JP4437509B2 - 抗血栓性の向上した血液浄化膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抗血栓性の向上した血液浄化膜に関する。詳しくは、血液透析、血液透析濾過、血液濾過、血漿分離、人工肺等に用いられる抗血栓性が向上した血液浄化膜に関する。さらに詳しくは、長期間にわたって連続的に体外循環に使用される抗血栓性が向上した血液浄化膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
膜を用いた血液浄化療法としては、慢性腎不全患者の延命法として用いられる血液透析、血液透析濾過、血液濾過や、リウマチ、高脂血症の治療に用いられる血漿分離や血漿交換、開心術時に用いられる人工肺等がある。
【0003】
これらの膜を用いた血液浄化療法は、通常、患者より血液を体外に取り出し、血液浄化膜により、透析、濾過、透析濾過、血漿分離、酸素付加等の処理を行い、血液を患者に返却する体外循環と呼ばれる手段が通常とられる。ここで、一般に体外に取り出された血液は、外部の異物と接触すると凝固する性質を持っているので、体外循環においては、血液が血液浄化膜内で凝固し、血栓が形成することを防ぐため、体外へ取り出された血液にヘパリン等の抗凝固剤が添加される。
【0004】
近年、術後腎不全や急性腎不全、急性薬物中毒、劇症肝炎等の治療に、持続的血液濾過、持続的血液透析、持続的血液透析濾過と呼ばれる持続的血液浄化療法が広く行われている。これは、通常の慢性腎不全患者の治療に用いられる血液透析が1回あたり4〜5時間の治療であるのに対し、持続的血液浄化では1回当たり12時間〜数日間にわたって、連続的に体外循環治療を行うものである。これにより病因物質や水分の連続除去が可能となり、上記重篤な疾病の改善に大きな効果を上げている。このように長期間にわたる持続治療の際、患者の容体によっては、使用する抗凝固剤の量が制限されたり、血液が凝固しやすい状態にあることが多く、使用される血液浄化膜には、高い血液適合性、抗血栓性が要求される。
【0005】
ところで、このような血液浄化に用いられる膜の素材として、人工腎臓としては、再生セルロース、鹸化セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートや再生セルロース膜表面にポリエチレングリコールやビタミンE等を固定化した修飾セルロースなどのセルロース類、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体等の合成高分子が、血漿分離膜としては、セルローストリアセテートやポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリプロピレン等が、人工肺としてはポリプロピレンやシリコン等が用いられている。これらの血液浄化膜素材は、汎用プラスチックや繊維素材を血液浄化膜用途に転用しただけに過ぎず、大量生産されているために、低コストで入手でき、製膜も比較的容易ではあるが、血液浄化膜用途を主眼として開発されたものではないので、血液浄化膜として十分な血液適合性や抗血栓性を持っているとは言えない。
【0006】
一部の修飾セルロースには、前述のようにポリエチレングリコールやビタミンEを膜表面に固定化し、血液適合性を向上する試みが為されているものの、これらの効果は血液が異物と接触した際の補体活性を抑制することを目的になされたものであり、抗血栓性が充分に向上しているとは言いにくく、また、これらの物質を膜に固定化することは、製膜工程の複雑化、コストアップにつながっている。
【0007】
近年、生体適合性の官能基として活発に研究されているものの1つにホスホリルコリン構造がある。このホスホリルコリン構造は生体膜を形成しているリン脂質、つまり、ホスファチジルコリンと類似構造である。このため、ホスホリルコリン構造を分子内に有する高分子材料は、生体との親和性が高く、抗血栓性材料として有用である。
例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含む重合体は、細胞膜外壁の構成成分の1つであるホスファチジルコリンと類似の構造を有し、生体由来のリン脂質を積極的に吸着させることによって生体膜類似表面を形成し、優れた血液適合性が得られることが報告されている(例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭63−96200号公報など)。また、ポリウレタンの主鎖にホスホリルコリン基を導入することにより同様に優れた血液適合性が得られることが報告されている(特開昭62−500726号公報、特開平08−134085号公報、特開平08−259654号公報、WO86/02933)しかしながら、これらの材料は、医療材料として十分満足できる抗血栓性を発揮するには至っていない。
【0008】
特開平7−231935には、再生セルロース膜に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびその単量体の共重合体である分子量1000〜100万の高分子酸がエステル結合した、抗血栓性再生セルロース膜が開示されているが、これらは膜面への結合が困難であり、また結合した高分子酸が脱落しやすい等の欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解消し、血液浄化膜として十分な生体適合性、抗血栓性を有する膜を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン類似基(以下ホスホリルコリン基と略記する)を側鎖に有する特定構造のポリウレタン又はポリウレタンウレアを含み、かつこのポリウレタンまたはポリウレタンウレアが膜表面に多く局在化させることにより効率良く抗血栓性が向上することを見出した。
