JP4430283B2 - 内燃機関の制御装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、排気を浄化するための触媒を備えると共に、変速比を変更するための変速装置を介して外部に動力を出力する内燃機関の制御装置および制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関を制御する方法として、所定の減速運転条件下において、内燃機関への燃料供給を停止(燃料カット)する技術が知られている。例えば、車両駆動用のエンジンにおいて、エンジン回転数が所定の値以上であって、スロットルバルブが全閉となるような減速運転条件下で燃料カットを行なう。これによって、燃費の向上を図ることができると共に、車両において充分な減速感を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記燃料カットを行なう際に、内燃機関の排気系に設けられた排ガス浄化用の触媒の温度が高い場合には、燃料カットを行なって触媒環境がリーンな状態(酸素過多である状態)になると、触媒の劣化が進行してしまうという問題が生じる。そのため、触媒温度が所定の高温状態の時には、上記所定の減速運転条件下であっても、燃料カットの実行を禁止する制御が行なわれる。
【0004】
上記したように、燃料カットを行なうと、触媒の劣化が進行してしまうおそれがあり、一方、燃料カットを禁止すると、燃費が低下したり所望の減速感が得られなくなる(運転者に違和感を与える)おそれがある。そのため、燃料カットあるいは燃料カットの禁止を、より有効に実行するため、燃料カットに関する種々の制御装置が提案されている。例えば、特開平11−117790号公報では、自動変速装置における変速段が最高速段となっている時だけ燃料カットの禁止を行なう構成が開示されている。これによって、選択されている変速段が最高速段以外の時には、所定の減速運転条件下において燃料カットを行なうことで、充分な減速感が確保される。しかし、このような制御を行なっても、自動変速装置で選択されている現在の変速段と使用者の望む走行状態との間のずれに起因して、燃料カットを行なうことによる減速感と運転者の要求とが充分に一致せず、さらに不必要に触媒の劣化を進行させしまう場合があった。このような不都合を抑えるため、燃料カットに関する制御のさらなる最適化が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、高温リーン雰囲気下での触媒劣化を抑えると共に、必要な減速感が損なわれることのないように、燃料カットに関する制御を行なう技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するために、本発明は、排気を浄化するための触媒を備えると共に、変速比を変更するための変速装置を介して外部に動力を出力する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の稼働中に、前記内燃機関に対して燃料を供給する燃料供給部と、
所定の減速運転条件下において、前記燃料供給部による前記内燃機関への燃料供給を停止する燃料停止部と、
前記触媒の温度が所定の温度を超える場合には、前記所定の減速運転条件下であっても、前記内燃機関への燃料供給の停止を禁止する燃料停止禁止部と、
前記変速装置における変速比の状態を検出する変速状態検出部と、
前記所定の減速運転条件下であって前記触媒の温度が所定の温度を超えることにより、前記燃料停止禁止部によって燃料供給の停止が禁止されたとき、燃料供給の停止が禁止されてからの経過時間が所定の基準時間以内の間に、前記変速状態検出部が最高速状態への変速比の変更を検出する場合には、前記燃料停止禁止部による燃料供給の停止の禁止を続行し、前記所定の基準時間以内の間に前記変速状態検出部が最高速状態への変速比の変更を検出しない場合には、燃料供給の停止の禁止を解除して前記燃料停止部による燃料供給の停止を行なう燃料供給状態制御部と
を備えることを要旨とする。
【0007】
このような構成とすれば、所定の減速運転条件下であって、触媒温度が所定の温度を超える場合に、一旦は燃料供給の停止が禁止される。そして、所定の基準時間内に、変速装置における最高速状態への変速比の変更が検出された時には、そのまま燃料供給の停止の禁止が続行される。また、所定の基準時間内に、最高速状態への変速比の変更が検出されなかった時には、燃料供給の停止が行なわれる。上記のように一旦は燃料供給の停止を禁止してから、さらに燃料供給の停止の禁止を続行するかどうか判断することで、不必要な燃料カットを行なって触媒の劣化が進行してしまう不都合を、確実に防止することができる。また、このような制御を行なうことにより、燃料供給の停止を行なうか否かの切り替えに伴って運転者が違和感を感じるのを防止することができると共に、必要な減速感が損なわれることもない。
【0008】
また、本発明の内燃機関の制御装置において、
前記変速装置は、マニュアル・トランスミションを備え、
前記燃料停止禁止部は、前記触媒の温度が所定の温度を超えることに加えて、前記内燃機関の回転数が所定の値以上の時に、燃料供給の停止を禁止することとしても良い。
【0009】
このような構成とすれば、内燃機関の回転数が所定の値に満たないときには、燃料供給が停止される。したがって、変速装置における変速比を変更するために、内燃機関と変速装置との間に配設したクラッチが切断されることがあっても、内燃機関で生じるトルクによって内燃機関の回転速度が望ましくない程度に上昇してしまうのを防止することができる。
