JP4436476B2 - 枚葉印刷機の刷版着脱機構 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は枚葉印刷機の刷版着脱機構とその着脱方法に関するが、詳しくは咬え側カム軸を回動させて咬え側上歯及び咬え側下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを回動かつ移動させて版張り部とを夫々装着してなる枚葉印刷機の刷版着脱機構とその着脱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
枚葉印刷機では、ある種類の印刷物が終了し次の印刷物を印刷する場合、版胴に装着されている版を交換する必要がある。この版交換は従来の枚葉印刷機では手作業の場合が多い。従来の版締め機構としては、図8に示すように版を取り付けるための咬え側版締め部21及び尻側版締め部27と、版胴Aに取り付けた版を張るための版張り部とを主要構成要素としている。咬え側版締め部21は、咬え側下歯22と咬え側上歯23とがあり、その間に咬え側弾発ばね26及び咬え側カム軸24が挿入されている。一方、尻側版締め部27は、尻側下歯28と尻側上歯29との間に尻側弾発バネ32及び尻側カム軸30が挿入されている。
【0003】
このように構成されている従来の手動式版締め機構は、咬え側カム軸の軸方向の中央部に設けられた工具掛部と、尻側カム軸の工具掛部とに工具を掛けて手動操作により咬え及び尻側カム軸を回動させて行なうように構成されているので、版の交換が手作業であるために長時間必要として枚葉印刷機の稼働率を向上させることができず、しかも版交換作業の中で版締めと版張作業が狭い場所で行なうために作業姿勢も悪く危険な作業であった。
【0004】
そこで、本願出願人が開発して公示されている版締め装置(特公平6−98746号)がある。この装置は、版胴に設けられた凹部内に、咬え側カム軸を回転させて咬え側上歯及び下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び下歯にて前記版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを回動させることにより移動させる版張り部とを夫々装着してなる枚葉印刷機の版締め装置において、前記咬え及び尻側カム軸に前記版胴の端面から外側に位置させて設けた咬え及び尻側カムフォロアと、該両カムフォロア近傍の前記版胴の回転軸に回動自在に設けかつ前記版胴に設けた係合体により版胴と一体に回動する動力伝達体と、該動力伝達体に固着し溝に前記両カムフォロアを通過させることで前記咬え及び尻側カム軸を版の咬え側又は放し側に回転させる溝カムと、前記係合体の係合力を超えて前記動力伝達体を回動させる駆動部とからなることを特徴とする版締め装置である。この従来装置においては、刷版の尻側はいちいち人の手でもって挿入しなければならず、操作上においても問題があるばかりか作業効率上においても課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の版締め装置に改良を加えて、従来の問題点を解決しようとするところに本発明が解決しようとする課題を有する。
【0006】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、版胴に着脱させる刷版を使用し、咥え側カム軸を回動させて咥え側上歯及び咥え側下歯にて刷版を咥え若しくは放す咥え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて刷版を咥え若しくは放す尻側版締め部とを有し、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを作動させて刷版を版胴に着脱させる枚葉印刷機の刷版着脱機構において、前記尻側版締め部の尻側上歯と尻側下歯とを、その尻側上歯と尻側下歯との合わせ面に対して傾斜するように尻側球面ボルトで締着し、尻側上歯角度の自在調整により、版尻を尻側版締め部に対して自動的に着脱可能にしたことを特徴とする枚葉印刷機の刷版着脱機構の提供にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実態形態は、咬え側版締め部と尻側版締め部とから構成される枚葉印刷機の版締め方法において、刷版の咬え定位置で刷版を咬え側の版万力に差し込みかつ締着する工程と、版胴とブラン胴とに印圧を加えかつ機械本体を回転させて版胴に刷版を密着させる工程と、刷版の版尻定位置で機械本体を停止させかつ印圧により刷版の版尻を尻側の刷万力へ自然に挿入する工程と、前記挿入の尻側版万力を締め付けて自動的に版張する工程とからなる刷版取付け方法であり、また咬え側版締め部と尻側版締め部とから構成される枚葉印刷機の版締め方法において、刷版の取り外し定位置で版張りを緩めて尻側及び咬側の版万力を自動的に緩めかつ刷版の反力により自然に刷版が尻側版万力から外れる工程と、機械本体を逆転させて版抜取り定位置で停止させ刷反を抜き取る工程とからなる刷版取外し方法であるから、従来の方法による問題点を解決すると共に優れた方法といえる。
