JP4429582B2 - 配線用ボックス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、建物の壁面に配線器具を取り付けるために使用される配線用ボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば建物の壁面にコンセント等の配線器具を取り付けるために配線用ボックスが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。前記配線用ボックスは底壁とその底壁の周縁に立設された周壁とより開口を有する有底四角箱状に形成され、同配線用ボックス内に配線器具を収容可能に形成されている。配線用ボックスの相対向する一対の短側壁の中間位置には、それぞれ配線器具が固定された配線器具取付用枠を配線用ボックスに取り付けるための固定部が形成されている。それら固定部内には、取付ビスとしてのビスを螺着可能とする雌ねじが形成されている。各固定部は各短側壁におけるボックス本体の開口側に突設され、各固定部の裏面と底壁の表面との間にはそれぞれ空間が形成されている。
【0003】
また、前記固定部が形成された一対の短側壁において、前記各固定部の両側方にはケーブルを配線用ボックス内に引込むためのケーブル挿通孔としての挿入孔が形成されている。また、各挿入孔には、接続部材としての電線管が接続され、その電線管は管状をなすとともに、周面が波形状に形成されている。
【0004】
上記配線用ボックスを使用して壁面に配線器具を取り付けるには、まず、壁裏に取り付けられた配線用ボックスの挿入孔に電線管を挿入する。すると、固定部の裏側には空間が形成されているため、電線管の接続端部となる凸条部の一部が固定部の裏側に入り込むとともに、接続端部が全周に亘って挿入孔の全周縁部に係止されて、電線管が挿入孔に接続される。
【0005】
さらに、その電線管内にケーブルを挿通して配線用ボックス内にケーブルを引込み、そのケーブルに配線器具を接続する。そして、前記配線器具を保持した配線器具取付用枠の上下両端部の挿通孔に、前記ビスを挿通して配線器具取付用枠を貫通させ、そのビスを固定部内の雌ねじに螺着する。その結果、配線器具取付用枠が配線用ボックスの前面に固定されるとともに、配線器具が配線用ボックスに取り付けられる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−278840号公報(第3頁〜第4頁、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の配線用ボックスにおいて、底壁の表面と、固定部の裏面との間には空間が形成され、その空間に配線用ボックス内に引込まれたケーブルが入り込むことがあった。その結果、固定部に螺合され、同固定部を貫通したビスの先端がケーブルに接触したり、螺合作業に伴い回転するビスにケーブルが巻き付いたりする虞があるという問題があった。
【0008】
ここで、底壁の表面から配線用ボックスの開口側へ円筒状に延びる固定部を形成し、前記空間を無くすことが考えられる。しかし、固定部は一定の幅で延びるように形成されているため、前記挿入孔はその一側部が固定部の側部に達しないように形成される。その結果、挿入孔自体が狭くなり、同挿入孔に対するケーブルの挿通作業が行いにくくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、固定部に螺合される取付ビスとケーブルとの干渉を防止することができるとともに、ケーブル挿通孔にケーブルを挿通する作業を容易に行うことができる配線用ボックスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口を有する箱状をなすボックス本体を備え、同ボックス本体の側壁の内面に、ボックス本体に配線器具等を固定するための取付ビスが螺着可能な固定部がボックス本体の底壁の表面から離れた開口側に形成され、前記固定部の裏面とボックス本体の底壁の表面との間には同固定部を貫通した取付ビスが露出する空間が形成され、前記固定部が形成された側壁において、前記固定部の側方となる位置にケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が形成され