【0010】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、内燃機関の制御方法や、内燃機関の制御装置を搭載する車両などの形態で実現することが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.燃料カット制御に関する動作:
C.第2実施例:
D.変形例:
【0012】
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の一実施例である制御装置を備えるエンジン10の概略構成を示す説明図である。周知のようにエンジンは、燃焼室内で燃料を燃焼させ、そのときに発生する燃焼熱を機械的仕事に変換して動力として出力することを動作原理としている。図1に示したエンジン10は、車両の駆動用動力源として車両に搭載されており、円筒状のシリンダが設けられたシリンダブロック11と、シリンダブロック11の上部に組み付けられたシリンダヘッド20と、シリンダ内部で摺動可能に組み付けられたピストン12とで燃焼室を形成する。
【0013】
シリンダヘッド20には、燃焼室内に空気を吸入するための吸気弁22と、燃焼室内から排気ガスを排出するための排気弁21と、点火プラグ23とが設けられている。また、シリンダヘッド20には、燃焼室に空気を導くための吸気マニホールド30と、燃焼室から排出された排気ガスを導くための排気マニホールド16とが取り付けられている。
【0014】
吸気マニホールド30は、サージタンク31と、吸気通路32とを介してエアクリーナ34に接続されている。外気はエアクリーナ34を通過する際に、エアクリーナに設けられたエレメントによって異物が除去される。サージタンク31の上流側の吸気通路32内には、燃焼室に流入する空気量を調整するためのスロットルバルブ36が設けられている。このスロットルバルブ36は、アクセルペダルの踏み込み量に応じて駆動されるスロットルモータ37によって、開閉駆動される。また、このスロットルバルブ36あるいはアクセルペダルには、アクセルペダルが全閉状態の時(あるいは、スロットルバルブ36が、アクセルペダル全閉に対応する状態の時)にオンとなり、アクセル全閉信号を出力するアイドルスイッチ39が設けられている。図1では、アイドルスイッチ39が、スロットルバルブ36に併設される様子が表わされている。
【0015】
吸気マニホールド30には、燃料を噴射するためのインジェクタ35がさらに取り付けられている。インジェクタ35は、通電制御により開閉駆動されて燃料を噴射する電磁弁であり、図示しない燃料ポンプで加圧された燃料が供給されている。インジェクタ35から噴射された燃料は吸気マニホールド30内で蒸発し、吸気マニホールド30内の空気と混合して混合気を形成する。尚、ここでは、インジェクタ35は吸気マニホールド30内に燃料を噴射するものとしているが、インジェクタをシリンダヘッド20に設けて燃焼室内に燃料を直接噴射するものとしてもよい。
【0016】
排気マニホールド16は、触媒コンバータ54に接続されている。触媒コンバータ54は、エンジン10から排出される排ガスを浄化するための触媒を備えている。すなわち、排ガス中の不完全燃焼成分である炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を酸化すると共に、空気中の窒素が反応することによって生成される窒素酸化物(NOx)を還元する三元触媒を備えている。この触媒の働きによって触媒コンバータ54で浄化された排ガスは、大気中に排出される。
【0017】
ピストン12は、クランク機構を介してクランクシャフト17に接続されている。クランクシャフト17が回転すると、クランク機構の働きによって回転運動が往復直線運動に変換されて、ピストン12がシリンダ内を上下に摺動する。また、ピストン12が上下動する動きは、クランク機構によってクランクシャフト17の回転運動に変換される。排気弁21を閉じ、吸気弁22を開いた状態でピストン12が下降すると、吸気マニホールド30内の空気と燃料とが、吸気弁22から燃焼室内に流入する。次いで吸気弁22を閉じてピストン12を上昇させ、吸入した混合気を圧縮した後、点火プラグ23から火花を飛ばすと、ピストン12によって圧縮された混合気が爆発的に燃焼して、ピストン12を下方に押し下げる。この力はクランク機構によって回転運動に変換されて、クランクシャフト17から動力として出力される。クランクシャフト17の先端には、クランクシャフトの回転位置を検出するためのクランク角度センサ41が設けられている。
【0018】
電子制御ユニット(以下、ECU)40は、燃料噴射制御や、点火時期制御、あるいはアイドル回転速度制御などの、エンジン10の全体の動作を制御する。このECU40は、中央処理装置(以下、CPU)、ROM、RAM、入出力回路などがバスによって相互に接続されて構成された論理演算回路である。
【0019】
ECU40によるこうした制御は、運転者の操作したアクセル開度や、エンジンの回転速度、吸入空気量などの各種運転条件をECU40が検出し、ROMに格納されている各種プログラムに従って、スロットルモータ37、点火プラグ23、インジェクタ35などを駆動することによって行われる。アクセル開度は、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ42によって検出し、エンジン回転速度はクランク角度センサ41に基づいて算出することができる。また、吸入空気量は、吸気マニホールド30内の圧力を検出するための吸気圧センサや、吸気マニホールド30内に配設されるエアフロメータ、あるいはスロットルポジションセンサの少なくとも一つを設けることによって、求めることができる。
【0020】
