JP4437706B2 - 海水シャーベット氷の製氷システム - Google Patents
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また海水(表層水)を汲み上げて海水水冷方式も可能であるが、海水を汲み上げるポンプ動力、海水用配管、ろ過装置等の設備費用が高いことと、表層水の通年平均温度が市水とほぼ同等、もしくはそれ以上であり、市水水冷方式と凝縮能力がほぼ同等であることを考慮すると、海水水冷方式は高効率とは言い難い。
一方本出願人等が先に出願した特開2002−115945号公報に開示されているように、海水、特に海洋深層水を使用したシャーベット氷が生鮮食品の鮮度保持に効果的であることはすでに知られている。
まずは製氷タンク及び貯氷タンクに海水、好ましくは海洋深層水を注入する。次に製氷タンク及び過冷却器間で海水を循環するとともに、製氷タンク及び貯氷タンク間でも海水を循環する。海水が循環されていくにつれて、海水は過冷却器により次第に冷却され、製氷、貯氷工程が開始される(好ましくは、この間製氷タンク内の攪拌器は常時回転させ、貯氷タンク内の攪拌器は常時停止しておく)。
次に好ましくは、貯氷タンク内の攪拌器を稼動させ、シャーベット氷取り出しポンプにより、シャーベット氷を取り出す。
なお過冷却解除手段の具体例として、重力エネルギを有する過冷却水の衝突により氷粒を製造する衝突板、又は過冷却水を固体粒若しくは気泡粒との衝突により氷粒を製造する水中解除部がある。
本発明では、製氷タンク内の氷含有率を常時5重量%以下に抑える運転を行なうことにより、前記問題点を効果的に解消することができる。なお貯氷タンク内では、好ましくは攪拌器を設け、同タンク内での凝集、凝固を防止する。
(1)深層水を原水とするため、清浄性が確保でき、生物学的に清浄な深層水により、安全な衛生管理が可能である。
(2)塩分濃度の調整が容易である。
(3)製氷効率を上げることができる。
さらに貯氷タンク内でシャーベット氷を絶えず循環、攪拌させることによって、流動性が良く、生鮮食品を傷付けない、柔らかなシャーベット氷を取り出すことができる。
図1は本発明の第1実施例に係る、海洋深層水を用いたシャーベット氷の製氷システムを示す系統図である。
なお過冷却解除板9の代わりに、過冷却水を水中に種氷又は気体を供給し、これらとの衝突により氷粒を製造する水中解除部を設けてもよい。
(1)製氷タンク6及び貯氷タンク10に海洋深層水oを注入する。
(2)製氷タンク6→循環ポンプ7→過冷却器5→過冷却解除板9→製氷タンク6の順で海洋深層水oを循環する。
(3)製氷タンク6→循環ポンプ13→貯氷タンク10→循環ポンプ12→製氷タンク6の順で海洋深層水oを循環する(往復の流量は同等)。
(5)製氷タンク6内の氷水が貯氷タンク10へ送り込まれ、貯氷タンク10内の海洋深層水oが製氷タンク6に送り込まれる。
(6)製氷タンク6内の氷含有率は常時5重量%以下とし、貯氷タンク10内の氷含有率は常時上昇する。
(8)貯氷タンク10内の攪拌羽根11が回転し、シャーベット氷取り出しポンプ15により、シャーベット氷を取り出し、ホース14で生鮮食品fの氷蔵に供する。
(9)製氷タンク6側は、別の貯氷タンク10に対して前記(3)〜(6)が行なわれる。
(10)貯氷タンク10がすべて目標とする氷含有率に達した場合は、製氷タンク6での製氷も終了する。
また海洋深層水のシャーベット氷をつくることにより、清浄性が確保でき、また塩分濃度の調整が容易であるため、冷却対象となる生鮮食品に適した冷蔵温度に設定することが容易であり、効果的鮮度保持を図ることができる。
本実施例によれば、製氷タンク6内又は貯氷タンク10内等での凝固、凝集、閉塞等を起すことなく、氷含有率の高いシャーベット氷をつくることができる。
図2〜6は、シャーベット氷の各種取り出し方法を示す説明図である。
(1)図2に示すように、大型貯氷タンク10の側面又は下部に配管16を付設して、スラリーポンプ21で取り出し、販売機22を介し送給する(攪拌羽根11は常時回転させる)。
(3)図4に示すように、大型貯氷タンク10を高い位置に設置し、タンク側面又は下部に配管18を付設して、自重による取り出しを行なう。この場合、大型貯氷タンク10内の攪拌羽根11でタンクのシャーベット氷が均一に攪拌されている必要がある。
