JP4434205B2 - モータの制御装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、工作機械を駆動する主軸モータ等に適用されるモータ制御装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第14図は、位置制御運転と速度制御運転に対応するため、その制御モードに応じて位置ループと速度ループの切り替え機構をもつ従来のモータ制御装置の制御ブロック図を示したものである。第14図において、指令作成手段1内の速度指令手段2が速度指令信号Vrvを作成し、指令作成手段1内の位置指令手段3が位置指令信号θrを作成する。
【0003】
切替手段4は位置制御運転と速度制御運転とを切り替えるものであり、切替制御手段4aがスイッチ4b、4cを制御して位置制御ループもしくは速度制御ループに切り替える。位置制御運転要求時には、閉状態であるスイッチ4bを通過した位置指令信号θrと、位置検出手段6にて検出されたモータ13の位置信号θsとの差分である位置偏差信号θeが位置制御手段5に入力され、位置制御手段5は速度指令に換算した速度指令演算信号Vrを出力する。尚、位置制御運転要求時または主軸オリエンテーション時には指令作成手段1から位置指令信号θrが出力されるが、速度制御運転要求時にはスイッチ4bが開状態にあり、しかもスイッチ4cが図における上側の接点と接続されるため、速度指令手段2の出力である速度指令信号Vrvがスイッチ4cを通過する。
【0004】
スイッチ4cを通過した速度指令信号Vrvと微分手段7によって位置検出手段6にて検出されたモータ13の位置信号θsの微分値との差分である速度偏差信号Veは速度制御手段8に入力される。
【0005】
速度制御手段8は、速度比例制御手段9と速度積分制御手段10を備えている。速度偏差信号Veが速度制御手段8に入力されると、速度偏差信号Veは速度比例制御手段9と速度積分制御手段10の双方に伝達され、各々電流指令値を算出する。そして速度制御手段8は各々算出され加算された電流指令値Irを電流制限手段11に出力する。電流制限手段11は電流指令値Irを電流制御手段12が出力できる最大電流値に制限する。この電流制限手段11で電流が制限されているときには電流制限手段11は速度積分制御手段10に対し積分を中止するよう指令し、速度積分制御手段10は積分を停止し、電流が制限を受けている時に発生する速度偏差信号Veを不必要に積分して電流制限が解除されたときに速度指令値に対してのオーバーシュートを抑制する構成となっている。そして電流制御手段11から出力された電流制限値Irlを基に電流制御手段12はモータ13の電流を制御する。
【0006】
また、第15図は第14図の制御装置における課題を解決するために発明された技術(PCT WO03/085816A1)であり、運転モードに応じて、第14図のような位置制御ループと速度制御ループを切り替える処理は行わず、第15図においては、指令作成手段1内の切替手段4が位置制御運転か速度制御運転かを選択する。速度指令手段2から作成された速度指令信号Vrvは積分手段14によって速度指令信号Vrvに相当する位置指令信号θrに換算される。また、モデル位置発生手段15は位置指令信号θrを基に被制御対象の特性を含む等価な位置制御系モデルから理想的なモータ13の位置を算出する。電流制限手段11が最大電流に制限している際は、その出力するモデル位置発生手段15から算出されたモータ13の位置と実際に位置検出手段6から計測されたモータ13の位置との偏差に応じて位置補正手段19がモータ制御装置の位置指令を補正するように指示し、動作する。
【0007】
上記第14図のような従来のモータ制御装置では、速度制御運転要求時には位置ループを切り離して速度ループでモータを制御し、主軸停止時の位置決めを行うオリエンテーション時や同期タップ時、他の軸との同期運転時、位置制御による切削時などの場合には、位置ループを接続してモータの位置制御運転を行っており、各運転モード毎に切り替えを行っていた。そのため、速度ループと位置ループの切り替えをスムーズに行うためには、一度ある速度まで減速する必要がある。まず始めに第14図におけるスイッチ4bを接続し、位置制御手段5が出力する速度指令演算信号Vrが指令作成手段1内の速度指令手段2から出力される速度指令信号Vrvと一致するまで一定速度での運転を続け、一致した時点でスイッチ4cを接続する必要があるなど切り替え動作には時間を必要としており、切り替えタイミングが複雑となっていた。また、オリエンテーション時には一度ある速度まで減速した後、その時のモータ一回転内位置から指令作成手段1内で停止位置までの位置指令を作成し、電流制御手段11により電流制限値に達しない減速時定数で減速して位置決めを実施していた。したがって、オリエンテーション時には通常の速度制御運転時の減速時間と比較して減速に要する時間が長くなっていた。
【0008】
また、仮に速度ループ制御モードを止めすべての動作において位置ループ制御モードのみの対応とした場合には、電流制限によるトルク飽和などで位置偏差が広がり目標速度に対してオーバーシュートしたり減速開始が減速指令に対して遅れることがないように、加減速の傾きを緩やかにしてトルクが飽和しない範囲で使用する必要があり、加減速時間が長くなるなどの問題があった。
