WO2022075374A1

WO2022075374A1 - ペダル動力伝達装置

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Publication number: WO2022075374A1
Application number: PCT/JP2021/037030
Authority: WO
Inventors: 雄一郎小池
Original assignee: 雄一郎小池
Priority date: 2020-10-08
Filing date: 2021-10-06
Publication date: 2022-04-14
Also published as: JP6978801B1; JP2022062653A

Abstract

従来のペダル動力伝達装置は、クランクに多くの歯車を設置する必要があるため、歯車の摩擦による回転エネルギーの喪失、製造コストの増加、強度や耐久性の低下等が課題であった。　本発明のペダル動力伝達装置は、クランクシャフトに第１端部の近傍が固定されたクランクと、クランクシャフトに軸支され、クランクの内側でシャーシに角度固定されて設置されたシャーシ固定スプロケットと、クランクの第２端部の近傍に固定されたペダルシャフトと、クランクの外側でペダルシャフトに軸支された角度固定スプロケットと、シャーシ固定スプロケットと角度固定スプロケットの間を連結する環状連結器と、角度固定スプロケットに間接的に固定された遊星歯車機構とを備え、角度固定スプロケットは、シャーシ固定スプロケットと環状連結器により、シャーシを基準として、ペダルシャフトを軸とした回転を略しない。

Description

ペダル動力伝達装置

　本発明は、主に人の足を動力とする回転式のペダル機構を持つ自転車等の推進機器やトレーニングマシンにおいて、ペダルに与えられた動力を伝達するペダル動力伝達装置に関する。

　自転車はレクレーション、移動手段、競技スポーツとして人気が高く、全世界に普及されている。そのため自転車産業において、種々の自転車部品は高度に共通化され、常に改良が続けられている。その中で大きく設計が見直されている自転車部品の一つに自転車用のペダル動力伝達装置が挙げられる。

　現在、自転車を代表とするペダル回転による動力伝達装置は、高い水準の効率性を示している。ペダリング技術の研究においては、脹脛の力はペダルを回転させるための動力として非効率的であり、アンクリングと呼ばれる足首の角度を変えるペダリングは回避されるべきとされている。

　アンクリングを積極的に行うことで高い成果を上げている一部のアスリートもいる。しかし、現状のペダル装置における効率性の観点から、一般的にアンクリングは回避されるべきものと考えられている。そして、いかに脹脛の力を必要最小限に抑えるかは、ペダリングの効率性において重要な課題となっている。

　一方、世界で高度に共通化や標準化の進んでいる自転車の規格の中で、既存の規格に影響を及ぼさない容易かつ必要最小限の装置による改善が求められている。

　特許文献１では、ペダル本体の回転を固定することにより、ペダル本体に加えられた脹脛の力をクランクの回転に変換する発明がなされている。特許文献１の発明を利用する際に、クランクの回転速度が速い場合にペダル本体の回転の力をクランクに伝えるためには、一定の速度以上で大きく足首を動かす必要がある。しかし、足首を早く動かすことは困難であることと、足首の稼動域は狭いことから、十分な効果が発揮できない。

　この状況を解決するために、特許文献２では、足首の角度の変化の基準をとなる歯車固定板と角度固定板を設置し、そこへ複数の歯車等を利用した回転速度加速装置を設置した。これにより、ペダル本体の角度の変化を増幅、場合によっては減少させ、クランクへ効果的に力を伝達させることが可能になった。

　特許文献４では、シャーシに固定した歯車を利用することでクランク機構の省スペース化を実現すると同時に、角度固定板を回転させることにより小さな歯車機構での実装を可能とした。

特開２０１４－１２１８８５号公報特開２０１３－２２４１２３号公報（特願２０１２－１０８８７８号）特開２０１８－１２４７９号公報（特願２０１６－１５４０４３号）特開２０２０－１０４８３２号公報（特願２０１８－２４８９５８号）

　特許文献４では、クランクに多くの歯車を設置する必要があるため、歯車の摩擦による回転エネルギーの喪失、メンテナンシビリティの低下、製造コストの増加、強度や耐久性の低下の課題が発生していた。

