JP4428928B2 - インクおよびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性染料を含有し放射線により硬化可能なインク、かつ画像耐光性に優れた硬化可能なインクに関し、及び係るインクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性のインクジェット用インクは、普通紙に印字した場合に耐水性が劣ったり、滲みが生じやすく、さらに、プラスチックなど非吸水性の被記録材に印字した場合には、インク液滴の付着が悪いために画像形成ができなかったり、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があったり、画像がにじみやすいといった欠点があった。
非吸水性の被記録材に対する印刷に適するものとして、被記録材との接着性に優れた多官能モノマーを用いた紫外線硬化性インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)が、水分散型のインクのために乾燥が遅く、フルカラーの画像を形成するには不十分であった。乾燥性を解決するために、インクの溶剤として揮発性の有機溶剤を用いる方法が行われてきたが、急速に乾燥させるためにはメチルエチルケトン及びエタノールなど高度に引火性があり、さらに揮発性の高い溶剤を用いる必要があった。
これらの問題点を解決するために、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェット用インクが開示されている(例えば、特許文献2参照)。一般的なヘッドでの印字が可能な粘度の目安として20mPa.s以下にするため、全モノマー成分に占める割合として、単官能モノマーを少なくとも20質量%、2官能モノマーを少なくとも17.5質量%使用する必要があった。しかしながら単官能モノマーを使用すると重合が進行しても、べたつきが生じ易い傾向にあるため、べたつきのない硬化を得るためには高エネルギーの紫外線照射や重合開始剤の添加量を多くする必要があり、インクの保存安定性(容器やカートリッジ中での保存安定性)が低下したり、長期の光暴露の環境で画像が変色したり、退色しやすいといった問題点があった。さらに、重合阻害性の低い(すなわちインク硬化性の高い)顔料を用いているために、インクの経時保存安定性に懸念があり(凝集しやすい)、また、透明性や色調が不十分であるために写真画質を得ることが困難であった。
その問題を解決する一つの手段として、着色剤に重合を阻害しない染料を用いた紫外線硬化型インクが開示されている(例えば、特許文献3参照)が、重合を阻害しない染料の選択指針がなく、例として挙げられているアゾ染料などの添加では硬化性が低下する場合が多いため、高エネルギーの紫外線照射や重合開始剤の添加量を多くする必要があった。
油溶性染料を用いたインクは顔料よりも硬化性が劣るために、低粘度かつ硬化性に優れるインク成分(染料、モノマーなど)が必要であるが、特許文献3には重合を阻害しない染料の明確な構造例がなく、例として挙げられているアゾ染料などの添加では硬化性が低下する場合が多いために、露光時に退色しやすいなどの問題点があった。油溶性染料を用いたインクジェット硬化型インクで低粘度かつ硬化性に優れたインクはないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
特表2001−512777号公報(第1〜3頁、第11〜15頁)
【特許文献2】
国際公開第99/29788号パンフレット(全頁)
【特許文献3】
米国特許第4303924号明細書(全頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、従来の紙に加え、プラスチックや金属など非吸水性の被記録材に対しても高品位な印字が可能で、かつ、インクの粘度が低く、保存性と硬化性に優れたインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
(1)
3官能以上の重合性基を有するビニルモノマー、下記一般式(VM−1)で表される2官能モノマー、及び油溶性染料を含有し、油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270であることを特徴とするインク。
一般式(VM−1)
【化101】
一般式(VM−1)中、R m1 及びR m2 は各々独立に、水素またはメチル基を表す。Lは炭素原子数が3以上8以下の分岐アルキレン鎖を表す。
(2)
3官能以上の重合性基を有するビニルモノマー、下記一般式(VM−1)で表される2官能モノマー、及び下記一般式(Y−II)で表される油溶性染料を含有することを特徴とするインク。
一般式(VM−1)
【化102】
一般式(VM−1)中、R m1 及びR m2 は各々独立に、水素またはメチル基を表す。Lは炭素原子数が3以上8以下の分岐アルキレン鎖を表す。
【化103】
一般式(Y−II)において、R 1 及びR 3 は各々独立に、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はアリール基を表す。R 2 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R 4 は複素環基を表す。
(3)
モノマー以外の分散媒あるいは溶剤の含有量が20質量%以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のインク。
(4)
(1)〜(3)のいずれかに記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程と、画像記録された被記録材を放射線により硬化を行う工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0007】
ここで、「10から100」は「10以上100以下」を意味する。25℃での該インクの粘度が10から100mPa・sであることが好ましい。
(5) 光重合開始剤を含有し、ラジカル重合により硬化することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク。
(6) 油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270であることを特徴とする前記(2)〜(3)、(5)のいずれかに記載のインク。
(7) 貯蔵安定剤がインク中に0.005〜1質量%(好ましくは0.01〜0.05質量%)含有することを特徴とする前記(1)〜(3)、(5)、(6)のいずれかに記載のインク。
