JP4430657B2 - 自転車の走行駆動装置 - Google Patents
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Description
自転車フレームに回転自在に設けたチェン歯車と、ペダルの踏込みによる回転するクランクアームとの間に、回転トルク増大機構を設けた自転車の駆動装置において、
前記回転トルク増大機構は、固定盤、回転リング、切り溝及び連結ボスを有し、
前記固定盤は、前記フレームと前記チェン歯車との間に、前記固定盤の面を前記チェン歯車の回転面と並列に取付けられ、かつ、前記チェン歯車の回転軸からオフセットした位置を中心点に持つ円状の固定盤であり、
前記回転リングは、前記固定盤の外周にベアリングを介して設けられ、前記チェン歯車の回転軸を内包する形態で前記固定盤の中心点の回りに回転する回転リングであり、
前記切り溝は、前記チェン歯車の半径方向に形成されるとともに、前記切り溝が前記チェン歯車の回転軸から自転車の前方位置に存在する作動領域では、前記連結ボスを切り溝の前方側に係合させて形成され、
前記連結ボスは、前記切り溝にスライド可能に設けられ、該切り溝を貫通して前記回転リングおよび前記クランクアームを結合する連結ボスであることを特徴とする。
請求項1の発明にあっては、切り溝がチェン歯車の回転軸の前方側に存在する作動領域において、連結ボスがその前方側に係合するようにしたので、ペダルを踏み込んでクランクアームを回転すると、切り溝に連結ボスからチェン歯車を下に押し回す回転力が作用し、これにより、自転車は前進走行することが可能となる。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の自転車の走行駆動装置に係り、前記回転トルク増大機構が、前記フレームの両側の対称な位置にそれぞれ独立して設けられ、かつ、前記両側のクランクアームを互いに180度の位相をずらして回転可能に取付けたことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1記載の自転車の走行駆動装置に係り、前記回転トルク増大機構が、前記自転車フレームのいずれか一方側にだけ設け、前記自転車フレームのいずれか他方側には、ペダルの踏込みによるクランクアームの回転軸を回転可能に設け、かつ、該いずれか他方側のクランクアームの回転軸を、前記いずれか一方側の回転トルク増大機構における前記固定盤の中心点にほぼ一致するように軸支するとともに、前記いずれか他方側のクランクアームの回転軸と前記チェン歯車の回転軸との間に設けられ、前記いずれか他方側のクランクアームから前記チェン歯車へペダル踏込み力を伝達する駆動力伝達手段が設けられたことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自転車の走行駆動装置に係り、前記チェン歯車の回転軸は、前記フレームに固定された前記固定盤に設けたことを特徴とする。
図1は自転車の走行駆動装置に係る実施例における概略構成をスケルトンで示した側面図、図2は自転車フレームに組み込まれる構成要素を分解して示した外観組み立て分解斜視図、図3は実施例の要部を示した平面図、図4は実施例の動作を説明する動作説明図である。
フレーム4とチェン歯車3との間のフレーム4に、ステー11を介して固定盤5が固定される。固定盤5は、円板状の形状を有し、その側面がチェン歯車3の回転面と並列な状態をなしてフレーム4に取付けられる。固定盤5には固定盤5の中心点P1からオフセットした位置に回転軸P2が貫通する。換言すると、チェン歯車3の回転軸P2を基準にみると、固定盤5の中心点P1はチェン歯車3の回転軸P2からオフセットした位置にある。いずれにしても、固定盤5の外方に突出する回転軸P2にチェン歯車3が回転可能に軸支されることとなる。
上記切り溝8を貫通する連結ボス9の内方端は、回転リング7の突起部7aに結合される。連結ボス9は切り溝8を貫通する部位においては、スライダとして機能するスライダ部9aが形成され、スライダ部9aが切り溝8に案内されながらスライドする。また、連結ボス9はクランクアーム2と回転リング7とを一体に結合するが、クランクアーム2および回転リング7は、スライダ部9aに対して相対回動が許容される。これにより、クランクアーム2は固定盤5の中心点P1の回りに回転リング7と連動して回転できる。
こうして、自転車の走行駆動装置における回転トルク増大機構1に、いわゆる回転スライダ機構の原理が応用されることとなる。すなわち、図1に示すように、回転軸P2の回りを回転するリンクL1がチェン歯車3に、リンクL1にすべるように設けたスライダL2は連結ボス9のスライダ部9aに、中心点P1の回りを回転するとともにスライダL2にピン結合されたリンクL3が固定盤5上を回転する回転リング7にそれぞれ対応する。また、スライダL2がリンクL1に沿ってすべる構成は、スライダ部9aが切り溝8にガイドされながらすべる構成に対応する。すなわち、リンクL3が中心点P1の回りに回転すると、その回転力はスライダL2に伝わり、リンクL1が回転軸P1の回りを、例えば時計回りに回転する。これにより、回転トルク増大機構1に、回転スライダ機構が応用されることとなる。
