JP4437355B2 - ロードセル式秤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、過荷重や衝撃吸収機能を備えたビーム型のロードセル式秤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビーム型のロードセル式秤には、秤量皿に過荷重が加わった場合に、ロードセルへの衝撃吸収機能を備え、ロードセルの永久歪や破損等を防止したものがある。例えば、実開昭61−32937号公報に記載の考案は、秤量皿をコイルスプリンングによって間接的支持するとともに、ロードセルの可動端下部にストッパーを設け、コイルスプリングの弾性と、ストッパーのベースプレートへの当接とにより、ロードセルに衝撃荷重が加わらないようにしている。反面、コイルスプリングの衝撃吸収に伴い、ロードセルの振動を招き、秤量支持値の安定性が悪く、測定時間が長くなってしまうという問題がある。
【0003】
また、実公昭61−33536号公報に記載の考案のように、ロードセルの固定端を上下一対の板バネで支持することにより、ロードセルへの衝撃吸収機能を得るものもあったが、やはり、板バネの衝撃吸収に伴い、ロードセルの振動を招き、秤量支持値の安定性が悪く、測定時間が長くなってしまうという問題があった。
【0004】
本出願人は、この問題を解決するための発明(特開平10−239143号公報参照)を提案している。
【0005】
この先願発明のロードセル式秤は、図3及び図4に示すように、衝撃吸収手段として、断面「コ」字形の板バネ16の連結部16cが、ロードセル12の可動端12bに結合され、また、板バネ16の自由端が、上方に向けて偏奇して形成され、かつ、秤量皿18を保持した筒形連結部14に結合されている。この自由端の偏奇量は、筒形連結部14が板バネ16のバネ力により所定位置に保持されているとき、板バネ16の自由端に秤量の1〜2倍程度の上向きの衝撃吸収力を発生するように設定している。
【0006】
このため、秤量皿18に秤量以上の荷重が加えられ、板バネ16の自由端へ前記衝撃吸収力以上の荷重が伝達されると、板バネ16が撓んで、ロードセル12にかかる衝撃荷重を吸収する。この板バネ16の働きにより、このロードセル式秤は、衝撃吸収機能を有しながら、秤量指示値の安定性がよく、測定時間も長くならない利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平10−239143号公報に記載されたロードセル式秤では、板バネ16の衝撃吸収力は、板バネ16の成形時における自由端の偏奇量によって定まり、これを調整することはできなかった。
【0008】
このため、秤量が異なる製品毎に、数種類の板バネ16を製造しなければならず、その製造が煩雑となっていた。また、板バネ16は、長年の使用や過大な衝撃荷重によりバネ力が弱くなるが、この場合、所定の衝撃吸収力が得られなくなるという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明のロードセル式秤では、ベースプレートに固定される固定端と荷重を受ける可動端とを有するビーム型のロードセルと、縦断面がコ字形であり、起立した連結部が前記ロードセルの可動端を覆うように該可動端面に固定され、かつ前記ロードセルの上下それぞれに並行して前記ロードセルの固定端側へ延びる水平部が荷重を受けつつ衝撃を吸収する板バネと、前記板バネを覆うような筒形であり、前記板バネの上下の各水平部の自由端がそれぞれ連結されるとともに、秤量皿の荷重を受ける秤量皿支持体と、前記板バネの連結部の外面に固定され、前記秤量皿支持体の下部との対向する水平片を有する当て板と、該当て板の水平片に螺合するとともに、先端が前記秤量皿支持体の下部に当接する調整ネジとからなり、該調整ネジを上下動することにより、板バネの自由端のバネ力を調整できるようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本実施例のロードセル式秤の要部の縦断面図を、図2は、同じく要部の分解斜視図を示している。
【0011】
このロードセル式秤100は、固定端12aと可動端12bと貫通孔12cを有したビーム型のロードセル12と、秤量皿18と、秤量皿18を保持する秤量皿支持体15と、基端と自由端とを有した板バネ16とを有し、板バネ16の基端はベースプレート10に固定され、板バネ16の自由端はロードセル12の固定端12aに固定され、この板バネ16が衝撃吸収機能を持っている。そして、この板バネ16のバネ力を調整するための調整ねじ25等の調整手段を秤量皿支持体15とロードセル12の固定端12aとの間に介在させている。
【0012】
前記ロードセル12の固定端12aは、ビス42により支持部材22に固定され、支持部材22の下端は、ベースプレート10にビス44で固定されている。
【0013】
前記秤量皿支持体15は、秤量荷重程度では変形しない厚さを有し、両端が開口した角筒のものであって、ロードセル12の可動端12bの挿入が可能となっている。また、秤量皿支持体15は、秤量皿18を保持する皿受40をビス46により固定している。
【0014】
前記板バネ16は、上下の水平部16h、16h’と連結部16cとからなる断面「コ」字状に成形されており、水平部16h、16h’の先端が自由端16f、16f’となっている。この連結部16cは、2枚の当て板31、37の間に挟まれた状態で、ロードセル12の可動端12bにビス47によって固定される。両水平部16h、16h’は、ロードセル12の上下面と平行にロードセル12の固定端12a側へ延長されていて、この自由端16f、16f’は、秤量皿支持体15の内面に設けられた取付座38にビス48によって結合される。
【0015】
前記当て板31は、これから直角に折り曲げられた水平片35を有した断面「L」字形をしている。この水平片35と秤量皿支持体15の間には、板バネ16の自由端16f、16f’の位置を調整して、板バネ16の衝撃吸収力を調整する調整手段として調整ねじ25を介在させる。調整ねじ25は、前記水平片35を螺合状態で貫通させるとともに、その先端を秤量皿支持体15に当接させる。