【0009】
更に、第15図のブロック図で示す制御装置(PCT WO03/085816A1)は、前記従来モータ制御装置の問題点を解決するために発明されたものであり、モータの加減速時にモータ出力電圧の飽和や指令加速度に対するトルク不足などにより電流制限手段11が最大電流に制限している際は、その出力するモデル位置発生手段15から算出されたモータ13の位置と実際に位置検出手段6から計測されたモータ13の位置との偏差に応じて位置補正手段19がモータ制御装置の位置指令を補正するように指示して動作し、電流制限から開放され、その後の位置指令に対しては十分追従できる条件が整った時点でモータを所望の位置へ補正している。
【0010】
具体的には、電流制限手段11から伝達され電流制限指令Ilによって位置補正手段19内にある位置補正量制御手段19aがスイッチ19bを接続状態とするため、モデル位置発生手段15から算出されたモータ13の位置と実際に位置検出手段6から計測されたモータ13の位置との偏差である仮想位置偏差θdは、微分手段17を経てスイッチ19bを通過し、積分手段20を経て補正位置偏差量θcdとして出力される。よって、位置指令手段3がスイッチ4dによって選択されている場合に実質的に位置指令信号θrから仮想位置偏差θd分を引いて補正をすることで、指令作成手段1内の位置指令信号θrとの追従遅れを見かけ上無くし、電流制限から開放された時にオーバーシュートが発生するのを抑制する効果がある。
【0011】
第16図は第15図に示したモータ制御装置における速度、電流、位置偏差の変化を表した図であるが、速度指令手段2がスイッチ4dによって選択されている場合に電流制限に掛かっている間、仮想位置偏差θd分を引いて補正が行われても速度指令信号Vrvから換算された位置指令信号θrの値自体が大きすぎるため、位置制御手段5からの出力する速度指令演算信号Vrは、速度指令信号Vrvと等価になってしまい、実際のモータ速度Vsとの差が開くことになる。したがって電流制限前の電流指令値Irと電流制限値Irlの値には大きな偏差が残ってしまい、モータの出力トルク特性が回復した場合に、電流指令Irが電流制限値Irlまで下がるのに要する時間が長くなり、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題点があった。
【発明の開示】
【0012】
この発明は、以上のような問題点を解決するためのものであり、本発明にかかるモータの制御装置は、被制御対象を駆動するモータの回転位置の情報である位置信号と、前記モータの回転位置を指令する位置指令信号と前記位置信号との偏差である位置偏差信号とに基づいて前記モータを制御するとともに、外部にて入力される入力位置指令信号を前記位置指令信号として用いる位置制御運転と、外部にて入力される入力速度指令信号から積分により換算される信号を前記位置指令信号として用いる速度制御運転と、を切り換えて前記モータを制御するモータの制御装置であって、入力される信号に基づいて電流指令信号を出力する電流指令手段と、前記電流指令信号に基づいて、前記モータへの出力電流を制限すると共にその出力電流制限時に電流制限信号を出力する電流制限手段と、入力される信号を累積して積分値を出力する積分手段と、前記電流制限信号が前記電流制限手段から出力され、かつ前記速度制御運転時に、前記位置指令信号から微分により換算される速度指令信号及び加減速度指令信号と前記位置偏差信号から前記積分値を減算した減算値とに基づいて、前記電流指令手段へ偏差制限信号を出力するとともに前記積分手段へ前記減算値から前記偏差制限信号を減算した入出力偏差信号を出力する偏差制限手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明にかかるモータの制御方法は、被制御対象を駆動するモータの回転位置の情報である位置信号と、前記モータの回転位置を指令する位置指令信号と前記位置信号との偏差である位置偏差信号とに基づいて前記モータを制御するとともに、外部にて入力される入力位置指令信号を前記位置指令信号として用いる位置制御運転と、外部にて入力される入力速度指令信号から積分により換算される信号を前記位置指令信号として用いる速度制御運転と、を切り換えて前記モータを制御するモータの制御方法であって、前記位置指令信号から速度指令信号及び加減速度指令信号を微分により換算する換算ステップと、前記位置偏差信号から所定値を減算して減算値を算出する減算ステップと、前記換算ステップにて換算された前記速度指令信号及び前記加減速度指令信号と前記減算ステップにて算出された前記減算値とに基づいて、偏差制限信号を出力するとともに前記減算値から前記偏差制限信号を減算した入出力偏差信号を出力する偏差制限ステップと、前記偏差制限ステップにて出力された前記偏差制限信号に基づいて電流指令信号を出力する電流指令ステップと、前記電流指令ステップにて出力された前記電流指令信号に基づいて、前記モータへの出力電流を制限すると共にその出力電流制限時に電流制限信号を出力する電流制限ステップと、を備え、前記所定値は、前記偏差制限ステップにて出力された前記入出力偏差信号を累積して積分した積分値であり、前記偏差制限ステップは、前記電流制限信号が前記電流制限ステップから出力され、かつ前記速度制御運転時に行われることを特徴とする。