　また、特許文献４では、フロントスプロケットに変速機が装着されていた場合に、変速機のワイヤーが干渉して歯車固定器をシャーシへ設置することが困難であった。そして、歯車固定器は、シャーシの形状が少しでも想定と異なるとクランクシャフトに対して適切な位置へ設置できなくなる課題が発生していた。さらに、特許文献４では、クランクが３６０度のどの位置にあっても同じ効果となっていたが、クランクの位置によって効果を増減させたい搭乗者のニーズに対応できなかった。

　本発明のペダル動力伝達装置における一実施形態は、クランクシャフトに第１端部の近傍が固定されたクランクと、前記クランクシャフトに軸支され、前記クランクの内側でシャーシに角度固定されて設置されたシャーシ固定スプロケットと、前記クランクの第２端部の近傍に固定されたペダルシャフトと、前記クランクの外側で前記ペダルシャフトに軸支された角度固定スプロケットと、前記シャーシ固定スプロケットと前記角度固定スプロケットの間を連結する環状連結器と、前記角度固定スプロケットに間接的に固定された内歯歯車と、前記内歯歯車の内側に設けられた複数の遊星歯車と、複数の前記遊星歯車の内側に設けられた太陽歯車と、前記ペダルシャフトに取り付けられたワンウェイクラッチと、を備え、前記太陽歯車は、前記ワンウェイクラッチを介して、一方向のみに回転可能に前記ペダルシャフトに取り付けられ、前記遊星歯車の回転軸はペダルに固定され、前記角度固定スプロケットは、前記シャーシ固定スプロケットと前記環状連結器により、前記シャーシを基準として、前記ペダルシャフトを軸とした回転を略しないことを特徴とする。

　特許文献４に示されるシャーシ固定歯車と板固定歯車を直接連動させることによって歯車数の削減を実現する。これによって、回転エネルギーの喪失、メンテナンシビリティの低下、製造コストの増加、強度や耐久性の低下の課題を大幅に改善させる。

　また、前記クランクは、前記第１端部よりも前記第２端部が前記シャーシに近づくようにＳ字状に曲がっており、前記シャーシ固定スプロケットは、前記クランクよりも前記シャーシの側で前記クランクシャフトに軸支され、前記角度固定スプロケットは、前記クランクよりも前記ペダルの側で前記ペダルシャフトに軸支される。これにより、Ｓ字形状のクランクとそれを間に挟み込むように駆動用のローラーチェーンを設置し、側方への張出を小さくしつつ、歯車数を少なくすることができる。

　また、歯車を固定するための機器をシャーシにスライド可能に設置することにより、どのようなシャーシであってもクランクシャフトに対して任意の角度で固定できる。

　シャーシ固定スプロケットの形状を楕円形とすることで、搭乗者の望むクランク角度での効果増減を実現する。

　本発明によれば、ペダルを揺動させる動力をも利用して、自転車等の推進力を得ることができる。また、ペダルの位置が回転の上方や下方に位置し、足からの力の伝達の困難な上死点や下死点と呼ばれる領域において、効率的に推進力を得ることができる。そして、本発明により推進力の効率性が向上することによって、自転車の可能性を広げるとともに、エキサイティングな運動による健康の促進を図ることができる。ひいては、車やオートバイなどの移動手段による化石エネルギーの消費を抑制して、環境問題改善の一助となる。

シャーシに取り付けた実施形態の側面図である。シャーシに取り付けた実施形態の一部機構を省略した斜視図である。シャーシに取り付けた実施形態の斜視図である。実施形態の斜視図である。実施形態の分解図である。シャーシに取り付けた実施形態の一部機構を省略した斜視図である。実施形態の一部機構を省略した斜視図である。実施形態におけるシャーシに取り付けられたシャーシ固定器具の斜視図である。実施形態におけるシャーシ固定器具の斜視図である。他の実施形態の一部機構を省略した斜視図である。シャーシに取り付けた実施形態を示す斜視図である。

