JP4429474B2 - 金属表面処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車車体、家庭電化製品、スチール家具等の金属成型物に対しリン酸亜鉛化成被膜処理を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車車体、家庭電化製品、スチール家具等の金属成型物に対しては、塗装前にリン酸亜鉛皮膜処理が行われている。処理方式としては、スプレー法と浸漬法が一般的であるが、被処理物が自動車車体のように袋部構造を有し、かつ塗装後の耐食性が重視される場合には、一般に浸漬方法による化成処理とカチオン型電着塗料による塗装が採用されている。また被塗物素材も鉄系表面と亜鉛系表面を同時に有する素材が採用されている。
【0003】
従来の金属のリン酸亜鉛化成処理は、一般に脱脂→水洗→水洗→皮膜化成→水洗→水洗からなる工程で行われている。皮膜化成段階では、皮膜化成や処理液の持ち出しによる処理液成分の消費に応じて薬剤の補給を行い、処理液中の亜鉛をはじめとする各種の金属イオン濃度、全酸度、酸比等を一定になるように管理している。また、皮膜化成促進剤として通常亜硝酸ナトリウム水溶液を供給して、処理液中の亜硝酸イオン濃度を一定にするように管理している。しかし上記の管理方法にあっては、皮膜化成に不要なナトリウムイオンを加えていることになり、また処理液中の亜硝酸イオンは酸化されて硝酸イオンに変化することにより、処理液中の硝酸イオン濃度を増加させることになる。
【0004】
ところで現在一般に採用されているリン酸塩化成ラインでは、上記のように処理液の一部が持ち出しの形で水洗工程にでていくので、持ち出しによる消費に応じた補給を行えば、処理液中にナトリウムイオンおよび硝酸イオンは必要以上に蓄積せず、処理液組成のイオン濃度の均衡は維持される。しかし、上記の処理液の一部が持ち出しの形で次の水洗工程へでていく量が少なくなり、補給する薬剤の組成が化成処理ラインの条件に合わず一部の組成が蓄積増加する場合には、処理液組成のイオンの消費・供給の均衡が崩れる。例えばナトリウムイオンおよび硝酸イオンが異常に蓄積し、その結果、黄錆やスケ発生などの化成不良を来たすことがある。従って、もし皮膜化成の促進剤として亜硝酸ナトリウムを用いず、亜硝酸を使用できればナトリウムイオンの蓄積はさけられるが亜硝酸は不安定で通常の条件では存在せず利用できない。
【0005】
また、前記のような化成処理ラインでは、処理液の持ち出し分を多量の水で洗い流し、これを装置外に排出するので、水質資源の立場からも問題のあるところである。そこでこのような問題点を解決するものとして、水洗工程を多段水洗とし、後段でオーバーフローする水洗水を前段の水洗水として供給することにより、水洗水の供給量を減少させる方法や、化成処理ラインより排出される水洗水を、逆浸透膜処理法や蒸発法を用いてクローズドシステムにし水洗水を回収し、再度化成処理液の補給薬剤や水洗水として再利用する方法がとられている。しかしこれらの方法においても、上記リン酸亜鉛化成処理液の促進剤として亜硝酸ナトリウム水溶液を補給すると、ナトリウムイオンが処理液に蓄積する傾向にありクローズドシステム化においての大きな問題点となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属、特に鉄系金属表面と亜鉛系金属表面を同時に有する金属成型物のカチオン型電着塗装に好適なリン酸亜鉛皮膜を形成させ、かつクローズドシステムにも好適な金属表面処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属表面処理方法は、酸性リン酸亜鉛水溶液を用いて浸漬処理で化成処理する方法をクローズドシステムにおいて行なう金属表面処理方法であって、促進剤として、硫酸亜鉛と亜硝酸カルシウムを反応させて亜硝酸水溶液を生成させ、その亜硝酸水溶液を精製することにより得られ、亜硝酸亜鉛を5〜40重量%含み、不純物含有量として、重量基準で、ナトリウムイオンが100ppm以下、硫酸イオンが50ppm以下である亜硝酸亜鉛水溶液を用いることを特徴とするものである。