JP4429866B2 - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂中に層状珪酸塩が均一に分散された塩化ビニル系樹脂の製造方法に関する。
従来、塩化ビニル系樹脂は機械的強度、耐薬品性等に優れた特性を有する材料としてパイプ、波板、樋など建築・配管材料等の多くの用途に使われており、更に、耐熱性、熱変形温度、耐衝撃性等の諸物性を改善することが要求されている。
これらの諸物性を改善するために、塩化ビニル系樹脂に炭酸カルシウム等の無機充填剤を添加することは、広く実施されているが、塩化ビニル系樹脂と炭酸カルシウム等の無機充填剤の親和性は乏しく、機械的強度や耐熱性は改善されるが靭性が低下するという欠点があり、又、機械的強度を改善するには多量の無機充填剤を添加しなければならないと言う欠点があった。
上記欠点を改良するために、塩化ビニル系樹脂を懸濁重合する際に、無機充填剤を添加して重合する方法が種々検討されている。
例えば、塩化ビニルを懸濁重合する時に、クリソタイル、セピオライト、ベルミキュライトなどの硅酸質充填材を添加する塩化ビニル系樹脂の製造方法(例えば、特許文献1参照。)、塩化ビニルを懸濁重合する時に、タルクなどの粉末粒子を添加する塩化ビニル系樹脂の製造方法(例えば、特許文献2参照。)、懸濁重合に於いて、タルク、ベントナイトなどの無機充填剤をノニオン界面活性剤で湿潤させて添加して、塩化ビニル系樹脂を製造する方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されているが、無機充填剤の分散効果が充分でなく、物性改善は十分なものとならなかった。
特公昭50−26590号公報 特開昭52−94389号公報 特開昭60−228505号公報
その為、無機充填剤の分散性を向上させる努力がなされ、例えば、重合転化率が70%に達した時に無機充填剤を添加して、塩化ビニル系樹脂の懸濁重合をする方法(例えば、特許文献4参照。)、シランカップリング剤処理された無機充填剤を添加して、塩化ビニル系樹脂の懸濁重合をする方法(例えば、特許文献5、6参照。)、シランカップリング剤を重合系内に添加して、塩化ビニル系樹脂の懸濁重合をする方法(例えば、特許文献7、8参照。)等が提案されているが、いずれも、充分な効果を上げていないのが現状である。
特開平4−117403号公報 特開昭57−192412号公報 特開平2−34602号公報 特開平2−50924号公報 特開平2−50925号公報
更に、塩化ビニル単独又は塩化ビニルを主成分とする重合性単量体を、微細な無機充填剤である、平均粒子径が10〜50μmの硅酸塩及びシリカの存在下で、懸濁分散剤を含む水性媒体中で懸濁重合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方法(例えば、特許文献9参照。)が提案されている。
特開平10−110004号公報
しかしながら、無機充填剤は比重が大きく、重合中に沈殿してしまうので塩化ビニル系樹脂中に多量に導入することは困難であった。又、多量に導入しようとすると、より多量の無機充填剤を添加する必要があり、沈殿する無機充填剤が多くなり、重合終了後に重合槽内の掃除が困難であるという問題があった。更に、塩化ビニル系樹脂と無機充填剤の分離工程が必要になり、製造コストが高くなるという欠点があった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、層状珪酸塩を少なくとも1種の無機充填剤として用いることで無機充填剤が沈殿することなく重合することができ、過剰の無機充填剤を添加する必要がなく、樹脂中に無機充填剤が均一に分散した塩化ビニル系樹脂を低コストで製造することができ、更には耐熱性に優れた塩化ビニル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法は、層状珪酸塩と水の混合物を攪拌して、層状珪酸塩の粒子径を100nm〜10μmとなるよう微細化して、水により膨潤したスラリーを作成し、
塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーを主成分とする塩化ビニル系モノマーを、上記スラリーと乳化分散剤を含む水中で乳化重合することを特徴とする。
請求項3記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法は、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーを主成分とする塩化ビニル系モノマーを、層状珪酸塩の存在下、乳化分散剤を含む水中で乳化重合することにより生成した塩化ビニル系樹脂にシランカップリング処理を施すことを特徴とする。

本発明で使用される塩化ビニル系モノマーとしては、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルを主成分とする塩化ビニルモノマーが挙げられる。
塩化ビニルを主成分とする塩化ビニルモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニルモノマーと、塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとの混合モノマーである。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。これらのその他の共重合性モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明で使用される層状珪酸塩は、従来から塩化ビニル系樹脂の充填剤又は物性強化剤として用いられており、水に分散すると膨潤し、分散可能な性質を有するものであり、例えば、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトなどのスメクタイト族フィロ珪酸塩;白雲母、ソーダ雲母、絹雲母、セラドナイト、金雲母、フッ素金雲母などのマイカ族フィロ珪酸塩;カオリナイトなどのカオリン鉱物;パイロフィライト、タルク、テクト珪酸塩等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記層状珪酸塩は水と混合して激しく攪拌すると、水で膨潤し粒子径が小さくなるので層状珪酸塩の粒子径は、特に限定されるものではなく、一般に30〜100μmの粒子が好適に使用される。