【0014】
かかるモータ制御装置及びその制御方法によれば、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題を解消するので、速度や位置に対するオーバーシュートを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
第1図は、本発明の実施例1を示すモータ制御装置のブロック図である。
第2図は、本発明の実施例1における偏差制限手段の処理を示すフローチャート図である。
第3図は、本発明の実施例1における動作を示す信号波形図である。
第4図は、本発明の実施例2を示すモータ制御装置のブロック図である。
第5図は、本発明の実施例2における動作を示す信号波形図である。
第6図は、本発明の実施例3における動作を示す信号波形図である。
第7図は、本発明の実施例4における動作を示す信号波形図である。
第8図は、本発明の実施例5を示すモータ制御装置のブロック図である。
第9図は、本発明の実施例5における偏差制限手段の処理を示すフローチャート図である。
第10図は、本発明の実施例6を示すモータ制御装置のブロック図である。
第11図は、本発明の実施例7を示すモータ制御装置のブロック図である。
第12図は、本発明の実施例8を示すモータ制御装置のブロック図である。
第13図は、本発明の実施例8における電流制限値制御部31が行う制御処理を示すフローチャート図である。
第14図は、従来のモータ制御装置を示すブロック図である。
第15図は、従来のモータ制御装置の課題を解決するために発明された制御装置(PCT WO03/085816A1)を示すブロック図である。
第16図は、従来のモータ制御装置における動作を示す信号波形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0016】
本発明の一実施例を第1図によって説明する。第1図はこの発明の実施例1によるモータ制御装置のブロック図である。尚、第1図中第15図と同一符号は同又は相当部分を示す。モータ制御装置外である指令作成手段1内の速度指令手段2が速度指令信号Vrvを作成し、指令作成手段1内の位置指令手段3が位置指令信号θrを作成する。速度指令手段2で作成された速度指令信号Vrvは積分手段14によって速度指令信号Vrvに相当する位置指令信号θrに換算される。指令作成手段1内の切替手段4は位置制御運転と速度制御運転とを切り替えるものであり、切替制御手段4eがスイッチ4dを切替えて位置制御運転か速度制御運転かを選択する。その際、切替制御手段4eは、切替時に位置制御運転か速度制御運転かの情報である位置/速度運転切替えコマンドMODを出力する。
【0017】
指令作成手段1から出力された位置指令信号θrと位置検出手段6にて検出された位置信号θsとの差である位置偏差信号θeは積分手段20にて生成された補正位置偏差量θcdに差引かれ、偏差入力信号θfとして偏差制限手段21に入力される。また、位置指令信号θrは微分手段22によって指令速度信号Fdtに変換され、さらに微分手段23によって指令加速度信号Accに変換される。そして、位置/速度運転切替えコマンドMOD、指令速度信号Fdt、指令加速度信号Acc及び偏差入力信号θfと共に偏差制限手段21に入力される。偏差制限手段21は所定の処理を行い、位置制御手段5に偏差制限手段出力値θgを出力する。偏差制限手段21の所定の処理の詳細については後述する。
【0018】
偏差制限手段21の偏差制限手段出力値θgは位置制御手段5に入力され、位置制御手段5は速度指令に換算した速度指令演算信号Vrを出力する。そして、速度指令演算信号Vrと微分手段7によって位置検出手段6にて検出された位置信号θsの微分値との差分である速度偏差信号Veは速度制御手段8に入力される。
【0019】
速度制御手段8は、速度比例制御手段9と速度積分制御手段10を備えている。速度偏差信号Veが速度制御手段8に入力されると、速度度偏差信号Veは速度比例制御手段9と速度積分制御手段10の双方に伝達され、各々比例電流指令値と積分電流指令値を算出する。そして電流制御手段8は各々を加算した電流指令値Irを電流制限手段11に出力する。電流制限手段11は電流指令値を電流制御手段12が出力できる最大電流値に制限する。そして電流制限手段11から出力された電流制限値Irlを基に電流制御手段12はモータ13の電流を制御する。
【0020】
電流制限手段11で電流が制限されているときには、電流制限手段11は速度積分制御手段10に対し積分を中止するよう電流制限指令Ilを出力する。速度積分制御手段10は積分を停止し、電流が制限を受けている時に発生する速度偏差信号Veを不必要に積分して電流制限が解除されたときに速度指令値に対してのオーバーシュートを抑制する構成となっている。また、電流制限手段11は電流制限指令Ilを偏差制限手段21にも出力する。
