JP4436225B2 - 疲労特性に優れた高強度機械部品およびその疲労特性向上方法 - Google Patents
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Description
具体的には、曲率半径が25mm以下の切欠き部を有し、さらに表面HV硬度が250以上である疲労特性に優れた高強度機械部品および疲労特性向上方法に関する。
しかしながら、機械部品の高強度化は実現できても疲労特性が機械部品の強度の増加に応じて向上しない場合がある。特に切欠き部を有する機械部品では、高強度化を図っても疲労強度の向上効果が少ない。これは、切欠き部に応力が集中するためである。
一般に疲労強度を増加する手段として、非特許文献1に記載されているように、高周波焼入れ、浸炭、窒化、浸炭窒化、タフトライド処理などの表面硬化処理、ショットピーニングや表面ロール加工処理、等がある。しかしながら、曲率半径が小さな切欠き部がある機械部品では、上記のような疲労強度の増加手段では限界があり、大幅な疲労特性の向上は実現できないと言う課題があった。
ロール加工法は、ピン/フランジ、ジャーナル/フランジの境目をフィレットロールにより冷間加工し強度を向上する技術である。従来技術として、例えば、特許文献1では、引張応力のかかる部分の曲率半径を大きくして応力集中を緩和する技術が、また、特許文献2ではフレット部の軸径の減少を抑えて結果として応力集中を緩和する技術が紹介されている。
一方、高周波焼き入れ法は、ピン、ジャーナル部およびピン/フランジ、ジャーナル/フランジ境界のフィレット部の表面を高周波焼き入れによりマルテンサイト化して強度を高める技術である。従来技術として、例えば、特許文献3では焼き割れが生じにくい高周波焼入方法と装置が紹介されている。
「金属材料疲労設計便覧」(日本材料学会編集、養賢堂、昭和56年8月20日、第2版発行)95〜105頁
(1)質量%で、C:0.1〜1.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼材で構成され、曲率半径が25mm以下の切欠き部を有する機械部品であって、前記鋼材表面のHV硬度が250以上であり、かつ、前記切欠き部表層の圧縮残留応力が−300〜−1500MPaであり、前記切欠き部表層からの深さが少なくとも30μm以内の領域において、結晶粒の長軸方向と短軸方向の長さの比であるアスペクト比が1.5以上であることを特徴とする疲労特性に優れた高強度機械部品。
(2)(1)に記載の高強度機械部品の切欠き部を超音波振動子により打撃して圧縮残留応力を付与する高強度機械部品の疲労特性向上方法であって、
前記超音波振動子の機械部品に対する硬度比:1.1以上、超音波振動子の振動数:10〜60kHz、超音波の出力:500〜5000W、超音波振動子の切欠き部への押し付け力:10〜1000Nの条件で、前記高強度機械部品の切欠き部に超音波打撃処理を施すことを特徴とする高強度機械部品の疲労特性向上方法。
まず、本発明の対象とする鋼材の成分の限定理由について述べる。
Cは機械部品の強度を確保する上で必須の元素であるが、0.1%未満では本発明で目的とするHV硬度が250以上を得ることが困難であり、一方1.2%を越えると機械部品の延性が低下するため、0.1〜1.2%の範囲に制限した。
Si、Mn、Cr、Mo、Ni等の合金元素は、各種機械部品の熱処理条件、用途等に応じて添加しても差し支えがない。好ましい範囲は、Si:0.01〜2%、Mn:0.2〜2%、Cr:0.05〜2%、Mo:0.05〜3%、Ni:0.05〜2%、Cu:0.05〜1%、B:0.0003〜0.005%である。更に、Al、Ti、Nb、Vの好ましい範囲は、いずれの元素も0.002〜0.5%の範囲である。また、P、Sの好ましい範囲は、P:0.015%以下、S:0.05%以下である。
