JP4429207B2 - 浄水設備、及びその運転方法 - Google Patents

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本発明は、原水中に含まれる濁質や微粒子を分離除去する膜ろ過装置を備えた浄水設備、及びその運転方法に関する。
膜ろ過装置を備えた浄水設備は、原水中から濁質や微粒子(ただし、微粒子には病原性原虫等の微生物も含む)を除去して浄水を製造することができ、その維持管理も容易なため、浄水施設への導入が増加している。
膜ろ過装置は、ろ過膜を組み込んだモジュールの被透過水側にポンプ等で原水を圧入し、又はその透過水側(ろ液側)から透過水を吸引して原水を被透過水側に流入させることで、原水がろ過膜を通過し、濁質や微粒子(なお、以下、微粒子も含めて両者を濁質と総称する)が除去された処理水(ろ液)を得る構成になっている。
膜ろ過装置においては、濁質を含んだ原水をろ過すると膜表面に濁質成分が付着するため、この付着した濁質がろ過抵抗(通水抵抗)となり、原水のろ過流量すなわちろ過膜を通過する透過水量を低下させる。ろ過流量(透過水量)がろ過抵抗により低下した場合、膜ろ過装置の処理水量を維持するためには、例えば圧入ポンプよりろ過膜の被透過水側に圧入される原水の流入圧力を増加する必要がある。
そのため、膜ろ過装置の運転コストを低減するためには、濁質成分の付着によるろ過抵抗の増加を抑制する必要がある。そこで、この種の膜ろ過装置を備えた浄水設備においては、膜ろ過装置への負荷を低減するために、膜ろ過装置の上流側に前処理装置を設置した浄水設備がある。
この前処理装置としては、特開2002−336871号公報(特許文献1)、特開平11−57739号公報(特許文献2)に記載されているような、膜ろ過装置に対して上流側(すなわち原水側)の、膜ろ過装置の被透過水側に供給される原水に凝集剤を注入する凝集剤注入方式の前処理装置がある。そして、この凝集剤注入方式の前処理装置を備えた浄水設備では、前処理装置により原水にPAC(ポリ塩化アルミニウム)等の凝集剤を添加して原水中の有機物等を凝集フロック内に取り込ませた上で、膜ろ過装置によりこの凝集フロックを含んだ処理水(すなわち、被透過水)をろ過することによって、膜ろ過装置の負荷の低減をはかっている。
さらに、上述した特許文献1には、膜ろ過される原水の濁度と色度を測定し、原水の色度/濁度の値を演算してその値に基づいて凝集剤の注入量を制御する技術が記載されている。また、特許文献2には、凝集剤注入後の被処理水中におけるフロック粒径を計測し、このフロック粒径とろ過膜の細孔径との比率若しくは差が、予め設定した適正範囲となるように凝集剤注入量を調節する技術が記載されている。
また、膜ろ過装置によるろ過方式としては、ろ過膜の被透過水側に供給(圧入)された被透過水を全量ろ過する全量ろ過方式と、ろ過膜の被透過水側に供給された被透過水の一部をその供給側に戻して循環させながらろ過するクロスフロー方式とがある。
この全量ろ過方式とクロスフロー方式とでは、透過水流量(すなわち、被処理水のろ過流量)を同じくした場合の圧入ポンプの消費電力に関しては、全量ろ過方式の場合は、圧入ポンプの吐出流量(被透過水流量)が透過水流量と等しくなるため、原水の一部を供給側に循環させるクロスフロー方式に比して、その運転費用が安価になることが知られている。また反対に、ろ過膜の洗浄頻度に関しては、全量ろ過方式の場合は、ろ過膜に濁質が付着しやすいため、ろ過膜の被透過水側の流速が速くろ過膜が目詰まりしにくいクロスフロー方式に比して、ろ過膜の洗浄頻度が頻繁となり、そのための費用がかさむことも知られている。
そこで、特開2000−210540号公報(特許文献3)には、全量ろ過方式による全量ろ過とクロスフロー方式によるクロスフローろ過とをタイマーで切り替えて交互に行い、圧入ポンプの消費電力といった設備費、及びろ過膜の洗浄といった維持管理費を抑え、効率的なろ過が行えるようにした膜ろ過装置が記載されている。
特開2002−336871号公報 特開平11−57739号公報 特開2000−210540号公報
ところで、後述するように発明者は、実験により、濁質の粒径がろ過の圧力上昇に影響を及ぼし、濁質の粒径が大きいとろ過の圧力上昇が小さい、という結果を得た。
このため、濁度が高いが粒径が大きい濁質が含まれた原水の場合、特許文献1記載の技術では、原水の色度/濁度の値に基づいて凝集剤の注入量(注入率)を制御しているため、凝集剤の注入量を適正化できない恐れがある。
また、特許文献2記載の技術では、凝集剤注入後の被透過水中におけるフロック粒径を計測し、このフロック粒径とろ過膜の細孔径との比率若しくは差が予め設定した適正範囲となるようにして凝集剤の注入量を制御しているが、凝集剤の注入コストも含めた浄水設備全体としての運転コストに関しての記載がなく、前処理装置又は膜ろ過装置のどちら側で負荷をどのように分担させるのがコスト的に好ましいのかが不明であり、結果的に運転コストを削減できるか否かが考慮されていない。
また、特許文献3記載の技術は、全量ろ過とクロスフローろ過とをタイマーで切り替えて交互に行うが、被処理水の水質によっては長時間全量ろ過が可能な場合も考えられる。このような場合については、特許文献3記載の技術は考慮されていない。
