JP4434364B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、二輪自動車用空気入りタイヤに関し、特に、ウエット路面における優れた排水性と、ドライ及びウエット両路面における低騒音性とを両立させた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二輪自動車用及び四輪自動車用空気入りタイヤ、特に、二輪自動車用空気入りラジアルタイヤには、ウエット路面での良好な排水性と、ドライ路面走行時の低騒音性とが要求される。特に、高速走行時には、安全性の面で高度に優れた排水性を有し、そして、環境保全の面で騒音レベルはできる限り低いタイヤが要求される。
【0003】
これらの二つの要求性能は、四輪自動車用、特に乗用車用空気入りタイヤでは相当に充足されているが未だ十分とは言えない。これが二輪自動車用空気入りタイヤとなると、殆ど充足されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
優れた排水性と低騒音性とは、トレッドパターンに主として依存する。現在の二輪自動車用タイヤのトレッドパターン例を図6に示す。図6に示すトレッドパターン8Aは、回転方向指定の2本の主溝20と、八の字状の副溝21とを備える。しかし、これらの溝配列は、ウエット路面走行時の排水性は特に悪くはないが、走行時に大きなレベルの騒音を発生する。騒音はパターンノイズとロードノイズとに大別されるが、図6の例ではパターンノイズが支配的である。
【0005】
低騒音化を図るには、極端に言えば溝部分を無くしスリックタイヤとすればよく、そこまでゆかずとも、溝部分を大幅に減らせばよい。しかし、これらの手段を講じると、排水性が大幅に低下する。一方、良好な排水性を発揮させるため、トレッド部に占める溝部分の割合(ネガティブ比)を増加させると、騒音レベルが増加する。両性能は、いわば二律背反の関係にある。
【0006】
従って、この出願の請求項1〜11に記載した発明は、上記の二律背反の関係を排除し、ネガティブ比を従来タイヤと同等とした上で、ウエット路面上での排水性を損なうことなく、優れた低騒音性を発揮させる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この出願の請求項1に記載した発明は、トレッド部と、トレッド部両側に連なる一対のサイドウォール部及び一対のビード部とを、ビード部内に埋設するビードコア相互間にわたり補強する1プライ以上のカーカスと、カーカスの外周に配設したベルトと、タイヤ赤道面上における踏面全周長さの20〜35%の範囲内を1ピッチ長にもつ主溝配列を有する、回転方向指定のトレッドパターンとを備える二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
トレッドパターンは、各1ピッチ内に、トレッド周方向に縦長に延びて、それぞれのトレッド部端に開口する、折れ曲がり角に面取り部を有する1本のZ字状主溝と、該主溝から離隔してトレッド周方向に縦長に延びて、それぞれのトレッド部端に開口する1本のS字状主溝とのそれぞれを有し、
各主溝は、タイヤ赤道面に対し鋭角に延びる傾斜中央溝部を有し、各主溝の傾斜中央溝部は、その溝幅中央を連ねる線が、タイヤ赤道面から踏面展開幅の半幅の0.35倍までの領域にて、タイヤ赤道面に対し、3〜30度の範囲内の傾斜角度を有するとともに、
各主種溝は、1本の第一の分岐枝溝と、2本の第二の分岐枝溝とを備え、第一の分岐枝溝は、傾斜中央溝部の長さ方向中間の分岐位置から、指定回転方向とは逆方向にトレッド部端に閉口するまで延び、各第二の分岐枝溝は、各傾斜中央溝部端部の分岐位置から指定回転方向とは逆に、タイヤ赤道面を横切ってトレッド部端に開口するまで延びることを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤである。
【0008】
請求項1に記載した発明に関し、実際上は、請求項2に記載した発明のように、Z字状主溝とS字状主溝とは、同じ1ピッチ内でそれぞれ1/2ピッチの領域に位置することが好ましい。
【0009】
請求項1もしくは2に記載した発明の主溝に関しては、請求項3に記載した発明のように、Z字状主溝とS字状主溝とのそれぞれは、傾斜中央溝部両端部から各トレッド部端に向け、一方の端部からはタイヤ赤道面に対する傾斜角度を増しながら延びて、他方の端部からは上記傾斜角度を増しながら延びた後、向きを反転させて延びて、各トレッド部端に開口する折れ曲がり横方向溝部を有するものとすることが好ましい。