なお、本発明は、高強度機械部品に用いる鋼材の組織や処理工程は問わず、フェライト-パ−ライト鋼、ベイナイト鋼、マルテンサイト鋼など、いずれの組織の鋼材にも適用できるうえ、熱間鍛造後に切削され、浸炭処理、高周波焼入れ、焼入れやき戻し処理などが施される場合に広く適用できる。
次に、超音波打撃処理の条件について説明する。本発明では、機械部品の仕様に応じて熱間鍛造、冷間鍛造、各種の機械加工や焼入れ・焼戻し処理、浸炭処理、高周波焼入れ処理などの各種工程を経て最終の機械部品に仕上げた後、最後に切欠き部に超音波打撃処理を行うものである。
1)超音波打撃処理による圧縮残留応力はショットピーニングよりも高い
2)超音波打撃処理による圧縮残留応力はショットピーニングよりも鋼材内部まで付与されている
3)超音波打撃処理の部位は塑性変形されており、疲労特性が向上する
4)超音波打撃処理による表面粗さがショットピーニングよりも小さい
ことに起因すると推定される。
表1に示す化学成分の鋼材を用いて、熱間鍛造で図1に示すような丸棒形状の部品(シャフト)を製造した。熱間鍛造温度は1200℃である。その後、機械加工で図1に示す切欠きを有する機械部品に仕上げた。更に、これらの機械部品を用いて焼入れ・焼戻し処理、高周波加熱処理、浸炭処理を行い、表面のHV硬度を測定した。焼入れ・焼戻し処理は、焼入れ温度:850〜950℃、焼戻し温度:180〜650℃の条件で行った。高周波加熱処理は、950℃に加熱後、焼入れ処理を行い、その後150℃で焼戻し処理を行った。浸炭処理は、浸炭温度が950℃、焼戻し温度が160℃の条件で行った。また、最終的に切欠き部に超音波打撃処理を施した。超音波打撃処理後に切欠き部の残留応力はX線法で測定した。結晶粒のアスペクト比は、切欠き部の表層から30μmの領域を500倍の光学顕微鏡で10視野以上を観察することにより求めた。機械部品の疲労強度(107サイクル)は回転曲げ疲労試験で調査した。上記の製造条件、測定結果を表2に示す。
これに対して、比較例である試験No.1、4、6、8、11、14、17、19、22、24、27、30、33、35は、いずれも機械部品製造後に切欠き部の残留応力制御の処理を施さなかった場合である。圧縮残留応力が低いか、あるいは引張残留応力になっているため、いずれも疲労強度が本発明例よりも低い例である。
比較例である試験No.10、13、26、29、38は、いずれも超音波打撃処理の条件が不適切な例である。即ち、No.10は超音波振動子と機械部品の硬度比が低いために、No.13は超音波振動子の振動数が低いために、No.26は超音波振動子の切欠き部への押し付け力が低すぎるために、No.29は硬度比および超音波振動子の振動数が低いために、No.38は超音波出力が低いために、いずれも切欠き部の圧縮残留応力値が低く、疲労強度の向上効果が少なかった例である。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.1〜1.2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼材で構成され、曲率半径が25mm以下の切欠き部を有する機械部品であって、前記鋼材表面のHV硬度が250以上であり、かつ、前記切欠き部表層の圧縮残留応力が−300〜−1500MPaであり、前記切欠き部表層からの深さが少なくとも30μm以内の領域において、結晶粒の長軸方向と短軸方向の長さの比であるアスペクト比が1.5以上であることを特徴とする疲労特性に優れた高強度機械部品。
- 請求項1に記載の高強度機械部品の切欠き部を超音波振動子により打撃して圧縮残留応力を付与する高強度機械部品の疲労特性向上方法であって、前記超音波振動子の機械部品に対する硬度比:1.1以上、超音波振動子の振動数:10〜60kHz、超音波の出力:500〜5000W、超音波振動子の切欠き部への押し付け力:10〜1000Nの条件で、前記高強度機械部品の切欠き部に超音波打撃処理を施すことを特徴とする高強度機械部品の疲労特性向上方法。
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