JP4429080B2 - 圧電振動子 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯用通信機器や電子計算機等の電子機器に用いられる水晶振動子等の圧電振動子に関するものである。
従来より、携帯用通信機器や電子計算機等の電子機器に圧電振動子としての水晶振動子が用いられている。
かかる従来の水晶振動子としては、例えば図5に示す如く、アルミナセラミックス等から成る容器体21の上面に凹部22を形成するとともに、該凹部22内に水晶振動素子23を搭載・収容し、前記容器体21の上面に、凹部22の開口部を塞ぐようにして金属製の蓋体24を取着・接合した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
尚、前記蓋体24は、容器体21の上面に金属シート等を介して載置・固定されており、従来周知の抵抗溶接等によって容器体21の上面に接合される。これにより、凹部22の内面と蓋体24の下面とで囲まれた領域が気密封止されることとなる。
また上述した従来の水晶振動子は、通常、蓋体24が容器体内部のビア導体等を介して容器体下面のグランド端子に電気的に接続されており、水晶振動子の使用時、蓋体24をグランド電位に保持しておくことにより、水晶振動素子23をノイズ等の不要な電気的作用より保護するようにしている。
かかる水晶振動子は、容器体21の下面に設けられる入出力端子(入力端子・出力端子)を介して水晶振動素子23の振動電極間に外部からの変動電圧を印加するとともに、水晶振動素子23を所定の周波数で厚みすべり振動させ、その周波数に基づいて外部の発振回路で所定の発振信号を生成・出力することによって水晶振動子として機能する。このようにして得られた発振信号は、例えば携帯用通信機器等の電子機器におけるクロック信号(基準信号)として利用される。
特開2001−274649号公報
しかしながら、上述した従来の水晶振動子においては、全体構造の小型化に伴い、蓋体24と容器体21との接合面積が縮小される傾向にある。それ故、蓋体24を容器体21の上面に対して強固に接合することが難しく、水晶振動素子23の収納領域を確実に気密封止することが不可となる欠点を有していた。
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、全体構造を小型化する場合であっても蓋体を容器体に対して強固に取着させることができる高信頼性の圧電振動子を提供することにある。
本発明の圧電振動子は、凹部が設けられている容器体と、該容器体の上面であって前記凹部の開口部を囲繞するように被着された導体パターンと、前記凹部内に収容された圧電振動素子と、前記容器体の凹部上に配置された金属製の蓋体と、前記導体パターンと前記蓋体との間に位置して前記導体パターンと前記蓋体と接合する接合材と、を備え、前記導体パターンが、前記凹部の内壁面に延在する内周延在部と、前記容器体の外側面に延在する外周延在部と、を有し、前記接合材が、前記内周延在部及び前記外周延在部と接合するとともに、前記内周延在部から前記蓋体の下面側に向かって形成されたフィレットを有し前記容器体の上面と平行な方向に係る前記接合材の幅寸法が、容器体側から蓋体側に向かって漸次広くなっていることを特徴とするものである。
また本発明の圧電振動子は、前記接合材が、前記蓋体の外周部に沿って環状に介在していることが好ましい。
更に本発明の圧電振動子は、前記蓋体の下面で、前記接合材の接合部位にNi層が被着されており、該Ni層に接合される前記接合材がAuSn合金を主成分とする接合材から成っていることを特徴とするものである。
本発明の圧電振動子によれば、導体パターンが、前記凹部の内壁面に延在する内周延在部と、前記容器体の外側面に延在する外周延在部と、を有し、前記接合材が、前記内周延在部及び前記外周延在部と接合するとともに、前記内周延在部から前記蓋体の下面側に向かって形成されたフィレットを有していることから、圧電振動子の全体構造を小型化する場合であっても、容器体に対する接合材の被着面積を広く確保することができるようになり、これによって蓋体を容器体に対し強固に取着・接合させることが可能となる。
また本発明の圧電振動子によれば、容器体の上面と平行な方向に係る前記接合材の幅寸法が容器体側より蓋体側に向かって漸次広く形成されていることから、圧電振動素子が収納される領域の気密封止性を高めることができ、これによって圧電振動子の信頼性を向上させることが可能となる。尚、かかる作用効果をより有効に発揮させるには、接合材の最大厚みTと最小厚みTとの比(T/T)を2乃至7に設定しておくことが好ましい。
更に本発明の圧電振動子によれば、前記蓋体の下面で、前記接合材の接合部位にNi層を被着させるとともに、該Ni層に接合される前記接合材をAuSn合金を主成分とする接合材により形成しておくことにより、蓋体を比較的低い温度の熱処理によって容器体に接合させることができ、圧電振動子の量産性が向上する利点もある。またこの場合、前記導体パターンを、WもしくはMoから成る基層の表面にNi層及びAu層を順次被着させて形成しておけば、上述した接合材の導体パターンに対する濡れ性を良好となすことができ、圧電振動子の信頼性及び生産性を向上させることが可能となる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る水晶振動子の分解斜視図、図2は図1の水晶振動子の断面図、図3は図2の要部拡大図であり、これらの図に示す水晶振動子は、大略的に、容器体1と、圧電振動素子としての水晶振動素子5と、蓋体2とで構成されている。
