JP4434016B2 - 圧電/電歪膜型素子の製造方法 - Google Patents

圧電/電歪膜型素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4434016B2
JP4434016B2 JP2004525795A JP2004525795A JP4434016B2 JP 4434016 B2 JP4434016 B2 JP 4434016B2 JP 2004525795 A JP2004525795 A JP 2004525795A JP 2004525795 A JP2004525795 A JP 2004525795A JP 4434016 B2 JP4434016 B2 JP 4434016B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
electrostrictive
coating liquid
coating
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004525795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2004013918A1 (ja
Inventor
孝生 大西
真寛 村里
裕樹 別所
伸夫 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Publication of JPWO2004013918A1 publication Critical patent/JPWO2004013918A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4434016B2 publication Critical patent/JP4434016B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/01Manufacture or treatment
    • H10N30/07Forming of piezoelectric or electrostrictive parts or bodies on an electrical element or another base
    • H10N30/074Forming of piezoelectric or electrostrictive parts or bodies on an electrical element or another base by depositing piezoelectric or electrostrictive layers, e.g. aerosol or screen printing
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/01Manufacture or treatment
    • H10N30/05Manufacture of multilayered piezoelectric or electrostrictive devices, or parts thereof, e.g. by stacking piezoelectric bodies and electrodes
    • H10N30/053Manufacture of multilayered piezoelectric or electrostrictive devices, or parts thereof, e.g. by stacking piezoelectric bodies and electrodes by integrally sintering piezoelectric or electrostrictive bodies and electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/20Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators
    • H10N30/204Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators using bending displacement, e.g. unimorph, bimorph or multimorph cantilever or membrane benders
    • H10N30/2047Membrane type

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

本発明は、圧電/電歪膜型素子の製造方法に関し、より詳しくは、共振周波数が大きな圧電/電歪膜型素子を、各電極の導通を確保しながら効率よく製造することができる圧電/電歪膜型素子の製造方法に関する。
近年、圧電/電歪膜型素子が、変位制御素子、個体素子モータ、インクジェットヘッド、リレー、スイッチ、シャッター、ポンプ、光変調デバイス、又はフィン等の種々の用途に用いられている。当該圧電/電歪膜型素子は、微小変位を制御することができる他、高電気/機械変換効率、高速応答性、高耐久性、及び少消費電力等の点でも優れた特性を有するものであるが、近年にあっては、インクジェットヘッド等の用途で、印字品質及び印字速度の向上等の要請から、より高速の応答が可能な素子が求められている。
ところで、当該圧電/電歪膜型素子にあっては、セラミックスからなる基体上に、下部電極と、圧電/電歪層と、上部電極とを順に積層した圧電/電歪作動部を設けて作製されるのが一般的であるが、両電極間の絶縁を確保して圧電/電歪層の絶縁破壊を回避するために、図15に示すような下部電極77の上面を覆い、かつ端部が基体44上へ突出する大きさとした圧電/電歪層73を設けた圧電/電歪膜型素子30が開発されている(特開平6−260694号公報参照)。
また、従来の圧電/電歪膜型素子30では、この圧電/電歪層73の突出部分79と基体44の間に非連続面を生じ、これが上部電極75の断線の原因となることがあったことから、当該圧電/電歪層73の突出部分79と基体44の間隙に所定の樹脂層を充填したものも開示されている(上記公報参照)。
もっとも、この当該樹脂層を設ける圧電/電歪膜型素子は、圧電/電歪膜型素子が極めて微小なこともあり、上記樹脂層を特定の箇所にのみ塗布することが困難で、当該樹脂層が電極全体を覆って形成されているのが現状である。
然るに、圧電/電歪膜型素子は、通常、多数の素子を電気的に連結して配列して用いられるため、各素子の電極が、他の素子や、外部の導通手段と導通が可能な状態で製造されることが、最終製品を効率よく製造する上で極めて重要である。それにも拘らず、前述の圧電/電歪膜型素子を製造するに際しては、かかる点が全く考慮されていなかったため、当該樹脂層の形成後、各電極上に形成された樹脂層の一部を除去する作業が必要であった。そればかりか、除去の際に残存させる樹脂層に亀裂等の損傷を発生させたり、更には、除去した樹脂層の一部が粉塵となって素子の各所に残存し、電気特性検査時に接触が不完全となったりする障害を生じる場合もあった。
また、従来の圧電/電歪素子では、圧電/電歪層の突出部分と基板間の連結は、屈曲変位又は発生力に悪影響を及ぼすとの認識に基づき、素子の剛性を大きくすることは全く考慮されていなかったため、より高速な応答性を可能にするという近年の要請には必ずしも充分に対応し得るものではなかった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、共振周波数が大きく、かつ各電極の導通が確保された圧電/電歪膜型素子を効率的に製造することができる圧電/電歪膜型素子の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、セラミックスからなる基体と、同基体上に下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を含む圧電/電歪作動部が設けられた圧電/電歪膜型素子であって、圧電/電歪層が少なくとも一個の電極を超えて設けられており、且つ、その端部は前記少なくとも一個の電極よりも突き出ている素子の製造方法であって、圧電/電歪作動部を構成する圧電/電歪層を、その端部を突出させ、且つ、前記少なくとも一個の電極より広い範囲に形成させる工程と、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合して調整した塗布液を、少なくとも圧電/電歪層の突出した端部と基体との間隙に充分に浸入させると共に前記少なくとも一個の電極の所定の部分のみを塗布するに充分な塗布量で塗布する工程と、塗布液を乾燥して、圧電/電歪層の突出した端部と基体とを連結する連結材を形成する工程を含む圧電/電歪膜型素子の製造方法(以下、「サンドイッチ型圧電/電歪膜型素子の製造方法」ということがある。)を提供するものである。
また、本発明においては、圧電/電歪作動部が、電極及び圧電/電歪層を交互に複数積層した多層構造の圧電/電歪膜型素子を製造することも可能である。その場合には、圧電/電歪作動部の各圧電/電歪層を、その端部を突出させ、且つ、目的とする電極より広い範囲に形成させればよい。この態様を、以下「多層型圧電/電歪膜型素子の製造方法」ということがある。また、本発明において、多層構造とは、電極と圧電/電歪層とが複数層交互に積層され、そして、圧電/電歪層は、少なくとも2層から構成され、電極は少なくとも3層から構成される構造をいう。
ここで、本明細書中において、圧電/電歪層の突出させた端部を、以下「圧電/電歪層の突出部分」といい、これは、圧電/電歪層の下面及び/又は上面が、何れかの電極の上面及び/又は下面と接触して居らず、該電極の端部を超えて突き出し形成されている部分をいう。また、電極とは、圧電/電歪層に接触している印加部分の他、電極に導通をとるために配設される端子部分をも含む意味である。
