JPH09206570A - 分離膜およびその製造方法 - Google Patents

分離膜およびその製造方法

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JPH09206570A
JPH09206570A JP8018760A JP1876096A JPH09206570A JP H09206570 A JPH09206570 A JP H09206570A JP 8018760 A JP8018760 A JP 8018760A JP 1876096 A JP1876096 A JP 1876096A JP H09206570 A JPH09206570 A JP H09206570A
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JP
Japan
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separation membrane
polyalkylene glycol
resin
blood
aqueous solution
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JP8018760A
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Fumiaki Fukui
文明 福井
Masaaki Shimagaki
昌明 島垣
Takashi Fujita
尚 藤田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い抗血小板付着性をもち、尚且つ高い物質透
過性能をもった分離膜を、低コストで簡便に得る。 【解決手段】(1) ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル
酸系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセ
ルロース系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を主
成分としてなり、表面の少なくとも一部に不溶化したポ
リアルキレングリコールが10ng/cm 2 以上、1000ng/cm
2 以下の割合で存在することを特徴とする分離膜。 (2) 上記1項記載の分離膜を内臓することを特徴とする
血液浄化器。 (3) ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポ
リアクリロニトリル、ポリアミドおよびセルロース系樹
脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる分離膜を
ポリアルキレングリコール水溶液中で放射線処理するこ
とを特徴とする分離膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質透過性能を低
下することなく高い抗血小板付着性を付与する、分離膜
及びそれを内蔵する血液浄化器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、様々な高分子材料が医療分野で使
用されているが、人工血管、カテーテル、血液バッグ、
人工腎臓等の直接血液に接触する用具においては、血漿
蛋白や血小板等の血液成分の付着、及びこれに起因する
血栓の形成は避け難い問題である。特に血液浄化に使用
される分離膜では、血液成分の付着が直接膜の性能低下
につながるため重要な問題である。
【0003】従来、血液浄化用の分離膜の素材として
は、セルロース、セルロースアセテート、セルロースト
リアセテート、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカー
ボネイト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアクリ
ロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポ
リスルホン系樹脂等の高分子化合物が用いられてきた。
その中でも特に、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカ
ーボネイト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアク
リロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホン
系樹脂等は、その素材自身の疎水性のために、血液成
分、特に血漿蛋白や血小板の付着による性能の経時的な
劣化は避けられないものであった。かかる疎水性膜の欠
点を解決するために該膜を親水化する手段として、例え
ば特開昭60ー227763 には、水溶性の重合体を1〜100
μg/cm2 の範囲でグラフト結合した医療材料が示されて
いるが、このような手段は人工血管等では抗血栓性を付
与するという意味では有用であろうが、分離膜において
は細孔を塞ぐ、もしくは小さくするため性能の低下が起
こり好ましくない。また、特開平6-238139には半透膜の
表面に水に対して不溶化された親水性高分子物質よりな
る被覆層をもつポリスルホン系半透膜の製法が開示され
ているが、該特許の実施例中にも示されているとおり、
物質透過性能の向上は実現できるが、高い血液適合性を
達成するまでには至っていない。つまり、現在までは高
い物質透過性と抗血小板付着性を兼ね備えた分離膜、高
い物質透過性を維持しつつ簡便に分離膜を抗血小板付着
性化する処理方法は実現されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は従来の技術
の改良を目指し、高い物質透過性をもち、なお且つ血漿
蛋白や血小板等の血液成分の付着も少ない分離膜および
その製造方法、かかる分離膜を内臓した抗血小板付着性
を有する血液浄化器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は次の構成を有する。すなわち、 「(1) ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、
ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセルロース系
樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分として
なり、表面の少なくとも一部に不溶化したポリアルキレ
ングリコールが10ng/cm 2 以上、1000ng/cm 2 以下の割
合で存在することを特徴とする分離膜。
【0006】(2) 上記1項記載の分離膜を内臓すること
を特徴とする血液浄化器。
【0007】(3) ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル
酸系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセ
ルロース系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂から
なる分離膜をポリアルキレングリコール水溶液中で放射
線処理することを特徴とする分離膜の製造方法。」
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における分離膜の素材は、
ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリア
クリロニトリル、ポリアミド、セルロース系樹脂におい
てその効果は特に顕著に発揮されるが、これら以外の樹
脂であっても本発明の効果を期待できる。
【0009】本発明における血液浄化器とは、血液透析
器、血液濾過器、血液濾過透析器、血漿分離器等の血液
処理用の分離膜を含有するモジュールである。
【0010】本発明におけるポリアルキレングリコール
は例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリ
コールに代表される主鎖中に酸素原子を含む鎖状高分子
であるが、側鎖に酸素があってもよい。
【0011】かかるポリアルキレングリコールは、分離
膜表面上に10ng/cm 2 以上、1000ng/cm 2 以下の割合で
不溶化されていることが必要である。このポリアルキレ
ングリコールの架橋密度は、従来材料表面を親水化する
目的で行われてきた処理方法に比較して、非常に低いも
のである。従来の方法は材料表面に比較的多量の親水性
高分子を架橋し、材料表面を被覆することにより親水性
化するという考え方であり、このような方法は、血液処
理のための分離膜に適用した場合、膜表面に親水性高分
子のゲル層ができてしまうため、血漿蛋白や血小板など
の血液成分の付着をある程度抑制することはできても、
膜本来の物質透過性能を維持することは困難である。こ
れに対して、本発明ではポリアルキレングリコールの架
橋密度を10ng/cm 2 以上、1000ng/cm 2 以下の範囲にす