燃料噴射制御とは、スロットルバルブ36から流れ込む空気量に合わせて適切な量の燃料を噴射することにより、吸気マニホールド30内に形成される混合気の空気と燃料との比率(空燃比)を適切な値に保つための制御である。なお、後述するように、ECU40において燃料カットの処理を実行すると判断したときには、通常の燃料噴射制御に代えて、燃料を噴射しない制御が行なわれる。
【0021】
点火時期制御は、ピストン12の上昇に合わせて適切なタイミングで火花を飛ばすための制御である。なお、後述するようにECU40において燃料カットの処理を実行すると判断したときには、点火のための制御は停止される。
【0022】
アイドル回転速度制御は、アイドル運転時(アイドルスイッチ39がオンであって車速がゼロの時)であると判断されたときに、エンジン回転速度を所定の目標回転速度とするための制御である。アクセルペダルが全閉状態となるアイドル運転時には、エンジン回転速度を所定のアイドル回転速度とするために、スロットルバルブ36の開度をアイドル運転時に対応する所定の小さな範囲で制御して、吸入空気量を調節する。なお、このようなアクセル開度によらないスロットルバルブ36の開度制御は、アイドルスイッチ39がオンであって、車両が走行中のときにも行なわれる。このような場合のスロットルバルブ36の開度制御については後述する。
【0023】
混合気の燃焼によって生じた熱の一部は機械的仕事に変換されて動力として出力されるが、一部の熱はシリンダブロック11およびシリンダヘッド20に流入して、これらを加熱する。シリンダブロック11およびシリンダヘッド20が許容温度を越えて加熱されることのないように、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20には、それぞれウォータギャラリ14,15が設けられている。これらウォータギャラリ14,15に冷却水を流して冷却することで、エンジン10の運転中も、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20は適切な温度範囲に保たれている。
【0024】
本実施例の車両は、オートマチック・トランスミッションを搭載しており、既述したクランクシャフト17の回転運動は、クラッチおよびトランスミッションを介して車軸に伝えられる(図示せず)。トランスミッションは、トルクコンバータと、プラネタリ・ギヤ・ユニットとして構成される変速機62と、変速機62を制御するECT制御部60とを備えている。本実施例の車両は、変速機62として電子制御式自動変速機を備える4速AT車であるが、電子制御式自動変速機に代えて、車速とアクセル開度に連動する油圧制御による自動変速機を搭載する車両とすることも可能である。
【0025】
ECT制御部60は、ECU40との間で種々の情報のやり取りを行なうと共に、車両の変速段を決定するための情報(スロットル開度や車速等)を取得する。また、ECT制御部60には、シフトレバーを備える操作部64と接続しており、シフトレバーによって選択されているシフトポジションに関する情報を取得する。ECT制御部60は、これらの取得した情報に基づいて変速段を決定し、変速機62に対して駆動信号を出力する。変速機62では、ECT制御部60からの駆動信号によって、変速機62の構成要素である各クラッチやブレーキが作動して、これらの係合および開放の状態によって所望の変速段が実現される。変速機62における現在の変速段の情報は、ECT制御部60およびECU40に対して出力される。
【0026】
B.燃料カット制御に関する動作:
本実施例のエンジン10では、所定の減速運転条件下において燃料カットを行ない、燃費の向上を図っている。ここで、所定の減速運転状態とは、アイドルスイッチ39がオンであって、エンジン回転速度が所定値以上である状態をいう。このような状態で燃料カットを行なうことで、車両においては充分な減速感が得られる。ここで、燃料カットを行なうときには、排ガス浄化用の触媒環境がリーンな状態(酸素過多である状態)となることにより、触媒の劣化が進行するおそれがある。そのため、エンジン10では、上記所定の減速運転条件下であっても、排ガス浄化用の触媒温度が所定の温度以上となるときには、触媒劣化を防止するために、燃料カットを禁止する制御がさらに行なわれる。このような燃料カットを行なう制御は、車両の減速感に影響を与えるため、燃料カットを禁止するタイミングによっては運転者に違和感を与えるおそれがある。そのため、本実施例では、上記所定の減速運転条件下であって触媒温度が所定の温度以上である場合に、車両の走行状態に関わる他の条件をさらに考慮して、燃料カットおよびその禁止の動作を制御して、運転者に違和感を与えることなく、触媒劣化の防止を図っている。以下に、本実施例のエンジン10において実行される制御について説明する。
【0027】
図2は、燃料カットを行なうか否かを判断する処理に関係する回路構成を示すブロック図である。ECU40には、上記処理を行なうために、燃料供給部70と燃料停止部72と燃料停止禁止部74と燃料供給状態制御部76とが設けられている。また、ECT制御部60には、変速状態検出部78が設けられている。
【0028】
また、図3は、ECU40のCPUにおいて実行される燃料カット判断処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料噴射制御において最も優先して実行される処理であり、本ルーチンを実行することで、次回の燃料噴射時期において燃料カットを行なうべきであるか否かを判断する。この燃料カット判断処理ルーチンは、エンジン10の稼働中において、所定の時間間隔で周期的に実行される。
【0029】
