JP4011788B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法または静電記録法に用いられ、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真法または静電記録法により形成される静電潜像を現像するための静電荷像現像用トナーに使用されるポリマー微粒子を製造する幾つかの方法が知られている。その中には、出発原料としてのモノマーを、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により重合して直接ポリマー微粒子を製造する方法がある。しかし、これらの重合法では、残存モノマー及び界面活性剤の除去が難しいこと、着色剤、帯電制御剤及び離型剤等の不溶材料の内添が難しいこと、得られるポリマーの種類及び粒径範囲が限定されること、材料組成が変更されるごとに粒子化に最適な条件の検討を要すること等の問題がある。
【0003】
また、あらかじめ重合反応により作製したポリマーを微粒子化させることにより、ポリマー微粒子を製造する方法がある。その中で、溶融混練粉砕法は、あらかじめ粗粉砕したポリマーを機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで分級することによりポリマー微粒子を得る方法であり、現在では最も多用されている静電荷像現像用トナーの製造方法である。しかし、この方法で得られるポリマー微粒子は、不定形であり、その粒径も均一ではなく、粒度分布をシャープにするには分級工程を必要とする等の欠点がある。
【0004】
さらに、あらかじめ溶媒に溶解したポリマー溶液を霧状に噴霧することにより粒子化する方法があるが、この方法により製造されるポリマー微粒子は粒径が均一にならないこと及び大型の製造装置が必要になる等の欠点がある。また、あらかじめ溶媒に溶解したポリマー溶液に貧溶媒を添加するか、または、あらかじめ溶媒に加熱溶解したポリマー溶液を冷却することにより、ポリマー微粒子を析出させる方法があるが、この方法では、粒子の形状制御が難しいこと及び使用するポリマーの種類とそれに対する溶媒の種類の選定が難しいこと等の欠点がある。
また、加熱溶融したポリマーを、その融点以上に加熱した媒体中に分散させた後、冷却することによりポリマー微粒子を得る方法もあるが、この方法においては、媒体が水系であると殆んどの場合に加圧を必要とすること、また媒体が油系であると洗浄が難しくなること及び形状の制御が困難である等の欠点がある。
【0005】
さらには、あらかじめ溶媒に溶解したポリマー溶液(トナー材料の混合液等)を水系媒体中に分散懸濁させ、これを加熱するか又は減圧する等によって溶媒を除去することにより、粒子化させる方法(特公昭38-2095号公報、特公昭61-28688号公報、特開昭63-25664号公報、特開平7-152202号公報、特開平9-15902号公報等)が知られている。この方法は、残存モノマーが無いこと、界面活性剤が使用されていないために除去する必要がないこと、着色剤、帯電制御剤及び離型剤等の不溶材料の内添が容易であること、得られるポリマーの種類及び粒径範囲が限定されないこと、材料組成を変更しても粒子化の最適条件の検討は不要であること、得られる粒子の粒度分布がシャープであること及び水系媒体の洗浄が容易であること等の数多くの利点を有しているから、従来法の中では工業化に好適な方法と考えられている。
一方、電子写真の分野に使用される静電荷像現像用トナーの結着樹脂としては、定着時に瞬時に溶け、画像表面が平滑になり、低分子量化しても十分な可とう性を有するポリエステルも良く用いられる。特にカラートナーにおいては、発色性、可とう性の面でポリエステル樹脂が良く使用されており、ポリエステルを用いたトナーの形状制御が必要であった。
しかしながら、ポリエステルを用いた静電荷像現像用トナーは、前記した工業化に好適なトナー製法においても、シャープな粒度分布を有しつつ、粒子の形状制御を満足に行うことができないという問題があった。
また、不定形のトナーをスプレードライヤーあるいは温水加熱などの手段により球形化する方法も提案されているが、粒子が熱により合一するおそれがあるため、形状の球形でないものが多数混ざったり、粒度分布がブロードになるなどの問題があった。
【0006】
一般に、静電荷像現像用トナーは、形状が球形であり、しかもその表面が平滑であると転写効率が向上する。これは、トナー粒子が転写体と1点でのみで接触するために非静電的付着力が小さくなることによるものである。このようなトナーを用いる場合には、残留トナーが殆ど発生しなくなってクリーナーレスシステムの実現の可能性が高くなり、また、トナー粒子による感光体の損傷及び磨耗が減少して感光体寿命を延長させることができるという利点がある。
一方、粒径が均一であると、一般に静電荷像現像用トナーは、次のような利点がある。
(1)トナーの帯電がシャープになる。これにより帯電量を低くすることができるとともに、印加電圧に対するトナー濃度の立ち上がりがシャープになるため、印加電圧を下げることができる。その結果、感光体寿命を延長させることが可能となる。さらに、潜像消去に要する発光ダイオードの光量も節減できるため、用いる発光ダイオードの寿命も向上する。
(2)選択現像が減少する。これは、スペントトナーの発生原因となる微粉が少ないことに起因するものであり、その結果、現像剤寿命を延長させることができる。
(3)紙等の被転写体への転写効率が向上する。これは、非静電的付着力の大きい微粉が少ないことに起因するものであり、その結果、クリーナーレスシステムの実現が可能になる。