【0016】
次に、板バネ16の衝撃吸収力の調整について説明する。まず、調整ねじ25を回すと、調整ねじ25が下動し、秤量皿支持体15とともに板バネ16の自由端16f、16f’を押し下げ、この自由端16f、16f’に上向きのバネ力が発生する。通常、衝撃吸収力として、このバネ力を秤量と秤量皿18と秤量皿支持体15の重量の和程度、または、秤量の1−2倍程度に設定する。こうすると、秤量皿18に加わる重量が秤量以内のときには、秤量皿支持体15は、調整ねじ25によって規制される位置に保持され、秤量皿18に加わる重量が秤量以上のときに、板バネ16が撓んで、ロードセル12に衝撃荷重がかかることが防止される。
【0017】
以上のように構成された本実施例のロードセル式秤によれば、衝撃吸収機能を有しながら、秤量指示値の安定性がよく、正確な測定値を短時間で得ることができる。そして、調整ねじ25の先端位置を下動させると、秤量皿支持体15を介して板バネ16の自由端16f、16f’の位置も下動し、この自由端16f、16f’に生じる衝撃吸収力を強くすることができる。
【0018】
このため、長年の使用や衝撃荷重等により、板バネ16のバネ力が弱って衝撃吸収力が不足したときには、いつでも調整ねじ25を回転させることにより、このバネ力を強くして、元の衝撃吸収力が得られるようにすることができる。
【0019】
また、板バネ16のバネ力は、調整ねじ25の長さの選定により、秤量値よりも相当小さな値から、秤量値の2倍程度までの広範囲に変えることができる。これにより、秤量の異なる秤のシリーズ製品に対しても、同一構成の板バネ16と調整手段(調整ねじ25)で板バネ16のバネ力を調整することにより、夫々に応じた適切な衝撃吸収力を与えることができる。
【0020】
さらに、調整手段としての調整ねじ25は、直径、ピッチ、長さ等の異なるねじが多種類市販されているため、板バネ16の自由端16f、16f’の位置の調整範囲に応じた長さと、その調整に適したピッチを有するものを安価で容易に入手できる。そして、調整ねじ25は、回転により連続的に上動または下動させることができるため、衝撃吸収または過荷重吸収の微調整も容易である。また、板バネ16及び秤量皿支持体15は、ロードセル12の長さの範囲内に収まるので、秤全体を横長にすることがない。しかも、ロードセル12と支持部材22の結合部にかかるモーメントもさほど大きくならないので、支持部材22の強度を特に大きくする必要もない。さらに、水平片35を有した当て板31は、板金をプレス成形や折曲成形により安価で容易に形成することができる。
【0037】
ところで、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、例えば、図示はしないが、第1の実施例は、以下に述べるように構成してもよい。
【0042】
たとえば、板バネ16の両自由端16f、16f’は、最初から上方に偏奇した状態に形成してもよい。こうしておくと、両自由端16f、16f’には、組み立て時からバネ力が発生していて、さらに大きな衝撃吸収力を発生させることができ、大きな秤量の秤に用いることができる利点がある。
【0047】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態で説明したように、請求項1に係る発明のロードセル式秤によれば、調整ねじにより、衝撃荷重を吸収する板バネの自由端に発生する衝撃吸収力を適宜調整することができる。このため、秤量の異なるロードセル式秤のシリーズ製品に対し、同一構成の板バネ及び調整ねじを用いることができ、しかも、夫々に応じて適切な衝撃吸収力を与えることができる。また、長年の使用により、衝撃吸収力が弱くなっても、この板バネのバネ力を調整することにより、適切な衝撃吸収力に復帰できる利点がある。特に、調整ねじは回転により連続的に上動または下動させることができるので、板バネのバネ力の微調整が容易で衝撃吸収力の調整も容易である。さらに、板バネの水平部がロードセルの上下それぞれに並行して前記ロードセルの固定端側へ延び、秤量皿支持体が板バネを覆うような筒形であるから、板バネ及び秤量皿支持体は、ロードセルの長さの範囲内に収まり、秤全体を横長にすることがないうえ、ロードセルと支持部材の結合部にかかるモーメントもさほど大きくならず、支持部材の強度を特に大きくする必要もない。さらに、水平片を有した当て板は、板金をプレス成形や折曲成形により安価で容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例のロードセル式秤の要部縦断面図である。
【図2】 前記第1の実施例のロードセル式秤の要部分解斜視図である。
【図3】 従来のロードセル式秤の要部分解解斜視図である。
【図4】 従来のロードセル式秤の要部の組立状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 ベースプレート
12 ロードセル
12a 固定端
12b 可動端
15 秤量皿支持体
16 板バネ
16f、16f’ 自由端
16c 連結部
18 秤量皿
25 調整ねじ
Claims (1)
- ベースプレートに固定される固定端と荷重を受ける可動端とを有するビーム型のロードセルと、
縦断面がコ字形であり、起立した連結部が前記ロードセルの可動端を覆うように該可動端面に固定され、かつ前記ロードセルの上下それぞれに並行して前記ロードセルの固定端側へ延びる水平部が荷重を受けつつ衝撃を吸収する板バネと、
前記板バネを覆うような筒形であり、前記板バネの上下の各水平部の自由端がそれぞれ連結されるとともに、秤量皿の荷重を受ける秤量皿支持体と、
前記板バネの連結部の外面に固定され、前記秤量皿支持体の下部との対向する水平片を有する当て板と、
該当て板の水平片に螺合するとともに、先端が前記秤量皿支持体の下部に当接する調整ネジとからなり、
該調整ネジを上下動することにより、板バネの自由端のバネ力を調整できるようにしたことを特徴とするロードセル式秤。
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