本発明は、上述した問題点を鑑みなされたものであって、前処理装置を用いて原水中の濁質を凝集させてフロックを形成し、膜ろ過装置を用いてこのフロックを膜ろ過で分離する浄水設備において、膜ろ過装置のろ過を安定させて濁質の回収率を向上させ、前処理装置及び膜ろ過装置を含んだ設備全体の運転コストを低減することができる浄水設備、及びその運転方法を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の浄水設備は、原水に凝集剤を注入して原水中の濁質を凝集させた水質の被処理水を生成する前処理手段と、前処理手段によって生成された被処理水を膜ろ過する膜ろ過手段とを備えている浄水設備であって、凝集剤の注入に要する前処理手段の運転費並びに被処理水の膜ろ過に要する膜ろ過手段の運転費を凝集剤の注入量に応じて算出した予測の中から、両手段の運転費の合計が最小となる凝集剤の注入情報を取得する注入情報取得手段と、当該注入情報の凝集剤を注入すべく前処理手段を作動制御する作動制御手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の浄水設備の運転方法は、原水に前処理手段により凝集剤を注入して原水中の濁質を凝集させた水質の被処理水を生成し、当該生成された被処理水を膜ろ過手段により膜ろ過する浄水設備の運転方法であって、凝集剤の注入に要する前処理手段の運転費並びに被処理水の膜ろ過に要する膜ろ過手段の運転費を凝集剤の注入量毎に応じて算出した予測の中から、両手段の運転費の合計が最小となる凝集剤の注入情報を取得する注入情報取得ステップ、この注入情報取得ステップにより取得された注入情報の凝集剤を注入すべく前処理手段を作動制御する作動制御ステップを有することを特徴とする。
さらに、本発明の浄水設備の運転方法においては、上述した予測は、原水又は被処理水についての、有機物濃度、有機物組成、濁度、若しくは濁質の粒径の少なくとも一つ以上計測値から、被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質を推測することによって行うことを特徴とする。
加えて、本発明の浄水設備の運転方法においては、上述した予測は、被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質の推測結果に対応させて、前記膜ろ過手段のろ過膜の洗浄開始までのろ過抵抗の変化を推定して前記前処理手段の運転費並びに前記膜ろ過手段の運転費を算出することによって行うことを特徴とする。
また、本発明の浄水設備の運転方法においては、前処理手段の運転費並びに前記膜ろ過手段の運転費の算出において、ろ過抵抗の値が予め設定されたろ過抵抗設定値以上になる場合には、前処理手段による凝集剤の注入量の増加、又は膜ろ過手段の洗浄周期の短縮の中の少なくとも一方を実行させることを想定し、ろ過抵抗の値が予め設定されたろ過抵抗設定値以下になる場合には、前処理手段による凝集剤の注入量の減少、又は膜ろ過手段の洗浄周期の延長の中の少なくとも一方を実行させることを想定して行うことを特徴とする。
また、本発明の浄水設備の運転方法においては、前処理手段の運転費並びに膜ろ過手段の運転費の算出において、被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質の推測結果に対応させて、膜ろ過手段によるクロスフローの有無及びクロスフロー流量の制御をも想定して行うことを特徴とする。
本発明によれば、膜ろ過装置の運転、さらには前処理装置と膜ろ過装置との連携運転を、凝集剤の注入に要する前処理装置の運転費並びに被処理水の膜ろ過に要する膜ろ過装置の運転費を凝集剤の注入量(注入率)に応じて算出した予測の中から、両手段の運転費の合計が最小となる凝集剤の注入情報に基づいて行うので、浄水設備全体での濁質の回収率の向上、並びに運転コストを低減することができる。
まず、本発明の実施の形態について説明する前に、本発明に係り、発明者が行った実験について説明する。
実験は、ろ過水量(処理水量)が一定で、かつ全量ろ過の条件で、濁質を含む被透過水を膜ろ過装置の被透過水側に供給し、その際におけるろ過抵抗係数rcを測定した。また、その実験は、実験毎に、濁度tはほぼ一定になるようにして被処理水に含まれる濁質の平均粒径dを異ならせて行った。
図2は、この膜ろ過装置の実験から得られた、濁質の平均粒径とろ過抵抗係数との対応関係を示した濁質の平均粒径−ろ過抵抗係数特性図である。
通常、ろ過抵抗係数rcが高いと、ろ過抵抗rが上昇しやすく、ろ過水量(処理水量)を維持するためにはろ過圧力(被透過水側に流入させられる被透過水の流入圧力)pを増加させてろ過流量(透過水量)を増大させる必要があり、被透過水を被透過水側に流入(圧入)させるポンプの運転負荷が増すため、膜ろ過装置の運転コストが高くなる。
本実験の結果、図2に示すように、濁質の平均粒径dが所定の粒径dsよりも大きい場合は、ろ過抵抗係数rcは平均粒径dの変化にかかわらず略一定であるものの、濁質の平均粒径dが所定の粒径ds以下になると、平均粒径dの減少変化に対してろ過抵抗係数rcが急激に増加する知見を得た。
すなわち、このことは、濁度tが同じであっても、粒径の小さい濁質が被透過水中に多く含まれている場合には、ろ過水量(処理水量)に応じてろ過抵抗rが上昇し易く、ろ過水量を維持するためには、そのろ過抵抗rの上昇に合わせて、浄水設備の運転コスト、特に膜ろ過装置の運転コスト(例えば、ろ過圧力の上昇に適合させたポンプの運転コスト,膜の洗浄コスト等)が高くなることを表している。
一方、被透過水の濁度tは、濁質濃度と濁質の粒径で変化する。そして、被透過水の濁度tは、その濁質濃度が増加しても、また濁質の粒径が減少しても増加する。したがって、被透過水の濁度tの計測値のみでは、被透過水をろ過する膜ろ過装置のろ過抵抗係数rcを正確に予測することが困難であることが、この実験結果から理解できる。