　図１乃至７、１１は、Ｓ字クランクを利用することで歯車の数を削減するとともに、主な機構をフロントスプロケットの外側に設置する自転車の実施形態について示す。

　本実施形態のペダル動力伝達装置は、シャーシ固定スプロケット４をシャーシ１６に対して間接的に固定するスプロケット固定部、クランクシャフト５の周りを回転する内歯歯車１１の上下方向を固定する内歯歯車固定部、ペダル１５の回転を増幅してペダルシャフト７に伝えるペダル回転増幅部により構成される。スプロケット固定部は、シャーシ固定器具１、角度固定器具２、スプロケット固定板３からなる。また、内歯歯車固定部は、シャーシ固定スプロケット４、Ｓ字クランク６、ペダルシャフト７、板固定スプロケット８、ローラーチェーン９、角度固定板１０からなる。そして、ペダル回転増幅部は、内歯歯車１１、ワンウェイクラッチ１２、太陽歯車１３、遊星歯車１４、および遊星歯車１４の回転軸からなる。

　まず、シャーシ固定スプロケット４をシャーシ１６に対して間接的に固定するスプロケット固定部について説明する。自転車のシャーシ１６には、シャーシ固定器具１が固定される。シャーシ固定器具１には、角度固定器具２がスライド可能に設けられる。実施形態の角度固定器具２は、四角柱の一端に円柱を貫通させたものである。この角度固定器具２では、四角柱の長軸と円柱の長軸は直交している。角度固定器具２の円柱の両端近傍には、スプロケット固定板３の一端部の近傍が回転可能に接続される。スプロケット固定板３以降の構成は、図１１のようにシャーシ１６の左右に設けられるが、図１乃至７では、右側の構成のみ記載する。

　図３に示すように、スプロケット固定板３は他端部の近傍に孔を有しており、孔をクランクシャフト５が通過する。角度固定器具２に対してスプロケット固定板３は回転可能であるが、シャーシ固定器具１、角度固定器具２、スプロケット固定板３の全てが取り付けられることにより、これら全てがシャーシ１６に対して位置固定される。そして、スプロケット固定板３にシャーシ固定スプロケット４が固定される。このようにして、自転車の構成であるフロントスプロケット１７に干渉せずに、シャーシ１６に対してシャーシ固定スプロケット４が間接的に固定される。そして、シャーシ固定スプロケット４は、シャーシ１６に対して回転しない。

　シャーシ１６には、クランクシャフト５が回転可能に固定されている。クランクシャフト５は、スプロケット固定板３とシャーシ固定スプロケット４に設けられた孔を通過する。しかし、クランクシャフト５は、スプロケット固定板３とシャーシ固定スプロケット４のいずれにも固定されておらず、これらに対して回転可能である。

　次に、クランクシャフト５の周りを回転する内歯歯車１１の上下方向を固定する、内歯歯車固定部について説明する。クランクシャフト５には、Ｓ字クランク６が固定されている。Ｓ字クランク６はクランクの一種であり、一端である第１端部の近傍がクランクシャフト５に固定されている。クランクシャフト５にクランクが固定されている構成は、通常の自転車と同様である。クランクシャフト５の近傍では、自転車のシャーシ１６、自転車のフロントスプロケット１７、スプロケット固定部におけるスプロケット固定板３が順に設けられている。そしてその外側に、内歯歯車固定部におけるシャーシ固定スプロケット４、Ｓ字クランク６が順に設けられる。なお、以上は自転車の右側の構成であり、左側にはフロントスプロケット１７は無い。しかし、図１１から理解されるように、左側にも同様にスプロケット固定板３、シャーシ固定スプロケット４、Ｓ字クランク６が順に設けられる。

　Ｓ字クランク６の他端である第２端部の近傍には、ペダルシャフト７が固定される。そして、ペダルシャフト７は、角度固定スプロケットである板固定スプロケット８と、角度固定板１０を回転可能に軸支する。角度固定板１０は、板固定スプロケット８に固定されている。また、角度固定板１０は円板状であって、外周の近傍に内歯歯車１１が固定されている。内歯歯車１１は、角度固定スプロケットである板固定スプロケット８に間接的に固定されている。Ｓ字クランク６は、第１端部よりも第２端部がシャーシ１６に近づくようにＳ字状に曲がっている。