層状珪酸塩の添加量は、少量では塩化ビニル系樹脂の機械的強度や耐熱性を改良する効果がなく、多量になると層状珪酸塩が水中で膨潤し増粘して塩化ビニル系モノマーの乳化重合が困難になるので、塩化ビニル系モノマー25〜99重量%に対し層状珪酸塩75〜1重量%が好ましく、より好ましくは、塩化ビニル系モノマー50〜99重量%に対し層状珪酸塩50〜1重量%である。
請求項1及び5記載の発明においては、塩化ビニル系モノマーを、層状珪酸塩の存在下、乳化分散剤を含む水中で乳化重合するのであるが、層状珪酸塩が水により膨潤した状態で水中に存在しないと、層状珪酸塩は分離、沈降してしまい、乳化重合された塩化ビニル系樹脂中に取り込まれにくくなるので、層状珪酸塩は水により膨潤した状態で水中に存在させる。


層状珪酸塩を水により膨潤した状態で水中に存在させる方法は、層状珪酸塩と水を激しく攪拌することにより、容易に層状珪酸塩を水により膨潤させることができるので、層状珪酸塩と水の混合物をホモジナイザーにより攪拌してスラリーを作成する方法である。

こうすることで層状珪酸塩は、その粒子径が100nm〜10μm微細化され、水中で膨潤した状態で安定なスラリーが得られるので、得られたスラリーを乳化重合に使用する。
本発明で使用される乳化分散剤としては、従来より塩化ビニル系樹脂の乳化重合の際に使用されている任意の乳化分散剤が使用でき、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられ、アニオン系界面活性剤が好適に使用される。アニオン系界面活性剤としては、、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の乳化重合方法は、塩化ビニル系モノマーを、層状珪酸塩の存在下、乳化分散剤を含む水中で乳化重合するのであり、請求項1記載の発明については、層状珪酸塩と水の混合物を攪拌して、層状珪酸塩の粒子径を100nm〜10μmとなるよう微細化して、水により膨潤したスラリーを作成し、塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーを主成分とする塩化ビニル系モノマーを、上記スラリーと乳化分散剤を含む水中で乳化重合する方法である。
また、請求項3記載の発明については、層状珪酸塩を存在させる以外、従来公知の任意の塩化ビニルの乳化重合方法が採用されてよい。

例えば、重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下において、層状珪酸塩を水に分散したスラリー及び乳化分散剤と重合開始剤を重合槽に添加し、重合槽内をジャケット等により所定の温度に昇温して、塩化ビニルモノマーを重合槽内へ添加することにより重合する。
上記重合開始剤としては、従来から乳化重合で使用されている水溶性のフリーラジカルを発生する化合物であれば、特に限定されず例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機系過酸化物;4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等のアゾ系開始剤及びレドックス開始剤等が挙げられる。
上記乳化重合の際の重合温度としては、従来公知の乳化重合温度であればよく、特に限定されるものではない。又、重合槽についても、形状、構造において、特に制限はなく、従来公知の任意の重合槽が使用可能である。
乳化重合の結果得られるエマルジョンの固形分濃度は、特に限定されるものではないが、生産性、重合反応の安定性からみて、10〜50重量%が好ましい。
乳化重合の結果得られるエマルジョン中の塩化ビニル系樹脂の平均粒子径は、特に限定されず、使用方法により好ましい平均粒子径が異なるが、例えば、エマルジョンとして用いる場合は、大きくなると塩化ビニル系樹脂粒子と水の分離が起こりやすくなるため、30μm以下が好ましい。又、塩化ビニル系樹脂粒子を乾燥し、粉体として使用する場合は、乾燥工程の操作性等より10〜3000μmが好ましい。
本発明で得られた塩化ビニル系樹脂の平均重合度は,小さすぎても大きすぎても成形性が低下するので300〜4000が好ましく、より好ましくは800〜2500である。
尚、平均重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する
請求項3記載の発明においては、上記乳化重合することにより生成した塩化ビニル系樹脂に、シランカップリング処理を施すことにより、得られる塩化ビニル系樹脂の耐熱性が向上する。
上記塩化ビニル系樹脂へのシランカップリング処理の方法としては、シランカップリング剤を用いる公知の方法が適用可能であり特に限定されないが、本発明における塩化ビニル系樹脂に対するシランカップリング剤の浸透性を均一にするため、上記乳化重合により生成した塩化ビニル系樹脂がスラリー状態の時にシランカップリング剤を添加し乾燥させる湿式処理がより好ましい。また上記層状珪酸塩に対するシランカップリング剤の使用量については特に限定されることはない。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のp−スチリルトリアルコキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、取り扱いの簡便さの点で、末端アルコキシ含有シランカップリング剤が好ましい。