この実験結果から、被透過水の濁度tに加え、被透過水に含まれる濁質の平均粒径dを計測することで、膜ろ過装置のろ過抵抗係数rを予測でき、ろ過の圧力pや、膜ろ過装置の洗浄頻度(例えば、膜ろ過装置においてろ過膜の逆洗浄を実施する頻度)等を評価できる、との知見を得た。
なお、実験結果の図示は行っていないが、ろ過水量(処理水量)が異なる場合や、膜ろ過装置のろ過方式がクロスフロー方式である場合も、濁質の平均粒径dが所定の粒径ds以下になると、平均粒径dの減少変化に対してろ過抵抗係数rcが急激に増加するという図2に示す傾向は同じである。したがって、ろ過水量が異なる場合やクロスフロー方式の場合も、被透過水の濁度tに加え、被透過水に含まれる濁質の平均粒径dを計測することで、膜ろ過装置のろ過抵抗係数rcを算出できる。
また、発明者は、ろ過水量(処理水量)が一定で、かつ全量ろ過の条件で、有機物を含む被透過水を膜ろ過装置の被透過水側に供給し、その際におけるろ過抵抗係数rcを測定した。また、その実験は、実験毎に、有機物の組成(すなわち、有機物の分子量)は同じくして、被透過水に含まれる有機物の濃度としてのTOC(Total Organic Carbon;全有機炭素)の濃度qを変化させた。さらに、発明者は、この実験を、有機物の組成を変えても行った。
図3は、この膜ろ過装置の実験により得られた、TOC濃度とろ過抵抗係数との対応関係を示したTOC濃度−ろ過抵抗係数特性図である。
なお、図では、TOC濃度qは対数目盛で表している。また、図では、有機物の組成(有機物の分子量)の違い毎に、その測定値は、相互にプロット形状を変えて表されている。図では、基準にした組成(分子量)の有機物の特性を三角形状のプロットで、この基準の有機物に対して分子量が小さい有機物の特性を長方形形状のプロットで、また分子量が大きい有機物の特性をひし形形状のプロットで表している。
本実験の結果、図3に示すように、有機物の組成(分子量)の違いにかかわらず、被透過水のTOCすなわち有機炭素物濃度qが増加すると、ろ過抵抗係数rcが増加するとの知見を得た。また、その際、ろ過抵抗係数rcは、TOC濃度qの対数に比例して増加することが判明した。
さらに、有機物の組成すなわち有機物の分子量の違いによって、同じTOCすなわち有機炭素物濃度qであっても、そのろ過抵抗係数rcが異なることも判明した。すなわち、同じTOC濃度qであっても、分子量が大きい有機物の方が分子量が小さい有機物に対してろ過抵抗係数rcが大きくなることが判明した。
この有機物の組成の計測にあたっては、その前処理として、分画分子量(膜により阻止される溶質の分子量)の異なるフィルタで被透過水をろ過し、特定の組成の有機物のTOC濃度qを測定する。
そして、有機物の組成(分子量)の違いは、TOC濃度qと紫外線吸光度aとの比率の違いに対して相関があることが確認されていることから、被透過水におけるTOCすなわち有機炭素物濃度qと紫外線吸光度aとをそれぞれ計測することによって、被透過水中に含まれる有機物の組成を把握することができる。
この実験結果から、被透過水のTOCすなわち有機炭素物濃度qと紫外線吸光度aとを計測することによって、膜ろ過装置のろ過抵抗係数rcを予測でき、ろ過の圧力pや膜ろ過装置の洗浄頻度等を評価できる、との知見を得た。
また、実験結果の図示は行っていないが、ろ過水量(処理水量)が異なる場合や、膜ろ過装置のろ過方式がクロスフロー方式である場合も、被透過水におけるTOC濃度qやその有機物の組成に応じて、ろ過抵抗係数rcが増減するという図3に示す傾向は同じである。したがって、ろ過水量(処理水量)が異なる場合やクロスフロー方式の場合も、被透過水におけるTOC濃度qやその有機物の組成を計測することで、膜ろ過装置のろ過抵抗係数rcを算出できる。
次に、上述した実験により得られた知見に基づき構成された本発明による浄水設備及びその運転方法の実施の形態について、図面を基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による浄水設備の構成図である。
本実施の形態の浄水設備1-1は、膜ろ過装置10と、その上流の原水側に配置された前処理装置20と、計測手段30と、制御手段40とを備えて構成されている。原水は前処理装置20の流入口に供給され、前処理装置20によって前処理された原水(前処理水)は、前処理装置20の流出口から膜ろ過装置10の被透過水側の流入口に被透過水として供給されるようになっている。
前処理装置としては、原水中の濁質の凝集操作を行う形式のものや、原水中の濁質の粉末活性炭吸着を行う形式のものがあるが、本実施の形態では、前処理装置20は、凝集操作を行う形式の中の一つであるマイクロフロック法を利用する形式を採用している。
マイクロフロック法において、マイクロフロックは、原水中への凝集剤の注入により、原水中に形成される。マイクロフロックの形成は、マイクロフロックに有機物が吸着されるため、原水中から透過性の高い有機物を除去することができる。なお、マイクロフロックの粒径やマイクロフロックによる有機物除去量は、凝集剤の注入量と相関があり、凝集剤を増加すると、粒径や有機物除去量が増加できる。
本実施の形態の場合、原水中における濁質の凝集操作を行う前処理装置20は、ポンプ等を備えた凝集剤注入手段21と、攪拌機構を備えた混和槽22とを備えて構成されている。