(4)クリーニング不良を改善することができる。クリーニング不良の原因となる微粉が少ないため、簡単なクリーニングシステムで済み、また感光体の傷や磨耗が減少して感光体寿命を延長させることが可能となる。
以上の種々の利点から、均一な粒径を有し、かつ、粒子形状が球形であり、表面が平滑な静電荷像現像用トナー粒子を得る方法が強く要請されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における上記のような実状に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、極めて粒度分布が狭く、かつ、粒子が球形であって表面が平滑な静電荷像現像用トナー、及び分級することなく粒径を制御しつつ、粒度分布が狭く、かつ球形状の静電荷像現像用トナーを簡易に、かつ安定して得ることのできる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、転写効率が向上し、残留トナーが発生しないことからクリーナーレスシステムの実現可能性が高くなる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、感光体の損傷及び磨耗を減少させて感光体寿命を延長させることが可能な静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法について鋭意検討した結果、トナー組成物の懸濁液に、特定成分を添加した後、懸濁液から溶媒を除去することにより、シャープな粒度分布を有し、かつ、粒子の形状が球形であり、その表面が平滑であると共に、粒子間の形状バラツキのない静電荷像現像用トナーが生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を溶媒中に溶解もしくは分散する工程、得られた組成物混合液を、表面処理を施した親水性無機微粒子を含む水系媒体中に分散懸濁させる工程、及び得られた懸濁液から溶媒を除去する工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、分散懸濁させる工程の後、溶媒を除去する工程の前に懸濁液にアンモニア水を添加することを特徴とする。
【0011】
この時、溶媒を除去する工程での分散液の温度が結着樹脂のガラス転移点(Tg)以下であることが好ましい。
【0012】
この時、溶媒を除去する工程での攪拌の周速度が10〜70m/minであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の静電荷像現像用トナー、および静電荷像現像用トナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、その製造上の特質よりトナー中に1〜500ppmの溶媒が残存するトナーであって、このトナーの粒度分布を示すGSD値(Geometrical Standard Deviation)が1〜1. 6の範囲にある静電荷像現像用トナーであり、かつ、このトナーの球形化度を示す値が100以上130以下の範囲にあり、ローブ状粒子存在率が0個数%以上5個数%以下であり、BET比表面積が0.5〜3m2/gである静電荷像現像用トナーである。
ここで、上記GSD値は、(全トナー粒子数の50%個数平均粒径)/(全トナー粒子数の84%個数平均粒径)から算出される全トナー粒子の粒子径のバラツキの広がり度合(粒度分布)を示す1以上の値であり、この値が1に近づくほど粒径が単分散であることを意味し、一般に単分散と言われているものはこのGSD値が1.1前後のものである。
通常使用されるトナーは上記GSD値が1.7程度のものであるが、トナーの諸性能を向上し、より高画質な画像を得るためには、トナーのGSD値を下げる、即ち、粒度分布の狭いものとすることが好ましい。
【0014】
また、上記球形化度とは、球形化度=100×π×(ML)2/(4×A)[式中MLは、画像解析装置により、光学顕微鏡から入力した粒子の2次元投影画像から計算されたトナー粒子の最大長、Aはトナー粒子の投影面積]から算出されるトナー粒子の球形度合を示す値であり、この値が100に近づくほど形状が真球状であることを意味し、一般に真球状と言われているものはこの値が110前後
形状のものである。
実用上、球形化度が100以上130以下のトナー粒子が良く、球形化度が130を超えると、感光体とトナーの接触面積が増えるため、転写性が低下する。特に100以上120以下が好ましい。
【0015】
また、ローブ状粒子とは、粒子が数個付着した形状であり、表面に突起を有する異形粒子を意味する。トナー粒子の投影像(1000倍で撮影したSEM写真)において、粒子内接円直径の2割以上の突起を有する粒子をローブ状粒子とした。粒子をランダムに100個選び、ローブ状粒子の数を数え、これを個数%で表し、形状バラツキの度合いとした。このローブ状粒子は、感光対とトナーの接触面積が大きいため、転写性が悪く、実用上0個数%以上5個数%以下であることが良く、特に0個数%以上2個数%以下が好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、上記GSD値が1以上1.6以下であり、従って、微粉が少なく、トナーの帯電を均一にすることができるため、現像剤、感光体の長寿命化、および転写効率の向上を図ることができ、カブリのない高画質な画像を長期間安定して得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーのGSD値は、上記範囲の中でも1に近いほど好ましいが、GSD値が後述の実施例で採用したGSD値のいずれかの値を下限とし、上記の上限値または後述の実施例で採用したGSD値のいずれかの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0016】
