JP4430020B2 - フレキシブルプリント配線板用銅箔、その製造方法及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

フレキシブルプリント配線板用銅箔、その製造方法及びフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板(以下FPCと略す)用に適した銅箔及びその銅箔を用いたFPCに関する。
最近のFPCは通常2種類に分けられる。一つは、絶縁フィルム(ポリイミド、ポリエステル等)に銅箔を接着樹脂で張り付け、エッチング処理してパターンを施したものである。このタイプのFPCを通常三層FPCと呼んでいる、これに対してもう一つのタイプは、接着剤を使用せずに絶縁フィルム(ポリイミド、液晶ポリマー等)と直接銅箔を積層したFPCである。これを通常二層FPCと呼んでいる。FPCの主な用途は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、カメラ、AV機器、パソコン、コンピューター端末機器、HDD、携帯電話、カーエレクトロニクス機器等の内部配線に使用されている。これらの配線は機器に折り曲げて装着したり、或いは繰り返して曲げられるような箇所に使用されるため、FPC用銅箔の要求特性として、屈曲性に優れていることが一つの重要な特性である。
FPC用銅箔には大きく分けて2種類ある。一つは鋳造により製造した銅の鋳塊に圧延加工を施して箔状とした圧延銅箔である。もう一つは、電解銅箔であり、図1に示すように、アノード1を設けた電解槽に充填の硫酸銅を主成分とする電解液3から、電気めっき法により回転するカノード(チタン製ドラム)2上に銅を箔状に析出させ、これを連続的に引き剥して未処理銅箔4を製造し、この未処理銅箔4に表面処理を施した電解銅箔である。
FPC用銅箔には屈曲性が要求されるため、従来は圧延銅箔の使用割合が高かった。その理由は、圧延銅箔はFPC製造時の銅箔とポリイミドを張り合わせる工程で加熱されると、120〜160℃という比較的低温で焼鈍されて軟化が起こり、屈曲性や伸びが大きくなるという特徴を有するからである。
しかし圧延銅箔は電解銅箔に比較して高価であり、特に12μm、9μmといった薄物になるほど飛躍的にコストが上昇する。これは薄物を作る場合には、厚い銅箔を何回にもわたって圧延を繰り返して製造するためである。
また圧延で製造される銅箔の幅は通常600mm程度と狭く、FPC製造時の生産性が悪いという欠点があった。
これに対して、電解銅箔は圧延銅箔に比べて安価であり、通常1,000mm以上の幅の銅箔を製造することが可能であり、FPC製造時の生産性に優れる利点がある一方、従来の製造方法で製造された電解銅箔は、圧延銅箔に比べ200℃以上に加熱しても焼鈍、軟化せず、屈曲性が悪く、FPC用の銅箔としては限られた用途でしか使用されなかった。
本出願人はこうした従来の電解銅箔の欠点をなくし、屈曲性に優れた銅箔を開発した(特許文献1参照)。特許文献1に示す未処理銅箔は、その粗面(以下M面と記す。)側の表面粗度Rzは2.1μm以下であり、かつ、光沢面の表面粗度Rzと同じかそれより小さいことを特徴とする未処理電解銅箔であり、メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用いて電解製箔された未処理銅箔である。(なお、ここで、未処理銅箔とは、銅箔工業会規格 プリント配線板用銅はく用語 CFIA 0001−1999 に記載があるように、表面処理を施す前の銅箔を指す。)
この未処理電解銅箔の屈曲性は、圧延銅箔と同等レベルの屈曲性を有している。
一方、近年の電子機器の技術革新は目覚しいものがあり、機器のコンパクト化が進む一方で、これらの機器に用いられるFPCも、それに対応するため、多ピン化、ファインピッチ化が急速に進んでおり、そのような要望を満足させると共にその信頼性を向上させるために、より屈曲寿命の長い銅箔が要求されてきている。
上述したようにFPCは絶縁フィルム(ポリイミド、ポリエステル、液晶ポリマー等)上に、銅箔を張り付けた銅張積層板(以下、CCLと略記することがある)に回路を形成した柔軟性のあるプリント配線板である。
使用する圧延銅箔、電解銅箔は共に、絶縁フィルムとの接着力を上げるために銅箔の少なくともフィルムと接着する面に銅粒をめっきにより付着させた粗化処理を施し、もう一方の面は防錆或いは耐熱変色を抑える目的の亜鉛めっき処理、クロメート処理等を施している。
なお、電解銅箔の場合は、通常M面に粗化処理を施し、S面には、通常粗化処理はせず、防錆或いは耐熱変色を抑える目的の亜鉛めっき処理、クロメート処理等を施している。
CCL製造時には、この粗化処理面に接着樹脂を介してフィルムと熱圧着させるか(三層FPC)、或いは接着樹脂を介さず銅箔粗化面に直接キャスティング或いは熱圧着法により、絶縁フィルムを積層(二層FPC)してCCLを作成する。
作成したCCLにエッチング法により回路を形成し、回路側に絶縁フィルムのカバーレイを接着してFPCとする。