本ルーチンが実行されると、まず、ECU40が備える燃料禁止部74が、エンジン10から触媒温度に関する情報を取得して、触媒コンバータ54が備える触媒が、所定の高温状態にあるか否かを判断する(ステップS100)。触媒温度は、エンジンの回転速度と負荷率とに基づいて求められる。ECU40のROMには、エンジンの回転速度および負荷率と触媒温度との関係を表わす図4に示すようなマップが予め記憶されており、このマップを参照して触媒温度が求められる。ここで、負荷率とは、シリンダ内に、シリンダ容積の何%の空気が入るかを表わす値であって、吸入空気量およびエンジンの回転速度より求められる。負荷率は、エンジン回転数が高いほど、また、スロットル開度が小さいほど、小さな値となる。このステップS100において触媒が所定の高温状態にあるか否かを判断する基準となる温度は、触媒の劣化を防止するために、それ以上触媒の温度が上昇するのを抑えるべき温度として設定される。例えば、上記基準となる温度は、800℃とすることができる。なお、触媒温度を推定する際には、触媒に温度センサを設けて、触媒温度を直接検出することとしても良い。
【0030】
ステップS100において、触媒が所定の高温状態にあると判断されると、次に、燃料停止禁止部74は、エンジン10において所定の減速運転条件が成立しているかどうかを判断する(ステップS110)。ここで、所定の減速運転状態とは、アイドルスイッチ39がオンとなってアクセル全閉信号が出力されると共に、エンジン回転速度が第1の所定の値以上となっている条件をいう。
【0031】
さらに、このステップS110では、アイドルスイッチ39がオフであっても、既述した負荷率が所定の値以下の時には、上記所定の減速運転状態が成立していると判断される。ここで、負荷率の基準としての所定の値とは、それ以上負荷率が小さくなると、そのときの吸入空気量に応じて燃料噴射を行なっても燃焼限界を下回る状態となるおそれがある値として、予め設定されている。あるいは、それ以上負荷率が小さくなると、そのときの吸入空気量に応じて燃料噴射を行なおうとしても、インジェクタ35の特性として、噴射量が少なすぎて正しく噴射することが困難となる値として、予め設定されている。実際の車両においては、アイドルスイッチ39がオンとなると共にエンジン回転速度が第1の所定の値以上となるときには、これに先立って、上記のように負荷率が非常に小さい状態となる。そのため、本実施例では、アイドルスイッチ39がオンとなる前であっても、上記のように負荷率が非常に小さい状態となったときには、ステップS110において所定の減速運転条件が成立していると判断している。
【0032】
ステップS110において、所定の減速運転状態が成立していると判断すると、次に、ECU40のCPUは、図示しない所定のタイマにより、所定の減速運転状態が成立していると判断されてからの経過時間tの測定を開始する。さらに、燃料停止禁止部74から燃料供給部70に対して燃料カットを禁止する指示信号が出力されて、燃料カット禁止の処理が実行される(ステップS120)。ここで、燃料供給部70は、エンジン10に対して燃料供給に関わる駆動信号を出力している。また、燃料停止部72は、エンジン10において上記所定の減速運転状態が成立していると判断すると、燃料供給部70に対して燃料カットを指示する。上記所定の減速運転状態であると判断されて、燃料停止部72が燃料カットを指示しても、上記ステップS120によって、燃料停止禁止部74から燃料カットを禁止する指示が出されると、燃料供給部70では、燃料を供給するための処理が実行される。
【0033】
燃料カット禁止時における燃料噴射制御は、以下のように行なわれる。まず、そのときのエンジンの回転速度に応じてスロットルバルブ36の開度が調節される。燃料カットの禁止を行なうときのスロットルバルブ36の開度は、アクセル全閉状態に対応する開度として、エンジン回転速度に応じて予め設定されてROM中にマップとして記憶されている。そのため、エンジン回転速度を検出すると共にこのマップを参照して、スロットルバルブ36の開度を決定する。このような、燃料カット禁止時におけるスロットルバルブ36の開度制御は、負荷率が燃焼限界を下回らないようにするための制御である。決定した開度となるように、スロットルモータ37によってスロットルバルブ36の開度を制御すると、そのときの吸入空気量を検出して、検出した吸入空気量に基づいて、所定の空燃比となるように燃料噴射量を決定する。このように、そのときのエンジン回転速度に応じて、支障無く燃焼反応を継続することができるように、吸入空気量や燃料噴射量を調節している。これによって、エンジン10では、継続する燃焼反応に対応する小さなトルクが発生し、このトルクによって車両の減速が抑えられている状態となる。
【0034】
この後は、燃料供給状態制御部76において、車両の変速段が最高段になっているかどうかを判定する(ステップS130)。本実施例の車両では、変速段は、スロットル開度と車速とに基づいてECT制御部60において決定される。図5は、スロットル開度および車速と変速段との関係を表わすマップであり、このようなマップがECT制御部60が備えるROM中に予め記憶されている。
【0035】