上記の酸性リン酸水溶液は、亜鉛イオン0.5〜2g/l、リン酸イオン5〜30g/l、マンガンイオン0.2〜2g/lを含み、促進剤としての亜硝酸亜鉛を亜硝酸イオンとして0.05〜0.3g/l含むものである。また先の酸性リン酸水溶液は、更にニッケルイオンを0.3〜2g/l含んでもよく、また硝酸イオンを3〜30g/l含んでいてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の金属表面処理方法で使用される促進剤としての亜硝酸亜鉛水溶液には、亜硝酸亜鉛を5〜40重量%、重量基準で、ナトリウムイオンを0〜100ppm、硫酸イオンを0〜50ppm含んでいる。
【0009】
このような亜硝酸亜鉛水溶液の製造は、硫酸亜鉛と亜硝酸カルシウムを反応させて亜硝酸水溶液を生成させる第1工程、次いで得られた亜硝酸水溶液を精製する第2工程より得られるものである。
上記第1工程における反応温度は、室温〜50℃である。反応時間は特に制限はされないが5〜120分程度である。
【0010】
この時、原料の硫酸亜鉛と亜硝酸カルシウムを混合する際のZnとCaのモル比が異なると亜硝酸亜鉛水溶液中に溶存する硫酸イオン、カルシウムイオンの残存量が異なる.Ca/Znの好ましい混合モル比は0.5〜1.5であり、更に好ましくは、0.7〜1.0である。即ち,Ca/Znモル比が0.5未満では亜硝酸亜鉛水溶液中に溶存する硫酸イオンが5%以上になり、その後の硫酸イオンの除去が困難となる。Ca/Znモル比が1.5を越えると溶存するカルシウムイオンが3%以上となり、同様にその後のカルシウムイオンの除去が困難になり好ましくない。
上記反応で生ずる硫酸カルシウムは、濾過分離する。この分離操作は反応終了後、すぐにしてもよいし、第2工程の濾過分離操作時に同時にしてもよい。
【0011】
次いで、第2工程において、上記第1工程で得られた反応液に溶存する硫酸イオン量に対して当量よりも僅かに過剰のバリウムイオンを添加することにより、硫酸イオンを除去し精製する。具体的には反応後に溶存する硫酸イオンに対して当量〜1.5倍当量、好ましくは当量〜1.2倍当量を添加するのがよい。また、バリウムイオンの添加は上記第1工程の反応時に、反応後に溶存するであろう硫酸イオン量に対して、予め所定量のバリウムイオンを添加してもよい。なお、バリウムイオンを供給する化合物としては特に限定はないが、水酸化バリウムを使用することが好ましい。
【0012】
本発明の金属表面処理方法では、上記製造法により製造された亜硝酸亜鉛水溶液を促進剤として使用する。上記促進剤としては、水溶液中に亜硝酸亜鉛5〜40重量%の濃度のものを使用する。前記促進剤中の亜硝酸亜鉛の濃度が5%未満であると、皮膜化成処理時に補給する促進剤溶液量が多量になり好ましくない。一方40%を越えるものは、その製造時に不純物としてのカルシウムイオン量や硫酸イオン量が多くなり、化成被膜に悪影響を及ぼすので好ましくない。
本発明において、亜硝酸亜鉛を5〜40重量%含むとは、亜硝酸の濃度として5〜40重量%の範囲内であることを意味する。
【0013】
前記促進剤としての亜硝酸亜鉛水溶液中の不純物としてのナトリウムイオンと硫酸イオンの許容量は、重量基準で、ナトリウムイオン濃度は100ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下であり、硫酸イオン濃度は50ppm以下、好ましくは20ppm以下でなければならない。各々のイオン濃度を上回ると、促進剤の補給によりリン酸亜鉛化成処理液中にナトリウムイオンおよび硫酸イオンが蓄積し、化成処理性に悪影響を与えるため好ましくない。特に多段水洗方式や逆浸透膜処理方法や蒸発方法による水洗水の低減化や再利用を目的とするクローズドシステムを採用した金属表面処理装置により化成被膜処理を施す設備を用いた場合においては、その悪影響は顕著であり好ましくない。