　環状連結器であるローラーチェーン９は、シャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８の間を連結する。シャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８は、半径と歯数が同じである。図２乃至４、１１に示すように、シャーシ固定スプロケット４はＳ字クランク６の内側に位置し、板固定スプロケット８はＳ字クランク６の外側に位置する。そして、ローラーチェーン９は、Ｓ字クランク６に交差するようにして、シャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８を繋ぐ。実施形態において、ローラーチェーン９は自転車の側面に沿って延在し、シャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８を繋いでいる。このような構成であることによって、シャーシ固定スプロケット４から板固定スプロケット８までを側方に薄くする構成ことができると共に、歯車の数も少なくすることができる。

　以上の構成により、内歯歯車固定部では、Ｓ字クランク６の第２端部の近傍に設けた板固定スプロケット８の上下方向はシャーシ固定スプロケット４の上下方向に対して変化しない。すなわち、板固定スプロケット８は、シャーシ１６を基準として、ペダルシャフト７を軸とした回転をしない。板固定スプロケット８は、それ自体の中心軸の周りで回転せずに、クランクシャフト５の周りを回転する。そのため、角度固定板１０を介して板固定スプロケット８に間接的に固定された内歯歯車１１の上下方向も変化しない。内歯歯車１１も、それ自体の中心軸の周りで回転せずに、クランクシャフト５の周りを回転する。内歯歯車固定部は、図１１に示すように、シャーシ１６の両側に設けられる。

　次に、ペダル１５の回転を増幅してペダルシャフト７に伝えるペダル回転増幅部について説明する。内歯歯車固定部のペダルシャフト７には、ペダル回転増幅部のワンウェイクラッチ１２が設けられている。ワンウェイクラッチ１２は、内輪と外輪が一方向にだけ回転可能となっている。ワンウェイクラッチ１２の内輪の内側にはペダルシャフト７が固定され、外輪の外側には太陽歯車１３が固定される。太陽歯車１３は、内歯歯車１１と中心軸の位置が一致している。実施形態では、太陽歯車１３と内歯歯車１１との間に２つの遊星歯車１４が設けられている。２つの遊星歯車１４の回転軸は、太陽歯車１３および内歯歯車１１の直径の方向に並んでおり、ペダル１５の前方と後方に接続している。また、ペダルシャフト７は、通常の自転車と同様に、ペダル１５を回転可能に軸支している。円板状の角度固定板１０は、円筒状である内歯歯車１１の一端を塞ぐ。そして、角度固定板１０と内歯歯車１１により形成された有底円筒の内側に、太陽歯車１３と２つの遊星歯車１４が組み込まれる。太陽歯車１３と２つの遊星歯車１４は、角度固定板１０とペダル１５の間に挟まれる。内歯歯車固定部も、図１１に示すようにシャーシ１６の両側に設けられる。

　遊星歯車１４等を用いた角度増幅機構は内歯歯車１１の内側に設けられているため、側方に薄く構成することができる。また、内歯歯車１１は、図３、４、６、７等に示すように、Ｓ字クランク６が曲がってシャーシ１６の側に位置する場所に取り付けられる。そのため、スペースに無駄がなく、側方に薄く構成することができる。

　次に、人の足によりペダル１５に動力を与えたときの、ペダル動力伝達装置の作用を説明する。通常の自転車と同様に、ペダル１５は、ペダルシャフト７に回転可能に軸支されている。ペダル１５を足で下方に踏み込むと、通常の自転車と同様にペダルシャフト７を介してＳ字クランク６とクランクシャフト５に力が加わり、クランクシャフト５に対して第１トルクが生じる。

　Ｓ字クランク６がクランクシャフト５を軸として回転するときに、内歯歯車固定部のシャーシ固定スプロケット４、ローラーチェーン９、板固定スプロケット８が機能する。シャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８の半径と歯数は同じである。そのため、シャーシ固定スプロケット４、ローラーチェーン９、板固定スプロケット８による連結機構において、ローラーチェーン９に対するシャーシ固定スプロケット４と板固定スプロケット８の回転角は一致する。