ることにより、膜表面上にポリアルキレングリコールが
ゲル層を形成することなく、ポリアルキレングリコール
の本来もつ運動性、言い換えればその排除体積効果によ
り血液成分の膜表面への接触を抑制し高い抗血小板付着
性を発現できる。
【0012】不溶化したポリアルキレングリコールと
は、ポリアルキレングリコールが分離膜表面に物理的お
よび/または化学的に結合し、水や血液に対して溶解し
ない状態をいう。
【0013】本発明の分離膜を製造するにあたっては、
分離膜をポリアルキレングリコール水溶液に浸漬、もし
くは接触した状態で放射線を照射すればよく、膜表面に
ポリアルキレングリコールが10〜1000ng/cm 2
範囲で不溶化されていることを特徴とする。また分離膜
を内臓する血液透析器、血液濾過器、血液濾過透析器、
血漿分離器等の血液浄化器を抗血小板付着性化する場合
であれば、該血液浄化器内の分離膜および少なくとも血
液が接触する部分全てにポリアルキレングリコール水溶
液が接触した状態で放射線処理すれば、膜表面ばかりで
なく、血液浄化器端部やヘッダーの内側などの血液が接
触する部位の全てを抗血小板付着性化することが可能で
あり、例えば血液浄化器端部での血液凝固を軽減するこ
とも可能である。
【0014】ポリアルキレングリコールの分子量および
ポリアルキレングリコール水溶液の濃度は特に限定する
ものではなく、希望する抗血小板付着性の程度により選
択することができる。一般に、低分子量、低濃度の組み
合わせであれば比較的抗血小板付着性化の程度は低く、
分子量が高くなるほど、また濃度が高くなるほど抗血小
板付着性化の程度は高くなる。また、低濃度であっても
ポリアルキレングリコールの分子量をあげるか、逆に低
分子量のポリアルキレングリコールであっても水溶液濃
度を高くすることにより膜表面のポリアルキレングリコ
ールの結合密度はあがり、抗血小板付着性化の程度は高
くなる。本発明の製造方法では、特にポリアルキレング
リコールの分子量を選択することにより水溶液の濃度を
1 〜20000ppmと比較的低濃度にした場合でも十分な抗血
小板付着性を得ることができ、抗血小板付着性化に対す
るコストを低く抑えることができ、好ましい。他方、高
分子量、高濃度の組み合わせになると、膜表面にポリア
ルキレングリコール鎖が結合するだけでなくポリアルキ
レングリコール鎖同士が互いに架橋してしまうため、ポ
リアルキレングリコール鎖の運動性が損なわれ、抗血小
板付着性を付与する能力が低下する傾向がある。そのた
め、本発明においては、ポリアルキレングリコールの分
子量と水溶液濃度(ppm )の積が5 ×109 以下、好まし
くは 1×109以下の範囲であることが望ましい。
【0015】また、ポリアルキレングリコールの分子量
とポリアルキレングリコール水溶液の濃度との関係は抗
血小板付着性化したい分離膜の素材やその形状、細孔
径、またポリアルキレングリコール水溶液に対する分離
膜の量など、さらに希望する抗血小板付着性の程度によ
り、個々の場合について最適な条件は異なる。
【0016】例えば血液透析器に使用されるポリスルホ
ン中空糸分離膜の場合、分子量200程度の比較的低分子
量のポリアルキレングリコールであれば、50ppm 以下の
低濃度では高い抗血小板付着性は期待できないし、逆に
分子量20000 程度の比較的高分子量のポリアルキレング
リコールであれば、500ppm以上の濃度では物質透過性の
低下が起こる傾向がある。また、血液透析器に使用され
るポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜であれば、前記
のポリスルホン中空糸分離膜の場合に比較して抗血小板
付着性化の効果が期待できるポリアルキレングリコール
の分子量または水溶液の濃度は比較的高く、分子量1000
程度のポリアルキレングリコールの場合は1000ppm 以上
の、また分子量6000の場合は100ppm以上の水溶液濃度で
あることが好ましい。さらに分子量20000 程度の比較的
高分子量のポリアルキレングリコールの、濃度2000ppm
以上の高濃度水溶液であっても物質透過性の低下はなく
好適に用いることができる。ポリアクリロニトリルの場
合には比較的低分子量、低濃度の場合には顕著な効果は
みられないが、例えば分子量1000程度ならば濃度2000pp
m 以上で、分子量6000程度ならば濃度1000ppm 以上で抗
血小板付着性の効果が好ましく現れる。ポリアミドもポ
リアクリロニトリル同様、比較的低分子量、低濃度の場
合には効果が比較的少なく、例えば分子量1000ならば濃