このようにして作成したFPCは折り曲げられて装着されたり、或いは繰り返して曲げられるような箇所に使用される。従って、FPC用銅箔は、屈曲性に優れていることが必要である。
なお、屈曲性の評価試験方法としては、JIS C 5016−1994に記載されている耐折性試験、あるいは耐屈曲性試験等が行われている。特に耐屈曲性試験は、実際にFPCが使用される場合の曲げのモードに近いと言われており、一般的に使用されている。
上記のような耐屈曲性試験によりFPCの屈曲試験を行うと、屈曲回数が多くなるに従い銅箔表面から亀裂が入り、その亀裂を起点にして最終的には銅箔が破断する。亀裂が入る過程を詳細に観察すると、銅箔が電解銅箔の場合、その亀裂はM面側からではなく、S面側から入る場合の方が圧倒的に多い。
この現象について解析を行ったところ、特許文献1の製造方法で作成された銅箔は、特にS面の表面粗さが粗いと耐屈曲性試験を行った場合破断しやすい傾向にあることが判明した。
電解銅箔のS面は肉眼で見ると光沢のある面であるが、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察すると筋状の凹凸の多い表面をしている。
電解銅箔は図1に示すように硫酸銅を主成分とする電解液3から、回転するカソード(チタン製ドラム)2に銅を箔状に析出させ、これを連続的に引き剥して未処理銅箔4を製造する。製箔されたS面はチタン製ドラムと接していた面であるため、その表面はちょうどチタン製ドラム2の面を転写した面になっている。
チタン製ドラムは定期的に研磨を行うために、ドラムの研磨直後は比較的平滑で、研磨筋の深さは浅いが、強酸性の電解液を使用して電気めっきを行うので、時間の経過と共に研磨筋が深くなる。これは、そのまま電解銅箔のS面の形状に引き継がれる。
こうした、チタン製ドラムの研磨筋を転写したS面を有する電解銅箔につき耐屈曲性試験を行うと、S面に転写された筋の部分が起点になり、銅箔に亀裂が入ることが判明した。
特に、筋に対して直角方向に曲げが入る場合に比べ、筋に対して平行に曲げが入る場合は破断しやすくなる。
特許第3313277号公報 特許第3608840号公報
本発明は、上記従来の電解銅箔の屈曲寿命をさらに高めることを目的に研究した結果、本発明を完成させたものである。
本発明は絶縁フィルムと接着する接着性に優れ、かつ、絶縁フィルムと接着後の耐屈曲性に優れるフレキシブルプリント配線板用銅箔を提供することを目的とする。
また、本発明は絶縁フィルムと接着する接着性に優れ、かつ、絶縁フィルムと接着後の耐屈曲性に優れるフレキシブルプリント配線板用銅箔の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のフレキシブルプリント配線板用電解銅箔は、メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用い、製箔後の銅箔の粗面側の表面粗さRzが2.1μm以下で、かつ、光沢面側の表面粗さRzと同じかそれより小さく製箔された未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織からなる平滑めっき層が設けられている
上記フレキシブルプリント配線板用銅箔において、未処理電解銅箔の光沢面に設ける平滑めっきはカーボン量18ppm以下で、かつ再結晶温度が200℃以下の銅めっきであることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント配線板用電解銅箔の製造方法は、メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用い、製箔後の銅箔の粗面側の表面粗さRzが2.1μm以下で、かつ、光沢面側の表面粗さRzと同じかそれより小さく製箔して未処理電解銅箔を製造し、該未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織の平滑めっき層を形成する製造方法である
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記フレキシブルプリント配線板用電解銅箔により製作された配線板である。

本発明は絶縁フィルムと接着する接着性に優れ、かつ、絶縁フィルムと接着後の耐屈曲性に優れるフレキシブルプリント配線板用銅箔を提供することができる。
また、本発明は絶縁フィルムと接着する接着性に優れ、かつ、絶縁フィルムと接着後の耐屈曲性に優れるフレキシブルプリント配線板用銅箔の製造方法を提供することができる。
更に、本発明は耐屈曲性に優れたフレキシブルプリント配線板(FPC)を提供することができる。
本発明は、未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織からなる平滑めっき層が設けられているフレキシブルプリント配線板用銅箔である。
本発明において未処理電解銅箔は、好適には、メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用いて電解製箔された未処理電解銅箔である。
