JP4429526B2 - スタンピング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のラックピニオン操向システムのギヤラック用ブランクを生産するためのスタンピング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ギヤラック生産のためのブランクは少なくともその噛み合わせシステム領域の円形シリンダーとは異なる形状を有することが知られている。今まで、このようなブランクは、例えば機械加工工程、圧出あるいは他の成形工程によって生産可能であった。しかし、このような成形生産工程においてブランクには、多様な領域にわたって大きな変形硬化が発生することがある。そのため、以後の非切削成形工程は、このような変形硬化により非常に実施が難しくなる。このような問題は個別成形工程の間の付加的なアニーリング工程を導入することによって解消することができたが、このような熱処理工程は、原素材からブランクを経て完成ギヤラックを作る冷間成形作業においては作業中断を意味する。
【0003】
非切削方法の他の工程が、例えばDE32 02 254 C2に開示されている。この方法では、ギヤラックが上部ダイと下部ダイの間で軌道鍛造(orbital forging)によって、円筒形の原素材から生産される。しかしながら、この方法でもまた変形硬化がギヤラック噛み合わせシステム領域で発生し、この変形硬化がギヤラックの生産をより難しくしている。
【0004】
JP−A−57 206546は、シェイピング(shaping)加工で固有物質を充填した中空のバーブランクからギヤラックが形成され、この時ギヤラックには少なくとも部分的に噛み合わせシステムが形成されるスタンピング(stamping)装置を開示している。このような目的のため、スタンピング装置は互いに移動可能であり、工程で生ずる力及び反応力によって中空のバーブランクに成形効果を果たす多数の成形ツールを備えている。
【0005】
また、US−A−4 715 210には鍛造によってY字型ギヤラック部品を成形するためのダイが開示されているが、ここでダイは形成されるギヤラック部品の対称面に対応する縦方向平面を中心として対称的に配置され、そのうち少なくとも3個の要素は互いに移動可能な四つの成形要素グループを備えている。
【0006】
JP−A−57 206546及びUS−A−4 715 210によるスタンピング装置では、シェイピング加工をするために必要な成形ツールはギヤラックブランクに互いに違う方向から作用し、従って、互いに違う方向から作用した力が装置によって補償されなければならない。このような力のため、スタンピング装置のハウジング部品の大きさはさらに大きくならなければならないので、成形要素のための駆動装置は複雑な構造となり、費用が多くかかると同時にスタンピング装置が大きくなってしまうという不利な点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特に以後に完成されるギヤラック噛み合わせシステムの領域における変形硬化が軽微に発生するようにするギヤラック(ラックギヤ)用ブランクを生産することである。前述したこの領域は、例えば軌道鍛造のような以後の成形工程中に素材の大きな移動が生ずるため、非常に重要な意味を有する。この方法によれば全体の生産費が大きく減少し、装置自体は簡単な小型の構造となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載されたスタンピング装置によって達成される。
【0009】
ギヤラック用ブランクを生産するための本発明のスタンピング装置は、一つは固定され、他の二つは互いに及び固定された成形ツールに対して移動可能な少なくとも3個以上の成形ツールを有するが、これらは互いに移動可能である。成形ツールのうちの二つは互いに向きあって傾いており、ギヤラックの対称面について対称な作用域を有する。この対称面は以後に完成されるギヤラック噛み合わせシステムに垂直であり、ギヤラックの縦方向軸線を有する。第3成形ツールは、ギヤラックの前述の対称面に垂直な作用域を有する。
【0010】
本発明によって達成される長所は、原素材がギヤラック用ブランクで成形され、このブランクには少なくともギヤラック噛み合わせシステムの軸方向領域の円形シリンダーとは異なる形状が与えられるという点にある。互いに移動可能な3個の成形ツールの少なくとも一つに力を加えることにより、原素材はギヤラックの以後の生産工程の間かなり大きな変形をするブランク領域で深刻な変形硬化なしで生産することができる。本発明によるスタンピング装置によって行われることのできる方法のその他の長所は、以後の成形工程、特に軌道工程の間バー(burr)が形成されるのを避けながらも簡単な方法でブランクを形成することができるという点にある。原素材からの成形工程において、かなり大きな摩擦力を克服する必要がなく、そして臨界領域で生ずる過度な変形硬化も起こさずにギヤラック用ブランクを生産することができる。
【0011】