上記ナトリウムイオンの測定は、原子吸光法によって行う。硫酸イオンの測定は、ICP発光分析法でイオウ(S)を測定し、硫酸イオンに換算する。
【0014】
本発明の亜硝酸亜鉛水溶液において、カルシウムイオンは、リン酸亜鉛化成処理液と混合した場合にリン酸カルシウムとして表面処理液中でスラッジ化するので、これを定期的に回収すれば処理浴中に蓄積することはないが、カルシウムイオンが多く溶存する場合は処理浴中に生成するスラッジ量も多くなるので、なるべく少ない方が好ましい。溶存カルシウムイオンは1重量%以下が好ましい。
【0015】
本発明の処理方法における処理浴中の亜硝酸イオンの濃度管理は、上記亜硝酸亜鉛水溶液を使用し、その処理ラインに応じた特定の濃度範囲に保つことが必要であり、これは上記処理浴に対し、上記の補充用亜硝酸亜鉛水溶液を連続的あるいは周期的に添加することにより達成される。この補充用亜硝酸亜鉛の添加割合は、酸性リン酸亜鉛皮膜処理液の亜硝酸濃度を決定することにより通常決定される。
【0016】
本発明においては、化成処理槽内のナトリウムイオン濃度が重量基準で10000ppmであれば良好な化成被膜が得られるので、化成処理槽内のナトリウムイオン濃度がこの範囲内であれば、安価な亜硝酸ナトリウム水溶液を上記亜硝酸亜鉛水溶液に混合して添加することもできる。上記亜硝酸ナトリウム水溶液の添加量は、亜硝酸量を基準として、添加する亜硝酸量中15重量%以下であることが好ましい。好ましくは、10重量%以下である。15重量%を超えると、化成処理槽内のナトリウムイオンが蓄積することがある。
【0017】
この亜硝酸イオン濃度の測定方法は通常、発酵工業分野で使用されるアインホルン発酵管またはその類似構造器具でもって、固形のスルファミン酸を使用することにより、亜硝酸亜鉛からの窒素を簡易に定量的に発生させ且つ捕集でき、その捕集量より上記処理液中の亜硝酸イオン濃度を算出できることに基づき、リン酸塩処理工業分野での実用的手法として行われている方法で測定できる(特開昭51−88442号公報)。この方法によりトーナー値として測定される値は、トーナー値1ポイントが亜硝酸イオン濃度約44mg/Lに相当する。
【0018】
本発明の処理方法が適用できる酸性リン酸亜鉛化成処理液には特に制限はなく、通常用いられている酸性リン酸亜鉛化成処理液の全てに適用できる。好ましい処理液組成は亜鉛イオン0.5〜2g/l、好ましくは0.7〜1.2g/l、リン酸イオン5〜30g/l、好ましくは10〜20g/l、マンガンイオン0.2〜2g/l、好ましくは0.3〜1.2g/lを含むものである。
【0019】
更に上記酸性リン酸亜鉛処理液には、ニッケルイオンを0.3〜2g/l、好ましくは0.5〜1.5g/l、および/またはHF換算でフッ素化合物0.05〜3g/l、好ましくは0.3〜1.5g/l含むことにより耐食性を向上できる。
上記亜鉛イオン、マンガンイオン、ニッケルイオン及びフッ化イオンの測定は、ICP発光分析法で行う。
【0020】
亜鉛イオンが0.5g/l未満では、リン酸塩皮膜にスケや黄錆が発生し、塗装後の耐食性が低下する恐れがある。また2g/lを越えると亜鉛系金属表面を有する金属成型物に対しては、塗装密着性が低下する恐れがある。
リン酸イオンが5g/l未満では浴組成の変動が大きくなり、安定して良好な皮膜を形成できなくなる恐れがある。、また30g/lを越えても、より以上の格別の効果の向上は期待できず、薬品の使用量が多くなって経済的に不利である。
【0021】
マンガンイオンが0.2g/l未満では、亜鉛系金属表面を有する場合、塗装密着性、塗装後の耐食性が低下する恐れがある。一方2g/lを越えても、格別の効果が得られず経済的に不利なものとなる。