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、上記球形化度の値が100以上130以下であり、従って、真球状であり、かつ、ローブ状粒子存在率が0個数%以上5個数%以下であることにより、感光体に対するトナーの接触面積が少ない為、高い転写効率を示す。さらに、このようなトナーを用いる場合には、残留トナーが殆ど発生しなくなってクリーナーレスシステムの可能性が高くなり、また、トナー粒子による感光体の損傷及び磨耗が減少して感光体寿命を延長させることができる。
【0017】
さらに、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、BET比表面積は0.5〜3m2/gであり、0.5〜1.5m2/gがより好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、1〜500ppmの範囲で溶媒が含有されていることが必要であり、また、この範囲でトナー中に溶媒が含有されることは、本発明の静電荷像現像用トナーの特徴的である。
ここにいう溶媒とは、結着樹脂および着色剤を溶解若しくは分散する混合工程に分散媒として用いる溶媒と同一のものである。
上記溶媒濃度が、1ppm未満では、トナーの製造適性が低下し、長期経時での乾燥によるトナー表面の変質が生じやすくなるため好ましくなく、500ppmを越えると、トナーとしたときに溶媒臭が生じやすく、また、トナー保存時における凝集が発生しやすくなるとともに、汚染物質が内部から表面に移行しやすくなることから好ましくない。
【0018】
上記本発明の静電荷像現像用トナーの粒径としては、1〜30μmの範囲にあるものが好ましく、3〜15μmの範囲にあるものがより好ましい。粒径が1μm未満であると、表面積が大きくなりキャリア汚染が発生しやすくなる結果、現像剤の耐久性が低下しやすくなり、30μmを超えると、ドットの忠実な再現性が悪くなりやすく、画像が粗くなるため好ましくない。
【0019】
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について、前記した各工程を順次説明する。
まず、本発明における第1の工程は、トナー材料を溶液中で混合させてトナー材料の混合液を得る混合工程である。この混合工程においては、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料を溶媒中に溶解もしくは分散させて、トナー材料の混合液を得る。
【0020】
そのトナー材料には、結着樹脂及び着色剤の他に、必要に応じてトナー粒子に通常添加される離型剤及び帯電制御剤等を適宜配合してもよい。トナー材料の混合液は、結着樹脂に予め着色剤、離型剤及び帯電制御剤等を混練させたものを、溶媒中に溶解もしくは分散させてもよいし、または結着樹脂を溶媒中に溶解させた後、着色剤、離型剤及び帯電制御剤等をボールミル、サンドミル等のメディア入り分散機または高圧分散機等を用いて分散させてもよい。この混合工程においては、結着樹脂が溶媒中に溶解し、着色剤が分散している限り、如何なる方法により混合してもよい。
【0021】
本発明に係わる静電潜像現像剤用トナーの結着樹脂としては、特に制限されるものではなくトナー用樹脂として一般に用いられる樹脂が使用できる。具体的には、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等であるが、定着時の溶融性と得られた画像の平滑性の観点から、より好ましいのはポリエステル樹脂である。
【0022】
ポリエステル樹脂の重合単量体としては次のものを挙げることができる。アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,2,4−トリメチロールペンタン−1,3−ジオールなどが挙げられる。また、ポリエステル樹脂の特性付与のため、前記アルコール成分にさらに、ヒドロキシカルボン酸成分を加えることができる。例えばp−オキシ安息香酸、バニリン酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等である。
【0023】
酸成分の具体例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸モノメチルエステル、テトラヒドロテレフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘキサヒドロフタル酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ジフェノール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロペンタンジカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、2,2−ビス−(4−カルボキシフェニル)プロパン、トリメリット酸無水物と4,4−ジアミノフェニルメタンから得られるジイミドカルボン酸、トリス−(β−カルボキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミドカルボン酸、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化反応物とトリメリット酸無水物から得られるイソシアネート環含有ポリイミドカルボン酸などであり、これらの一種または二種以上が使用される。これらのなかで三価以上の多価カルボン酸、多価アルコールなどの架橋成分を用いると定着強度、耐オフセット性などの安定性の点で好ましい場合がある。
【0024】