【0009】
また本発明の実施形態は、咬え側カム軸を回動させて咬え側上歯及び咬え側下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを回動かつ移動させて版張り部とを夫々装着してなる枚葉印刷機の版締め機構において、前記尻側版締め部の尻側上歯と尻側下歯とが尻側球面ボルトで締着し、該尻側球面ボルトの支点を変えて尻側上歯角度の自在調整により版尻を自動的に締着かつ解放可能にした刷版着脱機構であり、また咬え側カム軸を回動させて咬え側上歯及び咬え側下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り若しくは締め側に版張りカムを回動かつ移動させて版張り部とを装着してなる枚葉印刷機の版締め機構において、前記咬え側版締め部の版胴に刷版を咬え側の版万力に押入して締着して版胴とブラン胴間に印圧を加え、更に機械本体を回転させて版胴に刷版を密着させて版尻の定位置で停止させて印圧により自然に刷版の版尻を尻側の版万力に自動的に挿入かつ版張し、一方取り外しの定位置で版張りを緩めると共に尻側と咬え側の版万力を自動的に緩めて刷版の反力により版尻が自然に尻側の版万力から取り外され、更に機械本体を逆転させて版抜き取りの定位置で停止させて刷版を抜き取る刷版抜取り機構であるから、従来の機構よりも簡単容易に版締め操作が可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、図面に従って本発明の実施例について説明する。
図1から図5は、本発明からなる枚葉印刷機の版締め機構を示したものである。図中、1は咬え側版締め部、2は咬え側上歯、3は咬え側下歯、4は咬え側カム軸、5は咬え側球面ボルト、6は咬え側弾発ばね、7は尻側版締め部、8は尻側上歯、9は尻側下歯、10は尻側カム軸、11は尻側球面ボルト、12は尻側弾発ばねは、Aは版胴である。
【0011】
本図からも明らかなように、本発明の基本的な構造は図8に示すような従来の版締め装置と同じであるから、基本的な機構については従来技術のところで述べているので、ここでは図8の従来機構と相異するところを説明する。まず、根本的に異る点は、図1に示すように尻側版締め部の尻側球面ボルトの配設にある。従来の尻側球面ボルト31は、尻側上歯28と尻側下歯29とがほぼ垂直状に締着されているのに対して(図8参照)、本発明の尻側球面ボルト11は傾斜状に締着されている。従って、この尻側球面ボルト11の傾斜角を調整して尻側上歯8を尻側下歯9に締め付けることによって、尻側上歯8の角度を自在にセットすることができる。その結果、尻側弾発ばね12を介して尻側上歯8の上下移動が自在となる。この尻側上歯8によって、図2〜図5に示すように版胴Aに版を自動かつ自然に着脱をさせることができる。
【0012】
次に、図6と図7によって本発明機構による版締め方法を説明する。図中、Aは版胴、Bはブラン胴、Cは圧胴、Pは刷版、Sは版胴の咬え側版万力、Wは版胴胴Aの尻側版万力である。まず、図6は版胴に版を取り付ける方法を示したものであり、▲1▼版胴Aの咬え側の定位置で刷版Pを咬側版万力に差し込み自動的に咬側版万力を締め付ける、▲2▼ついで版胴Aとブラン胴Bとの間に印圧(図6(b)の矢印方向)を加えてると共に機械本体を回転させて版胴Aに刷版Pを密着させる、▲3▼更に版胴Aの版尻の定位置で機械本体を停止させた後に印圧(図6(b)の矢印方向)により刷版の版尻は自然(スムーズ)に尻側版万力Wに挿入される、▲4▼そして尻側版万力Wを締め付ければ自動的に版張を行なうことができる。
【0013】