、前記ケーブル挿通孔は、同ケーブル挿通孔の一側部が、前記固定部におけるケーブル挿通孔側の側縁を通りボックス本体の奥行き方向へ直線状に延びる仮想線を、固定部の裏面側へ越えるように形成された配線用ボックスであって、前記固定部の裏面とボックス本体の底壁の表面との間の同固定部を貫通した取付ビスが露出する空間において、前記固定部に螺着される取付ビスの進入路へ前記ケーブルが侵入するのを防止する侵入防止部が形成され、同侵入防止部は、前記ケーブル挿通孔を閉鎖することがないよう前記固定部が形成された側壁の内面から離れた位置のみに設けられ、前記固定部にかかる力を底壁と侵入防止部とで支持すべく固定部から前記底壁の表面にまで連続して延びるように延設されていることを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックスにおいて、前記侵入防止部は断面平板状に形成されていることを要旨とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した配線用ボックスの一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、合成樹脂製の配線用ボックス11は、四角板状をなす底壁12と、その底壁12の周縁に立設された側壁13とより、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体14を備えている。上下に相対向する一対の側壁13には、それぞれ円孔状のケーブル挿通孔15が一対ずつ形成されている。このケーブル挿通孔15間に位置する側壁13の内面には、係止部13aが形成されている。
【0018】
前記一対のケーブル挿通孔15において、図3に示すように、一方(図3では右方)のケーブル挿通孔15はノックアウト部15aによって閉鎖されている。図4に示すように、ノックアウト部15aを除去した一方(図4では右方)のケーブル挿通孔15及び他方(図4では左方)のケーブル挿通孔15には、それぞれケーブル16が挿通可能に形成されている。そして、ケーブル挿通孔15にケーブル16が挿通されてボックス本体14内に引込まれるように形成されている。
【0019】
また、ノックアウト部15aを除去した一方のケーブル挿通孔15及び他方のケーブル挿通孔15には略円筒状をなす接続部材としてのコネクタ17を接続することが可能になっている。このコネクタ17は合成樹脂材料により形成され、一端側(図4では下端側)が先割れ状に形成されている。コネクタ17の先割れ状部分の端面には、それぞれ同コネクタ17の下端面より下方へ延び、さらに、側方へ延びるように形成された係止爪17aが接続端部として突設されている。
【0020】
そして、図3及び図4に示すように、両係止爪17aをそれぞれケーブル挿通孔15内に嵌入し、一方の係止爪17aを前記係止部13aに係止させ、他方の係止爪17aを各ケーブル挿通孔15の周縁部となる側壁13の内面に係止させる。すると、コネクタ17はケーブル挿通孔15に取り付けられる。図4に示すように、ケーブル挿通孔15に取り付けられたコネクタ17の他端側(図4では上端側)には図示しない電線管が接続され、そのコネクタ17及び電線管にケーブル16が挿通されるようになっている。
【0021】
図1〜図4に示すように、前記ケーブル挿通孔15が形成された上下に相対向する一対の側壁13の内面において、ボックス本体14の開口側端部の中央部には、それぞれ固定部Bがボックス本体14内方に突設されている。これら固定部Bはボックス本体14に図示しない配線器具等を取付けるために使用される。図2に示すように、各固定部B内にはそれぞれナット18が埋め込まれている。この固定部Bのボックス本体14の奥行き方向への長さは、側壁13のボックス本体14の奥行き方向への長さより短く形成されている。そして、各固定部Bは、前記一対のケーブル挿通孔15の側方となる離れた位置に形成され、それらケーブル挿通孔15の一側部を直接的に閉鎖することなくケーブル挿通孔15を狭めないようになっている。
【0022】
そして、図5及び図6に示すように、前記ナット18には、固定部B内へ挿通された取付ビス19が螺着可能に形成されている。また、図3に示すように、固定部Bが形成された両側壁13には、固定部Bの左右両側方となる位置に前記ケーブル挿通孔15が形成されている。