【0010】
また、請求項1〜3のいずれかに記載した発明の主溝に関し、請求項4に記載した発明のように、Z字状主溝とS字状主溝とは、踏面展開図上において、タイヤ赤道面上の直線に関し、実質上、線対称な図形を同じ1ピッチ内で相互に1/2ピッチずらした図形を有するものとすることが好ましい。
【0013】
請求項1〜4のいずれかに記載した発明に関連して、請求項5に記載した発明のように、上記各分岐枝溝は、分岐位置近傍にて、指定タイヤ回転方向に向かい凸状陸部を形成し、該凸状陸部の頂点は、タイヤ赤道面から、踏面展開幅の半幅の0.08倍以上離れて位置させることが好ましい。
【0014】
請求項5に記載した発明に関連して、請求項6に記載した発明のように、最大負荷能力の40〜65%に相当する荷重を負荷し、最大負荷能力に対応する空気圧充てん下で、上記凸状陸部を形成する各分岐枝溝は、タイヤのフットプリント内に1〜2個の範囲内で分岐枝溝部分が存在する配置に成るものとすることが好ましい。
【0015】
ここに、JATMA、TRA及びETRTO(いずれも1999年版)を適用規格とし、最大負荷能力と、最大負荷能力に対応する空気圧はこれら規格に記載した値を用いる。また、タイヤ組付けリムには、上記規格の該当タイヤ種類に記載した適用リムのうちの標準リムを用いる。フットプリントはタイヤを平板に垂直に押し当てて得る。
【0016】
請求項1〜6のいずれかに記載した発明に関し、請求項7に記載した発明のように、トレッドパターンは、1ピッチ内でタイヤ赤道面を挟む踏面両側に、一方端が陸部内に止まり、他方端がトレッド部端に開口する複数本の副溝を有し、これら副溝は、踏面幅方向の各側で、各分岐枝溝と同じ傾斜方向に延在させることが好ましい。
【0017】
また、請求項1〜7のいずれかに記載した発明に関し、請求項8に記載した発明のように、トレッドパターンは、3〜4個の総ピッチ数を有することが好ましい。
【0018】
請求項1〜8のいずれかに記載したタイヤに関し、好適には、請求項9に記載した発明のように、カーカスは1プライ以上のラジアルプライを有し、トレッド部は、最外側ラジアルプライ外周面に沿うベルトを有し、該ベルトは、タイヤ周方向に沿い配列した多数本コードのゴム被覆層を備えるものとする。
【0019】
請求項9に記載した発明とは別に、請求項1〜8のいずれかに記載したタイヤに関し、好適には、請求項10に記載した発明のように、カーカスは1プライ以上のラジアルプライを有し、トレッド部は、最外側ラジアルプライ外周面に沿うベルトを有し、該ベルトは、ゴム被覆コードの螺旋巻回層を備えるものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1〜図4に基づき説明する。
図1は、空気入りタイヤの左半断面図であり、
図2は、図1に示すタイヤの踏面展開図であり、
図3は、図1に示すタイヤの別の踏面展開図であり、
図4は、図2に示すトレッドパターンを有するタイヤのフットプリント図である。
【0021】
図1において、空気入りタイヤは、トレッド部1と、トレッド部1の両側に連なる一対のサイドウォール部2(片側のみ示す)及び一対のビード部3(片側のみ示す)とを有する。また、空気入りタイヤは、各ビード部3内部に埋設したビードコア4相互間にわたる1プライ以上のカーカス5と、カーカス5の外周にベルト6とを備える。
【0022】
カーカス5は、ラジアル配列コードのゴム被覆プライを有し、トレッド部1と、一対のサイドウォール部2及び一対のビード部3とを補強する。ベルト6は、タイヤ周方向に沿い配列した多数本コードのゴム被覆層を備える場合と、ゴム被覆コードの螺旋巻回層を備える場合との2種類の構造を有し、トレッド部1を強化する。
【0023】
トレッド部1は、外周部にトレッドゴム7を有し、このトレッドゴム7の踏面1t側に回転方向指定のトレッドパターン8を備える。指定回転方向は、図2及び図3に示す矢印Y方向である。なお、図1では溝の図示を省略した。以下、空気入りタイヤの代表として、二輪自動車用空気入りタイヤ(以降タイヤと略す)について説明する。
【0024】
図2及び図3において、トレッドパターン8の主溝形状の繰り返し単位である主溝配列ピッチpは、タイヤ赤道面E上におけるトレッド部1の踏面(トレッド)1tの全周長さの20〜35%の範囲内長さとする。