本発明は即ち、以下の(1)乃至(3) に記載したものである。
(1)一般式[1]、[2]または[3]で表されるホスホリルコリン構造を有するジオールを少なくともジオール成分の一部として用いて得られる抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアを含み、かつこの抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアが膜表面に局在化していることを特徴とする抗血栓性の向上した血液浄化膜。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
[上記式[1]〜[3]においてR1 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または下記基
R7 −(A)n −
(Aはオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン基であり、これらの群から選ばれる1種または2種以上が混在してもよく、結合順はランダムでもよい。また、nは1から30の整数を表す。さらに、R7 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であっても良い。)である。また、R2 、R3 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R4 、R5 は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R4 、R5 はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mは1〜10の整数である。また、式[1]および[3]におけるR6 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。]
(2)上記(1)記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜を赤外スペクトルで測定した時、(上記(1)記載の抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに由来するピークの吸光度)/(血液浄化膜の素材に由来するピークの吸光度)が(表面赤外吸収スペクトル測定で得られる値)/(透過赤外赤外スペクトル測定で得られる値)>1であることを特徴とする上記(1)記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜。
(3)抗血栓性のポリウレタンまたはポリウレタンウレアが脂肪族系である上記(1)記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜。
【0014】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において、血液浄化膜に含まれるポリウレタン又はポリウレタンウレア(以下、ポリウレタンとポリウレタンウレアを総称して「ポリウレタン類」ということがある)は、下記式[1]〜[3]で表されるホスホリルコリン構造を側鎖に含むものである。
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
[上記式[1]〜[3]においてR1 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または下記基
R7 −(A)n −
(Aはオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン基であり、これらの群から選ばれる1種または2種以上が混在してもよく、結合順はランダムでもよい。また、nは1から30の整数を表す。さらに、R7 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であっても良い。)である。また、R2 、R3 は炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R4 、R5 は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R4 、R5 はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mは1〜10の整数である。また、式[1]および[3]におけるR6 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20
のアラルキル基である。]
【0017】
本発明のポリウレタン類は、活性水素含有化合物と1種または2種以上のジイソシアナート化合物とを反応させることによって得ることができる。
活性水素化合物としては一般式[1]〜[3]で表されるホスホリルコリン基含有ジオールを必須成分とし、その他に活性水素含有化合物としてジオール及び/またはジアミンを併用することができる。これらの活性水素含有化合物については、特に限定的ではなく、イソシアナートに対して反応性を有する活性水素含有化合物を適宜選択して用いることができる。
【0018】
本発明のポリウレタン類を得るためには、以下の(i)〜(iii)の活性水素含有化合物を用いることができる。
