JP4437012B2 - ムスコンのアセタール付加体、その調製方法、並びに(±)−ムスコンの光学分割方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然型である(R)−(−)−ムスコンにL−酒石酸ジベンジルエステルをアセタール反応により付加させて得られるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート、非天然型である(S)−(+)−ムスコンにD−酒石酸ジベンジルエステルをアセタール反応により付加させて得られるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート、及びそれらの調製方法、並びにラセミ体の(±)−ムスコンから(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンを光学分割する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
麝香(ジャコウ)鹿の包皮腺から分泌される麝香(ジャコウ)は、動物由来の高貴な香気成分や、保香剤、医薬品として、太古の昔から広く珍重されて来た。近年、絶滅の恐れのある野生動物の取引禁止に関するワシントン条約による規制によって、天然産の麝香の入手が次第に困難となっており、そのため麝香鹿の飼育も実施されている。
麝香中の香気成分の構造の解析は、1930年代にスイスのRuzicka博士等によって行われ、その主な香気成分は飽和の大環状ケトンである(R)−(−)−3−メチル−シクロペンタデカノン(C16H30O)と決定され、ムスコン(muscone)と命名された。それは下記式(III)の構造を有する光学活性物質である。
【化3】
【0003】
上記の構造が決定されて以来、天然型ムスコンを直接、不斉合成しようとする種々の試みがなされて来たが、不斉合成による天然型(R)−(−)−ムスコンの工業的製法は未だ確立されていない。
【0004】
そこで合成が容易で安価に製造が可能なラセミ体(±)ムスコンを先ず製造し、これを光学分割することによって天然型(R)−(−)−ムスコンを分離する方法が検討されている。
例えば、加水分解酵素であるリパーゼAKを用い、原料として3−メチルシクロペンタデカン−1−オールの不斉エステル化反応を経由して、高い光学純度で(R)−(−)−ムスコンを得ることが可能な酵素法による光学分割が提案されている(非特許文献1参照)。
さらに、原料として3−メチルシクロペンタデカン−1−オールを用い細菌由来の加水分解酵素を触媒として不斉エステル化後、加水分解し、次いで酸化を行う光学活性ムスコンの製造方法も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、従来は香料の原料としてそれほど注目されていなかったもう一方の鏡像異性体(S)−(+)−ムスコンに関しても、最近の消費者の嗜好の多様化等を背景とする新たな香料分野への展開、或いは香料以外、例えば医薬品分野などへの応用が検討され始めている。
ムスコンのR体とS体とでは香気の質が相当異なるので、香料としてムスコンを利用する場合に、(±)ムスコンからR体とS体を分離すること、さらに分離したR体の光学純度を高めることが不可欠となる。
【0006】
鏡像異性体(エナンチオマー)の等モル(50:50)混合物であるラセミ体(ラセミ混合物ともいう)を光学分割する方法のうち、最も一般的で簡便かつ効率的な方法はジアステレオマー法である。この方法は、鏡像異性体の混合物に、別の光学活性体、つまり光学分割剤を結合させて、ジアステレオマーと称される物性の異なる2種類の化合物に誘導して結晶化等により分離した後、その分離物を元の鏡像異性体に再変換する方法である。通常、2つのジアステレオマーは結晶形、融点、溶解性などが異なり、それぞれの結晶を播種するか、又は自然起晶によりいずれか一方の結晶を析出させることができる。
【0007】
ジアステレオマーを形成させる光学分割剤に関しては、天然の光学活性有機酸類、又は植物のアルカロイド由来のアミン類が塩形成に使用される(詳しくは「季刊化学総説No.6 光学異性体の分離」日本化学会編、学会出版センター(1989年)を参照)。
しかしながら、(±)ムスコンは大環状ケトンであり、しかも中性の分子であるため直接には塩を形成できないという問題点がある。
また、ジアステレオマーに誘導したムスコンを、クロマトグラフィーを用いて分離する方法では、分離設備が大型化しコスト高となってしまう。
そこで、簡便で高純度に分離可能な光学分割方法が産業界から強く要望されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−189号公報
【非特許文献1】
高部圀彦、外3名、「酵素法によるムスコン誘導体の光学分割」、第39回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 講演要旨集、主催日本化学会、平成7年10月2日〜4日、p. 177-178
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ジアステレオマー相互間において大きな溶解性の差があるため容易に光学分割することが可能なムスコンのジアステレオマー化物の提供、並びに当該ジアステレオマー化物の調製方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明はラセミ体ムスコンから(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンの一方だけを効率的且つ経済的に光学分割する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、光学分割剤としてL−酒石酸ジベンジルエステルをラセミ体である(±)ムスコンに反応させた場合に、ムスコンと酒石酸ジベンジルエステルとの間に環状アセタールが形成されてジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートとそのジアステレオマーが生成され、それぞれの立体構造に基づく溶解性の差から前者を優先的に結晶化させて分離可能であることを見出し、簡便且つ効率的に(R)−(−)−ムスコンを光学分割する方法を確立し、本発明の完成に至った。
一方、光学分割剤としてD−酒石酸ジベンジルエステルをラセミ体ムスコンに反応させた場合には、ムスコンと酒石酸ジベンジルエステルとの間に環状アセタールが形成されてジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートとそのジアステレオマーが生成され、それぞれのジアステレオマー間の立体構造に基づく溶解性の差から前者を優先的に結晶化させて分離可能であることを見出し、簡便且つ効率的に(R)−(−)−ムスコンを光学分割する方法を確立し、本発明の完成に至った。
なお、(±)ムスコンの光学分割に、簡便な分離手段として、本発明のような優先的結晶化法を適用した例は、過去には全く知られていない。
【0011】
すなわち、本発明は、下記式(I)で表されるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートである。
【化4】
【0012】
また、本発明は、下記式(II)で表されるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートである。
【化5】
【0013】
また、本発明は、(R)−(−)体と(S)−(+)体とからなるラセミ体(±)−ムスコンと、L−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてアセタール結合を生成させることを特徴とするジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの調製方法である。
【0014】
また、(R)−(−)体と(S)−(+)体とからなるラセミ体(±)ムスコンと、D−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下及び脱水条件下で反応させてアセタール結合を生成させることを特徴とするジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの調製方法である。
【0015】
さらに、上記発明において、
酸性触媒が、好ましくは有機スルホン酸、又は希土類金属トリフルオロメタンスルホナートから選ばれる触媒であること、
有機スルホン酸が、特にカンファースルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であること、
希土類金属トリフルオロメタンスルホナートが、特にスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート又はイッテルビウムトリフルオロメタンスルホナートであること、
脱水条件が、好ましくは脱水剤の使用、特にオルトギ酸トリメチルであること、
不活性溶媒が、好ましくは疎水性溶媒、特にアセトニトリルであること、をそれぞれ特徴とする。
【0016】
さらに、本発明は、下記の第1〜第3工程から成ることを特徴とする(±)−ムスコンラセミ体から(R)−(−)−ムスコンを光学分割する方法である。
〔第1工程〕 (±)−ムスコンと、L−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてジベンジル(2R,3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーを生成させる工程、
〔第2工程〕 溶媒中で、第1工程で生成されたジアステレオマー混合物を、それに含まれるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの融点未満の温度条件に保持して当該ジカルボキシラートを優先的に結晶化させて分離する工程、
〔第3工程〕 酸性条件下かつ含水溶媒中で、第2工程で分離したジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートから酒石酸ジベンジルエステルを脱離させて(R)−(−)−ムスコンを生成させる工程。
【0017】
さらに、本発明は、下記の第1〜第3工程から成ることを特徴とする(±)−ムスコンラセミ体から(S)−(+)−ムスコンを光学分割する方法である。
〔第1工程〕 (±)−ムスコンと、D−酒石酸ジベンジルエステルとを、疎水性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてジベンジル(2S,3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーを生成させる工程、
〔第2工程〕 溶媒中で、第1工程で生成されたジアステレオマー混合物を、それに含まれるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの融点未満の温度条件に保持して当該ジカルボキシラートを優先的に結晶化させて分離する工程、