便利であり長所の多い本発明の技術が従属項に含まれている。スタンピング装置では3個の成形ツールのうちの只一つだけが固定されることが好ましい。この場合、固定成形ツールは対称面について対称に配置された二つの成形ツールのうちの一つ、あるいはその作用域がギヤラックの対称面に垂直な成形ツールでありうる。もし二つの移動可能な成形ツールがギヤラックの対称面について対称な成形ツールであれば、このような二つの成形ツールはそれぞれの場合同一の力と同一の速度でギヤラックの対称面に垂直な方向に作動するのに都合がいい。一方、もしその作用域がギヤラックの対称面に垂直な成形ツールが二つの移動可能な成形ツールに属すれば、この成形ツールは他の移動可能な成形ツールの半分の速度で移動して、他の成形ツールに結合される。
【0012】
二つの場合においてギヤラックの対称面は、その作用域が対称面に垂直な成形ツールに対してその位置が変わらないまま残るようになる。ブランクの凹あるいは凸の縦方向側面部の対応体がこの成形ツールに含まれるため、この縦方向側面部は常にギヤラックの対称面に残っていることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本発明によるスタンピング装置は、互いに移動可能な3個の成形ツール1、2、3を備えている。この成形ツールのうちの一つである、つまり、この場合の成形ツール1は固定されている。他の二つの成形ツール2、3は互いにそして成形ツール1に対して移動可能である。成形ツール1、2は互いに傾いており、対称面6について互いに対称な作用域4、5を有する。対称面6は本質的には円形断面を有する原素材7に属している。対称面6は原素材7から以後に完成されるギヤラック噛み合わせシステムに垂直に置かれて形成される。また、対称面6は原素材7から以後に完成されるギヤラックの縦方向軸を有する。成形ツール3は対称面6に垂直な作用域8を有する。
【0015】
凸の縦方向側面部9が成形ツール3の作用域8に形成される。実施形態における縦方向側面部9はほぼ半円形の断面を有する。しかし、この断面は三角形、四角形あるいはこのような全ての形状などの組み合わせで同一な効果を出すように形成されることもある。
【0016】
図1及び図2による実施形態において、互いに移動可能な二つの成形ツール2、3は、実際の成形工程の間に成形ツール3が成形ツール2の速度の半分の速度で移動しながら互いに結合される。実際の成形工程は、作用域4が原素材7の外側の輪郭線に接触すると同時に始まる。
【0017】
成形工程の最後が図2に示されている。成形ツール2及び成形ツール3は原素材7からブランク10が形成される個別終了位置に位置している。
【0018】
以下、自動車用ラックピニオン操向システムのギヤラック用ブランクを生産するための本発明による装置の機能を説明する。
【0019】
第1段階で、本質的には円形断面を有する原素材7が成形ツール1、2、3の間のスタンピング装置内に挿入される。第2段階で、成形ツール2に矢印11の方向に力が作用する。この工程で、前述した方法で成形ツール2に結合された成形ツール3は、少なくとも軸方向領域12の円形シリンダーとは異なる形状が原素材7に形成されるように移動する。図6で、軸方向領域12はブランク10から生産されたギヤラック噛み合わせシステムが置かれる所に位置する。
【0020】
第2段階の間に、凹の縦方向側面部13が凸の縦方向側面部9によって原素材7に適切に形成される。縦方向側面部13は、対称面6上のブランク10に、以後に完成されるギヤラック噛みあわせシステムに対向する側に正確で都合よく設置される。本発明の方法の第2段階の間に、対称面6は成形ツール2の成形ツール1側への移動の半分だけ変化する。
【0021】
本発明の方法のまた他の段階で、この段階は本出願の主題ではないが、ギヤラックは軌道鍛造(orbital forging)によってブランク10から形成される。縦方向側面部13が軌道鍛造間の軌道モーメント(orbiting moment)に対してブランク10を支持することができるようにブランク10に形成される。
【0022】
また、一つの縦方向側面部13の代りに、二つ以上の、これに相応してより小さくなった縦方向側面部がブランクに形成されてもよい。
【0023】
本発明の方法の第2段階の間に、少なくともギヤラック噛み合わせシステムの領域には、互いに本質的には対称であり、互いに傾いており、互いに傾いた成形ツール2、1の作用域4、5によって形成された二つの平坦部14、15がブランク10に形成される。もし作用域4、5が平坦な形状でなく互いに一定の角を形成する多様な断面領域で設計されるとすれば、平坦部14、15には多角形の表面が形成される。同様に、平坦部14、15はある程度のクラウン(crown)形状に設計されることもできる。
【0024】
図4によるブランク10Aの実施形態において作用域4、5は同様に、平坦面のない円弧形状になっている。その結果ブランク10Aには、互いに本質的には対称的に配置され、以後に完成されるギヤラック噛み合わせシステム領域に適切に制限される二つの圧縮部16、17が形成される。
【0025】
平坦部14、15と対称面6の間の角は12゜乃至30゜の間の適切な範囲であり、殊に20゜±5゜の範囲内にある。平坦部14、15が平坦な領域として設計されずに多角形表面あるいは圧縮部16、17として設計されれば、このような値がまた適用される。この場合、平均角度の範囲が適用される。
【0026】
図3及び図4に示したブランクの実施形態において、縦方向側面部13はいずれの場合も凹んだ形状になっている。縦方向側面部13は図3では円形断片であり、図4では三角形断面として設計されている。