凝集剤注入手段21は、凝集剤貯留槽に貯留されている凝集剤をポンプによって送液し原水に添加する手段で、凝集剤の注入量を調整する注入量調整部を備えている。この注入量調整部は、制御手段40から供給される注入制御信号に基づいて、例えば送液手段としてのポンプを駆動・停止して、所望量の凝集剤を原水中に添加可能な構成になっている。混和槽22は、その攪拌機構によって原水と添加された凝集剤を混合する手段で、その流出口が連通する前処理装置20の流出口は、膜ろ過装置10の流入口に連通されている。
膜ろ過装置10は、ろ過膜11によって被処理水側室12と処理水側室13に画成された膜モジュール14と、前処理装置20の混和槽22から凝集剤が混合された原水を被処理水(被透過水)として膜モジュール14の被処理水側室12に圧入するためのポンプ15とを有する構成になっている。膜ろ過装置10の流入口としてのポンプ15の吸込口は前処理装置20の流出口に連通され、その吐出口は図示せぬチェック弁を介して膜モジュール14の被処理水側室12に連通されている。また、膜モジュール14の被処理水側室12は、逆洗浄のための常閉の排出弁16が設けられた排出通路を介して開放可能になっている。
計測手段30は、前処理装置20と膜ろ過装置10との間に設置され、前処理装置20の混和槽22から膜ろ過装置10に供給される被処理水(被透過水)の水質を計測する。ここで、被処理水とは、原水中に凝集剤が添加され、有機物を取り込んだマイクロフロックを濁質として含む状態の原水(前処理水)を指す。計測手段30には、制御手段40にその制御に必要な被処理水の水質計測情報(例えば、濁度t、濁質の平均粒径d、TOC濃度q、紫外線吸光度a、有機物の組成等)を提供するための計測装置が備えられている。計測手段30は、その計測した水質計測情報を制御手段40に伝達する。
制御手段40は、浄水設備1-1の各部の作動を制御する。特に本実施の形態では、制御手段40は、計測手段30から供給される水質計測情報(例えば、濁度t、濁質の平均粒径d、TOC濃度q、紫外線吸光度a、有機物の組成等の計測情報)に基づいて、前処理装置20の凝集剤注入手段21を制御作動し、原水に対する凝集剤の添加を制御する。
制御手段40内の記憶手段には、図2や図3により説明した膜ろ過装置10の処理特性(ろ過特性)をはじめとする浄水設備1-1の運転コストを考慮するための各種情報が予め記憶されている。
本実施の形態では、この計測手段30から水質計測情報として濁質の平均粒径dが伝達される場合を例に、制御手段40の制御構成について説明する。
制御手段40内の記憶手段には、上記浄水設備1-1の運転コストを考慮するための各種情報の1つとして、前処理装置20の凝集剤注入量と膜ろ過装置10の被処理水の水質との関係が組み込まれている。
この前処理装置20の凝集剤注入量fと膜ろ過装置10の被処理水の水質との関係の一例として、凝集剤注入量fと濁質の平均粒径dとの関係について、図4により説明する。
図4は、濁質の平均粒径と凝集剤注入量との対応関係を示した濁質の平均粒径−凝集剤注入量特性図である。
この濁質の平均粒径−凝集剤注入量特性については、従前の浄水設備1-1の運転の際に蓄積された運転実績データから作成され、その運転の都度、随時更新されるようになっている。運転実績データは、前処理装置20の凝集剤注入手段21に対しての制御手段40による制御作動実績(すなわち、凝集剤注入量fの添加制御実績)と、当該制御作動実績に対して計測手段30によって計測された濁質の平均粒径dとの対応によって作成されている。
図4において、プロットA〜プロットDでそれぞれ示す平均粒径−凝集剤注入率特性曲線は、前処理装置20において、水質(原水中に含まれる有機物の組成や量等)が互いに異なる原水それぞれについて、凝集剤注入手段21から注入する原水単位量当たりの凝集剤の注入量f(すなわち、凝集剤注入率fr)を変化させた場合に、混和槽22でそれぞれ形成される被処理水のマイクロフロックを含む濁質の平均粒径dの変化を示したものである。
ここで、プロットA〜プロットDは、例えば、春,夏,秋,冬といった各季節に対応し、原水中に濁質として含まれる有機物の組成や量が季節毎にそれぞれ異なっている状態における凝集剤注入率frと濁質の平均粒径dとの関係特性にそれぞれに対応する。
図4において、例えば凝集剤注入率frがfrmで、粒径がdmとした場合、制御手段40は、現在、前処理装置20によって前処理を行っている原水の水質が、プロットBに示す平均粒径−凝集剤注入量特性曲線上に該当することから、プロットBに対応する水質と判別できる。
したがって、制御手段40は、現在の原水については、プロットBで示す平均粒径−凝集剤注入率特性に従って、凝集剤注入率frと前処理装置20に処理された前処理水(すなわち、被処理水)の濁質の平均粒径dとの関係が成り立つ、と予測できる。
この判別されたプロットBで示す平均粒径−凝集剤注入率特性を基に、制御手段40は、この凝集剤注入率frを変更した場合の被処理水における濁質の平均粒径d(fr)を算出できる。
本実施の形態の場合は、この凝集剤注入率frと被処理水における濁質の平均粒径dとの関係は、前処理装置20の凝集剤注入手段21に対しての制御手段40による制御作動実績(すなわち、凝集剤注入量fの添加制御実績)と、計測手段30によって計測される実際の濁質の平均粒径dとの対応とに基づいて、随時更新することができる構成になっている。
また、計測手段30が前処理装置20の上流側に設置されている場合も、同様な方法で凝集剤注入率frを変更したときの被処理水の処理水質としての濁質の平均粒径dを算出できる。
次に、本実施の形態の浄水設備1-1における制御手段40による制御構成について説明する。