本発明のフレキシブルプリント配線用銅箔は、好適には、未処理銅箔の粗面側の表面粗さRz(表面粗度)が2.1μm以下であり、かつ、光沢面側の表面粗度Rzと同じかそれより小さい未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織からなる平滑めっき層が設けられている。
前記未処理電解銅箔に、粗面側の表面粗さが、表面粗度Rzが2.1μm以下であり、かつ、光沢面側の表面粗度Rzと同じかそれより小さい電解銅箔を使う理由は、耐屈曲性を高めるためである。
粗面側の表面粗さが粗い銅箔を屈曲すると、粗面表面凹凸の凹の部分に応力が集中し、最初の折り曲げで亀裂がはいらない場合でも、繰り返し屈曲した場合には早い段階で、亀裂が発生し、亀裂が銅箔内部に伝播し、最終的には破断に至る。
これは、光沢面も同じである。光沢面表面凹凸(表面筋)の凹の部分に応力が集中し、繰り返し屈曲した場合には亀裂が発生し、亀裂が銅箔内部に伝播し、最終的には破断に至る。
従って、耐屈曲の良い電解銅箔を得るためには、もともとの未処理電解銅箔自体の粗面、光沢面の粗さが、共に平滑であることが好ましい。
光沢面の表面粗度Rzが、2.1μmを超える粗さである場合、粒状の結晶組織からなる平滑めっきを行っても効果が出ない場合がある。それはあまりに光沢面の凹凸が大きいと(表面筋の凹凸が大きいと)、平滑めっきにより光沢面の筋を埋めることが出来なくなるからである。
また、光沢面の表面粗度Rzが2.1μm以下で、なおかつ粗面の粗さが光沢面の粗さと同じか、それ以下でないと粗化面からの亀裂により平滑めっきの効果が半減される恐れがある。即ち、光沢面の粗さのみ平滑にしても、粗面の粗さが粗くては、そこから亀裂がはいるからである。
通常の製造方法で製膜した電解銅箔は光沢面に比較して、粗面の粗さが粗いのが常識である。こうした銅箔の光沢面に平滑めっきを施しても効果は出ない。光沢面の表面粗度Rzが2.1μm以下で、なおかつ粗面の粗さが光沢面の粗さと同じか、それ以下の未処理銅箔を使って初めて耐屈曲性の良い電解銅箔を得ることができる。 本発明における電解銅箔(未処理電解銅箔)は、上述したように、メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用いて電解製箔することにより、製膜することができる。なお、上記製膜方法は低粗化面の電解銅箔を製造する一例であり、本発明においては、前記製膜方法により製造された電解銅箔に限定されるものではない。
本発明において、未処理電解銅箔の光沢面に、平滑めっきを施す理由の一つは、銅箔製箔時に前記ドラムの研磨筋を転写したS面の筋を埋めるためである。S面の筋を埋めることにより、曲げに対して銅箔に亀裂が入りにくくなる。
ところで、未処理電解銅箔の光沢面に設ける平滑めっきは、粒状の結晶組織で、平均結晶粒径で2μm以下の銅めっきである。
めっきにより形成される銅の結晶組織は、そのめっき液組成により柱状の結晶組織となる場合がある。しかし、未処理電解銅箔のS面に行うめっきとしては、柱状組織のめっきは耐屈曲性が必要とされる場合には適さない。
その理由は、銅箔に曲げ応力が加わったとき、柱状の結晶組織の場合、柱状の結晶粒界にそって亀裂がはいり、かえって破断しやすくなる確立が高いためである。
なお、柱状の結晶組織の平滑めっきが形成されても、該平滑めっきを再結晶させることで粒状の結晶組織とすることができる場合がある。このような場合には先ず柱状結晶組織の平滑めっきを施し、次いで再結晶させて粒状結晶組織とする。
また、S面を埋めるためには平均結晶粒径を2μm以下とすることが好ましく、平均結晶粒径が2μmを越えるとS面の筋を埋める効果が少なく、銅箔に亀裂が入るまでの屈曲回数を増やす期待が希薄になるからである。
なお、本発明でいう平均粒径とは、まず結晶粒が形成されている表面の写真を透過顕微鏡で撮影する。そして、その写真における結晶粒の面積を10点以上実測し、その面積をもつ真円としたときの直径を計算し、その計算値を平均粒径とする。
また、本発明における未処理電解銅箔の光沢面(S面)に施す平滑めっきは、カーボン量が18ppm以下であり、かつ再結晶温度が200℃以下の銅めっきである。この場合使用するめっき液としては、例えば特許文献2(特許第3608840号公報)に記載された銅めっき液を使うことが好適である。
カーボン量を18ppm以下とするためには、めっき液中に添加する有機添加剤を極微量にするか、或いは全く加えない銅めっき液にする必要がある。こうしためっき液から形成された銅めっきは、めっき直後の状態は柱状の結晶組織をしている。しかし、結晶粒界に存在する有機添加剤成分が少ないため(有機添加剤量は銅中のカーボン量を測定することにより定量が可能である。)、200℃以下という比較的低い温度で再結晶して粒状の結晶組織に変化する。200℃以下という温度で再結晶するためには銅箔中のカーボン量が18ppm以下であることが必要である。
このようにして形成しためっき層は、3層銅張積層板製造時の150℃前後の加熱により再結晶して粒状の結晶組織に変化する。