(8) 前記(5)〜(7)のいずれかに記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程と、画像記録された被記録材を放射線により硬化を行う工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、3官能以上の重合性基を有するビニルモノマー、下記一般式(VM−1)で表される2官能モノマー、及び油溶性染料を含有し、油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270であることを特徴とするインク。
一般式(VM−1)
【化101】
一般式(VM−1)中、R m1 及びR m2 は各々独立に、水素またはメチル基を表す。Lは炭素原子数が3以上8以下の分岐アルキレン鎖を表す。
に関するものであるが、その他の事項についても記載した。
(インク)
本発明のインクは放射線硬化型インクであり、好ましくは放射線硬化型ジェット用インクである。前記インクは、重合性基を有するモノマーと、特定の構造を有する油溶性染料とを含有するインク組成物であり、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、乾燥防止剤、浸透促進剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知添加剤が挙げられ、これらは特開2001−279141号の段落番号(0217)から(0226)までに記載のものを用いることができる。
【0009】
本発明においてモノマーの重合を進行させるための放射線としてはα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
放射線として紫外線、可視光線などを使用する場合は、重合を開始するための光重合開始剤が併用される。したがって本発明の他の構成にかかる放射線硬化性インクは、モノマー類の重合を開始するための光重合開始剤を含有するものである。
【0010】
−重合性基を有するモノマー−
本発明において用いられる重合性基を有するモノマーとしては、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与によって固体化する重合性の二重結合(以後、重合性基と記す)を有する化合物である。
重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)が挙げられ、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基が低エネルギーで硬化させることができるので好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0011】
モノマーは3官能以上のモノマー(以後、多官能モノマーと記す)と2官能モノマーの使用が必須であり、粘度調整や架橋密度の調整、硬化後の物性制御(強度、接着性など)のために単官能の化合物(以後、単官能モノマーと記す)を併用しても良い。
【0012】
前記多官能モノマーとしては、ビニル基含有芳香族化合物、3価以上のアルコールとアクリル酸またはメタアクリル酸とのエステルであるアクリレート、3価以上のアミンとアクリル酸またはメタアクリル酸とのアミドであるアクリルアミド、多塩基酸と3価アルコールの結合で得られるエステルまたはポリカプロラクトンにアクリル酸またはメタアクリル酸を導入したポリエステルアクリレート、アルキレンオキサイドと多価アルコールの結合で得られるポリエーテル型アルコールにアクリル酸またはメタアクリル酸を導入したポリエーテルアクリレート、エポキシ樹脂にアクリル酸またはメタアクリル酸を導入するか、あるいは3価以上のアルコールとエポシキ含有モノマーを反応させて得られるエポキシアクリレート、ウレタン結合をもったウレタンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アルキッド樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物およびワックス類と前記重合性モノマーの反応生成物などが挙げられ、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物が好ましく、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが特に好ましい。
前記多官能モノマーの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フェノールノボラック樹脂の骨格を含有する分子量600〜30000のエポキシアクリレート、分子量350〜30000の多価イソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーとの反応物、また分子内にウレタン結合を有するウレタン変性物などが挙げられる。
【0013】
前記2官能モノマーは、一般式(VM−1)で表される。
一般式(VM−1)
【0014】
【化3】
【0015】
一般式(VM−1)中、Rm1及びRm2は各々独立に、水素あるいはメチル基を表し、水素が好ましい。Lは炭素原子数が3から8の分岐アルキレン鎖を表し、炭素数3から6の分岐アルキレン鎖が好ましく、炭素数3から5の分岐アルキレン鎖が特に好ましい。
【0016】
前記分岐アルキレン鎖の例としては、メチルエチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、1,1−ジメチルトリメチレン、1,2−ジメチルトリメチレン、1,3−ジメチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1,1,2−トリメチルトリメチレン、1,1,3−トリメチルトリメチレン、1,1,3,3−テトラメチルトリメチレン、1−メチルテトラメチレン、2−メチルテトラメチレン、1,2−ジメチルテトラメチレン、1,3−ジメチルテトラメチレン、1,4−ジメチルテトラメチレン、1,1−ジメチルテトラメチレン、2,2−ジメチルテトラメチレン、1,1,3−トリメチルテトラメチレン、1−メチルペンタメチレン、2−メチルペンタメチレン、3−メチルペンタメチレン、1,2−ジメチルペンタメチレン、1,3−ジメチルペンタメチレン、1,4−ジメチルペンタメチレン、1,5−ジメチルペンタメチレン、2,3−ジメチルペンタメチレン、1,1−ジメチルペンタメチレン、2,2−ジメチルペンタメチレン、3,3−ジメチルペンタメチレン、1−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘキサメチレン、3−メチルヘキサメチレン、1,2−ジメチルヘキサメチレン、1,3−ジメチルヘキサメチレン、1,4−ジメチルヘキサメチレン、1,5−ジメチルヘキサメチレン、1,6−ジメチルヘキサメチレン、2,3−ジメチルヘキサメチレン、1,1−ジメチルヘキサメチレン、2,2−ジメチルヘキサメチレン、3,3−ジメチルヘキサメチレン、1−メチルヘプタメチレン、2−メチルヘプタメチレン、3−メチルヘプタメチレン、4−メチルヘプタメチレンなどが挙げられる。
【0017】