ニッケルイオンをマンガンイオンと併用することによって化成皮膜性能が更に向上し、塗装の密着性および耐食性がマンガンイオン単独使用の場合に比べて更に向上する。
フッ化合物の含有量(HF換算)が0.05g/l未満であると、浴組成の変動が大きくなり、安定して良好な皮膜を形成できなくなる恐れがある。また含有量が3g/lを越えても、より以上の格別の効果の向上がなく、経済的に不利なものとなる。
【0022】
上記酸性リン酸亜鉛処理液には、硝酸イオンが3〜30g/l含まれるものであってもよい。硝酸イオンが30g/lを超えると、リン酸塩皮膜にスケや黄錆が発生することがある。
【0023】
本発明の処理方法において、処理液の遊離酸度は0.5〜2.0ポイントであることが好ましい。処理液の遊離酸度は処理液を10ml採取し、ブロムフェノールブルーを指示薬として、0.1N苛性ソーダで滴定することにより求めることができる。0.5ポイント未満であると処理液の安定性が低下する。また、2.0ポイントを越えるとソルトスプレーテストにおける耐食性が低下する恐れがある。
【0024】
本発明の金属表面処理方法は、金属鋼板やその成型物に使用されるが、特に亜鉛系金属表面と鉄系金属表面、又は、鉄系表面、亜鉛系表面とアルミニウム系表面のように異種金属表面を有するものや、自動車車体のように袋部構造を多く持つ複雑な成型物の金属表面処理に適している。これらの金属表面処理においては、本発明方法の促進剤を使用することにより、ナトリウムイオンの蓄積がなくなり、安定した化成性を示すため、異種金属間の処理性の差や、袋部内の化成性の低下による耐食性の低下等を招くことがなくなり好適である。
【0025】
本発明の金属表面処理方法は、上記の処理液と本発明の促進剤を用いて、浸漬処理で金属表面処理する。この時の処理温度は、一般的な処理温度を採用することができる。例えば20〜70℃の範囲内で適宜選択することができる。処理時間としては、通常、10秒以上でよく、好ましくは30秒以上であり、より好ましくは1〜3分である。
自動車車体のように袋部構造を多く持つ複雑な成型物を処理する場合には、上記のように浸漬処理を行った後、2秒間以上、好ましくは5〜45秒スプレー処理することが好ましい。浸漬処理時に付着したスラッジを洗い落とすために、スプレー処理は長時間であることが好ましい。本発明においては、浸漬処理のみならず、その後にスプレー処理を行うことも含むものである。
【0026】
本発明の処理方法を適用する前処理装置としては、通常用いられている全ての装置に適用できるが、特に逆浸透膜処理や、蒸発処理によりクローズドシステム化もしくは水洗水の使用を軽減するようにした前処理装置に好適である。これら装置においては、従来より大きな問題であった不必要なナトリウムイオンの蓄積を大幅に改善でき、その結果、従来より安定した処理性を長期にわたって維持でき、処理液の更新頻度の大幅な低下や、更新を必要としなくすることができる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
調製例1 亜硝酸亜鉛水溶液の調製
硫酸亜鉛7水塩(試薬特級)540gをイオン交換水に溶解して、硫酸亜鉛水溶液1000gを調製した。この溶液の硫酸亜鉛(ZnSO4 )濃度は30.0重量%であった。30重量%亜硝酸カルシウム水溶液(CANI−30;日産化学社製)660gを先に調製した硫酸亜鉛水溶液に加えた(反応のCa/Znモル比は0.8)。次いで、常温で1時間攪拌を継続した。このスラリーの一部を採取して濾過し、ろ液中のカルシウムイオンと硫酸イオンとを分析した。その結果、ろ液中のカルシウムイオンが1007ppm、硫酸イオンが17723ppm、ナトリウムイオンが3ppmであった。