これは2層の銅張積層板を製造する場合も同様である。2層の銅張積層板を製造する場合には、通常300℃以上の温度がかかるため、3層銅張積層板と同様に銅めっき層は再結晶して粒状の結晶組織に変化する。
このように、再結晶して粒状の結晶組織に変化した銅めっき層は、FPCに曲げ応力がかかった場合でも銅箔に亀裂が入りにくく、銅箔の屈曲破断に至る屈曲回数が増える。
このめっきを行う場合にはめっき液の組成、温度、電流密度条件を選び、S面の筋を埋めるようにめっき条件を選ぶ。
平滑めっきの厚さは、0.05μmから元箔として用いる箔の厚さと同じ厚さまでが好適である。すなわち、元箔として用いる銅箔の厚さが9μである場合、0.05μmから9μmのめっきを施すと良い。これは0.05μm未満のめっきを行ってもS面の筋を埋める効果がないためである。
また、未処理電解銅箔のS面に平滑めっきを行うと同時に、M面にも平滑めっきを行うことが好適な場合がある。なお、元箔を製箔する時に使用する銅めっき液とS面に平滑めっきを行う時に使用する銅めっき液が同じである場合には、M面にさらに平滑めっきを行う必要はない。
しかし、元箔を製箔する時に使用する銅めっき液とS面に平滑めっきを行う時に使用する銅めっき液が異なる場合には、M面にも平滑めっきを行った方が、屈曲性が上がる場合がある。
このようにM面にも平滑めっきを施す理由は、S面のめっきに使用した銅めっき液から電析した銅の性能値(引張強さ、伸び等)が、元箔の性能値(引張強さ、伸び等)と大きく異なることがあり、S面のみにそのようなめっきを施した場合にはS面とM面のバランスが取れなくなり、支障をきたすことがあるためで、そのような場合にはS面と同時にM面にもめっきを施し、S面とM面のバランスをとる必要がある。
以下本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
図1に示す回転するドラム状のカソード(チタン製)2と、陰極に対して同心円状のアノード(DSA製)1を配置した装置の電解槽に電解液3を充填し、両極間に電流を流して未処理電解銅箔4を製造した。使用した銅めっき液は下記組成1であり、箔厚35μmとした。このあと組成1のめっき液を使用してS面に0.07μmの厚さの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
めっき液組成1:
めっき浴:Cu 70〜130g/L
H2SO4 80〜140g/L
3-メルカプト1-プロパンスルホン酸ナトリウム 0.5〜5ppm
ヒドロキシエチルセルロース 1〜10ppm
低分子量膠(分子量3000) 1〜10ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度:10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
実施例1の条件で製造した厚さ34μmの未処理電解銅箔のS面に実施例1と同様にして1μmの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
実施例1の条件で製造した厚さ32μmの未処理電解銅箔のS面に実施例1と同様にして3μmの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
実施例1の条件で製造した厚さ17.5μmの未処理電解銅箔のS面に実施例1と同様にして17.5μmの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
実施例1の条件で製造した厚さ34μmの未処理電解銅箔のS面に組成2のめっき液を使用してS面に1μm厚さの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
めっき液組成2:
めっき浴:Cu 70〜130g/L
H2SO4 80〜140g/L
電流密度:10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
上記めっき液組成2で平滑銅めっきを施した銅箔の平滑銅めっきのカーボン量を測定したところ、C=6.0ppmであった。
なお、カーボン量は、堀場製作所EMIA−U511により測定した。
測定は、脱脂した銅箔を酸素雰囲気中電気炉燃焼により発生するCOガスの赤外吸収を測定し、カーボン量に換算した。
標準試料名:JSS200−11
標準値:56.00ppm
助燃剤:測定時なし 校正時:Sn 0.5g
酸素精製器使用
条件:C:INT.TIME=60sec FURNACE TEMP 1250℃
C:COMP.LVL=0.0% WAIT TIME=0sec
実施例1の条件で製造した厚さ32μmの未処理電解銅箔のS面にめっき液組成2のめっき液を使用してS面に3μm厚さに平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