本発明においては、塗布液を塗布する際に、塗布液を加圧して供給する加圧供給手段と、この加圧供給手段の供給路に設けられ、塗布液の供給の切り替えを行う切り替え手段と、この加圧供給手段の供給路から導入される塗布液を外部に吐出する吐出ヘッドとを備え、当該吐出ヘッドが、加圧供給手段の供給路に連通する塗布液導入路、塗布液導入路が開口する加圧室、及び加圧室に連通し、外部に開口する1以上の塗布液吐出路又は吐出ノズルを有する基体と、この基体上の加圧室に対応する位置に設けられる圧電/電歪作動部とを有してなり、切り替え手段の開放時に、圧電/電歪作動部の屈曲変位で、加圧室に導入された塗布液が微粒化した液滴状態で連統的に吐出される塗布装置、或いは、塗布液を、塗布液供給源に連通する塗布液導入路と、この塗布液導入路が開口する加圧室と、この加圧室に連通し、外部に開口する1以上の塗布液吐出路を有する基体と、この基体上の該加圧室に対応する位置に設けられる圧電/電歪作動部とを有してなり、圧電/電歪作動部の屈曲変位に応じて、加圧室に導入された塗布液が微粒化した液滴状態で吐出される塗布装置を用いることが好ましい。
また、本発明においては、前者の塗布装置の場合には、異なる口径の複数の塗布液吐出路を有する吐出ヘッドを備えるもの、或いは各吐出ヘッド間で塗布液吐出路の口径が異なる複数の吐出ヘッドを備えるものを用い、後者の装置の場合には、異なる口径の複数の塗布液吐出路を有するものを用いて、吐出位置によって異なる量の塗布液を塗布することが好ましい。また、塗布液の塗布は、少なくとも基体又は圧電/電歪層の何れかを振動させながら行うことが好ましい。
図1は、本発明の製造方法により得られるサンドイッチ型圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
図2は、本発明の製造方法により得られるサンドイッチ型圧電/電歪膜型素子の他の例を示す一部断面図である。
図3は、本発明の製造方法により得られるサンドイッチ型圧電/電歪膜型素子の更に他の例を示す一部断面図である。
図4は、本発明の製造方法により得られる多層型圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
図5は、本発明の製造方法により得られる多層型圧電/電歪膜型素子の他の一例を示す一部断面図である。
図6は、本発明の製造方法により得られる多層型圧電/電歪膜型素子の更に他の一例を示す一部断面図である。
図7は、本発明の製造方法において、異なる吐出量の塗布液を塗布した直後の圧電/電歪膜型素子の状態を模式的に示す上面図である。
図8(a)は、本発明の製造方法で用いられるオンデマンド式の吐出装置の上面図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A断面図である。
図9(a)は、本発明の製造方法で用いられる連続式の吐出装置を模式的に示す全体図であり、図9(b)は、図9(a)の吐出ヘッドの部分を示す一部拡大断面図である。
図10は、図8(a)のB−B断面図である。
図11は、本発明の製造方法において、異なる粘度の塗布液を塗布した直後の圧電/電歪膜型素子の状態を模式的に示す上面図である。
図12は、本発明の製造方法により得られる圧電/電歪膜型素子を用いた表示素子の一例を示す断面図である。
図13は、本発明の製造方法により得られる圧電/電歪膜型素子を用いたインクジェットプリンタヘッドの一例を示す断面図である。
図14(a)は、本発明の製造方法により得られる微拘束力層付きの多層型圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
図14(b)は、本発明の製造方法により得られる気孔が充填された多層型圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
図15は、従来の圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
以下、本発明の圧電/電歪膜型素子について実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明のサンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子は、セラミックスからなる基体上に、下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を含む圧電/電歪作動部を設けたものであって、圧電/電歪層を、少なくとも一個の電極を超えて形成された突出部分が形成されるように設ける工程と、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合して調整した塗布液を、少なくとも圧電/電歪層のうちの突出している端部と基体との間隙に充分に浸入させると共に、前記の少なくとも一個の電極の所定の部分のみを塗布するに充分な塗布量で塗布する工程と、塗布液を乾燥して、圧電/電歪層の突出した端部と基体とを連結する連結材を形成する工程を含むものである。本発明は、電極及び圧電/電歪層を交互に複数積層して形成した多層構造の圧電/電歪作動部を有するものにも適用可能である。その場合には、圧電/電歪作動部の各圧電/電歪層を、それぞれ目的とする少なくとも一個の電極より広い範囲で設けてその端部を突出させればよい。なお、ここで、圧電/電歪層の端部が、少なくとも一個の電極を超えて設けられている電極とは、好ましくは、下部電極である。勿論、本発明においては、サンドイッチ型のみならず、多層構造からなる圧電/電歪素子においても、性能に著しい悪影響を与えない限り、圧電/電歪層の端部が、総ての電極を超えて設けられていてもよい。これにより、従来の圧電/電歪膜型素子と同等以上の屈曲変位量を有しながら、高速応答性にも優れる圧電/電歪膜型素子を、電極上に形成された被覆層の除去等の作業を要することなく各電極の導通を確保した状態で製造することができる。以下、図面を参照しつつ、本発明について、具体的に説明する。
図1〜6に示すように、本発明で用いられる基体44としては、例えば、薄板状の振動部66と厚肉のセラミックス部材からなる固定部68とを一体化した構造のものを挙げることができる。また、これらの構造の基体44では、薄板状の振動部66が、圧電/電歪層73を設ける位置以外で固定部68と固着しており、通常、圧電/電歪層73を設ける位置に対応して、振動部66の下部にキャビティ48が設けられる。
また、振動部66は、図3、及び図6に示すように、厚さ方向の断面が矩形の平板でもよいが、図2、及び図5に示すように、振動部66の中央部がキャビティ48の方向へ屈曲した形状、或いは図1、及び図4に示すように、厚さ方向の断面がW形状をなすものが、屈曲変位が大きな点で好ましく、後者のW形状のものが特に好ましい。
図2、及び図5に示すような屈曲形状や、図1、及び図4に示すようなW形状の振動部66は、圧電/電歪層73の焼成工程の際に、圧電/電歪膜の短手方向への収縮を利用したり、圧電/電歪層73の上部と下部との焼成収縮開始タイミングや、焼成収縮量、更には振動部66の形状を調整することにより形成することができる。
本発明において振動部66の厚さは、素子の機械的強度を確保しながらも、剛性の増大により圧電/電歪層73の屈曲変位を低下させない範囲とすることが好ましく、具体的には、1μm〜50μmの厚さが好ましく、3〜50μmの厚さがより好ましく、3〜12μmの厚さが特に好ましい。又、固定部68の厚さは、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
また、基体44の圧電/電歪作動部78を載置する面の形状としては、特に矩形形状に限られるものではなく、円形でも構わず、三角形等の四角形以外の多角形でも構わない。
本発明で用いられる基体44は、セラミックス材料で作製すればよいが、振動部66上に積層した圧電/電歪層73又は電極75、77等の加熱処理の際に変質しない耐熱性及び化学的安定性に優れる材料で作製することが好ましい。また、基体44は、当該基体44上に形成される下部電極77に通じる配線の電気的な分離を行うため、電気絶縁材料で作製することが好ましい。
具体的には、例えば、(安定化された)酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化セリウム、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、及びガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種のセラミックスを挙げることができる。中でも、機械的強度が大きく靭性に優れるため、構造上薄く振動が負荷される振動部66の耐久性を向上させることができ、しかも、化学的安定性が高く、圧電/電歪層73や電極75、77と反応性が極めて小さい点で、安定化された酸化ジルコニウムを含むものが好ましい。
また、安定化された酸化ジルコニウムとしては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム又は希土類金属の酸化物等の安定化剤を含有するものを挙げることができる。また、これら安定化剤の添加量は、酸化イットリウムや酸化イッテルビウムの場合にあっては、1〜30モル%が好ましく、1.5〜10モル%がより好ましい。また、酸化セリウムの場合にあっては、6〜50モル%が好ましく、8〜20モル%がより好ましい。また、酸化カルシウムや酸化マグネシウムの場合にあっては、5〜40モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