〔第3工程〕 酸性条件下かつ含水溶媒中で、第2工程で分離したジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートから酒石酸ジベンジルエステルを脱離させて(S)−(+)−ムスコンを生成させる工程。
【0018】
また、好ましくはクロマトグラフィーを用いて、上記第1工程で生成されたジアステレオマー混合物から不純物を除去した後、第2工程を行うこと、
上記第2工程で使用する溶媒が、好ましくはヘキサン又はエタノールであること、
好ましくは上記第2工程で結晶化させて分離したジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート又はジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを、さらに少なくとも1回、再結晶させて光学純度を高めた後、第3工程を行うこと、
上記第3工程における含水溶媒が、好ましくはジオキサンと水の混合溶媒、又はテトラヒドロフランと水の混合溶媒であること、
をそれぞれ特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔1〕ムスコン
本発明の適用対象であるムスコンは、主として化学合成によって調製された下記式(IV)で表されるラセミ体(±)−ムスコンである。
【化6】
【0020】
ラセミ体ムスコンの合成品は、現在、例えばドイツのFirmenich社によって製造されている。しかし、簡便で安価な分割方法が無いために、ラセミ体から(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンを光学分割して(R)−(−)−ムスコンのみを商業生産することは行われていない。
ラセミ体ムスコンには、メチル基側鎖の結合方向が対掌的である2個の光学異性体であるR体とS体とが共存し、それぞれ−(左旋性)及び+(右旋性)の旋光性を示し、うち天然型は(R)−(−)−ムスコンであり、その比旋光度は[α]D25−12.3°である。また、非天然型は(S)−(+)−ムスコンであり、その比旋光度は[α]D25+12.3°である。
天然型のR体と非天然型のS体とでは香気の質が異なり、更に最低検知濃度すなわち閾値も、それぞれ、3ppm、8ppmと異なる。
R体とS体は、溶媒中で同じ溶解度を持ち、しかも融点、沸点が同じなので、そのままでは結晶化や蒸留等の方法で分離することはできない。
【0021】
〔2〕酒石酸ジベンジルエステル
本発明において、ラセミ体ムスコンから(R)−(−)−ムスコンを分離するために用いられる光学分割剤は、下記式(V)で表されるL−酒石酸ジベンジルエステルである。この化合物は、vicinalなジオール基を有するキラルなジエステルであることに特徴を有する。
【化7】
【0022】
上記ジオールエステルは、その2個のヒドロキシル基がムスコンのカルボニル基と反応して環状アセタールを生成する。このアセタール結合は、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒作用で簡単に加水分解される。その結果、ジオールエステルがムスコンから脱離するので、目的とする(R)−(−)−ムスコンを分離し再生することが可能となる。
【0023】
L−酒石酸ジベンジルエステルの原料となる酒石酸には、ラセミ体、L−(+)体、D−(−)体、メソ体の4種類が存在する。これらの中で、上記ムスコンとの間に環状アセタールを形成させ、その立体構造ゆえに溶解度差の大きなジアステレオマーの生成を可能にするものはL−(+)−酒石酸、すなわち(2R、3R)−(+)−酒石酸に限られる。
なお、かかるL−(+)−酒石酸は葡萄酒醸造の際に得られる生酒石を酸性化して製造されており、非天然型のD−(−)体よりも安価である。
【0024】
L−酒石酸ジベンジルエステルは、常法に従いL−(+)−(2R、3R)−酒石酸とベンジルアルコールをモル比1:2で混合し、酸性の触媒としてp−トルエンスルホン酸を加えて、トルエン溶媒中で還流脱水することにより合成される。パラ位に置換基が導入されたベンジルエステルを合成する場合は、相当するベンジルアルコールを用いる。生成したジエステルは減圧蒸留により精製することが好ましい。
【0025】
一方、ラセミ体ムスコンから(S)−(+)−ムスコンを分離するために用いられる光学分割剤は、下記式(VI)で表されるD−酒石酸ジベンジルエステルである。
【化8】
【0026】
上記酒石酸ジベンジルエステルのD体は、D−(−)酒石酸とベンジルアルコールとを原料として前記L体と同様の方法にて製造することができる。
なお、S体の分離の場合も、4種の酒石酸の中で、ムスコンとの間に環状アセタールを形成させ、その立体構造ゆえに溶解度差の大きなジアステレオマーの生成を可能にするものは、D−(−)酒石酸に限られる。
【0027】
〔3〕ラセミ体ムスコンのジアステレオマー化
▲1▼ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの合成:
(R)−(−)−ムスコンと(S)−(+)−ムスコンとの混合物であるラセミ体ムスコンに、上述したL−酒石酸ジベンジルエステルを反応させて、ムスコンのカルボニル基と酒石酸ジベンジルエステルが有する2個のヒドロキシル基とによって環状アセタールを形成させると、ラセミ体中の各エナンチオマー、すなわち(R)−(−)−ムスコンと(S)−(+)−ムスコンがそれぞれジアステレオマー化されてジアステレオマー誘導体の混合物が生成される。
(R)−(−)−ムスコンからは溶解性が小さく結晶性で融点が62℃である下記式Iのジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(以下、「(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物」と略称することがある)が生成され、一方、(S)−(+)−ムスコンからは溶解性が大きいそれのジアステレオマー(以下、「(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物」と略称することがある)が生成される。
【化9】
【0028】
▲2▼ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートおよびそのジアステレオマーの合成:
ラセミ体ムスコンに、上述したD−酒石酸ジベンジルエステルを作用させて、ラセミ体ムスコンのカルボニル基と酒石酸ジベンジルエステルが有する2個のヒドロキシル基とによって環状アセタールを形成させると、ラセミ体中の各エナンチオマー、すなわち(S)−(+)−ムスコンと(R)−(−)−ムスコンがそれぞれジアステレオマー化されてジアステレオマー誘導体の混合物が生成される。
(S)−(+)−ムスコンからは溶解性が小さく結晶性で融点が61.5〜62℃である下記式IIのジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(以下、「(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物」と略称することがある)が生成され、一方、(R)−(−)−ムスコンからは溶解性が大きなジアステレオマー(以下、「(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物」と略称することがある)が生成される。
【化10】
【0029】
▲3▼ジアステレオマー化の条件
ラセミ体ムスコンのジアステレオマー化のためのアセタール形成、すなわち5員環の1,3−ジオキソランを生成させる反応には、酸性触媒が必要である。この酸性触媒は、酸の強度、及び有機反応溶媒への溶解性を考慮して、好ましくは有機スルホン酸、又は希土類金属トリフルオロメタンスルホナートから選ばれる。
有機スルホン酸としては、特にカンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(カチオン交換樹脂)等のプロトン酸が好ましい。
また、希土類金属トリフルオロメタンスルホナートとしては、特にスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(以下「Sc(OTf)3」と略称する)、イッテルビウムトリフルオロメタンスルホナート(以下「Yb(OTf)3」と略称する)等のルイス酸が好適である。なお、それらを粉末状のマイクロカプセル化したものであっても良い。
【0030】
アセタール生成反応は可逆反応であるので、効率的に反応を進めるには生成する水を除去する脱水条件下で行う必要がある。従って、反応を十分に完結させるためには、例えば沸騰条件下のような高温度で反応を進め生成する水を蒸発によって除去する高温脱水法によるか、或いは、脱水剤を用いて常温で反応を進める常温反応法による必要がある。
【0031】
常温反応法における脱水剤としては、低分子量の有機酸であるギ酸又は酢酸と、低分子量のアルコールであるメタノール又はエタノールとから得られるオルトエステルが好適である。
これらの化合物は水1モルを吸収し、アルコール2モルを放出して通常のエステルに戻る。副生したアルコールは、減圧蒸留によって分離される。
分子量の小さいオルトエステルが単位重量当たりの水の吸収容量が大きいので好ましく、中でもオルトギ酸トリメチルが最も効率がよい。
【0032】
沸騰条件下でアセタール反応を進める高温脱水法では、系の温度が、生成するジアステレオマーの融点以上では結晶の析出はない。
一方、常温反応法では、(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物はそのジアステレオマーの(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物よりも溶解度が低く、また、(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物はそのジアステレオマーの(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物よりも溶解度が低く、それぞれのジアステレオマーとの共晶が生成することもなく生成すると直ちに結晶化するので高純度な結晶が析出することになる。
従って、分離が容易で工程全体の簡略化に寄与できる点で、常温で脱水剤を使用してアセタール化を行う常温反応法が好ましい。
【0033】
ラセミ体ムスコンのアセタール化は、不活性溶媒、好ましくは疎水性溶媒を用いて行う。疎水性溶媒の中でも、ベンゼン、トルエン又はアセトニトリル等が、特にアセトニトリルが好適である。
かかる溶媒中で、沸騰還流して、または常温で攪拌して(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸の合成を行う。
沸騰条件下での合成では、脱水反応を進行させるために、例えばp−トルエンスルホン酸を触媒とし、水分離器を付けて発生する水を共沸により、連続的に系外に除去して合成する。