本発明で得られた塩化ビニル系樹脂は、一般に成形されて成形体として使用されるが、塩化ビニル系樹脂成形体を成形する際に一般に添加されている配合剤が添加されてよく、配合剤としては、例えば、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、無機充填剤、可塑剤等が挙げられる。
上記熱安定剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている熱安定剤であれば、特に限定されず、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記安定化助剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている安定化助剤であれば、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている滑剤であれば、特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記加工助剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている加工助剤であれば、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている酸化防止剤であれば、特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光安定剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている光安定剤であれば、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記顔料としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている顔料であれば、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記無機充填剤としては塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている無機充填剤であれば、特に限定されず、例えば、上記層状珪酸塩の他に炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤としては、塩化ビニル系樹脂を成形する際に使用されている可塑剤であれば、特に限定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法の構成は上述の通りであり、塩化ビニル系モノマーを、層状珪酸塩の存在下、乳化分散剤を含む水中で乳化重合するのであるから、層状珪酸塩が沈殿することなく乳化重合することができ、過剰の層状珪酸塩を添加する必要がなく、樹脂中に層状珪酸塩が均一に分散した塩化ビニル系樹脂を安価に製造することができる。
又、得られた塩化ビニル系樹脂は、樹脂中に層状珪酸塩が均一に分散しているので、線膨張率が低く、機械的強度、耐熱性、靭性等が優れている。
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。
層状珪酸塩スラリーの作成
(1)スラリーA
脱イオン水10.6重量部とモンモリロナイト(平均粒子径36μm)1.29重量部を混合し、ホモジナイザーにより攪拌速度4000rpmで10分間攪拌してモンモリロナイトのスラリーを得た。得られたスラリーを2時間静置した後、スラリーの状態を観察したが、モンモリロナイトの凝集及び沈降はなかった。又、水中に存在したモンモリロナイトの平均粒子径は0.8μmであった。
(2)スラリーB
脱イオン水10.6重量部とマイカ(平均粒子径65μm)10.47重量部を混合し、ホモジナイザーにより攪拌速度4000rpmで10分間攪拌してマイカのスラリーを得た。得られたスラリーを2時間静置した後、スラリーの状態を観察したが、マイカの凝集及び沈降はなかった。又、水中に存在したマイカの平均粒子径は2.2μmであった。
(3)スラリーC
脱イオン水10.6重量部とベントナイト(平均粒子径44μm)2.72重量部を混合し、ホモジナイザーにより攪拌速度4000rpmで10分間攪拌してベントナイトのスラリーを得た。得られたスラリーを2時間静置した後、スラリーの状態を観察したが、ベントナイトの凝集及び沈降はなかった。又、水中に存在したベントナイトの平均粒子径は1.1μmであった。
(実施例1)
内容積20リットルでジャケットを備えたステンレス製重合器を脱気した後、脱イオン水95.4重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.326重量部、上記スラリーA11.89重量部、塩化ビニルモノマー33重量部及び過硫酸アンモニウム0.033重量部を供給した後、重合器内の温度を57℃に昇温して、乳化重合反応を開始した。
その後、重合器の圧力が0.2MPa低下した時点で未反応塩化ビニルモノマーを回収し、脱水乾燥して塩化ビニル系樹脂Aを得た。得られた塩化ビニル系樹脂Aの平均重合度は1000であり、モンモリロナイトを5重量%含有していた。
表1に示した所定量の塩化ビニル系樹脂A、有機錫系熱安定剤(三共有機合成社製、商品名:ONZ−6F)及び滑剤(三井化学社製、商品名:Hiwax−2203A)を100Lスーパーミキサー(カワタ社製)に供給し、3分間攪拌混合して塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を8インチロール成形機に供給し、190℃で3分間ロール混練して厚さ1mmのシートを得、得られたシートをプレス成型機に供給して、200℃で3分間予熱した後、200℃、圧力4.9MPaで4分間プレスして厚さ5mmの塩化ビニル系樹脂板状成形体を得た。得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
(実施例2)