【0023】
図3に破線に示すように、各固定部Bにおける両ケーブル挿通孔15側の側縁を通り当該ボックス本体14の奥行き方向に直線状に延びる直線を仮想線Lとする。このとき、前記ケーブル挿通孔15は、その一側部が、前記仮想線Lを固定部Bの裏側へ超える位置まで延びるように形成されている。即ち、側壁13の裏面視において、各ケーブル挿通孔15は、同ケーブル挿通孔15の一側部が固定部Bの裏面側に達するように形成されている。
【0024】
図1及び図2に示すように、前記各固定部Bの裏面と、固定部Bと相対向する底壁12の表面との間には、それぞれ侵入防止部としての断面平板状をなす侵入防止板20が形成され、各侵入防止板20はそれぞれ各ケーブル挿通孔15の側方に位置するように形成されている。図5及び図6に示すように、これら侵入防止板20は、それぞれ前記ケーブル挿通孔15からボックス本体14内に引込まれたケーブル16が、固定部Bに螺着された取付ビス19の進入路に侵入するのを防止するようになっている。即ち、前記ケーブル16が固定部Bの裏側に侵入するのを防止するようになっている。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、これら侵入防止板20は、それぞれ各固定部Bの裏面において、ボックス本体14の中央側に位置する端部から底壁12に向かって連続して延び、底壁12の表面にまで達するように形成されている。即ち、各侵入防止板20はそれぞれ上下各側壁13の内面から一定距離だけ離れた位置に形成されているとともに、それら上下各側壁13に対して平行をなすように形成されている。
【0026】
侵入防止板20の幅方向への長さは、一対のケーブル挿通孔15間の間隔における最も短い位置よりも短く形成されている。即ち、図3に示すように、側壁13の裏面視において、侵入防止板20の長さ方向に沿った両側縁を側壁13に向かって鉛直に延長した位置に、ケーブル挿通孔15の周縁の一部が重なることがないように侵入防止板20及びケーブル挿通孔15が形成されている。そのため、各侵入防止板20は各ケーブル挿通孔15の一側部を直接的に閉鎖することなく、ケーブル挿通孔15を狭めないようになっている。
【0027】
また、図4に示すように、ボックス本体14の正面視において、同ボックス本体14の幅方向(図4では左右方向)の中心を通り、ボックス本体14の長さ方向(図4では上下方向)に沿って延びるボックス本体14の中心線上に各侵入防止板20が形成されている。そして、各侵入防止板20は前記中心線に対して線対称となるように形成され、図2に示すように、侵入防止板20の長さ方向への両側縁と、各側壁13の内面との間の間隔は同一となるように形成されている。
【0028】
各固定部Bの裏面と、底壁12の表面との間において、前記各侵入防止板20の内面と、固定部Bが形成された側壁13の内面との間には、前記係止部13aが形成されているとともに、凹部としての空間Sが形成されている。各空間Sは、前記コネクタ17をケーブル挿通孔15に接続し、一方の係止爪17aが係止部13aに係止したとき、その係止爪17aが収容されるようになっている。また、図1において、ボックス本体14の左側の側壁13には3箇所に固定孔22が形成されている。
【0029】
次に、上記配線用ボックス11の使用方法を作用とともに説明する。
まず、図2に示すように、建物内に立設された柱23に対して、前記固定孔22から固定ビス24を固定して、配線用ボックス11を柱23に固定させる。次に、図3に示すように、上側の側壁13の他方(図3では左方)のケーブル挿通孔15内に、コネクタ17の一対の係止爪17aを嵌入し、一方の係止爪17aを係止部13aに係止させ、他方の係止爪17aをケーブル挿通孔15の周縁部となる側壁13の内面に係止させる。
【0030】
このとき、ケーブル挿通孔15は、その一側部が仮想線Lを超えて固定部Bの裏側に達するように形成されている。そのため、ケーブル挿通孔15の一側部が前記仮想線Lを固定部B側へ超えていない場合と比較して、ケーブル挿通孔15の直径を大きく取ることができる。従って、ケーブル挿通孔15に接続されるコネクタ17も、その外径及び内径が大きく形成されたものを使用することが可能となる。
【0031】
