JP4438079B2 - 建設機械のカウンタウエイト構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル,クローラクレーン等に代表される建設機械に搭載されるカウンタウエイトの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、建設機械の一例として、油圧ショベルの構成を図3に基づいて説明する。図において、30は油圧ショベルであって、この油圧ショベル30は、走行自在な下部走行体31と、この下部走行体31の上部に旋回自在に搭載される上部旋回体32と、この上部旋回体32の前部に伏仰自在に搭載される作業アタッチメント33とを有している。なお、前記上部旋回体32の後端部には前記作業アタッチメント33とつりあいを保つためのカウンタウエイト35が搭載されている。また、前記上部旋回体32の前部一側には、オペレータが搭乗する運転室34が備えられている。
【0003】
次に従来のカウンタウエイト35の構造を図に基づいて説明する。図4は従来のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。カウンタウエイト35は、前後,左右,上下面を板部材にて囲まれた6面体の箱形に形成され、この箱形の内部にはコンクリート等の充填材が充填される構成となっている。このカウンタウエイト35の下部には、前記上部旋回体32側の一対のフレームにカウンタウエイト35を載置するための一対の取付座37が備えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来よりカウンタウエイト35の背板36は、組立性の向上等の理由から大きな一枚板で形成するのが一般的であった。一方、この背板36と取付座37との接合部周辺には、上部旋回体の振動等による応力集中が発生して背板36にクラック等が発生する恐れがあることから、背板36の板厚を増す等して対応していた。しかしながら、応力集中が発生するのは取付座37の周辺部という大きな背板のごく一部分であり、このごく一部分の応力集中のために、板厚の厚い大きな一枚板の背板36を採用することは、コストダウンの観点から問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、背板全体の板厚を増すことなく必要部位の強度確保を図った建設機械のカウンタウエイト構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、上部旋回体の後端に載置される建設機械のカウンタウエイト構造において、該カウンタウエイトが、内部に充填材が充填される箱体に形成されるとともに、下部に前記上部旋回体に対して前後方向に延びたフレームに載置されるための下向き凹形状の取付座を備え、前記カウンタウエイトの上部旋回体中心側に位置する背板と前記取付座との接合部の周囲の背板側に補強部材を接合したことを特徴とするものである。
【0007】
これによると、取付座の周囲に強度部材を接合することにより、背板の板厚をいたずらに増すことなく、必要な部分に必要な強度を与えることができるので、従来より薄い背板を採用することができ、コストダウンにつながる。また、カウンタウエイトの背板という上部旋回体の外形面を形成しない面に補強部材を接合することにより、背板と補強部材との接合痕等が外部から目に付くことなく、上部旋回体の美観性を低下させる恐れもない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記補強部材は、前記背板に対して重ね合わせて接合される板部材であることを特徴とするものである。
【0009】
この場合、補強部材を重ね合わせる構造としたことにより、既存のカウンタウエイトに対しても強度アップを簡単に実施することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記板部材はカウンタウエイトの外側或いは内側の少なくとも一方から前記背板に対して接合されることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によると、カウンタウエイトの外側と内側とから補強を必要とする部分に対して必要な補強を適切に行うことができるので、高い補強効果を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記補強部材は、前記取付座と前記背板との間に介在される厚板であることを特徴とするものである。
【0013】
これによると、補強部材を一枚板の厚板構成にすることにより、板部材を背板と重ね合わせて補強する場合に比して、より高い補強効果を得ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記補強部材は、前記取付座の凹部分に沿う凹形状を有することを特徴とするものである。
【0015】
これによると、補強部材を取付座の凹部分に沿わせることができるので、応力集中が発生する取付座部分とその周囲の補強を確実に行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記取付座が複数設定される場合に、前記補強部材を前記複数の取付座間で共通化したことを特徴とするものである。
【0017】
これによると、部品の共通化が図れるとともに、量産効果により、よりコストダウンを図ることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造において、前記補強部材を左右対称形状に設定したことを特徴とするものである。
【0019】
これによると、補強部材を左右対称形状とすることで、カウンタウエイト組立時に作業者が組付方向を間違えるといった混乱が生じることなく、組付性を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る建設機械のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。
【0021】
図において、1はカウンタウエイトであって、このカウンタウエイト1は、前後,左右,上下面を板部材にて囲まれた6面体の箱形に形成され、この箱形の内部にはコンクリート等の充填材が充填される構成となっている。このカウンタウエイト1の下部には、前記上部旋回体32側の一対の梁にカウンタウエイト1を載置するための一対の取付座3が備えられている。このカウンタウエイト1の背板2と一対の取付座3との接合部近傍のそれぞれには、背板2に対して下向き凹形状の板部材からなる補強部材4が外側から接合されている。なお、この補強部材4の凹部は、取付座3の開口に沿うように形成されている。また、補強部材4の形状,厚みは、カウンタウエイトに要求される強度に応じて任意に設定可能である。
【0022】
本発明によれば、取付座3の周囲に強度部材を接合することにより、背板2の板厚をいたずらに増すことなく、必要な部分に必要な強度を与えることができるので、従来より薄い背板2を採用することができ、コストダウンにつながる。また、補強部材4を重ね合わせる構造としたことにより、既存のカウンタウエイトに対しても強度アップを簡単に実施することができる。また、補強部材4を一対の取付座3の間で同形状とすれば、量産効果により、よりコストダウンを図ることができる。また、背板2は、上部旋回体の外形面を形成しない面であるので、背板2と補強部材4との接合痕等が外部から目に付くことなく、上部旋回体の美観性を低下させる恐れもない。