これらの原材料から得られるポリエステル樹脂は通常の方法で製造される。ガラス転移温度は40℃〜80℃に設定するのが良く、さらに好ましくは50℃〜70℃である。本発明の樹脂には上記ポリエステル樹脂を二種類以上組み合せてもよいし、更に本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の樹脂を組み合せても良い。他の樹脂としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等がある。本発明においてはポリエステル樹脂を主成分として、その他の樹脂は結着樹脂中に0〜30重量%の量で添加するのが好ましい。
【0025】
本発明において、前述の熱可塑性樹脂中に分散させる着色剤としては、公知の有機、もしくは、無機の顔料や染料、油溶性染料を使用することができる。例えばC.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45432)、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、金属錯塩染料の誘導体、これらの混合物等を挙げることができる。更にはシリカ、酸化アルミニウム、マグネタイトや各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、および酸化マグネシウムなどの種々の金属酸化物およびこれらの適宣の混合物などが挙げられる。
【0026】
これらの着色剤は、充分な濃度の可視像が形成されるに十分な割合で含有されることが必要であり、トナー粒径や現像量に依存するが、一般にトナー中1〜50重量%程度の割合が適切である。
【0027】
本発明においては、必要によりトナーに帯電制御剤を加えても良い。使用できる帯電制御剤としては、粉体トナーに於て使用されている、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる化合物、さらにこれらを適宣組合せたものが好ましく使用できる。
【0028】
トナーに対するこれら帯電制御剤の添加量は、一般に0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%の範囲である。添加量が0.1重量%を下回ると帯電制御効果が不十分であり、また10重量%を越えると、トナー抵抗の過度の低下を引き起こしトナーが使いにくくなる。
【0029】
さらに、上記帯電制御剤と共に、金属石鹸、無機または有機金属塩を併用することができる。そのような金属石鹸としては、トリステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、バリウム、カルシウム、鉛及び亜鉛のステアリン酸塩、またはコバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のリノレン酸塩、アルミニウム、カルシウム、コバルトのオクタン酸塩、カルシウムとコバルトのオレイン酸塩、パルミチン酸亜鉛、カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のナフテン酸塩、カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のレジン酸塩等を用いることができる。また、無機又は有機金属塩としては、例えば金属塩中のカチオン性成分は、周期律表の第Ia族、第IIa族、および第III a族の金属からなる群より選ばれ、該酸のアニオン性の成分はハロゲン、カーボネート、アセテート、サルフェート、ボレート、ニトレート、およびホスフェートからなる群より選ばれる塩である。これら金属石鹸、無機または有機金属塩は、一般に、トナーあたり0.1重量%〜10重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲である。添加量が0.1重量%を下回ると所望する効果が不十分であり、また10重量%を越えると、トナー粉体流動性の低下等を引き起こし、いずれも好ましくない。
【0030】
本発明において、トナー材料の溶解もしくは分散に用いる溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は、結着樹脂を溶解できるものであって、かつ、水に溶解する割合が0〜30重量%程度のものであることが好ましい。また、工業化を行うにあたり、作業上の安全性、コスト及び生産性等をも考慮すると、結着樹脂がポリオレフィンである場合にはシクロヘキサンを用い、また、その他の結着樹脂の場合には酢酸エチルを用いることが特に好ましい。これら溶剤はトナー材料の混合液の粘度が20℃において1〜10000mPa・sの範囲となるように用いられ、好ましくは1〜2000mPa・sの範囲となるように用いられる。
【0031】
次に、本発明における第2の工程は、トナー材料の混合液を分散及び懸濁させる分散懸濁工程である。この分散懸濁工程においては、上記混合工程で得られたトナー材料の混合液を、水系媒体中に導入して懸濁液を得る。
その水系媒体としては、水中に親水性無機微粒子(無機分散剤)を分散させたものを用いることが好ましい。また、トナー粒子の粒度分布を均一にするためには、水中に親水性無機微粒子を分散させるとともに、水に溶解する高分子分散剤を添加することが好ましい。この親水性無機微粒子は、ボールミルのようなメディアの入った分散機、高圧分散機または超音波分散機等を用いて水中に分散させる。また高分子分散剤は、水中に均一に溶解していれば如何なる方法によって添加してもよい。また、本発明に用いられる水は、通常イオン交換水、蒸留水または純水であるが、水溶性溶媒を飽和させたものを用いることがより好ましい。