(i)前記一般式[1]〜[3]で表される少なくともいずれか1つのホスホルルコリン基含有ジオール
(ii)ポリマージオール
(iii)鎖伸長剤
以下にこの発明で用いることが可能な活性水素含有化合物について示す。
【0019】
前記一般式[1]〜[3]で表される化合物の中で好ましい化合物を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式[1]において、R2 =R3 =R6 =メチル、R4 =R5 =メチレン、m=1であるとき、R1 =メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルなどの化合物。
一般式[1]において、R2 =R3 =R6 =メチル、R4 =R5 =メチレン、m=1であるとき、R1 =R7 −(A)n−で表されるとき、R7 =メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリル、セチル又はオレイル、Aは、オキシエチレン(nは例えば、3〜20)、オキシプロピレン(nは例えば、3〜20)、オキシブチレン(nは例えば、3〜20)、オキシヘキサメチレン(nは例えば、3〜20)、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体(nは例えば、3〜20)などの化合物。
一般式[2]において、R2 =R3 =メチル、R4 =R5 =−CH2 −CH(CH3 )−、m=3であるとき、R1 =メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルなどの化合物。
一般式[2]において、R2 =R3 =メチル、R4 =R5 =−CH2 −CH(CH3 )−、m=3であるとき、R1 =R7 −(A)n−で表されるとき、R4 =メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリル、セチル又はオレイル、Aは、オキシエチレン(nは例えば、3〜20)、オキシプロピレン(nは例えば、3〜20)、オキシブチレン(nは例えば、3〜20)、オキシヘキサメチレン(nは例えば、3〜20)、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体(nは例えば、3〜20)などの化合物。
一般式[3]において、R4 =R5 =エチレン、R6 =メチル、R1 =メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルなどの化合物。
一般式[3]において、R4 =R5 =エチレン、R6 =メチルであるとき、R1 =R7 −(A)n−で表されるとき、R7 =メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリル、セチル又はオレイル、Aは、オキシエチレン(nは例えば、3〜20)、オキシプロピレン(nは例えば、3〜20)、オキシブチレン(nは例えば、3〜20)、オキシヘキサメチレン(nは例えば、3〜20)、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体(nは例えば、3〜20)などの化合物。
【0020】
前記一般式[1]〜[3]の化合物の内で、R1 が基R7 −(A)n−であるものは、側鎖末端に親水性基であるポリオキシアルキレン基が存在することによりポリウレタン類の親水性が向上し、より生体適合性に優れたものになる。そして、この様な親水性基の存在による効果が、ホスホリルコリン基が側鎖に存在することによってホスホリルコリン基の運動性が向上することと相乗的に作用して、血液凝固因子活性抑制および血小板粘着抑制効果がより有効に発揮される。
【0021】
本発明で用いるポリウレタン類1gに対して一般式[1]〜[3]で表されるホスホリルコリン構造に由来するリンを0.03〜1.30ミリモル含むことが好ましい。ホスホリルコリン構造に由来するリンの含有量が0.03ミリモルより少ないと、十分な抗血栓性が得られないことがあり、1.30ミリモルを超えるとポリウレタン類の機械的物性が低下し、硬く、脆弱な材料になるため好ましくない。
【0022】
ポリウレタンを合成する上で必要とされるジイソシアネートは、従来ポリウレタンの製造に用いられるジイソシアネート、並びに今後開発されるであろうジイソシアネートの全てが利用可能であり、これ等の中から1種または2種以上を選択し、重合に用いる。例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートプロピルエーテル、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、イソホロンジイソシアナートなどのアルキレンジイソシアナート類、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4−イソシアナトベンシルイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等が例示される。
【0023】
これらのジイソシアネート類の中で、2種以上を選択することにより、ミクロ相分離構造を発現するためか抗血栓性を著しく向上さえることができる。したがって、ジイソシアネート類を用いるのは2種以上用いた方が好ましい。また、そのジイソシアネート類の2種の選択の仕方は無限に可能である。この中で、以下のような組合せが効果的にミクロ相分離構造を発現するためか抗血栓性を著しく向上せしめることができる。
