JPH07111642B2 - スライディングモード制御方式 - Google Patents

スライディングモード制御方式

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JPH07111642B2
JPH07111642B2 JP63227262A JP22726288A JPH07111642B2 JP H07111642 B2 JPH07111642 B2 JP H07111642B2 JP 63227262 A JP63227262 A JP 63227262A JP 22726288 A JP22726288 A JP 22726288A JP H07111642 B2 JPH07111642 B2 JP H07111642B2
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mode control
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龍一 小黒
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Yaskawa Electric Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、可変構造系(variable structure system)
におけるスライディングモード制御方式に関する。
〔従来の技術〕
制御系の一つに、可変構造系というものがある。これ
は、制御入力を決定する複数のパラメータの係数、すな
わちゲインの大きさを、制御の段階に応じて切り換える
ようにした系である。このなかで、状態平面の中にあら
かじめ設定されたすべり面に沿って被制御対象が動作す
るように制御入力のゲインを制御の段階に応じて切り換
える制御方法がスライディングモード制御である。
通常、状態平面上の指定軌跡、すなわちスライディング
カーブSlは、(1)式に示すように線形で与えられる。
Sl=CX1+X2 ……(1) ここで、X1=xr−x1,X2 x1:位置、xr:位置指令 また、制御入力Uは、 U=k1X1+k2X2+k3sign(X1) ……(2) のように与えられ、スライディングカーブSl=0を境界
として各変数の係数k1、k2、k3、すなわちゲインを任意
に切り換えて制御入力Uが作られる。
ところが、この方式はゲインの切換が複雑であるばかり
でなく、ロバスト性(堅牢性)を強くするためには、パ
ラメータの変動幅に応じてk1〜k3を例えば±1に切り換
えるなど、大幅な切り換えを行う必要がある。このため
Sl=0を境界として制御入力Uが大幅に変動して、電流
のチャタリングが大きくなり、機械系を加振するおそれ
がある。すなわち、電流の高周波成分が機械系の共振周
波数に近づくと機械系が共振するのである。このことを
解決するため、第5図に示すように、Sl=0のδ近傍
で、 U=keSl ……(3) とし、速度ループゲインkeを大きくとり、強ゲインのフ
ィードバックをかける方式もJ.A.バートンらにより提案
されている(J.A.Burton et al.Int.J.Syst.Sel.17,875
(1986))。
しかし、この制御方式は、位置ループゲインC、速度ル
ープゲインkeの比例制御とまったく同じであり、通常電
流ループは遅れ要素をもっているため、速度ループゲイ
ンkeはそれほど大きくできず、大きくとれば速度ループ
は振動的になってしまい、結果としては機械系を加振す
ることになる。
第6図にkeを大きくとった場合の例を示している。第6
図(a)は位置xの単位ステップ応答、(b)は(a)
の位置決めを行ったときの速度vの単位ステップ応答を
それぞれ表しており、電流ループは一次遅れ、時定数は
1.6×10-4(sec)、 とした例を示している。ただし、kTはトルク定数、Jは
慣性モーメントである。このように、速度ループゲイン
keを大きくとると、速度ループが振動的となり、機械系
を加振することになる。
このような問題点を解決する制御方式として、本出願人
は先に、予め指定したスライディングカーブに対して実
軌跡の存在領域の判定を行い、前記カーブからの、ずれ
の距離に応じて、制御入力を決定するゲインを調整する
方式を提案した(特開昭60−189019号公報)。この方式
を適用することにより、軌跡のリップルを小さくして外
乱及びパラメータ変化に強い高精度位置決め又は速度制