また、これら安定化剤の中でも特に酸化イットリウムを添加したものが好ましく、その場合の添加量としては、1.5〜10モル%がより好ましく、2〜4モル%が特に好ましい。
また、当該振動部66は、上記セラミックスの他、焼結助剤として用いられる粘土等に含まれる酸化珪素、酸化ホウ素等の成分を含有するものであってもよい。但し、これらの成分が過剰に含まれると、基体44と圧電/電歪層73との反応により、圧電/電歪層73の特定の組成を維持することが困難となり、圧電/電歪特性を低下する原因となる。従って、本発明における基体44の振動部66では、粘土等に含まれる酸化珪素、酸化ホウ素等は、振動部66を構成する材料中、20質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
また、振動部66を構成するセラミックスは、当該振動部66の機械的強度を高めるため、結晶粒の平均粒径が、0.05〜2μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。
次に、本発明の製造方法は、図1〜3に示すようなサンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子10の場合には、上記基体上44に下部電極77、圧電/電歪層73及び上部電極75を積層した圧電/電歪作動部78を設け、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪膜型素子20の場合には、基体上44に、電極75〜77及び圧電/電歪層71、72を交互に複数積層した多層構造の圧電/電歪作動部78を設ける。そして、本発明においては、何れの圧電/電歪膜型素子10(20)の場合でも、圧電/電歪作動部78の圧電/電歪層73(71、72)を、電極75〜77(サンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子では、下部電極77、及び上部電極75)の内の少なくとも一個の電極部分より広い範囲で設けてその端部を突出させる。
これにより、何れの圧電/電歪膜型素子10(20)においても、電極75、77(75〜77)の絶縁が確実に確保され、絶縁破壊や短絡のない圧電/電歪膜型素子10(20)とすることができる。なお、本発明において、図4〜6に示すような多層構造の圧電/電歪膜型素子20とする場合には、圧電/電歪作動部78全体の剛性が大きくなり、後述する接合材との相乗効果により、共振周波数の大きな、高速応答が可能な圧電/電歪膜型素子とすることができる点で、多層構造からなる圧電/電歪作動部78の、最上層と最下層に、電極75、77を配置することが好ましい。
本発明において電極75、77(75〜77)の材料としては、室温で固体であり、電極と基体及び/又は圧電/電歪層を一体化する焼成の際の高温酸化雰囲気に耐えられ、導電性に優れた材料で構成されていることが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、若しくは鉛等の金属単体、又はこれらの合金を挙げることができる。また、これらの金属に、圧電/電歪層、又は酸化ジルコニウム、酸化セリウム、若しくは酸化チタン等の前述した基体44を構成する材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
また、本発明において電極75、77(75〜77)の材料の選択に際しては、圧電/電歪層73(71、72)の形成方法を考慮することが好ましい。例えば、図1〜3に示すサンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子10の製造方法においては、圧電/電歪層73の加熱処理の際に既に基体44上に形成されている下部電極77は、その圧電/電歪層73の加熱処理温度においても変化しない白金族の単体、白金族の単体と金及び/又は銀との合金、白金族同士の合金、或いは白金族の異なる2種以上の金属、金及び/又は銀との合金等の高融点金属を用いることが好ましい。また、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪膜型素子20の製造方法においても、各圧電/電歪層71、72をの加熱処理の際に既に形成されている最下層に位置する電極77及び各圧電/電歪層71、72間に設けられる中間の電極76は、上記高融点金属を用いることが好ましい。
一方、図1〜3に示すサンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子10において、圧電/電歪層73を加熱処理した後に、当該圧電/電歪層73上に形成される上部電極75、或いは図4〜6に示す多層型の圧電/電歪膜型素子20において、最上層に位置する電極75にあっては、低温で電極形成を行うことができるので、上記高融点金属の他、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を用いてもよい。
また、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪膜型素子において、最下層に位置する電極77、および各圧電/電歪層71、72間に設けられる中間電極76にあっては、白金等を主成分とする電極材料に、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、又は酸化チタン等の添加物を含有する材料を用いることも好ましい。理由は定かではないが、このような材料で構成させることにより、電極と圧電/電歪素子間の剥離を防止することができる。また、上記各添加物は、全電極材料中、0.01〜20質量%含有させることが所望の剥離防止効果が得られる点で好ましい。
本発明において、電極を形成する方法としては、例えば、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、メッキ、スクリーン印刷、スプレー、又はディッピング等を挙げることができる。
本発明において、電極75、77(75〜77)の厚さは、用途に応じて適当な厚さとすればよいが、過剰に厚いと電極が緩和層として作用し、屈曲変位が小さくなり易いため、15μm以下の厚さであることが好ましく、5μm以下の厚さであることがより好ましい。
次に、本発明において圧電/電歪層73(71、72)は、図1〜3に示すようなサンドイッチ型の圧電/電歪膜型素子の場合には、所定の圧電/電歪材料を電極75、77上に塗布した後、所定の温度で加熱処理して得ることができる。また、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪素子20の場合には、最下層、及び中間層に位置する電極75〜77間にそれぞれ圧電/電歪材料を積層した際、又は各圧電/電歪層71、72を総て積層した後、所定の温度で加熱処理して得ることができる。
本発明で用いられる圧電/電歪材料としては、加熱処理後、圧電/電歪等の電界誘起歪みを起こす材料であればよく、結晶質でも非晶質でもよい。また、圧電/電歪材料は、半導体、強誘電体セラミックス、又は反強誘電体セラミックス何れでもよく、用途に応じて適宜選択し採用すればよい。
具体的な材料としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、又はタンタル酸ストロンチウムビスマスを1種単独で、又は2種以上含有するセラミックスを挙げることができる。
特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を有し、圧電/電歪膜の焼結時におけるセラミックス基体との反応性が小さく、安定した組成のものが得られる点おいて、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)、及び/又はマグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、又はチタン酸ナトリウムビスマスを主成分とする材料が好ましい。
更に、これらセラミックス材料に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、又はスズ等の酸化物の1種単独で、又は2種以上添加した微量成分を含有する材料を用いてもよい。例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタン酸鉛、及び/又はマグネシウムニオブ酸鉛にランタンやストロンチウムを含有させることにより、坑電界や圧電特性を調整することができる場合がある。
これら圧電/電歪材料は、例えば、酸化物混合法により調製することができ、例えば、PbO、SrCO、MgCO、Nb、及びZrO等からなる原料粉末を所定の組成になるように秤量して、混合、仮焼、粉砕する方法によって調製することができる。また、他の方法としては、共沈法やアルコキシド法等を挙げることができる。
また、圧電/電歪材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、若しくは電気泳動法等の各種厚膜形成法、又はイオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、若しくはメッキ等の各種薄膜形成法を挙げることができ、中でも、良好な圧電/電歪特性を有する圧電/電歪層73が得られる点で、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、又は電気泳動法等の厚膜形成法が好ましい。
なお、前述した突出部分79を設けるには、圧電/電歪材料を、少なくとも一個の電極を覆うより広い範囲で、印刷、又は塗布等すればよい。本発明において、当該突出部分79は、基体44に一部結合させてもよいが、屈曲変位の低減を回避するには、基体44に直接的には非結合状態であることが好ましい。また、このような非結合状態とするには、例えば、基体44を、酸化ジルコニウム等の当該圧電/電歪材料と加熱処理時における反応性が低い材料で作製することが好ましい。