　シャーシ固定スプロケット４、Ｓ字クランク６、ローラーチェーン９、板固定スプロケット８のみの構成で、Ｓ字クランク６の延在する方向が固定されている状況をイメージすると、シャーシ固定スプロケット４が回転した角度だけ板固定スプロケット８も回転する。このことから、板固定スプロケット８の上下方向とシャーシ固定スプロケット４の上下方向が常に一致した状態で、Ｓ字クランク６がクランクシャフト５の周りを回転する。そして、板固定スプロケット８と固定されている角度固定板１０、及び角度固定板１０と固定されている内歯歯車１１の上下方向も、シャーシ固定スプロケット４の上下方向と常に一致する。そして、内歯歯車１１はシャーシ１６に対して上下方向が変わらない状態でクランクシャフト５の周りを回転する。

　ペダル１５の前方が下がる方向に力が加わると、内歯歯車１１の前方の遊星歯車１４が下がり、後方の遊星歯車１４が上がる。内歯歯車１１は上下方向が固定されているため、遊星歯車１４の２つの回転軸のペダルシャフト７に対する回転角は増幅されて太陽歯車１３の回転角となる。この時の力は太陽歯車１３からワンウェイクラッチ１２を介してペダルシャフト７に伝えられる。そして、ペダルシャフト７には、前方が下がる方向にトルクが与えられる。このトルクは、Ｓ字クランク６とクランクシャフト５の前方が下がる方向の第２トルクとして作用する。このとき、ペダルシャフト７は、ペダル１５を押し下げる力によりクランクシャフト５の周りを回転するため、ペダルシャフト７の前方が下がる。しかし、ペダル１５の揺動による回転角は増幅されてペダルシャフト７への第２トルクとなり、ペダルシャフト７自体をさらに回転させる力が作用する。

　実施形態のペダル動力伝達装置では、ペダルシャフト７を押し下げる力による第１トルクに対し、ペダル１５を回転させる力による第２トルクが加わり、クランクシャフト５のトルクとなる。そして、通常の自転車と同様に、クランクシャフト５のトルクにより、クランクシャフト５に固定されたフロントスプロケット１７から後輪に伝えられて、自転車の動力となる。

　逆に、ペダル１５の前方が上がる方向で力が加えられると、ワンウェイクラッチ１２の作用によりペダルシャフト７に力が伝わらない。このようにして、ペダル１５の前方が下がる方向の力によってのみにより第２トルクが得られる。

　図８、９は、シャーシ固定器具１の一実施形態を示す。シャーシ固定器具１により、ペダル動力伝達装置をシャーシ１６の任意の位置へ固定可能とする。これにより、シャーシ１６の形状やサイズに合わせて、クランクシャフト５に対して任意の角度でペダル動力伝達機構を固定することができる。

　シャーシ固定器具１は、揺動可能に設置されるシャーシ固定器具ヒンジ１８を備えている。そして、シャーシ固定器具ヒンジ１８によりシャーシ１６を挟んでシャーシ固定器具１をシャーシ１６に固定する。シャーシ固定器具１はシャーシ１６の任意の位置に固定できるため、種々のシャーシ１６に対して適切な位置にペダル伝達装置を固定することができる。

　シャーシ固定器具１は、シャーシ１６に対向する面を窪ませたシャーシ固定器具開口部１９を有する。シャーシ固定器具開口部１９により、シャーシ１６に沿って設置される変速機用ワイヤー（図示せず）を通過させることができる。

　図８，９に示す実施形態のシャーシ固定器具１には、角度固定器具２が挿入される四角い孔が設けられている。図４に示すように、角度固定器具２は、四角柱の一端に円柱を貫通させたものであり、四角柱の長軸と円柱の長軸は直交している。角度固定器具２の四角柱は、シャーシ固定器具１の四角い孔の中をスライド可能であり、実施形態ではペダル動力伝達装置をシャーシ１６に取り付ける際に適切な位置で四角柱を固定する。実施形態において、シャーシ固定器具ヒンジ１８や孔への角度固定器具２の固定は、図示しないネジとネジ孔を用いる。

