JP4434297B2 - マイクロレンズアレイシート - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロレンズアレイシートに関し、さらに具体的には、背面投射型ディスプレイ等に用いられて有効なマイクロレンズアレイシートに関する。
透過型スクリーン等で用いられるレンズシートとして、略半球状単位レンズが2次元配列されてなる所謂マイクロレンズアレイシートが提案されている。
しかしながら、このような大面積のマイクロレンズアレイシートの製造には、大面積にわたって均一かつ高精度のパターンを形成する必要があり、その加工難易度は非常に高いものとなる。
特に、単位レンズピッチのずれは、ごくわずかであっても、それが大面積のシートとなった場合にはムラとなって観察される。
また、例えば透過型スクリーンとしての利用を考えた場合、必要十分な画像観察域を得るためには、単位レンズの形状によりその光学的機能を精密に制御する必要があるが、形成される単位レンズ一つ一つの形状を正確にコントロールすることは難しく、このようなレンズシートを安価に作製することは、現実的には不可能であると考えられる。
更に、これらのレンズシートを作製する素材として、光学ガラスや光学プラスチック等が用いられるが、価格や重量、機械的強度等からレンズシートに使用できる材料は限られており、光学シートの拡散性能を制御する上で重要な要素である屈折率も材料による制限が生じてしまう。
上述したような状況下において、これらのレンズシートを透過型スクリーンとして用いる場合、その光学特性を補うために、スクリーンの光出射側であるレンズシートの平滑面側に拡散材を用いた拡散層を組み合わせたり、平滑面の表面を粗化することによる拡散効果等で観察域の拡大が行われており、作製工程の増加や拡散材の使用等による実質的な製造コスト上昇等の問題を招いている。
請求項1記載の発明は、略半球状単位レンズがピッチ200μm以下で2次元配列されてなり、各単位レンズのレンズ表面に表面粗さRaが0.001μm以上の微細な凹凸部を有することを特徴とするマイクロレンズアレイシートである。
請求項2記載の発明は、前記微細な凹凸部が、微細な略半球状凹凸であって、ランダムに配されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイシートである。
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のマイクロレンズアレイシートにおいて、単位レンズ内の微細な略半球状凹凸の直径が、前記単位レンズのピッチの1/10以下であることを特徴とするマイクロレンズアレイシートである。
請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載のマイクロレンズアレイシートにおいて、各単位レンズが凸状であり、前記単位レンズ内の微細な略半球状の凹凸が凹状となっていることを特徴とするマイクロレンズアレイシートである。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、大面積レンズシートにおいて問題となるマクロなムラが目立ちにくく、量産性に優れ、工業的に有利に生産することができる。また、レンズによる光拡散効果とレンズ表面の微細な形状による光拡散効果の二つの光拡散効果により、広い範囲に光を拡散させることが出来る。このため、拡散材が不要でコストが安く、さらに、例えば背面投射型ディスプレイ等のスクリーンとして用いた場合、ディスプレイの視野角を効果的に拡大することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図2は本発明の一実施の形態を説明するための図である。図1は本発明のマイクロレンズアレイシートの一例を模式的に示す部分断面図で、図2は本発明のマイクロレンズアレイシートの一例の単位レンズ表面を模式的に示す、レンズ側の真上より見た部分平面図である。なお、本実施の形態では、透過型の投影用スクリーン用のマイクロレズシートを製造する場合を例に挙げて説明する。
本発明によるレンズアレイシートは、略半球状単位レンズが2次元配列されてなり、各単位レンズの表面に各単位レンズの表面粗さRaが0.001μm以上の微細な略半球状凹凸をランダムに配したものである。RaはJIS B 0601−1982に基づく定義、評価、測定方法とする。
ここで、透過型スクリーンとしての使用を考えた場合、高解像度の映像画質を提供するために、スクリーンを構成するレンズシートにおいてもファインピッチが望まれる。このため、レンズアレイのパターンは、単位レンズの配列されるピッチが200μm以下であることが好ましい。
また、本発明において粗面である単位レンズの表面微細形状は、針状、円柱状等、どのような形状であっても効果を得ることができるが、その効果の大きさ及び光学性能制御の容易さを考えた場合、図2に示したような微細な略半球状凹凸であることが好ましい。