既述したように、本実施例の車両は4速AT車である。例えば、図5中にAと示した運転ポイント(スロットル開度および車速)であって変速段が3速の時に、アクセル全閉となると、図中にBと示した運転ポイントとなって4速(最高段)が選択される。これに対して、図中にAと示した運転ポイントの時にアクセル全閉となって、図中にBと示した運転ポイントとなっても、オーバードライブ走行が指定されていない時(シフトレバーに併設されるODスイッチがオフの時)には、変速段は3速を維持するよう決定される。また、より車速がより遅く図中にCと示した運転ポイントであって変速段が3速の時に、アクセル全閉となると、図中にDと示した運転ポイントとなるが、このときにも変速段は3速を維持するよう決定される。また、運転者がシフトレバーを操作することで、意図的にシフトダウンが行なわれたときにも、最高変速段ではない変速段が選択される。ECT制御部60において上記のように変速段が選択されると、ECT制御部60から変速機62に対して駆動信号が出力され、所望の変速段が実現される。ECT制御部60が備える変速状態検出部78は、変速機62における現在の変速段を検出する。燃料供給状態制御部76は、この変速状態検出部78から、現在の変速段を示す情報を取得しており、ステップS130では、これに基づいて、車両の変速段が最高段になっているかどうかを判定する。
【0036】
なお、ステップS110において所定の減速運転状態が成立していると判断したときに車両の変速段が4速であって、意図的なシフトダウンが行なわれることがなければ、ステップS130では最高変速段であると判定される。図5では、スロットル開度と車速との関係により変速段を決定することとしたが、実際には、車速そのものではなく、車速を直接反映する値を用いることとすればよい。例えば、図5のマップにおける車速に代えて、車両の駆動輪の車軸を回転させるピニオンギアの回転数を用いることができる。また、スロットル開度に代えて、アクセル開度など、トルク要求を反映する他の検出値を用いることとしても良い。
【0037】
既述したように、変速機62からは現在の変速段を示す信号が出力されており、ステップS130において、この信号を用いているため、実際に変速段が最高段に切り替わったときに、最高変速段になっていると判定されることになる。あるいは、ECT制御部60において、変速段を最高変速段とすることが決定された時に、この情報を燃料供給状態制御部76が取得することとしても良い。この場合には、実際に変速段を変更する動作が変速機62において完了するのに先立って、ステップS130において最高変速段であると判定することが可能となる。
【0038】
ステップS130において、変速段が最高段ではないと判定されたときには、燃料供給状態制御部76は、上記経過時間tの値を読み込んで(ステップS150)、予め記憶しておいた所定の基準時間t0 との比較を行なう(ステップS160)。基準時間t0 が経過していないときには、再びステップS130に戻り、変速段が最高段になっているかどうかの判断を行なう。このように、ステップS130からS160を繰り返すことで、所定の減速運転状態が成立してからの経過時間が基準時間t0 に達するまでの間に、変速段が最高段に達するかどうかを判定する。
【0039】
上記経過時間が基準時間t0 に達するまでの間に変速段が最高段に達したとステップS130において判定されると、燃料供給状態制御部76は、そのまま燃料カット禁止の処理を継続するよう燃料供給部70に指示を出力して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。また、変速段が最高段に達しないまま、ステップS160において経過時間tが基準時間t0 に達したと判断されると、燃料供給状態制御部76は、燃料停止禁止部74による燃料カットの禁止を解除するよう燃料供給部70に指示を出力して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。これによって、燃料供給部70では、燃料停止部72による燃料カットの処理が開始される。
【0040】
燃料カットの処理では、燃料噴射の動作が停止されると共に、スロットルバルブ36の開度が、所定の燃料カット時アイドリング開度となるように制御される。燃料カット時アイドリング開度とは、上記燃料カット禁止の動作を行なう際にエンジンの回転速度に応じて設定されるスロットルバルブ36の開度よりも小さく、燃焼反応が行なわれない状態でエンジンが回転するのに支障がない程度の空気が流入可能となる開度として、予め設定されているものである。
【0041】
ステップS100において、触媒温度が所定の高温状態ではないと判定されると、燃料停止禁止部74において、触媒劣化を抑えるために燃料カットを禁止する制御を行なうか否かを考慮する必要がないため、燃料供給部70では通常運転を行なうこととして(ステップS180)、本ルーチンを終了する。なお、このように、触媒温度が充分に低いためにステップS180に移行した場合に、既述した所定の減速運転状態が成立していると燃料停止部72が判断した場合には、ステップS170と同様に、燃料カットの処理が実行される。
【0042】
また、ステップS100において触媒温度が所定の高温状態であると判断された後に、ステップS110において所定の減速運転状態が成立していないと判断された場合には、燃料カットのための制御を行なう必要が無いため、燃料供給部70では通常運転を行なうこととして(ステップS180)、本ルーチンを終了する。
【0043】
ステップS180の通常運転では、アクセル全閉であって、エンジン回転速度が第1の所定の値を下回るときには、既述した燃料カット禁止時と同様に、エンジン回転速度に応じてスロットルバルブ36の開度を設定すると共に、このときの吸入空気量に応じて燃料噴射量を決定する制御が行なわれる。所定の減速運転状態が成立していないときであって、アイドルスイッチ39がオフのときには、吸入空気量などに応じて、通常の燃料噴射制御および点火時期制御が行なわれる。
【0044】