度1000ppm 以上で、分子量6000ならば濃度500ppm以上で
抗血小板付着性の効果が好ましく現れる。一方、セルロ
ース系樹脂の場合は、比較的低分子量、低濃度の組み合
わせであっても効果が現れ、例えば分子量200 程度でも
濃度500ppm以上で、分子量1000程度ならば濃度500ppm以
上で抗血小板付着性の効果が好ましく現れる。
【0017】放射線の照射量は特に限定されるものでは
なく、抗血小板付着性化したい膜表面や血液浄化器の血
液が接触する面にポリアルキレングリコール鎖が結合す
るだけの照射量があればよく、15〜35kGy 程度が好適に
用いられる。また、抗血小板付着性を付与すると同時に
滅菌を行うこともできる。この場合、放射線の照射量は
一般に滅菌線量以上であればいくらでも良いが、分離膜
の強度劣化の問題や経済性を考慮して、25〜35kGy 程度
が望ましい。
【0018】本発明の特徴の一つは、分離膜の表面にポ
リアルキレングリコール鎖を架橋するための特別の反応
性基を必要としないことである。一般には分離膜の素材
に反応性基を導入することは素材の価格が上昇するだけ
でなく、製膜の方法にまで制限が生まれる。例えば中空
糸分離膜を紡糸する際、その素材である有機高分子に反
応性基を導入すると、一般にその化学的性質が変わるの
で、原液調製の際の溶解性や製膜性が大きく変わり、製
造条件全てを検討し直す必要がある。つまり、中空糸紡
糸原液の調整方法から、製糸条件、後処理条件、ケース
組み込み工程の条件まで全ての工程において検討の必要
があり、その労力は膨大なものとなる。更には、反応性
基の導入により一般には素材分子間の結合力が弱まり、
中空糸の強伸度特性が低下するために、製糸安定性が悪
くなり、生産性の低下が懸念される。これに対して、本
発明による製造方法によれば、本来の分離膜の製造方法
を何等手直しする必要はなく、従来の製造プロセスにポ
リアルキレングリコール水溶液充填と放射線照射のプロ
セスを付け加えるだけで良く、膜表面のみの反応である
ため中空糸分離膜の強伸度特性の悪化の心配もほとんど
いらない。更に、既に滅菌方法として放射線照射を採用
している場合は、製品滅菌時にポリアルキレングリコー
ル水溶液をモジュールケース内に充填するだけでよい。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0020】以下、用いた測定法は以下の通りである。
【0021】(1 )ポリエチレングリコールの膜表面架
橋密度の測定 放射線照射後のミニモジュールから充填液を取り出し、
0.4 μmメンブレンフィルターを通した後、GPC 測定
し、チャートのピーク面積からポリエチレングリコール
の濃度を計算した。ポリエチレングリコールの濃度の算
出には、放射線未照射の種種の濃度のポリエチレングリ
コール水溶液のGPC 測定により求めたピーク面積と水溶
液濃度とのキャリブレーションカーブを用いた。架橋密
度の算出は放射線照射による充填液ポリエチレングリコ
ール濃度の低下分が中空糸分離膜内外表面への架橋量と
仮定し以下の式(3)により計算した。
【0022】 q={(C−Co)×V}/S 式(3) ここでq:ポリエチレングリコールの膜表面架橋密度
(ng/cm2 ) 、C:放射線照射後の充填液ポリエチレン
グリコール濃度 (ng/ml) 、Co :放射線照射前の充填
液ポリエチレングリコール濃度 (ng/ml) 、V:充填液
量 (ml) 、S:中空糸分離膜内外表面積 (cm2 ) であ
る。
【0023】(2 )in vitro 血小板付着実験 中空糸中空部分に、3 .8 %クエン酸ナトリウム水溶液
を10容量%添加した家兎新鮮血10ccを0.57ml/minで流
し、生理食塩水にて洗浄後グルタルアルデヒド固定し、
中空糸分離膜をミニモジュールから切り出して凍結乾燥
した。この中空糸の内表面をFE-SEMにて観察し、0.01cm
2 の面積中の付着血小板数を数えた。
【0024】(3 )in vivo 血小板付着実験 体重約3kg の家兎の頚動脈から導き出した血液を小型モ
ジュールの血液入口から中空糸中空部に通し、小型モジ
ュールの血液出口から該家兎の頚静脈へ戻す体外循環試
験を行った。血液の流速は50ml/min 、抗凝固剤として
ヘパリンを18IU初期投与し、更に60IU/hr 持続投与し
ながら3 時間循環した。体外循環終了後、in vitro 血
小板付着実験と同様に生理食塩水にて洗浄後グルタルア
ルデヒド固定し、モジュールから切り出した中空糸及び
モジュールヘッダーを凍結乾燥した。この中空糸の内表