【0025】
ここに、トレッドパターン8は、各1ピッチp内に、1本のZ字状主溝10と、1本のS字状主溝11とを有する。Z字状主溝10は、トレッド1t周方向に縦に延び、折れ曲がり角に面取り部、ここでは湾曲部を有する。S字状主溝11は、Z字状主溝10と比較的近い距離で離隔してトレッド周方向に縦に延びる。図2、3では各主溝10、11に斜線を施し、他の溝との区別を明確にした。
【0026】
トレッドパターン8は、1ピッチp内に1本のZ字状主溝10と1本のS字状主溝11とを有するので、これら各主溝10、11は、トレッド1t全周にわたり交互配置となる。すなわち、図2、3を参照し、1ピッチ内でみれば、タイヤ使用時に、Z字状主溝10は踏込み側(先に接地する側)に位置する一方、S字状主溝11は蹴出し側(後から接地する側)に位置し、この位置関係がトレッド1t周方向に継続する。しかし、同じ1ピッチ内でZ字状主溝10とS字状主溝11とを互いに入れ換えてもよい。いずれにしても、主溝10、11は、それらの展開図上における形状を英文字に擬して、トレッド1t周方向に、縦にZ−S−Z−S−Z−Sで並ぶ。
【0027】
Z字状主溝10とS字状主溝11とは、いずれも、ロングピッチのなかで、トレッド1t周方向に縦長に延び、かつ、タイヤ赤道面Eに対し鋭角に延びる傾斜中央溝部10M 、11M を有する。ここに、鋭角は0°と90°との間の角度を指すが、傾斜中央溝部10M 、11M は、90°より著しく傾斜角度が小さく、タイヤ赤道面に対し小さな勾配をもつ傾斜形状とする。しかも傾斜中央溝部10M 、11M は、タイヤ赤道面Eに関し互いに逆方向に延びる。
【0028】
上記の構成をもつ傾斜中央溝部10M 、11M は、溝内流水の抵抗が少なく、転動するタイヤのトレッド部1の接地面内で、踏面1tの踏込み側から入る水の排水性に優れ、ウエット操縦安定性能に優れた効果を発揮する。
【0029】
また、転動するタイヤの陸部境界が広い範囲にわたり、フットプリントの境界と重なるようにして路面に接地し、又は、路面より離隔した場合には、陸部による叩き音は大きくなるが、傾斜中央溝部10M 、11M は、タイヤ赤道面Eに対し小さな勾配の傾斜形状を有するので、この叩き音は小さい。
【0030】
また、図1、2に示すように、Z字状主溝10とS字状主溝11とは、同じピッチp内でそれぞれ1/2ピッチ内に配置する。これにより、Z字状主溝10とS字状主溝11とを略同じ周方向長さとし、ウエット排水性向上と、優れた低騒音性との両立に寄与させる。
【0031】
Z字状主溝10は、傾斜中央溝部10M の両側に折れ曲がり横方向溝部10E1、10E2を有する。S字状主溝11は、傾斜中央溝部11M の両側に折れ曲がり横方向溝部11E1、11E2を有する。
【0032】
図2、3に示すように、折れ曲がり横方向溝部10E1、11E1は、傾斜中央溝部10M 、11M の一方の端部から、タイヤ赤道面Eに対する傾斜角度を増しながら延びて、トレッド部1端TEに開口する。また、折れ曲がり横方向溝部10E2、11E2は、傾斜中央溝部10M 、11M の一方の端部から、タイヤ赤道面Eに対する傾斜角度を増しながら延び、途中で延びる向きを反転させてトレッド部1端TEに開口する。反転位置前後における横方向溝部10E2、11E2は、回転方向Yに向かい凸の湾曲形状をなす。
【0033】
また、図2、3から明らかなように、Z字状主溝10とS字状主溝11とは、踏面展開図上において、タイヤ赤道面E上の直線に関し、実質上、線対称な図形を同じ1ピッチ内で相互に1/2ピッチずらした図形を有する。ここに、実質上、とは、加硫金型のばらつきや、その他の製造上のばらつきを考慮し、また、性能上の問題で多少の相違をもたせることを考慮し、厳密に同じではなく、略ということである。
【0034】
上記の主溝10、11構成とすることで、車両のコーナリング時、タイヤに大きなキャンバ角度を付したときにも、良好な排水性と、優れた低騒音とを実現することができる。
【0035】
また、傾斜中央溝部10M 、11M は、これら溝の幅中央を連ねる線が、タイヤ赤道面Eから踏面展開幅Wの半幅1/2×Wの0.35倍までの片中央領域にて、タイヤ赤道面Eに対し、3〜30°の範囲内の傾斜角度を有する。片中央領域はタイヤ赤道面Eの両側に設け、合わせて中央領域とする。中央領域で上記傾斜角度とすることにより、タイヤは、ウエット排水性向上と、優れた低騒音性との両立を実現する。