【0023】
また、補強部材4を左右対称形状とすれば、カウンタウエイト組立時に作業者が組付方向を間違えるといった混乱が生じることなく、組付性を向上させることができる。
【0024】
なお、ここでは、補強部材4の接合例として、カウンタウエイト1外側から背板2に対して接合する場合を述べたが、本発明はこれに限らず、補強部材4をカウンタウエイト1内側から背板2に対して接合する構造にしてもよいのはいうまでもない。また、背板2に対してカウンタウエイト1の外側と内側との両方から接合する構造にしてもよい。また、ここでは、取付座3が一対の構成からなる場合について説明したが、これに限らず、1つでも複数でも適用可能である。この場合、補強部材4の数は取付座3に合わせて適宜変更すればよい。
【0025】
次に本発明の第2実施形態を図に基づいて詳細に説明する。図2は本発明の第2実施形態に係る建設機械のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。なお、上述した第1実施形態と同一の機能を有するものについては、同符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
図において、カウンタウエイト1に接合する背板11には、厚板からなる一対の補強部材13が嵌合するための一対の開口部12が備えられている。前記補強部材13は、下向き凹形状に形成されており、この補強部材の凹部が、カウンタウエイト1の取付座3の開口に沿うように形成されている。なお、補強部材13の形状,厚みは、カウンタウエイトに要求される強度に応じて任意に設定可能であり、この補強部材13の形状に応じて背板11の開口部12の形状は決定される。また、補強部材13の厚みは、背板11の厚みより厚いことはいうまでもない。
【0027】
本構成によれば、補強部分を一枚板の厚板構成にすることにより、前述した第1実施形態のように板を重ね合わせて補強する場合に比して、より高い補強効果を得ることができる。また、背板11は、上部旋回体の外形面を形成しない面であるので、背板11と補強部材13との接合痕等が外部から目に付くことなく、上部旋回体の美観性を低下させる恐れもない。
【0028】
また、補強部材13を一対の取付座3の間で同形状とすれば、量産効果により、よりコストダウンを図ることができる。また、補強部材13を左右対称形状とすれば、カウンタウエイト組立時に作業者が組付方向を間違えるといった混乱が生じることなく、組付性を向上させることができる。また、ここでは、取付座3が一対の構成からなる場合について説明したが、これに限らず、1つでも複数でも適用可能である。この場合、補強部材13の数は取付座3に合わせて適宜変更すればよい。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によると、取付座の周囲に強度部材を接合することにより、背板の板厚をいたずらに増すことなく、必要な部分に必要な強度を与えることができるので、従来より薄い背板を採用することができ、コストダウンにつながる。また、カウンタウエイトの背板という上部旋回体の外形面を形成しない面に補強部材を接合することにより、背板と補強部材との接合痕等が外部から目に付くことなく、上部旋回体の美観性を低下させる恐れもない。
【0030】
請求項2に記載の発明によると、補強部材を重ね合わせる構造としたことにより、既存のカウンタウエイトに対しても強度アップを簡単に実施することができる。
【0031】
請求項3に記載の発明によると、カウンタウエイトの外側と内側とから補強を必要とする部分に対して必要な補強を適切に行うことができるので、高い補強効果を得ることができる。
【0032】
請求項4に記載の発明によると、補強部材を一枚板の厚板構成にすることにより、板部材を背板と重ね合わせて補強する場合に比して、より高い補強効果を得ることができる。
【0033】
請求項5に記載の発明によると、補強部材を取付座の凹部分に沿わせることができるので、応力集中が発生する取付座部分とその周囲の補強を確実に行うことができる。
【0034】
請求項6に記載の発明によると、部品の共通化が図れるとともに、量産効果により、よりコストダウンを図ることができる。
【0035】
請求項7に記載の発明によると、補強部材を左右対称形状とすることで、カウンタウエイト組立時に作業者が組付方向を間違えるといった混乱が生じることなく、組付性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建設機械のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る建設機械のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。
【図3】油圧ショベルの構成を示す斜視図である。
【図4】従来のカウンタウエイト構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,35:カウンタウエイト
2,11,36:背板
3,37:取付座
4,13:補強部材
32:上部旋回体
Claims (7)
- 上部旋回体の後端に載置される建設機械のカウンタウエイト構造において、該カウンタウエイトが、内部に充填材が充填される箱体に形成されるとともに、下部に前記上部旋回体に対して前後方向に延びたフレームに載置されるための下向き凹形状の取付座を備え、前記カウンタウエイトの上部旋回体中心側に位置する背板と前記取付座との接合部の周囲の背板側に補強部材を接合したことを特徴とする建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記補強部材は、前記背板に対して重ね合わせて接合される板部材であることを特徴とする請求項1記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記板部材はカウンタウエイトの外側或いは内側の少なくとも一方から前記背板に対して接合されることを特徴とする請求項2記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記補強部材は、前記取付座と前記背板との間に介在される厚板であることを特徴とする請求項1記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記補強部材は、前記取付座の凹部分に沿う凹形状を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記取付座が複数設定される場合に、前記補強部材を前記複数の取付座間で共通化したことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
- 前記補強部材を左右対称形状に設定したことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1記載の建設機械のカウンタウエイト構造。
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