スラリーAに代えて、スラリーB21.07重量部を供給した以外は、実施例1で行ったと同様にして乳化重合を行い塩化ビニル系樹脂Bを得た。得られた塩化ビニル系樹脂Bの平均重合度は1000であり、マイカを30重量%含有していた。
得られた塩化ビニル系樹脂Bを用いた以外は、実施例1で行ったと同様にして塩化ビニル系樹脂板状成形体を得、得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
(実施例3)
スラリーAに代えて、スラリーC13.32重量部を供給した以外は、実施例1で行ったと同様にして乳化重合を行い塩化ビニル系樹脂Cを得た。得られた塩化ビニル系樹脂Cの平均重合度は1000であり、ベントナイトを10重量%含有していた。
得られた塩化ビニル系樹脂Cを用いた以外は、実施例1で行ったと同様にして塩化ビニル系樹脂板状成形体を得、得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例3により得られた塩化ビニル系樹脂Cに、塩化ビニル系樹脂C中に含まれるベントナイトに対して5重量%になるようにアミノシランカップリング剤(信越化学社製、「KB603」)を添加し、70℃で4時間加熱した後濾過して塩化ビニル系樹脂Dを得た。
得られた塩化ビニル系樹脂Dを用いた以外は、実施例1で行ったと同様にして塩化ビニル系樹脂板状成形体を得、得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
(比較例1〜3)
表1に示した所定量の塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、商品名「TS1000R」、平均重合度1000)、有機錫系熱安定剤(三共有機合成社製、商品名:ONZ−6F)、滑剤(三井化学社製、商品名:Hiwax−2203A)、モンモリロナイト(平均粒子径36μm)、マイカ(平均粒子径65μm)及びベントナイト(平均粒子径44μm)を100Lスーパーミキサー(カワタ社製)に供給し、3分間攪拌混合して塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして塩化ビニル系樹脂板状成形体を得、塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
(比較例4)
比較例3と同様にして得られた塩化ビニル系樹脂組成物に、塩化ビニル系樹脂組成物中に含まれるベントナイトに対して5重量%になるようにアミノシランカップリング剤(信越化学社製、「KB603」)を添加し、70℃で4時間加熱した後濾過して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして塩化ビニル系樹脂板状成形体を得、塩化ビニル系樹脂板状成形体の引張強度、曲げ強度、線膨張率及びビカット軟化温度を測定して結果を表1に示した。
尚、各物性の測定方法は下記の通りであった。
(1)引張強度
得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体を用い、プラスチックの引張試験方法(JIS K 7113)に準拠して、1号形試験片で引張試験を行い、引張強度を求めた。
(2)曲げ強度
得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体を用い、プラスチックの曲げ試験方法(JIS K 7171)に準拠して、23℃で、1号形試験片で曲げ試験を行い、曲げ強度を求めた。
(3)線膨張率
得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体を用い、プラスチックの線膨張試験方法(JIS K 7197)に準拠して、測定温度23℃〜70℃で、昇温速度5℃/minで線膨張率を測定した。
(4)ビカット軟化温度
得られた塩化ビニル系樹脂板状成形体を用い、プラスチックのビカット軟化温度試験方法(JIS K 7206)に準拠して、10N加重、昇温速度10℃/hrにてビカット軟化温度を測定した。
Figure 0004429866

Claims (5)

  1. 層状珪酸塩と水の混合物を攪拌して、層状珪酸塩の粒子径を100nm〜10μmとなるよう微細化して、水により膨潤したスラリーを作成し、
    塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーを主成分とする塩化ビニル系モノマーを、上記スラリーと乳化分散剤を含む水中で乳化重合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 塩化ビニル系モノマー25〜99重量%と層状珪酸塩75〜1重量%を乳化重合することを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 塩化ビニルモノマー単独又は塩化ビニルモノマーを主成分とする塩化ビニル系モノマーを、層状珪酸塩の存在下、乳化分散剤を含む水中で乳化重合することにより生成した塩化ビニル系樹脂にシランカップリング処理を施すことを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  4. 塩化ビニル系モノマー25〜99重量%と層状珪酸塩75〜1重量%を乳化重合することを特徴とする請求項3記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  5. 層状珪酸塩が、層状珪酸塩と水の混合物を攪拌して、層状珪酸塩の粒子径を100nm〜10μmとなるよう微細化して、水により膨潤したスラリーとして添加されることを特徴とする請求項3または4記載の塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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