JP4437594B2 - エレベーターの救出運転装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、かごの異常停止時に人為操作によって巻上機の制動を開放し、かごの重量によって乗場に昇降させるエレベーターの救出運転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、例えば実公平5−30069号公報に示された構成に類似したエレベーターにおける従来の救出運転状況を示す昇降路の要部縦断面図である。図において、1は乗場2が設けられた昇降路、3は乗場2の出入口を開閉する戸、4は昇降路1の底面に設置された巻上機で、制動用回転体5を制動する制動機6が設けられている。7は巻上機4の綱車に巻掛けられて昇降路1を昇降するかご(図示しない)を吊持した主索である。
【0003】
8は足踏み式の救出操作器で、昇降路1内の乗場2近くに収容されて、停電や故障の発生等によってかごが乗場2から外れた位置に異常停止したときに、係員によって乗場2に取り出される。9は解放用ケーブルで、外管及びこの外管に挿通された芯線によって構成された可撓性ケーブルからなり一端が制動機6に連結され、他端は外管が救出操作器8の固定部に連結され芯線は可動牽引部に連結されている。
【0004】
上記のように構成されたエレベーターの救出運転装置において、かごの異常停止時に施錠されている乗場2の戸3が係員によって解錠されて戸開される。そして、図5に示すように救出操作器8が乗場2に取り出されて足踏み部、すなわち可動牽引部が間欠的に押圧される。
【0005】
これにより、制動機6による制動が断続的に解放されて、かごがそれの重量によって間欠的に昇降する。そして、戸開した乗場2から主索7の移動を見ながらかごを昇降させて、主索7に設けられた目印(図示しない)によってかごを適宜な乗場2に停止させる操作が行われる。これにより、かごが停止した乗場2からかご内乗客が救出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなエレベーターの救出運転装置において、乗場2の戸3が係員によって解錠されて戸開されて、その乗場2において救出操作器8を操作してかごの間欠的昇降等の救出作業が行われる。このように、戸開した乗場2において救出作業が行われるので、係員が乗場2を解錠するときに戸3が余計に戸開したり、救出操作器8の操作時に余計に戸開していたりする。このため、乗場2で作業する係員に転落事故等に対する緊張を強いるという問題点があった。
【0007】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、解錠された乗場の戸の開動作が所定位置で阻止されるエレベーターの救出運転装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーターの救出運転装置においては、エレベーターの巻上機に設けられた制動用回転体を制動する制動機、外管及びこの外管に挿通された芯線によって構成された可撓性ケーブルからなり一端が制動機に連結され、他端はエレベーターの乗場に設けられた操作器箱に保持されて、人為操作により芯線が牽引されることによって制動機の制動作用を解放する解放用ケーブルと、乗場に設けられて常時は乗場を開閉する戸に対して非係合位置に配置され、操作器箱に収納された乗場操作器の撤去を介して係合位置に変位して戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構とが設けられる。
【0009】
また、この発明に係るエレベーターの救出運転装置においては、乗場の出入口の下縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の下端に設けられた戸の脚からなる係合子に係合して、戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構が設けられる。
【0010】
また、この発明に係るエレベーターの救出運転装置においては、乗場の出入口の上縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の上端に設けられた吊り手の軸からなる係合子に係合して、戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構が設けられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図3は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は昇降路内側の要部を概念的に示す立面図、図2は図1における救出運転状況を示す図1相当図、図3は図2の次の救出運転状況を示す乗場側立面図である。図において、1は乗場2が設けられた昇降路、3は乗場2の出入口を開閉する戸である。