前記一般式(VM−1)以外の2官能モノマーを用いてもよく、例としては、ジビニルベンゼン、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−アクリロイルアミノヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、2塩基酸と2価アルコールから成る分子量500〜30000のポリエステルの分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基をもつポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール(AあるいはS、F)骨格を含有する分子量450〜30000のエポキシアクリレートなどが挙げられる。
【0018】
前記単官能モノマーとしては、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のスチレン、置換あるいは無置換のアクリルアミド、ビニル基含有モノマー(ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミドなど)、(メタ)アクリル酸などが挙げられ、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のアクリルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類が好ましく、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のアクリルアミドが特に好ましい。
前記単官能モノマーの例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、アリルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、2−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチルアクリレート、エステルにポリブチルアクリレート部位を含有するアクリレート、エステルにポリジメチルシロキサン部位を含有するアクリレートなどが挙げられる。
【0019】
前記モノマーのインク中の含有量は、通常50〜99.6質量%の範囲が好ましいが、60〜99.0質量%がより好ましく、70〜99.0質量%がさらに好ましい。
モノマー混合物に占める多官能モノマーの含有量は、20〜70質量%の範囲が好ましいが、25〜70質量%がより好ましく、25〜60質量%がさらに好ましい。
モノマー混合物に占める一般式(VM−1)の含有量は、30〜80質量%の範囲が好ましいが、30〜75質量%がより好ましく、40〜75質量%がさらに好ましい。
モノマー混合物に占める単官能モノマーの含有量は、0〜20質量%の範囲が好ましいが、0〜15質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。
【0020】
前記モノマーは本発明の効果が得られるものであれば何れでも良いが、安全性の高いものから選択されることが更に好ましい。安全性が高いモノマーとはPII(皮膚刺激性)の値が小さいものであり、PIIが3.0以下のものが好ましく、2.0以下がより好ましく、1.0以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。PIIについては「新UV・EB硬化技術と応用展開」田畑米穂著、1997年、シーエムシー出版、32から33頁に記載されている。
【0021】
−光重合開始剤および増感剤−
光重合開始剤としては、光により発生したラジカルや他の活性種が前記モノマー中の重合性二重結合と反応するものであれば特に制限はない。
光重合開始剤としてはアセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が一般的に知られ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
【0022】
光重合開始剤の例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1' −アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0023】
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
また、光重合開始剤は、70℃まで熱分解を起こさないものであることが好ましい。70℃以下で熱分解を起こす開始剤を用いると、製品保存上問題があるため好ましくない。
これらの光重合開始剤のインク中の使用量は特に制限されていないが、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。0.5質量%未満では硬化しないか硬化時間が遅く、20質量%を越えると溶解経時で析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりする場合があるので好ましくない。
【0024】
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。アミン類の添加により硬化速度が速くなるのは、第一に水素引き抜き作用により光重合開始剤に水素を供給するためであり、第二に生成ラジカルが大気中の酸素分子と結合して反応性が悪くなるのに対して、アミンが組成中に溶け込んでいる酸素を捕獲する作用があるためである。
増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
増感剤のインク中の使用量は、通常0〜10質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用する紫外線硬化モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
【0025】
−油溶性染料−
本発明のインクにおいて使用する油溶性染料は、従来公知の化合物(染料)が使用できる。具体的には、特開2002−114930号の段落[0023]から[0053]に記載されている染料などが挙げられる。本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなど(いずれもライトインクを含む)のいずれのインクにも適用できる。
【0026】
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高いことが望ましい。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
酸化電位に関しては、特開2002−309118号の段落[0049]から[0051]に記載されている。
【0027】