また、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪膜型素子20とする場合には、例えば、基体44上に電極77を積層した後、圧電/電歪材料を、上記各種方法により、複数の電極75、76と交互に積層すればよい。
本発明において、圧電/電歪材料からなる層の厚さは、素子の機械的強度、及び所望の屈曲変位の確保という点から、基体の振動部66の厚さとほぼ同等の厚さとすることが好ましい。具体的には、基体の振動部との厚さの比(振動部/圧電/電歪材料からなる層)が、0.1〜30であることが好ましく、0.3〜10であることがより好ましく、0.5〜5であることが特に好ましい。
振動部66との厚さの比(振動部/圧電/電歪材料からなる層)が、この範囲であれば、基体上に圧電/電歪材料を塗布した後、加熱処理して圧電/電歪層を形成する際に、圧電/電歪層の焼成収縮に基体(振動部)が追従し易く、剥離を生じることなく緻密な圧電/電歪層を形成することができる。また、圧電/電歪層の屈曲による振動に対して充分な耐性を付与することができる。
もっとも、圧電/電歪材料からなる層は、素子の小型化等を可能とするために、その厚さが5〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが特に好ましい。
また、図4〜6に示すような多層型の圧電/電歪膜型素子20の場合には、薄膜状の多層型圧電/電歪膜型素子とすることで、アスペクト比を高くすることができるため、圧電/電歪材料からなる層の1層当たりの厚さを、30μm以下と薄くすることが好ましい。更には、複数の圧電/電歪材料からなる層を下層から順に徐々に薄くして形成することが好ましく、例えば、下からn番目の圧電/電歪材料からなる層の厚さtが、式t≦tn−1×0.95を満たすように形成することが好ましい。圧電/電歪層の歪み量は、同じ駆動電圧では、圧電/電歪層の厚さが薄い程大きいため、上部に形成される圧電/電歪層が、下部に形成される圧電/電歪層より大きく歪むようにすることで、曲げ効率を高め、屈曲変位をより有効に発現させることができる。
本発明において、圧電/電歪材料からなる層の加熱処理は、所定の圧電/電歪材料からなる層を形成した後、1000〜1400℃の温度で行うことが好ましい。また、当該加熱処理の際には、圧電/電歪材料における各成分の揮発を防いで、所望の組成の磁器組成物とするために、圧電/電歪材料と同組成の雰囲気制御材料を共存させて行うことが好ましい。
次に、本発明の製造方法は、図7に示すように、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合した塗布液を、少なくとも圧電/電歪層73の突出部分79と基体44との間隙に浸入させると共に、各電極75、77少なくとも一部を被覆しないように、符号1a、2及び3で示す位置にそれぞれ適量、吐出装置などを使用して適用して、放置し、表面張力を利用してその表面を覆うように塗布し後、乾燥して圧電/電歪層の突出部分と、基体とを連結する連結材を形成させる。本図は、塗布液を予め選定した位置1a、2、及び3にそれぞれ所望とする量適用した直後の状態を示すが、適用された塗布液は、適用後直ちに突出部分79と基体44との間隙に浸入していく。なお、本図においては、各電極の端子部分75a、および77aを被覆しない例を示す。勿論、塗布液の適用位置は、未被覆部分の形成箇所により適宜選定すればよい。
これにより、共振周波数が大きな圧電/電歪膜型素子を、各電極の外部との導通を簡単に確保できる状態で得ることができる。加えて、スピンコート法等で塗布する際必要となる電極上に形成される被覆層の剥離といった作業も不要となり、当該剥離によって発生する粉塵が原因となる2次的障害も防止することができる。
本発明において用いる塗布液は、流動し易い特性を有し、その塗布に際しては、数m/秒〜20m/秒の速度で数pL〜1000pLの微粒滴を塗布可能な塗布手段を用いることが好ましい。例えば、図8(a)(b)に示すような塗布液供給源81に連通する塗布液導入路92、この塗布液導入路92が開口する加圧室93、及びこの加圧室93に連通し外部に開口している複数の塗布液吐出路94を有する基体95と、この基体95上に加圧室93の位置に対応して設けられる圧電/電歪作動部96とを有してなり、圧電/電歪作動部96の屈曲変位に応じて、加圧室93の外壁が押圧されて加圧室93に導入された塗布液1が微粒化した液滴状態で吐出される塗布装置(以下、「オンデマンド式塗布装置」という。)或いは、図9に示すような塗布液1を加圧して供給する加圧供給手段101と、この加圧供給手段101の供給路102に設けられ、塗布液の供給の切り替えを行う切り替え手段103と、加圧供給手段101の供給路102から導入される塗布液1を外部に吐出する吐出ヘッド104とを備え、当該吐出ヘッド104が、加圧供給手段101の供給路102に連通する塗布液導入路105、この塗布液導入路105が開口する加圧室106、及びこの加圧室106に連通し外部に開口している複数の塗布液吐出路107を有する基体108と、この基体108上に加圧室106の位置に対応して設けられる圧電/電歪作動部109とを有してなり、切り替え手段103の開放時、圧電/電歪作動部109の屈曲変位により加圧室93の外壁が押圧されて、加圧室106に導入された塗布液1が微粒化した液滴状態で連続的に吐出される塗布装置(以下、「連続式塗布装置」という。)等の塗布装置を用いて行うことが好ましい。
オンデマンド式塗布装置によれば、塗布量を正確にコントロールでき、かつ塗布タイミングが正確であるため、所定の位置に所定の液量を正確に供給でき、塗布位置精度が向上し、塗布膜厚をより均一化することができる。
また、連続式塗布装置によれば、加圧供給手段により粘性の高い液体を微少量づつ大量に塗布することが容易になるため、塗布液の基板上での広がりが少なく塗布パターンの微細化が図れ、かつ微量の液滴を大量に供給できるため塗布時間の短縮が可能であり、効率よく圧電/電歪膜型素子を生産することができる。また、塗布に際しては、加圧するため、ノズルでの塗布液の乾燥による塗布不能となる確率が低減できより安定した塗布が可能となる。なお、図8(b)、及び図9(b)中、矢印は塗布液の流路を示す。
また、連続式塗布装置においては、加圧手段101と切り替え手段103の間に圧力調整用のレギュレータ121を配置することも塗布液量の安定性を向上できる点で好ましく、塗布液の応答性向上のため加圧手段101と切り替え手段103の間に圧力開放手段122を配置することも、同様の点で好ましい。
また、本発明において、連続式塗布装置又はオンデマンド式塗布装置を用いる場合には、図9(a)に示すようなXYステージ4上に圧電/電歪膜型素子10を固定して塗布液の塗布を行うことが、所定の位置に容易に塗布液を塗布できる点で好ましい。
また、本発明においては、これらオンデマンド式微細塗布装置と連続式微細塗布装置とを組み合わせて用いることが非常に微細なパターンで塗布することを可能としながら、より広範囲に効率的に塗布することができる点で好ましい。例えば、図7に示すように塗布液をそれぞれ所望とする量、所望とする位置1a、2、及び3に塗布する際には、広範囲な塗布を行う位置2に適用する塗布液の適用は連続式塗布装置で行い、限定された範囲に塗布を行う位置1aと3への塗布液の適用はより微細なパターンを形成するオンデマンド式塗布装置で行うことが好ましい。
より具体的には、圧電/電歪層73と基体44との間隙が開口する圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極75の端子部分75aと下部電極の端子部分77aからほぼ等距離に位置する部分2には連続式塗布装置で多量の塗布液を塗布し、当該圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極と下部電極の端子部分75aの近傍(端子部分75aから0.5mm以内)に位置する部分1a及び3にはオンデマンド式塗布装置で少量の塗布液を塗布することが好ましい。
このように塗布方式を組み合わせることにより、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aから最も離れた位置から多量の塗布液がその周囲に拡散して効率的に塗布することができるとともに、上部電極75及び下部電極77の端子部分75a、77aに近接する位置での少量の塗布により、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙のうち、上部電極75、及び下部電極77の端子部分75a、77aに近接する部分についても他の部分と同様に、各電極75、77への被覆を回避しながら塗布液を浸入させることができる。かくして、各電極の導通を確保した状態で、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙に所望の連結材を有する共振周波数が大きな圧電/電歪膜型素子を製造することができる。
また、本発明においては、図10に示すように、塗布装置における各塗布液吐出路94a、94b、94cの開口位置及び口径を調整して、所望の位置に、所望の量の塗布液を塗布することが好ましい。なお、図10は、オンデマンド式塗布装置を示すものであるが、連続式塗布装置であっても基本的に同様である。この際、各塗布液吐出路94a、94b、94cの開口位置又は口径は、必ずしも各塗布液吐出路94a、94b、94cを等間隔で開口させたり、各塗布液吐出路間で同一の口径とする必要はなく、各吐出ヘッド間、又は同一の吐出ヘッド内において、各塗布液吐出路94a、94b、94cの口径又は開口位置を異ならしめることも好ましい。