常温での合成では、例えばSc(OTf)3を酸触媒とし、脱水剤としてオルトギ酸トリメチルを加えて、アセトニトリル溶媒中で合成する。
【0034】
反応の当量比は、酒石酸ジベンジルエステル/(±)−ムスコンが0.5〜2が適当であり、過剰の未反応の酒石酸ジベンジルはそのまま残存する。
後述の結晶化・分離を効率的に行うには、酒石酸ジベンジルエステル/(±)−ムスコンが1/2から1/1の当量比が良い。また、収率、純度および反応温度の点から、酸性触媒としては希土類金属トリフルオロメタンスルホナートが好ましく、特にSc(OTf)3が好適である。
【0035】
〔4〕ラセミ体ムスコンの光学分割方法
光学分割方法は、上述のジアステレオマー化を第1工程として、それに続く以下の第2工程(結晶化・分離)及び第3工程(光学分割剤の脱離)から構成される。
▲1▼第2工程
前述のとおりラセミ体ムスコンにL−酒石酸ジベンジルエステルを反応させて生成される(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物と(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物との混合物においては、アセタール結合によって生成した1,3−ジオキソラン環とムスコンの側鎖メチル基の立体配置の関係から、(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物が溶媒に対する溶解性が小さく結晶化し易い物質であるのに対して、同時に生成するそのジアステレオマーの(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物は溶解性が大きく結晶化しにくい。
従って、ジアステレオマー混合物のうち(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物は、その融点である62℃未満、好ましくは-40〜62℃、特に好ましくは-20〜25℃の温度条件下で優先的に結晶化する。
【0036】
このようにして晶出した(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物は、一般的な分離手段である濾過又は遠心分離方法によってそのジアステレオマーとの分離が可能となる。設備費、静電気発生、火災の可能性に鑑みれば、濾過による分離が好ましい。
また、結晶化させるときの溶媒は、溶解性の観点からヘキサン、エタノール、ペンタンなどの低沸点炭化水素溶媒および低沸点アルコール溶媒が好ましく、特にヘキサン又はエタノールが好ましい。
【0037】
一方、ラセミ体ムスコンにD−酒石酸ジベンジルエステルを反応させて生成される(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物と(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物との混合物においては、アセタール結合によって生成した1,3−ジオキソラン環とムスコンの側鎖メチル基の立体配置の関係から、(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物は溶媒に対する溶解性が小さく結晶化しやすい物質であるのに対して、同時に生成するそのジアステレオマーの(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物は溶解性が大きく結晶化しにくい。
【0038】
従って、ジアステレオマー混合物のうち(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物は、その融点である62℃未満、好ましくは-40〜62℃、特に好ましくは-20〜25℃の温度条件下で優先的に結晶化する。
このようにして晶出した(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物は、一般的な濾過又は遠心分離方法、好ましくは濾過によってそのジアステレオマーとの分離が可能となる。
また、結晶化させるときの溶媒は、溶解性の観点からヘキサン、エタノール、ペンタンが好ましく、特にヘキサン又はエタノールが好ましい。
【0039】
結晶化をより効率的に行うためには、結晶化に先立って、第1工程で得られた(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物と(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物とのジアステレオマー混合物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物と(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物との混合物からクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=90:10)によって不純物を除去しておくこと、すなわち生成されたジアステレオマー混合物を精製しておくことが好ましい。
【0040】
▲2▼第3工程
第2工程では、それぞれのジアステレオマー混合物から分離された(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物から酒石酸ジベンジルエステルを脱離させる、つまりアセタール結合を切断させることによって最終目的物である(R)−(−)−ムスコン、又は(S)−(+)−ムスコンを得ることができる。
【0041】
具体的には酸性条件下かつ含水溶媒中で環状アセタールを加水分解させる。含水溶媒としては、テトラヒドロフラン/水、ジオキサン/水、又はアルコール(メタノール等)/水の各混合物が例示され、テトラヒドロフラン/水、ジオキサン/水の混合物が好適である。
具体的には、(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物を、上記含水溶媒に溶解して、p−トルエンスルホン酸等の触媒を加えて沸騰条件下で加水分解する。
【0042】
この加水分解の際に脱離するL−酒石酸ジベンジルエステル、又はD−酒石酸ジベンジルエステルの一部も同時に加水分解されてしまう。しかしながら、加水分解物を減圧分留すると、酒石酸ジベンジルエステルは結晶化するが、(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンは液体として得られるので両者の分離が可能である。
【0043】
光学純度の極めて高い(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンを得るためには、第3工程に先立って、第2工程で結晶化させ分離した(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物を、さらに少なくとも1回、再結晶させて、粗生成物中に僅かに含まれるそれぞれのジアステレオマーを除去し、光学純度を高めた後、第3工程を行うことが好ましい。
【0044】
再結晶操作は、高純度、好ましくはジアステレオマー過剰率が99%以上の(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物、又は(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物を種結晶として用いることが効果的である。
再結晶とそれに伴う再溶解は、エタノール又はヘキサン溶媒中で行うことが望ましい。溶媒の選定は結晶の析出速度、純度、分離の際の収率等に重大な影響があるからである。
【0045】
この再結晶操作によってジアステレオマー過剰率(diastereomer excess; 略称はd.e.)を高めることができる。このd.e.値は、下記の式で定義され、光学異性体分割の尺度となる。一般的には、d.e.値は光学純度と同じ値である。従って、d.e.値が高いほど光学純度が高いことを意味する。
【数1】
【0046】
【実施例】
以下、実施例、並びに比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
〔実施例1〕(天然型(R)−(−)−ムスコンの光学分割)
▲1▼ラセミ体ムスコンをジアステレオマー化する工程
【化11】
【0047】
20mLナス型フラスコにラセミ体(±)−ムスコン(159mg、0.665mmo1、1eq)、L−酒石酸ジベンジルエステル(267mg、0.807mmo1、1.2eq)を入れ、アセトニトリル(1mL)の溶液にし、オルトギ酸トリメチル(HC(OCH3)3;0.10mL、0.914mmo1、1.4eq)を加え、室温で攪拌した。これに、別に用意した30mLナス型フラスコにSc(OTf)3(7.1mg、0.0144mmol、0.02eq)のアセトニトリル溶液(0.6mL)をカニュラを用いて加え、23時間攪拌した。10%水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)を加え、反応を停止すると、反応溶液は白濁した。その後、エーテル(3mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×3mL)で洗浄した。有機相を飽和食塩水(2×3mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを、吸引ろ過し、溶媒留去した。
こうして得られた粗精製物(0.4057g)からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2:20.2g、Hexane/AcOEt=95/5)により不純物を除去した結果、白色固体のジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーすなわちジアステレオマー混合物(165mg、y.67%、12%de)を得た。
【0048】
▲2▼ジアステレオマー混合物からジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを結晶化・分離する工程
【化12】
【0049】
次に、得られたジアステレオマー混合物をHexaneによる結晶化を行った。
10mLナス型フラスコに上記工程▲1▼で得られたジアステレオマー混合物を入れ、水浴中(46.5℃)にてHexane(0.18mL)を少量ずつ滴下し、すべて溶解したところで室温まで冷却し24時間静置した。
生成した結晶をろ別し、冷却したHexaneで洗浄した。このようにして結晶(106mg、16.7%de(R))と母液(37.9mg、9.4%de(S))に分離し、同様に得られた結晶に対して計3回再結晶を行うことにより非常に純度の高いジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート (11.9mg、>99%de(R))を得た。
【0050】
▲3▼光学分割剤を脱離させる工程
【化13】
【0051】