また、図3及び図6に示すように、固定部B側に位置する一方の係止爪17aが、空間S内に収容されるため、同一方の係止爪17aが侵入防止板20及び固定部Bと干渉するのが防止される。従って、一方の係止爪17aは、係止部13aに係止されるとともに、他方の係止爪17aがケーブル挿通孔15の固定部B側の周縁部に係止され、コネクタ17がそのケーブル挿通孔15に接続されて側壁13に接続される。また、このとき、図6に示すように、一方の係止爪17aが空間S内に入り込んでいるため、その一方の係止爪17aにより、侵入防止板20の左側縁と、上側の側壁13の内面との間隔が狭くなる。
【0032】
次に、図4に示すように、コネクタ17内にケーブル16を挿通し、さらに、そのケーブル16をケーブル挿通孔15を貫通させてボックス本体14内に引込む。このとき、固定部B及び侵入防止板20はケーブル挿通孔15から離れるように、ケーブル挿通孔15の側方に形成されているため、それら固定部B及び侵入防止板20がケーブル挿通孔15を直接的に狭めることはない。従って、ケーブル16が固定部B及び侵入防止板20に干渉することなく、ケーブル挿通孔15に挿通される。
【0033】
続いて、配線用ボックス11の開口側に図示しない壁材が立設され、さらに、その壁材に配線用ボックス11の開口とほぼ同じ大きさの孔が形成される。そして、その孔から壁材の表側にケーブル16を引き出し、図5に破線に示すように、配線器具25にケーブル16を接続し、さらに、その配線器具25を四角枠状をなす固定枠26に保持させる。
【0034】
固定枠26の上下両端部にそれぞれ前記取付ビス19を貫通させ、さらに、両取付ビス19を上下各固定部B内に挿通して各取付ビス19をそれぞれナット18に螺合させる。すると、図6に示すように、各取付ビス19はそれぞれナット18及び固定部Bを貫通して固定部Bの裏面から、取付ビス19の進入路に沿って底壁12側へ突出される。
【0035】
このとき、例えば、固定部Bの下方から同固定部Bに向かってケーブル16が移動されても、侵入防止板20の下面にケーブル16が当接して、ケーブル16が固定部Bの裏側、即ち取付ビス19の進入路に侵入するのが防止される。また、固定部Bの左方から同固定部Bに向かってケーブル16が移動されても、侵入防止板20の長さ方向に沿った左側縁又は一方の係止爪17aにケーブル16が当接して、ケーブル16が固定部Bの裏側の取付ビス19の進入路に侵入するのが防止される。
【0036】
そのため、固定部Bを貫通した取付ビス19と、ケーブル16とが干渉することなく、取付ビス19のナット18に対する螺着作業が行われる。そして、取付ビス19が固定部Bのナット18に螺着されると、ボックス本体14に固定枠26が取り付けられ、その固定枠26に保持された配線器具25が配線用ボックス11に取り付けられる。即ち、固定部Bに取付ビス19が螺着されることにより、配線器具25が配線用ボックス11に固定される。取付ビス19が固定部Bに螺着された後も、侵入防止板20及び一方の係止爪17aにより、ケーブル16が固定部Bの裏側に侵入するのが防止される。
【0037】
配線器具25が壁材に取り付けられた状態において、例えば、配線器具25に対して、同配線器具25を配線用ボックス11内へ押し込む方向への力又は配線用ボックス11外へ引き出す方向への力が作用したとする。すると、前記力は固定枠26から取付ビス19を介して各固定部Bに作用する。このとき、各固定部Bはそれぞれ侵入防止板20によって底壁12に連結されているため、前記力が侵入防止板20及び底壁12に支持される。
【0038】
上記実施形態の配線用ボックス11によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)各ケーブル挿通孔15は、その一側部が仮想線Lを超えて固定部Bの裏側に位置するように形成されている。そのため、ケーブル挿通孔15が、その一側部が仮想線Lを固定部B側へ超えていない場合と比較して、ケーブル挿通孔15の直径を大きくすることができ、当該ケーブル挿通孔15に接続されるコネクタ17の外径及び内径を大きくすることができる。加えて、侵入防止板20の幅は一対のケーブル挿通孔15間の間隔より短く形成され、さらに、侵入防止板20はケーブル挿通孔15から離れた位置に形成されている。そのため、侵入防止板20によりケーブル挿通孔15を直接的に閉鎖することがなく、ケーブル挿通孔15が狭められることが防止される。