【0012】
4は昇降路1の底面に設置された巻上機で、制動用回転体5を制動する制動機6が設けられている。7は巻上機4の綱車に巻掛けられて昇降路1を昇降するかご(図示しない)を吊持したた主索である。10は乗場2出入口の戸当たり側の縁部に設けられた操作器箱、11は操作器箱10に着脱自在に収納されて常時は所定位置に装着された乗場操作器である。
【0013】
12は乗場2に設けられた阻止機構で、乗場2下縁部の出入口幅の中間寄りに一端が枢着されて他端は操作器箱10の直下位置に配置された回動腕13、回動腕13の長手中間に凹設されて戸3の戸の脚からなる係合子14に対向する阻止部15、下端が回動腕13の回動端に枢着され上端が操作器箱10の下辺に摺動可能に挿通されて乗場操作器11に衝頭した作動棒16が設けられる。
【0014】
また、阻止機構12には、作動棒16の挿通端に固定されたばね受け具17、作動棒16に嵌合されて操作器箱10の下辺と受け具17の間に配置された圧縮コイルばねからなる付勢体18、作動棒16に固定されて操作器箱10の下辺よりも下方に配置され付勢体18による作動棒16の上昇変位を所定位置で制約する制約片19によって構成されている。
【0015】
8は足踏み式の救出操作器で、常時はエレベーターの管理員室等に保管されていて、停電や故障の発生によってかごが乗場2から外れた位置に異常停止したときに、係員によって乗場2に配置される。9は解放用ケーブルで、外管及びこの外管に挿通された芯線によって構成された可撓性ケーブルからなり一端が制動機6に連結され、常時において他端は操作器箱10内の適所に保持される。20は詳細は後述するがエレベーターの救出運転時に乗場2出入口の戸当たり側の縁部と戸3の間に形成される空所である。
【0016】
上記のように構成されたエレベーターの救出運転装置において、常時は操作器箱10の所定位置に乗場操作器11が収納されて阻止機構12の作動棒16が下降位置に配置される。これによって、回動腕13が水平姿勢に配置されて図1に示すように阻止部15が係合子14から離れた位置に配置される。
【0017】
そして、停電やエレベーターの故障発生等によってかごが乗場2から外れた位置に異常停止すると、エレベーターの管理員室等に保管されている足踏み式の救出操作器8が係員によって乗場2に配置される。次いで、図3に示すように解放用ケーブル9が操作器箱10から引き出されて、操作器箱10側の端部の外管が救出操作器8の固定部に連結され、芯線は可動牽引部に連結される。
【0018】
そして、操作器箱10から乗場操作器11が係員によって取り出され、これにより阻止機構12の作動棒16が付勢体18によって上方へ付勢されているので、図1に示す状態において回動腕13が係合子14を上方に押圧する。次に、施錠されている乗場2の戸3が係員によって解錠されて戸開されると、この戸開動作の初期において、上方へ付勢されている回動腕13が上昇して阻止部15が係合子14に嵌合する。
【0019】
これによって、図2に示す状態となり戸3の開動作が所定位置で阻止されて空所20が形成される。なお、空所20幅は人が容易には通り抜けできない30cm程度に設定される。そして、図3に示す状態において、空所20により主索7の挙動を見ながら救出操作器8の足踏み部、すなわち可動牽引部が間欠的に押圧される。
【0020】
これにより、制動機6による制動が断続的に解放されて、かごがそれの重量によって間欠的に昇降する。そして、空所20から主索7の移動を見ながらかごを昇降させて、主索7に設けられた目印(図示しない)によってかごを適宜な乗場2に停止させる操作が行われる。次いで、かごが停止した乗場2からかご内乗客が救出される。
【0021】
このようなエレベーターの救出運転において、乗場2が係員によって解錠されて戸開する戸3の開動作が、阻止機構12の機能によって所定位置で阻止されて空所20が形成される。そして、人が容易には通り抜けできない狭い幅に空所20が設定される。したがって、係員が乗場2を解錠するときに戸3が余計に戸開したり、救出操作器8の操作時に戸3が余計に戸開していたりするために、乗場2で作業する係員に転落事故等に対する緊張を強いる不具合を解消することができる。
【0022】
実施の形態2.