このようにして得られたジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(105mg、0.190mmo1、1eq)を10mLナス型フラスコに入れ、THF/H2O=4/1(0.40mL)の溶液にした。これにp−トルエンスルホン酸(p-TsOH・H2O:115mg、3.2eq)を加え、80℃で、24時間加熱還流した。薄層クロマトグラフィー(TLC)上で原料アセタールのスポットの消失が確認されたため、室温まで冷却し、エーテル(3mL)で希釈した。これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×5mL)で洗浄し、エーテル(2×4mL)で抽出した。
有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過後、溶媒留去し、粗精製物(76.9mg)をカラムクロマトグラフィー(SiO2:4.4g、Hexane/AcOEt=95/5)により精製した結果、目的の天然型(R)−(−)ムスコン(37.5mg、y.83%)を得た。
さらに、得られたムスコンの比旋光度を測定した結果、比旋光度は[α]D 19.6−11.8°(c.0.91、MeOH)であった。
【0052】
〔実施例2〕(非天然型(S)−(+)−ムスコンの光学分割)
▲1▼ラセミ体ムスコンをジアステレオマー化する工程
【化14】
【0053】
20mLナス型フラスコに(±)ムスコン(253mg、1.06mmo1、1.0eq)、D−酒石酸ジベンジルエステル(647mg、1.96mmol、1.8eq)を加え、アセトニトリル(1.05mL、1M)の溶液にした。
これにオルトギ酸トリメチル(0.250mL、2.29mmo1、2.2eq)を加え、室温にて攪拌した。これにSc(0Tf)3(25.9mg、0.0526mmo1、0.05eq)を加え、2時間攪拌した。原料ムスコンのスポットの消失を確認し、これに水(0.30mL)を加え、反応を停止した。これをエーテル(5mL)で希釈し、水相と有機相を分離した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×3mL)で洗浄した。水相をエーテル(2×4mL)で抽出し、さらに、有機相を飽和食塩水(1×4mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを、吸引ろ過後、溶媒留去し、粗精製物0.911gを得た。この粗精製物をカラムクロマトグラフィー(SiO2:19.5g、Hexane/AcOEt=95:5)により不純物を除去した結果、無色透明で粘性の液体であるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーすなわちジアステレオマー混合物が544mg、収率93%で得られた。これを冷凍保存することにより白色の粘性固体となった。生成物の確認はTLC、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により確認した。
【0054】
▲2▼ジアステレオマー混合物からジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを結晶化・分離する工程
【化15】
【0055】
次に、得られたジアステレオマー混合物をHexaneによる結晶化を行った。
10mLナス型フラスコにジアステレオマー混合物を入れ、水浴中(49℃)にてHexane(0.70mL、1.2M)を少量ずつ滴下し、すべて溶解したところで室温まで冷却し24時間静置した。
生成した結晶をろ別し、冷却したHexaneで洗浄した。このようにして結晶(292mg、29%de(S))と母液(147mg、8.2%de(R))に分離し、同様に得られた結晶に対して計3回再結晶を行うことにより非常に純度の高いジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(15.6mg、>99%de(S)を得た。
【0056】
▲3▼光学分割剤を脱離させる工程
【化16】
【0057】
10mLナス型フラスコに還流冷却管をつけ、前記工程で得られたジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(100mg、0.182mmo1、1eq)を入れ、ジオキサン/水=4/1(1.85mL、0.1M)の溶液にした。これに、p‐TsOH・H2O(63.4mg、0.333mmol、1.83eq)を加え、80℃に加熱した。10時間後、原料の消失を確認し、室温まで冷却した。エーテル(4mL)で希釈し、水相を分離後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×3mL)で洗浄した。水相をエーテル(2×4mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(1×5mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。吸引ろ過後、溶媒留去し、粗精製物109.9mgを得た。これをカラムクロマトグラフィー(SiO2:3.5g、Hexane/AcOEt=95/5)により精製した結果、目的の非天然型(S)−(+)−ムスコン(36.4mg、y.84%)が得られた。
さらに、得られたムスコンの比旋光度を測定した結果、比旋光度は[α]D 18.4+11,5°(c.0.890、MeOH)であった。
【0058】
〔実施例3〕(天然型ムスコンの光学分割)
▲1▼ラセミ体ムスコンをジアステレオマー化する工程
【化17】
【0059】
50mLナス型フラスコに(±)ムスコン(2.38g、9.97mmo1、1eq)、L−酒石酸ジベンジルエステル (6.57g、19.9mmo1、2eq)を加え、アセトニトリル(7mL)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル(2.25mL、20.6mmo1、2.1eq)を入れ、0℃で攪拌した。これに別に用意した20mLナス型フラスコにSc(0Tf)3(243mg、0.494mmo1、0.050eq)のアセトニトリル溶液(2.97mL)をカニュラを用いて加えた。24時間後、水(1.9mL)を加え、反応を停止し、室温まで昇温した。エーテル(8mL)で希釈し、有機相、水相を分離後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×2mL)で洗浄し、水相をエーテル(2×4mL)で抽出した。有機相を飽和食塩水(1×5mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを吸引ろ過後、濃縮し、へキサン/エーテル=20/1(63mL)に少しずつ滴下した。得られた白色固体を粉砕し、へキサン/エーテル=20/1(2×50mL)で洗浄した。これを目皿ろ過し、回収された酒石酸ジべンジルエステルは3.23gであった。このときの母液を濃縮し、粗生成物であるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーすなわちジアステレオマー混合物5.34gを得た。
【0060】
▲2▼ジアステレオマー混合物からジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを結晶化・分離する工程
前記粗生成物に、へキサン1mLを加え、50℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、種結晶を加え、密栓し、冷凍保存(12時間)した。得られた固体を目皿ろ過し、冷却したエタノール(15mL)で洗浄した。こうして得られた白色固体を乾燥した結果、目的のジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(1.49g、y.27%、41.3%de)が得られた。
また、母液はカラムクロマトグラフィーを行い、ムスコン(0.694g、y.29%)が回収され、結晶として得られなかった非天然型の(ムスコンアセタール(ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート:2.03g、y.37%、8.53%de)が得られた。
【0061】
▲3▼ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの光学純度を高める工程
【化18】
【0062】
次に、得られたジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートをHexaneにより再結晶を行った。
10mLナス型フラスコに、ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート1.4gを入れ、水浴中(48℃)にてHexane(3.37mL、0.80M)を少量ずつ滴下し、すべて溶解したところで室温まで冷却し24時問静置した。生成した結晶をろ別し、冷却したHexaneで洗浄した。このようにして結晶(530mg, 72.3%de(R))と母液(989mg、43.1%de(R))に分離し、同様に得られた結晶に対して再結晶を行うことにより非常に純度の高い(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(205mg、>99%de(R))を得た。
再結晶2回目の結晶と母液のクロマトグラムを図1に示す。
【0063】
得られたジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(>99%de)の分析結果は下記のとおりである。
(a)CAS登録番号:不明
(b)分子量
分子式:C34H46O6、M.W.:550.73
Rf=0.40(hexane:ethylacetate=90:10) (c)比旋光度
[α]D 30 -12.3°(c.0.995、EtOH)、m.p. 61.5〜62℃
(d)1H NMR分析
1H NMR (CDC13、200MHz) δ0.872(d, J=6.6Hz, 3H, CHCH3)、
1.28(s, 26H, -CH2-)、1.5-1.8(m, 3H, CH2CH2CO and CH3CH)、
4.74(d, J= 2.8 Hz, 2H, -OCHCHO-)、5.18(d, J=1.05 Hz, 4H,
2×-CH2-Ph)、7.28(s, 10H, 2×-Ph)
【0064】
(e)赤外スペクトル分析
IR(neat)2929.7(モノ置換べンゼン伸縮振動)、1759.0(C=O伸縮振動)、1361.7(C-H対称変角振動)、1265.2(エステル伸縮振動)、1100(アセタール伸縮振動) (f) 13C NMR分析
13C NMR (22.5MHz、CDC13) δ169.5, 134.9, 128.4, 118.0, 77.3, 76.6, 67.2, 43, 36, 26.4, 24.8, 22.1, 20.4
(g)質量分析
MS(EI) m/z 550(M+・,0.2),507(1),381(6),239(0.3),91(100)
Anal. Found. C, 74.04; H, 8.58.