【0039】
従って、ケーブル挿通孔15内にケーブル16を容易に挿通することができるとともに、複数本のケーブル16をケーブル挿通孔15に挿通してもケーブル16同士が干渉しにくくなり、ケーブル16の引き出し作業、折り曲げ作業等を容易に行うことができる。また、ケーブル16を折り曲げたとき、そのケーブル16がコネクタ17の端縁やケーブル挿通孔15の周縁に押さえ付けられにくくなり、ケーブル16が損傷を受けたりする不具合の発生を防止することができる。
【0040】
(2)取付ビス19の進入路にケーブル16が入り込むのを侵入防止板20によって防止して、固定部Bに螺合される取付ビス19とケーブル16とが干渉することを防止することができる。従って、固定部Bを貫通した取付ビス19がケーブル16に接触して、同ケーブル16が損傷を受けたり、回転する取付ビス19にケーブル16が巻き付いたりするといった、取付ビス19がケーブル16に干渉することによる不都合の発生を防止することができる。
【0041】
(3)空間Sにより、係止爪17aと侵入防止板20又は固定部Bとの干渉を防止することができる。従って、係止爪17aを係止部13aに確実に係止させることができ、コネクタ17を側壁13に確実に接続することができる。
【0042】
(4)各侵入防止板20の長さ方向に沿った両側縁と、各側壁13の内面との間の間隔が同一となるように、当該侵入防止板20は各固定部Bの中心線上に形成されている。そのため、侵入防止板20の位置が偏り、侵入防止板20の長さ方向に沿った側縁と、各側壁13の内面との間に形成される間隔のうちいずれか一方の間隔が大きくなるという不具合をなくして、ケーブル16が固定部Bの裏側に入り込みやすくなるといった不都合の発生を防止することができる。
【0043】
(5)各侵入防止板20は板状に形成されている。そのため、侵入防止部を、底壁12の表面から筒状に立設する場合と比較して、配線用ボックス11製造のための材料の節約を図ることができる。
【0044】
(6)各侵入防止板20は、上下各側壁13から離れた位置に平板状に形成されているため、各固定部Bの裏側に侵入防止板20を形成すると同時に、各侵入防止板20の内面と各側壁13の内面との間に係止部29及び空間Sを形成することができる。従って、配線用ボックス11の構成を簡易化することができる。
【0045】
(7)各空間Sは左右両側に開口している。そのため、各固定部Bの左右両側方のケーブル挿通孔15にそれぞれコネクタ17を嵌入しても、両コネクタ17の一方の係止爪17aをそれぞれ空間Sに収容することができ、両コネクタ17を各ケーブル挿通孔15に接続することができる。
【0046】
(8)各侵入防止板20により、各固定部Bの裏面と底壁12の表面との間が連結されている。そのため、各侵入防止板20によってボックス本体14の開口側又は底壁12側からの外力を支持することができ、ボックス本体14ひいては配線用ボックス11の強度を高めることができる。
【0047】
(9)各侵入防止板20により、取付ビス19の進入路にケーブル16が進入するのを防止することができる。従って、ケーブル16との干渉を防止するために、短い取付ビス19を使用して、同取付ビス19の固定部Bの裏面からの突出長さが短くなるように調整する必要がなくなる。その結果、使用する取付ビス19の選択を行う必要が無くなり、配線器具25の配線用ボックス11への取付作業の短時間化を図ることができる。
【0048】
(10)各侵入防止板20はそれぞれ各固定部Bの裏面と、底壁12の表面との間に連続して延びるように形成されている。そのため、各固定部Bの下方及び側方から、同固定部Bの裏側にケーブル16が侵入するのを確実に防止することができる。
【0049】