面及びモジュールヘッダー内側(血液接触面)をFE-SEM
にて観察し、0.01cm2 の面積中の付着血小板数を数え
た。
【0025】(4 )in vitro β2-ミクログロブリン
(以下β2-MG)除去性能の測定 フィルター処理を行った牛血清 30ml に、ヒトβ2-MGを
5mg/mlの濃度で溶解し、ミニモジュール内の中空糸中空
部分に1ml/min で灌流し、中空糸外側には37℃に保った
PBS140mlを20ml/minの速度で密閉形で灌流した。4 時間
灌流後中空糸内側・外側灌流液を採取し、クリアランス
を算出した。クリアランスは式(4)により算出した。
【0026】 CL=(CBi−CBo)QB/CBi 式(4) ここでCL:クリアランス(ml/min)、CBi :モジュール入
口側濃度(mg/ml) 、 CBo:モジュール出口側濃度(mg/m
l) 、QB:モジュール供給液量(ml/min)である。また、
実施例、比較例に使用した試料中空糸は次のようにして
準備した。
【0027】実施例1 〜12、比較例1 ポリスルホン(ユ―デルP ―3500)18部、ポリビニルピ
ロリドン(K30 )2 部をN,N-ジメチルアセトアミド80部
に加え、加熱溶解した。この製膜原液をオリフィス型二
重円筒型口金より吐出し空気中を200mm 通過した後、水
100 %の凝固浴中に導き中空糸を得た。この際、内部注
入液にはDMAc60部、水40部の注入液を用いた。該中空糸
の内径は0.2mm 、膜厚は0.04mmであった。
【0028】このようにして準備したポリスルホン中空
糸分離膜を36本束ね、中空糸中空部を閉塞しないように
エポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュー
ルケースに固定し、図1 に示すミニモジュールを作成し
た。該ミニモジュールの直径は約7mm 、長さは約10cm、
有効膜内面積は約24cm2 であった。該ミニモジュールの
中空糸中空部および中空糸外側を蒸留水もしくは種々の
ポリエチングリコール水溶液で充填し、30kGy のγ線を
照射した。ミニモジュールに充填したポリエチレングリ
コール水溶液のポリエチレングリコールの分子量および
水溶液濃度を表1 に示す。γ線照射後のミニモジュール
から充填液を抜き取りポリエチレングリコールの膜表面
架橋密度の測定を行なった。各条件の測定結果を表1に
示す。また充填液抜き取り後のミニモジュールを用い
て、in vitro 血小板付着実験およびin vitro β2-MG
除去性能の測定を行った。各ミニモジュールの測定結果
を比較例1 の結果を100 とした相対値で表1 に示す。
【0029】実施例13〜21、比較例2 iso-ポリメタクリル酸メチル5 部、syn-ポリメタクリル
酸メチル20部をジメチルスルホキシド75部に加え、加熱
溶解した。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金
より吐出し空気中を300mm 通過した後、水100 %の凝固
浴中に導き中空糸を得た。この際、内部注入気体として
乾燥窒素を用いた。該中空糸の内径は0.2mm 、膜厚は0.
03mmであった。
【0030】このようにして準備したポリメタクリル酸
メチル中空糸分離膜を用いて、実施例1 と同様にミニモ
ジュールを作成し、蒸留水もしくは種種のポリエチング
リコール水溶液を充填し、30kGy のγ線を照射した。ミ
ニモジュールに充填したポリエチレングリコール水溶液
のポリエチレングリコールの分子量および水溶液濃度を
表2 に示す。γ線照射後のミニモジュールから充填液を
抜き取りポリエチレングリコールの膜表面架橋密度の測
定を行なった。各条件の測定結果を表2に示す。また充
填液抜き取り後のミニモジュールを用いて、in vitro
血小板付着実験およびin vitro β2-MG除去性能の測定
を行った。各ミニモジュールの測定結果を比較例2の結
果を100 とした相対値で表2 に示す。
【0031】実施例22、比較例3 旭メディカル社製ダイアライザー”PAN-17DX”を解体
し、中空糸分離膜(ポリアクリロニトリル製)を切り出
した。
【0032】この中空糸分離膜を用いて、実施例1 と同
様にミニモジュールを作成し、蒸留水および分子量600
0、濃度2000ppm のポリエチングリコール水溶液を充填
し、30kGy のγ線を照射した。γ線照射後のミニモジュ
ールから充填液を抜き取りポリエチレングリコールの膜
表面架橋密度の測定を行なった。結果を表3に示す。ま
た充填液抜き取り後のミニモジュールを用いて、in vit