Calcd. For C34H46O6: C, 74.15; H8.42
【0065】
▲4▼光学分割剤を脱離させる工程
【化19】
【0066】
10mLナス型フラスコに還流冷却管をつけ、上記ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(200mg、0.363mmo1)を入れ、ジオキサン/水=4/1(0.71mL、0.51M)の溶液にした。これに、p-TsOH・H2O (185.2mg、0.973mmo1、2.7eq)を加え、75℃に加熱した。
6時間後、原料の消失を確認し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)を加え、反応を停止し、室温まで冷却した。エーテル(8mL)で希釈し、水相を分離後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×6mL)で洗浄した。水相をエーテル(2×38mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(2×4mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。
吸引ろ過後、溶媒留去し、粗生成物178.7mgを得た。これをカラムクロマトグラフィー(SiO2:8.1g、Hexane/AcOEt=100/0)により精製した結果、目的の天然型(R)−(−)−ムスコン(86.1mg, y.99%)が得られた。比旋光度は[α]D 20.7−11.6°(c.0.96、MeOH)であった。
【0067】
〔実施例4〕(非天然型ムスコンの光学分割)
▲1▼ラセミ体ムスコンをジアステレオマー化する工程
【化20】
【0068】
50mLナス型フラスコにラセミ体(±)−ムスコン(2.30g、9.66mmo1、1eq)、L−酒石酸ジべンジルエステル(6.41g、19.4mmo1、2eq)を加え、アセトニトリル(7mL)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル(2.20mL、20.1mmo1、2.1eq)を入れ、0℃にて攪拌した。これに別に用意した10mLナス型フラスコにSc(OTf)3 (229mg、0.466mmo1、0.048eq)のアセトニトリル溶液(2.70mL)をカニュラを用いて加えた。24時間後、水(2.25mL)を加え、反応を停止し、室温まで昇温した。エーテル(8mL)で希釈し、有機相、水相を分離後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×3mL)で洗浄し、水相をエーテル(2×5mL)で抽出した。
有機相を飽和食塩水(1×7mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを吸引ろ過後、濃縮し、へキサン/エーテル=20/1(63mL)に少しずつ滴下した。得られた白色固体を粉砕し、へキサン/エーテル=20/1(2×50mL)で洗浄した。これを目皿ろ過し、回収された酒石酸ジべンジルエステルは4.36gであった。このときの母液を濃縮し、粗生成物であるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーすなわちジアステレオマー混合物5.33gを得た。
【0069】
▲2▼ジアステレオマー混合物からジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを分離する工程
上記粗生成物に、へキサン2.50mLを加え、55℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、密栓し、冷凍保存(12時間)した。得られた固体を目皿ろ過し、冷却したエタノール(20mL)で洗浄した。こうして得られた白色固体を乾燥した結果、目的のジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(1.25g、y.24%、87.8%de)が得られた。
【0070】
また、母液をカラムクロマトグラフィーで分離したところ、未反応のムスコン(0.311g、y.13.5%)が回収され、結晶として得られなかった天然型のムスコンアセタール(ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート;2.50g、y.47%、25.2%de(R))が得られた。
【0071】
▲3▼ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの光学純度を高める工程
【化21】
【0072】
次に、得られたジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートをHexaneにより再結晶を行った。10mLナス型フラスコに上記のジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート1.25gを入れ、水浴中(50℃)にてHexane(4.55mL、0.50M)を少量ずつ滴下し、すべて溶解したところで室温まで冷却し24時間静置した。
生成した結晶をろ別し、冷却したHexaneで洗浄した。この再結晶により、結晶(350mg、>99%de(S))と母液(876mg、84.1%de(S))に分離した。これにより非常に純度の高いジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを得ることができた。
再結晶1回目の結晶と母液のクロマトグラムを図2に示す。
【0073】
得られたジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの分析結果は下記のとおりである。
(a)CAS登録番号:不明
(b)分子量
分子式:C34H46O6、M.W.:550.73
Rf=0.53(hexane:ethylacetate=80:20)
(d)比旋光度
[α]D 27.1 +12.4°(c.0.465、EtOH)
(e)融点 m.p. 61.5〜62℃
【0074】
▲4▼光学分割剤を脱離させる工程
【0075】
【化22】
【0076】
10mLナス型フラスコに還流冷却管をつけ、ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(104mg、0.188mmo1、1eq)を入れ、ジオキサン/水=4/1(0.37mL、0.51M)の溶液にした。これに、p-TsOH・H2O(96.3mg、0.506mmo1、2.7eq)を加え、75℃に加熱した。6時間後、原料の消失を確認し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)を加え、反応を停止し、室温まで冷却した。エーテル(5mL)で希釈し、水相を分離後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×4mL)で洗浄した。水相をエーテル(2×3mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(2×2mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。吸引ろ過後、溶媒留去し、粗生成物85.7mgを得た。これをカラムクロマトグラフィー(Si02:4.5g、Hexane/AcOEt=100/0)により精製した結果、目的の非天然型(S)−(+)−ムスコン(35.4mg、y.79%)が得られた。
比旋光度は[α]D 20.7+11.2°(c.0.96、MeOH)であった。
【0077】
〔参考例1〕
下記のとおりL−酒石酸ジベンジルエステルの合成を行った。
還流冷却器と、反応によって発生する水を連続的に抜き出すDean-Stark装置を取付けた1Lのフラスコに、葡萄酒発酵の副産物である生酒石から得られたL−(+)−酒石酸を150g、ベンジルアルコールを216g、p−トルエンスルホン酸1水塩を2gおよびトルエン500mLを仕込み、18時間、還流した。
溶媒のトルエンを留去した後、減圧蒸留を行ってL-酒石酸ジベンジルエステル、すなわち(2R,3R)-(-)-酒石酸ジベンジルエステルを得た。沸点250〜270℃/4torr、収率87%、比旋光度〔α〕D 24は−10.2°(c 1.03,CHCl3)であった。(参考文献: Yamamoto, H.; Furuta, K.; Gao,Q.-Z. "Org. Synth. 1998, CV9, 722)
【0078】
以下の実施例5〜15は、天然型(R)−(−)−ムスコンに関する実験例である。
〔実施例5〕
下記のとおり、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(p-TsOH)を用いてラセミ体(±)−ムスコンのジアステレオマー化を行った。
【化23】
【0079】
l00mL ナス型フラスコに(±)−ムスコン (513mg, 2.15mmol, 1eq)と、 参考例1で得られたL−酒石酸ジべンジルエステル(2.07g, 6.27mmo1, 2.9eq)とを入れ、べンゼン(26.5mL)の溶液とした。これにp−トルエンスルホン酸1水和物(p-TsOH)(20.3mg, 0.107mmol, 0.05eq)を加えた。これをDean−Stark水分離器のついた還流冷却管を用いて100℃で67時間還流した。
【0080】
その後、反応物を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。吸引濾過した後、溶媒を留去し粗精製物4.45gを得た。これをヘキサン/エーテル(比率20:1)の混合溶液中に加え、L−酒石酸ジベンジルエステル(1.80g)を回収した。
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、hexane:ethyl acetate=90:10)で精製した結果、(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが184mg,収率l5.5%、31%deで得られた。また、原料ムスコンが274mg回収された。
【0081】
得られたムスコンのアセタール付加体(31%d.e.)のスペクトルデータは下記のとおりであった。
(a) 分子式:C34H46O6; Mw 550.73
(b) Reg.No・unknown
(c) Rf=0.55 (ヘキサン:酢酸エチル=80:20)
(d) lH NMR(CDCl3) δ0.86(bd,3H), 0.98-1.82(m,27H), 4.76(bs,2H), 5.15(bs,4H), 7.29(s,10H)
(e) IR(neat,cm-1) 2929, 1759, 1361, 1265, 1100
(f) MS (EI) m/z 550(M+)
【0082】
〔実施例6〕
下記のとおり、酸触媒としてスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(Sc(OTf)3)を用い、脱水剤としてオルトギ酸メチルを用いてラセミ体である(±)−ムスコンのジアステレオマー化を行った。
【化24】
【0083】