イエロー染料の好ましい構造としては、一般式(Y−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。尚、一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、グリーンインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いても良い。
【0028】
【化4】
【0029】
上記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0030】
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5-ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0031】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0032】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0033】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、下記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0034】
【化5】
【0035】
前記一般式(Y−II)において、R1及びR3は各々独立に、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はアリール基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。R4は複素環基を表す。
【0036】
前記一般式(Y−III)において、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はアリール基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(R11)=を表し、前記R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R6は複素環基を表す。
【0037】
一般式(Y−IV)において、R7及びR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基を表す。R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヒドロキシ基を表す。R10は複素環基を表す。
【0038】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるR1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表す置換基について以下に詳述する。
【0039】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチルが好適に挙げられる。
【0040】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0041】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましい。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0042】
R1、R2、R3、R5、R7、及びR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及びアルキルアミノ基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、及びo−クロロフェニルが好適に挙げられる。
【0043】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましい。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0044】
R1、R2、R3、R5、R7、R8及びR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0045】
R2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0046】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。
R1、R3、R5、及びR8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0047】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、及びベンズアミドが好適に挙げられる。
【0048】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0049】
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0050】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、
前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0051】
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0052】
R2、R7、R8、及びR9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
R8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0053】
R8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0054】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0055】
R4、R6、R10で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0056】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(R11)=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(R11)=を表す。R11は、水素原子又は非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0057】
【化6】
【0058】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0059】
以下に、前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−160)を示すが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成できる。