ro 血小板付着実験およびin vitro β2-MG除去性能の
測定を行った。実施例22の測定結果を比較例10の結果を
100 とした相対値で表3 に示す。
【0033】実施例23、比較例4 ガンブロ社製ダイアライザー”ポリフラックス-160”を
解体し、中空糸分離膜(ポリアミド製)を切り出した。
【0034】この中空糸分離膜を用いて、実施例1 と同
様にミニモジュールを作成し、蒸留水および分子量600
0、濃度2000ppm のポリエチングリコール水溶液を充填
し、30kGy のγ線を照射した。γ線照射後のミニモジュ
ールから充填液を抜き取りポリエチレングリコールの膜
表面架橋密度の測定を行なった。結果を表4に示す。ま
た充填液抜き取り後のミニモジュールを用いて、in vit
ro 血小板付着実験およびin vitro β2-MG除去性能の
測定を行った。実施例16の測定結果を比較例11の結果を
100 とした相対値で表4 に示す。
【0035】実施例24、比較例5 泉工医科社製ダイアライザー”MC-1.5H ”を解体し、中
空糸分離膜(ヘモファン)を切り出した。
【0036】この中空糸分離膜を用いて、実施例1 と同
様にミニモジュールを作成し、蒸留水および分子量600
0、濃度2000ppm のポリエチングリコール水溶液を充填
し、30kGy のγ線を照射した。γ線照射後のミニモジュ
ールから充填液を抜き取りポリエチレングリコールの膜
表面架橋密度の測定を行なった。結果を表5に示す。ま
た充填液抜き取り後のミニモジュールを用いて、in vit
ro 血小板付着実験およびin vitro β2-MG除去性能の
測定を行った。実施例24の測定結果を比較例12の結果を
100 とした相対値で表5 に示す。
【0037】実施例25、比較例6 実施例1 と同様に紡糸したポリスルホン中空糸分離膜3
,500 本を束ね、中空糸中空部を閉塞しないようにウ
レタン系ポッティング剤で中空糸分離膜の両末端をポリ
スチレン製モジュールケースに固定し、モジュールケー
ス両端部にポリスチレン製モジュールヘッダーを装着
し、図2 に示す小型モジュールを作成した。該小型モジ
ュールの胴体部直径は約3cm 、長さは約15cm、有効膜面
積は約0.3cm2 である。この小型モジュールの中空糸中
空部および中空糸外側を蒸留水もしくは分子量6000、濃
度2000ppm のポリエチングリコール水溶液で充填したも
のに30kGy のγ線を照射した。γ線照射後の小型ニモジ
ュールから充填液を抜き取りポリエチレングリコールの
膜表面架橋密度の測定を行なった。結果を表6に示す。
また充填液抜き取り後の小型モジュールを用いて、in v
ivo 血小板付着実験を行った。またγ線照射後の該小型
モジュールを解体し、中空糸分離膜を切り出し、実施例
1 と同様のミニモジュールを作成し、in vitro β2-MG
除去性能の測定を行った。実施例25の測定結果を比較例
6 の結果を100 とした相対値で表6に示す。
【0038】実施例26、比較例7 実施例10と同様に紡糸したポリメタクリル酸メチル中空
糸分離膜3 ,500 本を束ね、実施例18と同様に小型モジ
ュールを作成し、中空糸中空部および中空糸外側を蒸留
水もしくは分子量6000、濃度2000ppm のポリエチングリ
コール水溶液で充填したものに30kGy のγ線を照射し
た。γ線照射後の小型モジュールから充填液を抜き取り
ポリエチレングリコールの膜表面架橋密度の測定を行な
った。結果を表7に示す。また充填液抜き取り後の小型
モジュールを用いて、in vivo 血小板付着実験を行っ
た。また実施例25と同様にγ線照射後の該小型モジュー
ルからミニモジュールを作成し、in vitro β2-MG除去
性能の測定を行った。実施例26の測定結果を比較例7 の
結果を100 とした相対値で表7 に示す。
【0039】
【表1】
【表2】 各実施例の結果が示すとおり、ポリエチレングリコール
を膜表面に架橋固定することにより付着血小板数は減少
し、抗血小板付着性が向上することがわかる。更に実施
例25、26の結果から判るように、ヘッダー内面の付着血
小板数も減少することから血液浄化器の血液接触面全体
での抗血小板付着性化が可能であることも分かる。ま
た、β2-MG除去能はポリエチレングリコール架橋前の性
能を維持しており、物質透過性能の低下が無いことが分
かる。
【0040】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明による分離膜は
高い抗血小板付着性をもち、尚且つ高い物質透過性能を