【0032】
上記の親水性無機微粒子としては、具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等を挙げることができ、中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。
さらに、本発明の製造方法においては、分散時の分散性およびその安定性をより高める観点から、上記親水性無機微粒子としては、その粒子表面にカルボキシル基を有する重合体で被覆された無機微粒子を用いることがより好ましい。
カルボキシル基を有する重合体で被覆された無機微粒子を用いることにより、親油親水バランスを最適化することができるため、水相成分と油相成分とが安定化し、分散媒中に含有される各トナー成分を均一に分散することができ、かつこの状態を保持することができる。従って、上記のような重合体にて被覆された無機微粒子を用いることにより、均一なトナー粒子を形成することができ、粒度分布の狭い、安定したトナーを製造することができる。
従って、本発明においては、カルボキシル基を有する重合体で被覆された炭酸カルシウムを用いることが最も好ましい。
【0033】
上記カルボキシル基を有する重合体としては、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸またはα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン等により中和されたアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等から選ばれる少なくとも1種と、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルと、の共重合物、或いは、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸とα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物の上記のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩等が含まれる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0034】
上記α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα、β不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のα、β不飽和ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
また、上記α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルの代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸その他のアルキルエステル類、アルコキシ基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、シクロへキシル基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、ヒドロキシ基を有するアクリレートおよびメタクリレート類、ポリアルキレングリコールモノアクリレート類およびポリアルキレングリコールモノメタクリレート類等が挙げられ、これらに代表されるα、βモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルより選ばれるものが好ましい。
【0035】
上記の親水性無機微粒子としては、その平均粒子径が1〜1000nmの範囲のものが用いられるが、5〜500nmの範囲のものが好ましく、10〜300nmのものがより好ましい。この平均粒子径が1nm未満では、無機微粒子を分散させることが困難となり、1000nmを超えると、トナー粒子径との差が小さくなるため、トナー組成物の混合液(油相成分)を安定に分散維持させることが困難となるため好ましくない。
【0036】
また、親水性無機微粒子は、トナー100重量部に対して1〜300重量部の範囲で使用することが好ましく、4〜100重量部の範囲で使用することがより好ましい。上記使用量が、1重量部未満では十分な分散性とその安定性を得ることができず、300重量部を超えると水系媒体(水相成分)の粘度が高くなりやすく、分散懸濁が不安定なる場合があるため好ましくない。
【0037】
上記の高分子分散剤としては、親水性のものを用いることが好ましく、カルボキシル基を有するものの中で、特にヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基等の親油基を持たないものが好ましい。
具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性セルロースエーテルが用いられるが、中でも、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0038】
上記水溶性セルロースエーテルのエーテル化度は0.6〜1.5の範囲にあり、平均重合度が50〜3000のものが好ましい。
また、含まれるカルボキシル基は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩であってもよい。
これらの高分子分散剤は、トナー材料の混合液の極性によって最適な量があり、この最適量より多くても少なくても形成される粒子の粒度分布はシャープでなくなる。
【0039】