【0060】
【化7】
【0061】
【化8】
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
マゼンタ染料の好ましい構造としては、特開2002−114930号の一般式(3)、(4)であり、具体例として特開2002−114930号の段落[0054]〜[0073]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0084]から[0122]に記載されているの一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号の段落番号[0123]から[0132]の化合物が挙げられる。尚、前記一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いても良い。
【0073】
シアン染料の好ましい構造としては、特開2001−181547号の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料であり、具体例として特開2001−181547号の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号の段落番号[0079]から[0081]の化合物が挙げられる。
特に好ましい構造としては、特開2002−121414号の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。具体例として特開2002−121414号の段落番号[0198]から[0201]の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いても良い。
【0074】
前記油溶性染料がモノマーに溶解するのは必須であるが、経時での結晶析出がないことも重要である。一般にモノマーの溶解性パラメーター(以下、SP値という)と油溶性染料のSP値が近い方がよいと言われているが、溶解する分子(本発明では油溶性染料)と溶媒(本発明ではモノマー)の構造に依存する部分があるため、SP値のみで解釈できない場合がある。本発明の油溶性染料の場合、分子体積V値とSP値の2つの物性値を用いることで、溶解性と経時保存安定性に優れることを見出した。
油溶性染料のSP値は26〜21が好ましく、25〜21がより好ましく、24〜21が更に好ましく、24〜22が特に好ましい。油溶性染料のV値は810〜270が好ましく、800〜300がより好ましく、750〜350が更に好ましく、700〜380が特に好ましい。
ここでV値(cm3/mol)、SP値(J0.5 / cm1.5)は、Fedorsの方法により計算した値である。これらの算出方法はPolym.Eng.Sci.の14巻(1974年)147頁に記載されている。
【0075】
前記油溶性染料のインク中の含有量は、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。
【0076】
−その他の成分−
本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、例えば、溶剤やポリマー、表面張力調整剤、貯蔵安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0077】
前記溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、油溶性染料の溶解性向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。
前記溶剤としては、水、低沸点有機溶剤、高沸点有機溶媒が挙げられる。
前記低沸点有機溶剤は沸点が100℃以下の有機溶剤である。前記低沸点有機溶剤は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましいが、使用する場合は安全性の高いものを用いることが好ましい。安全性が高い溶剤とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶剤であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0078】
前記高沸点有機溶媒は沸点が100℃より高い有機溶剤である。前記高沸点有機溶媒は沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。例えば、多価アルコール類、脂肪族カルボン酸のエステル類、リン酸エステル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、ジエチレングルコール、トリメチロールプロパン、フタル酸ジブチル、安息香酸−2−エチルヘキシル、アルキルナフタレンなどが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
前記溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、インク中の使用量は0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。実質的に含まないとは、使用する素材に主要な成分以外、すなわち、不純物として含有されているものであって、意図的に添加しない場合をいう。
前記ポリマーは、インクの極性や粘度の調整、油溶性染料の溶解性向上、硬化後のインクの被記録材との密着性、耐光性の調整などのために使用できる。前記ポリマーはインクに溶解していてもよいし、微細分散物でもよいが、インクの保存安定性や吐出性能の点から、溶解するものが好ましい。
【0079】
前記ポリマーがインクに溶解する場合には、染料やモノマーとの相溶性が高いものが好ましく、インクの粘度上昇を起こしにくい点から、重量平均分子量は50000以下が好ましく、20000以下が更に好ましく、10000が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられ、具体的には、ポリブチルアクリレート、ポリ(イソブチルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート)(共重合質量比95:5)、ポリ(イソプロピルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート)(共重合質量比70:30)、ポリ(ブチルメタクリレート−N−メトキシメチルアクリルアミド)(共重合質量比80:20)、ポリブチルアクリレート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(共重合質量比90:10)などが挙げられる。