(1)エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートプロピルエーテル、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4−イソシアナトベンシルイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類と、
(2)ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、イソホロンジイソシアナートなどのアルキレンジイソシアナート類の2つの群に分類され、これら(1)(2)群それぞれより1種以上ずつを選択して本発明のポリウレタン類の重合に用いる。
【0024】
さらに効果的に抗血栓性を発揮させる組合せとしては、(2)の群の中から4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(以下HMDIと略記する)を選択し、(1)の群内エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートプロピルエーテル、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート類から1種以上を選択し、ポリウレタン類の重合に用いることが好ましい。
【0025】
本発明のポリウレタン類は医療用ポリマーとして用いる事を目的としているため生体内で起こるであろう分解反応において生成する分解物の毒性が低いことが好ましくなる。この毒性は脂肪族系ジイソシアネートを用いた場合に生成する脂肪族系アミンが芳香族ジイソシアネートを用いた場合に生成する芳香族性アミンより低いことが知られていることから、これらの脂肪族系ジイソシアネートを用いることがより好ましい。
選択した2種以上のジイソシアネートの混合割合はいかなる混合比でもよいが、好ましい2種以上のジイソシアネートの組合せとその組成比は、例えば、前記(1)の群からヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略記する)をまた(2)の群よりHMDIを選択し、その混合比はHDI/HMDI=10/90〜90/10、好ましくは40/60〜80/20、より好ましくは、30/70〜50/50である。
【0026】
ポリマージオールとしては、ポリオキシアルキレングリコール(エチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等の炭素数2〜8、好ましくは2〜6の直鎖又は分枝鎖状のアルキレン基がエーテル結合で結合したポリオキシアルキレンの末端に水酸基が結合したもの)、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンジオール等を用いることができる。
本発明では、ポリマージオールにおけるモノマーの繰り返し単位数が4〜200程度のものを用いることが好ましく、モノマーの繰り返し単位数が10〜150程度のものを用いることがより好ましい。また、ポリマージオールの添加量は重合開始時の重合成分の全重量のうちポリマージオール成分は、5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。この様なポリマージオールを用いることによって、得られるポリウレタン類に適度な柔軟性を付与することができる。
【0027】
鎖伸長剤としては、アルキレンジオールおよびアルキレンジアミンから選ばれた少なくとも1種を用いればよい。
アルキレンジオールとしては、炭素数2〜8、好ましくは2〜6の直鎖または分枝鎖状のアルキレン基の両末端に水酸基を有するアルキレンジオールを用いることが好ましい。本発明での使用に適するアルキレンジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール等を例示することができる。
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の直鎖状アルキレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン等の分岐状アルキレンジアミン、1,2−シクロヘキサジアミン、1,3−シクロヘキサジアミン、1,4−シクロヘキサジアミン等の環状アルキレンジアミン等を用いることができる。この中で鎖伸長剤としては、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびブチレンジアミンが特に好ましい。
鎖伸長剤としては、上記したアルキレンジオール及びアルキレンジアミンから選ばれた成分を1種単独または2種以上混合して用いることができる。鎖伸長剤を用いることにより得られるポリウレタン類に適度な硬度を付与することができる。
【0028】
本発明で用いるポリウレタン類の製造法は特に制限されなず、常法に従って有機溶媒中で前記した活性水素含有化合物と2種以上のジイソシアネート化合物とを反応させればよい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルホルムアミド(NMF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、ジオキサン等が用いることができ、これ等の有機溶媒は混合して用いてもよい。活性水素含有化合物とジイソシアネート化合物の反応割合は、通常、ジイソシアネート化合物1当量に対して、活性水素含有化合物を0.7〜1.5当量程度とすればよく、0.8〜1.2当量程度とすることが好ましい。