図5は、本実施の形態による浄水設備の運転方法のフローチャートである。
制御手段40は、計測手段30から膜ろ過装置10の被処理水の水質計測情報を入手する(ステップS10)。本実施の形態では、被処理水の水質計測情報として被処理水中の濁質の平均粒径dが、計測手段30から制御手段40に伝達される。
制御手段40は、自身の記憶手段にそれぞれ記憶されている、図4に示したような被処理水の平均粒径dと凝集剤注入率frとの対応関係(濁質の平均粒径−凝集剤注入量特性)と、図2に示したような被処理水の平均粒径dとろ過抵抗rとの対応関係(濁質の平均粒径−ろ過抵抗係数特性)とをそれぞれ呼び出す(ステップS20)。
制御手段40は、図4に示した凝集剤注入率frと前処理装置20による前処理水の平均粒径dとの関係、すなわちプロットA〜プロットDにより示した平均粒径−凝集剤注入量特性群の中から、現在の前処理装置20の凝集剤注入手段21による凝集剤注入率frと計測手段30から入手した被処理水中の濁質の平均粒径rとから、対応する有機物組成のプロット(プロットA〜プロットDのいずれか)の特性曲線に該当する平均粒径−凝集剤注入率特性を選択する(ステップS30)。
制御手段40は、この選択した平均粒径−凝集剤注入率特性(プロットA〜プロットDのいずれかが該当)をもとに、予め設定された凝集剤注入率範囲(例えば0〜k%の注入率範囲)で凝集剤注入率frを変化させた場合の前処理装置20による前処理水質、すなわちその後段の膜ろ過装置10の被処理水質としての被透過水中に含まれる濁質としてのマイクロフロックの平均粒径dを算出する(ステップS40)。
なお、この場合における凝集剤注入率範囲は、凝集剤注入手段21の最大注入率(例えばk%)を例えば10段階程度(0,1/10k,・・・,10/10k%)に分けて定められる。制御手段40は、この10段階の凝集剤注入率範囲毎に、当該凝集剤注入率範囲(0,1/10k,・・・,10/10k%)で凝集剤を前処理装置20の凝集剤注入手段21から注入した場合に、その混和槽22から膜ろ過装置10に供給される被透過水中に含まれる濁質としてのマイクロフロックの平均粒径dを算出する。
そして、制御手段40は、前処理装置20に関して、各段階の凝集剤注入率範囲(0,1/10k,・・・,10/10k%)に対応した運転費wfを算出する(ステップS50)。本実施の形態では、各段階の凝集剤注入率範囲に対応した前処理装置20の運転費wfは、凝集剤注入量fに基づく凝集剤コスト、当該凝集剤注入量の凝集剤fを原水に添加するための凝集剤注入手段21に備えられた注入ポンプの消費電力量コスト等から算出する。
この場合、前処理装置20の運転費wfは、凝集剤注入率範囲(0,1/10k,・・・,10/10k%)の各段階間では、その凝集剤注入率frの値が大ききなるほど、注入する凝集剤注入量が増え、さらにこの凝集剤注入量の増量分だけ凝集剤注入手段21に備えられた注入ポンプの駆動時間や吐出流量(吐出流速)が増加するため、前処理装置20の運転費wfは増加する。
また、制御手段40は、膜ろ過装置10の運転費wrを算出する(ステップS60)。本実施の形態では、膜ろ過装置10の運転費wrを求めるにあたって、制御手段40は、図2に示した膜ろ過装置10の被処理水質、すなわち前処理装置20から供給される前処理水に含まれる濁質としてのマイクロフロック平均粒径dとろ過抵抗係数rcとの特性関係から、被処理水質の計測値として計測手段30によって計測されたマイクロフロックの平均粒径dや前述した凝集剤注入率範囲毎のマイクロフロックの平均粒径dの予測値それぞれに対応するろ過抵抗係数rcを求める。
制御手段40は、この求めたマイクロフロックの平均粒径d毎のろ過抵抗係数rc別に、ろ過抵抗rの経時変化を演算し、このろ過抵抗rの経時変化をろ過にかかる圧力pの経時変化に換算する。
その上で、制御手段40は、この各ろ過にかかる圧力pの経時変化毎に、ろ過にかかる圧力pが膜ろ過装置10の洗浄を行わなければならない規定の圧力pwに達するまで時間分の圧入ポンプ15の消費電力量、所定量の処理水(ろ過水)を得る間に必要な洗浄回数等からなる膜ろ過装置10の動力費を算出し、膜ろ過装置10の運転費wrとする。また,圧力pwに達する時間でなく,予め設定した時間で運転費wrを求めてもよい。
この場合、膜ろ過装置10の運転費wrは、ろ過抵抗係数rcの値が高い程、同じろ過水量(処理水量)をろ過処理した後におけるろ過抵抗rの値の上昇は大きくなり、ろ過にかかる圧力pが膜ろ過装置10の洗浄を行わなければならない規定の圧力pwに達するまでの期間は短くなり、膜ろ過装置10の運転費wrは増加する。
制御手段40は、凝集剤注入率範囲(0,1/10k,・・・,10/10k%)の各段階別に、前処理装置20の運転費wfと膜ろ過装置10の運転費wrの合計を求め、合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率範囲の凝集剤注入率frを抽出する(ステップS70)。
そして、制御手段40は、この抽出した合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率frになるように、前処理装置20の凝集剤注入手段21を作動制御する(ステップS80)。
本実施の形態の浄水設備1-1及びその運転方法によると、前処理装置20と膜ろ過装置10との運転条件を、膜ろ過装置10の被処理水(被透過水)の水質計測値にから算出した運転費によって前処理装置20による凝集剤の添加量を制御できるため、浄水設備1全体での運転コストを低減できる。