前記容器体1は、例えば、アルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料から成る絶縁層を複数層、積層することによって形成されており、その上面には、中央域に矩形状に開口する凹部1aが、周辺域に凹部1aの開口部を囲繞する環状の導体パターン4が形成され、下面には入力端子、出力端子及びグランド端子を含む複数個の外部端子3が設けられている。
前記容器体1は、その上面に開口する凹部1aの内部に水晶振動素子5を収容するためのものであり、凹部1aの底面には水晶振動素子5の振動電極と電気的に接続される一対の接続パッド1bが被着・形成されている。
前記一対の接続パッド1bは、その上面側で水晶振動素子5の振動電極に導電性接着材を介して電気的に接続され、下面側で容器体内部の配線導体やビアホール導体等を介して入出力端子(入力端子・出力端子)に電気的に接続される。
また、前記容器体上面の導体パターン4は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等から成る基層の表面にニッケル(Ni)層及び金(Au)層を順次被着させることによって10μm〜25μmの厚みに形成されており、その内周部は凹部1aの内壁面に、外周部は容器体1の外側面にそれぞれ延在されている。
前記導体パターン4は、後述する蓋体2を接合材6を介して容器体1の上面に接合させるためのものであり、かかる導体パターン4を、上述したように、WもしくはMoから成る基層の表面にNi層及びAu層を順次被着させた構成となしておくことにより、導体パターン4に対する接合材6の濡れ性を良好となし、水晶振動子の信頼性及び生産性を向上させることができる。
尚、ここで、前記導体パターン4の内周部を凹部1aの内壁面に延在させているのは、容器体1と蓋体2とを接合する接合材6のフィレットを凹部1aの内壁から蓋体2の下面側に向かって形成するためである。
また前記容器体1の内部には、上端を容器体1の上面に、下端を容器体1の下面に導出させたビア導体(図示せず)が埋設されており、容器体1の上面に被着させた導体パターン4を接合材6を介して蓋体2に接合することによって蓋体2がビア導体を介して容器体下面のグランド端子と電気的に接続される。このように、金属から成る蓋体2をグランド端子と電気的に接続させておくことにより、水晶振動子の使用時、蓋体2がグランド電位に保持されるようになるため、蓋体2のシールド作用によって、水晶振動素子5を外部からの不要な電気的作用より良好に保護することができる。
このようなグランド端子を含む容器体下面の外部端子3は、水晶振動子をマザーボード等の外部配線基板上に搭載する際、外部配線基板の配線と半田等の導電性接着材を介して電気的に接続するための端子として機能する。
尚、上述した容器体1は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に外部端子3や接続パッド1b,導体パターン4等となる導体ペーストを、またセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内にビア導体となる導体ペーストを、従来周知のスクリーン印刷等によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
一方、前記容器体1の凹部1a内に収容される水晶振動素子5は、所定の結晶軸でカットした、厚み30μm〜160μmの水晶片の両主面に一対の振動電極を被着・形成してなり、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こすようになっている。
このような水晶振動素子5は、その両主面に被着されている振動電極と凹部底面の対応する接続パッド1bとを導電性接着材を介して電気的・機械的に接続することによって容器体1の凹部底面に搭載される。
また、前記容器体1上に配置される蓋体2は、42アロイ等から成る金属板の下面に、その外周に沿ってニッケル(Ni)層を環状に被着させてなり、かかるNi層を接合材6を介して容器体上面の導体パターン4に接合させることによって容器体1の上面に取着され、これにより凹部1aの開口部が塞がれて水晶振動素子5の収納領域が気密封止され、同時に、蓋体2が先に述べたビア導体等を介して容器体下面のグランド端子に電気的に接続される。
そして、蓋体2と容器体1とを接合する接合材6は、例えば、金錫(Au−Sn)合金等を主成分とするロウ材により形成されており、導体パターン4の内周部側延在部から蓋体2の下面に向かって所定のフィレットを形成している。
このような接合材6の幅寸法(容器体1の上面と平行な方向に係る幅寸法)は容器体1側より蓋体2側に向かって漸次広くなっており、例えば、接合材6の平均厚みは10μm乃至30μm、最大厚みは40μm乃至70μm、最小厚みは10μm乃至20μmに設定される。
このように、容器体1の上面に被着される導体パターン4の内周部を凹部内壁面に延在させるとともに、該延在部から蓋体2の下面側に向かって接合材6のフィレットを形成することにより、水晶振動子の全体構造を小型化する場合であっても、容器体1に対する接合材6の被着面積を広く確保することができ、これによって蓋体2を容器体1に対し強固に取着・接合させることが可能となる。