具体的な反応条件については、使用するジイソシアネートやジオールの構造により異なるが、例えば、窒素雰囲気下20〜150℃程度で、1〜50時間程度撹拌しながら(i)および(ii)と過剰の2種以上のジイソシアネートと反応させて、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを形成させた後残存するイソシアネート基と当量相当の鎖伸長剤を添加し、鎖伸長剤がジアミンの場合は0〜20℃、ジオールの場合は20〜120℃で所要時間(0.1〜20時間)反応させればよい。この様にして得られたポリウレタンまたはポリウレタンウレアは、再沈殿法等により精製を行うことが可能である。
【0029】
また、前記の式[1]〜[3]で表されるホスホリルコリン構造部分を含むジオール、ポリマージオール、アルキレンジオール等のジオール成分とジイソシアネート化合物とを、前記した方法と同様にして反応させることにより両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、このプレポリマーをHMPA、NMP、NMF、DMF、DMAc、THF等の有機溶媒に溶解した後冷却し、アルキレンジアミンを添加して鎖延長することによってポリウレタンウレアを得る方法等によって製造することもできる。
ポリウレタン類の重合時、重合を効率的に進行できるように特に制限されないが、ジブチルジラウリル酸錫、テトラブトキシチタン等の重合触媒を添加してもよい。重合触媒の添加量は、通常、反応溶液全体を基準として、1〜500ppm程度とすればよい。
【0030】
本発明で用いるポリウレタン類は、重量平均分子量が3,000〜8,000,000程度であり、好ましくは、4,000〜5,000,000程度である。本明細書中に記載した分子量はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値であり、測定に用いるゲルカラムは、Shodex AD−803/S、AD−804/S、AD−806/S、KD−802の4本を直列に連結したものであり、移動相としては0.1%臭化リチウムを溶解させたDMFを用い、検量線をポリエチレングリコールで引き、50℃で測定することによって分子量を求めた。
【0031】
このようにして、ホスホリルコリン基を有する抗血栓性ポリウレタン類が得られる。本発明の抗血栓性ポリウレタン類では、生体成分との接触が長期にわたっても、血液適合性に優れたホスホリルコリン残基の効果に加えて、1種類のジイソシアネートのみを反応させて得たポリウレタンと比較するとさらに良好な抗血栓性が獲得でき、長時間良好な抗血栓性が維持できる。すなわち、生体成分との接触初期から長期間接触後に至るまで、安定して良好な抗血栓性を発揮する材料が得られる。
【0032】
本発明において、ポリウレタン類の含有量は、膜に対して、0.01wt%〜30wt%であることが好ましく、0.1wt%〜20wt%がより好ましく、1wt%〜10wt%であることが特に好ましい。ポリウレタン類の含有量が膜に対して0.01wt%より少ないと、十分な抗血栓性が得られないことがあり、また30wt%を超えると、膜の素材によっては強度が低下したり、ウレタン類の添加により膜の透過性が低下することがあるので好ましくない。通常、ポリウレタン類の含有量が増加すると抗血栓性は向上するが、ポリウレタン類の膜中への存在状態によって(例えば、膜材質中に均一に分散している場合や膜の表面に集中して存在する場合など)その効果は一概には言えない。一般的には上記範囲にあることで実用上問題のない抗血栓性を得ることが可能である。
【0033】
本発明の血液浄化膜の利用は、血液透析膜、血液透析濾過膜、血液濾過膜などの腎不全治療に用いられる一般に人工腎臓と呼ばれるもの、血漿分離膜、人工肺等、血液と接触し、透析、濾過、ガス交換等血液に対して作用を行う全ての膜で応用することができる。また、血液浄化治療とはことなるが、血液から血漿を分離して献血するドナープラズマフェレーシス用の血漿分離膜にも応用することができるが、もっとも好ましい利用用途としては、膜と血液の接触時間が長い、持続的血液浄化治療用の膜である。
【0034】
膜の素材としては、特に制限されることはなく、再生セルロース、鹸化セルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、修飾セルロース等のセルロース類、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコンなどが上げられる。
【0035】
膜の形態は特に制限されることなく、中空糸膜、管状膜、平膜などが上げられる。
【0036】
本発明の抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアは、ジイソシアネートの組成を検討することにより抗血栓能を向上させることも可能であるが、更に前記膜素材との相溶性の制御が可能である。このことは本発明の抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアをブレンドすることによる膜物性の低下をなくし、かつ抗血栓性を付与した膜となることを意味する。つまり、本発明の抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアは如何なる膜素材に対しても相溶性の優れたポリマーである。
【0037】