図4は、この発明の他の実施の形態の一例を示す前述の図1相当図である。図において、図1と同符号は相当部分を示し、21は乗場2の出入口の上縁部に装着された戸3の案内レール、22は戸3に設けられて案内レール21に案内される吊り手、23は吊り手22の軸からなる係合子である。24は阻止機構で、本質的に前述の阻止機構12と同様に構成され、長手中間が枢着された回動腕25、回動腕25の反作動棒16側に設けられて係合子23に対応する阻止部26が設けられている。
【0023】
上記のように構成されたエレベーターの救出運転装置においても、かごの異常停止時の救出運転作業において、施錠されている乗場2の戸3を解錠して戸開するときに阻止機構24が設けられているので、戸開動作の初期において戸3の開動作が阻止機構24の機能によって所定位置で阻止される。したがって、詳細な説明を省略するが図4の実施の形態においても図1〜図3の実施の形態と同様な作用が得られる。
【0024】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、エレベーターの巻上機に設けられた制動用回転体を制動する制動機、外管及びこの外管に挿通された芯線によって構成された可撓性ケーブルからなり一端が制動機に連結され、他端はエレベーターの乗場に設けられた操作器箱に保持されて、人為操作により芯線が牽引されることによって制動機の制動作用を解放する解放用ケーブルと、乗場に設けられて常時は乗場を開閉する戸に対して非係合位置に配置され、操作器箱に収納された乗場操作器の撤去を介して係合位置に変位して戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構とを設けたものである。
【0025】
これによって、かごの異常停止時の救出運転作業において、施錠されている乗場の戸を解錠して戸開するときに阻止機構によって、戸開動作の初期において戸の開動作が所定位置、すなわち人が容易には通り抜けできない狭い戸開き幅で阻止される。したがって、係員が乗場を解錠するときに戸が余計に戸開したり、救出操作器の操作時に戸が余計に戸開していたりするために、乗場で作業する係員に転落事故等に対する過剰な緊張を強いる不具合を解消することができて救出運転作業を容易化する効果がある。
【0026】
また、この発明は以上説明したように、乗場の出入口の下縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の下端に設けられた戸の脚からなる係合子に係合して、戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構を設けたものである。
【0027】
これによって、かごの異常停止時の救出運転作業において、施錠されている乗場の戸を解錠して戸開するときに、乗場出入口の下縁部の回動腕が戸の脚からなる係合子に係合する阻止機構によって、戸開動作の初期において戸の開動作が所定位置、すなわち人が容易には通り抜けできない狭い戸開き幅で阻止される。したがって、係員が乗場を解錠するときに戸が余計に戸開したり、救出操作器の操作時に戸が余計に戸開していたりするために、乗場で作業する係員に転落事故等に対する過剰な緊張を強いる不具合を解消することができて救出運転作業を容易化する効果がある。
【0028】
また、この発明は以上説明したように、乗場の出入口の上縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の上端に設けられた吊り手の軸からなる係合子に係合して、戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構を設けたものである。
【0029】
これによって、かごの異常停止時の救出運転作業において、施錠されている乗場の戸を解錠して戸開するときに、乗場出入口の上縁部の回動腕が吊り手の軸からなる係合子に係合する阻止機構によって、戸開動作の初期において戸の開動作が所定位置、すなわち人が容易には通り抜けできない狭い戸開き幅で阻止される。したがって、係員が乗場を解錠するときに戸が余計に戸開したり、救出操作器の操作時に戸が余計に戸開していたりするために、乗場で作業する係員に転落事故等に対する過剰な緊張を強いる不具合を解消することができて救出運転作業を容易化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、昇降路内側の要部を概念的に示す立面図。
【図2】 図1における救出運転状況を示す図1相当図。
【図3】 図2の次の救出運転状況を示す乗場側立面図。
【図4】 この発明の実施の形態2を示す図で、前述の図1相当図。
【図5】 従来のエレベーターの救出運転装置による救出運転状況を示す昇降路の要部縦断面図。
【符号の説明】
2 乗場、3 戸、4 巻上機、5 制動用回転体、6 制動機、9 解放用ケーブル、10 操作器箱、11 乗場操作器、12 阻止機構、13 回動腕、14 係合子、15 阻止部、23 係合子、24 阻止機構、26 阻止部。
Claims (3)
- エレベーターの巻上機に設けられた制動用回転体を制動する制動機、外管及びこの外管に挿通された芯線によって構成された可撓性ケーブルからなり一端が上記制動機に連結され、他端は上記エレベーターの乗場に設けられた操作器箱に保持されて、人為操作により上記芯線が牽引されることによって上記制動機の制動作用を解放する解放用ケーブルと、上記乗場に設けられて常時は上記乗場を開閉する戸に対して非係合位置に配置され、上記操作器箱に収納された乗場操作器の撤去を介して係合位置に変位して上記戸の開動作を所定位置で阻止する阻止機構とを備えたエレベーターの救出運転装置。
- 阻止機構を、乗場の出入口の下縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の下端に設けられた戸の脚からなる係合子に係合して、上記戸の開動作を所定位置で阻止するものとしたことを特徴とする請求項1記載のエレベーターの救出運転装置。
- 阻止機構を、乗場の出入口の上縁部に回動腕が設けられて、この回動腕に形成された阻止部が戸の上端に設けられた吊り手の軸からなる係合子に係合して、上記戸の開動作を所定位置で阻止するものとしたことを特徴とする請求項1記載のエレベーターの救出運転装置。
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