【0036】
ここに、中央領域が1/2×Wの0.35倍未満では、良好な排水性と優れた低騒音とを得ることができず不可である。また、傾斜角度が3°未満であると、製品タイヤのベルト6にコード乱れを発生させ、溝底クラック発生の原因となるので不可である。
【0037】
すなわち、タイヤの加硫成型時において、主溝10、11を形成する金型のリブ(骨)が、螺旋巻回層コードに沿うか、又は極めて近い配置となるため、コードを打込方向に押し広げるからである。また、傾斜角度が30°を超えると、所望するウエット排水性と低騒音性とを得ることができず、特に、高速走行における耐ハイドロプレーニング性が低下し、不可である。
【0038】
さて、主溝10、11は、それぞれ1本の第一の分岐枝溝12、13を備える。分岐枝溝12、13は、傾斜中央溝部10M 、11M の長さ方向中間位置、すなわち中央領域内の分岐位置から、主溝10、11の傾斜方向と逆方向に延びて、トレッド部1端TEに開口する。さらに、主溝10、11は、それぞれ2本の第二の分岐枝溝14、15及び第二の分岐枝溝16、17を有する。
【0039】
第二の分岐枝溝14、15は、傾斜中央溝部10M の中央領域終端から外側で分岐させ、この分岐位置から互いに逆方向に延びて、トレッド部1端TEに開口する。第二の分岐枝溝16、17も、傾斜中央溝部11M の中央領域終端から外側で分岐させ、この分岐位置から互いに逆方向に延びて、トレッド部1端TEに開口する。なお、上記の分岐枝溝の全ては傾斜中央溝部10M 、11M に開口する。
【0040】
これら、第一の分岐枝溝12、13と、第二の分岐枝溝14、15及び第二の分岐枝溝16、17とを設けることにより、ウエット排水性が一層向上する。
【0041】
第一の分岐枝溝12、13と、第二の分岐枝溝14、15及び第二の分岐枝溝16、17とは、各分岐位置近傍にて指定回転方向Yに向かい凸をなす陸部を形成する。すなわち、各分岐枝溝は、各分岐位置近傍にて、トレッドゴム7に凸状陸部を形成する。全ての凸状陸部の頂点は、タイヤ赤道面Eから踏面展開幅Wの半幅1/2×Wの0.08倍以上離して位置させる。
【0042】
これにより、転動するタイヤのトレッド部1の接地面内で、踏面1tの踏込み側の凸状陸部の先端部は叩音エネルギが小さくなり、パターンノイズレベルが低減する。また、路面上の水は、凸状陸部の頂点位置から左右に分流するので、排水効果も良好である。
【0043】
凸状陸部の先端部は、図2に示す例で、全てが滑らかな湾曲形状を有し、図3に示す例では、分岐枝溝12、14及び分岐枝溝13、17のみが鋭角形状を有する。鋭角形状の場合、先端に丸の面取りを施すのが良い。
【0044】
また、トレッドパターン8は、1ピッチp内でタイヤ赤道面Eを挟むトレッド部1の両側に複数本の副溝18を有する。各副溝18は、一方端が陸部内に止まり、他方端がトレッド部1端TEに開口する。このとき、各副溝18は、踏面1tの幅方向の各側で、各分岐枝溝と同じ傾斜方向に延びる構成とする。これにより排水性がより一層向上する。
【0045】
ここで、タイヤは、以下に述べる測定条件により採取するフットプリントにおいて、フットプリント内に1〜2個の分岐枝溝部分を有するものとする。これは、パターンノイズなどの騒音源とならないように分岐枝溝の配列形状を設定しても、僅かなノイズは発生するので、少しでもパターンノイズの低減を図るための手段である。
【0046】
測定条件:
(1)適用規格:JATMA、TRA、ETRTO。いずれも1999年版。
(2)使用リム:上記規格の該当タイヤ(以上は二輪自動車用タイヤ)に記載した適用リムのうちの標準リム。
(3)負荷荷重:上記規格の該当タイヤ(以上は二輪自動車用タイヤ)に記載した最大負荷能力(kg) の40〜65%に相当する荷重(kgf) 。汎用使用領域の荷重。
(4)充てん空気圧:上記最大負荷能力(kg) に対応する空気圧。
(5)リム組したタイヤを、(4)項の内圧を充てんし、(3)項の荷重で平板に垂直に押し当てる。
【0047】
上記測定条件により得られる、踏面1tのフットプリントの例を図4に示す。図4は、図2に示すトレッドパターン8を備えるタイヤのフットプリント図であり、測定条件は、荷重218kgf (最大負荷能力365kgの59.7%)、充てん空気圧は、最大負荷能力365kgに対応する空気圧2.9kgf/cm2 である。各溝は白抜きで示す。図4に示すフットプリントは1個の第一の分岐枝溝12のみが存在する。