30mLナス型フラスコに、(±)−ムスコン(314mg, 1.32mmol, 1eq)とL−酒石酸ジべンジルエステル(839mg, 2.54mmol, l.9eq)とを入れ、アセトニトリル (1.30mL)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル (0.28mL, 2.52mmo1, 2eq)を加えて攪拌した。
これにSc(OTf)3 (33.9mg, 0.069mmo1, 0.05eq)のアセトニトリル溶液 (0.5mL)を加え、室温で26時間攪拌した。これに水を加え、有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。
飽和食塩水で洗浄後、有機相を無水炭酸水素ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、粗精製物0.693gを得た。
この粗精製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、hexane:ethyl acetate = 95 : 5)により精製した結果、ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが0.670g, 収率92%で得られた。また、原料ムスコンが回収率4.0%で回収された。(参考文献 Ishihara,K.; Karumi,Y.; Kubota,M.; Yamamoto,H.; Synlett 1996, 838-839)
【0084】
〔実施例7〕
下記のとおり、酸触媒としてイッテルビウムトリフルオロメタンスルホナート(Yb(OTf)3)を、脱水剤としてオルトギ酸メチルを用いてラセミ体である(±)−ムスコンのジアステレオマー化を行った。
【化25】
【0085】
フラスコに、(±)−ムスコン(101mg,0.422mmol,1eq)とL−酒石酸ジべンジルエステル(273mg, 0.828mmo1, 2eq)とを入れ、アセトニトリル(0.50mL, 0.84M)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル(0.10mL, 0.914mmo1, 2.2eq)を加え、室温にて攪拌した。
さらにYb(OTf)3(13.0mg, 0.0210mmol, 0.050eq)を加え、これを室温にて26時間攪拌した。
その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、これをエーテルで希薄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、粗精製物0.379gを得た。
これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=95:5)によって精製した結果、白色で固体状のムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが192mg、収率83%で得られた。
【0086】
〔実施例8〕
下記のとおり、酸触媒としてカンファースルホン酸を用い、還流下でラセミ体(±)−ムスコンのジアステレオマー化を行った。
【化26】
【0087】
フラスコに、(±)−ムスコン(210mg, 0.880mmo1, 1eq)とL−酒石酸ジべンジルエステル(837mg, 2.53mmol, 2.88eq)とを入れ、dry-べンゼン(10.5mL)の溶液にした。室温にて攪拌し、DL-カンファースルホン酸・n水和物(11.3mg, 0.055eq)を加え、これに還流冷却管を取り付けて61時間加熱還流した。その後、水を加えて反応を停止した。次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、さらに飽和食塩水で洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して粗精製物1.06gを得た。
この粗精製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=95:5)にて精製した結果、白色で固体状の(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが111mg、収率23%で得られ、そのジアステレオマー過剰率を測定した結果、32%deであった。原料ムスコンが97.5mg、収率46%で回収された。
【0088】
〔実施例9〕
下記のとおり、酸触媒としてスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(Sc(OTf)3)のマイクロカプセル(和光純薬工業製)を、脱水剤としてオルトギ酸メチルを用いてラセミ体である(±)−ムスコンのジアステレオマー化を行った。
【化27】
【0089】
フラスコに、(±)−ムスコン(97.3mg, 0.408mmo1, 1eq)とL−酒石酸ジべンジルエステル(276mg, 0.914mmo1, 2.1eq)とを入れ、アセトニトリル(0.420mL, 0.97M)の溶液にした。これにオルトギ酸メチル(0.10mL, 0.914mmol, 2.2eq)を加え、室温にて攪拌した。
さらにSc(OTf)3のマイクロカプセル(10%-15%)(62.0mg(9.3mg)、0.0189mmol、0.046eq)を加え、これを室温にて26時間攪拌した。
次に、マイクロカプセルを濾別によって除去した。得られた母液を濃縮した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過した後、溶媒を留去し、粗精製物0.346gを得た。
このとき、回収されたSc(OTf)3は65.7mgであり、その回収率は96%であった。
粗精製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=95:5)によって精製した結果、白色で固体状の(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが144mg、収率64%で得られた。生成物の確認は薄層クロマトグラフィー(TLC)により確認した。
原料ムスコンが31.2mg、収率32%で回収された。
【0090】
下記の実施例9及び実施例10では、結晶化により、ジアステレオマー混合物からジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを分離した。
〔実施例10〕
以下のとおりエタノールにより反復再結晶したときのジアステレオマー過剰率(de%)の変化を調べた。
上記反応で得られたムスコンのアセタール付加体(715mg、0.9% de)のエタノールによる反復再結晶を行った。
【化28】
【0091】
〔実施例11〕
ヘキサンにより反復再結晶したときのde(%)の変化を調べた。
(1)再結晶に使用した(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの調製を以下のとおり行った。
フラスコに、ラセミ体(±)−ムスコン(159mg、0.665mmol、leq)と L −酒石酸ジべンジルエステル(206mg、0.624mmo1、0.94eq)とを入れ、アセトニトリル (lmL)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル (0.10mL、0.914 mmol、1.4eq)を加えて攪拌した。これに、Sc(OTf)3 (7.1mg、0.0144mmol、0.07eq)のアセトニトリル溶液 (0.6mL)を加えた。これを室温で攪拌し、さらに、L−酒石酸ジべンジルエステル(60.5mg、0.183mmo1、0.28eq)を加えて23時間攪拌した。
【0092】
反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。有機相は無水炭酸水素ナトリウムで乾燥した。
これを、濾過した後、溶媒を留去し、粗精製物0.406g を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、 hexane:ethyl acetate=95:5)によって精製した結果、(R)−(−)ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが0.245g、収率 67%、11.8%deで得られ、原料ムスコンを回収率20%で回収した。
【0093】
(2)ヘキサンを溶媒とした再結晶化を行った。
下記にヘキサンからの再結晶を反復した場合の収率とde(%)の上昇を示す。冷却結晶析出、濾過分離、乾燥、再溶解の一連の操作を反復して、結晶中の(R)−(−)体のジアステレオマーすなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの割合を増加させることができた。
【化29】
【0094】
(3)3回目の再結晶後のジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(99.1%de)のスペクトルデータは下記のとおりであった。
(a) 分子式:C34H46O6; Mw 550.73
(b) Reg.No.: unknown
(c) Rf=0.55 (ヘキサン:酢酸エチル=80:20)
(d) 比旋光度 〔α〕30 D -12.3 (c 0.995, EtOH)
(e) mp 61.5℃〜62℃
(f) lH NMR(CDCl3) δ0.86(d,3H), 1.00-1.81(m,27H), 4.74(dd,2H), 5.14(dd,4H), 7.28(s,10H)
(g) IR(neat,cm-1) 2929.7, 1759.0, 1361.7, 1265.2, 1100
(h) 13C NMR (22.5MHz, CDCl3) δ169.5, 134.9, 128.4, 118.0, 77.3, 76.6, 67.2, 43, 36, 26.4, 24.8, 22.1, 20.4
(i) MS (EI) m/z 550(M+, 0.2), 507(1), 381(6), 239(0.3), 91(100)
【0095】
(4)再結晶で得られたジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量測定:
反復再結晶による濃縮の実験過程をHPLCで測定した。
【0096】
図3は、再結晶前の固体(11.8%de)のクロマトグラムである。
図4は、3回目の再結晶後の固体(>99%de)のクロマトグラムであり、図5は3回目の再結晶後の濾液から得られたジアステレオマー(44.69% de)のクロマトグラムである。
図3及び図5に示す2本のピークの内、保持時間の短いピークは(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体に該当し、保持時間の短いピークは(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体に該当する。
【0097】
〔実施例12〕
下記のとおり、ムスコンのアセタール付加体すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーをクロマトグラフィーによる精製を行わないで直接結晶化した。
【化30】
【0098】