次に、本発明の第2の実施の形態による浄水設備1-2について説明する。なお、その説明にあたって、本実施の形態による浄水設備1-2の構成は、図1に示した第1の実施の形態による浄水設備1-1の場合と同様であるので、図示省略する。
本実施の形態による浄水設備1-2は、第1の実施の形態で説明した浄水設備1-1とは異なり、その制御手段40が、前処理装置20の運転条件に加えて膜ろ過装置10の運転条件も、計測手段30から供給される水質計測情報に基づいて制御することである。
本実施の形態による浄水設備1-2の場合も、制御手段40内の記憶手段には、図2〜図4に示したような膜ろ過装置10の処理特性(ろ過特性)をはじめとする、浄水設備1-1の運転コストを考慮するための各種情報が予め記憶されている。
さらに、本実施の形態による浄水設備1-2では、この記憶された各種情報の中の1つとして、浄水設備1-2のろ過抵抗rに関してのしきい値ruが予め設定されている。
この浄水設備1-2のろ過抵抗rに関してのしきいruは、ろ過膜11の許容圧力や膜ろ過装置10の運転費wrを基に設定されている。この浄水設備1-2のろ過抵抗rに関してのしきい値ruは、例えば、ろ過膜11の許容圧力を膜ろ過装置10の洗浄を行わなければならない規定の圧力pwとした場合に、この規定の圧力pwに対応する浄水設備1-2のろ過抵抗rwよりも適宜低い値(すなわち、ru<rw)に設定されている。
次に、本実施の形態の浄水設備1-2における制御手段40による制御構成について説明する。なお、その説明にあたって、図5に示した第1の実施の形態による浄水設備1-1の運転方法の場合と同様な処理については、同一の符号を付して説明する。
制御手段40は、前述したステップS10〜S60の如くの処理を行い、計測手段30から入手した膜ろ過装置10の被処理水の水質計測情報、例えば被処理水中の濁質の平均粒径dを基に、凝集剤注入率範囲別の前処理装置20の運転費wfと膜ろ過装置10の運転費wrとを得る。
本実施の形態においては、制御手段40は、そのステップS70で、各凝集剤注入率範囲で前処理装置20の運転費wfと膜ろ過装置10の運転費wrの合計を求め、合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率範囲の凝集剤注入率frを抽出し、そのステップS80でこの抽出した合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率frになるように、前処理装置20の凝集剤注入手段21を作動制御する際に、上述したろ過抵抗rに関してのしきいruに基づいて、次に述べる処理をさらに行う構成になっている。
制御手段40は、その抽出された合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率範囲の凝集剤注入率frによるろ過処理の実行に際して、膜ろ過装置10のろ過抵抗rが予め設定されたしきい値ru(ru<rw)を超える場合には、前処理装置20の凝集剤注入手段21による凝集剤注入量f(すなわち、凝集剤注入率fr)の増加、又は膜ろ過装置10における洗浄周期の短縮の中、少なくとも何れか一方を実行させるように制御する。
この場合、制御手段40は、前処理装置20の凝集剤注入手段21による凝集剤注入量fの増加制御を行うことによって、膜ろ過装置10のろ過抵抗rが予め設定されたしきい値ru(ru<rw)を超えた後のろ過抵抗rが高い領域でろ過抵抗係数rcを減少させてろ過抵抗rの増加傾向を緩和させることができる。これにより、洗浄回数や高負荷状態での膜ろ過装置10の運転費wrの増加傾向を、前処理装置20による凝集剤注入量の増加で緩和させて、膜ろ過装置10の消費電力の増大を抑制することができる。
また、制御手段40は、膜ろ過装置10の洗浄周期を短くする場合は、その後のろ過抵抗rの上限値rw近傍における高負荷状態での膜ろ過装置10の運転を回避し、膜ろ過装置10の高負荷状態でのろ過時間を短くして、ろ過抵抗rがしきい値ruよりも低い負荷状態でのろ過時間を長くとれるため、膜ろ過装置10はその負荷が過大とならない効率的な状態で多く運転できる。
その一方で、制御手段40は、浄水設備1-2のろ過抵抗rの算出値が予め設定されたしきい値ruよりも低くなっている場合には、前処理装置20の凝集剤注入手段21による凝集剤注入量f(すなわち、凝集剤注入率fr)の減少、又は膜ろ過装置10における洗浄周期の延長の中、少なくとも何れか一方を実行させるように制御する。
この場合、制御手段40は、前処理装置20の凝集剤注入手段21による凝集剤注入量f(すなわち、凝集剤注入率fr)を減少させて膜ろ過装置10に備えられた圧入ポンプ15の負荷を僅かに増すだけでろ過水量の維持をはかれるようにしたり、又は凝集剤注入量f(すなわち、凝集剤注入率fr)を僅かに増加させて濁質の平均粒径dを増大させることにより、膜ろ過装置10の洗浄周期の延長をはかることができる構成になっている。
これらの上述した制御手段40による制御は、膜ろ過装置10への負荷を増加させることにもなるが、その負荷の増加時は膜ろ過装置10の負荷が比較的高くない状態時であり、運転費が小さい運転条件になる。
本実施の形態によると、前処理装置20と膜ろ過装置10との運転条件を、膜ろ過装置の被処理水について計測手段30による水質計測値にから算出したろ過抵抗rのしきい値ru以下で制御できるため、浄水設備1-2全体での運転コストの低減をはかれる。
次に、本発明の第3の実施の形態による浄水設備1-3について説明する。