分散懸濁工程に使用される装置としては、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業社製)等のバッチ又は連続両用乳化機、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製)、ナノメーカー、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVゴウリン(ゴウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等を挙げられる。
【0040】
第3の工程はイオン性物質添加工程である。このイオン性物質添加工程では、上記分散懸濁工程で作製した懸濁液にイオン性物質を添加して、その懸濁液中の水系媒体の親水性、親油性のバランスを調整することが必要である。これは、前述の分散懸濁工程におけるシャープな粒度分布を得るための親水性と親油性のバランスの水準と、懸濁液中の溶媒を除去する工程における球形状のトナーを得るための親水性と親油性のバランスの水準が異なるためであり、また、分散懸濁工程後の懸濁液にイオン性物質を添加することにより親水性と親油性のバランスを変化させることができる。したがって、粒度分布がシャープでかつ球形状のトナー粒子を得るためには、分散懸濁工程後の懸濁液にイオン性物質を添加することが必要である。イオン性物質の添加は、分散懸濁後に直ちに行ってもよいが、粒度分布をよりシャープにするためには分散懸濁工程の1ないし5分以上経過後に行うことが好ましい。
【0041】
本発明に用いられるイオン性物質としては、水相中へ添加した際に、溶解性が良好であり、解離することにより、相対的に水相の親水性を増大させるものであればなんでも良く、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、およびカルボキシル基、水酸基等の親水性基を有する物質等があげられる。より具体的には、アルカリ金属の水酸化物では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等およびそれらの炭酸塩、酢酸塩等、アルカリ土類金属の水酸化物では、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等があげられる。これらのなかでは、アンモニア水がより好ましい。また、一部の金属水酸化物のように水に解けにくいものや高粘性を有するものは水による洗浄の際除去しにくいため適当ではない。また、これらは単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
イオン性物質の添加量は、分散懸濁工程で作製した懸濁液100重量部に対してイオン性物質1%水溶液換算値で0.1〜100重量部の範囲で添加することが好ましく、0.3〜25重量部の範囲で添加することがより好ましい。前記添加量が0.1重量部未満では十分な球形化度を得ることができず、100重量部を越えると粒子同士の合一や凝集が起こり、粒子径、粒度分布の変化や、異形粒子の発生があるため好ましくない。
【0042】
第4の工程は溶媒除去工程である。溶媒除去工程は上記イオン性物質添加工程で作製した液中の溶媒を除去してトナー分散液を作製する工程である。この溶媒除去工程では、イオン性物質添加工程で作製した液を加熱することにより、液滴中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。
この時、加熱温度は、高いほど、溶媒の除去は速く行えるが、結着樹脂のガラス転移点(Tg)以下であることが必要である。これは、加熱温度が結着樹脂のガラス転移点(Tg)を超えると、溶媒除去の際、トナー粒子界面に付着していた親水性無機微粒子がトナーへと浸漬し、結果的にトナー表面の凹凸や帯電性等のトナー特性に悪影響をもたらすからである。
さらにこの時、攪拌の周速度は10〜70m/minであることが必要である。これは、溶媒除去工程初期のトナー粒子は、液滴であり、水系媒体との界面に無機微粒子が存在することにより、粒子を形成しているものであり、攪拌による剪断の影響を受けやすく、さらに球形化のためのイオン性物質を添加することで、より攪拌による影響を受けやすくなっており、周速度70m/minを超えた範囲では、粒子がちぎれ、微粉が発生してしまい、トナーの粒度分布がブロード化してしまうためである。
この際(1)圧力を760mmHg以上として排風により液面上の気相を強制的に更新する(この時、液中に気体を吹き込んでもよい)、(2)圧力をを10〜760mmHg未満に減圧する(この時気体のパージにより液面上の気相を強制的に更新してもよく、さらに液中に気体を吹き込んでもよい)、のいずれかを行うことが好ましい。それらは単独でも順番に行なってもよい。
【0043】
本発明における静電荷像現像用トナーの製造方法においては、必要に応じて、以下の工程を追加することができる。まず、上記第4の溶媒除去工程で作製したトナー分散液から水系媒体を除去し、洗浄し、脱水して、トナーケークを作製する工程である。この洗浄、脱水工程では、溶媒除去工程で作製した分散液を酸処理して無機微粒子を溶解させ、その後水で洗浄を行い、脱水する。ただし、酸処理の後に、アルカリ処理を追加してもよい。
さらに、その次の工程は、上記洗浄脱水工程で作製したトナーケークを乾燥し、篩分けし及び外添剤を添加して、静電荷像現像用トナーを作製する工程である。これらの工程においては、トナーが凝集や粉砕を起こさない方法である限り、乾燥、篩分及び外添は如何なる方法で行なってもよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0045】
(実施例1)