これにより、パターン精度の必要な個所と高度の精度を必要としない個所を同時に塗布・形成でき、所望の塗布パターンを効率的に行うことができる。より具体的には、口径及び開口位置の相互の影響を考慮の上、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙へ塗布液が浸入容易となり、かつ各電極の完全な被覆を回避できる位置又は口径とすればよく、例えば、図7に示すように、圧電/電歪層73と基体44との間隙が開口する圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aからほぼ等距離に位置する部分2に最も口径の大きな塗布液吐出路を開口させて最も多量の塗布液を塗布し、当該圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極と下部電極の端子部分77aの近傍(両端子部分75aから0.5mm以内)に位置する部分1aと3に最も口径の小さな塗布液吐出路を開口させて、少量の塗布液を塗布することが好ましい。
このように塗布量、塗布位置を調整することにより、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aから最も離れた位置から多量の塗布液がその周囲に拡散して効率的に塗布することができるとともに、上部電極75及び下部電極77の端子部分75a、77aに近接する位置での少量の塗布により、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙のうち、上部電極75の端子部分75a、下部電極77の端子部分77aに近接する部分についても他の部分と同様に、各電極の端子部分75aへの被覆を回避しながら塗布液を浸入させることができる。従って、各電極の導通を確保した状態で、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙に所望の連結材を有する共振周波数が大きな圧電/電歪膜型素子を製造することができる。
また、本発明においては、塗布位置及び塗布量の調整に加え、複数の塗布液吐出路を有する吐出装置、複数の吐出ヘッドを備える吐出装置、又は複数の塗布液吐出路を有する複数の吐出ヘッドを備える吐出装置を用いて、各塗布液吐出路に導入される塗布液の粘度又は組成を各塗布液吐出路毎に変化させて、塗布位置毎に異なる粘度又は組成の塗布液を塗布してもよい。例えば、図11に示すように、圧電/電歪層73と基体44との間隙が開口する圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aからほぼ等距離に位置する部分に、最も粘度の低い塗布液5を吐出し、当該圧電/電歪作動部78周縁部分のうち、上部電極75、及び下部電極77の端子部分75a、77aの近傍(両端子部分75aから0.5mm以内)に位置する部分に、粘度の高い塗布液4、6を吐出して塗布液を塗布することが好ましい。このように塗布位置に対応させて塗布液の粘度を変化させることにより、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aから最も離れた位置に粘度の低い塗布液を存在させて、より周囲に拡散させることができるとともに、上部電極75の端子部分75aと下部電極77の端子部分77aに近接する位置で粘度の大きな塗布液を存在させることで、粘度の低い塗布液の拡散を抑制しながら、圧電/電歪層の突出部分と基体との間隙のうち、上部電極75、及び下部電極77の端子部分75a、77aに近接する部分についても他の部分と同様に塗布液を浸入させかつ各電極75、77への被覆を回避することができる。
但し、本発明において、圧電/電歪層73の突出部分79と基材44を連結する連結材70を、大きな乾燥収縮を伴うことなく設けるには、塗布液は、溶液粘度が1000cP以下のものが好ましく、溶液粘度が300cP以下のものがより好ましく、溶液粘度が50cP以下のものが特に好ましい。また、オンデマンド式塗布装置及び連続式塗布装置を用いる場合には、20cP以下のものが特に好ましい。
また、本発明の製造方法にあっては、図14(a)及び14(b)に示すような圧電/電歪層79(圧電/電歪層79の上部電極75との接触面を含む。)又は上部電極75で開口する気孔を充填した圧電/電歪膜型素子、又は圧電/電歪層79の上部電極75等の電極との接触面、若しくは上部電極75を覆うように所定の厚さで連結剤70と同材質の微拘束層90を設けた圧電/電歪膜型素子を製造する際には、塗布液を上部電極75の表面にも塗布すればよい。
但し、拘束力を微小とする必要があるため膜厚は振動部66及び圧電/電歪作動部の合計厚さに対し1/15以下が好ましく、より好ましくは1/30以下の厚さが好ましく、オンデマンド式塗布装置及び連続式塗布装置も好適に使用できる。本装置でより薄い膜を作製するには、粘度を0.5〜5cPとし、液滴の速度を3m/秒以上とすることが好ましい。更に開口する気孔部のみを充填する場合には塗布後、圧縮空気を吹きつければよい。なお、気孔を充填したり、微拘束層90を設けた圧電/電歪膜型素子とすると、圧電/電歪作動部の絶縁性を向上させることができる。
本発明においては、さらにこのような塗布液の塗布を、少なくとも圧電/電歪層、又は基体の何れかを振動させながら行うことが好ましい。
塗布液を基体と圧電/電歪層間に、気泡を巻き込むことなくより確実に供給できるため、基体と圧電/電歪層間の連結をより強固にすることができる。
この際、振動手段としては、図9(a)に示すような、超音波振動子110等からなる振動手段を、圧電/電歪膜型素子10を固定するステージ4に設けて主に基体44を振動させるもの、或いは圧電/電歪膜型素子10の圧電/電歪作動部に外部電源(図示せず)から電圧を印加することにより、圧電/電歪作動部を振動させるもの等を挙げることができる。
本発明において連結材を形成するために用いられる塗布液としては、無機粒子と、重合性オリゴマーとを分散液中に混合した塗布液が好ましい。この塗布液を用いると、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子が散在するハイブリッド材料からなる連結材を形成することができ、従来の圧電/電歪膜型素子と同等の屈曲変位を有しながらも、高速応答性に優れる圧電/電歪膜型素子を得ることができる。また、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を抑制して、連結材や圧電/電歪層のクラックの発生を抑制することができる。なお、本発明においては、当初から前述した高分子化合物を分散液中に混合した塗布液を用いることも可能であるが、好適な特性の連結材を形成するためには、重合性オリゴマーを分散液中に混合したものが好ましい。
本発明において、当該塗布液に用いる分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、又はアセトン等の極性分散媒が均一な分散液が得られ易い点で好ましい。
また、当該分散媒中に混合する無機粒子としては、例えば、Ti,Zr,V、Nb、Cr、Mo、W、Al、Mn、Fe、Co、Ni及びSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物からなる微粒子が好ましく、これら無機粒子は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、当該無機粒子は、平均粒径が5nm〜1μmのものが好ましく、平均粒径が10nm〜200nmのものがより好ましい。平均粒径が5nm未満であると、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を抑制する効果が小さく、一方、平均粒径が1μmを超えると無機粒子が塗布液中で沈降し易くなり、均質な連結材を得難くなる。
また、無機粒子の平均粒径がこの範囲であれば、連結材の圧電/電歪層に対する拘束を回避するという要請と、圧電/電歪層73の剛性を大きくして高速応答性を高めるという要請とをバランスよく満足させることができる。
また、当該無機粒子は、更に2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7のものが好ましく、0.1〜0.5のものがより好ましい。
当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子とすると、大粒径の無機粒子間の空隙を、小粒径の無機粒子で充填して連結材中の無機粒子の体積分率を上げることができるため、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を更に抑制することができるとともに、圧電/電歪層73の剛性を更に大きくして、より高速応答性を高めることができる。
また、当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子は、同様の観点から、大粒径無機粒子の質量(E)と小粒径無機粒子の質量(F)との比(F/E)が、0.05〜0.7のものが好ましく、0.1〜0.5のものがより好ましい。
また、本発明における重合性オリゴマーとしては、アクリル樹脂などのビニル重合体、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの付加重合体、ポリエステル、ポリカーボネートなどの縮合重合体、又は有機ケイ素化合物の重合体であるポリシロキサンポリマー(Si−O−Siの基本単位の繰り返しを含むポリマー)に対応する重合性オリゴマーを挙げることができ、中でも、耐熱性、耐水性、耐薬品性、及び撥水性などの点で、下記一般式(1)で示されるモノマーが数個から数十個にわたって縮重合した重合性オリゴマーが好ましい。
Si(OR’)4−n…(1)
(上記一般式(1)中、R及びR’は同種又は異種の有機基であり、nは0〜3の整数である。)