御が可能となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、この方式は、実軌跡とスライディングカーブ
からのずれの距離に応じてゲイン調整を連続的に行うも
のであり、むだ時間のない系に対しては有効であるが、
むだ時間が無視できない系に対しては、ゲイン調整が連
続的に行われるため、制御系が不安定になり易いという
問題があった。さらに、この方法では、調整すべきゲイ
ンが複数であるため、制御系の構成が複雑になるという
問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたも
のであり、むだ時間のある系に対しても、安定な制御を
実現し、さらに調整すべきゲインを単一とすることによ
り、制御系の構成を簡素化することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この目的を達成するため、本発明のスライディングモー
ド制御方式は、スライディングモード制御を適用した位
置決め制御系において、 ゲイン切換線がSl=0で与えられ、制御入力がU=keSl
+ksX1で与えられた場合、切換ゲインをksのみとし、位
置決め制御時の位相平面上の実軌跡の状態Sl・X1が負か
ら正に変化した時のみ、その度に切換ゲインks(n)の
絶対値を、1回ずつ微小量Δks減少させることにより位
置決めを行うことを特徴とする。
但し、Sl=CX1+X2、Sl1=C1X1+X2、 Sl2=C2X1+X2(C2>C1>C)、 X1=xr−x1、X2、 xrは位置決め指令、 x1は位置フィードバック さらに本発明は、スライディングモード制御を適用した
位置決め制御系において、ゲイン切換線がSl=0で与え
られた場合、位置決め制御時の位相平面上の実軌跡の状
態Sl1・X1が負になった場合はks(n)をSlの積分制御
で調整し、Sl2・X1が負になった場合はks(n)を制御
パラメータの変動に十分対応できる値をもつ初期値k
s(0)に再設定することを特徴とする。
但し、Sl=CX1+X2、Sl1=C1X1+X2、 Sl2=C2X1+X2(C2>C1>C)、 X1=xr−x1、X2、 xrは位置決め指令、 x1は位置フィードバック 〔実施例〕 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
第2図はスライディングモード制御方式で制御される電
動機制御系のブロック図である。図示されているスライ
ディングモードコントローラにおいては、第1図のフロ
ーチャートで表される処理が行われる。
本発明の制御入力Uを(4)式で与える。ただし、ke
速度ループゲイン、ksは補償ゲイン、Slは指定軌跡関
数、kTはモータ定数、Jは慣性モーメント、dは摩擦、
τは電流ループ時定数である。
U=keSl+ksX1 ……(4) 前掲の(1)式のように、Sl=CX1+X2としたとき、そ
の微分方程式は次式で表される。
スライディングモード発生条件はSll≦0であるか
ら、 上式が常に成立するためには、 Sl・X1≧0のとき、 これよりks=0とした。
Sl・X1<0のとき、 という条件が必要となる。
また、電流ループの時定数をτとすると、一般的に速度
ループがオーバーシュートしない条件は、 である。
したがって、 となる。
以上をまとめると、(5),(6)式の条件となる。
(a) Sl・X1≧0のとき、 (b) Sl・X1<0のとき、 本発明は、(6)式のksを調整するもので、Jの最大値
をJmaxとしたときksの初期値ks(0)を(7)式で与
え、第3図に示すように実軌跡がSl・X1<0からSl・X1
>0になったとき(8)式の調整を行い、Sl1・X1<0
になったとき(9)式の調整を行う。Sl2・X1<0にな
ったとき、オーバーシュートを回避するためにks=k
s(0)とし、ksが十分大きな値であるks(0)に設定
されるようにする。
ks(n)=ks(n−1)+Δks ……(8) Δks>0 n=1,2,3・・・ ks(n)=ks(n−1)+kI∫Sldt ……(9) kI>0 但し、Sl1=C1X1+X2 ……(10) C1>0 Sl2=C2X1+X2 ……(11) C2>C1>C (8)式のΔksとしては、余り小さな値であるとksの収
束が遅れ、余り大きな値であるとksの1回分の変動が大
きくなり、等価制御入力が得られない。そこで、適当な
値を選ぶことになるが、例えば、サンプリングタイムTs
と位置決め整定時間TCとの比Ts/TCを初期ゲインk