前記ポリマーが微細分散物の場合には、モノマーに実質的に溶解しないことが必須であり、更に膨潤しにくいかまたは膨潤しないことが好ましい。インク中の分散物の粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリエステル微粒子、ウレタン−ビニル複合粒子などが挙げられ、具体的には、ポリ(アクリロニトリル−エチルアクリレート−エチレングルコールジメタクリレート)(共重合質量比60:37:3)、ポリ(スチレン−ブタジエン)(共重合質量比50:50)などが挙げられる。
前記ポリマーは一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、インク中の使用量は0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%が更に好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。
貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するもので、インクに溶解するものを用いる。例としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。使用量は0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
【0080】
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、特開2001−181549号公報に記載されているものなどを用いてもよい。
インクの好ましい物性は印字する装置にも依存するが、本発明ではインクの粘度は25℃で、10〜100mPa・sの範囲であり、10〜80mPa・sが好ましく、15〜80mPa・sが更に好ましい。表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mが更に好ましい。
【0081】
(インクジェト記録方法)
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクジェット記録用インクを用いて記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なおインクジェト記録方法は特開2001−279141号の段落番号(0247)に記載のものを用いることができる。特に好ましいのは、電荷制御方式、圧力パルス方式、音響インクジェット方式である。
【0082】
本発明のインクジェット記録用インクは、公知の被記録材に好適に印字等することができる。例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)から(0246)に記載されているものを用いることができる。
【0083】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断りがない限り、「質量部」および「質量%」を表す。
(実施例1)
<インク01の作成>
多官能モノマー(DPCA60) 28部、1−メチルトリメチレン−1,3−ジアクリレート 61.5部、メチルエチルケトン 15部の混合物に油溶性染料(Y−119)2.0部、フッ素系ノニオン界面活性剤 0.5部、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド 4部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 1部、トリエタノールアミン 3部、ハイドロキノンモノブチルエーテル 0.02部を加えて溶解し、5℃減圧条件でメチルエチルケトンを留去し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
DPCA60:日本化薬(株);KAYARAD DPCA−60
【0084】
<インク02の作成>
多官能モノマー(DPCA60) 26部、1−メチルトリメチレン−1,3−ジアクリレート 63.5部、メチルエチルケトン 15部の混合物に油溶性染料(Y−120)3.0部、フッ素系ノニオン界面活性剤 0.5部、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド 4部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 1部、トリエタノールアミン 3部、ハイドロキノンモノブチルエーテル 0.02部を加えて溶解し、5℃減圧条件でメチルエチルケトンを留去し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
【0085】
<インク03の作成>
多官能モノマー(SR494) 40部、2,2−ジメチルトリメチレン−1,3−ジアクリレート 47部、メチルエチルケトン 15部の混合物に油溶性染料(Y−119)2.5部、ポリブチルアクリレート(数平均分子量5000) 2部、フッ素系ノニオン界面活性剤 0.5部、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド 3部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 2部、ジエタノールアミン3部、ハイドロキノンモノブチルエーテル 0.02部を加えて溶解し、5℃減圧条件でメチルエチルケトンを留去し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
SR494:ソマール(株);SR−494
【0086】
<インク04、05の作成>
前記インク02の作成において、油溶性染料(Y−120)を代えた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク04、05のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0087】
<インク06の作成>
前記インク02の作成において、1−メチルトリメチレン−1,3−ジアクリレートの代わりにエチレングリコールジアクリレートを用いた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク06、07のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0088】
<インク07の作成>
前記インク02の作成において、1−メチルトリメチレン−1,3−ジアクリレートの代わりにジビニルベンゼンを用いた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク06、07のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0089】
<インク08の作成>