本発明において、ポリウレタン類を膜に導入するための好ましい手法としては、ポリウレタン類を含む製膜原液から、血液浄化膜を製膜することである。すなわち、通常、血液浄化膜は、膜素材としてのポリマー、ポリマーに対する溶媒、必要により非溶媒や添加剤を加え溶解した製膜原液から製膜されるが、ポリウレタン類を添加した製膜原液から製膜すれば、ポリウレタン類を含んだ血液浄化膜を得ることができる。ただしポリウレタン類の耐熱性はあまり高くない場合は、ポリマーを溶解するために高温を要する場合は、一度高温で溶解した製膜原液を冷却した後に、ポリウレタン類を添加することもできる。
【0038】
本発明のポリウレタン類を膜表面に局在化させる方法として以下の方法が例示できるが、これに限定されるものではない。
前記した様にポリウレタン類を含む血液浄化膜は製膜原液を凝固させて製膜する。この凝固時に溶液浴(以後凝固浴という)中に製膜原液を流し込み製膜するが、この凝固浴に極性溶媒を用いることにより効果的に本発明のポリウレタン類は膜表面に局在化させることができる。
ここでいう極性溶媒とは如何なる極性溶媒が用いることが可能であるが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert- ブタノール等の低級アルコール、DMF、NMP、DMAc、DMSO、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の水溶性グリコール類等の水溶性有機溶媒。さらにこれらの極性溶媒はあらゆる種類の極性溶媒を混合して用いてよく、かつあらゆる混合組成比で用いてよい。
【0039】
この様な極性溶媒の凝固浴を用いて製膜することにより、本発明のポリウレタン類を効果的に局在化させることが可能であるが、得られた血液浄化膜における本発明のポリウレタン類の膜表面へ局在化していることを解析する手段として赤外吸収スペクトル測定(以下IRスペクトル測定と略記する)がある。このIRスペクトル測定は既知の方法であり、分子中にある原子団(基)は分子の構造にかかわらず同一の波数またはそれに近い波数で吸収帯を生じる。また、その測定方法の中に透過光を用いる透過型赤外分光法(TIR)と測定物表面における反射赤外光を利用した全反射減衰分光法(ATR−IR)がある。この2つの測定法を用いることにより測定物の表面解析が比較検討できる。
したがって、本発明の血液浄化膜のTIRおよびATR−IRを用いることにより本発明のポリウレタン類の血液浄化膜表面への局在化していることを確認できる。その解析方法は特に限定されないが、例えば、ポリエーテルスルホンに本発明のポリウレタン類を添加した場合、ポリエーテルスルホン由来の芳香環に基づくC=Cの伸縮の1580cm-1における吸光度とポリウレタン類由来のウレタン結合に基づくC=O伸縮の1700cm-1における吸光度の比をTIRおよびATR−IRで測定し、それぞれの相対比を求めることにより評価できる。さらに、本発明のポリウレタン類が脂肪族系であるとポリエーテルスルホン由来の芳香族系CH伸縮の3100cm-1における吸光度とポリウレタン類由来の脂肪族系CH伸縮の2960cm-1における吸光度の比をTIRおよびATR−IRで測定し、それぞれの相対比を求めることもできる。
つまり、膜素材がポリエーテルスルホンであり、かつ本発明のポリウレタン類が脂肪族系であるとき、TIR測定により1580cm-1の吸光度に対する1700cm-1の吸光度の比をAとし、ATR−IR測定による1580cm-1の吸光度に対する1700cm-1の吸光度の比をBとした時のB/Aを算出し、この値が1より大きいとき本発明のポリウレタン類は血液浄化膜表面に局在化していることを意味する。
【0040】
本発明において、ポリウレタン類を膜に導入するための別の好ましい手法としては、常法により得られた血液浄化膜に、ポリウレタン類をコーティングすることである。この方法は、一旦製膜した血液浄化膜に後処理によって、ポリウレタン類を導入することになり、工程が複雑となるが、製膜時に製膜原液を高温に保たねばならない場合や、膜素材とポリウレタン類が同一の溶媒に溶解できない場合に、血液浄化膜にポリウレタンを導入するための手法として好適に用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
〔ウレタン類の製造〕
【0042】
【化10】
【0043】
上記式[1]においてR2 =R3 =メチル、R4 =R5 =メチレン、m=1、R1 =R7 −(A)n−であり、R7 =メチル、A=オキシエチレン、n=3.25であるジオール(以下CDOと略記する) 50.00g、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量1320)(以下PTMGと略記する)56.23g、NMP 1000mlに溶解させ、オイルバス上で100℃に加熱した。この溶液にHDI 33.87gをアルゴンガスによって反応器内を充分に置換した後でゆっくり加えた。添加後、100℃で2時間攪拌し、HMDI 123.28gをゆっくり加え、添加後、100℃で7時間撹拌した。ブタンジオール 38.26gをゆっくり添加し、さらに100℃で12時間撹拌した。反応後、この反応混合物を50%アセトン水溶液 5000mlに注ぎ込んだ。得られた沈澱物を濾別し、再びアセトンで洗浄し生じた沈澱物を回収して減圧乾燥し、重合体Aを241.31g得た。得られた重合体Aの重量平均分子量は112,000であった。
【0044】
〔実施例1〕