【0027】
図5には、その縦方向側面部が膨らんだ形状になっていて、ブランクにいわゆるY−型断面が形成されたギヤラックブランク10Bを示している。
【0028】
全てのブランク形状の場合において、噛み合わせシステムの成形を容易にするために以後に完成されるギヤラック噛み合わせシステム領域には、十分に多くの量の材料が必要となる。従って、事実上の変形硬化なしで、材料が中心から最初に噛み合わせシステム領域に移動しながら原素材7が成形される。これが図3乃至図5に示されているが、円形形状とは異なるブランク10、10A、10Bの断面のような結果となる。
【0029】
他の変形及び互いに異なる縦方向側面部13、平坦部14、15及び圧縮部16、17の組み合わせは本発明の範囲内である。
【0030】
スタンピング装置の第2実施形態で、成形ツール1、2、3は前述した実施形態と同様な方法で設計される。互いにそして第3成形ツールに対して移動可能な二つの成形ツールの結合のみが異なる。この実施形態で、成形ツール1、2は対称面6に向きあって互いに反対方向に移動する方法で互いに連結される。この場合、成形ツール3は固定される。
【0031】
二つの成形ツール2、3あるいは成形ツール1、2の間を結合させる代わりに、互いに独立して作用する二つの力がこれらの二つの成形ツールに作用することもできる。
【0032】
二つの成形ツールのうちのどれが互いに、そして固定された第3成形ツールに対して移動するかはこの方法で重要ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 原位置にある本発明によるスタンピング装置の概略図である。
【図2】 生産工程の最以後に該当する位置にある図1のスタンピング装置を示したものである。
【図3】 本発明の方法によって生産された、断面からなるギヤラック用ブランクの実施形態を示したものである。
【図4】本発明の方法によって生産された、断面からなるギヤラック用ブランクの実施形態を示したものである。
【図5】本発明の方法によって生産された、断面からなるギヤラック用ブランクの実施形態を示したものである。
【図6】 ブランクの斜視図である。
【符号の説明】
1、2、3 成形ツール
4、5、8 作用域
6 対称面
7 原素材
9、13 縦方向側面部
10 ブランク
11 矢印
12 軸方向領域
14、15 平坦部
16、17 圧縮部
Claims (5)
- ラックピニオン操向システムのためのギヤラック用ブランクを生産するためのスタンピング装置において、
少なくとも三個の相互移動可能の成形ダイ(1,2,3)よりなり、
少なくとも二つ以上の成形ダイは互いに移動可能となり、
成形ダイ(1,2,3)のうちの二つの成形ダイは、互いに傾いて、以後に完成されるギヤラックの対称面(6)について対称な作用面(4,5)を有し、前記対称面(6)は前記の以後に完成されるギヤラックの連なるラック歯に垂直であるとともに前記ギヤラックの縦方向軸を含み、
成形ダイ(1,2,3)のうちの第三の成形ダイは、前記ギヤラックの前記対称面(6)に垂直な作用面(8)を有し、
互いに及び別の成形ダイ(1,2,3)に対して移動可能な前記二つの成形ダイのうちの一つは、その作用面(4,5)が前記ギヤラックの前記対称面(6)について対称な成形ダイ(1,2)のうちの一つであり、
第三の成形ダイは、その作用面(8)が前記ギヤラックの特定された前記対称面(6)について直交する成形ダイ(3)であり、
作用面(8)が前記ギヤラックの特定された前記対称面(6)について直交する成形ダイ(3)の移動方向と、作用面(4,5)が前記ギヤラックの前記対称面(6)について対称となっている前記二つの成形ダイ(1または2)のうちの一つである移動可能な成形ダイ(1または2)の移動方向は、前記対称面(6)に対して90°の角度となっており、これら二つの移動可能な成形ダイ(3と、1または2)は、互いに間隙を設けつつ平行に移動することを特徴とするスタンピング装置。 - 互いに移動可能な前記二つの成形ダイ(2,3)は、その作用面(8)が前記ギヤラックの前記対称面(6)に垂直な成形ダイ(3)が別の移動可能な成形ダイ(2)の半分の速度で移動しながら、互いに結合されることを特徴とする請求項1に記載のスタンピング装置。
- 前記二つの成形ダイ(1,2)の互いに傾いている前記作用面(4,5)と前記対称面(6)の間の角度は、12゜乃至30゜の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のスタンピング装置。
- 前記二つの成形ダイ(1,2)の互いに傾いている前記作用面(4,5)と前記対称面(6)の間の角度は、20゜±5゜の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載のスタンピング装置。
- 前記成形ダイ(3)の前記作用面(8)は、円形断片断面、三角形断面または四角形断面あるいは円形断片、四角形及び三角形要素の組み合わせを有する凸の縦方向側面部(9)あるいは凹の縦方向側面部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスタンピング装置。
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