【0021】
偏差制限手段21について説明する。偏差制限手段21は、位置/速度運転切替えコマンドMOD、指令速度信号Fdt、指令加速度信号Accの情報を基に、下記に示す処理による条件により位置補正手段19の位置補正量制御手段19aに指令を送り所定の条件を基にスイッチ19bをONとし、また入出力偏差信号Vhを出力し、また位置制御手段5へ偏差制限手段出力値θgを出力する。
【0022】
第2図はこの発明の実施例1による偏差制限手段21が行う処理のフローチャートである。偏差制限手段21は以下に述べるような処理を行い、位置制御手段5に偏差制限手段出力値θgを出力する。
【0023】
偏差制限手段21の処理は、電流制限指令Il中(S101)で、かつ、位置/速度運転切替えコマンド(MOD)が絶対的な位置の追従性を要求しない速度運転モード時(S102)に、指令加速度信号Accが正の値(Acc≧0)の場合には(S103)、もし偏差入力信号θfが正の方向に増加していれば(S104)、偏差制限手段出力値θg=θgの前回値とし(S105)、入出力偏差信号VhをVh=θf−θgとする(S106)。その際、第1図の位置補正手段19内の位置補正量制御手段19aに対し指令を送り、スイッチ19bをONにするため、偏差制限手段21の入出力偏差信号Vhを積分手段20で累積し、補正位置偏差量θcdを出力する。この補正位置偏差量θcdを、位置偏差信号θeから減算して偏差入力信号θfが作成される。
【0024】
また、指令加速度信号Accが負の値(Acc<0)の場合には(S109)、もし偏差入力信号θfが負の方向に増加していれば(S110)、出力θg=θgの前回値とし(S111)、入出力偏差信号VhをVh=θf−θgとする(S112)。
【0025】
偏差制限手段21の入出力偏差信号VhがVh=θf−θgとなる時、第1図の位置補正手段19の位置補正量制御手段19aがスイッチ19bをONとする。すると偏差制限手段21の入出力偏差信号Vhを積分手段20で累積し、補正位置偏差量θcdを生成する。この補正位置偏差量θcdを、位置偏差信号θeから減算する。これにより、モータの加減速時にモータ出力電圧の飽和や指令加速度に対するトルク不足などにより電流指令値がモータ制御装置内の制限値に達した場合、速度指令手段2がスイッチ4dによって選択されている時に、速度指令信号Vrvから換算された位置指令信号θrの値自体が大きすぎても、補正位置偏差量θcdの基となる入出力偏差信号Vhは、位置指令信号θrからモータ13の位置信号θsとの差である位置偏差信号θeと補正位置偏差量θcdとの差であるので、先行文献(PCT WO03/085816A1)の場合であるモデル位置発生手段の位置出力とモータ13の位置信号θsとの差である仮想位置偏差θdを基に積分したものと比べてより位置指令信号θrを反映している分、補正値として適切なものである。したがって、位置制御手段5から出力される速度指令演算信号Vrと実際のモータ速度Vsと差をあまり大きくならないようにすることができる効果がある。これによりその後電流指令値Irに換算された際に電流制限値Irlとあまり相違しないようにすることができるため、実際のモータ速度Vsと差が開きにくい。モータの出力トルク特性が回復した場合に、電流指令値Irが電流制限値Ilまで下がるのに要する時間が長くならず、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題を解消することができる。
【0026】
またさらに、偏差制限手段21の出力θgをそれ以上増大または減少させないため、それ基に位置制御手段5から出力される速度指令演算信号Vrと実際のモータ速度Vsと差をそれ以上大きくならないようにすることができ、実際のモータ速度が増大または減少することにより速度偏差信号Veを減少方向させる効果がある。これによりその後電流指令値Irに換算された際に電流制限値Irlとほとんど相違しないようにすることができるため、実際のモータ速度Vsと差がさらに開かない。モータの出力トルク特性が回復した場合に、電流指令値Irが電流制限値Ilまで下がるのに要する時間が長くならず、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題をさらに解消することができる。
【0027】
尚、偏差制限手段21内での処理上、上記の場合以外は偏差制限手段出力値θg=偏差入力信号θfとなる。また偏差制限手段21の入出力偏差信号VhがVh=0でありかつスイッチ19bはOFFとなっているので補正位置偏差量θcdは出力されない。
【0028】