【0048】
以上述べたように、主溝より分岐する分岐枝溝についても、その分岐部付近に存在する凸状陸部の頂点が、踏面展開幅Wの半幅1/2×Wの0.08倍以上、タイヤ赤道面Eより外側に位置しているため、タイヤ赤道面E付近で、フットプリントの境界と重なる部分が非常に小さくなるので、叩き音は小さい。さらに、上記凸状陸部がフットプリント内に1〜2個しか存在しないため、この叩き音は更に小さくなる。
【0049】
また、トレッドパターン8は、踏面1t全周で3〜4個のピッチpを有する。この場合、慣例に従うピッチバリエーションを施し、低騒音化に寄与させる。
【0050】
以上は、二輪自動車用タイヤについて述べたが、このトレッドパターン8を適用するタイヤは、乗用車などの四輪自動車用タイヤにも適用する。
【0051】
【実施例】
モータサイクル(二輪自動車)用ラジアルプライタイヤの55シリーズで、サイズが180/55ZR17であり、カーカス5は1プライ、ベルト6は1層のコード螺旋巻回層である。
【0052】
図2に示す回転方向指定のトレッドパターン8を備える実施例タイヤを準備し、実施例タイヤの評価のため、図6に示す従来のトレッドパターン8Aを備え、図7にフットプリント図を示す従来例タイヤを準備した。従来例タイヤは、トレッドパターンを除く他は、全て実施例タイヤに合わせた。評価試験項目は騒音テスト及びウエット路面走行テストである。
【0053】
騒音テストについて:
標準リムMT5.50にタイヤを組付け、内圧2.9kgf/cm2 を充てんし、荷重218kgf を負荷させ、無響室内の台上でテストした。テスト結果を図5のグラフに示す。図5から明らかなように、速度が約30〜110km/hにわたり、実施例タイヤは、従来例タイヤに比し、騒音レベルが大幅に低下し、かつ、滑らかな騒音レベル変化である。テスト速度全域の平均騒音レベルは、従来例タイヤが84.4dB(A)であったのに対し、実施例タイヤは78.7dB(A)であり、大幅に改善されている。
【0054】
ウエット路面走行テストについて:
標準リムMT5.50にタイヤを組付け、内圧2.9kgf/cm2 を充てんし、排気量1100ccの二輪自動車(乗員1名)の後輪に装着し、実際にテストコースのウエット路面を走行させた。走行路面は、水深2〜7mmの直状500mのアスファルト路面である。テストその一は、一定速度で通過し、ホイールスピンが発生する速度を測定する定常通過ウエット性能であり、その二は、一定速度から加速を開始し、ホイールスピンが発生する速度を測定する加速通過ウエット性能である。いずれも、従来例タイヤを100とする指数にてあらわすと、実施例タイヤはいずれのウエット性能でも105である。値は大なるほど良い。
【0055】
【発明の効果】
この出願の請求項1〜11に記載した発明によれば、従来タイヤ対比、ウエット路面走行時の排水性を損なわずに、顕著な低騒音性を発揮する空気入りタイヤ、中でも二輪自動車用空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のタイヤの左半断面図である。
【図2】 図1に示すタイヤの踏面展開図である。
【図3】 図2に示すタイヤと別のタイヤの踏面展開図である。
【図4】 図2に示すトレッドパターンを有するタイヤのフットプリント図である。
【図5】 この発明のタイヤと従来タイヤとの騒音レベル比較線図である。
【図6】 従来タイヤの踏面展開図である。
【図7】 図6に示すタイヤのフットプリント図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1t 踏面
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7 トレッドゴム
8 トレッドパターン
10 Z字状主溝
10M 傾斜中央溝部
10E1、10E2 横方向溝部
11 S字状主溝
11M 傾斜中央溝部
11E1、11E2 横方向溝部
12、13 第一の分岐枝溝
14、15、16、17 第二の分岐枝溝
18 副溝
E タイヤ赤道面
W 踏面展開幅
p 主溝配列ピッチ
TE トレッド部端
Claims (10)