フラスコに、(±)−ムスコン(2.0g、8.76mmo1、1eq)と L-(−)−酒石酸ジべンジルエステル(3.30g、9.99mmol、1.l4eq)とを入れ、アセトニトリル(5mL)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル(1.10mL、l0.lmmol、l.15eq)を加え、攪拌した。これにSc(OTf)3 (36.8mg、0.0748mmo1、0.008eq)のアセトニトリル溶液(3.6mL)を加えた。
これを室温で攪拌し、さらに、L−酒石酸ジべンジルエステル(0.68eq)、Sc(OTf)3 (10.1mg、0.0205mmol、0,002eq)とオルトギ酸トリメチル(0.29mL、2,63mmo1、0.30eq)を追加して24時間攪拌した。
原料の消失が確認されなかったため、還流を8時間行った。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。
【0099】
有機相を無水炭酸水素ナトリウムで乾燥し、これを吸引濾過した後、溶媒を留去して粗精製物7.39gを得た。
これを、ヘキサンとエーテルとの混合溶液(比率20:1)中に加え、原料のL−酒石酸ジべンジルエステルを除去した。次いで再結晶を行うために、これに、>99% deの天然型ジアステレオマー(=ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート)を種結晶として入れ、密閉し冷蔵庫に静置した。結晶が析出したのを確認し、冷却したエタノールを用いて結晶を洗浄した。
これにより目的のジアステレオマーであるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(0.551g、収率 11%、>99% de)を得ることができた。
【0100】
下記の実施例12、13及び14においては光学分割剤の脱離、すなわちジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートから加水分解により酒石酸ジベンジルエステルを脱離させて天然型ムスコンの回収を行った。
【0101】
〔実施例13〕
本実施例の加水分解では、含水溶媒としてテトラヒドロフラン/水(THF/H2O)を用いた。
フラスコに、99.1% deのジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート (105mg、0.190mmol、1.0 eq)を入れ、これをTHF/H2O(=4/1)(0.40 mL、0.47M)の溶液とし、これにp−トルエンスルホン酸一水和物(115 mg、0.603 mmol、3.2 eq)を加えた後、80℃で24時間還流した結果、原料の消失が確認されたため、室温まで冷却した。
【0102】
反応物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、減圧下で溶媒を留去することで、粗精製物76.9 mgを得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル: 4.4g、hexane/AcOEt = 95/5) によって単離した。
その結果、目的とする天然型(R)−(−)−ムスコン(37.5 mg, y. 83.0%)が得られた。また、同時に、光学分滑剤であるL−酒石酸ジベンジルエステル(18.1 mg、y. 28.9%)が回収された。
【0103】
〔実施例14〕
本実施例の加水分解では、含水溶媒にジオキサン/水を用いた。
下記のとおり含水溶媒として、ジオキサン/水を用いてジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの加水分解、及び天然型(R)−(−)−ムスコンの回収を行った。
【化31】
【0104】
ジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート (99.5mg、0.1818mmo1、leq)をジオキサン/水(比率が4/1;1.4mL,0.13M)の溶液とし室温で攪拌した。これに、p−トルエンスルホン酸一水和物(119mg, 0.626mml, 3.5eq)を加えた。50℃一定まで加温し、8.5時間攪拌した。その後、80℃一定まで加温し、3.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0105】
これを濾過した後、溶媒を留去し、粗精製物71.5mgを得た。
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane:ethyl acetate=80:20)によって単離、精製した結果、目的の(R)−(−)−ムスコンが39.5mg、収率92%で得られた。
【0106】
〔実施例15〕
酒石酸ジベンジルエステルを脱離させる際の酸及び含水溶媒について種々の検討を行ったところ表1に記載の結果であった。
【0107】
【表1】
【0108】
上記の実験結果から溶媒をテトラヒドロフランからジオキサンに替えることによって反応時間の短縮と収率の向上が認められた。また、ジオキサンに比べ、テトラヒドロフランは溶媒価格が安価であり工業的に有利である。
【0109】
以下の実施例16及び実施例17は、非天然型(S)−(+)−ムスコンに関する実験例である。
〔実施例16〕
(1)ラセミ体ムスコンのジアステレオマー化工程
【化32】
【0110】
フラスコに、(±)−ムスコン(200mg、0.839mmol、1eq)とD−酒石酸ジベンジルエステル(557mg、1.68mmol、2.0eq)を入れ、アセトニトリル(0.300mL)の溶液にした。これにオルトギ酸メチル(0.20mL、1.83mmol、2.2eq)を加え、0℃で攪拌した。これにSc(OTf)3(21.4mg、0.0435mmol, 0.052eq)のアセトニトリル溶液(0.540mL)を加え、0℃で40時間攪拌した。これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。
【0111】
有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を留去し、粗精製物0.747gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=95:5)によって精製した結果、常温で白色の固体状である(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体、すなわちジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが109mg、収率24%(32%de)で得られた。また、原料ムスコン131mg、比旋光度〔α〕D 25.9は−1.2°(C 1.02、MeOH)を回収した。
【0112】
(2)再結晶によるジアステレオマーの光学純度の向上
得られた上記生成物について、下記のとおり再結晶を行い、ジアステレオマー過剰率の変化をHPLCにより測定した
【化33】
【0113】
ヘキサンからの再結晶化によりジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートのジアステレオマー過剰率を高めた。1回目の再結晶化後の結晶化物のジアステレオマー過剰率は60.5% de(S)であった。
2回目の再結晶化後の結晶化物(Crystal)のジアステレオマー過剰率は81.8% de(S)であり、そのHPLCクロマトグラムを図7に示す。一方、2回目の再結晶化後の残液(濾液;Filtrate)のジアステレオマー過剰率は9.93% de(S)であった。
HPLCによる分析条件はいずれも下記のとおりである。
カラム Chiral Cell OD
展開溶媒 hexane/ethanol = 300:1
流 速 0.8ml/min, 3μl
検 出(UV波長) 254nm
【0114】
(4)光学分割剤の脱離
【化34】
【0115】
フラスコに、ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート(104mg、0.188mmol、1eq)を入れ、ジオキサン/水=4/1(0.37mL、0.51M)を加えて溶液とした。これにp-TsOH・H2O(96.3mg、0.506mmol、2.7eq)を加え、75℃で6時間加熱した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。
溶媒留去後、粗精製物85.7mgを得た。これをカラムトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=100:0)により単離精製した結果、目的の非天然型(S)−(+)−ムスコン(35.4mg、y.79%)を得た。比旋光度〔α〕D 20.7は+11.2°(C 0.96、MeOH)であった。
【0116】
〔実施例17〕
(1)ラセミ体ムスコンのジアステレオマー化
【化35】
【0117】
フラスコに、(±)ムスコン(254mg、1.06mmo1、 1.0eq)とD−酒石酸ジべンジルエステル(647mg、1.96mmo1、1.8eq)とを入れ、アセトニトリル(1.05mL、1M)の溶液にした。これにオルトギ酸トリメチル(0.250mL、2.29mmo1、2.2eq)を加え、室温にて攪拌した。これに、さらにSc(OTf)3(25.9mg、0.0526mmo1、0.05eq)を加えて2時間攪拌した。
【0118】
反応後、有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
これを、濾過した後、溶媒を留去し、粗精製物0.911gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、Hexane/AcOEt=95:5)により精製した結果、無色透明で粘性を有する液体である(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体、すなわちジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーが544mg、 収率93%、ジアステレオマー過剰率2.78% deで得られた。
これを冷凍保存することにより白色の粘性を有する固体となった。生成物の確認はTLCおよびHPLCにより確認した。
【0119】
(2)再結晶化
ジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの再結晶化によるジアステレオマー過剰率の変化(HPLCにより測定)を以下に示す。
【0120】
【化36】
【0121】
再結晶化によりジアシテレオマー混合物中のジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートのジアステレオマー過剰率を高めた。1回目の再結晶化後の結晶物のジアステレオマー過剰率は10.7% de(S)であった。
2回目の再結晶化後の結晶化物(Crystal)のジアステレオマー過剰率は23.4% de(S)であり、3回目の再結晶化後の結晶化物(Crystal)のジアステレオマー過剰率は68.6% de(S)であった。そして4回目の再結晶化後の結晶化物(Crystal)のジアステレオマー過剰率は>99%de(S)であった。そのHPLCクロマトグラムを図8に示す。