図6は、本発明の第3の実施の形態による浄水設備の構成図である。なお、その説明にあたって、前述した浄水設備1-1,1-2と同一又は同様な構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6において、本実施の形態による浄水設備1-3は、前述した浄水設備1-1,1-2とは異なり、ろ過方式がクロスフロー方式の膜ろ過装置10を採用していることを特徴とする。
膜ろ過装置10は、ポンプ15から膜モジュール14の被処理水側室12に供給された被処理水(被透過水)の一部は循環水として、循環流量調整手段17が設置された循環通路18を介してポンプ15の上流側(吸込側)に還流可能な構成になっている。
循環流量調整手段17は、例えば流量調整弁等を備えて構成され、制御手段40からの制御信号によって、その循環量すなわち開弁量が調整される構成になっている。なお、この循環流量調整手段17を循環通路18に備えることによって、膜ろ過装置10は、その開弁量すなわち循環量がゼロの状態では全量ろ過方式の膜ろ過装置としても機能できる構成になっている。
さらに、本実施の形態による浄水設備1-3では、この記憶された各種情報の中の1つとして、循環通路18を介した被処理水の循環量(クロスフロー)の制御データが記憶されている。この循環量の制御データは、膜ろ過装置10のろ過抵抗rの経時変化にかかわらず一定でも良いが、本実施の形態の場合は、膜ろ過装置10のろ過抵抗rの値に応じて循環流量調整手段17による循環量を調整するため、ろ過抵抗rの値に対応した循環流量調整手段17の制御データが記憶されている。
例えば、その制御データは、膜ろ過装置10のろ過抵抗rが小さい場合には、その循環量を少なくして、ポンプ15の消費電力の低減をはかる一方、膜ろ過装置10のろ過抵抗rが大きくなった場合には、その循環量をろ過抵抗rが小さい場合に比して多くして、膜ろ過装置10のろ過膜11表面に付着した濁質をクロスフローにより剥離したり、ろ過膜11表面に濁質が付着しにくくしたりして、ろ過抵抗rの増加傾向を緩和させて膜ろ過装置10の洗浄回数や高負荷状態での運転を抑えるようになっている。
さらにまた、本実施の形態による浄水設備1-3では、この記憶された各種情報の中の1つとして、浄水設備1-3のろ過抵抗係数rcに関してのしきい値rcuが予め設定されている。この浄水設備1-3のろ過抵抗係数rcに関してのしきい値rcuは、被処理水の水質によっては、例えば被処理水(前処理水)の濁質としてのマイクロフロックの平均粒径dが大きい等の場合には、被処理水の長時間全量ろ過が可能なことも考えられるため、被処理水が長時間全量ろ過が可能な被処理水であるか否かを判別するために設定された値である。このろ過抵抗係数rcに関してのしきい値rcuとしては、例えば、同じ処理水量(ろ過水量)を得るためにクロスフロー方式による膜ろ過装置10の運転費wrと全量ろ過方式のよる膜ろ過装置10の運転費wrとの間でほとんど差が生じない場合の、ろ過抵抗係数rcの値が予め設定されている。
このように構成された本実施の形態による浄水設備1-3における制御手段40による制御構成について説明する。なお、その説明にあたって、図5に示した第1,第2の実施の形態による浄水設備1-1,1-2の運転方法の場合と同様な処理については、同一の符号を付して説明する。
制御手段40は、原水をろ過するにあたって、前述したステップS10〜S50の如くの処理を行い、予め設定された段階別の凝集剤注入率範囲(注入率0,1/10k,・・・,10/10k%)毎に対応した被透過水中に含まれる濁質としてのマイクロフロックの平均粒径dを算出するとともに、それぞれの前処理装置20の運転費wfを得る。
そして、本実施の形態の場合は、制御手段40は、ステップS60に示した前処理装置20における各段階の凝集剤注入率範囲(注入率0,1/10k,・・・,10/10k%)毎に対応した膜ろ過装置10の運転費wrを求めるにあたって、その算出を次のようにして行う。
制御手段40は、図2に示した膜ろ過装置10の被処理水質、すなわち前処理装置20から供給される前処理水に含まれる濁質としてのマイクロフロック平均粒径dとろ過抵抗係数rcとの特性関係から、被処理水質の計測値として計測手段30によって計測されたマイクロフロックの平均粒径dや前述した凝集剤注入率範囲毎のマイクロフロックの平均粒径dの予測値それぞれに対応するろ過抵抗係数rcを求める。そして、制御手段40は、この求めたマイクロフロックの平均粒径d毎のろ過抵抗係数rc別に、ろ過抵抗rの経時変化を演算する。
その上で、制御手段40は、マイクロフロックの平均粒径d毎に、ろ過抵抗係数rcが予め定められたしきい値rcu以下であるか否かを判別する。この判別の結果、マイクロフロックの平均粒径dがしきい値rcu以下である場合は、制御手段40は全量ろ過方式を選択し、前述したろ過抵抗rの経時変化に基づく全量ろ過方式による膜ろ過装置10の運転費wrを算出する。これに対し、マイクロフロックの平均粒径dがしきい値rcuよりも大きい場合は、制御手段40はクロスフロー方式を選択し、前述したろ過抵抗rの経時変化を、上述したクロスフロー方式によって制御した場合のろ過抵抗rの経時変化に変換し、この変換したろ過抵抗rの経時変化に基づくクロスフロー方式による膜ろ過装置10の運転費wrを算出する。