本発明において、上記一般式(1)中、Rで表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニル基などのアルケニル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、トリフルオロメチル基などの置換アルキル基を挙げることができる。また、R’で表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、β−メトキシエトキシ基、アセチル基などの置換アルキル基を挙げることができる。
なお、本発明においては、後述する乾燥により、上記重合性オリゴマーを、例えば脱水もしくは脱アルコール反応で縮重合させることにより、連結材のマトリックスを構成する所望の高分子化合物とすることができる。
本発明において、重合性オリゴマーと無機粒子の配合比率は、各成分の種類に応じて適切な範囲とすることが好ましい。例えば、重合性オリゴマーとして、上記一般式(1)で示されるモノマーを縮重合した重合性オリゴマーを用いる場合には、重合性オリゴマー100重量部に対し、無機粒子が0.1〜300重量部の割合となるように塗布液中に含有させることが好ましく、1〜100重量部の割合となるように塗布液中に含有させることがより好ましい。
本発明に塗布液は、上記各種高分子化合物に対応する重合性オリゴマーと、上記各種無機粒子を組み合わせることが可能であるが、中でも、ポリシロキサンポリマーに対応する重合性オリゴマーと、シリカ粒子とを含有するものが好ましく、上記一般式(1)で示される重合性オリゴマーと、シリカ粒子とを含有するものが特に好ましい。
当該組成の塗布液で連結材70を形成すると、振動部66及び圧電/電歪層73の屈曲変位量を抑制することなく、圧電/電歪層73の剛性が大きな圧電/電歪膜型素子とすることができ、更には形成される連結材70の靭性が大きいため圧電/電歪膜型素子の高速の繰り返し駆動に対する耐性を大きくすることができる。
本発明においては、上記塗布液を塗布した後、乾燥により連結材を形成するが、その乾燥は、塗布液の組成物の種類に応じて適切な条件を選択することが好ましい。例えば、塗布液中に、前述したアクリル樹脂などのビニル重合体、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの付加重合体、ポリエステル、又はポリカーボネートなどの縮合重合体に対応する重合性オリゴマーを混合する場合であれば、上記塗布液を塗布した後に、室温で放置して乾燥を行えばよい。
一方、塗布液中に、前述したポリシロキサンポリマーに対応する重合性オリゴマーを混合する場合であれば、上記塗布液を塗布した後には、室温で10分以上放置して、溶剤の大部分を除去した後、600℃/Hr以下の速度で、所望の温度まで雰囲気温度を上昇させて加熱による乾燥を行うことが好ましい。
塗布後直ちに加熱して乾燥したり、急速に温度を上昇させて乾燥すると、塗布液中の溶剤の急速な蒸発により、塗布液が急速に収縮し、連結材中にクラックが発生したり、電圧/電歪層との界面に剥離を生ずることがある。
また、当該加熱による乾燥は、60〜120℃行うことが好ましく、100〜120℃で行うことがより好ましい。120℃を超える温度で乾燥すると、上記室温放置の理由と同様に塗布液中の溶剤の急速な蒸発により、塗布液が急速に収縮し、連結材中にクラックが発生したり、電圧/電歪層との界面に剥離を生ずることがある。一方、上記加熱温度より低い温度で乾燥すると、有機溶剤とともに、これに溶存する水分の除去が不充分となる。
ポリシロキサンポリマーに対応する重合オリゴマーを混合した塗布液を塗布した場合には、更に、上記乾燥後、連続して又は別工程で、より高温の加熱による硬化処理を行うことが好ましい。具体的には、好ましくは700℃以下の温度で加熱することが好ましく、600℃以下の温度で加熱することがより好ましく、500℃未満の温度で加熱することが更に好ましく、450℃未満の温度で加熱することが特に好ましい。
当該加熱による硬化処理の温度が、上記温度範囲を超えると、連結材中のSi等の成分が圧電/電歪層を構成する材料と反応して、圧電/電歪層の性能を低下させ、場合によっては圧電/電歪層に欠陥を生じさせるため、絶縁破壊、機械的破壊等を生じることがある。また、連結材中の有機成分の分解が起こり、連結材にクラックを生じることがある。
なお、本発明においては塗布液中の重合性オリゴマーと無機粒子の構成比等を調製することにより、又は硬化処理の際に加熱温度を調整して、Si−O−Si結合等の結合強度を変化させることにより硬度等の機械的特性(温度を高くするほど、硬度が上昇する。)、及び撥水性等の化学的特性を最適化することができる。
以上、本発明の圧電/電歪膜型素子及びその製造方法について説明したが、本発明の製造方法で得られる圧電/電歪膜型素子は、例えば、図12、13に示すような表示素子や、インクジェットプリンタヘッドの駆動部120として用いることができる。具体的には、図12に示すように、光源160からの光180が導入される光導波板200とともに、本発明の圧電/電歪膜型素子10を主要構成要素とする駆動部120を、光導波板200の背面に対向し、かつ画素に対応する位置に配設し、更に、当該駆動部120上に画素構成体30を積層し、駆動部120の駆動動作により画素構成体130を光導波板200に接触・離隔させることにより表示素子とすることができる。また、図13に示すように、本発明の圧電/電歪膜型素子10を主要構成要素とし、その基体44のキャビティ48を加圧室100として構成させた駆動部120と、その駆動部120の加圧室100からインク噴出用流路117を通じて外部に開口するノズル孔112、及びインク供給源からインク供給用流路118を通じて駆動部120の加圧室100に開口するオリフィス孔114を有するインクノズル部材111とを接合一体化してインクジェットプリンタヘッドを構成させることができる。なお、表示素子やインクジェットプリンタヘッドの具体的な構成については、特開2001−343598公報、及び特開平11−147318号公報の記載によればよい。ここに参考までに両公報を引用する。
以下、本発明を、圧電膜型素子による実施例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、各実施例、及び比較例についての評価は以下のようにして行った。
(評価方法)
(1)屈曲変位
実施例及び比較例で得られた圧電膜型素子に、室温下、3kV/mmの電界を印加した際の変位量をレーザードップラー振動計により測定した。
(2)共振周波数
実施例及び比較例で得られた圧電膜型素子について、レーザードップラー振動計と、FFTアナライザを用いて測定した。
具体的には、FFTアナライザの発生するスエプトサイン波形(複数の周波数成分を含んだ波形)を素子に印加して駆動し、素子の振動をレーザードップラー振動計で測定し、そのレーザードップラー振動計の速度出力をFFTアナライザに入力して周波数分析し、最も低次のピークを共振周波数とした。
振動部及び固定部何れもYで安定化されたZrOからなる基体(振動部の寸法:1.6mm×1.1mm、厚さ:10μm)上に白金からなる下部電極(寸法:1.7mm×0.8mm(長さ1.7mmのうち、0.3mmは端子部分である。)、厚さ:3μm)をスクリーン印刷法により形成し、1300℃、2時間の熱処理により基体と一体化させた。
その上に、Pbの一部をLaで0.1mol%置換した(Pb0.999La0.001)(Mg1/3Nb2/30.375Ti0.375Zr0.250(平均粒径0.49μm、最大粒径1.8μm)からなる圧電材料をスクリーン印刷法により下部電極の上面に対応する面を含むより広い1.3mm×0.9mmの範囲で、厚さ20μmで積層した。
次いで、圧電材料と同一組成の雰囲気制御材料を、容器内に共存させ、電極が形成された基体上に圧電材料を積層したものを、1275℃、2時間熱処理した。熱処理後の圧電層の厚さは、13μmであった。
次いで、圧電層の上に、金からなる上部電極を、スクリーン印刷法により、1.7mm×0.8mmの範囲(長さ1.7mmのうち、0.3mmは端子部分である。)で厚さ0.5μmで形成した後、600℃で熱処理した。
次いで、基板を塗布装置の試料台に固定(保持)しやすいように、基体の圧電/電歪層や電極を配設した面と反対側をUVシートで被覆した後、得られた素子を試料台に固定し、2峰性の粒径分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点50nmより大きな平均粒子径100nmの大粒径非晶質シリカと、変曲点50nm以下の平均粒子径20nm小粒径非晶質シリカとが混在するコロイダルシリカ30質量%と、イソプロピルアルコール及び水からなる混合分散媒中にテトラエトキシシラン及びメチルエトキシシランの等モル混合物を20質量%(重合性オリゴマー溶液全量中の含有率)含有させた重合性オリゴマー溶液70質量%とを混合した塗付液を、塗布液吐出路が3つ設けられているオンデマンド式の塗布装置を用いて塗布した。この際、各塗布液吐出路の口径は、それぞれφ0.03mm、φ0.07mm、φ0.03mmとした。また、各塗布液吐出路の開口位置は、口径φ0.07mmの塗布液吐出路を、圧電/電歪層と基体との間隙が開口する圧電/電歪作動部周縁部分(振動部短手方向両側)のうち、上部電極75の端子部分と下部電極77の端子部分からほぼ等距離の位置とし、口径φ0.03mmの塗布液吐出路を、その両側の振動部長手方向に、0.45mmの位置とした。また、液滴当たりの吐出量は、口径φ0.07mmの塗布液吐出路では200pL/滴であり、口径φ0.03mmの塗布液吐出路では70pL/滴であった。また、大粒径非晶質シリカと小粒径非晶質シリカ粒径とが混在するコロイダルシリカは、平均粒子径が100nmの大粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)70質量%と、平均粒子径が20nmの小粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)30質量%とを混合撹拌して調製した。