　本実施形態のペダル動力伝達装置は、シャーシ固定スプロケット４をシャーシ１６に対して間接的に固定するスプロケット固定部、クランクシャフト５の周りを回転する内歯歯車１１の上下方向を固定する内歯歯車固定部、ペダル１５の回転を増幅してペダルシャフト７に伝えるペダル回転増幅部により構成される。そのため、市販の自転車の一部を改造することによっても、ペダル１５が揺動する力をクランクシャフト５のトルクに利用することができる。

＜他の実施形態＞
　図１０は実施形態の円形であるシャーシ固定スプロケット４を、楕円形のシャーシ固定楕円形スプロケット２０とする他の実施形態を示している。その他の点は実施形態と同じである。Ｓ字クランク６等は記載を省略している。シャーシ固定楕円形スプロケット２０を用いることによって、Ｓ字クランク６の位置によりペダル１５の揺動角を増幅する効果を増減させることができる。

　シャーシ固定楕円形スプロケット２０を用いると、Ｓ字クランク６の位置により、Ｓ字クランク６の角度変化によるローラーチェーン９の繰り出し量が異なる。そのため、板固定スプロケット８、角度固定板１０、内歯歯車１１は、シャーシ１６に対する角度が小さく往復変動する。この角度は小さく、角度固定スプロケットである板固定スプロケット８、角度固定板１０、内歯歯車１１は、シャーシ固定スプロケット４と環状連結器であるローラーチェーン９により、シャーシ１６を基準として、ペダルシャフト７を軸とした回転を略しないと言える。

　図１０に示す他の実施形態では、シャーシ固定楕円形スプロケット２０は楕円の長軸を上下に向けて設置されている。これによって、クランクが左回りに回転すると、上死点下死点と呼ばれるクランクが地面に垂直となる位置において、内歯歯車１１が右回りに回転する。この回転方向はペダル１５の先端を下げる方向と逆であり、ペダル１５の揺動をペダルシャフト７の回転とする際の増幅効果が増加する。

　また、円形のシャーシ固定スプロケット４や楕円形のシャーシ固定楕円形スプロケット２０、板固定スプロケット８等の中心位置をずらして、クランク等の位置によりペダル１５の揺動の増幅効果を増加させるようにしても良い。

　シャーシ１６の形状やサイズに合わせてスプロケット固定板３の角度を適切な位置に固定できれば、シャーシ固定器具１による固定はどのようにしてもよい。シャーシ固定器具１のシャーシ１６への固定や、シャーシ固定器具１の孔への角度固定器具２の固定は、実施形態のようにネジとネジ孔を用いても良いが、磁石や接着剤で固定しても良い。

　また、シャーシ１６の形状やサイズに合わせて、スプロケット固定板３の角度を固定できれば、角度固定器具２の形状はどのようなものであっても良い。例えば、Ｙ字状の流線形の形状や、角度固定器具と一体化した実装形態でもよい。

　さらに、シャーシ１６の種々の形状やサイズに対応して、スプロケット固定板３をフロントスプロケット１７の外側に設置することができれば、シャーシ固定器具１と角度固定器具２の形状や実装形態はどのようなものであっても良い。例えば、角度固定器具２にシャーシ固定器具１との接続位置や角度を変更可能に複数のねじ穴を設置する実装形態や、角度固定器具２自体を伸縮可能な入子状とする実装形態や、シャーシ１６にあらかじめシャーシ固定器具１と角度固定器具２を直接実装する形態などが考えられる。また、フロントスプロケット１７に変速機がない場合には、フロントスプロケット１７の上側から角度固定器具２により外側へ導出して、シャーシ固定スプロケット４を設置する実装形態でもよい。

　さらに、シャーシ固定器具開口部は、フロントスプロケット変速機用のワイヤーと干渉しない実装が可能であれば、形状等はどのようなものであっても良い。例えば、図８，９に示したシャーシ固定器具開口部１９のようにシャーシ１６の下方であって中心の位置に凹部を設けるのではなく、シャーシ１６の両側にワイヤーを通す凹部を設ける形態であっても良い。