s(0)に乗じたものをΔksとすることを一つの目安と
することができる。例えば、サンプリングタイムTsが10
0μs、位置決め整定時間TCが10msの場合、Δks=k
s(0)/100と設定することができる。
このように、制御入力が切り換わるごとにksの絶対値を
下げていくことにより、最終的には、等価制御入力Ue
して、 に近い制御入力が得られ、チャタリングを抑制すること
が可能となる。
等価入力は正確にはSl=0上で得ることができ、その値
となる。
スライディングモード制御では、Sl=0上で U=ks(n)・X1 ……(14) を得るが、ks(n)の初期値ks(0)は通常、 となるように設定する。
本発明では、実軌跡がSl・X1<0からSl・X1>0になっ
たとき、ks(n)=ks(n−1)+Δksとしてksを修正
するため、Δksが正の小さい値をもっていれば、何回か
の修正の後に、 となることから、(12)式で表された等価制御入力Ue
近い制御入力が得られることが説明できる。
|ks|を小さくしすぎた場合、ksは(9)式により補正さ
れる。本発明では、Sl・X1<0からSl・X1>0になった
とき、各々1回ずつksの調整を行うため、系のむだ時間
がある場合でも、むだ時間により軌跡の変化がない間に
ksの調整を行うことはない。このため、むだ時間に対し
ては安定である。
制御入力は、位置決め原点近傍では、(8)式及び
(9)式の補正によりほとんどチャタリングをおこさな
い。第4図(b)に、本発明により切換ゲインksを調整
した場合の制御入力の概略を示す。
以上の本発明による処理は、マイクロプロセッサを用い
てサンプリングタイム毎に状態軌跡を監視することによ
り、オンラインで切換ゲインの調整を行うことができ、
その調整は第2図のように簡単なものであるため、簡単
なソフトウエアで実現することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、マイクロプロセ
ッサを用いてサンプリングタイム毎に実軌跡の状態Sl・
X1の値を把握することができるため、この値によってオ
ンラインで切換ゲインの調整を行うことができ、その調
整は簡単なものであるため、簡単なソフトウェアで実現
することができる。また、このゲイン調整により最終的
には等価制御入力が得られ、電流のチャタリングを抑制
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示すフローチャート、第2図
はスライディングモード制御系のブロック図、第3図は
本発明による状態平面上のゲイン切換の様子を説明する
ための図、第4図は制御入力応答の比較を示す図、第5
図は状態平面における従来の制御法の説明図、第6図は
keを大きくしたときの位置x及び速度vの単位ステップ
応答を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スライディングモード制御を適用した位置
    決め制御系において、 ゲイン切換線がSl=0で与えられ、制御入力がU=keSl
    +ksX1で与えられた場合、切換ゲインをksのみとし、位
    置決め制御時の位相平面上の実軌跡の状態Sl・X1が負か
    ら正に変化した時のみ、その度に切換ゲインks(n)の
    絶対値を、1回ずつ微小量Δks減少させることにより位
    置決めを行うことを特徴とするスライディングモード制
    御方式。 但し、Sl=CX1+X2、Sl1=C1X1+X2、 Sl2=C2X1+X2(C2>C1>C)、 X1=xr−x1、X2、 xrは位置決め指令、 x1は位置フィードバック
  2. 【請求項2】スライディングモード制御を適用した位置
    決め制御系において、 ゲイン切換線がSl=0で与えられた場合、位置決め制御
    時の位相平面上の実軌跡の状態Sl1・X1が負になった場
    合はks(n)をSlの積分制御で調整し、Sl2・X1が負に
    なった場合はks(n)を制御パラメータの変動に十分対
    応できる値をもつ初期値ks(0)に再設定することを特
    徴とするスライディングモード制御方式。 但し、Sl=CX1+X2、Sl1=C1X1+X2、 Sl2=C2X1+X2(C2>C1>C)、 X1=xr−x1、X2、 xrは位置決め指令、 x1は位置フィードバック
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