また、第3図は、本発明の実施例1を実施したときの動作を説明した信号波形図である。上段のグラフは横軸が時間で縦軸が速度であり、鎖線が速度指令信号Fdt、一点鎖線が速度指令演算信号Vr、実線がモータ速度Vsである。また中段は横軸が時間で縦軸が電流であり、実線が電流指令値である。下段は横軸が時間で縦軸が位置偏差であり、実線が補正位置偏差量θcdとモータ一回転内分偏差である。本発明では、電流制限によりモータの加速度が十分得られず、指令作成手段1が出力する指令速度信号Vrvとモータ速度Vsの偏差が大きくなっても、偏差制限手段21は偏差制限手段出力値θgを所定条件で制限して、位置制御手段5の出力である速度指令演算信号Vrが実際のモータ速度Vsとの差である速度偏差信号Veが所定以上に大きくならないように制御する。これにより、モータの出力トルク特性が回復して電流制限から開放されたタイミングから実施する位置補正への以降を迅速に行うことができ、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題を解消するので、速度や位置に対するオーバーシュートを抑制する効果がある。
【0029】
したがって、この発明の実施例によれば、被制御対象を駆動するモータの回転位置の情報である位置信号と、モータの回転位置を指令する位置指令信号と位置信号との差である位置偏差信号に基づいてモータを位置ループと速度ループによる制御するモータ制御装置であって、モータへの出力電流を制限すると共にその出力電流制限時に電流制限信号を出力する電流制限手段と、電流制限信号が出力され、かつ速度制御運転時に、位置偏差信号の入出力偏差を求めてこれを出力する偏差制限手段と、この入出力偏差を積分する積分手段とを備え、位置指令信号から速度及び加減速の各指令信号を検出したとき、入出力偏差信号の積分値を前記位置偏差信号から減算するので、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題を解消するので、速度や位置に対するオーバーシュートを抑制することができる。また、加速度情報が正の値の時に入出力偏差信号の積分値を位置偏差信号から減算しても増大している場合は偏差制限手段の出力を増大させず、加速度情報が負の値の時に入出力偏差信号の積分値を位置偏差信号から減算しても減少している場合は偏差制限手段の出力を減少させないので、実施例1の場合より、電流制限から開放されたタイミング付近から行う速度制御や位置制御が遅れてしまうという問題を解消するので、速度や位置に対するオーバーシュートをより効果的に抑制することができる。
【実施例2】
【0030】
本発明の他の実施例を第4図により説明する。第4図はこの発明の第2の実施例によるモータ制御装置のブロック図である。第4図中、第1図と同符号は同一または相当部分を示す。実施例2は、実施例1のものにおいて、実際のモータ位置が位置指令となるように補正するものであり、実施例1との構成の違いについて説明する。すなわち、位置補正手段19の出力側に、一回転内位置補正制御部16を備えている。この一回転内位置補正制御部16は位置補正手段19の出力である補正位置偏差量θcdを正規化しモータ一回転内位置偏差信号Vrhを演算する(1回転以上のデータを放棄し、1回転以内のモータズレ量(位置指令と実際のモータとの間のズレ量)を演算する)。そして、電流制限状態が開放され電流指令が電流制限値内の領域にあることを判断すると、モータ一回転内位置偏差が0となるように一回転内補正量Vrhを算出し、その一回転内補正量Vrhを位置補正手段19の積分手段20に加算する。
【0031】
動作について説明する。第5図は本発明の実施例2を実施したときの動作を示す信号波形図である。グラフの条件は第3図の場合と全て同一である。
【0032】
偏差制限手段21が入出力偏差信号Vhを0とすると、モータ一回転内位置補正を行い、補正位置偏差量θcdの一回転内位置(=指令位置と位置フィードバックとのモータ一回転内分偏差)を0へと制御している。
【0033】
したがって、この発明は実施例1の場合に加えて、一回転内位置補正を行うことができる。
【実施例3】
【0034】
この実施例は、実施例2のものにおいて、実際の1回転内モータ位置が位置指令となるように補正する際、その補正を早く行えるよう、加速時には補正量を増やし、また減速時には補正量を減らすようにしたものである。構成については、実施例2と全く同じである。
【0035】
動作について説明する。第6図はこの発明の実施例3の動作を示す信号波形図であり、補正量計算処理を示している。第6図中、上から1,2,4段目は、第3図及び第5図の上段、中段、下段に対応し、3段目(a)に、一回転内位置補正信号Vrhを示している。横軸は時間、縦軸は補正量を示している。実施例2における一回転内位置補正制御部16(第4図参照)は、電流制限状態が開放され位置補正手段19内のスイッチ39が開放され信号36が0となった後、補正位置偏差量θcdを正規化しモータ一回転内位置偏差信号Vrhを演算する。そして、補正後の補正位置偏差量θcdのモータ一回転内位置偏差信号Vrhが0となる量を、加速時は実際の位置フィードバックが位置指令から遅れる方向で、第6図の3段目(a)に示す一定の加減速パターンをもつ速度波形を作成し、その一回転内補正量Vrhを位置補正手段19の積分手段20の入力側に加算する。また、減速時は、実際の位置フィードバックが位置指令から進む方向で、第6図の3段目(a)に示す一定の加減速パターンをもつ速度波形を作成し、その一回転内補正量Vrhを位置補正手段19の積分手段20の入力側に加算する。一定の加減速パターンをもつ速度波形のトータルの補正量は、補正位置偏差量θcdを加速時は減らして、減速時は増やして一回転内分位置を0にする距離となるように設定されるので、一定の加減速パターンで補正量が形成されることから短時間で補正量を決定し、一回転内位置補正をおこなうことができる。