(5)図6で示すように、大型貯氷タンク10からバケットコンベア25でシャーベット氷をすくい、距離が離れている場所への搬送は、ベルトコンベア又はシュータ24で行なう。この場合、バケットコンベア25でシャーベット氷が攪拌されるため、貯氷タンク10内の攪拌器は不要である。
まず図2に示すように、スラリーポンプ21を有する場合のシャーベット氷の取り出し方法例においては、販売機22に設けられた図示せざる販売ボタンを押すと、図7に示すように、貯氷タンク10よりスラリーポンプ21でシャーベット氷を取り出し、計量タンク31へ搬送する。
また図3〜5に示すように、開閉バルブ23を有する取り出し方法例においては、販売機22に設けられた図示せざる販売ボタンを押すと、図8に示すように、バルブ23が開いて、シャーベット氷を取り出し、計量タンク31に搬送する。
その後前記両販売方法とも、必要量に達したら、スラリーポンプ21又はバルブ23が閉じる。
これに対し、本発明の製氷システムにより、目標とする塩分濃度を含んだシャーベット氷の製造が可能となった。過冷却解除方式で製氷を行なうと、掻き取り方式での製氷と比べ、瞬間的な急速凍結となり、塩分濃度を含んだシャーベット氷の製造が可能である。またその製氷原理から真水から海水(深層水)100%の範囲で全く同様に製氷可能である。製造された塩分濃度を含んだシャーベット氷は、大型貯氷タンク内で十分に攪拌することにより、そのタンクから均一な塩分濃度でかつ均一な氷含有率での取り出しが可能である。
図10に示すように、調整海水の塩分濃度は、シャーベット氷形成後もその塩分濃度をほぼ維持可能であることを確認した。これにより、もし1.0重量%のシャーベット氷が必要な場合は、ろ過、殺菌された海水又は海洋深層水を汲み上げた後、ろ過、殺菌された真水を混合し、本発明システムを用いた連続製氷を行い、かつ貯氷タンク10内の氷含有率を目標値に合わせるようにした製氷過程を行なうことにより、目標とする塩分濃度を含んだシャーベット氷の製造が可能となる。
また海洋深層水ならば、ミネラル成分等もシャーベット氷内に含まれることになり、魚介類の鮮度保持に極めて有効である。
2 駆動モータ
3 水冷凝縮器
4 膨張弁
5 過冷却器
6 製氷タンク
7,12,13 循環ポンプ
8,11 攪拌羽根
8a,11a 駆動モータ
9 過冷却解除板
10 大型貯氷タンク
14 取り出しホース
15 取り出しポンプ
21 スラリーポンプ
22 販売機
23 開閉バルブ
24 ベルトコンベア又はシュータ
25 バケットコンベア
31 計量タンク
41 質量流量計
c 冷媒ライン
o 海洋深層水
s,w 海洋深層水循環ライン
f 生鮮食品
Claims (5)
- 冷媒を圧縮して高圧化する圧縮機と、同圧縮機で圧縮された冷媒を海洋深層水を冷却媒体として凝縮する凝縮器と、同凝縮器で凝縮した冷媒を膨張させる膨張手段と、膨張した冷媒と海水とを熱交換して同冷媒の蒸発潜熱により同海水を過冷却する過冷却器と、過冷却解除手段を具備し、同過冷却器との間で前記海水を循環させながらシャーベット氷をつくる製氷タンクと、同製氷タンクで製氷した海水シャーベット氷を貯留する1個以上の貯氷タンクと、同製氷タンク及び同貯氷タンク間を連絡する循環管路とを備えたことを特徴とする海水シャーベット氷の製氷システム。
- 前記過冷却解除手段が重力エネルギを有する過冷却水の衝突により氷粒を製造する衝突板、又は過冷却水を固体粒若しくは気泡粒との衝突により氷粒を製造する水中解除部であることを特徴とする請求項1記載の海水シャーベット氷の製氷システム。
- 前記製氷タンクの内部及び前記貯氷タンクの内部に攪拌手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の海水シャーベット氷の製氷システム。
- 前記海水が海洋深層水であることを特徴とする請求項1記載の海水シャーベット氷の製氷システム。
- 前記貯氷タンクを2個以上設置し、それぞれの貯氷タンクで異なった氷含有率の海水シャーベット氷を貯氷するように運転することを特徴とする請求項1記載の海水シャーベット氷の製氷システム。
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