- トレッド部と、トレッド部両側に連なる一対のサイドウォール部及び一対のビード部とを、ビード部内に埋設するビードコア相互間にわたり補強する1プライ以上のカーカスと、カーカスの外周に配設したベルトと、タイヤ赤道面上における踏面全周長さの20〜35%の範囲内を1ピッチ長にもつ主溝配列を有する、回転方向指定のトレッドパターンとを備える二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
トレッドパターンは、各1ピッチ内に、トレッド周方向に縦長に延びて、それぞれのトレッド部端に開口する、折れ曲がり角に面取り部を有する1本のZ字状主溝と、該主溝から離隔してトレッド周方向に縦長に延びて、それぞれのトレッド部端に開口する1本のS字状主溝とのそれぞれを有し、
各主溝は、タイヤ赤道面に対し鋭角に延びる傾斜中央溝部を有し、各主溝の傾斜中央溝部は、その溝幅中央を連ねる線が、タイヤ赤道面から踏面展開幅の半幅の0.35倍までの領域にて、タイヤ赤道面に対し、3〜30度の範囲内の傾斜角度を有することとともに、
各主溝は、1本の第一の分岐枝溝と、2本の第二の分岐枝溝とを備え、第一の分岐枝溝は、傾斜中央溝部の長さ方向中間の分岐位置から、指定回転方向とは逆方向にトレッド部端に閉口するまで延び、各第二の分岐枝溝は、各傾斜中央溝部端部の分岐位置から指定回転方向とは逆に、タイヤ赤道面を横切ってトレッド部端に開口するまで延びることを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤ。 - Z字状主溝とS字状主溝とは、同じ1ピッチ内でそれぞれ1/2ピッチの領域に位置する請求項1に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- Z字状主溝とS字状主溝とはそれぞれ、傾斜中央溝部両端部から各トレッド部端に向け、一方の端部からはタイヤ赤道面に対する傾斜角度を増しながら延びて、他方の端部からは上記傾斜角度を増しながら延びた後、向きを反転させて延びて、各トレッド部端に開口する折れ曲がり横方向溝部を有する請求項1又は2に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- Z字状主溝とS字状主溝とは、踏面展開図上において、タイヤ赤道面上の直線に関し、実質上、線対称な図形を同じ1ピッチ内で相互に1/2ピッチずらした図形を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- 上記各分岐枝溝は、分岐位置近傍にて、指定タイヤ回転方向に向かい凸状陸部を形成し、該凸状陸部の頂点は、タイヤ赤道面から、踏面展開幅の半幅の0.08倍以上離れて位置する請求項1〜4のいずれかに記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- 最大負荷能力の40〜65%に相当する荷重を負荷し、最大負荷能力に対応する空気圧充てん下で、上記凸状陸部を形成する各分岐枝溝は、タイヤのフットプリント内に1〜2個の範囲内で分岐枝溝部分が存在する配置に成る請求項5に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- トレッドパターンは、1ピッチ内でタイヤ赤道面を挟む踏面両側に、一方端が陸部内に止まり、他方端がトレッド部端に開口する複数本の副溝を有し、これら副溝は、踏面幅方向の各側で、各分岐枝溝と同じ傾斜方向に延びる請求項1〜6のいずれか一項に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- トレッドパターンは、3〜4個の総ピッチ数を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- カーカスは1プライ以上のラジアルプライを有し、トレッド部は、最外側ラジアルプライ外周面に沿うベルトを有し、該ベルトは、タイヤ周方向に沿い配列した多数本コードのゴム被覆層を備える請求項1〜8のいずれか一項に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
- カーカスは1プライ以上のラジアルプライを有し、トレッド部は、最外側ラジアルプライ外周面に沿うベルトを有し、該ベルトは、ゴム被覆コードの螺旋巻回層を備える請求項1〜8のいずれか一項に記載した二輪自動車用空気入りタイヤ。
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