【0036】
したがって、この発明の実施例3によれば、実施例2の一回転内位置補正を短時間で実施することができる。
【実施例4】
【0037】
この実施例は、実施例3の構成において、実際の1回転内モータ位置が位置指令となるように補正する際、その補正を早く行えるよう、一回転内位置補正信号の加減速パターンをフィードバック速度に応じて変更するものである。構成は実施例2、実施例3と同一である。
【0038】
動作について説明する。第7図はこの発明の実施例4の動作を示す信号波形と、補正量計算処理を示している。第7図の上段の(a)は、第6図の3段目の(a)の一回転内位置補正信号Vrhを示すものと同じである。第7図の中段は第6図の4段目と同じものであり、第7図の下段である(b)は、一回転内位置補正信号Vrhの加減速の傾きを示している。横軸は速度、縦軸は傾き(加速度)、実線はケース1、鎖線はケース2、一点鎖線はモータのトルク特性である。
【0039】
第7図の上段(a)に示すように一回転内位置補正信号Vrhの加減速パターンにおける最大速度は、実際の補正開始時点の速度フィードバック値に対しある比率(γ)(例えば10%)で規定している。また、一回転内位置補正信号の加減速パターンにおける最高速度に到達するまでの傾き(加速度)は、第7図の下段(b)の一点鎖線に示すようにモータの出力トルク特性に合わせて決定している。制御装置内の処理時間やメモリ容量に余裕があれば、第7図の下段(b)のケース1(実線)のようにモータの出力トルク特性にあるマージンを見込んで連続的に選ぶことができるが、処理時間やメモリ容量に余裕がない場合にはケース2(鎖線)のように段階的に特性を決定することも可能である。これにより、電流制限から開放されたタイミングから行う一回転内位置補正を安定に、かつ、短時間で実施することが可能となる。
【0040】
したがって、この発明の実施例4によれば、実施例2の一回転内位置補正を安定にかつ短時間で実施することができる。
【実施例5】
【0041】
第8図はこの発明の他の実施例によるモータ制御装置のブロック図である。第8図中、第1図と同一符号は同一または相当部分を示す。 この実施例においては、主軸モータが誘導電動機であって高速と低速で所定の特性を得たい場合、巻き線切り換えで対応するようにしたものであり、以下説明する。
【0042】
指令作成手段1内の巻線切換手段24は、モータの巻線を切り換えた際に巻線切り換え要求コマンドCAを出力し、補正タイミングタイマ25はこの巻線切り換え要求コマンドCAを受け、巻線切り換え完了後のモータ一回転内位置補正を行うタイミングを計るタイマである。なお、コマンドCAは偏差制限手段21にも伝達されることとなる。第9図はこのモータの巻線切り換え要求コマンドCAを受信時の偏差制限手段21の処理を示している。巻線切り換え要求コマンドCAを受信時は、モータ制御装置はサーボオフしモータへの電流を遮断するが、この状態において偏差制限手段21は速度偏差信号Veが0となるように偏差制限手段出力値θgを制限する。具体的な位置偏差制限の実施例としては、第2図の電流制限中(S101)で、かつ、位置/速度運転切替えコマンド(MOD)50が速度運転モード(S102)での処理動作と同様であるが、動作に移る判別条件が、第2図の(S101,S102)から、巻線切り換え要求中で、かつ、速度偏差信号Veが0でない場合(S119,S120)に変更となる。この(S119,S120)の条件となった場合、偏差制限手段21は偏差制限手段出力値θgの増加を制限し、速度偏差信号Veを0に制御し、結果として電流指令値Irを0に制御する。
【0043】
なお、この期間、スイッチ19bはオンし、補正位置偏差量θcdの演算を行い偏差制限処理を実行する。また、巻線切換えが完了し、再びサーボオンした場合には補正位置偏差量θcdのモータ一回転内位置偏差を0とするように一回転内位置補正を開始するが、直後に再度電流制限にかかり再び偏差制限時の処理が始まる可能性があるため、補正タイミングタイマ25で一回転内位置補正のタイミングを図る。これにより、モータの巻線切り替え要求コマンドを受け一時的にサーボオフし巻線を切り替える処理を実行した場合にも、安定な動作が可能となる。
【0044】
したがって、本発明の実施例5によれば、実施例2の効果のみならず、モータの巻線切り替え要求コマンドを受け一時的にサーボをオフし巻線を切り替える処理を実行した場合にも、安定な動作をすることができる。
【実施例6】
【0045】