前記インク02の作成において、1−メチルトリメチレン−1,3−ジアクリレートの代わりにオクタメチレン−1,8−ジアクリレートを用いた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク06、07のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0090】
作製したインクジェット記録用インクを用いてPETフィルムに画像を記録した後に、メタルハライドランプにより200mJ/cm2で露光処理した。
インクおよび得られた記録サンプルについて、下記の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0091】
<粘度>
R型粘度計で25℃で測定し、粘度が40mPa・s未満をA(良好)、40〜100mPa.sをB(許容)、100mPa・sより大きい場合をC(不良)として、三段階で評価した。
<揮発性>
インク5mLを直径3cmのシャーレに入れ、40℃で1日間保存した後に、質量の減少が10%未満のものをA(良好)、10%より大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
<硬化性>
記録した画像を観察し、べたつきが無いものをA(良好)、べたつきが少しあるが接触したものを汚すほどではないものをB(許容)、べたつきが著しいものをC(不良)として、三段階で評価した。
<耐水性>
前記画像を形成したPETフィルムを、1分間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みやはがれ、色調を観察した。滲みや剥がれ、色調の変化がないものをA、いずれかに変化が見られたのものをBとして、二段階で評価した。
<耐光性>
前記画像を形成したPETフィルムを、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。
色素残存率が80%以上の場合をA、80%未満をB、70%未満をCとして、三段階で評価した。
【0092】
【表1】
【0093】
表1の結果から明らかなように、本発明のインクは粘度が適切であり、揮発性が低く、硬化性に優れ、色調に優れており、液体吸収性のないのPETに画像を記録した場合でも、耐水性、耐光性に優れていた。
【0094】
(実施例2)
被記録材を代えて画像を記録した以外は、前記実施例1と同様にして記録サンプルを作成し、評価を行った。オゾン耐性以外は、前記実施例1と同様にして評価を行った。
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を5日間保存する前後での濃度を、X-rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、70%以上90%未満をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0095】
【表2】
【0096】
表2の結果から明らかなように、従来の紙や液体吸収性のない被記録材の両方において良好な画像を形成でき、硬化性、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れていた。
【0097】
(実施例3)
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(Y−120)を代えた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク30〜36のインクジェット記録用インクを各々調製した。安定性以外の硬化性、耐水性、耐光性は何れのインクもAであった。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
表3、4の結果から明らかなようにインクの安定性には溶解性パラメータSP値(J0.5 / cm1.5)と分子体積V値(cm3/mol)が関係している。表3に示すV値が好ましい範囲800〜270の油溶性染料の場合、SP値が21より小さいインク30やSP値が26より大きいインク33は安定性が劣る傾向にあり、表4に示すSP値が好ましい範囲26〜21の油溶性染料の場合、V値が270より小さいインク34やV値が810より大きいインク36は安定性が劣る傾向にある。油溶性染料の溶解性パラメーターSP値が26〜21であり、かつ、分子体積V値が810〜270の場合特にインク安定性に優れることが判る。
【0101】
(実施例4)
以下のように4色のインクセットを作成してフルカラー画像を記録し、色調以外は、前記実施例1と同様にして評価を行った。粘度が最適で、揮発性が少なく、硬化性、色調、耐水性、耐光性の何れも優れていた。
<イエローインク>
実施例1のインク02を使用した。
<マゼンタインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(Y−120)3.0部の代わりに、油溶性染料(M−1)2.0部を用いた以外は、インク02の作成と同様にしてインクジェット記録用マゼンタインクを調製した。
<シアンインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(Y−120)3.0部の代わりに、油溶性染料(C−1)2.0部を用いた以外は、インク02の作成と同様にしてインクジェット記録用シアンインクを調製した。
<ブラックインク>
前記イエローインクの作成において、油溶性染料(Y−120)3.0部の代わりに、油溶性染料(M−1)1.6部、油溶性染料(C−1)2.6部、油溶性染料(Y−120)1.8部を用いた以外は、前記イエローインクの作成と同様にしてインクジェット記録用ブラックインクを調製した。
【0102】
<色調>
色調については、目視にてA(最良)、B(良好)およびC(不良)の3段階で評価した。
【0103】
【化19】
【0104】
【発明の効果】
本発明によると、インクの保存安定性に優れ、液体吸収性のある被記録材のみならず液体吸収性のない被記録材を用いた場合でも、良好な画像が形成でき、硬化性、色調、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することができる。
Claims (4)
- 3官能以上の重合性基を有するビニルモノマー、下記一般式(VM−1)で表される2官能モノマー、及び下記一般式(Y−II)で表される油溶性染料を含有することを特徴とするインク。
一般式(VM−1)
- モノマー以外の分散媒あるいは溶剤の含有量が20質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクを用いて被記録材に画像記録を行う工程と、画像記録された被記録材を放射線により硬化を行う工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
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