<混合工程(第1工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、ポリエステル樹脂を溶解したトナー組成物混合液200部を得た。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ 90部
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/
テレフタル酸誘導体の共重合ポリエステル樹脂
(ガラス転移点Tg66℃、融点Tm106℃)
・C.I.ピグメントブルー(15:3) 5部
・パラフィンワックス(融点89℃) 5部
・酢酸エチル 100部
【0046】
<分散懸濁工程(第2工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体を得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆) 20部
(商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製)
・カルボキシメチルセルロース 0.5部
(商品名:セロゲンBS−H,第一工業(株)製)
・イオン交換水 99.5部
【0047】
上記より得られた水系媒体1200gを、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製)に入れ、回転羽根を周速20m/secで撹拌している状態の上記水系媒体中に、前記トナー組成物混合液lOOOgを投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して分散懸濁液を得た。
【0048】
<イオン性物質添加工程(第3工程)>
上記より得られた分散懸濁液をプロペラ羽根で撹拌しながら、1%に希釈したアンモニア水を150g添加した。
【0049】
<溶媒除去工程(第4工程)>
イオン性物質添加工程で得られた混合液を周速度45m/minで撹拌しながら、温度を40℃一定に保ち、プロワーを用いて分散懸濁液面上の気相を強制更新して、17時間そのままに保ちトナー分散液(1)を得た。
【0050】
<洗浄、脱水工程>
溶媒除去工程で得られたトナー分散液(1)の300重量部に、10規定塩酸80重量部を加え、さらに0.1N水酸化ナトリウム水溶液により混合物を中和した後、吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、トナーケーク(1)を得た。
【0051】
<乾燥、節分工程>
上記より得られたトナーケーク(1)を真空乾燥機で乾燥し、45μmメッシュで節分して、静電荷像現像用トナー(1)を得た。
【0052】
<残存溶媒量の測定>
上記より得られた静電荷現像用トナー(1)1重量部に、2−プロパノール2重量部を加え、超音波で静電荷現像用トナー(1)を2−プロパノールに30分間分散させた後、冷蔵庫にて1日以上保存し、トナー中の溶媒を抽出した。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC14A,SHIMADZU)で分析し、トナー中の溶媒を定量することにより溶媒濃度を測定した。
ここで、測定条件は以下の通りである。
・装置 ;島津GC−14A
・カラム ;CBP20−M50−0.25
・検出器 ;FID
・注入量 ;1〜5μl
・キャリアガス ;He2.5kg/cm2
・水素流量 ;0.6kg/cm2
・空気流量 ;0.5kg/cm2
・チャートスピード;5mm/min
・感度 ;Ra n g e 10xAt t en 2°
・カラム温度 ;40℃
・Injection Temp ;150℃
【0053】
<粒径および粒度分布の測定>
上記より得られた静電荷像現像用トナー(1)の粒径およびその粒度分布を、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を使用し、50μmのアパーチャー径で測定した。
ここで、粒径は重量平均粒径で表し、粒度分布の幅を示す尺度はGSD(Geometrical Standard Deviation,(全トナー粒子数の50%個数平均粒径)/(全トナー粒子数の84%個数平均粒径))で表した。
【0054】
<球形化度の測定>
上記より得られた静電荷像現像用トナー(1)の球形化度を、FE-SEM(日立製作所製:S-800)を用い、倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介して、画像解析装置(ニレコ社製:LuzexIII)に導入し解析を行い、下記式より算出して得られた値(形状係数値:MLS2)で表した。
MLS2=(トナー粒子の絶対最大長)2/(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100
また、FE−SEM(日立製作所製:S−800)を用いた、倍率1000倍に拡大したトナー像からランダムに100個選択した中のローブ状粒子数及びBET比表面積測定機(コールター社製:SA3100)による測定を合わせて行った。
【0055】
また、上記より得ちれた本発明の静電荷像現像用トナー(1)を用いて、電子写真複写機商品名:Vivace555,富士ゼロックス(株)製)によりコピーテストを行った。
【0056】
<転写性の評価>
紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー(感光体に残存したトナー)及び廃トナー(感光体以外の場所に飛散したトナー)について以下の基準に従い目視による官能評価を行った。
○:感光体表面の残存トナー及び、廃トナーのない良好な転写性である。
△:若干感光体表面の残存トナーや廃トナーがあるが、実用可能である。