最後に、塗布液を塗布した後の圧電/電歪膜型素子を、室温で30分放置し、その後、昇温速度200℃/hで昇温し、80℃〜120℃の間で1時間温度を保持した後、連続的に300℃まで昇温して、同温度で60分硬化処理を行い、圧電/電歪層の突出部分全体と基体を連結する連結材を硬化させ、圧電/電歪膜型素子を製造した。
得られた圧電/電歪膜型素子は屈曲変位が0.14μm、共振周波数が1.65MHzであった。また、圧電/電歪膜型素子の各電極は導電部分については表面が露出したままであり、直ちに電極に導通線をはんだ接合できる状態であった。
(比較例)
吐出装置に代え、スピンコート装置を用いて、圧電/電歪膜型素子全体に塗布液を塗布したこと以外は実施例1と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
得られた圧電/電歪膜型素子は屈曲変位が0.14μm、共振周波数が1.65MHzであった。しかし、得られた圧電/電歪膜型素子は、各電極の導電部分が被覆された状態となっており、直ちにはんだ接合できる状態でなく、導通を確保するために被覆層の除去が必要であった。
以上説明したように、本発明によれば、大きな共振周波数が得られ、高速応答性に優れる圧電/電歪膜型素子を、電極の導通を確保した状態で効率よく製造することができる圧電/電歪膜型素子の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. セラミックスからなる基体と、同基体上に下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を含む圧電/電歪作動部が設けられた圧電/電歪膜型素子であって、圧電/電歪層が少なくとも一個の電極を超えて設けられており、且つ、その端部は上記の少なくとも一個の電極よりも突き出ている素子の製造方法であって、圧電/電歪作動部を構成する圧電/電歪層を、その両端部を突出させ、且つ、上記の少なくとも一個の電極より広い範囲に形成させる工程と、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合して調整した塗布液を、少なくとも圧電/電歪層の突出した端部と基体との間隙に充分に浸入させると共に、上記の少なくとも一個の電極の所定の部分のみを塗布するに充分な塗布量で塗布する工程と、塗布液を乾燥して、圧電/電歪層の突出した端部と基体とを連結する連結材を形成する工程を含む圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  2. 前記塗布液を塗布する際に、該塗布液を加圧して供給する加圧供給手段と、該加圧供給手段の供給路に設けられ、塗布液の供給の切り替えを行う切り替え手段と、該加圧供給手段の供給路から導入される塗布液を外部に吐出する吐出ヘッドとを備え、該吐出ヘッドが、該加圧供給手段の供給路に連通する塗布液導入路、該塗布液導入路が開口する加圧室、及び該加圧室に連通し、外部に開口する1以上の塗布液吐出路を有する基体と、該基体上の該加圧室に対応する位置に設けられる圧電/電歪作動部とを有してなり、該切り替え手段の開放時、該圧電/電歪作動部の屈曲変位で、該加圧室に導入された塗布液が微粒液滴化した状態で連続的に吐出される塗布装置を用いる請求項1に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  3. 前記塗布液を塗布する際に、塗布液供給源に連通する塗布液導入路、該塗布液導入路が開口する加圧室、及び該加圧室に連通し、外部に開口する1以上の塗布液吐出路を有する基体と、該基体上の該加圧室に対応する位置に設けられる圧電/電歪作動部とを有してなり、該圧電/電歪作動部の屈曲変位に応じて、該加圧室に導入された塗布液が微粒液滴化した状態で吐出される塗布装置を用いる請求項1に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  4. 請求項2に記載の塗布装置として、異なる口径の複数の塗布液吐出路を有する吐出ヘッドを備えるもの、各吐出ヘッド間で塗布液吐出路の口径が異なる複数の吐出ヘッドを備えるもののいずれかを用いて、塗布液の適用位置によって異なる量の塗布液を塗布する圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  5. 請求項3に記載の塗布装置として、異なる口径の複数の塗布液吐出路を有するものを用いて、塗布液の適用位置によって異なる量の塗布液を塗布する圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  6. 前記塗布液の塗布を、少なくとも基体又は圧電/電歪層の何れかを振動させながら行う請求項1に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
  7. 該圧電/電歪作動部が多層構造である請求項1〜6の何れか1項に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
JP2004525795A 2002-08-02 2003-07-29 圧電/電歪膜型素子の製造方法 Expired - Fee Related JP4434016B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US40051302P 2002-08-02 2002-08-02
US60/400,513 2002-08-02
PCT/JP2003/009609 WO2004013918A1 (ja) 2002-08-02 2003-07-29 圧電/電歪膜型素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2004013918A1 JPWO2004013918A1 (ja) 2006-09-21
JP4434016B2 true JP4434016B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=31495833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004525795A Expired - Fee Related JP4434016B2 (ja) 2002-08-02 2003-07-29 圧電/電歪膜型素子の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7267840B2 (ja)
JP (1) JP4434016B2 (ja)
AU (1) AU2003252300A1 (ja)
WO (1) WO2004013918A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9186870B2 (en) 2003-09-30 2015-11-17 Epcos Ag Ceramic multi-layer component and method for the production thereof

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7019438B2 (en) * 2002-06-21 2006-03-28 Ngk Insulators, Ltd. Piezoelectric/electrostrictive film device
US7067961B2 (en) * 2002-07-12 2006-06-27 Ngk Insulators, Ltd. Piezoelectric/electrostrictive film device, and manufacturing method of the device
US7989530B2 (en) * 2005-11-23 2011-08-02 General Electric Company Nonlinear polymer composites and methods of making the same
US7923497B2 (en) * 2005-11-23 2011-04-12 General Electric Company Antiferroelectric polymer composites, methods of manufacture thereof, and articles comprising the same
JP2009539143A (ja) * 2006-06-01 2009-11-12 ライト レゾナンス テクノロジーズ リミテッド ライアビリティー カンパニー 光フィルタ/モジュレータ及びフィルタ/モジュレータのアレイ
JP5398131B2 (ja) * 2006-07-14 2014-01-29 キヤノン株式会社 圧電体素子、圧電体の製造方法及び液体噴射ヘッド
EP1895605A1 (en) * 2006-08-31 2008-03-05 Siemens Aktiengesellschaft Piezoceramic multilayer actuator
JP2009076760A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Denso Corp 積層型圧電素子及びその製造方法
JP5391395B2 (ja) * 2007-10-15 2014-01-15 日立金属株式会社 圧電薄膜付き基板及び圧電素子