(11)一方の係止爪17aが空間S内に入り込むため、その一方の係止爪17aによって、侵入防止板20の長さ方向に沿った左側縁と側壁13内面との間隔をより狭くすることができる。従って、固定部Bの左側方から、固定部Bの裏側にケーブル16が入り込むのを効果的に防止することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態では、固定部Bを側壁13におけるボックス本体14の開口側に形成したが以下のように変更してもよい。例えば、図7に示すように、側壁13内面の中央部に、ボックス本体14の開口側から底壁12に達するまで連続して円筒状に延びる固定部30を形成し、その固定部30の両側方にそれぞれケーブル挿通孔15を形成する。このとき、ケーブル挿通孔15は、その一側部が、固定部30における両ケーブル挿通孔15側の側面を固定部30側へ切り欠いた位置に位置するように形成されている。そのため、ケーブル挿通孔15が、固定部30の側部を切り欠かずに形成されている場合と比較して、ケーブル挿通孔15の直径を大きくすることができる。
【0051】
さらに、前記固定部30には、同固定部30の外周面により、取付ビス19の進入路へ前記ケーブル16が侵入するのを防止する侵入防止部が形成されている。また、固定部30の両側面の切り欠かれた位置に、ケーブル挿通孔15に嵌入されたコネクタ17の一方の係止爪17aを収容する凹部としての収容凹部28が形成されている。さらに、前記収容凹部28の外側面と、ケーブル挿通孔15の周縁との間に位置する側壁13の内面に、係止爪17aが係止可能な係止部29が形成されている。
【0052】
そして、固定部30に取付ビス19が螺着されたとき、取付ビス19は固定部30内に進入していくため、固定部30の外周面により、取付ビス19の進入路にケーブル16が入り込むのが防止される。また、コネクタ17をケーブル挿通孔15に接続したとき、係止爪17aが前記収容凹部28に収容されるため、一方の係止爪17aと固定部30の外面とが干渉することなく、一方の係止爪17aを係止部29に係止させることができる。即ち、コネクタ17のケーブル挿通孔15への接続が可能となる。
【0053】
従って、このように構成しても、固定部30に螺合される取付ビス19とケーブル16との干渉を固定部30の外面によって防止することができるとともに、ケーブル挿通孔15にケーブル16を挿通する作業を容易に行うことができる。なお、円筒状に延びる固定部30を側壁13の中央部以外の位置に形成してもよい。また、固定部30の一側方のみにケーブル挿通孔15を形成し、そのケーブル挿通孔15が形成された固定部30の外側面のみに収容凹部28を形成し、さらに係止部29を形成してもよい。
【0054】
なお、固定部30の外側面が、各ケーブル挿通孔15の固定部30側の周縁に沿うように固定部30を形成して、前記収容凹部28及び係止部29を省略してもよい。
【0055】
・ 実施形態では、上下に相対向する一対の側壁13に固定部Bを形成するとともに、各固定部Bに対応して侵入防止板20を形成したが、全ての側壁13に固定部Bを形成し、各固定部Bに対応して侵入防止板20を形成してもよい。
【0056】
・ 実施形態では、各固定部Bが形成された側壁13において、固定部Bの両側方にケーブル挿通孔15を形成し、各固定部Bの裏側において、両ケーブル挿通孔15側となる左右両側方に空間Sを開口させたが以下のように変更してもよい。例えば、固定部Bを上下各側壁13の中央又は任意の位置に一箇所だけ形成し、その固定部Bが形成された側壁13において、固定部Bの左側方又は右側方にケーブル挿通孔15を形成する。そして、そのケーブル挿通孔15が形成された側の固定部Bの裏側のみに空間Sを開口させ、他側面を閉鎖してもよい。
【0057】
・ 実施形態では、固定部Bの裏面の全周縁部のうち、ボックス本体14の内方側端部に、断面平板状をなす侵入防止板20を形成したが、固定部Bの裏面に断面円弧状、円筒状、四角筒状等をなす侵入防止部を形成してもよい。
【0058】
・ 実施形態では、各侵入防止板20と、上下各側壁13の内面との間に空間Sを形成したが、固定部Bの裏面の左右両側部にそれぞれ侵入防止板20を形成し、各侵入防止板20をそれぞれ固定部B側へ凹ませてその凹んだ位置に凹部を形成してもよい。なお、固定部Bの前記仮想線Lを固定部B側へ超えた位置にまでケーブル挿通孔15の周縁の一部が達するようにケーブル挿通孔15を形成する。このとき、固定部Bの下方から移動されたケーブル16は一対の侵入防止板20の下側縁に当接し、固定部Bの側方から移動されたケーブル16は各侵入防止板20の側面に当接する。そのため、固定部Bの裏側にケーブル16が侵入することが防止できる。
【0059】
・ 実施形態では、各侵入防止板20を、各固定部Bの裏面から底壁12の表面に達するまで連続して延びるように形成したが、図8に示すように、各侵入防止板20を固定部Bの裏面から延設し、底壁12の表面に達しないように形成してもよい。逆に、侵入防止板20を、固定部Bに相対向する底壁12の表面から固定部Bに向かって延設し、固定部Bの裏面に達しないように形成してもよい。
【0060】
・ 実施形態では、接続部材として、コネクタ17を側壁13のケーブル挿通孔15に接続したが、ケーブル挿通孔15に電線管を接続してもよい。この電線管は周面が波形状に形成されて凹凸状に形成されている。そして、電線管の凸となる部分を、接続端部として係止部13aに係止させて電線管を側壁13に接続する。このとき、電線管の凸となる部分が空間Sに収容される。
【0061】
・ 実施形態では、侵入防止板20の幅を、一対のケーブル挿通孔15間の間隔における最も短い位置より短く形成したが以下のように変更してもよい。例えば、侵入防止板20が、各ケーブル挿通孔15の側方に位置するとともに、側壁13の内面から離れた位置に形成されている場合、その侵入防止板20の長さ方向に沿った両側縁又は固定部Bの左右両側縁をそれぞれ外方へ延長してもよい。このとき、両側縁が外方へ延長された侵入防止板20は、固定部Bと底壁12との間に位置しているものとする。このように構成しても、ケーブル挿通孔15を直接的に閉鎖することがない。
【0062】
・ 実施形態では、取付ビス19を固定部Bに螺着したとき、固定部Bの裏面から取付ビス19が突出する長さの取付ビス19を使用したが、固定部Bに螺着したとき、取付ビス19が固定部Bの裏面から突出しなくてもよい。即ち、取付ビス19の長さは任意に設定してもよい。
【0063】
・ 実施形態では、固定部Bと底壁12との間に係止部13aと空間Sを形成したが、係止部13aと空間Sを省略した配線用ボックス11を形成してもよい。例えば、筒状をなす侵入防止部を固定部Bの裏面から底壁12に達するまで連続して延びるように形成する。固定部Bの裏側に位置する各ケーブル挿通孔15の周縁に侵入防止部の外側面が沿うように形成して、係止部13a及び空間Sを省略する。
【0064】
・ 実施形態では、固定部Bに取付ビス19を螺着することにより、ボックス本体14に固定枠26を取付けて固定枠26をボックス本体14に取り付けたが、配線器具25を取付ビス19を貫通可能に形成し、その取付ビス19を固定部Bに螺着して配線器具25をボックス本体14に固定してもよい。
【0065】
・ なお、本発明の実施形態ではないが、本発明に関連する形態として以下のような構成のものが挙げられる。実施形態の配線用ボックス11において、各固定部Bにおける両ケーブル挿通孔15側の側縁を通り当該ボックス本体14の奥行き方向に直線状に延びる直線を仮想線Lとする。そして、前記ケーブル挿通孔15を、その一側部の周縁が、前記仮想線Lと一致するように形成する。
【0066】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)前記固定部はボックス本体の開口側端部における中央部に形成されているとともに、前記ケーブル挿通孔は、同固定部の両側方となる位置に形成され、当該固定部における両ケーブル挿通孔側の側縁を通る前記仮想線を固定部の裏側へ越えた位置に、両ケーブル挿通孔がその一側部が位置するように形成され、さらに、前記侵入防止部の幅方向への長さは、両ケーブル挿通孔間の最も短い間隔より短く形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の配線用ボックス。このように構成した場合、固定部に螺合される取付ビスとケーブルとの干渉を防止することができるとともに、ケーブル挿通孔にケーブルを挿通する作業を容易に行うことができる。
【0068】
(3)前記固定部と、ボックス本体の底壁との間には、前記係止部に係止した接続端部が収容される凹部が形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の配線用ボックス。このように構成した場合、固定部に螺合される取付ビスとケーブルとの干渉を防止することができるとともに、固定部が形成された側壁に接続部材を接続することができる。
【0069】