図6は、図3のステップS130において3速から4速(最高変速段)になったと判定されるときの、車両の各部の状態を示す説明図である。アクセル開度が全閉となってアイドルスイッチ39がオンとなり、図3のステップS110で所定の減速運転状態であると判断されると、ステップS120で燃料カットが禁止されることにより、燃料カットの非実行状態を維持する。所定の減速運転状態が成立してからの経過時間tが、ステップS160において経過時間tの判断に用いる基準時間t0 が経過するまでの間であって、経過時間Dとなるときに、変速段が3速から4速に変化すると、ステップS140において燃料カット禁止を継続するため、燃料カットの非実行状態がさらに維持される。このように、燃料カットが行なわれないことで、エンジン10ではトルクが発生する状態となるため、車速の減少は緩やかなものとなり、車両の減速感は小さくなる。
【0045】
図7は、所定の基準時間t0 内において4速(最高変速段)へのシフトアップが検出されなかったときの、車両の各部の状態を表わす説明図である。図6の場合と同様に、アクセル開度が全閉となってアイドルスイッチ39がオンとなり、図3のステップS110で所定の減速運転状態であると判断されると、ステップS120で燃料カットが禁止されることにより、燃料カットの非実行状態を維持する。その後、基準時間t0 が経過するまでの間に最高変速段へのシフトアップが検出されないと、基準時間t0 が経過したときに、燃料カットが実行される。このように、燃料カットが行なわれることで、基準時間t0 が経過した後にはエンジン10はトルクを発生しない状態となるため、エンジンブレーキが働く状態となって、車両の減速感は大きくなる。
【0046】
本実施例において、ステップS160で経過時間の判断に用いる基準時間t0 とは、ステップS110において所定の減速運転状態が成立していると判断された後、図5のマップに基づいて変速段が決定されて、実際に変速段の変更が検出されるまでに要する時間よりも充分に長い時間として設定されている。実際に変速段の変更が完了したことを検出する場合には、ECT制御部60の演算動作に要する時間や、ECT制御部60とECU40との間の情報のやり取りに要する時間、あるいは変速機62においてオイルの働きでアクチュエータが動き、ギアがかみ合って変速の動作が完了するまでの時間などを要する。また、この基準時間t0 は、最高変速段へのシフトアップがなく、燃料カットを実行して減速感を確保すべき時に、運転者が違和感を感じない程度に短い時間である必要がある。そのため、変速段の変更に関わる各部の性質を考慮して、変速段の変更の動作に充分な時間としては、例えば、1sec程度とすることができる。
【0047】
以上のように構成された本実施例のエンジン10の制御装置を備える車両によれば、所定の減速運転状態が成立した後は一旦燃料カットの禁止を実行し、所定の基準時間t0 が経過するまでの間に車両の変速段が最高変速段にならなかった場合のみ燃料カットを実行する。そのため、触媒温度が高く、所定の減速運転条件が成立している場合に、減速感の要求がより小さいとき(最高変速段にシフトアップされるとき)には、燃料カットが禁止される。したがって、望ましくない燃料カットを行なって触媒劣化が進行してしまう不都合を、確実に防止することができる。さらに、減速感の要求がより小さいときには燃料カットが行なわれないことにより、燃料カットを行なうか否かの切り替えに伴って運転者に違和感を与えてしまうこともない。また、減速感の要求がより大きいとき(最高変速段へのシフトアップがないとき)には、直ちに燃料カットが行なわれるため、必要な減速感が損なわれてしまうこともない。
【0048】
従来、変速段を検出することによって、燃料カットを行なうか否かを判断する構成が知られている。例えば、変速段を検出して、減速感の要求が小さい運転状態に対応する最高変速段の時には燃料カットを行なう構成も考えられるが、このような場合には、図6においてアイドルスイッチがオンになると、その時点では変速段は3速であるため、直ちに燃料カットが実行されてしまう。そして、その後、経過時間Dが経過して変速段が4速にシフトアップした時点で、燃料カットが禁止されることになる。このような場合には、減速感の要求が小さい最高変速段にシフトアップする場合であるにも関わらず、減速感の大きくなる燃料カットが一旦行なわれてしまう。このように、一旦燃料カットが行なわれることにより、燃料カットに起因して触媒温度がさらに上昇して、触媒劣化のおそれが生じると共に、短時間のうちに燃料カットが禁止されることで、運転者が違和感を感じてしまう。本実施例のように、一旦燃料カットの禁止を実行してから、最高変速段へのシフトアップの有無によって、燃料カットの禁止を継続するかどうかを判断することで、このような不都合を防止することができる。最高変速段にシフトアップすべき状態であるときには、燃料カットを禁止する動作が確保されることによって、触媒の劣化を防止できると共に、燃料カットを行なった後にこれを禁止するのに伴い運転者が違和感を感じることもない。
【0049】
また、最高変速段よりも低い変速段である運転状態の時や、ODスイッチがオフとなっているときのように、運転者が充分な減速感を求めているときには、上記所定の基準時間t0 が経過した後には直ちに燃料カットが実行されることで、充分な減速感が実現される。そのため、違和感を感じさせることなく運転者が求める減速感を与えることができる。
【0050】
なお、上記実施例の車両は、走行に合わせて4つのギヤを選択して変速比を決定する4速AT車としたが、無段変速機(いわゆるCVT)により変速比を決定する車両において本発明を適用することも可能である。この場合には、図3のステップS130において最高変速段であるかを判断するのに代えて、最高変速段に対応する最高速状態として所定の幅を持って予め設定した変速比への変更があったかどうかを、判定すればよい。
【0051】
C.第2実施例:
上記第1実施例では、エンジン10の制御装置を搭載する車両は、AT車としたが、MT車においても本発明を適用することができる。このような構成の例を、第2実施例として以下に説明する。第2実施例の車両は、変速装置がマニュアルミッションである以外は第1実施例と同様であるため、装置の構成に関する詳しい説明は省略する。
【0052】
図8は、第2実施例の車両のECUにおいて実行される燃料カット判断処理ルーチンを表わすフローチャートである。図8の燃料カット判断処理ルーチンは、図3に示した第1実施例の燃料カット判断処理ルーチンと類似する処理であり、同様の処理を行なう対応する工程には、図3の工程番号に100を加えた工程番号を付した。
【0053】
第2実施例では、ステップS210において所定の減速運転条件であると判断された後に、エンジン10が第2の所定の回転速度以上となっているかどうかを判断する工程(ステップS215)が加わっている点が、第1実施例とは異なっている。この第2の所定の回転速度とは、ステップS210において所定の減速運転条件であるかどうかを判断するときに用いる第1の所定の回転速度よりも大きな値である。ステップS215で、燃料停止禁止部74が、エンジン10の回転速度が第2の所定の回転速度以上であると判断すると、ステップS220において、燃料停止禁止部74から燃料供給部70に対して燃料カットを禁止する指示信号が出力されて、燃料カット禁止の処理が実行される。また、このとき、図示しない所定のタイマにより経過時間tの測定が開始される。以下、図3におけるステップS130以降の工程と同様に、ステップS230以降の工程を実行する。また、ステップS215において、エンジン10の回転速度が第2の所定の回転速度に満たないと判断すると、ステップS270に移行して燃料カットの処理を開始して、本ルーチンを終了する。
【0054】
上記のような第2実施例によれば、第1実施例と同様の効果に加えて、さらに次のような効果を奏する。すなわち、エンジンの回転速度が第2の所定の値を下回るときには、直ちに燃料カットの処理を開始することにより、クラッチ断時にエンジンが吹き上がるのを確実に防止することができる。ステップS215の判断を行なわずにステップS220に移行して燃料カットの禁止を実行したとすると、エンジンでは所定のトルクが発生する状態となるので、エンジンの回転速度が低い場合には、その後にシフトチェンジが行なわれてクラッチが切断されると、エンジンの吹き上がりが起こるおそれがある。本実施例のように、エンジン回転速度が第2の所定の値を下回るときには、直ちに燃料カットの処理を開始してトルクが発生しない状態とすることで、このような不都合を防止することができる。
【0055】
これに対して、ステップS215でエンジンの回転速度が第2の所定の回転速度以上であると判断される場合には、クラッチを切断したときにも、上記のようにエンジンが吹き上がるおそれがない。すなわち、エンジンの回転速度が高いほど、その回転速度を維持するためにエンジンが出力すべきトルクは大きくなるため、燃料カットを禁止しつつ(燃料噴射を行ないつつ)クラッチを切断したとしても、上記のようにエンジンが吹き上がるおそれはない。そのため、エンジンの回転速度が充分に高いときには、一旦燃料カットを禁止して、クラッチの切断を伴う最高変速段へのシフトアップの有無を判定し、燃料カットの動作の要不要を判断することができる。
【0056】
ここで、ステップS215においてエンジンの回転速度の基準として用いる第2の所定の回転速度は、アイドルスイッチがオンであって燃料カットを禁止する(燃料噴射を行なう)場合に、エンジンで発生するトルクの大きさを考慮して、適宜設定すればよい。例えば、スロットルバルブ36の開度が、アイドルスイッチがオンである時の最大の開度となる場合であっても、このときにエンジンで発生するトルクによって、クラッチを切断したときにエンジンが吹き上がることのないように、充分に高い値を設定しておくことができる。
【0057】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施態様に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0058】
既述した実施例では、アイドルスイッチ39がオンの時にも、吸入空気量の制御は、スロットルバルブ36の開度によって行なうこととしたが、異なる構成とすることも可能である。変形例としてのエンジン110の構成を、図9に示す。図9では、図1と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。
【0059】
エンジン110では、吸気通路32から分岐する通路として、スロットルバルブ36をバイパスしてサージタンク31に接続するアイドルアジャスト通路50が設けられている。アイドルアジャスト通路50には、このアイドルアジャスト通路50を介して流入する空気流量を調節するためのISCバルブ52が設けられている。また、エンジン110では、スロットルモータ37は、設けられておらず、スロットルバルブ36は、ワイヤによってアクセルペダルとつながれており、アクセルペダルの開度に応じて開閉される。このようなエンジン110では、アイドルスイッチ39がオンとなるとき(アクセル開度が全閉となるとき)には、スロットルバルブ36は全閉状態となり、ISCバルブ52の開度に応じた量の空気が、アイドルアジャスト通路50を介して流入する。
【0060】