第10図はこの発明の他の実施例によるモータ制御装置のブロック図である。第10図中、第4図と同一符号は同一又は相当部分を示す。以下、第4図に示す実施例2との違いについて説明する。第10図においては、速度運転モード(絶対的な位置の追従性を要求しないモード)時に一回転内位置合わせ抑制手段26からモータ一回転内位置の補正も必要としないことを示すコマンドPHSがモータ制御装置に入力され、そのコマンドPHSは、位置補正手段19内のスイッチ27と、偏差制限手段21と位置制御手段5との間のスイッチ28に伝達される。通常はそのスイッチ27は偏差制限手段21の入出力偏差信号Vhに接続されるようになっているが、そのコマンドPHSが入力された時、スイッチ27を切り換えて偏差制限手段21の入出力偏差信号Vh側とは反対側と接続する。その反対側は、位置指令信号θrに基づいてモデル位置発生手段15が被制御対象の特性を含む等価な位置制御系モデルから理想的なモータ13の位置を算出し、その位置と実際に位置検出手段6から計測されたモータ13の位置との偏差の微分値が接続されている。その際、位置/速度運転切替コマンドMODが速度運転であるときは、理想的なモータ13の位置を算出し、その位置と実際に位置検出手段6から計測されたモータ13の位置との偏差から作成される。また、このコマンドPHSが入力されている場合には、スイッチ28を切り換えて、偏差制限手段21を介さずに偏差入力信号θfを位置制御器5へ直接入力させるよう接続する。
【0046】
したがって、この発明の実施例6によれば、モータ一回転内の位置補正を要求しない場合には、加減速時間をモータ出力トルクに合わせて最短にすることができる。
【実施例7】
【0047】
第11図はこの発明の他の実施例によるモータ制御装置のブロック図である。第11図中、第10図と同一符号は同一または相当部分を示す。以下、第10図に示す実施例5との違いについて説明する。第11図においては、モータ制御装置によるモータの制御を必要としないモードであるレディーオフの要求コマンドRDYが入力され、レディーオフ中には指令作成手段1はモータの実際の位置である位置信号θsに位置指令信号θrを合わせる処理を行う。また、レディーオフの要求コマンドRDYは、位置補正手段19内の積分手段20にも入力され、コマンドRDYが入力されると、積分手段20内の積分量を0にする。すなわち補正位置偏差量θcdを0とする。
したがって、この発明の実施例7によれば、補正位置偏差量θcdが累積し、モータ制御装置内で用意したメモリ等のデータ量を超えてしまって制御系が不安定になることを抑制できる。
【0048】
尚、実施例6に基づいているが、実施例7に追加された事項は実施例1に追加した場合でも上記と同様の効果を奏することができる。
【実施例8】
【0049】
第12図はこの発明の他の実施例によるモータ制御装置のブロック図である。第12図中、第11図と同一符号は同一または相当部分を示す。以下、第11図に示す実施例6との違いについて説明する。この実施例においては、実施例6に対し、補正位置偏差量θcdを基に電流制限値制御手段31が所定の条件を基に電流制限手段11が出力する電流指令値Irlを変更する。
【0050】
第13図はこの発明の実施例7における電流制限値制御手段31が行う制御処理を示すフローチャート図である。位置/速度運転切替コマンドMODが速度運転モード(絶対的な位置の追従性を要求しないモード)時(S121)で、かつ、ドループキャンセル量θ
cdがモータ制御装置内で用意されているデータ量のある規定値(α%)以上となった場合(S122)、電流制限手段11が出力する電流指令値Irlの最大値を加速時と減速時とで分け、加速時の制限値を減速時の最大値よりある比率(β%)で小さくする(S123)。一般的に、減速時が位置指令との偏差が大きくなり補正位置偏差量θcdは、減速時に行われる補正位置偏差量θcdの符号で累積していく。このため、長時間の運転時により補正位置偏差量θcdがモータ制御装置内で用意されているデータ量に近づいた場合には、加速時のトルク制限を大きくし、加速時の補正位置偏差量θcdを減速時のキャンセル量より大きくして、累積値を一定に保つ。なお、補正位置偏差量θcdが再びモータ制御装置内で用意されているデータ量のある規定値(γ%)以下となった場合(S124)、電流制限器11の制限値をもとの規定値に戻す(S125)。
【0051】
したがって、この発明の実施例8によれば、実施例7の発明に加え、補正位置偏差量θcdが累積し、モータ制御装置内で用意したメモリ等のデータ量を超えてしまって制御系が不安定になることをさらに抑制することができる。
【0052】
尚、実施例7に基づいているが、実施例8に追加された事項は実施例1に追加した場合でも上記と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明に係るモータの制御装置は、NC装置の主軸モータ制御の用途として用いられるのに適している。
Claims (11)
- 被制御対象を駆動するモータの回転位置の情報である位置信号と、前記モータの回転位置を指令する位置指令信号と前記位置信号との偏差である位置偏差信号とに基づいて前記モータを制御するとともに、外部にて入力される入力位置指令信号を前記位置指令信号として用いる位置制御運転と、外部にて入力される入力速度指令信号から積分により換算される信号を前記位置指令信号として用いる速度制御運転と、を切り換えて前記モータを制御するモータの制御装置であって、
入力される信号に基づいて電流指令信号を出力する電流指令手段と、
前記電流指令信号に基づいて、前記モータへの出力電流を制限すると共にその出力電流制限時に電流制限信号を出力する電流制限手段と、