ポリマーとしてポリエーテルスルホン(住友化学株式会社、スミカエクセル4800P )18wt%、溶媒としてNMP 63.82w%、非溶媒としてトリエチレングリコール16wt%、さらに親水化剤としてポリビニルピロリドンK90 1wt%に重合体A 0.18wt%を添加し、50℃にて、3時間攪拌溶解し、1時間静置脱泡した後、焼結フィルターにて、未溶解物を除去し紡糸原液を得た。スリット外径300μm 、スリット内径200μm、内液吐出孔径100μmのチューブインオリフィス型ノズルの外側スリットより紡糸原液を、内液吐出孔より、水50wt%、NMP 40wt%、トリエチレングリコール10wt%の内液を吐出した。ノズルから吐出した紡糸原液は30cmの空中走行部を経て、ノズル直下の凝固浴に導いた。凝固液は水80wt%、NMP 16wt%、トリエチレングリコール4wt%で温度は60℃であった。凝固した中空糸膜は、水洗後、乾燥しワインダーにて巻き取った。巻取り速度は15m/minであった。得られた中空糸膜の内径は200μm、外径は280μmであり、膜厚は40μmであった。
得られた中空糸膜のTIRおよび内表面と外表面のATR−IRを測定した(測定はSPECTRA TECH社製 IRμS/SIRMを用いて行った)。得られたスペクトルからポリエーテルスルホン由来の芳香環に基づくC=C伸縮の1580cm-1におけるそれぞれの吸光度とポリウレタン類由来のウレタン結合に基づくC=O伸縮の1700cm-1におけるそれぞれの吸光度の比を以下の表1に示す。また、このときのTIRの値とATR−IRの値を示し、かつそれらの比も示す。
また、得られた中空糸膜を9600本束ね、ダイアライザーを組み立てた。ダイアライザーの膜面積は1.5m2であった。
【0045】
〔実施例2〕
ポリマーとしてポリエーテルスルホン(住友化学株式会社 、スミカエクセル4800P )18wt%、溶媒としてNMP 63.10w%、非溶媒としてトリエチレングリコール16wt%、さらに親水化剤としてポリビニルピロリドンK90 1wt%に重合体A 0.90wt%を添加したことを除いて、他は実施例1と全く同じ方法で、中空糸膜を紡糸し、同様に得られた中空糸膜のTIRおよび内表面のATR−IRを測定した。また、実施例1と同様の方法により膜面積1.5m2のダイアライザーを得た。
【0046】
〔比較例1〕
紡糸原液にポリウレタン類を添加しないことを除いて、他は実施例1と全く同じ方法で、中空糸膜を紡糸し、同様に膜面積1.5m2のダイアライザーを得た。
【0047】
〔抗血栓性評価実験〕
実施例1,2、比較例1で得られた、膜面積1.5m2のダイアライザーを用いた。各ダイアライザーを生理食塩水1Lで洗浄した後、ACD添加牛血液(ヘマトクリット30%、総タンパク質濃度6.5g/dl、37℃)2Lを200ml/minで流し、20ml/minの条件で濾過し、ダイアライザーからの流出血液とろ液をリザーバーに戻す循環テストを4時間実施した。血液循環前、循環1時間後、2時間後、3時間後、終了時(4時間後)で血小板数を計測すると共に、循環テスト終了後、使用したダイアライザーを1Lの生理食塩水で血液側を洗浄したときに、ダイアライザー中の中空糸の残血本数を計測した。得られた結果を表2に示す。
実施例1および2のウレタン類を含む膜を用いたダイアライザーにおいて、血小板の減少が少なく、また残血が少ないことがわかる。
【0048】
〔ダイアライザー性能評価実験〕
実施例1,2、比較例1で得られた膜面積1.5m2のダイアライザーの37℃水での透水性、血液側水溶液流量200ml、透析液流量500ml、37℃での尿素、ビタミンB12、ミオグロビンのクリアランスを測定した。得られた結果を表3に示す。
いずれのダイアライザーも実用上差し支えのない性能を有しており、ウレタン類の導入により膜性能が低下しないことが確認された。
【0049】
【表1】
本発明のポリウレタン類を添加した実施例1,2のIR測定の結果、本発明のポリウレタン類はポリエーテルスルホン膜の表面に局在化していることが確認された。
【0050】
【表2】
比較例1においては循環終了後、ダイアライザーのおよそ1/3 の糸に残血が認められた。
【0051】
【表3】
本発明の抗血栓性向上した血液浄化膜は内表面に本発明の抗血栓性ポリウレタン類が局在化しており、かつ血液浄化性能が劣らないにも関わらず抗血栓性の優れた血液浄化膜であった。つまり、本発明の抗血栓性ポリウレタン類が血液と接触する内表面に局在化することにより抗血栓性は向上したものである。
Claims (3)
- 一般式[1]、[2]または[3]で表されるホスホリルコリン構造を有するジオールを少なくともジオール成分の一部として用いて得られる抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアを添加した製膜原液を用いて製造された血液浄化膜であって、かつ抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアが膜表面に局在化していることを特徴とする抗血栓性の向上した血液浄化膜。
- 請求項1記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜を赤外スペクトルで測定した時、(請求項1記載の抗血栓性ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに由来するピークの吸光度)/(血液浄化膜の素材に由来するピークの吸光度)が(表面赤外吸収スペクトル測定で得られる値)/(透過赤外吸収スペクトル測定で得られる値)>1であることを特徴とする請求項1記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜。
- 抗血栓性のポリウレタンまたはポリウレタンウレアが2種の脂肪族ジイソシアネートを用いて得られたものである請求項1記載の抗血栓性の向上した血液浄化膜。
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