しかもこの場合、導体パターン4の外周部は容器体1の外側面にも延在されており、この延在部にも接合材6を接合させている。このため、本実施形態においては、容器体1に対する接合材6の被着面積が更に広く確保されるようになっており、容器体1に対する蓋体2の接合強度をより一層向上させることができる。従って導体パターン4の外周部を容器体1の外側面にも延在させるとともに、この延在部にも接合材6を接合させておくことが好ましい。
また上述した本実施形態の水晶振動子においては、容器体1の上面と平行な方向に係る接合材6の幅寸法が容器体1側より蓋体2側に向かって漸次広く形成されていることから、水晶振動素子5が収納される領域の気密封止性を高めることができ、これによって水晶振動子の信頼性を向上させることが可能となる。尚、ここで接合材6の最大厚みTと最小厚みTとの比(T/T)が2乃至7に設定しておくことが好ましく、これによって水晶振動素子5が収納される領域の気密封止性をより一層向上させることができる。尚、本明細書における “接合材6の最大厚みT”とは蓋体2の下面から上記延在部の下端までの最短距離に相当し、また“接合材6の最小厚みT”とは蓋体2の下面から導体パターン4の上面までの最短距離に相当するものを指す文言である。
そして、前記蓋体2を容器体1に接合するための作業は、例えば、容器体1の上面に蓋体2を載置させた状態で、この両者を所定の温度に保たれた炉の中に所定時間入れ、蓋体2の下面に予め被着させておいた接合材6を加熱・溶融させることによって行われる。
本実施形態においては、接合材6の平均厚みが10μm乃至30μm、最大厚みが40μm乃至70μm、最小厚みが10μm乃至20μmに設定されているため、適度な熱エネルギーによって両者(蓋体2及び容器体1)を効率良く接合することができ、これによって水晶振動子の生産性を向上させることが可能となる。
また、前記接合材6はAuSn合金を主成分とするロウ材により形成されているため、蓋体2を比較的低い温度の熱処理によって容器体1に接合させることができ、水晶振動子の量産性が向上される。
更に上述した接合作業を、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うようにすれば、水晶振動素子5が収納される空間には不活性ガスが充満されるため、水晶振動素子5が酸素や大気中の水分等によって腐食・劣化するのを有効に防止することができる。従って、蓋体2の接合作業は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
かくして上述した水晶振動子は、容器体1の下面に設けられている入出力端子を介して水晶振動素子5の振動電極間に外部からの変動電圧を印加し、水晶振動素子5を所定の周波数で厚みすべり振動させることによって水晶振動子として機能する。かかる水晶振動子の周波数に基づいて外部の発振回路で生成・出力された発振信号は、例えば、携帯用通信機器等の電子機器における基準信号(クロック信号)として利用されることとなる。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、容器体1と蓋体2とを接合するための接合材6を蓋体2の外周部に沿って環状に介在させるようにしたが、これに代えて、図4に示す如く、接合材6を蓋体2の下面全体にわたってクラッドにて形成するようにしても構わない。
また上述した実施形態においては、圧電振動素子として水晶振動素子を用いることにより水晶振動子を構成するようにしたが、それ以外の水晶振動子、例えば、弾性表面波素子等を用いて水晶振動子を構成する場合においても本発明は適用可能である。
本発明の一実施形態に係る水晶振動子の分解斜視図である。 図1の水晶振動子の断面図である。 図2の要部拡大図である。 本発明の他の実施形態に係る水晶振動子の断面図である。 従来の水晶振動子の断面図である。
符号の説明
1・・・容器体
1a・・・凹部
1b・・・接続パッド
2・・・蓋体
3・・・外部端子
4・・・導体パターン
5・・・水晶振動素子
6・・・接合材

Claims (3)

  1. 凹部が設けられている容器体と、該容器体の上面であって前記凹部の開口部を囲繞するように被着された導体パターンと、前記凹部内に収容された圧電振動素子と、前記容器体の凹部上に配置された金属製の蓋体と、前記導体パターンと前記蓋体との間に位置して前記導体パターンと前記蓋体と接合する接合材と、を備えた圧電振動子において、
    前記導体パターンは、前記凹部の内壁面に延在する内周延在部と、前記容器体の外側面に延在する外周延在部と、を有し、
    前記接合材は、前記内周延在部及び前記外周延在部と接合するとともに、前記内周延在部から前記蓋体の下面側に向かって形成されたフィレットを有し
    前記容器体の上面と平行な方向に係る前記接合材の幅寸法が、容器体側から蓋体側に向かって漸次広くなっていることを特徴とする圧電振動子。
  2. 前記接合材は、前記蓋体の外周部に沿って環状に介在していることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記蓋体の下面で、前記接合材の接合部位にNi層が被着されており、該Ni層に接合される前記接合材がAuSn合金を主成分とする接合材から成っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電振動子。
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