実施例1の条件で製造した厚さ29μmの未処理電解銅箔のS面にめっき液組成2のめっき液を使用してS面に3μm厚さの平滑銅めっきを行い、同時にM面にも3μm厚さの平滑銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
<比較例1>
実施例1の条件で35μm厚さの未処理電解銅箔を作成した。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
<比較例2>
実施例1の条件で34μm厚さの未処理電解銅箔を作成し、そのS面にめっき液組成3のめっき液を使用してS面に1μm厚さの銅めっきを行った。この後、表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μmの銅箔を得た。
めっき液組成3:
めっき浴:Cu 70〜130g/L
H2SO4 80〜140g/L
膠 1〜10ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度:10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
<耐屈曲性評価試験片の作成>
実施例1〜6、及び比較例1〜2に示した銅箔をニッカン工業株式会社製ニカフレックスCISV−2525(ポリイミドフィルム25μm、接着剤厚さ25μm)に、150℃、40kg/cm、55分の条件でラミネートした後、JIS C 5016−1994に記載されているライン/スペース=1.5mm/1.0mmの耐屈曲性試料を作成した。その後カバーレイとしてニカフレックスCISV−2525をラミネートした。
<耐屈曲性試験>
信越エンジニアリング株式会社製FPC高速屈曲試験機SEK−31B2Sにより、上記の耐屈曲性評価試験片(FPC)をセットし、曲率半径1.5mm、ストローク長さ20.0mm、屈曲回数2000回/分で耐屈曲性の測定を行った。測定は、回路抵抗を経時的に測定し、破断するまでの回数をカウントした。
結果を表1に記載した。
Figure 0004430020
実施例1〜7に示すように、S面に粒状結晶の平滑めっきを行ったものは、平滑めっきを施していない比較例1に比べ破断までの回数が多いことが明らかである。
また、比較例2に示すようにS面に行うめっきが柱状結晶の場合は、比較例1に比べてかえって破断サイクルが小さくなる。これは回路が屈曲された時、柱状結晶の結晶粒界からクラックが入りかえって破断しやすくなるためである。
なお、S面に設ける平滑めっき層の厚さと屈曲破断との関係について検討した結果、未処理電解銅箔の筋が埋まらないような厚さ、例えば0.05μm程度以下の厚さでは、S面の筋に基づく屈曲破断の影響を改善する効果が薄く、屈曲性試験による破断までの回数はほとんど改善されないことがある。したがって、平滑めっき層の厚さはS面の筋を少なくとも埋めるだけの厚さに施すようにすることがより好ましい。
本発明による銅箔は、耐屈曲性が優れ、圧延銅箔と同等あるいはそれ以上の性能を有する。さらに、圧延銅箔に比較して安価であり、広幅の箔を製造することができるので生産性も向上する。
電解製箔装置の構造を示す説明図である。
符号の説明
1 電解製箔装置のアノード(DSA)
2 電解製箔装置のカソード(チタン製ドラム)
3 電解製箔装置の電解液
4 未処理銅箔

Claims (5)

  1. メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用い、製箔後の銅箔の粗面側の表面粗さRzが2.1μm以下で、かつ、光沢面側の表面粗さRzと同じかそれより小さく製箔された未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織からなる平滑銅めっき層が設けられているフレキシブルプリント配線板用電解銅箔。
  2. 前記平滑銅めっき層が、カーボン量18ppm以下で再結晶温度が200度以下の平滑銅めっき層である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板用電解銅箔。
  3. メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用い、製箔後の銅箔の粗面側の表面粗さRzが2.1μm以下で、かつ、光沢面側の表面粗さRzと同じかそれより小さく製箔して未処理電解銅箔を製造し、該未処理電解銅箔の光沢面に、粒状の結晶組織からなる平滑銅めっき層を形成するフレキシブルプリント配線板用電解銅箔の製造方法。
  4. 前記平滑銅めっき層を、カーボン量18ppm以下で再結晶温度が200度以下の平滑銅めっきで形成する請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板用電解銅箔の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板用電解銅箔により製作されたフレキシブルプリント配線板。
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