次に、硫酸イオンに対して1.1倍当量のバリウムイオンを水酸化バリウム水溶液として、先程のスラリーに添加して1時間攪拌を継続した。攪拌終了後、全量を濾過して、亜硝酸亜鉛水溶液を得た。
この水溶液は、NO2 10.5重量%、Zn8.6重量%、硫酸イオン14.3ppm、ナトリウムイオン3ppm、カルシウムイオン927ppmであった。
【0028】
下記組成の表面処理液:
Zn:1000ppm
Ni:1000ppm
Mn:600ppm
SiF6 :1000ppm
NO3 :6000ppm
PO4 :15000ppm
に対して、亜硝酸濃度が一定になる様に、NO2 として27重量%含むNaNO2 水溶液、及び、上記調製例1で得られた亜硝酸亜鉛水溶液で長期処理し、下記項目について評価を行った。
【0029】
1.処理条件
遊離酸:0.8
全酸:20〜22
処理温度:43±2℃
トーナー:2.5〜3.0
処理液の遊離酸度は、処理液を10ml採取し、ブロムフェノールブルーを指示薬として、0.1N苛性ソーダで滴定することにより求めた。
処理液の全酸は、処理液をピペットにて10ml採取し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1N水酸化ナトリウムで滴定し、ピンク色に着色する変化点までに要した0.1N水酸化ナトリウムの量(ml)を全酸とした。
【0030】
2.評価項目
浴中Naイオン量測定:原子吸光 ATOMIC ABSORPTION SPECTROMETER 3300(PERKIN ELMER社製)により測定化成皮膜評価
外観 :目視にて評価
皮膜重量 :蛍光X線 システム3070E リガク製
結晶サイズ:SEM(×1500倍) JSM−5310 JEOL製
【0031】
実施例1 表面処理液中のナトリウムイオン濃度の影響
上記表面処理液中において、ナトリウムイオン濃度を変化させ、下記鉄板について評価を行った。
鉄板(サイズ/種類):70×150mm/SPC(冷延鋼板)&GA(亜鉛鋼板)
SPC鋼板の結果を表1に、GA鋼板の結果を表2に示した。
【0032】
【表1】
Figure 0004429474
【0033】
【表2】
Figure 0004429474
【0034】
参考例1 Naイオン蓄積量の測定1(NaNO2 水溶液)
上記処理条件下において、更に皮膜として消費される成分(リン酸、亜鉛等)を補給しながら、SPC基板(70×150mm)の処理を行った。
通常ラインでの各種液量
A:化成槽容量 120トン
B:NaNO2 水溶液(亜硝酸濃度27重量%、ナトリウム濃度13重量%)の使用量 150ml/一台
C:台あたり、亜鉛使用量 60g
D:台あたり、化成液持ち出し量10L(基板1枚当たりの持ち出し量2mL、5000枚処理)
この工程を1ターンオーバーとして、3度繰り返し(3ターンオーバー)、計15000枚について処理した。上記化成液持ち出しを回収しない場合、NaNO2 水溶液は亜硝酸濃度27%、ナトリウム濃度13%であり、化成槽内のナトリウム濃度は3900ppmで安定した。ナトリウム濃度3900ppmは、実施例1の結果より、良好な化成皮膜が得られることがわかる。
【0035】
参考例2 Naイオン蓄積量の測定2(NaNO2 水溶液)
上記化成液持ち出し10LをpH6.8、電導度234μS/cmの工業用水90Lで希釈し、オーバーフロー水洗水モデルとした。これを、リン酸でpH3に調整し、逆浸透装置として市販のLF10膜モジュールを用いたメンブレンマスターRUW−5A(日東電工社製)を用いて、処理温度25〜30℃、圧力1.0〜1.1MPa、濃縮液循環流量6.2〜6.3L/分、透過液流量0.3〜0.6L/分の処理条件で逆浸透膜処理を実施し、濃縮液10Lと透過液90Lを得た。この濃縮液のナトリウムの回収率は、93%であった。
その後、回収した濃縮液は化成液に戻した。この工程を3度繰り返し(3ターンオーバー)、計15000枚について処理した。