一方、4回目の再結晶化後の濾液(Filtrate)のジアステレオマー過剰率は41.51% de(S)であり、そのHPLCクロマトグラムを図9に示す。
【0122】
上記のHPLCによる分析条件はいずれも下記のとおりである。
カラム Chiral Cell OD
展開溶媒 hexane/ethanol = 300:1
流 速 0.8ml/min, 3μl
検 出(UV波長) 254nm
【0123】
【発明の効果】
〔1〕ラセミ体ムスコンに、L−酒石酸ジベンジルエステルを反応させジアステレオマー化して得られる(R)ムスコン−(L)酒石酸付加物は、同時に生成するそれのジアステレオマーである(S)ムスコン−(L)酒石酸付加物よりも溶媒、例えばヘキサンやエタノール、に対する溶解性が低く結晶化し易いので濾過等によって簡便かつ効率的に分離することができ、ラセミ体ムスコンから天然型の(R)−(−)ムスコンを光学分割するに際して極めて有用である。
【0124】
一方、ラセミ体ムスコンに、D−酒石酸ジベンジルエステルを反応させジアステレオマー化して得られる(S)ムスコン−(D)酒石酸付加物は、同時に生成されるそれのジアステレオマーである(R)ムスコン−(D)酒石酸付加物よりも溶媒、例えばヘキサンやエタノール、に対する溶解性が低く結晶化し易いので濾過等によって簡便かつ効率的に分離することができ、ラセミ体ムスコンから非天然型の(S)−(+)ムスコンを光学分割するに際して極めて有用である。
【0125】
〔2〕本発明のラセミ体ムスコンの光学分割方法によれば、酒石酸ジベンジルエステルを反応させて生成するジアステレオマー混合物において、一方のジアステレオマーと他方のジアステレオマーとは溶媒に対する溶解性に大きな差異があるので、一方を優先的に結晶化させて工業生産に適した分離手段である濾過や遠心分離等を適用することにより、結晶の分別が可能となる。また、結晶化操作も常温で可能であり、その際用いる溶媒も入手し易いものなので少エネルギー型で経済性に優れる。
従って、従来用いられているクロマトグラフィーによる光学分割法に比べて非常に経済的で工業上有利な方法であり、極めて希少価値の高い(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンを大量生産して市場に安価かつ安定的に供給することができる。
【0126】
〔3〕得られる結晶は濾過時の抵抗も少ないので濾過を容易に行うことができる。従って、光学純度を高めるための再結晶操作も容易であり、再結晶を反復して行い、極めて高純度の(R)−(−)−ムスコン又は(S)−(+)−ムスコンを得ることができる。
また、L−(−)−酒石酸ジベンジルエステルを用いて(R)−(−)−ムスコンを結晶化させ分離した残液には、当然(S)−(+)−ムスコンのジアステレオマー誘導体が多くを占めている。(S)−(+)−ムスコンのジアステレオマー誘導体が高濃度で含まれる母液の再ラセミ化反応(異性化)は簡単には進行しないため、この溶液はそのまま、別種の新規のムスコン誘導体として、香料業界等にて使用が可能となるという利点もある。
【0127】
さらに、(S)−(+)−ムスコンのジアステレオマー誘導体から酒石酸ジベンジルエステルを酸性条件下での加水分解で脱離させれば(S)−(+)−ムスコンを得ることができる。
なお、こうした利点は、D−酒石酸ジベンジルエステルを用いてラセミ体ムスコンから(S)−(+)−ムスコンを分離した場合も同様である。
また、脱離後、回収された光学分割剤のL−酒石酸ジベンジルエステル、又はD−酒石酸ジベンジルエステルは、繰り返し再使用が可能であるのでこの点においても経済的である。
【0128】
〔4〕希少価値の高い天然型ムスコンを香料業界等に安価且つ安定的に供給することができれば、希少動物であるジャコウ鹿の保護にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3における再結晶2回目の結晶と母液のHPLCのクロマトグラムである。
【図2】実施例4における再結晶1回目の結晶と母液のHPLCのクロマトグラムである。
【図3】実施例11で得られた天然型(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体の再結晶前の結晶物(Crystal; 11.8% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図4】実施例11で得られた天然型(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体の3回目の再結晶後の結晶物(Crystal; >99% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図5】実施例11で得られた天然型(R)−(−)−ムスコンのアセタール付加体の3回目の再結晶後の濾液(44.69% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図6】実施例16で得られた非天然型(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体の再結晶前の結晶物(Crystal; 32.03% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図7】実施例16で得られた非天然型(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体の2回目の再結晶後の結晶物(Crystal; 81.78% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図8】実施例17で得られた非天然型(S)−(+)−ムスコンのアセタール付加体の4回目の再結晶後の結晶(Crystal; >99% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
【図9】実施例17で得られた非天然型(S)−(+)−ムスコンのアセタール体の4回目の再結晶後の濾液(Filtrate; 41.51% de)のHPLCによるクロマトグラムである。
Claims (17)
- (R)−(−)体と(S)−(+)体とからなるラセミ体(±)−ムスコンと、L−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてアセタール結合を生成させることを特徴とするジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの調製方法。
- (R)−(−)体と(S)−(+)体とからなるラセミ体(±)ムスコンと、D−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下及び脱水条件下で反応させてアセタール結合を生成させることを特徴とするジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーの調製方法。
- 酸性触媒が、有機スルホン酸、又は希土類金属トリフルオロメタンスルホナートから選ばれる触媒であることを特徴とする請求項3又は4記載の調製方法。
- 有機スルホン酸が、カンファースルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項5記載の調製方法。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートが、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート又はイッテルビウムトリフルオロメタンスルホナートであることを特徴とする請求項5記載の調製方法。
- 脱水条件が、脱水剤の使用であることを特徴とする請求項3又は4記載の調製方法。
- 脱水剤が、オルトギ酸トリメチルであることを特徴とする請求項8記載の調製方法。
- 不活性溶媒が、疎水性溶媒であることを特徴とする請求項3又は4記載の調製方法。
- 疎水性溶媒が、アセトニトリルであることを特徴とする請求項10記載の調製方法。
- 下記の第1〜第3工程から成ることを特徴とする(±)−ムスコンラセミ体から(R)−(−)−ムスコンを光学分割する方法。
〔第1工程〕 (±)−ムスコンと、L−酒石酸ジベンジルエステルとを、不活性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてジベンジル(2R,3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーを生成させる工程、
〔第2工程〕 溶媒中で、第1工程で生成されたジアステレオマー混合物を、それに含まれるジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの融点未満の温度条件に保持して当該ジカルボキシラートを優先的に結晶化させて分離する工程、
〔第3工程〕 酸性条件下かつ含水溶媒中で、第2工程で分離したジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートから酒石酸ジベンジルエステルを脱離させて(R)−(−)−ムスコンを生成させる工程。 - 下記の第1〜第3工程から成ることを特徴とする(±)−ムスコンラセミ体から(S)−(+)−ムスコンを光学分割する方法。
〔第1工程〕(±)−ムスコンと、D−酒石酸ジベンジルエステルとを、疎水性溶媒中で、酸性触媒の存在下かつ脱水条件下で反応させてジベンジル(2S,3S,7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート及びそのジアステレオマーを生成させる工程、
〔第2工程〕 溶媒中で、第1工程で生成されたジアステレオマー混合物を、それに含まれるジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートの融点未満の温度条件に保持して当該ジカルボキシラートを優先的に結晶化させて分離する工程、
〔第3工程〕 酸性条件下かつ含水溶媒中で、第2工程で分離したジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートから酒石酸ジベンジルエステルを脱離させて(S)−(+)−ムスコンを生成させる工程。 - クロマトグラフィーを用いて、第1工程で生成されたジアステレオマー混合物から不純物を除去した後、第2工程を行うことを特徴とする請求項12又は13記載の方法。
- 第2工程で使用する溶媒が、ヘキサン又はエタノールであることを特徴とする請求項12又は13記載の方法。
- 第2工程で結晶化させて分離したジベンジル(2R, 3R, 7R)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラート、又はジベンジル(2S, 3S, 7S)−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.14]ノナデカン−2,3−ジカルボキシラートを、少なくとも1回、再結晶させて光学純度を高めた後、第3工程を行うことを特徴とする請求項12又は13記載の方法。
- 第3工程における含水溶媒が、ジオキサンと水の混合溶媒、又はテトラヒドロフランと水の混合溶媒であることを特徴とする請求項12又は請求項13記載の方法。
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