(4)開口を有する箱状をなすボックス本体を備え、同ボックス本体の側壁の内面に、ボックス本体に配線器具等を固定するための取付ビスが螺着可能な固定部が形成され、同固定部が形成された側壁において、前記固定部の側方となる位置にケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が形成された配線用ボックスにおいて、前記固定部はボックス本体の開口側に形成され、前記ケーブル挿通孔は、同ケーブル挿通孔の一側部の周縁が、前記固定部におけるケーブル挿通孔側の側縁を通りボックス本体の奥行き方向へ直線状に延びる仮想線と一致するように形成され、前記固定部と、ボックス本体の底壁との間には、前記固定部に螺着された取付ビスの進入路へ前記ケーブルが侵入するのを防止する侵入防止部が形成されているとともに、前記ケーブル挿通孔に接続された接続部材の接続端部が係止する係止部が形成されていることを特徴とする配線用ボックス。このように構成した場合、固定部に螺合される取付ビスとケーブルとの干渉を防止することができるとともに、固定部が形成された側壁に接続部材を接続することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、固定部に螺合される取付ビスとケーブルとの干渉を防止することができるとともに、ケーブル挿通孔にケーブルを挿通する作業を容易に行うことができる。
【0071】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、侵入防止部を、底壁の表面から筒状に立設する場合と比較して、配線用ボックス製造のための材料の節約を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の配線用ボックスを示す部分破断斜視図。
【図2】実施形態の配線用ボックスを示す図1の2−2線断面図。
【図3】側壁にコネクタを取り付けた状態を示す断面図。
【図4】配線用ボックスを柱に取り付けた状態を示す正面図。
【図5】配線器具を配線用ボックスに取り付けた状態を示す正面図。
【図6】配線用ボックスの使用状態を示す図5の6−6線断面図。
【図7】別例の配線用ボックスを示す部分破断斜視図。
【図8】別例の配線用ボックスを示す側断面図。
【符号の説明】
B,30…固定部、L…仮想線、11…配線用ボックス、12…底壁、13…側壁、13a,29…係止部、14…ボックス本体、15…ケーブル挿通孔、16…ケーブル、17…接続部材としてのコネクタ、17a…接続端部としての係止爪、19…取付ビス、20…侵入防止部としての侵入防止板、25…配線器具。

Claims (2)

  1. 開口を有する箱状をなすボックス本体を備え、同ボックス本体の側壁の内面に、ボックス本体に配線器具等を固定するための取付ビスが螺着可能な固定部がボックス本体の底壁の表面から離れた開口側に形成され、前記固定部の裏面とボックス本体の底壁の表面との間には同固定部を貫通した取付ビスが露出する空間が形成され、前記固定部が形成された側壁において、前記固定部の側方となる位置にケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が形成され、前記ケーブル挿通孔は、同ケーブル挿通孔の一側部が、前記固定部におけるケーブル挿通孔側の側縁を通りボックス本体の奥行き方向へ直線状に延びる仮想線を、固定部の裏面側へ越えるように形成された配線用ボックスであって、
    前記固定部の裏面とボックス本体の底壁の表面との間の同固定部を貫通した取付ビスが露出する空間において、前記固定部に螺着される取付ビスの進入路へ前記ケーブルが侵入するのを防止する侵入防止部が形成され、同侵入防止部は、前記ケーブル挿通孔を閉鎖することがないよう前記固定部が形成された側壁の内面から離れた位置のみに設けられ、前記固定部にかかる力を底壁と侵入防止部とで支持すべく固定部から前記底壁の表面にまで連続して延びるように延設されていることを特徴とする配線用ボックス。
  2. 前記侵入防止部は断面平板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線用ボックス。
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