一方、図7は版胴Aから刷版Pを取り外す方法を示したものであり、▲1▼版胴Aの尻側の取り外しの定位置で版張りを締めると共に尻側版万力Wと咬え側版万力Sを自動的に緩める、▲2▼その状態にすれば刷版の反力により版尻が自然(スムーズ)に尻側版万力Wから外ずれる、▲3▼その後は機械本体を逆転させて版抜き取りの定位置で停止させて刷版Pを版胴Aから抜き取ることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、咬え側版締め部と尻側版締め部とから構成される枚葉印刷機の版締め方法において、刷版の咬え定位置で刷版を咬え側の版万力に差し込みかつ締着する工程と、版胴とブラン胴とに印圧を加えかつ機械本体を回転させて版胴に刷版を密着させる工程と、刷版の版尻定位置で機械本体を停止させかつ印圧により刷版の版尻を尻側の刷万力へ自然に挿入する工程と、前記挿入の尻側版万力を締め付けて自動的に版張する工程とからなることを特徴とする枚葉印刷機の版締め方法であり、また咬え側版締め部と尻側版締め部とから構成される枚葉印刷機の刷版取付け方法において、刷版の取り外し定位置で版張りを緩めて尻側及び咬側の版万力を自動的に緩めかつ刷版の反力により自然に刷版が尻側版万力から外れる工程と、機械本体を逆転させて版抜取り定位置で停止させ刷版を抜き取る工程とからなる刷版取外し方法であり、更に咬え側カム軸を回動させて咬え側上歯及び咬え側下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び下歯にて版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを回動かつ移動させて版張り部とを夫々装着してなる枚葉印刷機の版締め機構において、前記尻側版締め部の尻側上歯と尻側下歯とが尻側球面ボルトで締着し、該尻側球面ボルトの支点を変えて尻側上歯角度の自在調整により版尻を自動的に締着かつ解放可能にした刷版着脱機構であり、また咬え側カム軸を回動させて咬え側上歯及び咬え側下歯にて版を咬え若しくは放す咬え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて版を咬え若しくは放す尻側版締め部と、該尻側版締め部を張り側若しくは締め側に版張りカムを回動かつ移動させて版張り部とを装着してなる枚葉印刷機の版締め機構において、前記咬え側版締め部の版胴に刷版を咬え側の版万力に挿入して締着して版胴とブラン胴間に印圧を加え、更に機械本体を回転させて版胴に刷版を密着させて版尻の定位置で停止させて印圧により自然に刷版の版尻を尻側の版万力に自動的に挿入かつ版張し、一方取り外しの定位置で版張りを緩めると共に尻側と咬え側の版万力を自動的に緩めて刷版の反力により版尻が自然に尻側の版万力から取り外され、更に機械本体を逆転させて版抜き取りの定位置で停止させて刷版を抜き取る刷版抜取り機構であるから、従来の版締め装置では困難若しくは不可能とされていた版尻を自動でしかも自然な状態でスムーズに締め付けて固着することができると共に緩めて解放することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明から構成される枚葉印刷機の版締め機構を示した一部拡大断面図。
【図2】図1に示した本発明機構による版締め作動説明図。
【図3】図1に示した本発明機構による版締め作動説明図。
【図4】図1に示した本発明機構による版締め作動説明図。
【図5】図1に示した本発明機構による版締め作動説明図。
【図6】本発明からなる枚葉印刷機の版締め方法を示した説明概要図。
【図7】本発明からなる枚葉印刷機の版締め方法を示した説明概要図。
【図8】従来の枚葉印刷機における版締め機構を示した図1との対比図。
【符号の説明】
1、21 咬え側締め部 2、22 咬え側上歯
3、33 咬え側下歯 4、24 咬え側カム軸
5、25 咬え側球面ボルト 6、26 咬え側弾発ばね
7、27 尻側版締め部 8、28 尻側上歯
9、29 尻側下歯 10、30 尻側カム軸
11、31 尻側球面ボルト 12、32 尻側弾発ばね
A 版胴 B ブラシ胴 C 圧胴 P版板
S 咬え側版万力 W 尻側版万力
Claims (1)
- 版胴に着脱させる刷版を使用し、咥え側カム軸を回動させて咥え側上歯及び咥え側下歯にて刷版を咥え若しくは放す咥え側版締め部と、尻側カム軸を回動させて尻側上歯及び尻側下歯にて刷版を咥え若しくは放す尻側版締め部とを有し、該尻側版締め部を張り側若しくは緩め側に版張りカムを作動させて刷版を版胴に着脱させる枚葉印刷機の刷版着脱機構において、
前記尻側版締め部の尻側上歯と尻側下歯とを、その尻側上歯と尻側下歯との合わせ面に対して傾斜するように尻側球面ボルトで締着し、尻側上歯角度の自在調整により、版尻を尻側版締め部に対して自動的に着脱可能にしたことを特徴とする枚葉印刷機の刷版着脱機構。
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