これにより、制御手段40は、ステップS70で、凝集剤注入率範囲(0,1/10k,・・・,10/10k%)の各段階別に、前処理装置20の運転費wfと膜ろ過装置10の運転費wrの合計を求め、合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率範囲の凝集剤注入率frを抽出する。さらに、本実施の形態の場合は、このステップS70で、当該抽出した合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率範囲の凝集剤注入率frに対応する全量ろ過方式又はクロスフロー方式いずれかの運転方法を、膜ろ過装置10の運転方法として設定する。
そして、制御手段40は、この抽出した合計の運転費wが最も低い凝集剤注入率frになるように、前処理装置20の凝集剤注入手段21を作動制御するとともに、上記設定された運転方法で、膜ろ過装置10におけるポンプ15及び循環流量調整手段17としての流量調整弁等の各部を作動制御する(ステップS80)。
本実施の形態の浄水設備1-3及びその運転方法によると、クロスフロー方式の浄水設備にあっても、前処理装置20と膜ろ過装置10との運転条件を、膜ろ過装置10の被処理水(被透過水)の水質計測値にから算出した運転費によって、前処理装置20による凝集剤の添加量及び膜ろ過装置10のポンプ15等の運転を制御できるため、浄水設備1全体での運転コストを低減できる。
なお、本発明による浄水設備及びその運転方法は、以上説明したとおりであるが、その実施の形態は上記説明した実施の形態に限られるものではなく、その具体的構成については種々の変形例が可能である。
本発明の第1,第2の実施の形態による浄水設備の構成図である。 濁質の平均粒径とろ過抵抗係数との対応関係を示した濁質の平均粒径−ろ過抵抗係数特性図である。 濁質として含まれるTOC濃度とろ過抵抗係数との対応関係を示した濁質のTOC濃度−ろ過抵抗係数特性図である。 濁質の平均粒径と凝集剤注入量との対応関係を示した濁質の平均粒径−凝集剤注入量特性図である。 本実施の形態による浄水設備の運転方法のフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態による浄水設備の構成図である。
符号の説明
1 浄水設備
10 膜ろ過装置
11 ろ過膜
12 被処理水側室
13 処理水側室
14 膜モジュール
15 ポンプ
16 排出弁
17 循環流量調整手段
18 循環通路
20 前処理装置
21 凝集剤注入手段
22 混和槽
30 計測手段
40 制御手段

Claims (6)

  1. 原水に凝集剤を注入して原水中の濁質を凝集させた水質の被処理水を生成する前処理手段と、
    該前処理手段によって生成された被処理水を膜ろ過する膜ろ過手段と
    を備えている浄水設備であって、
    凝集剤の注入に要する前記前処理手段の運転費並びに被処理水の膜ろ過に要する前記膜ろ過手段の運転費を凝集剤の注入量に応じて算出した予測の中から、両手段の運転費の合計が最小となる凝集剤の注入情報を取得する注入情報取得手段と、
    当該注入情報の凝集剤を注入すべく前記前処理手段を作動制御する作動制御手段と
    を備えていることを特徴とする浄水設備。
  2. 原水に前処理手段により凝集剤を注入して原水中の濁質を凝集させた水質の被処理水を生成し、当該生成された被処理水を膜ろ過手段により膜ろ過する浄水設備の運転方法であって、
    凝集剤の注入に要する前記前処理手段の運転費並びに被処理水の膜ろ過に要する前記膜ろ過手段の運転費を凝集剤の注入量毎に応じて算出した予測の中から、両手段の運転費の合計が最小となる凝集剤の注入情報を取得する注入情報取得ステップ、
    該注入情報取得ステップにより取得された注入情報の凝集剤を注入すべく前記前処理手段を作動制御する作動制御ステップ、
    を有することを特徴とする浄水設備の運転方法。
  3. 前記予測は、原水又は被処理水についての、有機物濃度、有機物組成、濁度、若しくは濁質の粒径の少なくとも一つ以上計測値から、被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質を推測することによって行う
    ことを特徴とする請求項2記載の浄水設備の運転方法。
  4. 前記予測は、被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質の推測結果に対応させて、前記膜ろ過手段のろ過膜の洗浄開始までのろ過抵抗の変化を推定して前記前処理手段の運転費並びに前記膜ろ過手段の運転費を算出することによって行う
    ことを特徴とする請求項3記載の浄水設備の運転方法。
  5. 前記前処理手段の運転費並びに前記膜ろ過手段の運転費の算出において、
    前記ろ過抵抗の値が予め設定されたろ過抵抗設定値以上になる場合には、前記前処理手段による凝集剤の注入量の増加、又は前記膜ろ過手段の洗浄周期の短縮の中の少なくとも一方を実行させることを想定し、
    前記ろ過抵抗の値が予め設定されたろ過抵抗設定値以下になる場合には、前記前処理手段による凝集剤の注入量の減少、又は前記膜ろ過手段の洗浄周期の延長の中の少なくとも一方を実行させることを想定して行う
    ことを特徴とする請求項4記載の浄水設備の運転方法。
  6. 前記前処理手段の運転費並びに前記膜ろ過手段の運転費の算出において、
    被処理水の凝集剤の注入量毎に応じた水質の推測結果に対応させて、前記膜ろ過手段によるクロスフローの有無及びクロスフロー流量の制御をも想定して行う
    ことを特徴とする請求項4記載の浄水設備の運転方法。
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