もった分離膜であり、また該分離膜は低コストで簡便に
得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1 〜24、比較例1 〜5 に用いたミ
ニモジュールの模式図である。
【図2】本発明実施例25、26、比較例6 、7 に用いた小
型モジュールの模式図である。
【符号の説明】
1. 血液入口 2. ポッティング部 3. 透析液入口 4. 中空糸分離膜 5. ガラス管モジュールケース 6. 透析液入口 7. 血液出口 8. モジュールヘッダー 9. モジュールケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 71/56 B01D 71/56 D06M 15/327 D06M 15/327 Z

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系
    樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセルロ
    ース系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分
    としてなり、表面の少なくとも一部に不溶化したポリア
    ルキレングリコールが10ng/cm 2 以上、1000ng/cm 2
    下の割合で存在することを特徴とする分離膜。
  2. 【請求項2】該ポリアルキレングリコールが、200ng/cm
    2 以上、700ng/cm2 以下の割合で存在することを特徴と
    する請求項1記載の分離膜。
  3. 【請求項3】該ポリスルホン系樹脂が用いられることを
    特徴とする請求項1記載の分離膜。
  4. 【請求項4】請求項1記載の分離膜を内臓することを特
    徴とする血液浄化器。
  5. 【請求項5】該ポリアルキレングリコールが、200ng/cm
    2 以上、700ng/cm2 以下の割合で存在することを特徴と
    する請求項4記載の血液浄化器。
  6. 【請求項6】該ポリスルホン系樹脂が用いられることを
    特徴とする請求項4記載の血液浄化器。
  7. 【請求項7】ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系
    樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセルロ
    ース系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる
    分離膜をポリアルキレングリコール水溶液中で放射線処
    理することを特徴とする分離膜の製造方法。
  8. 【請求項8】該ポリアルキレングリコール水溶液が、以
    下の式(1)および(2)を満たすことを特徴とする請
    求項7記載の分離膜の製造方法。 MW≧500 式(1) MW×PC≦1 ×109 式(2) 式中MWはポリアルキレングリコールの分子量、PCはポリ
    アルキレングリコール水溶液の濃度 (ppm)を示す。
  9. 【請求項9】ポリスルホン系樹脂、ポリメタクリル酸系
    樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドおよびセルロ
    ース系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる
    分離膜を血液浄化器に内臓した後、ポリアルキレングリ
    コール水溶液を充填し、放射線処理することを特徴とす
    る血液浄化器の製造方法。
  10. 【請求項10】該ポリアルキレングリコール水溶液が、
    以下の式(1)および(2)を満たすことを特徴とする
    血液浄化器の製造方法。 MW≧500 式(1) MW×PC≦1 ×109 式(2) 式中MWはポリアルキレングリコールの分子量、PCはポリ
    アルキレングリコール水溶液の濃度 (ppm)を示す。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010043813A (ja) * 2008-08-18 2010-02-25 Nok Corp 熱交換装置
JP2011183384A (ja) * 2011-04-01 2011-09-22 Toray Ind Inc 吸着材料および吸着材料の製造方法

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