更に、本発明のマイクロレンズアレイシートの製造方法として、その外形に対応する成形パターンを有する金型により成形する方法が一般的であると考えられる。この場合、金型から成形品を取り出した後に、レンズアレイシート表面を処理することにより凹凸形状を形成することも可能であるが、量産性の点から、予め金型上の各単位レンズ表面に対応する場所に所望の凹凸微細形状を彫刻しておき、レンズアレイの成形と同時にレンズ表面凹凸の形成を行うのが好ましい。
この際、金型からの成形品の剥離の容易さ等の理由から、この単位レンズ内の微細な略半球状凹凸の直径が、マイクロレンズアレイシートのピッチの1/10以下であるのが好ましく、更に好ましくは、各単位レンズが凸状であり、その単位レンズ内の微細な略半球状の凹状となる、所謂ゴルフボールのディンプルの状態である。このような製造方法で製造できるので、本発明のマイクロレンズアレイシートは、安価で量産性に優れ、工業的に有利に生産できる。
なお、上述した実施の形態においては、透過型の投影用スクリーン用の利用を考えているが、本発明のレンズシートは、液晶ディスプレイ等の透過型表示装置の観察面に設置し視野角拡大を図る用途や、透過型表示装置を背後から照明する面状光源装置の一部をになう光拡散板等の用途にも用いられ得るものである。
また、上述した実施の形態においては、一例として金型による成形を示したが、光透過性樹脂や光透過性ガラス表面を直接加工して本発明のマイクロレンズアレイシートを作製方法や、予め作製されたマイクロレンズアレイシートを用意し、そのレンズ表面への表面拡散層等の塗工やエッチング等の処理により微細形状の形成を施して本発明のレンズアレイシートを作製することも可能であり、この限りではない。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
(1)マイクロレンズアレイシートの作製
各実施例に対応する形状が表面に刻印された金型を用意し、これらの金型に紫外線硬化樹脂(硬化後の屈折率1.54)を充填し、さらにこの上に透明なフィルム基材(例えば東洋紡社製:A−4100)を重ね合わせて、高圧水銀灯によって紫外線を照射して樹脂を仮硬化せしめた後金型より取り出し、再度レンズ形成面より紫外線を照射して本硬化させる方法で実施例、比較例のマイクロレンズアレイシートを作成した。
(2)マイクロレンズアレイシートの評価
市販のフロント・プロジェクターより、本発明のレンズシート及び従来の表面を粗化していないレンズシートに白色のみの映像を投影し、シート中央の輝度を輝度計(トプコン社製:BM−7、視野角;2°)を用いて測定した。シート面の法線方向を正面とし、法線方向から角度を変え、0°から+60°まで測定し、輝度分布とした。
また、映像を投影していない状態の蛍光灯照明下において、目視によりシート表面のムラの様子を観察した。
実施例
上記(1)の方法によりマイクロレンズアレイシートを作製した。単位レンズのピッチは98μm、高さ32μm、表面粗さRaは約0.1μmとした。単位レンズの配列は、ハニカム配列とした。
比較例
単位レンズの表面粗さRaが0.0005μmである以外は、実施例と同様に実施した。
上述した実施例及び比較例を(2)の方法により評価した結果を図3に示す。比較例に比べて実施例は、観察角度よる輝度の差が少なく、透過型スクリーンとして用いた場合、より安定した輝度分布を持つことが分かった。また、目視での外観評価では、実施例においてはムラが認識できなかったが、比較例のものは、スジ状のムラがはっきりと確認された。
本発明のマイクロレンズアレイシートの一例を模式的に示す部分断面図。 本発明のマイクロレンズアレイシートの一例の単位レンズ表面を模式的に示すレンズ側の真上より見た部分平面図。 実施例及び比較例の輝度値の測定結果を示すグラフ。
符号の説明
1.マイクロレンズアレイシート
2.略半球状の単位レンズ
3.単位レンズ上に形成された微細な凹凸部

Claims (3)

  1. 大面積の液晶ディスプレイ等の透過型表示装置を背後から照明する光源装置の一部をになう用途に用いられ、略半球状単位レンズがピッチ200μm以下でハニカム配列されてなり、各単位レンズのレンズ表面に表面粗さRaが0.001μm以上の微細な凹凸部を有することを特徴とするマイクロレンズアレイシート。
  2. 前記微細な凹凸部が、微細な略半球状凹凸であって、ランダムに配されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイシート。
  3. 請求項2に記載のマイクロレンズアレイシートにおいて、各単位レンズが凸状であり、前記単位レンズ内の微細な略半球状の凹凸が凹状となっていることを特徴とするマイクロレンズアレイシート。
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