本実施例の動作を図3,図4に基づいて説明する。自転車を前進走行させる場合、図示しないサドルに着座したユーザがその右足を、図4のA位置にあるペダル10に載せる。このA位置においては、連結ボス9は切り溝8の右方側に位置し、かつ、クランクアーム2の延長線上に、連結ボス9,切り溝8、回転中心P1、および回転軸P2がほぼ一直線上に並んだ状態にある。ペダル10を踏み込むと、クランクアーム2の回転トルクは連結ボス9を介して回転リング7に伝わる。回転リング7は中心点P1を中心にして固定盤5の外周を回転する。これと同時に、連結ボス9のスライダ部9aは切り溝8を回転軸P2方向へすべりながらチェン歯車3に時計回りの回転トルクが伝達されてB位置へ回転していく。こうして、クランクアーム2は、回転スライダ機構の原理により、回転リング7と一体となって中心点P1の回りを時計回りに回転する。このとき、切り溝8に係合するスライダ部9aからチェン歯車3にペダル10に回転トルクが伝達され、チェン歯車3が時計回りに回転し、図示しないチェンを介して自転車の車輪が駆動されて前進走行しはじめ、ペダル10は位置C、位置Dへと回転していく。この過程で、フレーム4の反対側(左側)に設けた他方側の自転車の走行駆動装置におけるペダル10を同様にして踏み込み、上記反対側のチェン歯車3を回転駆動させていく。こうして、ユーザは左右のペダル10を交互に踏み込んでクランクアーム2を回転していくことで、自転車を前進走行できることとなる。
このように、本実施例によれば、自転車の走行駆動装置に回転スライダ機構の原理を利用した回転トルク増大機構1を用いたので、クランクアーム2の長さをことさらに長くすることなく、チェン歯車3を駆動するトルクの増大化、構成部品点数の低減による構成のシンプル化、自転車重量の軽減化、安定した走行性能の確保、踏込み力の軽減による疲労感の軽減化などを図ることができる利点がある。
以上、本発明を一実施例により詳述してきたが、具体的な構成はこの一実施例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
また、上記実施例および第1変形例では、チェン歯車3の回転軸P2を固定盤5を貫通し、直接にフレーム4に取付ける構成にしたが、図7に示す第2変形例のように、固定盤5に回転軸P3を取付けて、間接的にフレーム4に設ける構成としてもよい。係る第2変形例の構成により、クランクアーム2の連結ボス9に伝えられた回転トルクは、切り溝8からチェン歯車3に伝達され、その結果、チェン歯車3は固定盤5上の回転軸P3を中心として回転し、自転車を走行させることができる。
2 クランクアーム
3 チェン歯車
4 フレーム
5 固定盤
6 ベアリング
7 回転リング
8 切り溝
9 連結ボス
9a スライダ部
10 ペダル
11 ステー
13 ペダル
14 クランクアーム
15 回転軸
16 駆動力伝達手段
20 連結リンク
21 切り溝
22 連結ボス
L1 リンク
L2 スライダ
L3 リンク
P1 中心点
P2 回転軸
P3 回転軸
Claims (4)
- 自転車フレームに回転自在に設けたチェン歯車と、ペダルの踏込みによる回転するクランクアームとの間に、回転トルク増大機構を設けた自転車の駆動装置において、
前記回転トルク増大機構は、固定盤、回転リング、切り溝及び連結ボスを有し、
前記固定盤は、前記フレームと前記チェン歯車との間に、前記固定盤の面を前記チェン歯車の回転面と並列に取付けられ、かつ、前記チェン歯車の回転軸からオフセットした位置を中心点に持つ円状の固定盤であり、
前記回転リングは、前記固定盤の外周にベアリングを介して設けられ、前記チェン歯車の回転軸を内包する形態で前記固定盤の中心点の回りに回転する回転リングであり、
前記切り溝は、前記チェン歯車の半径方向に形成されるとともに、前記切り溝が前記チェン歯車の回転軸から自転車の前方位置に存在する作動領域では、前記連結ボスを切り溝の前方側に係合させて形成され、
前記連結ボスは、前記切り溝にスライド可能に設けられ、該切り溝を貫通して前記回転リングおよび前記クランクアームを結合する連結ボスであることを特徴とする自転車の走行駆動装置。 - 前記回転トルク増大機構が、前記フレームの両側の対称な位置にそれぞれ独立して設けられ、かつ、前記両側のクランクアームを互いに180度の位相をずらして回転可能に取付けたことを特徴とする請求項1記載の自転車の走行駆動装置。
- 前記回転トルク増大機構が、前記自転車フレームのいずれか一方側にだけ設け、前記自転車フレームのいずれか他方側には、ペダルの踏込みによるクランクアームの回転軸を回転可能に設け、かつ、該いずれか他方側のクランクアームの回転軸を、前記いずれか一方側の回転トルク増大機構における前記固定盤の中心点にほぼ一致するように軸支するとともに、前記いずれか他方側のクランクアームの回転軸と前記チェン歯車の回転軸との間に設けられ、前記いずれか他方側のクランクアームから前記チェン歯車へペダル踏込み力を伝達する駆動力伝達手段が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の自転車の走行駆動装置。
- 前記チェン歯車の回転軸は、前記フレームに固定された前記固定盤に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自転車の走行駆動装置。
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