WO2009128546A1 (ja) 2008-04-18 2009-10-22 日本碍子株式会社 圧電/電歪デバイスの検査方法及び検査装置、並びに圧電/電歪デバイスの調整方法
US20090309259A1 (en) * 2008-06-12 2009-12-17 General Electric Company High temperature polymer composites comprising antiferroelectric particles and methods of making the same
US8247484B2 (en) * 2008-06-12 2012-08-21 General Electric Company High temperature polymer composites and methods of making the same
US9390857B2 (en) * 2008-09-30 2016-07-12 General Electric Company Film capacitor
KR20100081686A (ko) * 2009-01-07 2010-07-15 삼성전자주식회사 압전 액츄에이터, 이의 제조 방법 및 프린트 헤드의 제조 방법
CN114583041A (zh) * 2020-11-30 2022-06-03 Tdk株式会社 薄膜压电致动器

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2545639B2 (ja) 1990-07-30 1996-10-23 富士通株式会社 積層型圧電素子
JP3036558B2 (ja) 1991-11-05 2000-04-24 セイコーエプソン株式会社 インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2951129B2 (ja) * 1992-10-28 1999-09-20 太平洋セメント株式会社 積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法
JP3151644B2 (ja) 1993-03-08 2001-04-03 日本碍子株式会社 圧電/電歪膜型素子
IT1268870B1 (it) * 1993-08-23 1997-03-13 Seiko Epson Corp Testa di registrazione a getto d'inchiostro e procedimento per la sua fabbricazione.
JPH09162452A (ja) 1995-12-04 1997-06-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd セラミック素子及びその製造方法
JP3344888B2 (ja) * 1995-12-28 2002-11-18 日本碍子株式会社 圧電/電歪膜型素子及びその製造方法
JPH11320894A (ja) * 1998-05-13 1999-11-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd インクジェットヘッド
JP2000210615A (ja) 1999-01-26 2000-08-02 Murata Mfg Co Ltd コ―ティング装置、コ―ティング方法、および電子部品、ならびに電子部品の製造方法
JP3611198B2 (ja) * 2000-02-16 2005-01-19 松下電器産業株式会社 アクチュエータとこれを用いた情報記録再生装置
JP4031624B2 (ja) * 2000-06-23 2008-01-09 株式会社東芝 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置
JP2002064276A (ja) * 2000-08-22 2002-02-28 Nippon Steel Chem Co Ltd 光又は熱硬化性樹脂組成物及び多層プリント配線基板
JP3465675B2 (ja) * 2000-09-11 2003-11-10 日本碍子株式会社 圧電/電歪膜型素子
US7019438B2 (en) * 2002-06-21 2006-03-28 Ngk Insulators, Ltd. Piezoelectric/electrostrictive film device
US7067961B2 (en) * 2002-07-12 2006-06-27 Ngk Insulators, Ltd. Piezoelectric/electrostrictive film device, and manufacturing method of the device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9186870B2 (en) 2003-09-30 2015-11-17 Epcos Ag Ceramic multi-layer component and method for the production thereof

Also Published As

Publication number Publication date
AU2003252300A1 (en) 2004-02-23
US20040022935A1 (en) 2004-02-05
JPWO2004013918A1 (ja) 2006-09-21
WO2004013918A1 (ja) 2004-02-12
US7267840B2 (en) 2007-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4434016B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子の製造方法
US5376857A (en) Piezoelectric device
JP4775772B2 (ja) 圧電材料および圧電素子
US6396196B1 (en) Piezoelectric device
JP6273829B2 (ja) 電気機械変換素子とその製造方法、及び電気機械変換素子を有する液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置
EP0858894A2 (en) Member having ultrafine groove, member for passage, method of manufacturing the same, ink jet printer head using the same, and ink jet printer head
JPH0412678A (ja) 圧電/電歪膜型アクチュエータの製造方法
JP5245107B2 (ja) 圧電素子、圧電アクチュエータ、インクジェット式記録ヘッド
CN1976197B (zh) 压电促动器、检查方法和液体喷射设备
JP2001196652A (ja) 圧電体素子およびその製造方法ならびにそれを用いたインクジェット式プリンタヘッド
EP1381093B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive film device, and manufacturing method of the device
JP4473529B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子、及びその製造方法
US7399066B2 (en) Piezoelectric element, ink jet recording head and producing method for piezoelectric element
JP2006269916A (ja) 圧電アクチュエータ及び吐出装置
JP3541877B2 (ja) 圧電体素子及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド及びインクジェットプリンタ
JP2005244174A (ja) 圧電体素子及びその製造方法、並びに該圧電体素子を用いたインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2007123483A (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
JPWO2002029129A1 (ja) 圧電薄膜及びその製造方法、並びにその圧電薄膜を備えた圧電素子、並びにその圧電素子を用いたインクジェットヘッド、並びにそのインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置
JP2000299510A (ja) 圧電素子及びその製造方法並びにそれを用いたインクジェットヘッド及びその製造方法
JP2017212423A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
US20040032186A1 (en) Piezoelectric/electrostrictive film type device
US6102531A (en) Piezoelectric film type actuator and ink jet printer head having the same
JP4485140B2 (ja) 圧電アクチュエータおよびその製造方法
US6919667B2 (en) Piezoelectric/electrostrictive film device
JP2002114571A (ja) 圧電磁器及びこれを用いたインクジェット記録ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees