程)で用いた酢酸エチル100部を、酢酸エチル97部およびイオン交換水3部に代えた以外、上記実施例と同様にして静電荷像現像用トナー(15)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(15)の残存溶媒量、粒径および粒度分布を上記参考例1と同様の方法により測定し、その結果を以下の表3に示す。
【0092】
【表3】
Figure 0004098417
【0093】
前記表2に示す参考例1〜6より明らかなように、水系媒体B中にカルボキシル基を有する重合体を被覆した無機分散剤を用い、混合液Aと無機分散剤を除いた前記水系媒体Bとの重量比(b/a)が上記<2>の規定の範囲にあり、さらに上記<2>に規定する回転周速で分散懸濁して作製する静電荷像現像用トナーの製造方法で作製した静電荷像現像用トナー(1)〜(6)では、トナー粒子の均一性を示すGSD値は1.7以下であり、粒度分布の狭い静電荷像現像用トナーを分級することなく得ることができた。
また、このトナー(1)〜(6)のうち、GSD値が1.6以下にある静電荷像現像用トナー(1)〜(4)を用いて画像形成した参考例1〜4では、地肌部にカブリがないうえ、画像抜け等の欠陥のない安定した画像を得ることができた。
【0094】
一方、トナー組成物混合液Aと無機分散剤を除いた前記水系媒体Bとの重量比(b/a)を上記<2>の規定の範囲としなかった参考においては、特に、混合液Aの相対量の多い参考では粒子形成ができず、また逆に水量の相対量の多い参考ではGSD値が高く、分級することなく、粒度分布の狭い静電荷像現像用トナーを形成することはできなかった。
また、本発明に規定する被覆無機分散剤を用いなかった参考1011の静電荷像現像用トナー(10)及び(11)、また、回転羽根の周速を上記<2>に規定する周速とせずに分散懸濁して作製した参考12の静電荷像現像用トナー(12)も、上記同様、GSD値は高く、分級せずに粒度分布の狭い静電荷像現像用トナーを形成することはできなかった。
上記参考11および12より得られた静電荷像現像用トナー(8)〜(9)および(11)〜(12)を用いて画像形成した場合、地肌部にカブリを生じ、画像抜け等の欠陥も生じてしまい、高画質な画像を得ることができなかった。
【0095】
また、上記表3に示す実施例より明らかなように、予め第2工程の水系媒体B中に第1工程で用いる溶媒と同一のものを添加した水系媒体Bを用いて作製した静電荷現像用トナー(13)は、第1または第2工程で溶媒中に水を添加または水中に溶媒を添加せずにトナーを作製した参考例1〜6の静電荷現像用トナーよりも、さらにGSD値が小さく、特に分級することなく、粒度分布の極めて狭い静電荷現像用トナーを得ることができた。
【0096】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造された静電荷像現像用トナーは、粒度分布の狭い安定した静電荷像現像用トナーであり、帯電が均一なため、極めて高画質な画像を得ることができ、また、現像剤、感光体の長寿命化および転写効率の向上にも有効である。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、分級することなく粒径を制御し、極めて粒度分布の狭い静電荷像現像用トナーを簡易に、かつ安定して得ることができる。

Claims (1)

  1. 結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解若しくは分散する混合工程、該混合工程で得られた混合液Aを水系媒体B中に添加し、回転羽根を有する乳化機を用いて分散懸濁させる分散懸濁工程、得られた分散懸濁液から溶媒を除去する溶媒除去工程、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    前記水系媒体Bの水中に、予め前記混合工程で用いる溶媒を、その飽和溶解度以下の範囲で含有させておくことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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