このような変形例のエンジン110においても、本発明を適用して、既述した実施例と同様に、図3あるいは図8に示した燃料カット判断処理ルーチンを実行することができる。ここで、燃料カット禁止を行なうとき(ステップS120,S220等)には、スロットルバルブ36の開度に代えて、ISCバルブ52の開度を調節する。すなわち、エンジンの回転速度に応じたISCバルブ52の開度を、予め設定してROM中にマップとして記憶しておき、このマップを参照してISCバルブ52の開度を制御し、そのときの吸入空気量に応じて燃料噴射制御を行なう。これにより、エンジン110では、燃料カットが行なわれることなく、所定の減速運転条件に対応する制御が行なわれる。
【0061】
また、燃料カットを行なうとき(ステップS170,S270)には、燃料噴射の動作が停止されると共に、ISCバルブ52の開度が、所定の燃料カット時アイドリング開度となるように制御される。これにより、燃焼反応が行なわれない状態でエンジンが回転するのに支障がない程度の空気が、各シリンダに流入する。このような制御を行なうことで、変形例のエンジン110においても、既述した実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるエンジン10の構成の概略を表わす説明図である。
【図2】燃料カットを行なうか否かを判断する処理に関係する回路構成を示すブロック図である。
【図3】燃料カット判断処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図4】エンジンの回転速度および負荷率と、触媒温度との関係を表わす説明図である。
【図5】スロットル開度および車速と変速段との関係を表わすマップである。
【図6】図3のステップS130において3速から4速(最高変速段)になったと判定されるときの、車両の各部の状態を示す説明図である。
【図7】所定の基準時間t0 内において4速(最高変速段)へのシフトアップが検出されなかったときの、車両の各部の状態を表わす説明図である。
【図8】燃料カット判断処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図9】変形例のエンジン110の構成の概略を表わす説明図である。
【符号の説明】
10…エンジン
11…シリンダブロック
12…ピストン
13…ノックセンサ
14,15…ウォータギャラリ
16…排気マニホールド
17…クランクシャフト
20…シリンダヘッド
21…排気弁
22…吸気弁
23…点火プラグ
30…吸気マニホールド
31…サージタンク
32…吸気通路
34…エアクリーナ
35…インジェクタ
36…スロットルバルブ
37…スロットルモータ
39…アイドルスイッチ
40…ECU
41…クランク角度センサ
42…アクセル開度センサ
50…アイドルアジャスト通路
52…ISCバルブ
54…触媒コンバータ
60…ECT制御部
62…変速機
64…操作部
72…燃料停止部
74…燃料停止禁止部
76…燃料供給状態制御部
78…変速状態検出部
Claims (3)
- 排気を浄化するための触媒を備えると共に、変速比を変更するための変速装置を介して外部に動力を出力する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の稼働中に、前記内燃機関に対して燃料を供給する燃料供給部と、
所定の減速運転条件下において、前記燃料供給部による前記内燃機関への燃料供給を停止する燃料停止部と、
前記触媒の温度が所定の温度を超える場合には、前記所定の減速運転条件下であっても、前記内燃機関への燃料供給の停止を禁止する燃料停止禁止部と、
前記変速装置における変速比の状態を検出する変速状態検出部と、
前記所定の減速運転条件下であって前記触媒の温度が所定の温度を超えることにより、前記燃料停止禁止部によって燃料供給の停止が禁止されたとき、燃料供給の停止が禁止されてからの経過時間が、必要な減速感が損なわれることのないように定められた基準時間以内の間に、前記変速状態検出部が最高速状態の変速比であることを検出する場合には、前記燃料停止禁止部による燃料供給の停止の禁止を続行し、前記基準時間以内の間に前記変速状態検出部が最高速状態の変速比であることを検出しない場合には、燃料供給の停止の禁止を解除して前記燃料停止部による燃料供給の停止を行なう燃料供給状態制御部と
を備える内燃機関の制御装置。 - 請求項1記載の内燃機関の制御装置であって、
前記変速装置は、マニュアル・トランスミションを備え、
前記燃料停止禁止部は、前記触媒の温度が所定の温度を超えることに加えて、前記内燃機関の回転数が所定の値以上の時に、燃料供給の停止を禁止する
内燃機関の制御装置。 - 排気を浄化するための触媒を備えると共に、変速比を変更するための変速装置を介して外部に動力を出力する内燃機関の制御方法であって、
(a)前記内燃機関の稼働中に、前記内燃機関に対して燃料を供給する工程と、
(b)所定の減速運転条件となったときに、前記(a)工程による燃料供給を停止する工程と、
(c)前記触媒の温度が所定の温度を超える場合には、前記所定の減速運転条件下であっても、前記(b)工程による燃料供給の停止を禁止する工程と、
(d)前記変速装置における変速比の状態を検出する工程と、
(e)前記(c)工程による燃料供給の停止の禁止が行なわれたとき、燃料供給の停止が禁止されてからの経過時間が、必要な減速感が損なわれることのないように定められた基準時間以内の間に、前記(d)工程によって最高速状態の変速比であることが検出される場合には、燃料供給の停止の禁止を続行する工程と、
(f)前記(c)工程による燃料供給の停止の禁止が行なわれたとき、前記基準時間以内の間に前記(d)工程によって最高速状態の変速比であることが検出されない場合には、前記(c)工程による禁止を解除して前記(b)工程による燃料供給の停止を行なう工程と
を備える内燃機関の制御方法。
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