入力される信号を累積して積分値を出力する積分手段と、
前記電流制限信号が前記電流制限手段から出力され、かつ前記速度制御運転時に、前記位置指令信号から微分により換算される速度指令信号及び加減速度指令信号と前記位置偏差信号から前記積分値を減算した減算値とに基づいて、前記電流指令手段へ偏差制限信号を出力するとともに前記積分手段へ前記減算値から前記偏差制限信号を減算した入出力偏差信号を出力する偏差制限手段と、を備えた
ことを特徴とするモータの制御装置。 - 前記偏差制限手段は、前記加減速度指令信号が正の値の時に前記減算値が増大している場合は前記偏差制限信号を増大させず、前記加減速度指令信号が負の値の時に前記減算値が減少している場合は前記偏差制限信号を減少させないことを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。
- 前記電流制限手段が前記電流制限信号を出力していない時に、前記積分手段により前記入出力偏差信号を積分して出力される前記積分値の前記モータの一回転内の位置が0となるように一回転内補正量を算出する一回転内位置補正制御手段を備え、
前記一回転内補正量は前記積分手段の入力側に加算されることを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。 - 前記一回転内位置補正制御手段は、前記一回転内補正量を所定の加減速パターンに基づいて出力することを特徴とする請求項3に記載のモータの制御装置。
- 前記加減速パターンは、所定の最大速度と前記モータのトルク特性に応じて決定される加速度とに基づいて作成されることを特徴とする請求項4に記載のモータの制御装置。
- 前記偏差制限手段は、前記モータの巻線切り替え要求により巻線を切り替える際に、前記偏差制限信号を、前記電流指令手段から出力される前記電流指令信号が0となる値とすることを特徴とする請求項3に記載のモータの制御装置。
- 前記位置指令信号に基づいて前記被制御対象の特性を含む等価な位置制御系モデルから理想的なモータの理想位置信号を出力する位置ループモデル手段と、
前記理想位置信号と前記位置信号との偏差を微分して微分値を出力する微分手段と、
前記偏差制限手段から前記積分手段へ前記入出力偏差信号が出力されるのを不可とし、前記微分手段から前記積分手段へ前記微分値が出力されるのを可能とし、かつ前記減算値を前記偏差制限手段を介さずに前記電流指令手段へ出力されるのを可能とする切換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のモータの制御装置。 - 前記積分手段は、モータの一回転内位置の制御を必要としないとする信号が入力された場合、前記積分値を0とすることを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。
- 前記積分値が所定値以上となった場合に、前記電流制限手段から出力される前記電流制限信号の最大値を切り替える電流制限値制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。
- 被制御対象を駆動するモータの回転位置の情報である位置信号と、前記モータの回転位置を指令する位置指令信号と前記位置信号との偏差である位置偏差信号とに基づいて前記モータを制御するとともに、外部にて入力される入力位置指令信号を前記位置指令信号として用いる位置制御運転と、外部にて入力される入力速度指令信号から積分により換算される信号を前記位置指令信号として用いる速度制御運転と、を切り換えて前記モータを制御するモータの制御方法であって、
前記位置指令信号から速度指令信号及び加減速度指令信号を微分により換算する換算ステップと、
前記位置偏差信号から所定値を減算して減算値を算出する減算ステップと、
前記換算ステップにて換算された前記速度指令信号及び前記加減速度指令信号と前記減算ステップにて算出された前記減算値とに基づいて、偏差制限信号を出力するとともに前記減算値から前記偏差制限信号を減算した入出力偏差信号を出力する偏差制限ステップと、
前記偏差制限ステップにて出力された前記偏差制限信号に基づいて電流指令信号を出力する電流指令ステップと、
前記電流指令ステップにて出力された前記電流指令信号に基づいて、前記モータへの出力電流を制限すると共にその出力電流制限時に電流制限信号を出力する電流制限ステップと、を備え、
前記所定値は、前記偏差制限ステップにて出力された前記入出力偏差信号を累積して積分した積分値であり、
前記偏差制限ステップは、前記電流制限信号が前記電流制限ステップから出力され、かつ前記速度制御運転時に行われることを特徴とするモータの制御方法。 - 前記偏差制限ステップは、前記加減速度指令信号が正の値の時に前記減算値が増大している場合は前記偏差制限信号を増大させず、前記加減速度指令信号が負の値の時に前記減算値が減少している場合は前記偏差制限信号を減少させないことを特徴とする請求項10に記載のモータの制御方法。
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