上記参考例1と同じNaNO2 水溶液(亜硝酸濃度27重量%、ナトリウム濃度13重量%)を使用した場合、使用につれ濃度は上がり続けた。最終的には、ナトリウム56000ppmまで到達することになった。ナトリウム56000ppmは、実施例1の結果より、良好な化成皮膜が得られないことがわかる。
【0036】
実施例2 Naイオン蓄積量の測定(ZnNO2 水溶液)
調製例1の亜硝酸亜鉛水溶液を使用する場合、参考例1と亜硝酸濃度を同等にするために、台あたり386mlの添加が必要であった。この際、亜鉛は33g添加される。この亜鉛は、化成皮膜として消費される。参考例2の逆浸透膜処理を実施した場合、ナトリウムの蓄積は3.3ppmとなった。
【0037】
実施例3 Naイオン蓄積量の測定(NaNO2 水溶液及びZnNO2 水溶液)参考例1のNaNO2 水溶液/調製例1の亜硝酸亜鉛水溶液を、亜硝酸量1/9にて使用すると、添加量:15/347ml(ナトリウム:1.95g)となり、参考例2の逆浸透膜処理を実施した場合、化成槽内ナトリウム濃度は5570ppm(回収率93%)となった。
参考例1のNaNO2 水溶液と亜硝酸亜鉛水溶液を亜硝酸量1/9にて使用することにより、化成槽内のナトリウム濃度を適正な範囲(3600〜7500ppm)に、制御することが可能となることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の金属表面処理方法は、良好なリン酸亜鉛皮膜を形成することができ、かつ、クローズドシステムにも好適に用いることができる。本発明の金属表面処理方法によって得られるリン酸亜鉛皮膜は、金属、特に鉄系金属表面と亜鉛系金属表面を同時に有する金属成形物、又は、鉄系表面、亜鉛系表面及びアルミニウム系表面を同時に有する金属成型物のカチオン型電着塗装に好適である。

Claims (6)

  1. 酸性リン酸亜鉛水溶液を用いて浸漬処理で化成処理する方法をクローズドシステムにおいて行なう金属表面処理方法であって
    促進剤として
    硫酸亜鉛と亜硝酸カルシウムを反応させて亜硝酸水溶液を生成させ、その亜硝酸水溶液を精製することにより得られ、亜硝酸亜鉛を5〜40重量%含み、不純物含有量として、重量基準で、ナトリウムイオンが100ppm以下、硫酸イオンが50ppm以下である亜硝酸亜鉛水溶液を用いることを特徴とする金属表面処理方法。
  2. 前記促進剤として、前記亜硝酸亜鉛水溶液と、亜硝酸ナトリウム水溶液とを用い、
    当該亜硝酸ナトリウム水溶液は、亜硝酸量を基準として、添加する亜硝酸量中15重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の金属表面処理方法。
  3. 酸性リン酸亜鉛水溶液が亜鉛イオン0.5〜2g/l、リン酸イオン5〜30g/l、マンガンイオン0.2〜2g/lを含み、促進剤としての亜硝酸亜鉛を亜硝酸イオンとして0.05〜0.3g/l含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属表面処理方法。
  4. 酸性リン酸亜鉛水溶液がニッケルイオンを0.3〜2g/l含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の金属表面処理方法。
  5. 酸性リン酸亜鉛水溶液が硝酸イオンを3〜30g/l含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の金属表面処理方法。
  6. 被処理物が鉄系表面と亜鉛系表面、又は、鉄系表面、亜鉛系表面及びアルミニウム系表面の金属表面を有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の金属表面処理方法。
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