×:感光体表面の残存トナーが顕著に見られ、廃トナーも多数認められる。
【0057】
<画質の評価>
得られた画像について下記基準に従い目視による官能評価を行った。
○:地肌部にカブリがなく、画像欠略のない安定した画像である。
△:若干地肌部のカブリや画像欠陥があるが、実用可能である。
×:地肌部のカブリの発生が顕著で、画像欠陥も認められる。
【0058】
(実施例2)
実施例1における、<イオン性物質添加工程(第3工程)>で添加するイオン性物質を1%に希釈したアンモニア水150gから1%水酸化ナトリウム水溶液6gに変更したこと以外、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(2)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(2)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0059】
(実施例3〜5)
実施例1における、<溶媒除去工程(第4工程)>で溶媒除去時の温度および攪拌の周速度を表1の値にしたこと以外、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(3)〜(5)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(3)〜(5)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0060】
(比較例1)
実施例1の方法において、イオン性物質添加工程を除いたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(6)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(6)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0061】
(比較例2)
実施例1の方法において、イオン性物質添加工程を除き、溶媒除去時の攪拌周速度を120m/minにしたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(7)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(7)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0062】
(比較例3)
実施例1の方法において、イオン性物質添加工程を除き、<乾燥、節分工程>の後に、熱風処理装置による加熱球形化処理(350℃)を施したこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(8)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(8)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0063】
(比較例4)
従来の溶融混練粉砕トナーであって、Vivace400(富士ゼロックス社製)に使用されているトナーについて、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0064】
(比較例5)
実施例1の方法において、イオン性物質添加工程を除き、<乾燥、節分工程>の後に、熱風処理装置による加熱球形化処理(350℃)を施し、さらに分級機による分級を行い、粒度分布をシャープにしたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー(10)を得た。
得られた静電荷像現像用トナー(10)の残存溶媒量、粒径、粒度分布、球形化度、BET比表面積及びローブ状粒子存在率を上記実施例1と同様の方法により測定した。また、実施例1と同様にして紙への転写直後の感光体表面を観察し、残存トナー及び廃トナーについて目視による官能評価を行なうと共に、コピー画像を作製し、実施例1と同様の方法によりその画質とカブリの評価を行った。
【0065】
【表1】
【0066】
表1から、本実施例のトナーでは、粒度分布が狭く、かつ形状が球形であり、転写性及び画質が優れていることがわかる。
【0067】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、結着樹脂及び着色剤を含有する、シャープな粒度分布を有し、かつ形状が球形であると共に、表面が平滑である静電荷像現像用トナーを容易に作製することが可能である。
また、本発明の方法によれば、転写効率が向上し、クリーナーレスシステムの実現の可能性が高くなり、廃トナーを無くすことが可能となる静電荷像現像用トナーを容易に作製することが可能である。
また、本発明の方法によれば、感光体の傷や磨耗が減少して感光体寿命が延長することが可能となる静電荷像現像用トナーを容易に作製することが可能である。
Claims (1)
- 結着樹脂及び着色剤を溶媒中に溶解もしくは分散する工程、得られた組成物混合液を、表面処理を施した親水性無機微粒子を含む水系媒体中に分散懸濁させる工程、及び得られた懸濁液から溶媒を除去する工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
分散懸濁させる工程の後、溶媒を除去する工程の前に懸濁液にアンモニア水を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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