　環状連結器は、内歯歯車１１の角度が変わらないようにシャーシ固定スプロケット４に接続できるものであればよい。上記のようなローラーチェーン９でもよく、ベルトドライブでもよい。角度固定板１０は円板状であるが、太陽歯車１３と遊星歯車１４が安定して設置されるのであれば、長板状や放射状等の他の形状として、内歯歯車１１の片面を部分的に塞がない構成としてもよい。

１　シャーシ固定器具
２　角度固定器具
３　スプロケット固定板
４　シャーシ固定スプロケット
５　クランクシャフト
６　S字クランク
７　ペダルシャフト
８　板固定スプロケット
９　ローラーチェーン
１０　角度固定板
１１　内歯歯車
１２　ワンウェイクラッチ
１３　太陽歯車
１４　遊星歯車
１５　ペダル
１６　シャーシ
１７　フロントスプロケット
１８　シャーシ固定器具ヒンジ
１９　シャーシ固定器具開口部
２０　シャーシ固定楕円形スプロケット
　

Claims

　クランクシャフトに第１端部の近傍が固定されたクランクと、
　前記クランクシャフトに軸支され、前記クランクの内側でシャーシに角度固定されて設置されたシャーシ固定スプロケットと、
　前記クランクの第２端部の近傍に固定されたペダルシャフトと、
　前記クランクの外側で前記ペダルシャフトに軸支された角度固定スプロケットと、
　前記シャーシ固定スプロケットと前記角度固定スプロケットの間を連結する環状連結器と、
　前記角度固定スプロケットに間接的に固定された内歯歯車と、
　前記内歯歯車の内側に設けられた複数の遊星歯車と、
　複数の前記遊星歯車の内側に設けられた太陽歯車と、
　前記ペダルシャフトに取り付けられたワンウェイクラッチと、を備え、
　前記太陽歯車は、前記ワンウェイクラッチを介して、一方向のみに回転可能に前記ペダルシャフトに取り付けられ、
　前記遊星歯車の回転軸はペダルに固定され、
　前記角度固定スプロケットは、前記シャーシ固定スプロケットと前記環状連結器により、前記シャーシを基準として、前記ペダルシャフトを軸とした回転を略しないことを特徴とするペダル動力伝達装置。
　前記クランクは、前記第１端部よりも前記第２端部が前記シャーシに近づくようにＳ字状に曲がっており、
　前記シャーシ固定スプロケットは、前記クランクよりも前記シャーシの側で前記クランクシャフトに軸支され、
　前記角度固定スプロケットは、前記クランクよりも前記ペダルの側で前記ペダルシャフトに軸支されることを特徴とする請求項１に記載されたペダル動力伝達装置。
　前記シャーシに設置されるシャーシ固定器具と、
　前記シャーシ固定器具にスライド可能に設置される角度固定器具と
　前記角度固定器具に回転可能に接続され、前記クランクの位置に接続されるスプロケット固定板と、を有し、
　前記シャーシ固定スプロケットは、前記スプロケット固定板に固定され、
　前記シャーシ固定器具、前記角度固定器具、前記スプロケット固定板が設置されたとき、前記スプロケット固定板は前記シャーシに対して角度固定されることを特徴とする請求項１または２に記載されたペダル動力伝達装置。
　前記シャーシを挟んで前記シャーシ固定器具を固定するように、前記シャーシ固定器具に揺動可能に接続するシャーシ固定器具ヒンジを有し、
　前記シャーシ固定器具は、前記シャーシに対向する面を窪ませたシャーシ固定器具開口部を有する
ことを特徴とする請求項３に記載されたペダル動力伝達装置。
　前記シャーシ固定スプロケットは円形であり、前記角度固定スプロケットは、前記シャーシを基準として、前記ペダルシャフトを軸とした回転をしないことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載されたペダル動力伝達装置。
　前記シャーシ固定スプロケットは楕円形であり、前記角度固定スプロケットは、前記シャーシを基準として前記ペダルシャフトを軸とした小さい往復変動をすることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載されたペダル動力伝達装置。